説明

光変調装置及びプロジェクター

【課題】光の利用効率に優れた光変調装置及びプロジェクターを提供する。
【解決手段】光変調部80Aは、光変調部に画像を構成する画素毎に設けられている。光変調装置は、入射した光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する。光変調部80Aは、入射した光束を集光するマイクロレンズと、マイクロレンズにより集光された光束を通過させる第1の位置、または、マイクロレンズにより集光された光束を遮断する第2の位置に移動可能に構成されたシャッター88と、シャッター88を第1の位置または第2の位置に移動させる圧電素子85Aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいて、入射した光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する光変調装置として、液晶を用いた光変調装置の他、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術により製造した光変調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光変調装置は、画素毎に微小なミラーが配設され、当該微小なミラーの入射角度を制御することにより、光源から出射された光束を光変調して画像を形成するDMD(米国テキサスインスツルメンツ社の商標)で構成されている。
そして、このようなMEMS技術により製造した光変調装置では、液晶の熱劣化等の問題が生じることがなく、長寿命化が図り易いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−70091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光変調装置としてDMDを用いた場合には、光源から出射された光束を微小なミラーで反射するため、その反射時に入射した光束の一部が微小なミラーにて吸収されてしまう。
すなわち、微小なミラーにて一部の光束が吸収された分、プロジェクターからの投影画像の輝度が低下することとなり、光源から出射された光束を効率的に利用することが難しい、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、光の利用効率に優れた光変調装置及びプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光変調装置は、入射した光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する光変調装置であって、前記光変調装置は、前記画像を構成する画素毎に光変調部がそれぞれ設けられ、前記光変調部は、入射した光束を集光する集光レンズと、前記集光レンズにより集光された光束を通過させる第1の位置、または、前記集光レンズにより集光された光束を遮断する第2の位置に移動可能に構成されたシャッターと、前記シャッターを前記第1の位置または前記第2の位置に移動させる駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、光変調装置は、シャッター及び駆動手段を有する光変調部が画素毎にそれぞれ設けられている。そして、光変調装置は、各駆動手段により各シャッターを第1の位置または第2の位置に位置付けて入射した光束の通過または遮断を切り替えることで、光変調を実施し、画像を形成する。
このことにより、従来のDMDを用いた場合と同様に、液晶の熱劣化等の問題が生じることがなく、長寿命化が図り易い。
また、光変調にシャッターを用いるため、従来のDMDを用いた場合と比較して、画像を構成する光がミラー等で吸収されることはなく、光の利用効率を向上できる。
さらに、光変調部は、入射した光束を集光レンズで集光し、集光された光束の通過または遮断をシャッターにて切り替えるので、シャッターを小型化することができ、さらに集光レンズを用いない場合と比較して、光の利用効率をさらに向上させることができる。
【0008】
本発明の光変調装置では、前記シャッターは、開口部を有し、前記開口部の開口方向に沿う回転軸を中心として回転可能に構成され、前記駆動手段は、前記シャッターの周端部に力を加えることで前記シャッターを回転させ、前記開口部を介して光束を通過させる前記第1の位置、または、前記開口部を除く部位にて光束を遮断する前記第2の位置に移動させることが好ましい。
本発明では、駆動手段は、回転軸を中心として回転可能なシャッターの周端部に力を加えることでシャッターを第1の位置、または、第2の位置に移動させるため、単にスライド移動させるシャッター等と比較して、弱い力で容易にシャッターを移動させることができる。
【0009】
本発明の光変調装置は、入射した光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する光変調装置であって、前記光変調装置は、前記画像を構成する画素毎に光変調部がそれぞれ設けられ、前記光変調部は、入射した光束を通過させる開口部を有する遮蔽部材と、前記開口部を開放する第1の位置、または、前記開口部を閉塞する第2の位置に移動可能に構成されたシャッターと、前記シャッターを前記第1の位置または前記第2の位置に移動させる駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明では、光変調装置は、シャッター及び駆動手段を有する光変調部が画素毎にそれぞれ設けられている。そして、光変調装置は、各駆動手段により各シャッターを第1の位置または第2の位置に位置付けて入射した光束の通過または遮断を切り替えることで、光変調を実施し、画像を形成する。
このことにより、上記同様に、光変調装置の長寿命化が図り易く、かつ、光の利用効率を向上できる。
【0011】
本発明の光変調装置では、前記光変調部は、入射した光束を前記開口部に集光する集光レンズを備えることが好ましい。
本発明では、光変調部は、入射した光束を集光レンズで開口部に集光し、集光された光束の通過または遮断をシャッターにて切り替えるので、遮蔽部材(開口部を除く部位)にて遮られる光束の割合を低減させ、開口率を向上させることができ、光の利用効率をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明の光変調装置では、前記シャッターにおける光入射側の端面は、入射した光束を反射させる反射面とされていることが好ましい。
本発明では、シャッターが第2の位置に位置付けられた際に、シャッターで遮断された光束はシャッターの端面で反射されるため、シャッターの温度上昇を抑制できる。
【0013】
本発明のプロジェクターは、前述した本発明の光変調装置を備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクターは、前述した本発明の光変調装置を備えるため、前述した本発明の光変調装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの概略構成を模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態における光変調装置を模試的に示す平面図。
【図3】本実施形態の光変調部を説明するための平面図。
【図4】本実施形態の光変調部を説明するための側面図。
【図5】本実施形態の光変調装置での階調制御を説明するための図。
【図6】第2実施形態における光変調装置を模式的に示す図。
【図7】本実施形態の光変調部を説明するための平面図。
【図8】本実施形態の光変調部を説明するための上面図。
【図9】各実施形態における駆動手段の変形例を説明するための図。
【図10】各実施形態におけるプロジェクターの変形例を説明するための図。
【図11】変形例におけるカラーホイールの構造を表す正面図。
【図12】変形例の光変調装置での階調制御を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、プロジェクター1の概略構成を模式的に示す平面図である。
プロジェクター1は、光源から出射された光束を画像情報に応じて変調して画像を形成し、該画像をスクリーン等の投射面上に投射する。このプロジェクター1は、図1に示すように、略直方体状の外装筺体2と、この外装筺体2内部に収納配置される光学ユニット3と、制御装置11とで概略構成される。
なお、具体的な図示は省略するが、外装筺体2内部には、光学ユニット3及び制御装置11の他、プロジェクター1の構成部材に外部からの電力を供給する電源ユニット、プロジェクター1内部を冷却する冷却ユニット等が配置されるものとする。
【0016】
光学ユニット3は、外装筺体2内部に配置され、画像を形成して投射する。この光学ユニット3は、図1に示すように、光源ランプ4A及びリフレクター4Bを有する光源装置4と、レンズアレイ5A,5B、及び重畳レンズ5Cを有する照明光学装置5と、ダイクロイックミラー6A,6B、及び反射ミラー6Cを有する色分離光学装置6と、入射側レンズ7A、リレーレンズ7C、及び反射ミラー7B,7Dを有するリレー光学装置7と、3つのフィールドレンズ8Aと、3つの光変調装置8R,8G,8B(赤色光側の光変調装置を8R、緑色光側の光変調装置を8G、青色光側の光変調装置を8Bとする)、及び色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム8Cを有する光学装置8と、投射光学装置としての投射レンズ9と、各光学部品4〜8を収納するとともに投射レンズ9を支持する光学部品用筐体10とを備える。
そして、光学ユニット3では、上述した構成により、光源装置4から出射され照明光学装置5を介した光束は、色分離光学装置6にてR,G,Bの3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、フィールドレンズ8Aで各々略平行光とされ、各光変調装置8R,8G,8Bにて画像情報に応じてそれぞれ変調される。変調された各色光は、プリズム8Cにて合成されてカラー画像となり、投射レンズ9にてスクリーンに投射される。
制御装置11は、外装筺体2内部に配置され、プロジェクター1全体を制御する。具体的に、制御装置11は、光学ユニット3が備える光変調装置8R,8G,8Bを制御して、画像情報(画像信号)に基づく画像を光変調装置8R,8G,8Bに形成させる。
【0017】
〔光変調装置の構成〕
図2は、光変調装置8Rを模式的に示す平面図である。具体的に、図2は、光変調装置8Rの光束の入射側を部分的に平面視したものである。なお、以下、代表して光変調装置8Rについて説明するが、光変調装置8G,8Bについても同様の構成である。また、図2及び以下の図3では、説明を容易とするため、後述する図4に示すマイクロレンズ86,87は図示を省略している。
【0018】
光変調装置8Rは、図2に示すように、複数の光変調部80A、支持部材81、複数の走査(ゲート)線82、及び複数の信号線83を備えている。
支持部材81は、光を透過させるガラス等の透光性材料で構成されている。
この支持部材81において、具体的な図示は省略したが、光入射側の端面には、複数の走査線82、複数の信号線83、及び複数の光変調部80Aを構成する後述する回路基板84等を覆う格子形状を有し、各部材82,83,84等に光束が照射されることを防止する遮光膜が形成されている。
複数の走査線82は、支持部材81の光出射側の端面において、行方向に延びるようにそれぞれ形成され、列方向に並設されている。そして、複数の走査線82は、図1に示す制御装置11から出力される制御信号を、後述する各回路基板84に供給する。
複数の信号線83は、支持部材81の光出射側の端面において、列方向に延びるようにそれぞれ形成され、行方向に並設されている。そして、複数の信号線83は、制御装置11から出力される駆動信号を各回路基板84に供給する。
【0019】
光変調部80Aは、画像を構成する画素毎にそれぞれ設けられている。光変調部80Aは、走査線82及び信号線83の各交差部に対応して行列状(マトリクス状)に配されている。例えば、光変調装置8Rによって1024×768画素の画像を生成する場合には、光変調装置8Rは、1024×768個の光変調部80Aを備える。
【0020】
図3及び図4は、光変調部80Aを説明するための図である。具体的に、図3は光変調部80Aの正面図であり、図4は光変調部80Aの側面図である。なお、図4では、走査線82及び信号線83を省略している。
光変調部80Aは、図2ないし図4に示すように、回路基板84、圧電素子85A、マイクロレンズ86,87(図4)及びシャッター88を備えている。
【0021】
回路基板84は、支持部材81の光射出側の端面に設けられ、スイッチング素子(図示略)等を備える。そして、このスイッチング素子を介して、前述した駆動信号を圧電素子85Aに供給し、圧電素子85Aに駆動電圧を印加可能に構成されている。なお、このスイッチング素子は、前述した制御信号に応じて導通状態と非導通状態とを切り替える。すなわち、圧電素子85Aの駆動(圧電素子85Aへの駆動電圧の印加)は、制御装置11により制御される。
駆動手段としての圧電素子85Aは、回路基板84による電圧の印加状態に応じて伸縮する。この圧電素子85Aは、伸縮方向の一端が回路基板84に支持される。
【0022】
集光レンズとしての第1のマイクロレンズ86は、支持部材81の光入射側に配設され、フィールドレンズ8Aから出射された光束を焦点位置P(図4)に集光する。
第2のマイクロレンズ87は、支持部材81の光出射側に配設されている。より具体的に、第2のマイクロレンズ87は、焦点位置が第1のマイクロレンズ86の焦点位置Pに一致するように配設されている。そして、第2のマイクロレンズ87は、第1のマイクロレンズ86が集光した光束を略平行光として出射する。
【0023】
シャッター88は、図3に示すように、円盤状に構成されており、中心位置から外れた位置に円形状の開口部88Aを有する。そして、シャッター88は、その略中心位置が支持部材81の光出射側の端面から開口部88Aの開口方向に沿って突出した回転軸81Aに接続し、回転軸81Aを中心として回転可能に軸支されている。
また、シャッター88の光入射側の端面88B(図4)は、反射面とされている。具体的に、この反射面は、端面88Bにアルミニウム等の光反射率の高い部材を成膜することで形成される。
そして、前述した圧電素子85Aの伸縮方向の他端は、シャッター88の周端部88Cに接続されている。すなわち、シャッター88は、圧電素子85Aの伸縮により周端部88Cに力が加えられることで、回転軸81Aを中心として回転することとなる。
なお、本実施形態では、圧電素子85Aの伸縮に応じたシャッター88の回転位置は、以下に示す位置となるように設定されている。
【0024】
すなわち、シャッター88は、圧電素子85Aが縮んだ状態では、図3(A)または図4(A)に示すように、開口部88Aが第1のマイクロレンズ86の焦点位置Pに重なり、第1のマイクロレンズ86にて集光された光束を、開口部88Aを介して通過させる第1の位置に位置付けられる。そして、開口部88Aを介して通過した光束は、第2のマイクロレンズ87に入射し、第2のマイクロレンズ87で平行化されてプリズム8Cに出射される。
また、シャッター88は、圧電素子85Aが伸びた状態では、図3(B)または図4(B)に示すように、開口部88Aが第1のマイクロレンズ86の焦点位置Pに重ならず、第1のマイクロレンズ86にて集光された光束を遮断する第2の位置に位置付けられる。そして、シャッター88(開口部88Aを除く部位)にて遮断された光束は、端面88Bで反射され、フィールドレンズ8A側に戻される。
そして、光変調装置8Rは、以下のように画像の階調を制御して光変調を行う。なお、以下の制御は、制御装置11が、圧電素子85Aの駆動を制御すること、すなわちシャッター88の位置を制御することで行う。
【0025】
図5は、光変調装置8Rでの階調制御を説明するための図である。図5(A)は、赤色光の階調を100%に制御する場合を示し、図5(B)は、赤色光の階調を50%に制御している場合を示し、図5(C)は、赤色光の階調を0%に制御している場合を示している。なお、図5(A)〜(C)の横軸は時間軸であり、縦軸は、シャッター88の状態を示している。シャッター88は、「ON」の場合には、第1の位置に位置し、「OFF」の場合には、第2の位置に位置する。
図5(A)に示すように、制御装置11の制御の下、単位時間あたりのシャッター88の状態を、常時「ON」とすることで、当該単位時間における赤色光の階調を100%とすることができる。図5(B)に示すように、「ON」の時間と「OFF」の時間を50%ずつとすることで、赤色光の階調を50%とすることができる。また、図5(C)に示すように、常時「OFF」とすることで、赤色光の階調を0%とすることができる。このように、光変調装置8Rでは、画像情報に応じて、「ON」と「OFF」とを時間変調すること、すなわち、「ON」と「OFF」の時間の比率を変化させることで、画像の階調を制御することができる。
以上のように、光変調装置8Rでの階調制御は、「ON」と「OFF」の二値によるパルス幅変調(PWM)で行うことができる。
【0026】
上述した第1実施形態では、以下の効果がある。
本実施形態では、光変調装置8R,8G,8Bは、シャッター88及び圧電素子85Aを有する光変調部80Aが画素毎にそれぞれ設けられている。そして、光変調装置8R,8G,8Bは、各圧電素子85Aにより各シャッター88を第1の位置または第2の位置に位置付けて入射した光束の通過または遮断を切り替えることで、光変調を実施し、画像を形成する。
このことにより、従来のDMDを用いた場合と同様に、液晶の熱劣化等の問題が生じることがなく、長寿命化が図りやすい。
【0027】
圧電素子85Aでシャッター88が第1の位置に移動されている場合には、入射された光束はシャッター88を通過する。圧電素子85Aでシャッター88が第2の位置に移動されている場合には、入射された光束はシャッター88で遮断される。光変調装置8R,8G,8Bは、画像情報に応じて、第1の位置と第2の位置を時間変調するため、第1の位置を長くすれば画像の階調を高くでき、第2の位置を長くすれば画像の階調を低くできる。
このように、光変調装置8R、8G,8Bは、光変調にシャッター88を用いるため、従来のDMDを用いた場合と比較して、画像を構成する光がミラー等で吸収されることはなく、光の利用効率を向上できる。
【0028】
また、光変調部80Aは、入射した光束をマイクロレンズ86で集光し、集光された光束の通過または遮断をシャッター88にて切り替えるので、シャッター88を小型化することができ、さらにマイクロレンズ86により集光しない場合と比較して、光の利用効率をさらに向上させることができる。シャッター88が第1の位置に移動されている場合に、フィールドレンズ8Aから出射される光束を、マイクロレンズ86で無駄なく集光して開口部88Aを通過させることができるため、開口率略100%を実現することができる。
【0029】
光変調装置8R,8G,8Bでは、シャッター88は、開口部88Aを有し、開口部88Aの開口方向に沿う回転軸81Aを中心として回転可能に構成され、圧電素子85Aがシャッター88の周端部88Cに力を加えることでシャッター88を回転させ、開口部88Aを介して光束を通過させる第1の位置、または、開口部88Aを除く部位にて光束を遮断する第2の位置に移動させる。このため、単にスライド移動させるシャッター等と比較して、弱い力で容易にシャッター88を移動させることができる。
【0030】
光変調装置8R,8G,8Bでは、シャッター88における光入射側の端面88Bは、入射した光束を反射させる反射面とされている。これにより、シャッター88が第2の位置に位置付けられた際に、シャッター88で遮断された光束は端面88Bで反射されるため、シャッター88の温度上昇を抑制できる。また、端面88Bで反射された光束を再利用することができ、光の利用効率をさらに向上できる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0032】
〔光変調装置の構成〕
図6は、光変調装置8Rを模式的に示す平面図である。なお、前記第1実施形態と同様、ここでは、代表して光変調装置8Rについて説明するが、光変調装置8G,8Bについても同様の構成である。また、図6及び以下の図7では、説明を容易とするため、図8に示すマイクロレンズ86,87は図示を省略している。
図6に示すように、本実施形態の光変調装置8Rは、前記第1実施形態の光変調部80Aを光変調部80Bで構成している。
【0033】
図7及び図8は、光変調部80Bを説明するための図である。具体的に、図7は光変調部80Bの正面図であり、図8は光変調部80Bの上面図である。
光変調部80Bは、図6ないし図8に示すように、回路基板84、圧電素子85A、マイクロレンズ86,87(図8)、シャッター88E及び遮蔽部材89を備えている。
なお、遮蔽部材89は、マイクロレンズ86,87間に配置され、図6に示すように、各光変調部80Bで共通する1つの部材で構成されている。そして、遮蔽部材89は、各々の光変調部80Bに対応する位置に開口部89Aを備えている。具体的に、遮蔽部材89は、開口部89A以外の部位は、光を透過しない構成とされている。
【0034】
シャッター88Eは、開口部89Aに対して開閉可能となるように遮蔽部材89の光束の出射側に支持されている。具体的に、シャッター88Eは、開口部89Aよりもやや大きく構成され、遮蔽部材89にスライド可能に支持されている。シャッター88Eの光入射側の端面88F(図8)は、第1実施形態のシャッター88と同様に反射面とされている。なお、シャッター88Eは圧電素子85Aの伸縮によって移動可能とされている。
圧電素子85Aは、その伸縮方向がシャッター88Eのスライド方向と一致するように、一端が回路基板84に支持され、他端がシャッター88Eに支持されている。
なお、本実施形態では、圧電素子85Aの伸縮に応じたシャッター88Eの位置は、以下に示す位置となるように設定されている。
【0035】
すなわち、シャッター88Eは、圧電素子85Aが縮んだ状態では、図7(A)または図8(A)に示すように、開口部89Aがシャッター88Eで塞がれずに開放され、マイクロレンズ86にて集光された光束を、開口部89Aを介して通過させる第1の位置に位置付けられる。そして、開口部89Aを介して通過した光束は、マイクロレンズ87に入射し、第2のマイクロレンズ87で平行化されてプリズム8Cに出射される。
また、シャッター88Eは、圧電素子85Aが伸びた状態では、図7(B)または図8(B)に示すように、開口部89Aがシャッター88Eで閉塞され、マイクロレンズ86にて集光された光束を遮断する第2の位置に位置付けられる。そして、シャッター88Eにて遮断された光束は、端面88Fで反射され、フィールドレンズ8A側に戻される。
なお、階調制御については前述した第1実施形態と同様である。
【0036】
上述した第2実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の効果を得られる。
本実施形態では、光変調装置8R,8G,8Bは、シャッター88E及び圧電素子85Aを有する光変調部80Bが画素毎にそれぞれ設けられている。そして、光変調装置8R,8G,8Bは、各圧電素子85Aにより各シャッター88Eを第1の位置または第2の位置に位置付けて入射した光束の通過または遮断を切り替えることで、光変調を実施し、画像を形成する。
このことにより、第1実施形態と同様に、光変調装置8R,8G,8Bの長寿命化が図り易く、かつ、光の利用効率を向上できる。
【0037】
また、光変調部80Bは、入射した光束をマイクロレンズ86で開口部89Aに集光し、集光された光束の通過または遮断をシャッター88Eにて切り替えるので、遮蔽部材89(開口部89Aを除く部位)にて遮られる光束の割合を低減させ、開口率を向上させることができ、光の利用効率をさらに向上させることができる。
【0038】
光変調装置8R,8G,8Bでは、シャッター88Eにおける光入射側の端面88Fは、入射した光束を反射させる反射面とされている。これにより、シャッター88Eが第2の位置に位置付けられた際に、シャッター88Eで遮断された光束は端面88Fで反射されるため、シャッター88Eの温度上昇を抑制できる。また、端面88Fで反射された光束を再利用することができ、光の利用効率をさらに向上できる。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態における、シャッター(シャッター88,88E)及び開口部(開口部88A,89A)等の形状、位置は、図示したものに限定されず、種々の変形が可能である。
前記各実施形態では、シャッターの端面(端面88B,88F)の反射面を成膜により形成するとしたが、シャッター自体をアルミニウム等の光反射部材で構成してもよい。
【0040】
前記各実施形態では、駆動手段として、面方向に伸縮する圧電素子85Aを用いて説明したが、これに限らない。各実施形態のシャッターの位置を移動可能であるならば、様々な圧電素子を用いることができる。また、各実施形態における圧電素子85Aの支持構成は、シャッターを移動させることができればよく、特に限定されない。さらに、各実施形態のシャッターは、圧電素子85Aで直接動かすことに限らない。
【0041】
図9は、各実施形態における駆動手段の変形例を説明するための図である。
圧電素子85Bは、厚み方向に撓むように変位する。この厚み方向の伸縮を利用してシャッターを動かす場合、図9(A)に示すように、圧電素子85Bに長尺部材85Cの一端を取り付け、その他端をシャッターで支持するように構成する。そして、その長尺部材85Cの圧電素子85Bに近い位置に支点85Dを設けることで、図9(B)に示すように、圧電素子85Bの変位量Xよりも大きな変位量Yを得ることができる。
なお、駆動手段は、シャッターを動かすことができるのであれば、圧電素子によるものに限ったものではない。例えば、磁石による磁力を利用するものであってもよい。
【0042】
図10は、各実施形態におけるプロジェクターの変形例を説明するための図である。
前記各実施形態では、RGB毎に3つの光変調装置8R,8G,8Bを用いる三板式のプロジェクター1に適用したが、これに限らず、図10に示すような単板式のプロジェクターに適用してもよい。
この変形例によるプロジェクターでは、照明光学装置5の後段に色切替光学装置12を設ける。色切替光学装置12は、円盤状に形成され、回転することにより照明光学装置5から出射された光束をR,G,Bの3つの色光に切り替えるカラーホイール13と、照明光学装置5から出射された光束をカラーホイール13近傍に集光する第1コンデンサーレンズ14と、カラーホイール13を透過した発散光を略平行光にする第2コンデンサーレンズ15とを備えて構成される。
【0043】
カラーホイール13は、図11(カラーホイール13正面図)に示すように、回転方向に沿って区切られた4つの扇形の領域に3つの透過型色フィルター16R,16G,16Bと1つの透光領域16Wを備えている。色フィルター16R、16G,16Bは、各々赤色、緑色、青色の光のみを透過させ、透光領域16Wは、照明光学装置5から出射された光束をそのまま通過させる。
このような構成を設けることで、図10に示すように、1つの光変調装置8Dによってプロジェクターを構成することができる。
【0044】
図12は、光変調装置8Dでの階調の制御を説明するための図である。横軸の「W」は透光領域16Wでの光束の光路上の時間を示し、「R」,「G」,「B」は、各々、色フィルター16R,16G,16Bが光束の光路上を占める時間(各色光の単位時間)を示す。図示するように、カラーホイール13の回転と同期させ、各色光の単位時間においてシャッター88Eの「ON」の時間と「OFF」の時間とを時間変調することで、画像の階調を制御することができる。
【0045】
前記第1実施形態では、マイクロレンズ86,87間の光束の入射側に支持部材81を配置し、出射側にシャッター88等を配置する構成としたが、これら位置関係は逆であってもよい。
前記第1実施形態では、回転軸81Aを用いてシャッター88を回転させる構成としたが、これに限らず、支持部材81にシャッター88を嵌め込む凹部を設け、当該凹部にシャッター88を嵌め込み回転可能に保持する構成等であってもよい。
前記第1実施形態では、支持部材81に回路基板84及びシャッター88を支持したが、これらを支持する構成はこれに限らない。例えば、マイクロレンズ86,87を板状のマイクロレンズアレイのマイクロレンズで構成し、そのマイクロレンズアレイを支持部材81として代用することも可能である。
【0046】
前記第2実施形態では、マイクロレンズ86,87間の光束の入射側に遮蔽部材89を配置し、出射側にシャッター88E等を配置する構成としたが、これら位置関係は逆であってもよい。
前記第2実施形態では、マイクロレンズ86,87を用いたが、これに限らず、マイクロレンズ86,87を省略してもよい。マイクロレンズ86,87を省略した場合には、光変調装置8R,8G,8Bを構成する部材を減らすことができ、製造コストを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の光変調装置は、光の利用効率を向上できるため、プロジェクター等の表示装置の光変調装置に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・プロジェクター、4・・・光源装置、8D,8R,8G,8B・・・光変調装置、80A,80B・・・光変調部、81A・・・回転軸、85A,85B・・・圧電素子、86・・・マイクロレンズ、88,88E・・・シャッター、88A,89A・・・開口部、88C・・・周端部、88B,88F・・・端面、89・・・遮蔽部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する光変調装置であって、
前記光変調装置は、
前記画像を構成する画素毎に光変調部がそれぞれ設けられ、
前記光変調部は、
入射した光束を集光する集光レンズと、
前記集光レンズにより集光された光束を通過させる第1の位置、または、前記集光レンズにより集光された光束を遮断する第2の位置に移動可能に構成されたシャッターと、
前記シャッターを前記第1の位置または前記第2の位置に移動させる駆動手段とを備える
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調装置において、
前記シャッターは、
開口部を有し、前記開口部の開口方向に沿う回転軸を中心として回転可能に構成され、
前記駆動手段は、
前記シャッターの周端部に力を加えることで前記シャッターを回転させ、前記開口部を介して光束を通過させる前記第1の位置、または、前記開口部を除く部位にて光束を遮断する前記第2の位置に移動させる
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項3】
入射した光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する光変調装置であって、
前記光変調装置は、
前記画像を構成する画素毎に光変調部がそれぞれ設けられ、
前記光変調部は、
入射した光束を通過させる開口部を有する遮蔽部材と、
前記開口部を開放する第1の位置、または、前記開口部を閉塞する第2の位置に移動可能に構成されたシャッターと、
前記シャッターを前記第1の位置または前記第2の位置に移動させる駆動手段とを備える
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光変調装置において、
前記光変調部は、
入射した光束を前記開口部に集光する集光レンズを備える
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光変調装置において、
前記シャッターにおける光入射側の端面は、
入射した光束を反射させる反射面とされている
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光変調装置を備えるプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−128194(P2011−128194A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283745(P2009−283745)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】