説明

光伝送基板、それを備えた光伝送装置、及び光伝送基板の製造方法

【課題】基材部と屈折率が異なった他の部材を別途用いる必要がない光伝送基板、それを備えた光伝送装置、及び光伝送基板の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】実施例1の光伝送基板(20)は、基材部(25)と、基材部(25)内にレンズ状に形成され、基材部(25)と屈折率が異なり、基材部(25)の部分的な変質を利用して形成された屈折率変更部(26)と、を備えている。基材部(25)は、結晶質であり、屈折率変更部(26)は、基材部(25)よりも屈折率が大きく、非晶質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送基板、それを備えた光伝送装置、及び光伝送基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の貫通孔内に、屈折率が相違する第1及び第2屈折率体を形成し、貫通孔の出口に、集光レンズが取り付けられた光伝送基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−31633号公報
【特許文献2】特開2005−62832号公報
【特許文献3】特表2005−519318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光伝送基板では、基板の基材部とは屈折率が異なった1及び第2屈折率体、集光レンズが基板に設けられている。このように、基板とは屈折率が異なった部材を用いているため、このような部材が基板から剥がれ落ちる恐れがある。
【0005】
本発明は、基材部と屈折率が異なった他の部材を別途用いる必要がない光伝送基板、それを備えた光伝送装置、及び光伝送基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の光伝送基板は、基材部と、前記基材部内にレンズ状に形成され、前記基材部と屈折率が異なり、前記基材部の部分的な変質を利用して形成された屈折率変更部と、を備えている。
【0007】
本明細書に開示の光伝送装置は、上記の光伝送基板と、前記光伝送基板に実装され、前記屈折率変更部へレーザを照射可能な光半導体素子と、を備えている。
【0008】
本明細書に開示の光伝送基板の製造方法は、結晶質の基材部の内部に、照射される領域がレンズ状となるようにフェムト秒レーザを照射し、前記フェムト秒レーザが照射された領域が非晶質化するまで照射する。
【発明の効果】
【0009】
基材部と屈折率が異なった他の部材を別途用いる必要がない光伝送基板、それを備えた光伝送装置、及び光伝送基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施例の光伝送装置をプリント基板に実装した状態の説明図。
【図2】図2は、実施例1の光伝送装置の部分拡大図。
【図3】図3A、3Bは、光伝送基板に対する屈折率変更部の形成方法の説明図。
【図4】図4は、実施例2の光伝送装置の説明図。
【図5】図5A、5B、6A、6Bは、実施例2の光伝送基板に対する屈折率変更部の形成方法の説明図。
【図6】図6A、6Bは、実施例2の光伝送基板に対する屈折率変更部の形成方法の説明図。
【図7】図7A、7Bは、実施例2の光伝送基板に対する屈折率変更部の形成方法の変形例の説明図。
【図8】実施例3の光伝送装置の説明図。
【図9】実施例4の光伝送装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて複数の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本実施例の光伝送装置をプリント基板に実装した状態の説明図である。図1に示すように、プリント基板10には、本実施例の光伝送装置が実装されている。光伝送装置は、光伝送基板20、光伝送基板20に実装された電子部品30、光半導体素子40を含む。プリント基板10、光伝送基板20、電子部品30、光半導体素子40は、例えば、サーバーやスーパーコンピュータなどの電子装置に用いられる。
【0013】
プリント基板10は、例えば電子装置のマザーボードとして機能するが、マザーボードに限定されない。光伝送基板20は、インターポーザとして機能する。光伝送基板20は、シリコン製である。
【0014】
電子部品30は、CPU31、ドライバ32を含む。CPU31は、プリント基板10からの電気信号を受信する。CPU31は、受信した電気信号に基づいて、ドライバ32は光半導体素子40へ駆動信号を出力する。光半導体素子40は、入力された駆動信号に基づいて、プリント基板10に向けてレーザを出射する。光半導体素子40は、面発光レーザ(VCSEL)である発光素子である。なお、光半導体素子40は、面受光型の半導体受光素子(PD:Photo Diode)である。
【0015】
プリント基板10、電子部品30は、光伝送基板20により配線接続されている。電子部品30、光半導体素子40は、光伝送基板20内で配線接続されている。
【0016】
図2は、実施例1の光伝送装置の部分拡大図である。プリント基板10内には、光導波路12、光路変換部13が形成されている。光導波路12は、コア部12a、コア部12aを取り囲むクラッド部12b、12cとを含む。コア部12aは、クラッド部12b、12cよりも屈折率が大きい。光路変換部13は、反射部13aが形成されている。反射部13aは、光半導体素子40の光軸に対して傾斜して配置されている。光導波路12は、プリント基板10の表面に形成されていてもよい。光半導体素子40から出射したレーザLは、光伝送基板20の厚み方向を通過して反射部13aで略直角に反射し、光導波路12のコア部12a内を通過する。
【0017】
光伝送基板20は、シリコン製である。屈折率変更部26は、表面21、裏面22に挟まれるようにして光伝送基板20の内部に形成されている。屈折率変更部26は凸レンズ状である。屈折率変更部26は、基材部25の部分的な変質を利用して形成されたものである。屈折率変更部26は、基材部25よりも屈折率が大きい。また、屈折率変更部26は、非晶質化されている。基材部25は、結晶質である。光伝送基板20は、半田バンプSBによりプリント基板10に実装されている。
【0018】
光半導体素子40から照射されたレーザLは、放射状に広がりながら基材部25を透過して屈折率変更部26に入射しする。屈折率変更部26に入射したレーザLは、所定の角度で狭まりながら屈折率変更部26内を進行する。屈折率変更部26内を進行したレーザLは、基材部25と屈折率変更部26との比屈折率差や屈折率変更部26の曲面に応じた角度で屈折して屈折率変更部26から出射される。屈折率変更部26から出射したレーザLは、基材部25を透過して反射部13aに向けて集光する。これにより、レーザLの損失を抑制して効率よく光導波路12へ導くことができる。光半導体素子40は、半田バンプSBにより光伝送基板20に実装されている。尚、光半導体素子40が照射するレーザLの波長は、光伝送基板20のバンドギャップ以上の値に設定されている。具体的には、レーザLの波長は、1.1μ以上に設定されている。これにより、レーザLはシリコン製の光伝送基板20を透過する。
【0019】
次に、光伝送基板20に対する屈折率変更部26の形成方法について説明する。図3A、3Bは、屈折率変更部26の形成方法の説明図である。図3Aは、光伝送基板20を側面から視た図であり、図3Bは、光伝送基板20を表面21から視た図である。
【0020】
図3Aに示すように、フェムト秒レーザFLを集光レンズ50に向けて照射し、フェムト秒レーザFLの焦点位置を基材部25の内部に設定する。フェムト秒レーザFLが照射された基材部25の領域は、非晶質化される。非晶質化された領域は、結晶質の部分よりも、屈折率が大きくなる。
【0021】
また、図3A、3Bに示すように、照射された領域が両凸レンズ状になるように、フェムト秒レーザFLを光伝送基板20へ照射する。例えば、XYZ方向にそれぞれ移動可能なステージに光伝送基板20を載せて、フェムト秒レーザFLが照射された領域が両凸レンズ状になるようにステージを移動させる。これにより、フェムト秒レーザFLが照射された基材部25の領域が非晶質化して両凸レンズ状の屈折率変更部26が形成される。非晶質化された屈折率変更部26は、結晶質である基材部25よりも屈折率が大きくなる。尚、厚さや径の大きさなどの屈折率変更部26の詳細な形状は、レーザLの出射位置と反射部13aとの距離などに応じて適宜変更して形成する。シリコンの屈折率は、約3.8である。
【0022】
このように屈折率変更部26は基材部25が部分的に変質して形成されているので、基材部25と屈折率が異なった他の部材を用いる必要がない。これにより、基材部25と屈折率が異なった他の部材を用いることなく、光伝送基板20を通過したレーザLを集光させることができる。光伝送基板20を通過したレーザLを集光させるために、例えば光伝送基板20にレンズなどの他の部材を設けた場合、光伝送基板20からこのような部材が剥がれ落ちる恐れがある。また、光伝送基板20にこのような他の部材を取り付けた場合、取り付けた後に他の部材の位置がずれて、レーザLを効率よく集光することができなくなる恐れがある。しかしながら、本実施例のように、他の部材を用いることなく基材部25内に屈折率が変更された部分を形成することができるので、上記のような問題を防止できる。
【0023】
また、屈折率変更部26は、光伝送基板20の表面21、裏面22に挟まれるように基材部25内に形成されている。従って、光伝送基板20の平坦性を維持することができる。例えば、基材部25と屈折率が異なった他の部材を、光伝送基板20の表面21又は裏面22から突出したように光伝送基板20に取り付けた場合、他の部材が光半導体素子40又はプリント基板10と干渉する問題が生じる恐れがある。これにより、プリント基板10、光伝送基板20、光半導体素子40を含む実装高さが大きくなる恐れがある。しかしながら、本実施例のように、光伝送基板20の平坦性を維持できるので、上記のような問題を防止できる。
【0024】
また、他の部材を用いる必要がないため製造コスト及び製造工程数が低減されている。
【0025】
次に、光伝送基板20の製造方法について簡単に説明する。
シリコン製の基板にエッチングにより貫通孔を形成する。この貫通孔は、CPU31とプリント基板10とを接続する導通経路を確保するためのものである。次に、シリコン製の基板に熱酸化処理を行いシリコン製の基板の外表面に絶縁性の酸化シリコン被膜を形成する。貫通孔に導電性の材料を充填する。導電性の材料とは例えば銅である。
【0026】
次に、シリコン製の基板上に、電子部品30のCPU31とプリント基板10とを接続するための配線パターンと、ドライバ32と光半導体素子40とを接続するための配線パターンとを形成する。配線パターンは、フォトリソグラフィにより形成する。また、予めレーザLが透過する位置を回避して配線パターンを形成する。CPU31とプリント基板10とを接続するための配線パターンは、シリコン製の基板の貫通孔に充填された導電性の材料と接続される位置に形成する。
【0027】
この配線パターンが形成されたシリコン基板上にSiOを積層して表面を平坦に研磨する。次に、SiO層に、CPU31とプリント基板10とを接続するための配線パターンに至る穴と、ドライバ32と光半導体素子40とを接続するための配線パターンに至る複数の穴とを形成する。CPU31とプリント基板10とを接続するための配線パターンに至る穴は、この配線パターンとCPU31とを接続する導通経路を確保するためのものである。また、ドライバ32と光半導体素子40とを接続するための配線パターンに至る複数の穴は、この配線パターンとドライバ32とを接続する導通経路を確保するためのものである。この穴はエッチングにより形成する。この穴に導電製の材料を充填する。または、SiOの表面の全面に導電性を有する金属を蒸着させて不用部分を除去することにより、この穴に導電性の材料を充填させる。
【0028】
このようにして、CPU31とプリント基板10とを接続するための導通経路は、光伝送基板20の表面21から裏面22に至るようにして形成される。また、ドライバ32と光半導体素子40とを接続するための導通経路は、光伝送基板20の表面21側に形成される。
【0029】
このようにして形成された光伝送基板20に対して、電子部品30、光半導体素子40を実装する前に、上記方法により屈折率変更部26を形成する。尚、屈折率変更部26は、予め配線パターンを回避した位置に形成する。
【0030】
その後、光伝送基板20に電子部品30、光半導体素子40を実装することにより、実施例1の光伝送装置は製造される。
【0031】
尚、ドライバ32と光半導体素子40とを接続する配線パターンを、光伝送基板20には形成せずに、プリント基板10に形成してもよい。この場合、シリコン基板に複数の貫通孔を形成してシリコン基板の外表面に酸化シリコン皮膜を形成する。その後、複数の貫通孔に導電性の材料を充填して、シリコン基板を貫通する電極を形成する。この電極を介して、ドライバ32とプリント基板10とを接続し、プリント基板10と光半導体素子40とを接続する。
【実施例2】
【0032】
図4は、実施例2の光伝送装置の説明図である。
光伝送基板20a内には、屈折率変更部26aが形成されている。屈折率変更部26aは、空洞である。屈折率変更部26aは、基材部25よりも屈折率が小さい。詳細には、屈折率変更部26aの屈折率は略1である。屈折率変更部26aは、光伝送基板20aの側面から視て両凹レンズ状である。光半導体素子40から出射されるレーザLは、基材部25から屈折率変更部26aを通過して、再び屈折率変更部26aから基材部25へ通過する。レーザLが屈折率変更部26aを通過することにより、レーザLは反射部13aに向けて集光する。
【0033】
次に、実施例2の光伝送基板20aに対する屈折率変更部26aの形成方法について説明する。図5A、5B、6A、6Bは、実施例2の光伝送基板20aに対する屈折率変更部26aの形成方法の説明図である。図5B、6Bは、光伝送基板20aを表面21側から視た図である。図5Bに示すように、フェムト秒レーザFLを基材部25内部に出射する。照射領域260は、両凹レンズ状の照射領域261、照射領域261から側面23にまで照射された照射領域263、261から側面24にまで照射された照射領域264、を含む。照射領域260にフェムト秒レーザFLを照射して非晶質化させる。このように、照射領域260を変質させる。
【0034】
次に、照射領域260を除去するために、ウェットエッチングを行なう。ウェットエッチングに用いるエッチング液は、例えばフッ化水素酸、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、フッ酸と硝酸と酢酸との混合液、などである。ウェットエッチングにより照射領域260が除去され光伝送基板20a内部に空洞の屈折率変更部26aが形成される。尚、屈折率変更部26aは、両凹レンズ状の中央部26a1、中央部26a1から側面23にまで延びた延在部26a3、中央部26a1から側面24にまで延びた延在部26a4、を含む。
【0035】
次に、実施例2の光伝送基板に対する屈折率変更部の形成方法の変形例について説明する。図7A、7Bは、実施例2の光伝送基板に対する屈折率変更部の形成方法の変形例の説明図である。図7Aに示すように、フェムト秒レーザFLを基材部25内に照射してアブレーションにより基材部25を部分的に蒸散させて、空洞の屈折率変更部26bを形成する。このように、基材部25の一部分にフェムト秒レーザFLを照射して変質させることにより、空洞である屈折率変更部26bを形成する。図7Bに示すように、表面21側からみて円形の屈折率変更部26bを形成することができる。尚、この場合、図6A、6Bに示した屈折率変更部26aのように、側面23、24まで延びた延在部26a3、26a4は形成されない。
【実施例3】
【0036】
実施例3の光伝送装置について説明する。図8は、実施例3の光伝送装置の説明図である。図8に示すように、光伝送基板20c内には、光伝送基板20cの厚み方向に並ぶように屈折率変更部26c1、26c2が形成されている。屈折率変更部26c1、26c2は、基材部25よりも屈折率が大きい。また、屈折率変更部26c1、26c2は、非晶質である。屈折率変更部26c1、26c2は、それぞれ平凸レンズ状である。光半導体素子40側の屈折率変更部26c1は、凸面が光半導体素子40側を向いている。プリント基板10側の屈折率変更部26c2は、凸面が光伝送基板20c側を向いている。屈折率変更部26c1の平面と、屈折率変更部26c2の平面とは向かい合っている。尚、屈折率変更部26c1、26c2も、実施例1の屈折率変更部26と同様に、フェムト秒レーザFLにより形成する。
【0037】
光半導体素子40から出射されたレーザLは、屈折率変更部26c1に入射するまで放射状に拡散する。屈折率変更部26c1の凸面に入射したレーザLは、屈折率変更部26c1内を進行してレーザLが略平行な状態で屈折率変更部26c1の平面から射出する。屈折率変更部26c1から射出されたレーザLは基材部25内を進行して屈折率変更部26c2の平面に入射する。レーザLは屈折率変更部26c2内を進行して、幅が狭くなるようにして屈折率変更部26c2から出射される。屈折率変更部26c2から出射されたレーザLは、反射部13a上で集光して反射する。
【0038】
このように複数の平凸レンズ状の屈折率変更部26c1、26c2を形成することにより、屈折率変更部26c1、26c2間を進行するレーザLを平行にすることができる。これにより、屈折率変更部26c1、26c2間を進行するレーザLが放射状に広がることが防止される。
【0039】
これにより、例えば複数の出射点からそれぞれレーザLを平行に出射可能な光半導体素子を用いた場合、光伝送基板の平面方向に並ぶように複数の屈折率変更部を形成すると、出射されるレーザLの間隔を狭くすることができない。レーザLは放射状に広がりながら光伝送基板内を進行するので、レーザLの放射状の広がりを考慮して屈折率変更部の大きさを確保しなければならないからである。従って、このような場合には光伝送基板は平面方向に大型化する。しかしながら、実施例3の光伝送基板20cのように、平凸レンズ状の屈折率変更部26c1、26c2を光伝送基板20の厚み方向に並ぶように形成することにより、レーザLの放射状の広がりを抑えることができる。これにより、複数の出射点からそれぞれレーザLを照射可能な光半導体素子を用いた場合であっても、光伝送基板の平面方向での大型化を防止できる。
【実施例4】
【0040】
次に、実施例4の光伝送装置について説明する。
図9は、実施例4の光伝送装置の説明図である。図9に示すように、光伝送基板20d内には、光伝送基板20dの厚み方向に並ぶように屈折率変更部26d1、26d2が形成されている。屈折率変更部26d1、26d2は、それぞれ空洞である。屈折率変更部26d1、26d2は、基材部25よりも屈折率が小さい。屈折率変更部26d1、26d2は、それぞれ平凹レンズ状である。光半導体素子40側の屈折率変更部26d1は、凹面が光半導体素子40側を向いている。プリント基板10側の屈折率変更部26d2は、凹面が光伝送基板20d側を向いている。屈折率変更部26d1の平面と、屈折率変更部26d2の平面とは向かい合っている。
【0041】
尚、屈折率変更部26d1、26d2の形成方法は、フェムト秒レーザFLを照射して照射領域を非晶質化してウェットエッチングで除去してもよいし、アブレーションにより形成してもよい。
【0042】
このように複数の平凹レンズ状の屈折率変更部26d1、26d2を形成することにより、屈折率変更部26d1、26d2間を進行するレーザLを平行にすることができる。これにより、屈折率変更部26d1、26d2間を進行するレーザLが放射状に広がることが防止される。従って、複数の出射点からそれぞれレーザLを照射可能な光半導体素子を用いた場合であっても、光伝送基板の平面方向での大型化を防止できる。
【0043】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0044】
光伝送基板20〜20dの材質としてシリコン(Si)を用いたが、その他、GaSa(ガリウム砒素)、InP(リン化イリジウム)、LiNbO(リチウムナイオベート)、SiO(二酸化ケイ素)の少なくとも一つを含んでもよい。
【0045】
光伝送基板の製造方法における、光伝送基板内に屈折率変更部26を形成する以外の工程については、本明細書に開示した工程に限定されない。
【符号の説明】
【0046】
10 プリント基板
12 光導波路
20〜20d 光伝送基板
25 基材部
26〜26b、26c1、26c2、26d1、26d2 屈折率変更部
30 電子部品
31 CPU
32 DRV/TI
40 光半導体素子
L レーザ
FL フェムト秒レーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材部と、
前記基材部内にレンズ状に形成され、前記基材部と屈折率が異なり、前記基材部の部分的な変質を利用して形成された屈折率変更部と、を備えた光伝送基板。
【請求項2】
前記基材部は、結晶質であり、
前記屈折率変更部は、前記基材部よりも屈折率が大きく、非晶質である、請求項1の光伝送基板。
【請求項3】
前記屈折率変更部は、更にウェットエッチングを利用して形成され、前記基材部よりも屈折率が小さく、空間である、請求項1の光伝送基板。
【請求項4】
前記基材部の材料は、Si、GaAs、InP、LiNbO、SiOの少なくとも一つを含む、請求項1乃至4の何れかの光伝送基板。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの光伝送基板と、
前記光伝送基板に実装された光半導体素子と、を備えた光伝送装置。
【請求項6】
結晶質の基材部の内部に、照射される領域がレンズ状となるようにフェムト秒レーザを照射し、
前記フェムト秒レーザが照射された領域が非晶質化するまで照射する、光伝送基板の製造方法。
【請求項7】
前記フェムト秒レーザが照射される領域が前記基材部の側面に至るまで前記フェムト秒レーザを照射し、
前記フェムト秒レーザが照射された領域をウェットエッチングする、請求項6の光伝送基板の製造方法。
【請求項8】
前記フェムト秒レーザが照射された領域が蒸散するまで照射する、請求項6の光伝送基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154132(P2011−154132A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14780(P2010−14780)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】