説明

光変調器およびそれを用いた光送信装置

【課題】位相変調部および強度変調部における各損失および該各損失のばらつきを確実に補償できる小型かつ低コストの光変調器およびそれを用いた光送信装置を提供する。
【解決手段】本光変調器2は、入出力ポート2IN,2OUTの間の光路上にDQPSK変調部21、導波路型の光増幅部24およびRZ変調部22を縦続接続し、出力ポート2OUTから出力されるRZ−DQPSK信号光のパワーを光検出器224でモニタして、該モニタパワーが目標レベルで一定になるように、出力制御部25が光増幅部24をフィードバック制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に利用される位相変調と強度変調を組み合わせた光変調方式を採用した光変調器およびそれを用いた光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝送トラフィックの増加に伴い、例えば40ギガビット毎秒(Gbit/s)等の超高速な光信号を伝送可能にする次世代の光伝送システムを導入する要求が高まっている。しかも、この次世代の光伝送システムに対しては、従来の10Gbit/s等の光伝送システムと同等の伝送距離や周波数利用効率が求められている。
【0003】
上記のような要求を実現するための一手段として、従来の光伝送システムで適用されてきたNRZ(Non Return to Zero)変調方式に比べて、光信号対雑音比(Optical Signal-to-Noise Ratio:OSNR)耐力および非線形性耐力に優れた、RZ−DPSK(Return to Zero Differential Phase Shift Keying)やCSRZ−DPSK(Carrier-Suppressed Return to Zero Differential Phase Shift Keying)などの位相変調と強度変調を組み合わせた光変調方式の研究開発が活発になっている。これらの光変調方式の中でも、狭スペクトルという特長、すなわち、高い周波数利用効率を持ったRZ−DQPSK(Return to Zero Differential Quadrature Phase-Shift Keying)変調方式は、次世代の光伝送システムにおける光変調方式の有力な候補の一つとして期待されている。
【0004】
図5は、RZ−DQPSK変調方式を採用した従来の光送信装置の構成例を示す図である。この従来の光送信装置は、信号光源1、光変調器2、変調駆動部3およびポストアンプとしてのエルビウム添加光ファイバ増幅器(Erbium Doped Fiber Amplifier:EDFA)4を備える。また、光変調器2は、入力ポート2INと出力ポート2OUTの間の光路上に縦続接続されたDQPSK変調部21およびRZ変調部22を有する。
【0005】
上記光変調器2では、変調駆動部3のCDR/MUX回路31において、外部より入力される複数の信号を合波することで、送信光のビットレートに対して1/2のビットレートを持つ2組の相補のデータ信号DATA1,/DATA1,DATA2,/DATA2(例えば、40Gbit/sのRZ−DQPSK信号光を送信する場合、20Gbit/sのデータ信号およびその反転信号)と、該データ信号に同期した相補のクロック信号CLK,/CLKとが生成される。CDR/MUX31で生成されたデータ信号DATA1,/DATA1,DATA2,/DATA2およびクロック信号CLK,/CLKは、ドライバアンプ32A,32Bおよびドライバアンプ33によってそれぞれ増幅され、DQPSK変調部21およびRZ変調部22を駆動する。
【0006】
DQPSK変調部21では、各ドライバアンプ32A,32Bから出力されるデータ信号DATA1,/DATA1,DATA2,/DATA2に従って、信号光源1から出力され光変調器2の入力ポート2INに与えられる連続光が位相変調されることにより、DQPSK変調光が生成される。一方、RZ変調部22では、ドライバアンプ33から出力されるクロック信号CLK,/CLKに従って、DQPSK変調部21から出力されるDQPSK変調光が強度変調されることにより、RZ−DQPSK変調が生成される。このRZ変調部22は、いわゆるパルスカーバー(pulse carver)として動作する。
【0007】
上記のDQPSK変調部21は、電気光学効果を有する基板に形成されたマッハツェンダ(Mach-Zehnder:MZ)型光導波路211と、該MZ型光導波路211の一対の分岐アーム上にさらに設けられた2つのMZ型光導波路212A,212Bと、を備えている。ここでは、MZ型光導波路211を「親マッハツェンダ」と呼び、MZ型光導波路212A,212Bを「子マッハツェンダ」と呼ぶことにする。信号光源1からDQPSK変調部21に入力された連続光は、親マッハツェンダ211によって2つに分岐されて、各分岐アーム上の子マッハツェンダ212A,212Bにそれぞれ入力される。
【0008】
子マッハツェンダ212A,212Bでは、各々の分岐アームに沿って配置された電極213A,213Bにドライバアンプ32A,32Bからの駆動信号(データ信号DATA1,/DATA1,DATA2,/DATA2)が印加され、該駆動信号により生じる電界によって各々の分岐アームの屈折率が変化することで、導波光が送信データに従って位相変調される。2つの子マッハツェンダ212A,212Bのうちの一方(ここでは、子マッハツェンダ212B)から出力される位相変調光は、位相シフト部214に与えられて、位相がπ/2シフトされる。そして、該位相シフト部214から出力される位相変調光と他方の子マッハツェンダ212Aから出力される位相変調光とが、親マッハツェンダ211によって合波される。このとき、親マッハツェンダ211の一方のアーム側の光は位相が0とπの間で変調され、他方のアーム側の光は位相がπ/2と3π/2の間で変調されており、それらが合波されることで4値の位相変調光、すなわち、DQPSK変調光が生成される。このDQPSK変調光は、RZ変調部22に出力されると共に、その一部が分岐カプラ215で分岐され光検出器(PD)216に与えられて、DQPSK変調光の出力状態がモニタされる。このモニタ結果は、各電極213A,213Bや位相シフト部214のバイアス制御などに利用される。
【0009】
RZ変調部22は、電気光学効果を有する基板に形成されたMZ型光導波路221および該MZ型光導波路221の分岐アームに沿って配置された電極222を備えている。このRZ変調部22では、ドライバアンプ33からの駆動信号(クロック信号CLK,/CLK)が電極222に印加され、該駆動信号により生じる電界によって各々の分岐アームの屈折率が変化することにより、DQPSK変調部21からのDQPSK変調光がクロックに従って強度変調(パルスカーバー)されることにより、RZ−DQPSK変調光が生成される。このRZ−DQPSK変調光は、ポストアンプとしてのEDFA4に出力されると共に、その一部が分岐カプラ223で分岐され光検出器(PD)224に与えられて、RZ−DQPSK変調光の出力状態がモニタされる。このモニタ結果は、各電極222のバイアス制御などに利用される。EDFA4では、RZ−DQPSK変調光が所要の送信光パワーに応じて増幅され、該増幅されたRZ−DQPSK変調光が光送信装置の出力光として外部の光ファイバ伝送路等に送信される。
【0010】
ところで、上記のような従来の光送信装置に用いられるRZ−DQPSK変調方式の光変調器2は、DQPSK変調部21およびRZ変調部22として、それぞれ別個の光変調器を利用するのが一般的であった。各々の光変調器としては、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO:LN)からなる結晶基板を用いたLN変調器などが使用され、2台のLN変調器の間は光ファイバを用いてスプライス接続されていた。しかし、2台の光変調器を個別に用いると、光変調器全体のサイズが大きくなることが一つの欠点となり、これに対処した従来技術として、DQPSK変調部とRZ変調部を共通の基板上に集積して一体化し、光変調器全体のサイズを小さくする構成が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】M. Sugiyama et al., "Low-drive-voltage and compact RZ-DQPSK LiNbO3 Modulator", ECOC2007, paper 10.3.4.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記のような従来の光送信装置については、RZ−DQPSK変調方式の光変調器における損失が大きく、かつ、その損失がばらつくことが要因となって生じる次のような課題がある。すなわち、上記の図5に示したようにRZ−DQPSK変調方式の光変調器2は、DQPSK変調部21とRZ変調部22とが縦続接続された構成であり、各々の変調部において損失が発生し、光変調器全体では例えば10dB以上のような比較的大きな損失となる。光送信装置から光ファイバ伝送路等に送信されるRZ−DQPSK信号光のパワー(送信光パワー)は、雑音等の影響により伝送特性が劣化しないように、所要のレベル以上とすることが必要である。このため、上記のように光変調器2における損失が大きくなると、それを補償するための手段が別途必要になる。図5の構成例では、光変調器2の出力に接続されたEDFA4により、光変調器2の損失補償を含めた送信光パワーの調整が行われる。このような光変調器の損失補償手段は、DQPSK変調部21およびRZ変調部22を集積して一体化するか否かに関わらず必要であり、光送信装置全体の小型化を図る上での制約になると共に、装置コストを上昇させる要因にもなるという課題がある。
【0012】
また、光変調器2における損失は、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の各損失に関する、個体ばらつき、温度依存性、波長依存性、経時変動および変調損ばらつきなどが要因となって、例えば±5dB以上のばらつきが発生する可能性がある。さらに、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の間を光ファイバによりスプライス接続する場合には、スプライスの状態も損失ばらつきの要因となる。光変調器2の損失ばらつきが増加すれば、光変調器2から出力されるRZ−DQPSK信号光のパワー変動が大きくなる。該パワー変動は、信号光源1の出力パワーのばらつきによって更に増大する可能性もある。光変調器2から出力されるRZ−DQPSK信号光の変動が大きくなると、後段に配置される光増幅器の入力パワーのダイナミックレンジが拡大するため、当該光増幅器の高性能化が必要になるという課題がある。また、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の各損失のばらつきにより、各々の光検出器216および224におけるモニタ値にもばらつきが生じる。このため、該モニタ値を基に各変調部のバイアス制御を行う回路(図示せず)の高性能化も必要になってくる。
【0013】
なお、上記のような課題は、RZ−DQPSK変調方式の光変調器を使用して光送信装置を構成する場合だけでなく、DQPSK以外の公知の位相変調方式に対応した位相変調部と、RZ以外の公知の強度変調方式に対応した強度変調部とを組み合わせた光変調器を使用して光送信装置を構成にも共通するものである。
【0014】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、位相変調部および強度変調部における各損失および該各損失のばらつきを確実に補償できる小型かつ低コストの光変調器およびそれを用いた光送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため本光変調器の一態様は、入力ポートおよび出力ポートの間の光路上に縦続接続された位相変調部および強度変調部を有し、前記入力ポートに入力される光を前記位相変調部および前記強度変調部で変調して前記出力ポートから出力する光変調器において、前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の光路上に設けた導波路型の光増幅部と、前記出力ポートから出力される変調光のパワーをモニタする出力モニタ部と、前記出力モニタ部でモニタされる変調光の出力パワーが予め定めた目標レベルで一定になるように、前記光増幅部をフィードバック制御する出力制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
上記のような態様の光変調器では、入出力ポートの間の光路上に設けた導波路型の光増幅部が、出力モニタ部のモニタ結果に応じて出力制御部によりフィードバック制御されることにより、位相変調部および強度変調部で大きな損失が発生し、かつ、該損失が各々の変調部の個体ばらつき等の要因によりばらつくような場合でも、当該損失が光変調器の内部で自動的に補償されるようになる。よって、所望のパワーの変調光を安定して出力できる小型で低コストの光変調器を実現することが可能になる。このような光変調器を用いて光送信装置を構成すれば、装置全体の小型化および装置コストの削減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による光送信装置の第1実施形態の構成を示す図である。
図1において、第1実施形態の光送信装置は、例えば、信号光源1、RZ−DQPSK変調方式の光変調器2および変調駆動部3を備える。この光変調器2は、前述の図5に示した従来の構成と同様な、DQPSK変調部21およびRZ変調部22を備えており、加えて、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の間に配置された導波路型の光増幅部24と、RZ変調部22から出力されるRZ−DQPSK信号光のパワー(送信光パワー)が所要のレベルで一定となるように光増幅部24を制御する出力制御部25とを追設している。以下では、本実施形態で追設した光増幅部24および出力制御部25の構成について詳しく説明し、前述した従来の構成と共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0018】
光増幅部24は、例えば、DQPSK変調部21の信号出力端とRZ変調部22の信号入力端との間を接続する光導波路241を有する。該光導波路241上には、長手方向の一部の区間にエルビウムイオン(Er3+)を添加したエルビウム添加導波路(Erbium Doped Waveguide:EDW)242が光増幅媒体として形成されている。該EDW242には、励起光源243から出力される励起光がWDMカプラ244を介して後方より与えられる。励起光源243は、EDW242内のエルビウムイオンを励起可能な波長を有する励起光を発生し、該励起光のパワーが出力制御部25からの制御信号に従って制御される。また、EDW242の前後に位置する光導波路241上には、信号光と逆方向に伝搬する光の通過を阻止する光アイソレータ245,246が配置されている。
【0019】
上記の光増幅部24は、導波路型の構造を有しているので、DQPSK変調部21およびRZ変調部22との一体化を容易に実現することができる。特に、DQPSK変調部21およびRZ変調部22に用いられる基板と同じ材料の基板を光増幅部24にも適用することで、共通の基板上にDQPSK変調部21、RZ変調部22および光増幅部24を集積することが可能になる。例えば、DQPSK変調部21およびRZ変調部22がLN基板を用いて構成されている場合には、光増幅部24としてLN基板上にEDWを形成した構成を適用すればよい。このようなLN基板を用いたEDWA(Erbium Doped Waveguide Amplifier)に関しては、例えば、文献:R. Brinkmann et al., "Erbium-Doped Single- and Double-Pass Ti:LiNb03 Waveguide Amplifiers", IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS, VOL. 30, NO. 10, OCTOBER 1994.などに開示されており、当該技術を光増幅部24に応用することが可能である。このように、DQPSK変調部21、RZ変調部22および光増幅部24を共通の基板上に集積して一体化することにより、各部の境界での損失が無くなるので、光変調器全体の損失および該損失のばらつきをより小さくすることができる。
【0020】
また、光増幅部24の基板として、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の基板とは異なる材料のものを適用した場合であっても、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の導波路構造を考慮して光増幅部24の導波路設計を行うことにより、各部の接続部分における損失を最小限に抑えることが可能であり、従来の光ファイバを用いたスプライス接続の場合と比べて、光変調器全体の損失および該損失のばらつきを小さくすることができる。具体的には、上記のLN基板を適用した例において、DQPSK変調部21およびRZ変調部22で発生する損失を補償するのに必要な利得を、LN基板を用いたEDWAで実現することが困難な場合には、例えばシリカ(SiO)基板を用いたEDWAを光増幅部24に適用してもよい。このようなシリカをベースとしたEDWAについては、Teem Photonics社製の「Metro EDWAシリーズ」などの製品が市販されており、C−バンドの信号光に対する小信号利得が27dB以上で、飽和出力が15dBm以上という増幅特性が実現されている。このような増幅特性は、DQPSK変調部21およびRZ変調部22で発生する損失を十分に補償することが可能である。
【0021】
なお、ここでは光増幅部24としてEDWAを用いる一例を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)を用いて光増幅部を構成することも可能である。SOAを使用する場合、DQPSK変調部21およびRZ変調部22について半導体基板を用いた構成を適用すれば、DQPSK変調部21、RZ変調部22および光増幅部24を共通の半導体基板上に集積して一体化することが可能である。このような半導体MZ光変調器については、例えば、Heinrich-Hertz-Institut社製の「40Gbit/s InP Mach-Zehnder-Modulator」などが公知である。
【0022】
また、図1の構成では、EDW242が後方励起される一例を示したが、前方励起または双方向励起とすることも可能である。さらに、光増幅媒体として光導波路にエルビウムイオンを添加する一例を示したが、エルビウムイオン以外の希土類イオンを光導波路に添加して光増幅媒体を形成してもよい。
【0023】
出力制御部25は、従来と同様のRZ変調部22に具備された分岐カプラ223および光検出器224により取得される、RZ−DQPSK変調光の出力パワー(送信光パワー)のモニタ値に応じて、該モニタ値が予め定めた目標レベルで一定となるように、励起光源243の駆動状態、すなわち、EDW242に供給される励起光のパワーをフィードバック制御する。なお、ここでは分岐カプラ223および光検出器224が出力モニタ部としての機能を有することになる。
【0024】
次に、第1実施形態の動作について説明する。
上記のような構成の光送信装置では、信号光源1から出力される連続光が光変調器2の入力ポート2INを介してDQPSK変調部21に与えられる。DQPSK変調部21では、変調駆動部3から出力される2組の相補のデータ信号DATA1,/DATA1,DATA2,/DATA2が子マッハツェンダの各電極213A,213Bに印加され、該データ信号に従って連続光の位相が変調されることによりDQPSK変調光が生成される。このDQPSK変調光のパワーは、DQPSK変調部21の損失によって、信号光源1から出力される連続光のパワーよりも低下しており、かつ、前述したようなDQPSK変調部21の個体ばらつき、温度依存性、波長依存性、経時変動および変調損ばらつきなどの要因により、DQPSK変調光のパワーが変動する。
【0025】
DQPSK変調部21で生成されたDQPSK変調光は、光増幅部24の光導波路241に与えられ、光アイソレータ245を通過してEDW242に送られる。EDW242には、励起光源243からの励起光がWDMカプラ244を介して供給されており、該励起光によって励起されたエルビウムイオンの誘導放出作用によりEDW242を伝搬するDQPSK変調光が増幅される。この増幅されたDQPSK変調光は、WDMカプラ244および光アイソレータ246を通過して、RZ変調部22に送られる。
【0026】
RZ変調部22では、変調駆動部3から出力される相補のクロック信号CLK,/CLKが電極222に印加され、該クロック信号に従って、光増幅部24で増幅されたDQPSK変調光が強度変調されることにより、RZ−DQPSK変調光が生成される。このRZ−DQPSK変調光のパワーも、前述したDQPSK変調部21の場合と同様に、RZ変調部22の損失によって、光増幅部24から出力される増幅後のDQPSK変調光のパワーよりも低下しており、かつ、RZ変調部22の個体ばらつき等の要因により、RZ−DQPSK変調光のパワーが変動する。
【0027】
RZ変調部22で生成されたRZ−DQPSK変調光は、光送信装置の出力光として、従来のようなポストアンプを介すことなく、光変調器2の出力ポート2OUTに接続される外部の光ファイバ伝送路等に送信されると共に、その一部が分岐カプラ223で分岐され、該分岐光のパワーが光検出器224でモニタされる。該光検出器224のモニタ結果は、出力制御部25に伝えられて光増幅部24の制御に利用されると共に、図示を省略しているが従来と同様にRZ変調部22のバイアス制御などにも利用される。
【0028】
出力制御部25では、光検出器224から伝えられるRZ−DQPSK変調光の出力パワー(送信光パワー)のモニタ値と予め定めた目標レベルとの差が求められ、その差が零になるように、すなわち、RZ−DQPSK変調光の出力パワーが目標レベルで一定になるように、光増幅部24の励起光源243から出力される励起光のパワーがフィードバック制御される。これにより、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の各損失と該各損失のばらつきが光増幅部24によって自動的に補償されるようになる。また、信号光源1の出力パワーのばらつきも同様に自動補償される。
【0029】
上記のような第1実施形態の光送信装置によれば、DQPSK変調部21およびRZ変調部22において10dBを超えるような大きな損失が発生し、かつ、該損失がDQPSK変調部21およびRZ変調部22の個体ばらつき等の要因によりばらつくような場合でも、光変調器2の内部で当該損失の自動補償が可能であり、従来のようにポストアンプを別途外付けすることなく、光送信装置から外部の光ファイバ伝送路等に所望のパワーのRZ−DQPSK信号光を安定して送信することができる。これにより、光送信装置の小型化および低コスト化を図ることが可能になる。
【0030】
なお、上記の第1実施形態では、導波路型の光増幅部24がDQPSK変調部21およびRZ変調部22の間に配置される一例を示したが、光変調器2内における光増幅部24の配置はこれに限らず、入力ポート2INとDQPSK変調部21の間、または、RZ変調部22と出力ポート2OUTの間に光増幅部24を設けることも可能である。ただし、DQPSK変調部21の前段に光増幅部24を設ける場合には、信号光源1から光増幅部24に比較的大きなパワーの連続光が入力されることになるので、光増幅部24の最大出力パワーの限界によって利得が制限される可能性がある。また、RZ変調部22の後段に光増幅部24を設ける場合には、DQPSK変調部21およびRZ変調部22で減衰されたパワーの小さなRZ−DQPSK信号光が光増幅部24に入力されることになるので、NF特性について不利になる可能性がある。これらの可能性を考慮すると、光変調器2内での光増幅部24の配置は、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の間とするのが望ましい。
【0031】
次に、本発明による光送信装置の第2実施形態について説明する。
上記の第1実施形態は、光送信装置の出力光パワーのモニタ値に応じて、光増幅部24の励起光パワーをフィードバック制御する構成であるので、信号光源1の出力パワーのばらつきや、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の各損失のばらつきにより、光変調器2の出力光パワーが変動すると、それに追随して光増幅部24の利得も変化する。光増幅部24の利得が変化すると、光増幅部24で発生する雑音光、すなわち、EDW242における増幅された自然放出光(Amplified Spontaneous Emission:ASE)のパワーも変化する。このASEパワーの変化は、光増幅部24の後段に配置された光検出器224における出力光パワーのモニタ値に誤差を生じさせ、前述した損失の自動補償の精度やRZ変調部22のバイアス制御の精度を低下させる可能性がある。そこで、第2実施形態では、光増幅部24に利得一定制御を適用して上記精度の低下を回避するようにした応用例を説明する。
【0032】
図2は、第2実施形態の光送信装置の構成を示す図である。
図2に示す光送信装置は、前述の図1に示した第1実施形態の構成について、DQPSK変調部21の入力導波路上に可変光減衰器(Variable Optical Attenuator:VOA)217を挿入し、光検出器216でモニタされるDQPSK変調光の出力パワーが一定となるようにVOA217の減衰量をフィードバック制御するVOA制御回路251を設けている。
【0033】
また、光増幅部24については、EDW242を伝搬して増幅されたDQPSK変調光の一部を分岐する分岐カプラ247と、該分岐光のパワーをモニタする光検出器(PD)248とを設け、DQPSK変調部21の光検出器216でのモニタ値(光増幅部24への入力光パワー)および前記光検出器248でのモニタ値(光増幅部24からの出力光パワー)を用いて求めた光増幅部24の利得が一定となるように励起光源243をフィードバック制御する励起パワー制御回路252を設けている。
【0034】
さらに、RZ変調部22については、入力導波路上に可変光減衰器(VOA)225を挿入し、光検出器225でモニタされるRZ−DQPSK変調光の出力パワーが一定となるようにVOA225の減衰量をフィードバック制御するVOA制御回路253を設けている。
【0035】
なお、上記の構成においては、DQPSK変調部21のVOA217およびRZ変調部22のVOA225が、入力パワー調整部として機能する。また、DQPSK変調部21の分岐カプラ215および光検出器216と、光増幅部24分岐カプラ247および光検出器248とが、利得モニタ部として機能する。さらに、VOA制御回路251,253は、出力制御部を構成する入力パワー制御回路として機能し、励起パワー制御回路252は、出力制御部を構成する光増幅制御回路として機能する。
【0036】
上記のような構成の光送信装置では、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の各損失のばらつきが、VOA制御回路251,253によるVOA217,225のフィードバック制御により各々の変調部21,22毎に自動的に補償される。これにより、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の損失の和は実質的に一定となる。また、信号光源1の出力パワーがばらついた場合でも、そのばらつきはDQPSK変調部21におけるVOA217のフィードバック制御により補償される。そして、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の損失和に対応させて、光増幅部24の利得が励起パワー制御回路252により一定に制御されことにより、光変調器2全体の損失が補償されると共に、光増幅部24で発生するASEのパワーの変化が抑えられる。
【0037】
これにより、EDW242の後段側に位置する光検出器248,224への各入力光に含まれるASE成分は略一定となるので、信号光源1の出力パワーのばらつきや、DQPSK変調部21およびRZ変調部22の各損失のばらつきが生じた場合でも、各々の光検出器248,224において変調光のパワーを高い精度でモニタすることができるようになる。したがって、光送信装置から外部の光ファイバ伝送路等に所望のパワーのRZ−DQPSK信号光をより安定して送信することが可能になる。
【0038】
次に、本発明による光送信装置の第3実施形態について説明する。
図3は、第3実施形態の光送信装置の構成を示す図である。この図3の光送信装置は、上記の図2に示した第2実施形態の構成について、RZ変調部22に設けていたVOA225およびそれに対応するVOA制御回路253に代えて、モニタ値補正回路254およびメモリ255を設けている。モニタ値補正回路254には、DQPSK変調部21の光検出器216、光増幅部24の光検出器248およびRZ変調部22の光検出器224のそれぞれにおけるパワーモニタ値が与えられている。
【0039】
上記のモニタ値補正回路254では、まず、DQPSK変調部21および光増幅部24の各光検出器216,248のモニタ値を用いて光増幅部24の利得が算出される。そして、該算出した利得に応じて、RZ変調部22の光検出器224のモニタ値が補正される。このモニタ値の補正は、光変調器2の損失ばらつきにより光増幅部24の利得が変わった場合に、ASEの発生量が変化することで生じるモニタ値のずれを低減させるために行われる。具体的には、例えば、光増幅部24の利得とモニタ値のずれ量との関係を示すデータを予め取得してメモリ255に記憶させておき、前記算出した利得に対応するモニタ値のずれ量をメモリ255から読み出し、該ずれ量を用いて光検出器224のモニタ値の補正が行われる。
【0040】
上記のようにして光増幅部24の利得に応じてRZ変調部22の光検出器224のモニタ値が補正されると、その補正後のモニタ値が励起パワー制御回路252に伝えられる。励起パワー制御回路252では、モニタ値補正回路254からの出力値、すなわち、RZ−DQPSK変調光の出力パワー(送信光パワー)が目標レベルで一定になるように、光増幅部24の励起光源243から出力される励起光のパワーがフィードバック制御される。これにより、光変調器2の損失と該損失のばらつきが、光増幅部24によって自動的に補償されるようになる。また、ここではDQPSK変調部21に対応したVOA217およびVOA制御回路251により、信号光源1の出力パワーのばらつきおよびDQPSK変調部21の損失のばらつきの補償が行われる。
【0041】
上記のような第3実施形態の光送信装置によれば、前述した第2実施形態の場合と同様の効果を得ることができると共に、第2実施形態で用いていたRZ変調部22の入力導波路上のVOA221を省略できるため、光変調器2の小型化および低コスト化を図ることが可能になる。
【0042】
なお、上記の第3実施形態では、DQPSK変調部21についてVOA217およびVOA制御回路251を設けるようにした一例を示したが、これらVOA217およびVOA制御回路251は省略することも可能である。この場合、前述したモニタ値補正回路254および励起パワー制御回路252による出力一定制御によって、信号光源1の出力パワーのばらつきおよびDQPSK変調部21の損失のばらつきも一括して補償されることになる。このような構成を適用すれば、光変調器2の一層の小型化を図ることが可能になる。
【0043】
次に、本発明による光送信装置の第4実施形態について説明する。
図4は、第4実施形態の光送信装置の構成を示す図である。この図4の光送信装置は、上記の図2に示した第2実施形態の構成について、DQPSK変調部21に設けていたVOA217およびそれに対応するVOA制御回路251に代えて信号パワー制御回路11を設け、該信号パワー制御回路11により、DQPSK変調部21の光検出器216のモニタ値が一定になるように信号光源1の出力パワーをフィードバック制御するようにしている。なお、上記以外の他の部分の構成は、前述した第2実施形態の構成と同一である。
【0044】
上記のような第4実施形態によれば、前述した第2実施形態の場合と同様の効果を得ることができると共に、第2実施形態で用いていたDQPSK変調部21の入力導波路上のVOA217が省略可能になるので、光変調器2の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0045】
なお、上述した第1〜第4実施形態では、RZ−DQPSK変調方式の光変調器を使用して光送信装置を構成する場合について説明したが、本発明における光変調方式はRZ−DQPSK変調方式に限定されるものではなく、公知の位相変調方式(例えば、DPSK変調方式)に対応した位相変調部と、公知の強度変調方式(例えば、CSRZ変調方式)に対応した強度変調部とを組み合わせた光変調器を使用して光送信装置を構成する場合にも、上述した第1〜第4実施形態の構成を応用することが可能である。
【0046】
また、DQPSK変調部21およびRZ変調部22における出力のモニタ光として正相の変調光、すなわち、図1〜図4に示すマッハツェンダ型光導波路(DQPSK変調部21の場合、親マッハツェンダ)において、出力側の合分波部の2つの出力のうちの上側から出力される変調光を取り出す構成例について説明したが、前記合分波部の2つの出力のうちの下側から出力される逆相の変調光をモニタ光として取り出すようにしてもよい。正相および逆相のいずれをモニタするかは、各変調部21,22のバイアス制御におけるモニタ系との部品共通化などを考慮して適宜に選択することが可能である。
【0047】
なお、前述したように、光変調器には、入出力ポートの間の光路上に導波路型の光増幅部が設けられているが、光増幅媒体となる導波路は平面導波路(planar waveguide)または同一平面導波路(coplanar waveguide)にエルビウム等が添加されたものであってもよい。
【0048】
以上の各実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 入力ポートおよび出力ポートの間の光路上に縦続接続された位相変調部および強度変調部を有し、前記入力ポートに入力される光を前記位相変調部および前記強度変調部で変調して前記出力ポートから出力する光変調器において、
前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の光路上に設けた導波路型の光増幅部と、
前記出力ポートから出力される変調光のパワーをモニタする出力モニタ部と、
前記出力モニタ部でモニタされる変調光の出力パワーが予め定めた目標レベルで一定になるように、前記光増幅部をフィードバック制御する出力制御部と、
を備えたことを特徴とする光変調器。
【0049】
(付記2) 付記1に記載の光変調器であって、
前記光増幅部は、前記位相変調部および前記強度変調部の間に配置されることを特徴とする光変調器。
【0050】
(付記3) 付記1または2に記載の光変調器であって、
前記位相変調部および前記強度変調部の少なくとも一方に入力される光のパワーを調整する入力パワー調整部と、
前記光増幅部の利得をモニタする利得モニタ部と、を備え、
前記出力制御部は、前記利得モニタ部でモニタされる利得が一定となるように、前記光増幅部をフィードバック制御する光増幅制御回路と、前記出力モニタ部でモニタされる変調光の出力パワーが前記目標レベルで一定になるように、前記入力パワー調整部をフィードバック制御する入力パワー制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【0051】
(付記4) 付記3に記載の光変調器であって、
前記位相変調部は、位相変調した光のパワーをモニタする出力モニタを有し、
前記強度変調部は、強度変調した光のパワーをモニタする出力モニタを有し、
前記入力パワー調整部は、前記位相変調部に入力される光を減衰させる第1可変光減衰器と、前記強度変調部に入力される光を減衰させる第2可変光減衰器と、を有し、
前記入力パワー制御回路は、前記位相変調部の出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記第1可変光減衰器の光減衰量をフィードバック制御する第1光減衰制御回路と、前記強度変調部の出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記第2可変光減衰器の光減衰量をフィードバック制御する第2光減衰制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【0052】
(付記5) 付記1または2に記載の光変調器であって、
前記光増幅部の利得をモニタする利得モニタ部を備え、
前記出力制御部は、前記利得モニタ部でモニタされる利得に従って、前記出力モニタ部でモニタされる変調光の出力パワーを補正するモニタ値補正回路と、該モニタ値補正回路で補正された出力パワーが一定となるように、前記光増幅部をフィードバック制御する光増幅制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【0053】
(付記6) 付記5に記載の光変調器であって、
前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の光路上に、前記位相変調部、前記光増幅部および前記強度変調部が順に縦続接続されており、
前記位相変調部は、入力される光を減衰させる可変光減衰器と、位相変調した光のパワーをモニタする出力モニタと、該出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記可変光減衰器の光減衰量をフィードバック制御する光減衰制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【0054】
(付記7) 付記1〜6のいずれか1つに記載の光変調器であって、
前記光増幅部は、光導波路に希土類イオンを添加して形成した光増幅媒体と、該光増幅媒体を励起するための励起光を発生する励起光源と、該励起光源から出力される励起光を前記光増幅媒体に与えるWDMカプラと、を有することを特徴とする光変調器。
【0055】
(付記8) 付記1〜6のいずれか1つに記載の光変調器であって、
前記光増幅部は、半導体光増幅器を含むことを特徴とする光変調器。
【0056】
(付記9) 付記1〜8のいずれか1つに記載の光変調器であって、
前記位相変調部、前記強度変調部および前記光増幅部が、共通の基板上に集積されていることを特徴とする光変調器。
【0057】
(付記10) 付記9に記載の光変調器であって、
前記共通の基板は、ニオブ酸リチウム(LN)基板であることを特徴とする光変調器。
【0058】
(付記11) 付記9に記載の光変調器であって、
前記共通の基板は、半導体基板であることを特徴とする光変調器。
【0059】
(付記12) 付記1〜11のいずれか1つに記載の光変調器であって、
前記位相変調部は、DQPSK変調方式またはDPSK変調方式の光変調器を含むことを特徴とする光変調器。
【0060】
(付記13) 付記1〜12のいずれか1つに記載の光変調器であって、
前記強度変調部は、RZ変調方式またはCSRZ変調方式の光変調器を含むことを特徴とする光変調器。
【0061】
(付記14) 連続光を発生する信号光源と、該信号光源からの連続光を変調する光変調器と、該光変調器を駆動する変調駆動部とを備えた光送信装置であって、
前記光変調器が、付記1〜13のいずれか1つに記載の光変調器であることを特徴とする光送信装置。
【0062】
(付記15) 付記14に記載の光送信装置であって、
前記光変調器は、前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の光路上に、前記位相変調部、前記光増幅部および前記強度変調部が順に縦続接続されていると共に、前記位相変調部が、位相変調した光のパワーをモニタする出力モニタを有しており、
前記位相変調部の出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記信号光源の出力パワーをフィードバック制御する信号パワー制御回路を備えたことを特徴とする光送信装置。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による光送信装置の第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明による光送信装置の第2実施形態の構成を示す図である。
【図3】本発明による光送信装置の第3実施形態の構成を示す図である。
【図4】本発明による光送信装置の第4実施形態の構成を示す図である。
【図5】RZ−DQPSK変調方式の光変調器を用いた従来の光送信装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1…信号光源
2…光変調器
IN…入力ポート
OUT…出力ポート
3…変調駆動部
11…信号パワー制御回路
21…DQPSK変調部
22…RZ変調部
24…光増幅部
25…出力制御部
31…CDR/MUX回路
32A,32B,33…ドライバアンプ
211…MZ型光導波路(親マッハツェンダ)
212A,212B…MZ型光導波路(子マッハツェンダ)
213A,213B,222…電極
214…位相シフト部
215,223,247…分岐カプラ
216,224,248…光検出器
217,225…可変光減衰器(VOA)
221…MZ型光導波路
241…光導波路
242…エルビウム添加導波路(EDW)
243…励起光源
244…WDMカプラ
245,246…光アイソレータ
251,253…VOA制御回路
252…励起パワー制御回路
254…モニタ値補正回路
255…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポートおよび出力ポートの間の光路上に縦続接続された位相変調部および強度変調部を有し、前記入力ポートに入力される光を前記位相変調部および前記強度変調部で変調して前記出力ポートから出力する光変調器において、
前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の光路上に設けた導波路型の光増幅部と、
前記出力ポートから出力される変調光のパワーをモニタする出力モニタ部と、
前記出力モニタ部でモニタされる変調光の出力パワーが予め定めた目標レベルで一定になるように、前記光増幅部をフィードバック制御する出力制御部と、
を備えたことを特徴とする光変調器。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調器であって、
前記光増幅部は、前記位相変調部および前記強度変調部の間に配置されることを特徴とする光変調器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光変調器であって、
前記位相変調部および前記強度変調部の少なくとも一方に入力される光のパワーを調整する入力パワー調整部と、
前記光増幅部の利得をモニタする利得モニタ部と、を備え、
前記出力制御部は、前記利得モニタ部でモニタされる利得が一定となるように、前記光増幅部をフィードバック制御する光増幅制御回路と、前記出力モニタ部でモニタされる変調光の出力パワーが前記目標レベルで一定になるように、前記入力パワー調整部をフィードバック制御する入力パワー制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【請求項4】
請求項3に記載の光変調器であって、
前記位相変調部は、位相変調した光のパワーをモニタする出力モニタを有し、
前記強度変調部は、強度変調した光のパワーをモニタする出力モニタを有し、
前記入力パワー調整部は、前記位相変調部に入力される光を減衰させる第1可変光減衰器と、前記強度変調部に入力される光を減衰させる第2可変光減衰器と、を有し、
前記入力パワー制御回路は、前記位相変調部の出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記第1可変光減衰器の光減衰量をフィードバック制御する第1光減衰制御回路と、前記強度変調部の出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記第2可変光減衰器の光減衰量をフィードバック制御する第2光減衰制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光変調器であって、
前記光増幅部の利得をモニタする利得モニタ部を備え、
前記出力制御部は、前記利得モニタ部でモニタされる利得に従って、前記出力モニタ部でモニタされる変調光の出力パワーを補正するモニタ値補正回路と、該モニタ値補正回路で補正された出力パワーが一定となるように、前記光増幅部をフィードバック制御する光増幅制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【請求項6】
請求項5に記載の光変調器であって、
前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の光路上に、前記位相変調部、前記光増幅部および前記強度変調部が順に縦続接続されており、
前記位相変調部は、入力される光を減衰させる可変光減衰器と、位相変調した光のパワーをモニタする出力モニタと、該出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記可変光減衰器の光減衰量をフィードバック制御する光減衰制御回路と、を有することを特徴とする光変調器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の光変調器であって、
前記光増幅部は、光導波路に希土類イオンを添加して形成した光増幅媒体と、該光増幅媒体を励起するための励起光を発生する励起光源と、該励起光源から出力される励起光を前記光増幅媒体に与えるWDMカプラと、を有することを特徴とする光変調器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の光変調器であって、
前記位相変調部、前記強度変調部および前記光増幅部が、共通の基板上に集積されていることを特徴とする光変調器。
【請求項9】
連続光を発生する信号光源と、該信号光源からの連続光を変調する光変調器と、該光変調器を駆動する変調駆動部とを備えた光送信装置であって、
前記光変調器が、請求項1〜8のいずれか1つに記載の光変調器であることを特徴とする光送信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光送信装置であって、
前記光変調器は、前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の光路上に、前記位相変調部、前記光増幅部および前記強度変調部が順に縦続接続されていると共に、前記位相変調部が、位相変調した光のパワーをモニタする出力モニタを有しており、
前記位相変調部の出力モニタのモニタ値が一定となるように、前記信号光源の出力パワーをフィードバック制御する信号パワー制御回路を備えたことを特徴とする光送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−54925(P2010−54925A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221269(P2008−221269)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】