説明

光伝送装置

【課題】ブリリアン散乱によるシステム停止を回避することができる、光伝送装置を提供する。
【解決手段】電気信号を光信号に変換して光ファイバ線路を介して伝送する光伝送システムに組み込まれる光伝送装置13であって、光信号を増幅する光増幅器60として構成され、光信号を励起する励起レーザ69と、光伝送システムにおいて伝送される光信号であって、第1の光信号と、第1の光信号とは異なる第2の光信号とを取得し、当該取得した第1の光信号のレベル及び第2の光信号のレベルに基づいて励起レーザ69を制御することにより、光信号のレベルを、当該光信号が光ファイバ線路に入力することによるブリリアン散乱が発生しないレベルに制御する増幅制御部74とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号を光信号に変換して光ファイバ線路を介して伝送する光伝送システムに組み込まれる光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、集合住宅等の複数の住戸を対象としたCATVシステムが普及している。このCATVシステムは、概略的に、アンテナを介して受信したRF信号を変調及び増幅し、この増幅したRF信号を伝送路を介して送信し、受信機にてこれを復調して出力する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特に、近年では、光通信技術の進展に伴い、光ケーブルを用いた光伝送システムが導入されつつある。この光伝送システムによれば、数10Km程度の無中継伝送が可能となるため、伝送システムを容易に広域化できる。この光伝送システムは、概略的には、センター側に配置した光送信機や光増幅器と、システム管理者側に配置した光受信機とを、光ケーブルを介して接続して構成されている。そして、光送信機にてRF信号を光信号に変換して送信し、光増幅器にてこの光信号を増幅し、この光信号を長距離伝送路を介して光受信機に送信する。この光受信機では、光信号をRF信号に変換して、TV受像機等の受信端末に出力する。
【0004】
ここで、このような光伝送システムにおける障害要因の一つとして、励起ブリリアン散乱(S B S : S t i m u l a t e d B r i l l o u i n S c a t t e r i n g。以下、ブリリアン散乱)が知られている。このブリリアン散乱は、信号光とブリリアン散乱光との相互作用によって生じ、このブリリアン散乱が生じた場合には、光信号が反射されて上流側に入射することで、光ケーブルに入力できる光信号のレベルが制限され、光伝送システムの機能障害を引き起こす可能性がある。このため、従来の光伝送システムでは、ブリリアン散乱の有無やその程度を検出し、ブリリアン散乱が生じた場合やそのレベルが所定レベルを超えた場合には、光伝送システムを停止させる自動遮断機能が設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−101401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のように自動遮断機能を用いて光伝送システムを停止させた場合には、この光伝送システムの復旧に時間を要するために好ましくなかった。特に、緊急放送を行なう必要性がある放送システムにおいては、システムの停止を招くような事態を回避し、システムの信頼性を高めることが要望されていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ブリリアン散乱によるシステム停止を
回避することができる、光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の光伝送装置は、電気信号を光信号に変換して光ファイバ線路を介して伝送する光伝送システムに組み込まれる光伝送装置であって、前記光信号を増幅する光増幅器として構成され、前記光信号を励起する励起用光源と、前記光伝送システムにおいて伝送される前記光信号であって、第1の光信号と、前記第1の光信号とは異なる第2の光信号とを取得し、当該取得した第1の光信号のレベル及び第2の光信号のレベルに基づいて前記励起用光源を制御することにより、前記光信号のレベルを、当該光信号が前記光ファイバ線路に入力することによるブリリアン散乱が発生しないレベルに制御する散乱防止手段とを備える。
【0009】
また、請求項2に記載の光伝送装置は、請求項1に記載の光伝送装置において、前記第1の光信号のレベルと前記第2の光信号のレベルとの組み合わせに対する基準値を記憶する記憶手段を備え、前記散乱防止手段は、前記第1の光信号と前記第2の光信号とを取得し、当該取得した第1の光信号のレベルと第2の光信号のレベルとの組み合わせに対する基準値を前記記憶手段から取得し、当該取得した基準値に基づいて前記励起用光源を制御することにより、前記光信号のレベルを前記ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御する。
【0010】
また、請求項3に記載の光伝送装置は、請求項2に記載の光伝送装置において、前記光伝送システムにおいて伝送される前記光信号であって、前記励起用光源に入力される第3の光信号を制御するレベル制御手段を備え、前記散乱防止手段は、前記第3の光信号のレベルが前記基準値を満たすように前記レベル制御手段を制御することにより、前記光信号のレベルを前記ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御する。
【0011】
また、請求項4に記載の光伝送装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の光伝送装置において、前記第1の光信号は、当該光増幅器に入力される光信号である。
【0012】
また、請求項5に記載の光伝送装置は、請求項1から4のいずれか一項に記載の光伝送装置において、前記第2の光信号は、当該光増幅器から出力され当該光増幅器に反射された光信号である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ブリリアン散乱を抑制するための所定動作が自動的に行なわれるので、光送信機や光増幅器の出力レベルを自動制御して、光信号のレベルをブリリアン散乱の生じないレベルに調整できるので、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0014】
また、この発明によれば、光信号のレベルをブリリアン散乱が発生しないレベルに制御するので、ブリリアン散乱を自動的に抑制でき、光伝送システムが停止するような事態を自動的に回避でき、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0015】
また、この発明によれば、光増幅器の励起用光源に対する入力レベルを調整することで、ブリリアン散乱を自動的に抑制でき、光伝送システムが停止するような事態を自動的に回避でき、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】光受信機の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態2に係る光送信機の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態3に係る光送信機の構成を示すブロック図である。
【図5】送信制御部による制御処理のフローチャートである。
【図6】実施の形態4に係る光増幅器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る光伝送装置の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態は、概略的に、電気信号を光信号に変換して光ファイバ線路を介して伝送する光伝送システムに組み込まれる光伝送装置に関する。ここで、光伝送装置としては、電気信号を光信号に変換して送信する光送信機と、光信号を増幅する光増幅器とを挙げることができる。実施の形態1〜3は光送信機に関するものであり、実施の形態4は光増幅器に関するものである。
【0019】
これら光送信機や光増幅器において、ブリリアン散乱の発生を防止するための所定動作が行なわれる。この動作は、ブリリアン散乱の発生の可能性に関する出力動作と、ブリリアン散乱を低減させるための制御動作とに大別される。出力動作の場合、例えば、ブリリアン散乱の発生の可能性を判定し、この判定結果を表示等することで、この可能性がシステム管理者に報知される。これを受けたシステム管理者は、ブリリアン散乱が発生してシステム停止に至る前に、ブリリアン散乱を回避するような制御を行なうことができる。一方、制御動作の場合、例えば、電気信号や光信号における所定の特性値をモニタすることで、ブリリアン散乱の発生の可能性を判定し、その結果に応じて光送信機や光増幅器における電気信号や光信号の入力値を制御することで、ブリリアン散乱を防止し、あるいは、ブリリアン散乱のレベルを低減できる。従って、ブリリアン散乱によってシステムが停止するような事態を防止できる。
【0020】
このような出力動作又はフィードバック動作において、その動作基準として取得される電気信号や光信号の特性値としては、種々のものを挙げることができる。すなわち、ブリリアン散乱は、光ケーブルの長さ、光信号のレベル(パワー)、及び、光信号の波長の先鋭度(波長の長さに対するレベルの比)に比例し、光信号の変調度(振幅)に反比例して発生することが知られている。そこで、各実施の形態では、これらブリリアン散乱の発生やそのレベルに関連するパラメータのうちの少なくとも一つ以上を検出することで、出力動作又はフィードバック動作を行なう。
【0021】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
以下に添付図面を参照して、各実施の形態の具体的内容について順次詳細に説明する。
【0022】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態1は、光送信機において、ブリリアン散乱の発生の可能性に関する表示を行う形態である。
【0023】
(光伝送システムの基本構成)
最初に、実施の形態1に係る光伝送システムの基本構成を説明する。図1は実施の形態1に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。光伝送システム1は、UHF/VHFアンテナ10、BS/CSアンテナ11、ヘッドエンド12、光送信機13、光増幅器14、光スプリッタ15、光受信機16、及び、受信機であるTV受像機17を、同軸ケーブル線路18及び光ファイバ線路19を介して図示のように接続して構成されている。
【0024】
そして、図示しない放送局やその中継局から無線送信されたRF信号(テレビチャネル信号)を、センター側に配置されたヘッドエンド12のUHF/VHFアンテナ10又はBS/CSアンテナ11にて受信し、このRF信号を同軸ケーブル線路18を介して光送信機13に送信する。光送信機13は、このRF信号を光信号にE/O変換し、この光信号を光ファイバ線路19を介して光増幅器14に送信する。光増幅器14は、この光信号を増幅し、数Km程度の長距離に渡って敷設された光ファイバ線路19を介してユーザ側に向けて送信する。光スプリッタ15は、この光信号を所要の分配系統に分配し、各分配系統に分配された光信号が光受信機16にてRF信号にO/E変換され、このRF信号が同軸ケーブル線路18を介してユーザのTV受像機17にて受像される。
【0025】
(光送信機13の基本構成)
次に、光送信機13の基本構成について説明する。図2は光受信機の構成を示すブロック図である。この光受信機13は、特許請求の範囲における光伝送装置に対応するもので、入力端子20、セパレータ21、信号調整部22、23、ミキサ24、レーザダイオード(CATV用半導体ダイオード、以下、LD)25、レーザーコントローラ26、及び、出力端子27を図示のように接続して構成されている。
【0026】
そして、入力端子20に入力されたRF信号が、セパレータ21にてCATV帯域(70〜770MHz)のRF信号と、BS/CS帯域(1000〜2602MHz)のRF信号とに分配され、それぞれ信号調整部22、23に個別的に入力される。信号調整部22は、CATV帯域のRF信号のレベル調整を行なうもので、ゲインコントローラ(以下、GC)22a、アンプ22b、シグナルコントローラ(以下、SC)22c、及び、アンプ22dを備え、RF信号を所定レベルにレベル調整して出力する。また、信号調整部23は、BS/CS帯域のRF信号のレベル調整を行なうもので、GC23a、アンプ23b、SC23c、及び、アンプ23dを備え、RF信号を所定レベルにレベル調整して出力する。このように出力されたRF信号はミキサ24にて混合され、LD25に入力される。LD25は、入力されたRF信号の振幅レベルに応じた輝度変調による発光駆動を行うことにより、RF信号を光信号に変換するもので、特許請求の範囲における電気/光変換手段に対応する。そして、この光信号が、出力端子27を介して後段に出力される。
【0027】
次に、レーザーコントローラ26について説明する。レーザーコントローラ26は、LD25の駆動手段であり、温度制御部(ATC:Auto Temperature Control)26a、パワー制御部(APC:Auto Power Control)26b、液晶モニタ26c、及び、送信制御部26dを備えて構成されている。温度制御部26aは、LD25の温度が一定になるように、このLD25に温度制御をかけて動作させることにより、LD25におけるスロープ効率の低下や閾値電流の増大を防止して、LD25を安定に動作させる。具体的には、温度制御部26aは、図示しないサーミスタを備えて構成され、このサーミスタにて検出されたLD25の温度が所定範囲に収まるように、LD25に供給する電流を制御する。パワー制御部26bは、LD25の光信号の出力レベルが一定になるようにこのLD25に通電することにより、この出力レベルを光送信機13の最大定格以下に維持して、LD25の保護を図ると共にその出力レベルの安定を図る。具体的には、パワー制御部26bは、LD25からのモニタ光を図示しないフォトダイオードで受光し、このフォトダイオードの出力レベルに反比例するようにLD25の動作電流を制御することで、LD25をフィードバック制御する。液晶モニタ26cは、レーザーコントローラ26における制御状態を表示するもので、特許請求の範囲における表示手段に対応する。この液晶モニタ26cは、例えば、温度制御部26aやパワー制御部26bのステータスを表示する。送信制御部26dは、レーザーコントローラ26の各部を制御するもので、特許請求の範囲における変換制御手段に対応する。この送信制御部26dは、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びこのCPUによって解釈・実行される制御プログラムから構成される。
【0028】
(ブリリアン散乱の抑制構造)
次に、ブリリアン散乱を抑制又は防止するための構造について説明する。図2に示すように、LD25の前段側(ミキサ24とLD25との間)には分波器28が設けられており、この分波器28には検波器29が接続されている。そして、分波器28にて分波されたRF信号が検波器29に入力される。検波器29は、例えば直線検波器として構成され、RF信号の実行電圧に比例した直流電圧をレーザーコントローラ26の送信制御部26dに出力する。この送信制御部26dには、ブリリアン散乱を生じさせ得る検波器29の電圧値が閾値(基準値)として予め格納されており、送信制御部26dは、検波器29から入力された電圧をこの閾値と比較することにより、ブリリアン散乱の発生の可能性を判定する。そして、ブリリアン散乱が発生した場合(すなわち検波器29の電圧が閾値以上である場合)、送信制御部26dは、ブリリアン散乱が発生した旨を液晶モニタ26cを介して表示する。すなわち、本実施の形態1において、送信制御部26dは特許請求の範囲における散乱防止手段を構成し、液晶モニタ26cは特許請求の範囲における判定結果出力手段を構成し、検波器29は特許請求の範囲におけるレベル検出手段を構成する。
【0029】
このように液晶モニタ26cに表示する具体的な内容としては、例えば、ブリリアン散乱が発生した旨をテキスト表示してもよく、あるいは、この旨を示す所定の警告灯を点滅又は点灯させてもよい。このような表示を行なうことで、このブリリアン散乱の発生に関する情報をシステム管理者に報知でき、システム管理者が光伝送システム1の停止を回避するための行動をシステム管理者に促すことができる。
【0030】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、ブリリアン散乱が発生した旨を光送信機の内部においてシステム管理者に自動的に報知できるので、光伝送システム1の停止を回避するための行動をシステム管理者に自動的に促すことができ、システム管理者が事前に必要な措置を講じることができるので、光伝送システム1の信頼性を向上できる。また、変換制御手段である送信制御部26dを散乱判定手段として使用すると共に、表示手段である液晶モニタ26cを判定結果出力手段を前記判定結果出力手段として使用しているので、ブリリアン散乱の判定や表示のための専用の構成を設ける必要がなくなり、光受信機13を簡易かつ安価に構成できる。
【0031】
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る実施の形態2の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態2は、ブリリアン散乱の発生の可能性に関する情報を、光送信機から外部機器に出力した形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0032】
図3は実施の形態2に係る光送信機の構成を示すブロック図である。実施の形態2の光伝送システムには、実施の形態1の光送信機13に代えて、図3の光受信機30が配置されている。そして、この光受信機30には、実施の形態1のレーザーコントローラ26に代えて、レーザーコントローラ31が設けられている。このレーザーコントローラ31は、温度制御部31a、パワー制御部31b、液晶モニタ31c、及び、送信制御部31dを備えて構成されている。
【0033】
これらレーザーコントローラ31の各部は、実施の形態1のレーザーコントローラ26における同一名称の各部とほぼ同様に構成されているが、送信制御部31dには、SNMPエージェント31eが設けられていると共に、この送信制御部31dは、LANネットワーク32を介して、SNMPマネージャ33が接続されている。
【0034】
SNMPマネージャ33は、ネットワークシステムの監視用プロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)によって光受信機30を監視及び管理するものであり、例えば、パーソナルコンピュータ及びその上で実行されるSNMPマネージャ用プログラムを有して構成されている。また、SNMPエージェント31eは、SNMPマネージャ用プログラムによってポーリング等にて定期的に呼び出され、光受信機30の状態情報を取得して、SNMPマネージャ用プログラムに送信する。具体的には、SNMPマネージャ用プログラムは、自己に格納されている管理情報ベース(MIB:Management Information Base)を参照し、必要な情報(オブジェクト)に割り振られたオブジェクトIDを特定する。そして、このオブジェクトIDをLANネットワーク32を経由してSNMPエージェント31eに送信する。
【0035】
SNMPエージェント31eは、送信されたオブジェクトIDに基づいて、自己に格納されている管理情報ベースを参照することで、要求されたオブジェクトを特定する。そして、SNMPエージェント31eは、要求されたオブジェクトを取得して、SNMPマネージャ用プログラムに送信する。ここで、光送信機30から取得するオブジェクトには、ブリリアン散乱の発生やそのレベルに関与するパラメータのうち、送信制御部31dを介して取得可能な任意のパラメータを含めることができる。例えば、検波器29を介して取得された光信号のレベルや、APC31bの光出力レベルを含めることができる。
【0036】
SNMPマネージャ33には、ブリリアン散乱を生じさせ得るパラメータが閾値(基準値)として予め格納されており、SNMPマネージャ33は、光送信機30から取得されたオブジェクトをこの閾値と比較することにより、ブリリアン散乱の発生の有無を判定する。例えば、検波器29を介して取得された光信号のレベルを、ブリリアン散乱が発生し得る所定基準レベルと比較することで、この判定を行なう。あるいは、検波器29からRFパワーレベルと光信号の変調度とが比例すること、及び、APC31bの光出力レベルと光信号の変調度とが逆比例することから、これら検波器29のレベルとAPC31bの光出力レベルとに基づいて光信号の変調度を判定し、この変調度を、ブリリアン散乱が発生し得る所定基準変調度と比較することで、この判定を行なう。そして、ブリリアン散乱が発生した場合(すなわち光信号のレベル、あるいは、光信号の変調度が閾値以上である場合)、SNMPマネージャ33は、ブリリアン散乱の発生した旨を、図示しない液晶モニタを介して表示する。すなわち、SNMPマネージャ33は、特許請求の範囲における散乱防止手段、判定結果出力手段、及び、外部機器を構成する。
【0037】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、ブリリアン散乱の発生が発生した旨を光送信機の外部においてシステム管理者に自動的に報知できるので、光伝送システム1の停止を回避するための行動をシステム管理者に自動的に促すことができ、システム管理者が事前に必要な措置を講じることができるので、光伝送システム1の信頼性を向上できる。特に、SNMPマネージャ33のような外部機器を介して出力を行うことで、光伝送システムの遠方に居るシステム管理者に対しても、ブリリアン散乱の発生を報知できる。
【0038】
〔実施の形態3〕
次に、本発明に係る実施の形態3の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態3は、光送信機において、ブリリアン散乱を抑制するための動的な制御を行なう形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0039】
図4は実施の形態3に係る光送信機の構成を示すブロック図である。実施の形態3の光伝送システムには、実施の形態1の光送信機13に代えて、図4の光受信機40が配置されている。そして、この光受信機40には、実施の形態1のレーザーコントローラ26に代えて、レーザーコントローラ41が設けられている。このレーザーコントローラ41は、温度制御部41a、パワー制御部41b、液晶モニタ41c、及び、送信制御部41dを備えて構成されている。
【0040】
これらレーザーコントローラ41の各部は、実施の形態1のレーザーコントローラ26における同一名称の各部とほぼ同様に構成されているが、送信制御部41dには、検波器29に加えてGC22a、23aが接続されている。そして、送信制御部41dは、検波器29の出力(分波器28にて分波され検波器29から出力されたRF信号の電圧)をA/D変換する。そして、このA/D変換値を、当該送信制御部41dに予め格納された所定の適性値(基準値)と比較し、この比較結果に応じた制御信号をD/A変換してGC22a、23aに出力することで、LD25に入力されるRF信号のレベルを、ブリリアン散乱を抑制するレベルに調整する。すなわち、送信制御部41dは、特許請求の範囲における散乱防止手段に対応し、GC22a、23aは、特許請求の範囲におけるレベル制御手段に対応する。
【0041】
このような制御処理をより具体的に説明する。図5は送信制御部による制御処理のフローチャートである。光送信機40の起動後、送信制御部41dは、LD25への過入力を回避するために、GC22a、23aに入力するD/A値を初期値(最小値0)にて初期化する(ステップSA−1)。そして、検波器29から入力されたRF信号のA/D変換値を取得し(ステップSA−2)、このA/D変換値を所定の適性値と比較する(ステップSA−3,SA−4)。この適性値は、LD25に入力されるRF信号のレベルを、ブリリアン散乱を抑制するレベルとするための値であり、この適性値の具体的な値はLD25の個体差によって変化し得るため、例えば、光送信機40の出荷前に測定することで決定され送信制御部41dに設定される。そして、送信制御部41dは、A/D変換値が適性値より小さい場合には(ステップSA−3,Yes)、このA/D変換値を所定値(例えば1)だけ増分し(ステップSA−5)、この増分後のA/D変換値をD/A変換してGC22a、23aに出力する。このことにより、GC22a、23aの出力がレベルアップされ、LD25に入力されるRF信号がレベルアップされる。一方、送信制御部41dは、A/D変換値が適性値より大きい場合には(ステップSA−3,No、ステップSA−4,Yes)、このA/D変換値を所定値(例えば1)だけ減算し(ステップSA−6)、この減算後のA/D変換値をD/A変換してGC22a、23aに出力する。このことにより、GC22a、23aの出力がレベルダウンされ、LD25に入力されるRF信号がレベルダウンされる。以降、送信制御部41dは、同様の処理を繰り返すことで、LD25に入力される信号を適性レベルに維持し、ブリリアン散乱を抑制する。なお、ここでは適性値として特定の一つの値を用いているが、特定の幅を有する適性範囲に収まるように、RF信号のレベルを調整してもよい。
【0042】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、LD25に入力されるRF信号のレベルに基づいてGC22a、23aにフィードバック制御を行なうことで、LD25に入力されるRF信号のレベルを適性値に自動的に調整でき、ブリリアン散乱を抑制することができるので、光伝送システムが停止するような事態を自動的に回避でき、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0043】
〔実施の形態4〕
次に、本発明に係る実施の形態4の具体的内容について詳細に説明する。この実施の形態4は、光送信機ではなく光増幅器において、ブリリアン散乱を抑制するための動的な制御を行なう形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0044】
図6は実施の形態4に係る光増幅器の構成を示すブロック図である。実施の形態4に係る光伝送システムには、実施の形態1の光増幅器14に代えて、図6の光増幅器60が配置されている。光増幅器60は、入力端子61、フォトカプラ62〜65、アイソレータ66、67、エルビウムイオンドープ光ファイバー(Erbium Doped Fiber。以下、EDF)68、励起用光源である励起レーザ69、フォトダイオード(Photo Diode。以下、PD)70〜72、出力端子73、及び、増幅制御部74を図示のように接続して構成されている。
【0045】
そして、入力端子61から入力された光信号と励起レーザ69の励起光とをEDF68に入射することで、光信号を、EDF68におけるエルビウム(Er)イオンの誘導増幅作用にて増幅して、出力端子73を介して出力する。増幅制御部74は、CPU及びこのCPU上で解釈・実行されるプログラムから構成されるもので、フォトダイオード70を介して取得されたEDF68からの出力直後の光信号をA/D変換し、このA/D変換値に応じて励起レーザ69の出力レベルを決定する。そして、増幅制御部74は、この出力レベルにて励起レーザ69が駆動されるように、この出力レベルに応じた制御信号を決定してD/A変換し、このD/A変換値にて励起レーザ69を駆動することにより、EDF68からの出力を制御する。すなわち、増幅制御部74は、特許請求の範囲におけるレベル制御手段に対応する。なお、アイソレータ66、67は、各部への後方散乱光の再入射を遮断する。
【0046】
また、増幅制御部74は、光増幅器60から出力される光信号のレベルを、ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御するもので、特許請求の範囲における散乱防止手段に対応する。具体的には、増幅制御部74は、入力端子61に入力されEDF68に入射される光信号をフォトダイオード71を介して取得し、この光信号をA/D変換する。そして、増幅制御部74は、このA/D変換値を、当該増幅制御部74に予め記憶された所定の適性値(基準値)と比較し、A/D変換値が適性値を超えている場合には励起レーザ69の出力レベルを下げるように、この励起レーザ69の出力レベルを決定する。そして、増幅制御部74は、この出力レベルにて励起レーザ69が駆動されるように、この出力レベルに応じた制御信号を決定してD/A変換し、このD/A変換値にて励起レーザ69を駆動する。このように光信号の入力レベルに応じてEDF68の増幅度を調整することで、ブリリアン散乱を抑制できる。
【0047】
また、増幅制御部74は、このような光信号の入力レベルに基づく制御に加えて、光増幅器60の後段側の光ケーブルからの反射レベルに基づく制御を行なう。具体的には、増幅制御部74は、出力端子73に対して逆入射した反射光をフォトダイオード72を介して取得し、この反射光による光信号をA/D変換する。そして、増幅制御部74は、このA/D変換値を、当該増幅制御部74に予め記憶された所定の適性値と比較し、A/D変換値が適性値を超えている場合には励起レーザ69の出力レベルを下げるように、この励起レーザ69の出力レベルを決定する。そして、増幅制御部74は、この出力レベルにて励起レーザ69が駆動されるように、この出力レベルに応じた制御信号を決定してD/A変換し、このD/A変換値にて励起レーザ69を駆動する。このように反射レベルに応じてEDF68の増幅度を調整することで、ブリリアン散乱を抑制できる。
【0048】
このように、増幅制御部74は、3つのフォトダイオード70〜72からの出力に基づいて、励起レーザ69の出力レベルを制御する。これらフォトダイオード70〜72からの出力の相互間の関係についてより具体的に説明すると、増幅制御部74は、まずフォトダイオード71、72からの出力に対する2つのA/D変換値を取得する。増幅制御部74には、これら2つのA/D変換値の組み合わせに対するフォトダイオード70の適性なA/D変換値がテーブル形式等にて記憶されており、増幅制御部74は、取得した2つのA/D変換値に基づいてこのテーブルを参照することで、フォトダイオード70の適性なA/D変換値を決定する。そして、このフォトダイオード70からの出力に対するA/D変換値が、この適性なA/D変換値になるように、励起レーザ69を駆動する。このことにより、フォトダイオード71を介して検出された入力光信号のレベルが高い場合や、フォトダイオード72を介して検出された反射レベルが上がってきた場合(すなわち、反射が発生したとき)に、フォトダイオード70の適性なA/D変換値を下げて、励起レーザ69の出力を低下させる。あるいは、入力端子に入力された光信号のレベルと反射光のレベルとのいずれか一方のみを考慮して、励起レーザ69の出力レベルを調整してもよい。例えば、フォトダイオード71を介して検出された入力光信号のレベルは、励起レーザ69の制御とは無関係とし、このレベルが規定入力レベルを下回った時に、当該光増幅器6
0をシャットダウン等させるようにしてもよい。
【0049】
(実施の形態4の効果)
このように実施の形態4によれば、入力端子に入力された光信号の入力レベルに応じてEDF68の増幅度を調整することで、あるいは、反射光のレベルに応じてEDF68の増幅度を調整することで、ブリリアン散乱を抑制できるので、光伝送システムが停止するような事態を自動的に回避でき、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0050】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0051】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、ブリリアン散乱の発生を完全に防止できない場合であっても、その発生の可能性や発生時のレベルを従来より若干でも低減できている場合には、本発明の課題が達成されている。
【0052】
(各実施の形態の相互の組み合わせについて)
各実施の形態の構成は、他の実施の形態に適用できる。例えば、実施の形態1の光伝送システムに、当該実施の形態1の光送信機に加えて、実施の形態4における光増幅器をさらに適用してもよい。
【0053】
(判定や制御の目標について)
実施の形態1、2では、ブリリアン散乱が発生した場合にその旨を表示出力しているが、ブリリアン散乱が発生する前において、その発生の可能性がある程度以上高まった時点でその旨を出力したり、あるいは、ブリリアン散乱の発生後において、そのレベルが光伝送システムの停止を招くような所定レベルに近づいた時点でその旨を出力してもよい。すなわち、ブリリアン散乱の発生の可能性に関する任意の情報を出力することができる。同様に、実施の形態3、4では、ブリリアン散乱が発生しないようにRF信号や光信号を調整しているが、ブリリアン散乱が発生している場合であっても、そのレベルが光伝送システムの停止を招くような所定レベルにならないように、RF信号や光信号を調整してもよい。このような変更は、RF信号や光信号と比較する閾値や適性値を調整することで容易に行なうことができる。
【0054】
(制御手段や出力手段について)
実施の形態1では、レーザーコントローラの送信制御部や液晶モニタを用いて、ブリリアン散乱の発生の可能性に関する情報を出力しているが、この出力を行うための専用の制御手段や表示手段を設けてもよい。また、ブリリアン散乱の発生の可能性に関する情報を出力する出力手段としては、液晶モニタの如き表示手段の他、音声出力手段や、任意の外部機器に対して移報信号を出力する信号出力手段を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明は、電気信号を光信号に変換して送信する光伝送システムに適用でき、ブリリアン散乱によるシステム停止を回避することに有用である。
【0056】
(付記)
付記1に記載の光伝送装置は、電気信号を光信号に変換して光ファイバ線路を介して伝送する光伝送システムに組み込まれる光伝送装置であって、前記光伝送システムにおいて伝送される電気信号又は光信号を取得し、この電気信号又は光信号に基づいて、前記光信号が前記光ファイバ線路に入力することによるブリリアン散乱を抑制するための所定動作を行なう散乱防止手段、を備えることを特徴とする。
【0057】
また、付記2に記載の光伝送装置は、付記1に記載の本発明において、前記散乱防止手段は、前記電気信号又は前記光信号を所定基準値と比較し、この比較結果に基づいて前記ブリリアン散乱の発生の可能性を判定し、前記ブリリアン散乱の発生の可能性があると判定した場合には、当該発生の可能性に関する情報を出力すること、を特徴とする。
【0058】
また、付記3に記載の光伝送装置は、付記2に記載の本発明において、前記電気信号を前記光信号に変換して送信する光送信機として構成され、前記電気信号を前記光信号に変換する電気/光変換手段と、前記電気/光変換手段に入力される前記電気信号のレベルを検出するレベル検出手段と、前記散乱判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段とを有し、前記散乱防止手段は、前記レベル検出手段にて検出された前記電気信号のレベルを前記所定基準値と比較することにより前記ブリリアン散乱の発生の可能性を判定し、当該発生の可能性に関する情報を前記判定結果出力手段を介して出力すること、を特徴とする。
【0059】
また、付記4に記載の光伝送装置は、付記3に記載の本発明において、前記電気/光変換手段を制御する変換制御手段と、前記変換制御手段の制御内容に関する表示を行なう表示手段とを備え、前記散乱判定手段を前記変換制御手段にて構成し、前記判定結果出力手段を前記表示手段にて構成したこと、を特徴とする。
【0060】
また、付記5に記載の光伝送装置は、付記2に記載の本発明において、前記電気信号を前記光信号に変換して送信する光送信機として構成され、前記電気信号を前記光信号に変換する電気/光変換手段と、前記電気/光変換手段に入力される前記電気信号のレベルを検出するレベル検出手段とを有し、前記散乱防止手段は、前記レベル検出手段にて検出された前記電気信号のレベルを前記所定基準値と比較することにより前記ブリリアン散乱の発生の可能性を判定し、当該発生の可能性に関する情報を、当該光伝送装置に対して所定のネットワークを介して接続された所定の外部機器を介して出力すること、を特徴とする。
【0061】
また、付記6に記載の光伝送装置は、付記1に記載の本発明において、前記電気信号又は前記光信号のレベルを制御するためのレベル制御手段を有し、前記散乱防止手段は、前記電気信号又は前記光信号のレベルに基づいて前記レベル制御手段を制御することにより、前記電気信号又は前記光信号のレベルを前記ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御すること、を特徴とする。
【0062】
また、付記7に記載の光伝送装置は、付記6に記載の本発明において、前記電気信号を前記光信号に変換して送信する光送信機として構成され、前記電気信号を前記光信号に変換する電気/光変換手段を有し、前記レベル制御手段は、前記電気/光変換手段に入力される前記電気信号のレベルを制御し、前記散乱防止手段は、前記電気/光変換手段に入力される前記電気信号を取得し、この取得した前記電気信号のレベルに基づいて前記レベル制御手段を制御することにより、前記電気信号のレベルを前記ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御すること、を特徴とする。
【0063】
また、付記8に記載の本発明は、付記6に記載の本発明において、前記光信号を増幅する光増幅器として構成され、前記光信号を励起する励起用光源を有し、前記散乱防止手段は、前記励起用光源に入力される光信号、又は、前記光増幅器から出力され当該光増幅器に反射された光信号を取得し、この光信号のレベルに基づいて前記励起用光源を制御することにより、前記光信号のレベルを前記ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御すること、を特徴とする。
【0064】
付記に係る光伝送装置は、ブリリアン散乱を抑制するための所定動作が自動的に行なわれるので、ブリリアン散乱の発生の可能性が生じた旨を出力して、光伝送システムの停止を回避するための行動をシステム管理者に促したり、光送信機や光増幅器の出力レベルを自動制御して、光信号のレベルをブリリアン散乱の生じないレベルに調整できるので、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0065】
また、付記に係る光伝送装置は、ブリリアン散乱の発生の可能性があると判定した場合には、当該発生の可能性に関する情報を出力するので、光伝送システムの停止を回避するための行動をシステム管理者に自動的に促すことができ、システム管理者が事前に必要な措置を講じることができるので、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0066】
また、付記に係る光伝送装置は、光送信機においてブリリアン散乱の発生の可能性の判定やその結果を出力することで、光伝送システムの停止を回避するための行動をシステム管理者に自動的に促すことができ、システム管理者が事前に必要な措置を講じることができるので、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0067】
また、付記に係る光伝送装置は、散乱判定手段を変換制御手段にて構成し、判定結果出力手段を表示手段にて構成したので、ブリリアン散乱の判定や表示のための専用の構成を設ける必要がなくなり、光受信機を簡易かつ安価に構成できる。
【0068】
また、付記に係る光伝送装置は、ブリリアン散乱の発生の可能性に関する情報を外部機器を介して出力できるので、光伝送システムの遠方に居るシステム管理者に対しても、ブリリアン散乱の発生の可能性が生じた旨を報知でき、システム管理者が事前に必要な措置を講じることができるので、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0069】
また、付記に係る光伝送装置は、電気信号又は光信号のレベルをブリリアン散乱が発生しないレベルに制御するので、ブリリアン散乱を自動的に抑制でき、光伝送システムが停止するような事態を自動的に回避でき、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0070】
また、付記に係る光伝送装置は、光送信機の電気/光変換手段に対する入力レベルを調整することで、ブリリアン散乱を自動的に抑制でき、光伝送システムが停止するような事態を自動的に回避でき、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【0071】
また、付記に係る光伝送装置は、光増幅器の励起用光源に対する入力レベルを調整することで、ブリリアン散乱を自動的に抑制でき、光伝送システムが停止するような事態を自動的に回避でき、光伝送システムの信頼性を向上できる。
【符号の説明】
【0072】
1 光伝送システム
10 UHFアンテナ
11 BS/CSアンテナ
12 ヘッドエンド
13、30、40 光送信機
14 光増幅器
15 光スプリッタ
16 光受信機
17 TV受像機
18 同軸ケーブル線路
19 光ファイバ線路
20 入力端子
21 セパレータ
22、23 信号調整部
24 ミキサ
25 レーザダイオード(LD)
26、31、41 レーザーコントローラ
26a、31a、41a 温度制御部
26b、31b、41b パワー制御部
26c、31c、41c 液晶モニタ
26d、31d、41d 送信制御部
27 出力端子
28 分配器
29 検波器
31e SNMPエージェント
32 LANネットワーク
33 SNMPマネージャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を光信号に変換して光ファイバ線路を介して伝送する光伝送システムに組み込まれる光伝送装置であって、
前記光信号を増幅する光増幅器として構成され、
前記光信号を励起する励起用光源と、
前記光伝送システムにおいて伝送される前記光信号であって、第1の光信号と、前記第1の光信号とは異なる第2の光信号とを取得し、当該取得した第1の光信号のレベル及び第2の光信号のレベルに基づいて前記励起用光源を制御することにより、前記光信号のレベルを、当該光信号が前記光ファイバ線路に入力することによるブリリアン散乱が発生しないレベルに制御する散乱防止手段とを備える、
光伝送装置。
【請求項2】
前記第1の光信号のレベルと前記第2の光信号のレベルとの組み合わせに対する基準値を記憶する記憶手段を備え、
前記散乱防止手段は、
前記第1の光信号と前記第2の光信号とを取得し、当該取得した第1の光信号のレベルと第2の光信号のレベルとの組み合わせに対する基準値を前記記憶手段から取得し、当該取得した基準値に基づいて前記励起用光源を制御することにより、前記光信号のレベルを前記ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御する、
請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記光伝送システムにおいて伝送される前記光信号であって、前記励起用光源に入力される第3の光信号を制御するレベル制御手段を備え、
前記散乱防止手段は、
前記第3の光信号のレベルが前記基準値を満たすように前記レベル制御手段を制御することにより、前記光信号のレベルを前記ブリリアン散乱が発生しないレベルに制御する、
請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記第1の光信号は、当該光増幅器に入力される光信号である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記第2の光信号は、当該光増幅器から出力され当該光増幅器に反射された光信号である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の光伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−97648(P2011−97648A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20581(P2011−20581)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願2006−27465(P2006−27465)の分割
【原出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】