説明

光変調装置及び光変調方法

【課題】多値位相変調信号がRZ変調されなくても、それぞれ位相変調されるデータの遅延差を適切に制御し、光信号の劣化を抑制すること。
【解決手段】フィルタ100eは、入力された信号の中心周波数より高い周波数を持つ上側周波数成分を透過させ、信号の上側周波数成分をパワー差算出部100gへ出力する。フィルタ100fは、入力された信号の中心周波数より低い周波数を持つ下側周波数成分を透過させ、信号の下側周波数成分をパワー差算出部100gへ出力する。パワー差算出部100gは、上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差を算出する。遅延量調整部100hは、パワー差算出部100gによって算出されるパワー差が小さくなるように第1変調部100b及び第2変調部100cへ入力される入力信号の遅延量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調装置及び光変調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝送トラフィックの増加に伴い、従来の40Gbit/sを超える伝送容量を持つ次世代光伝送システム導入の要求が高まっている。伝送容量の大容量化を実現する際に、単純に伝送信号の速度を高速化すると、使用される電気信号回路の実現が困難であったり、例えば光フィルタによるスペクトル劣化や波長分散・光雑音累積による信号劣化などの光伝送信号の劣化が発生したりする。そこで、周波数利用効率(Spectrum Efficiency)、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)耐力及び非線形性耐力に優れた多値位相変調方式を適用した光伝送システムが有望視されている。多値位相変調方式としては、例えば4値位相変調のQPSK(Quadrature Phase-Shift Keying)方式などがある。
【0003】
QPSK方式を用いた光変調装置としては、例えばRZ(Return to Zero)変調器を備えたRZ−DQPSK(Differential QPSK)変調方式を採用する光変調装置が考えられている。RZ−DQPSK変調方式は、変調により得られる光信号が狭スペクトルであり、周波数利用効率が高いという特徴を持つため、次世代の光伝送システムに採用される変調方式の候補として期待されている。
【0004】
通常、RZ−DQPSK変調方式を採用する光変調装置は、光源が発する光のI(In-Phase)成分にデータ信号を重畳するIアームと、光源が発する光のQ(Quadrature Phase)成分にデータ信号を重畳するQアームとを備えている。そして、Iアーム及びQアームにおいてデータ信号が光に重畳されると、それぞれのアームで得られた信号が合波されてDQPSK変調信号となる。そして、DQPSK変調信号は、RZ変調器によってRZ変調され、RZ−DQPSK変調方式で変調された光信号が得られる。
【0005】
このとき、例えば温度変動や経時変動などに起因して、Iアームで得られた信号の位相とQアームで得られた信号の位相とがずれることがある。すなわち、合波される光のI成分及びQ成分に遅延差が生じることがあり、この遅延差によって、RZ−DQPSK方式の変調により得られる光信号が劣化することがある。結果として、光信号を送信する光送信装置の伝送性能が低下する。
【0006】
そこで、RZ変調器から出力された光信号のパワーをモニタし、モニタ結果に応じてIアーム及びQアームに入力されるデータ信号の位相を調整することが検討されている。このようにデータ信号の位相を調整する光変調装置の構成を図18に示す。この光変調装置は、光源となるレーザーダイオード(Laser Diode:以下「LD」と略記する)11、DQPSK変調器12a、RZ変調器12b、ドライバ(以下「DRV」と略記する)13a〜13c及び移相器14a〜14cを有している。また、この光変調装置は、光カプラ21、フォトディテクタ(Photo Detector:以下「PD」と略記する)22、バンドパスフィルタ(Band Pass Filter:以下「BPF」と略記する)23、パワーモニタ(以下「MON」と略記する)24及び制御部30を有している。
【0007】
LD11で発生した光は、DQPSK変調器12aに入力され、DQPSK変調器12aのIアーム及びQアームそれぞれにおいて、DRV13a、13bを経たデータ信号が光のI成分及びQ成分に重畳される。そして、データ信号が重畳された光のI成分及びQ成分が合波され、DQPSK変調信号が得られる。DQPSK変調信号は、RZ変調器12bによってRZ変調される。このとき、RZ変調器12bは、ドライバ13cを経たクロック信号CLKを用いてDQPSK変調信号をRZ変調する。
【0008】
RZ変調されて得られる光信号は、光カプラ21によって分岐され、分岐光がPD22によって電気信号に変換される。そして、電気信号がBPF23を通過することにより、電気信号の特定の帯域のパワーがMON24によってモニタされる。制御部30は、MON24におけるモニタ結果に応じて移相器14a、14bの移相量を調整しておき、Iアーム及びQアームで得られる信号の遅延差を小さくする。同時に、制御部30は、MON24におけるモニタ結果に応じて移相器14cの移相量を調整する。このように、RZ変調された信号のパワーをモニタし、モニタ結果に応じてデータ信号を移相することにより、多値位相変調時に合波される2信号の遅延差を小さくすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−329886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、信号のパワーをモニタし、モニタ結果に応じて遅延差を調整する方法は、DQPSK変調信号がRZ変調されることが前提となっており、RZ変調器を備えていない光変調装置では、適切に遅延差を制御することができないという問題がある。すなわち、光変調装置の変調方式として、例えばNRZ(Non Return to Zero)−DQPSK変調方式が採用される場合には、DQPSK変調信号がRZ変調されることはなく、信号のパワーをモニタしても遅延差を適切に制御することはできない。
【0011】
この問題を具体的に説明するために、NRZ−DQPSK変調方式及びRZ−DQPSK変調方式における遅延差ごとの信号波形を図19に示す。図19は、遅延差が0ps(ピコ秒)、4ps及び8psのそれぞれの場合について、NRZ−DQPSK変調方式及びRZ−DQPSK変調方式で変調された光信号の波形を示している。すなわち、図19の各図において、横軸は時間を示しており、縦軸はパワーを示している。
【0012】
図19に示すように、RZ−DQPSK変調方式で変調された光信号については、RZ変調器におけるパルスカービングにより、各図中Aで示した情報を含む領域の信号が抽出される。したがって、図18に示したMON24は、図19各図中のAの領域の信号のパワーをモニタしている。そして、遅延差が大きくなるにつれて、図19各図中のAの領域の信号のパワーが小さくなるため、図18に示した制御部30は、モニタ結果が最大になるように移相量を設定すれば、遅延差を小さくすることができる。
【0013】
これに対して、NRZ−DQPSK変調方式で変調された光信号は、RZ変調器によってパルスカービングされることはない。このため、光信号のパワーをモニタすると、図19各図中の全領域の信号のパワーが平均化されてモニタされることになる。この結果、遅延差が異なってもモニタされる信号のパワーが変化せず、遅延差がモニタ結果に反映されない。
【0014】
つまり、図20に示すように、RZ−DQPSK変調方式では、遅延差が大きくなるにつれてモニタ出力が小さくなるのに対し、NRZ−DQPSK変調方式では、遅延差が大きくなってもモニタ出力が一定である。このため、RZ変調されていない信号のパワーをモニタしても、DQPSK変調器において合波される2信号の遅延差を適切に制御することはできない。そして、遅延差を適切に制御できないため、NRZ−DQPSK変調方式を採用する光変調装置では、光信号の劣化を抑制することが困難であるという問題がある。
【0015】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、多値位相変調信号がRZ変調されなくても、多値位相変調時に合波される信号の遅延差を適切に制御し、光信号の劣化を抑制することができる光変調装置及び光変調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願が開示する光変調装置は、1つの態様において、既知パターンを有する入力信号を変調する第1変調部と、前記第1変調部によって変調される入力信号と同一の既知パターンを有する入力信号を変調する第2変調部と、前記第1変調部及び前記第2変調部によって変調されて得られた変調信号を合成する合成部と、前記合成部によって合成されて得られた合成信号の中心周波数よりも高い周波数を有する上側周波数成分と中心周波数よりも低い周波数を有する下側周波数成分とのパワー差を算出する算出部と、前記算出部によって算出されたパワー差に基づいて前記第1変調部及び前記第2変調部へ入力される入力信号の遅延量を調整する調整部と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本願が開示する光変調装置及び光変調方法の1つの態様によれば、多値位相変調信号がRZ変調されなくても、多値位相変調時に合波される信号の遅延差を適切に制御し、光信号の劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施の形態1に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態2に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、遅延差と周波数成分の関係を示す図である。
【図4】図4は、バンドパスフィルタの透過帯域を説明する図である。
【図5】図5は、シフト量決定部による遅延差制御を説明する図である。
【図6】図6は、実施の形態2に係る遅延差制御方法を示すフロー図である。
【図7】図7は、遅延差と伝送性能の関係の具体例を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態3に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、エタロンフィルタの透過特性の具体例を示す図である。
【図10】図10は、エタロンフィルタの透過帯域を説明する図である。
【図11】図11は、実施の形態4に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、光フィルタの透過特性の具体例を示す図である。
【図13】図13は、光フィルタ出力の補正量を説明する図である。
【図14】図14は、光フィルタ出力の補正を説明する図である。
【図15】図15は、実施の形態4に係る遅延差制御方法を示すフロー図である。
【図16】図16は、光変調装置の他の変形例を示すブロック図である。
【図17】図17は、光変調装置のさらに他の変形例を示すブロック図である。
【図18】図18は、RZ変調器を備えた光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図19】図19は、遅延差による信号波形変化の具体例を示す図である。
【図20】図20は、変調方式によるパワーのモニタ出力の違いを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願が開示する光変調装置及び光変調方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。図1に示す光変調装置は、LD100a、第1変調部100b、第2変調部100c、光カプラ100d、フィルタ100e、100f、パワー差算出部100g及び遅延量調整部100hを有している。
【0021】
LD100aは、光源であり、所定波長の光を発する。第1変調部100bは、LD100aから発せられた光の第1成分に既知パターンの信号を重畳する。また、第2変調部100cは、LD100aから発せられた光の第2成分に既知パターンの信号を重畳する。既知パターンの信号の一例としては、例えば0と1が交互に繰り返される交番信号などがある。また、第1変調部100b及び第2変調部100cがDQPSK変調を実行するDQPSK変調部に含まれる場合は、例えば光のI成分及びQ成分がそれぞれ光の第1成分及び第2成分に相当する。第1変調部100b及び第2変調部100cによって既知パターンの信号が重畳された光の第1成分及び第2成分は、合波されて多値位相変調信号が得られる。
【0022】
光カプラ100dは、多値位相変調信号を分岐し、分岐により得られた一方の信号を光信号として出力するとともに、他方の信号をフィルタ100e、100fへ出力する。フィルタ100eは、入力された信号の中心周波数より高い周波数を持つ上側周波数成分を透過させ、信号の上側周波数成分をパワー差算出部100gへ出力する。フィルタ100fは、入力された信号の中心周波数より低い周波数を持つ下側周波数成分を透過させ、信号の下側周波数成分をパワー差算出部100gへ出力する。
【0023】
パワー差算出部100gは、それぞれフィルタ100e、100fから出力される上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差を算出する。遅延量調整部100hは、パワー差算出部100gによって算出されるパワー差が小さくなるように第1変調部100b及び第2変調部100cへ入力される入力信号の遅延量を調整する。
【0024】
次いで、上記のように構成された光変調装置による光変調方法について説明する。
【0025】
まず、第1変調部100b及び第2変調部100cによって、LD100aが発する光の第1成分及び第2成分に既知パターン信号が重畳され、これらの第1成分及び第2成分が合波されることにより、光源光が既知パターン信号によって多値位相変調された多値位相変調信号が得られる。多値位相変調信号は、光カプラ100dによって分岐され、フィルタ100e、100fへ入力される。
【0026】
フィルタ100eへ多値位相変調信号が入力されると、フィルタ100eによって、多値位相変調信号の中心周波数よりも高い周波数の上側周波数成分が透過され、上側周波数成分がパワー差算出部100gへ出力される。同様に、フィルタ100fへ多値位相変調信号が入力されると、フィルタ100fによって、多値位相変調信号の中心周波数よりも低い周波数の下側周波数成分が透過され、下側周波数成分がパワー差算出部100gへ出力される。
【0027】
そして、パワー差算出部100gによって、上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差が算出される。算出されたパワー差は、第1変調部100b及び第2変調部100cから出力される2信号の位相が一致していれば小さく、位相がずれるほど大きい。換言すれば、多値位相変調時に合波される2信号の遅延差が大きいほど、パワー差算出部100gによって算出されるパワー差が大きくなる。そこで、遅延量調整部100hによって、パワー差算出部100gによって算出されるパワー差が小さくなるように、第1変調部100b及び第2変調部100cへ入力される入力信号の遅延量が調整される。そして、パワー差算出部100gによって算出されるパワー差が最小になるように遅延量が調整されることにより、第1変調部100b及び第2変調部100cから出力される2信号の遅延差がなくなり、光信号の劣化を抑制することができる。
【0028】
以上のように、本実施の形態によれば、第1変調部及び第2変調部それぞれによって既知パターン信号が重畳された変調信号の上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差を算出する。そして、算出されるパワー差が小さくなるように、第1変調部及び第2変調部へ入力される信号の遅延量を調整する。このため、多値位相変調信号がRZ変調されなくても、多値位相変調時に合波される信号の遅延差を適切に制御し、光信号の劣化を抑制することができる。
【0029】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。図2に示す光変調装置は、交番信号発生部101、LD102、DQPSK変調部103、光カプラ104、BPF105a、105b、PD106a、106b、パワー差算出部107、シフト量決定部108、位相シフト部109a、109b、遅延付与部110a、110b及びドライバ111a、111bを有している。また、DQPSK変調部103は、Iアーム変調部103a、Qアーム変調部103b及び移相部103cを含んでいる。
【0030】
交番信号発生部101は、0と1が交互に繰り返される交番信号を発生させる。そして、交番信号発生部101は、発生させた交番信号を同位相で遅延付与部110a、110bへ出力する。なお、交番信号発生部101は、光変調装置の初期起動時などに交番信号を発生させ、光変調装置の通常運用時におけるデータ信号の代わりに交番信号をDQPSK変調部103へ供給する。すなわち、光変調装置の通常運用時とは異なり、初期起動時などには任意の信号を光変調装置によって変調することが可能であるため、交番信号発生部101は、主に光変調装置の初期起動時などに動作する。一方、光変調装置の通常運用時には、交番信号の代わりにデータ信号が遅延付与部110a、110bに入力されることになる。
【0031】
LD102は、光源であり、所定波長の光を発する。DQPSK変調部103は、例えばマッハツェンダ型干渉計を備え、4値の位相変調を行う。すなわち、Iアーム変調部103aは、ドライバ111aから出力される交番信号を光に重畳し、2値の位相変調を行う。また、Qアーム変調部103bは、ドライバ111bから出力される交番信号を光に重畳し、2値の位相変調を行う。移相部103cは、Qアーム変調部103bによって位相変調された信号の位相をπ/2だけ移相する。そして、Iアーム変調部103aから出力される信号と移相部103cから出力される信号とが合波され、DQPSK変調信号が得られる。以下においては、Iアーム変調部103aを備えるアームをIアームといい、Qアーム変調部103b及び移相部103cを備えるアームをQアームという。
【0032】
ここで、DQPSK変調部103において合波されるIアーム及びQアームの信号には、遅延差が生じていることがある。遅延差は、例えば光変調装置の製造時の誤差、温度変動又は経時変動などにより生じる。そして、DQPSK変調部103において合波される各アームの信号に遅延差が生じているとDQPSK変調信号が劣化し、DQPSK変調信号が送信される際の伝送性能が劣化する。また、DQPSK変調部103に交番信号が入力される場合、各アームの信号の遅延差によってDQPSK変調信号の周波数成分が変化する。
【0033】
すなわち、図3に示すように、各アームの信号の遅延差が0ps(ピコ秒)である場合には、DQPSK変調信号のスペクトル特性は、中心周波数を挟んで左右対称である。すなわち、DQPSK変調信号の中心周波数よりも高い周波数の上側周波数成分201と中心周波数よりも低い周波数の下側周波数成分202とのパワーはほぼ等しい。これに対して、各アームの信号に遅延差がある場合には、DQPSK変調信号のスペクトル特性が非対称となる。具体的には、遅延差が例えば−8psになると上側周波数成分201よりも下側周波数成分202のパワーが大きくなり、反対に遅延差が例えば+8psになると下側周波数成分202よりも上側周波数成分201のパワーが大きくなる。このように、DQPSK変調部103によって交番信号が変調されることにより、各アームの信号の遅延差がDQPSK変調信号のスペクトル特性に反映される。
【0034】
図2に戻って、光カプラ104は、DQPSK変調信号を分岐し、分岐により得られた一方の信号を光信号として出力し、他方の信号をBPF105a、105bへ出力する。BPF105aは、DQPSK変調信号の中心周波数よりも高い周波数帯域を透過帯域としており、光カプラ104から出力される信号の上側周波数成分をPD106aへ出力する。BPF105bは、DQPSK変調信号の中心周波数よりも低い周波数帯域を透過帯域としており、光カプラ104から出力される信号の下側周波数成分をPD106bへ出力する。
【0035】
ここで、BPF105a、105bの透過帯域について、図4を参照して具体的に説明する。上述したように、BPF105aは、DQPSK変調信号の中心周波数よりも高い周波数帯域を透過帯域としているため、例えば図4において、中心周波数f3よりも高い周波数f4を含む帯域を透過帯域としている。したがって、図4においては、周波数f4の成分が上側周波数成分となる。一方、BPF105bは、DQPSK変調信号の中心周波数よりも低い周波数帯域を透過帯域としているため、例えば図4において、中心周波数f3よりも低い周波数f2を含む帯域を透過帯域としている。したがって、図4においては、周波数f2の成分が下側周波数成分となる。なお、交番信号の周波数を適宜変更することにより、DQPSK変調信号の上側周波数成分及び下側周波数成分をそれぞれBPF105a、105bの透過帯域に合わせることが可能である。
【0036】
図4に示すように、DQPSK変調部103に入力される交番信号の遅延差が例えば−8psである場合には、周波数f4の上側周波数成分よりも周波数f2の下側周波数成分のパワーが大きくなる。これにより、BPF105aよりもBPF105bの出力パワーが大きくなる。また、交番信号の遅延差が例えば+8psである場合には、周波数f2の下側周波数成分よりも周波数f4の上側周波数成分のパワーが大きくなる。これにより、BPF105bよりもBPF105aの出力パワーが大きくなる。
【0037】
図2に戻って、PD106aは、BPF105aから出力される上側周波数成分を電気信号に変換する。PD106bは、BPF105bから出力される下側周波数成分を電気信号に変換する。パワー差算出部107は、それぞれ電気信号に変換された上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差を算出する。
【0038】
シフト量決定部108は、パワー差算出部107によって算出されたパワー差に基づいて、位相シフト部109a、109bにおいてクロック信号の位相に与えるシフト量を決定する。すなわち、シフト量決定部108は、クロック信号の位相に与えるシフト量を変更することにより、DQPSK変調部103に入力される交番信号の遅延量を変化させる。このとき、シフト量決定部108は、パワー差算出部107によって算出されるパワー差が0に近付くようにシフト量を変更し、変更後のシフト量をそれぞれ位相シフト部109a、109bに通知する。
【0039】
ここで、図5に示すように、上側周波数成分のパワー211と下側周波数成分のパワー212は遅延差によってそれぞれ変動するが、遅延差が0になると上側周波数成分のパワー211と下側周波数成分のパワー212が一致し、パワー差が0になる。そこで、シフト量決定部108は、上側周波数成分のパワー211と下側周波数成分のパワー212とのパワー差から遅延差の有無を判断し、クロック信号の位相に与えるシフト量を変更することにより遅延差を0に近付ける。
【0040】
具体的には、シフト量決定部108は、シフト量を所定幅ずつ変更し、パワー差算出部107によって算出されるパワー差が減少しているか否かを判断する。そして、シフト量決定部108は、パワー差が減少していれば、引き続きシフト量を所定幅ずつ変更する。一方、シフト量決定部108は、パワー差が増大すると、遅延差の制御方向が逆方向であると判断し、シフト量の変更を反転させる。すなわち、シフト量決定部108は、例えば位相シフト部109aにおけるシフト量を位相シフト部109bにおけるシフト量に対して所定幅だけ大きくした結果、パワー差が増大した場合には、位相シフト部109aにおけるシフト量を位相シフト部109bにおけるシフト量に対して所定幅だけ小さくする。このようにして、シフト量決定部108は、パワー差が0に近い所定の閾値未満になるまでクロック信号のシフト量を変更し、DQPSK変調部103へ入力される交番信号の遅延量を変化させる。
【0041】
なお、シフト量決定部108は、パワー差算出部107によって算出されるパワー差が最小になった際のシフト量を記憶し、光変調装置の通常運用時には、このシフト量を位相シフト部109a、109bに設定する。これにより、交番信号の代わりにデータ信号がDQPSK変調部103に入力される通常運用時にも、DQPSK変調部103の各アームにおける信号の遅延差を最小にすることが可能となる。
【0042】
位相シフト部109a、109bは、それぞれクロック信号の位相をシフト量決定部108によって決定されたシフト量だけシフトする。すなわち、位相シフト部109a、109bには、位相が一致した同一のクロック信号が供給されるが、位相シフト部109a、109bは、シフト量決定部108の決定に従って個別にクロック信号の位相をシフトする。
【0043】
遅延付与部110a、110bは、それぞれ位相シフト部109a、109bによって位相がシフトされたクロック信号に従って交番信号に遅延を付与する。すなわち、遅延付与部110a、110bには、位相が一致した同一の交番信号が供給されるが、それぞれ異なる位相のクロック信号が供給されるため、遅延付与部110a、110bは、異なったタイミングで交番信号を出力する。また、遅延付与部110a、110bは、光変調装置の通常運用時には、それぞれ位相シフト部109a、109bによって位相がシフトされたクロック信号に従ってデータ信号に遅延を付与する。このとき、位相シフト部109a、109bには、交番信号を用いたシフト量決定部108による遅延差の制御によって、各アームの信号の遅延差を最小にするシフト量が設定されている。このため、遅延付与部110a、110bは、ドライバ111a、111bやDQPSK変調部103内の導波路において生じる遅延を相殺する最適な遅延をあらかじめデータ信号に付与して出力する。
【0044】
ドライバ111a、111bは、遅延付与部110a、110bによってそれぞれ遅延が付与された交番信号又はデータ信号をDQPSK変調部103のIアーム変調部103a及びQアーム変調部103bへ出力する。このとき、ドライバ111a、111bは、例えば製造時の誤差などによって、それぞれ異なる遅延を交番信号又はデータ信号に与えることになる。ただし、本実施の形態においては、ドライバ111a、111bにおける遅延によって生じる遅延差を考慮した上で最適な遅延が遅延付与部110a、110bによって交番信号又はデータ信号にあらかじめ付与されている。
【0045】
次いで、上記のように構成された光変調装置における遅延差制御方法について、図6に示すフロー図を参照しながら説明する。図6においては、DQPSK変調信号の上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差がパワー差算出部107によって算出された結果、パワー差が所定の閾値以上であった場合の動作について説明する。なお、パワー差が所定の閾値未満である場合は、シフト量決定部108によって決定されたシフト量が既に最適となっており、DQPSK変調部103の各アームにおける2信号の遅延差は0に近いため、遅延差制御の必要はない。
【0046】
パワー差算出部107によって算出されたパワー差が所定の閾値以上である場合、シフト量決定部108によって、位相シフト部109a、109bに設定されるシフト量が変更されることにより、交番信号に与えられる遅延量が所定幅だけ変更される(ステップS101)。すなわち、シフト量決定部108によって、位相シフト部109a、109bに設定されたシフト量の差が変更されることにより、遅延付与部110a、110bにおいて交番信号に付与される遅延の差が所定幅だけ変更される。このとき、シフト量決定部108は、パワー差算出部107によって算出されたパワー差を記憶しておく。
【0047】
そして、交番信号発生部101において発生した交番信号がそれぞれ遅延付与部110a、110bに入力されると、所定幅だけ変更された後の遅延が付与されてドライバ111a、111bへ出力される。そして、交番信号は、ドライバ111a、111bによって、DQPSK変調部103のIアーム変調部103a及びQアーム変調部103bへ出力され、DQPSK変調が実行される(ステップS102)。具体的には、LD102から発せられた光にそれぞれ交番信号が重畳された後、Qアーム変調部103bにおいて交番信号が重畳された光は、移相部103cによってπ/2移相される。これにより、Iアーム変調部103aでは光のI成分が生成され、Qアーム変調部103b及び移相部103cでは光のQ成分が生成されたことになる。これらのI成分及びQ成分は、DQPSK変調部103内で合波され、DQPSK変調信号が得られる。
【0048】
DQPSK変調信号は、光カプラ104によって分岐され、一方の信号が光信号として出力される。また、他方の信号は、BPF105a、105bへ出力され、BPF105aによって、上側周波数成分が取得されるとともに(ステップS103)、BPF105bによって、下側周波数成分が取得される(ステップS104)。そして、上側周波数成分及び下側周波数成分は、それぞれPD106a、106bによって電気信号に変換され、パワー差算出部107によって、上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差が算出される。算出されたパワー差は、シフト量決定部108へ通知される。
【0049】
そして、シフト量決定部108によって、パワー差算出部107から通知されたパワー差が所定の閾値未満であるか否かが判定される(ステップS105)。この結果、パワー差が所定の閾値未満である場合は(ステップS105Yes)、遅延差が十分に小さくなり、0に近くなったと判断され、遅延差の制御が終了する。遅延差の制御が終了すると、現在位相シフト部109a、109bに設定されているシフト量が最適なシフト量として引き続き設定されることになる。これにより、光変調装置の通常運用時にデータ信号がDQPSK変調部103へ入力されることになっても、遅延付与部110a、110bではデータ信号に最適な遅延量が付与され、DQPSK変調部103の各アームにおける2信号の遅延差が十分に小さくなる。
【0050】
一方、パワー差が所定の閾値以上である場合は(ステップS105No)、シフト量決定部108によって、記憶されている前回のパワー差と今回のパワー差が比較される(ステップS106)。この結果、パワー差が前回よりも減少していれば(ステップS106Yes)、遅延差の制御方向が適切であると考えられるため、シフト量決定部108によって、前回と同様に交番信号の遅延量が所定幅だけ変更される(ステップS101)。すなわち、例えば前回の遅延量の変更時に位相シフト部109aに設定されるシフト量のみを大きくしていた場合には、シフト量決定部108によって、今回も位相シフト部109aに設定されるシフト量のみがさらに大きい値に設定される。なお、シフト量の変更の方法は、必ずしも前回と完全に同一でなくても良く、交番信号の遅延差が前回と同じ方向に所定幅ずつ変更されれば良い。例えば上述した例のように前回の遅延量の変更時に位相シフト部109aに設定されるシフト量のみを大きくしていた場合、今回は位相シフト部109bに設定されるシフト量のみを小さくしても良い。
【0051】
これに対して、パワー差が前回よりも増大していれば(ステップS106No)、遅延差の制御方向が適切でないと考えられるため、シフト量決定部108によって、遅延差の制御方向が反転される(ステップS107)。そして、制御方向が反転された後に、シフト量決定部108によって、交番信号の遅延量が所定幅だけ変更される(ステップS101)。すなわち、例えば前回の遅延量の変更時に位相シフト部109aに設定されるシフト量のみを大きくしていた場合には、今回は位相シフト部109aに設定されるシフト量のみが小さい値に設定される。なお、この場合のシフト量の変更方法も、交番信号に付けられる遅延差が前回と反対の方向に所定幅ずつ変更されれば良い。例えば上述した例のように前回の遅延量の変更時に位相シフト部109aに設定されるシフト量のみを大きくしていた場合、今回は位相シフト部109bに設定されるシフト量のみを大きくしても良い。
【0052】
以上のような遅延差の制御が繰り返され、上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差が所定の閾値未満になると、DQPSK変調部103の各アームにおける2信号の遅延差が十分に小さくなる。そして、2信号の遅延差が十分に小さくなった場合のシフト量が位相シフト部109a、109bに設定されれば、遅延付与部110a、110bへ入力される信号が交番信号ではなくても各アームの2信号の遅延差が十分に小さくなる。すなわち、光変調装置の通常運用時に、データ信号が遅延付与部110a、110bへ入力されることにより、データ信号にそれぞれ適切な遅延が付与され、DQPSK変調部103においては2信号の遅延差が十分に小さくなる。これにより、DQPSK変調信号の劣化が抑制され、光信号を送信する光送信装置の伝送性能の劣化が抑制される。
【0053】
具体的には、DQPSK変調部103の各アームにおける2信号の遅延差と光送信装置の伝送性能との間には、例えば図7に示すような関係がある。すなわち、遅延差が0psである場合には、伝送性能の劣化を示すQ値ペナルティも0dBであるが、例えば遅延差が8ps又は−8ps程度あると、Q値ペナルティが1dB程度となる。したがって、8ps程度の遅延差を0psにすることで、1dB程度の伝送性能の改善を図ることができる。
【0054】
以上のように、本実施の形態によれば、交番信号をDQPSK変調して得られるDQPSK変調信号の上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差を算出し、パワー差が0に近づくようにDQPSK変調部へ入力される交番信号の遅延量を調整する。このため、装置の製造時の誤差などを考慮した適切な遅延量を装置の初期起動時などに求めておくことができる。結果として、装置の通常運用時には、DQPSK変調部の各アームにおける2信号の遅延差が十分に小さくなるように、あらかじめ求められた適切な遅延をDQPSK変調部へ入力される2信号に付与しておくことができ、光信号の劣化を抑制することができる。換言すれば、DQPSK変調信号がRZ変調されなくても、多値位相変調時に合波される信号の遅延差を適切に制御し、光信号の劣化を抑制することができる。
【0055】
(実施の形態3)
実施の形態3では、バンドパスフィルタの代わりに周期的な透過帯域を有するエタロンフィルタを用いて上側周波数成分及び下側周波数成分を取得する。
【0056】
図8は、実施の形態3に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。図8において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図8に示す光変調装置は、図2に示す光変調装置のBPF105a、105bに代えて、エタロンフィルタ301a、301bを有している。
【0057】
エタロンフィルタ301a、301bは、FSR(Free Spectral Range)と呼ばれる周期が等しい透過帯域を有している。また、エタロンフィルタ301a、301bは、FSRは同一であるが、透過帯域のピークの周波数は互いに異なっており、相補的な周波数帯域を透過帯域としている。すなわち、エタロンフィルタ301a、301bは、例えば図9に示すように、一方の透過帯域の周波数については他方が透過しないようになっている。具体的には、エタロンフィルタ301aの透過特性311及びエタロンフィルタ301bの透過特性312を示す図9において、エタロンフィルタ301aの透過率が高い周波数帯域では、エタロンフィルタ301bの透過率が低くなっている。反対に、エタロンフィルタ301bの透過率が高い周波数帯域では、エタロンフィルタ301aの透過率が低くなっている。このように、エタロンフィルタ301a、301bは、周期的かつ相補的な透過特性を有している。
【0058】
そして、エタロンフィルタ301a、301bは、光信号の中心周波数からFSRの1/4倍だけずれた周波数帯域を透過帯域としている。すなわち、図10に示すように、エタロンフィルタ301aは、中心周波数よりもFSRの1/4倍だけ高い周波数帯域を透過帯域としており、上側周波数成分を透過させる。また、エタロンフィルタ301bは、中心周波数よりもFSRの1/4倍だけ低い周波数帯域を透過帯域としており、下側周波数成分を透過させる。これにより、エタロンフィルタ301a、301bは、実施の形態2におけるBPF105a、105bと同様に、それぞれ上側周波数成分及び下方周波数成分を出力する。
【0059】
本実施の形態においては、エタロンフィルタ301a、301bが周期的な透過帯域を有するため、光信号の中心周波数が変化する場合でも1組のエタロンフィルタ301a、301bによって上側周波数成分及び下側周波数成分を取得することができる。すなわち、一般に、バンドパスフィルタの透過帯域は特定の帯域のみであるため、例えばLD102が発する光の波長が変更され、光信号の中心周波数が変化する場合には、それぞれの中心周波数に適したバンドパスフィルタを用意しておくことになる。このため、複数の波長の光信号を用いる通信システムにおいては、それぞれの波長ごとに異なる透過特性を持つ上側周波数成分及び下側周波数成分を取得するバンドパスフィルタが設けられ、コストの増大が発生する。
【0060】
この点、本実施の形態においては、光信号の中心周波数が等間隔で変更される通信システムであれば、エタロンフィルタ301a、301bのFSRを調整することにより、光信号の波長が変化しても1組のエタロンフィルタ301a、301bで対応可能である。すなわち、光信号の中心周波数の変化に応じたFSRのエタロンフィルタ301a、301bを用いることで、中心周波数が変化しても上側周波数成分及び下側周波数成分を1組のエタロンフィルタ301a、301bによって取得することができ、部品の共通化が可能となる。
【0061】
このように、エタロンフィルタ301a、301bによって上側周波数成分及び下側周波数成分を取得する点を除けば、本実施の形態に係る光変調装置の遅延差制御方法は、実施の形態2と同様であるため、その説明を省略する。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、DQPSK変調信号の上側周波数成分と下側周波数成分をエタロンフィルタによって取得し、これらの周波数成分のパワー差を算出し、パワー差が0に近づくようにDQPSK変調部へ入力される交番信号の遅延差を制御する。このため、装置の製造時の誤差などを考慮した適切な遅延差を装置の初期起動時などに求めておくことができる。結果として、装置の通常運用時には、DQPSK変調部の各アームにおける2信号の遅延差が十分に小さくなるように、あらかじめ求められた適切な遅延をDQPSK変調部へ入力される2信号に付与しておくことができ、光信号の劣化を抑制することができる。換言すれば、DQPSK変調信号がRZ変調されなくても、多値位相変調時に合波される信号の遅延差を適切に制御し、光信号の劣化を抑制することができる。
【0063】
また、光源が発する光の波長が変更されても、1組のエタロンフィルタで上側周波数成分及び下側周波数成分を取得することができる。結果として、光変調装置の部品の共通化が可能となり、コストの削減を図ることができる。
【0064】
(実施の形態4)
実施の形態4では、バンドパスフィルタの代わりに光の波長に応じた透過特性を有する光フィルタを用いて上側周波数成分及び下側周波数成分を取得する。
【0065】
図11は、実施の形態4に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。図11において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図11に示す光変調装置は、図2に示す光変調装置のBPF105a、105b及びパワー差算出部107に代えて、光フィルタ401a、401b及びパワー差算出部402を有している。
【0066】
光フィルタ401a、401bは、光の波長に応じた透過特性を有している。具体的には、光フィルタ401a、401bは、それぞれ例えば図12に示すような透過特性を有している。すなわち、光フィルタ401aは、光の波長が短く周波数が高いほど透過率が高く、波長が長くなって周波数が低くなるほど透過率が低下する透過特性を有している。また、光フィルタ401bは、光の波長が長く周波数が低いほど透過率が高く、波長が短くなって周波数が高くなるほど透過率が低下する透過特性を有している。
【0067】
したがって、光フィルタ401aは、信号の周波数が比較的高い成分を多く出力する一方、光フィルタ401bは、信号の周波数が比較的低い成分を多く出力する。換言すれば、光フィルタ401aは、上側周波数成分をより多く含む周波数成分を出力し、光フィルタ401bは、下側周波数成分をより多く含む周波数成分を出力する。ただし、光フィルタ401a、401bが出力する周波数成分は、上側周波数成分及び下側周波数成分そのものではないとともに、光信号の波長によっても光フィルタ401a、401bの出力が変化する。そこで、本実施の形態においては、光フィルタ401a、401bの出力を補正して、上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差を求めることとなる。
【0068】
具体的に、例えば光フィルタ401a、401bの透過特性がそれぞれ図13に示す透過特性411、412であるものとする。このとき、図13に示す信号波長では、光フィルタ401a、401bの光の波長に応じた透過特性の違いに起因して、パワー差413が生じることになる。そこで、本実施の形態においては、波長に応じた透過特性の違いを相殺するために、パワー差413を補正量として一方の光フィルタ出力を補正し、補正後の光フィルタ出力からDQPSK変調部103の各アームにおける2信号の遅延差に起因するパワー差を算出する。
【0069】
すなわち、パワー差算出部402は、LD102が発する光の波長情報と光フィルタ401a、401bの透過特性とから、光フィルタ401a、401bの出力の補正量を求め、光フィルタ401a、401bの出力を補正する。その上で、パワー差算出部402は、補正後の光フィルタ401a、401bの出力の差分を算出する。具体的には、パワー差算出部402は、例えば図14に示すように、光フィルタ401aの実際の出力421に波長情報及び透過特性から求めた補正量を加算し、補正出力421aを求める。そして、パワー差算出部402は、光フィルタ401aの補正出力421aと光フィルタ401bの出力422との差分を求める。
【0070】
ここで、図14に示すように、光フィルタ401aの実際の出力421は、光フィルタ401bの実際の出力422よりも大幅に小さい。しかし、これらの実際の出力の差には、DQPSK変調部103の各アームにおける遅延差に起因するパワー差のみではなく、光フィルタ401a、401bの波長による透過特性の違いに起因するパワー差が含まれている。そこで、本実施の形態においては、図13に示した透過特性の違いに起因するパワー差413を補正量として用いることにより、遅延差に起因するパワー差を算出している。このように、光フィルタ401a、401bの出力を波長情報に基づいた補正量で補正するため、本実施の形態においては、LD102が発する光の波長が変化しても、遅延差に起因するパワー差を正確に算出することができる。
【0071】
次いで、上記のように構成された光変調装置における遅延差制御方法について、図15に示すフロー図を参照しながら説明する。図15において、図6と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。図15においては、遅延差に起因するパワー差がパワー差算出部402によって算出された結果、パワー差が所定の閾値以上であった場合の動作について説明する。なお、パワー差が所定の閾値未満である場合は、シフト量決定部108によって決定されたシフト量が既に最適となっており、DQPSK変調部103の各アームにおける2信号の遅延差は0に近いため、遅延差制御の必要はない。
【0072】
パワー差算出部402によって算出されたパワー差が所定の閾値以上である場合、シフト量決定部108によって、位相シフト部109a、109bに設定されるシフト量が変更されることにより、交番信号に与えられる遅延量が所定幅だけ変更される(ステップS101)。そして、交番信号発生部101において発生した交番信号がそれぞれ遅延付与部110a、110bに入力されると、遅延量が所定幅だけ変更された後の遅延差が付けられてドライバ111a、111bへ出力される。そして、交番信号は、ドライバ111a、111bによって、DQPSK変調部103のIアーム変調部103a及びQアーム変調部103bへ出力され、DQPSK変調が実行される(ステップS102)。
【0073】
DQPSK変調信号は、光カプラ104によって分岐され、一方の信号が光信号として出力される。また、他方の信号は、光フィルタ401a、401bへ出力され、光フィルタ401aによって、上側周波数成分に重みが付けられた周波数成分が出力されるとともに(ステップS201)、光フィルタ401bによって、下側周波数成分に重みが付けられた周波数成分が出力される(ステップS202)。そして、それぞれの周波数成分は、PD106a、106bによって電気信号に変換され、パワー差算出部402によって、光フィルタ401a、401bの出力が補正される(ステップS203)。具体的には、光フィルタ401a、401bの光の波長に応じた透過特性の違いに起因するパワー差が相殺される。その上で、パワー差算出部402によって、補正後の光フィルタ401a、401bの出力のパワー差が算出され、算出されたパワー差は、シフト量決定部108へ通知される。
【0074】
そして、シフト量決定部108によって、パワー差算出部402から通知されたパワー差が所定の閾値未満であるか否かが判定される(ステップS105)。この結果、パワー差が所定の閾値未満である場合は(ステップS105Yes)、遅延差が十分に小さくなり、0に近くなったと判断され、現在位相シフト部109a、109bに設定されているシフト量が最適なシフト量として引き続き設定される。
【0075】
一方、パワー差が所定の閾値以上である場合は(ステップS105No)、シフト量決定部108によって、記憶されている前回のパワー差と今回のパワー差が比較される(ステップS106)。この結果、パワー差が前回よりも減少していれば(ステップS106Yes)、遅延差の制御方向が適切であると考えられるため、シフト量決定部108によって、前回と同様に交番信号の遅延量が所定幅だけ変更される(ステップS101)。
【0076】
これに対して、パワー差が前回よりも増大していれば(ステップS106No)、遅延差の制御方向が適切でないと考えられるため、シフト量決定部108によって、遅延差の制御方向が反転される(ステップS107)。そして、制御方向が反転された後に、シフト量決定部108によって、交番信号の遅延差が所定幅だけ変更される(ステップS101)。
【0077】
以上のような遅延差の制御が繰り返され、補正されたパワー差が所定の閾値未満になると、DQPSK変調部103の各アームにおける2信号の遅延差が十分に小さくなる。これにより、DQPSK変調信号の劣化が抑制され、光信号を送信する光送信装置の伝送性能の劣化が抑制される。
【0078】
以上のように、本実施の形態によれば、透過特性が異なる2つの光フィルタへDQPSK変調信号を入力し、光フィルタの出力から透過特性の違いによるパワー差を相殺して補正し、補正後のパワー差が0に近づくように交番信号の遅延量を調整する。このため、装置の製造時の誤差などを考慮した適切な遅延量を装置の初期起動時などに求めておくことができる。結果として、装置の通常運用時には、DQPSK変調部の各アームにおける2信号の遅延差が十分に小さくなるように、あらかじめ求められた適切な遅延をDQPSK変調部へ入力される2信号に付与しておくことができ、光信号の劣化を抑制することができる。換言すれば、DQPSK変調信号がRZ変調されなくても、多値位相変調時に合波される信号の遅延差を適切に制御し、光信号の劣化を抑制することができる。
【0079】
また、光源が発する光の波長が変更されても、波長に応じた補正量を求めて光フィルタの出力を補正することにより、DQPSK変調部の各アームにおける2信号の遅延差を適切に制御することができる。
【0080】
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態1〜4においては、多値位相変調された信号を光カプラによって分岐し、分岐された信号から上側周波数成分及び下側周波数成分を取得するものとしたが、位相共役光を用いることもできる。すなわち、信号の多値位相変調にマッハツェンダ型の干渉計が用いられる場合には、変調信号とともに位相共役光が出力される。そこで、変調信号の変わりに位相共役光から上側周波数成分及び下側周波数成分を取得し、遅延差を制御することも可能である。
【0081】
図16は、位相共役光を用いる光変調装置の構成を示すブロック図である。この光変調装置には、PD501が備えられており、PD501によってDQPSK変調部103から出力される位相共役光が検出される。位相共役光は、DQPSK変調部103から出力されるDQPSK変調信号と位相共役であるため、位相共役光から取得されるパワー差は、DQPSK変調信号から得られるパワー差と同等である。このため、図16に示す光変調装置は、位相共役光の上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差を算出し、算出されたパワー差に応じてDQPSK変調部103へ入力される信号の遅延量を調整する。
【0082】
このように、位相共役光を用いることにより、DQPSK変調信号が光カプラを経由することによって生じる劣化を防止することが可能である。したがって、DQPSK変調によって得られる光信号を送信する場合に、伝送性能の劣化を抑制することができる。
【0083】
また、上記各実施の形態1〜4においては、多値位相変調後にRZ変調を行わない光変調装置について説明したが、多値位相変調後にRZ変調を行うことも可能である。すなわち、変調信号が光カプラによって分岐された後、分岐された一方の信号から上側周波数成分及び下側周波数成分が取得されるのに対し、他方の信号がRZ変調されるようにしても良い。
【0084】
図17は、RZ変調部を備えた光変調装置の構成をブロック図である。この光変調装置には、RZ変調部502が備えられており、RZ変調部502によってDQPSK変調信号がRZ変調される。そして、RZ変調して得られた光信号がRZ変調部502から出力される。また、DQPSK変調部103とRZ変調部502の間には、光カプラ104が設けられており、分岐された信号の上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差からDQPSK変調部103へ入力される2信号の遅延量が調整される。
【0085】
さらに、上記各実施の形態1〜4においては、遅延量を所定幅だけ変更した場合に、パワー差が減少したか否かで遅延差の制御方向の適否を判断するものした。しかし、多値位相変調によって生じる2つの信号成分の位相差が把握可能であれば、パワー差から適切な遅延差の制御方向及び遅延量を直接算出することも可能である。すなわち、例えば実施の形態2において、移相部103cが位相をπ/2だけ進めるのか又は遅らせるのかを把握可能であれば、上側周波数成分と下側周波数成分のどちらが大きいかによって遅延差の適切な制御方向を判断することが可能である。さらに、上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差から、パワー差に対応する適切な遅延量を算出することも可能である。
【0086】
また、上記各実施の形態2〜4においては、クロック信号の位相をシフトすることにより、交番信号に所望の遅延を付与することとしたが、遅延量の調整方法は、これに限定されない。すなわち、算出されたパワー差に基づいて、直接的に交番信号の位相をシフトして所望の遅延を付与しても良い。さらに、上記各実施の形態2〜4においては、多値位相変調の例としてDQPSK変調を行うものとしたが、他の多値位相変調が行われる場合にも、多値位相変調信号の上側周波数成分と下側周波数成分のパワー差に基づいて遅延差を制御することは可能である。
【0087】
以上の各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0088】
(付記1)既知パターンを有する入力信号を用いて光源が発する光源光を変調する第1変調部と、
前記第1変調部によって変調される入力信号と同一の既知パターンを有する入力信号を用いて前記光源光を変調する第2変調部と、
前記第1変調部及び前記第2変調部によって前記光源光が変調されて得られた変調信号を合成する合成部と、
前記合成部によって合成されて得られた合成信号の中心周波数よりも高い周波数を有する上側周波数成分と中心周波数よりも低い周波数を有する下側周波数成分とのパワー差を算出する算出部と、
前記算出部によって算出されたパワー差に基づいて前記第1変調部及び前記第2変調部へ入力される入力信号の遅延量を調整する調整部と、
を有することを特徴とする光変調装置。
【0089】
(付記2)前記算出部は、
上側周波数成分に対応する帯域を透過帯域とする第1のバンドパスフィルタと、
下側周波数成分に対応する帯域を透過帯域とする第2のバンドパスフィルタと、を含み、
前記第1のバンドパスフィルタの出力と前記第2のバンドパスフィルタの出力との差分を算出することを特徴とする付記1記載の光変調装置。
【0090】
(付記3)前記算出部は、
合成信号の中心周波数とは異なる周波数を透過させる周期的な透過帯域を有する第1のエタロンフィルタと、
合成信号の中心周波数とは異なる周波数を透過させ、かつ前記第1のエタロンフィルタと相補的な透過帯域を有する第2のエタロンフィルタと、を含み、
前記第1のエタロンフィルタの出力と前記第2のエタロンフィルタの出力との差分を算出することを特徴とする付記1記載の光変調装置。
【0091】
(付記4)前記算出部は、
光の波長が長くなるほど透過率が減少する透過特性を有する第1の光フィルタと、
光の波長が長くなるほど透過率が増大する透過特性を有する第2の光フィルタと、を含み、
前記第1の光フィルタ及び前記第2の光フィルタのいずれか一方の出力を透過特性の相違に基づいて補正し、得られた補正出力と前記第1の光フィルタ及び前記第2の光フィルタのいずれか他方の出力との差分を算出することを特徴とする付記1記載の光変調装置。
【0092】
(付記5)前記算出部は、
前記合成部によって変調信号が合成される際に出力される位相共役光であって合成信号と位相共役の位相共役光から上側周波数成分及び下側周波数成分を取得し、取得された上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差を算出することを特徴とする付記1記載の光変調装置。
【0093】
(付記6)前記合成部によって合成されて得られた合成信号をRZ(Return to Zero)変調するRZ変調部をさらに備え、
前記算出部は、
前記RZ変調部によってRZ変調される前の合成信号から上側周波数成分及び下側周波数成分を取得し、取得された上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差を算出することを特徴とする付記1記載の光変調装置。
【0094】
(付記7)前記調整部は、
前記第1変調部及び前記第2変調部それぞれへ入力される入力信号の遅延差を所定幅ずつ変更する制御を行うことを特徴とする付記1記載の光変調装置。
【0095】
(付記8)前記調整部は、
前記算出部によって算出されたパワー差が所定の閾値未満である場合は、前記遅延差の制御を終了することを特徴とする付記7記載の光変調装置。
【0096】
(付記9)前記調整部は、
前記遅延差を所定幅変更した結果、前記算出部によって算出されるパワー差が増大した場合に、前記遅延差の制御方向を反転することを特徴とする付記7記載の光変調装置。
【0097】
(付記10)前記調整部は、
前記算出部によって算出されたパワー差に基づいて、クロック信号に対する2つの異なるシフト量を決定する決定部と、
前記決定部によって決定されたそれぞれのシフト量だけクロック信号の位相をシフトするシフト部と、
前記シフト部によって位相がシフトされたクロック信号をそれぞれ基準として、前記第1変調部及び前記第2変調部へ入力される入力信号に遅延を付与する付与部と、
を含むことを特徴とする付記1記載の光変調装置。
【0098】
(付記11)第1変調部及び第2変調部を備える多値変調部へ入力される入力信号であって既知パターンを有する入力信号を用いて光源が発する光源光を前記第1変調部において変調する第1変調ステップと、
前記第1変調ステップにて変調される入力信号と同一の既知パターンを有する入力信号を用いて前記光源光を前記第2変調部において変調する第2変調ステップと、
前記第1変調ステップ及び前記第2変調ステップにて前記光源光が変調されて得られた変調信号を合成する合成ステップと、
前記合成ステップにて合成されて得られた合成信号の中心周波数よりも高い周波数を有する上側周波数成分と中心周波数よりも低い周波数を有する下側周波数成分とのパワー差を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにて算出されたパワー差に基づいて前記第1変調部及び前記第2変調部へ入力される入力信号の遅延量を調整する調整ステップと、
を有することを特徴とする光変調方法。
【符号の説明】
【0099】
100a、102 LD
100b 第1変調部
100c 第2変調部
100d、104 光カプラ
100e、100f フィルタ
100g、107、402 パワー差算出部
100h 遅延量調整部
101 交番信号発生部
103 DQPSK変調部
103a Iアーム変調部
103b Qアーム変調部
103c 移相部
105a、105b BPF
106a、106b、501 PD
108 シフト量決定部
109a、109b 位相シフト部
110a、110b 遅延付与部
111a、111b ドライバ
301a、301b エタロンフィルタ
401a、401b 光フィルタ
502 RZ変調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知パターンを有する入力信号を用いて光源が発する光源光を変調する第1変調部と、
前記第1変調部によって変調される入力信号と同一の既知パターンを有する入力信号を用いて前記光源光を変調する第2変調部と、
前記第1変調部及び前記第2変調部によって前記光源光が変調されて得られた変調信号を合成する合成部と、
前記合成部によって合成されて得られた合成信号の中心周波数よりも高い周波数を有する上側周波数成分と中心周波数よりも低い周波数を有する下側周波数成分とのパワー差を算出する算出部と、
前記算出部によって算出されたパワー差に基づいて前記第1変調部及び前記第2変調部へ入力される入力信号の遅延量を調整する調整部と、
を有することを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
前記算出部は、
上側周波数成分に対応する帯域を透過帯域とする第1のバンドパスフィルタと、
下側周波数成分に対応する帯域を透過帯域とする第2のバンドパスフィルタと、を含み、
前記第1のバンドパスフィルタの出力と前記第2のバンドパスフィルタの出力との差分を算出することを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項3】
前記算出部は、
合成信号の中心周波数とは異なる周波数を透過させる周期的な透過帯域を有する第1のエタロンフィルタと、
合成信号の中心周波数とは異なる周波数を透過させ、かつ前記第1のエタロンフィルタと相補的な透過帯域を有する第2のエタロンフィルタと、を含み、
前記第1のエタロンフィルタの出力と前記第2のエタロンフィルタの出力との差分を算出することを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項4】
前記算出部は、
光の波長が長くなるほど透過率が減少する透過特性を有する第1の光フィルタと、
光の波長が長くなるほど透過率が増大する透過特性を有する第2の光フィルタと、を含み、
前記第1の光フィルタ及び前記第2の光フィルタのいずれか一方の出力を透過特性の相違に基づいて補正し、得られた補正出力と前記第1の光フィルタ及び前記第2の光フィルタのいずれか他方の出力との差分を算出することを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項5】
前記算出部は、
前記合成部によって変調信号が合成される際に出力される位相共役光であって合成信号と位相共役の位相共役光から上側周波数成分及び下側周波数成分を取得し、取得された上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差を算出することを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項6】
前記合成部によって合成されて得られた合成信号をRZ(Return to Zero)変調するRZ変調部をさらに備え、
前記算出部は、
前記RZ変調部によってRZ変調される前の合成信号から上側周波数成分及び下側周波数成分を取得し、取得された上側周波数成分及び下側周波数成分のパワー差を算出することを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項7】
前記調整部は、
前記第1変調部及び前記第2変調部それぞれへ入力される入力信号の遅延差を所定幅ずつ変更する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項8】
前記調整部は、
前記算出部によって算出されたパワー差が所定の閾値未満である場合は、前記遅延差の制御を終了することを特徴とする請求項7記載の光変調装置。
【請求項9】
前記調整部は、
前記遅延差を所定幅変更した結果、前記算出部によって算出されるパワー差が増大した場合に、前記遅延差の制御方向を反転することを特徴とする請求項7記載の光変調装置。
【請求項10】
第1変調部及び第2変調部を備える多値変調部へ入力される入力信号であって既知パターンを有する入力信号を用いて光源が発する光源光を前記第1変調部において変調する第1変調ステップと、
前記第1変調ステップにて変調される入力信号と同一の既知パターンを有する入力信号を用いて前記光源光を前記第2変調部において変調する第2変調ステップと、
前記第1変調ステップ及び前記第2変調ステップにて前記光源光が変調されて得られた変調信号を合成する合成ステップと、
前記合成ステップにて合成されて得られた合成信号の中心周波数よりも高い周波数を有する上側周波数成分と中心周波数よりも低い周波数を有する下側周波数成分とのパワー差を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにて算出されたパワー差に基づいて前記第1変調部及び前記第2変調部へ入力される入力信号の遅延量を調整する調整ステップと、
を有することを特徴とする光変調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−197436(P2011−197436A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64531(P2010−64531)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人情報通信研究機構、「λユーティリティ技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】