説明

光学式センサ

【課題】所望の検出精度を保持しつつ薄型化を実現した光学式センサを提供すること。
【解決手段】光学式センサ1を次のように構成する。すなわち、光を検出する光検出器102と、前記光検出器102が埋め込まれ、少なくとも3層から成る基板104と、を光学式センサ1に具備させる。ここで、前記基板104は、少なくともカバー層104aとスペーサ層104bとベース層104cとを有し、且つ、前記光検出器102に対する電気的導通部である配線108Wが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な光学式センサは、例えば特許文献1に開示されているような構成を採っている。図10は、特許文献1に開示されている光学式エンコーダの断面構造を示す側面断面図である。同図に示すように、セラミックパッケージ601の内部底面には、Agペースト602を介して、光機能素子としての光検出機能素子である光検出器(PD)610が集積されたICチップ603が実装されている。
【0003】
このICチップ603上には、電極ランド604が形成されている。この電極ランド604は、Agペースト602を用いて面発光レーザ(SEL)605の下部の電気的接続が確保されている。
前記面発光レーザ(SEL)605の上部電極606と、ICチップ603上に形成された電極パッド607とは、Auワイヤー608により電気的接続が確保されている。また、セラミックパッケージ601に形成された電極609と、ICチップ603の電極パッド607とは、Auワイヤー608により電気的接続が確保されている。これにより、ICチップ603とセラミックパッケージ601とが電気的に導通している。さらに、セラミックパッケージ601の上面には、樹脂接着剤611を介してガラス部材612が接着されている。
【0004】
なお、符号622が付されているのは検出対象物であり、符号620及び符号621が付されているのは、レーザビームである。
上述のように構成することで、光検出器610が集積されたICチップ603をセラミックパッケージ601の内部に搭載し、Auワイヤー608でICチップ603とセラミックパッケージ601との間に電気的な導通をとり、且つ、Auワイヤー608による接続やICチップ603等の保護の為にガラス部材612で蓋をした光学式エンコーダが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−45284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したような従来の光学式センサは、その構造に起因して、或る程度の厚みを有する。つまり、薄型化が非常に困難である。
具体的には、例えば下記の構成が当該光学式センサの厚みを増す要因となっている。
・セラミックパッケージ601中にICチップ603を配設し、セラミックパッケージ601とICチップ603とをAuワイヤー608で電気的に接続する為に、セラミックパッケージ601における高さ方向の空間を確保する必要がある。
・前記Auワイヤー608に力が加わらないようにする為に、セラミックパッケージ601の高さ方向の空間を確保する必要がある。
・強度を考慮して、所定の厚みのあるガラス部材612を配設する構成が、当該光学式センサの厚みを増す要因となっている。
・セラミックパッケージ601とICチップ603とをAuワイヤー608で電気的に接続する為に、セラミックパッケージ601とICチップ603との間隔も或る程度確保する必要がある(その為の面積を要する)。
【0007】
従って、従来の光学式センサは、ICチップ603の大きさに比べると大型な装置となってしまう。そして、その大きさの為に、従来の光学式センサは、所定の大きさの配設空間を確保し難い場所で利用することが困難である。
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、所望の検出精度を保持しつつ薄型化を実現した光学式センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の一態様による光学式センサは、
光を検出する光検出器と、
前記光検出器が埋め込まれ、少なくとも3層から成る基板と、
を具備し、
前記基板は、
少なくともカバー層とスペーサ層とベース層とを有し、且つ、前記光検出器に対する電気的導通部が設けられている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望の検出精度を保持しつつ薄型化を実現した光学式センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る光学式センサの上面図。
【図2】第1実施形態に係る光学式センサの側面断面図。
【図3】第2実施形態に係る光学式センサの上面図。
【図4】第2実施形態に係る光学式センサの側面断面図。
【図5】第2実施形態の変形例に係る光学式センサのカバー層の上面図。
【図6】第3実施形態に係る光学式センサの上面図。
【図7】第3実施形態に係る光学式センサの側面断面図。
【図8】第4実施形態に係る光学式センサの側面断面図。
【図9】第4実施形態の変形例に係る光学式センサの側面断面図。
【図10】従来の光学式エンコーダの側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る光学式センサについて、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る光学式センサについて説明する。図1は、本第1実施形態に係る光学式センサの上面図である。なお、図1に示す上面図においては、上面側から当該光学式センサを観た場合に不可視となる構成要素については破線で示している。また、図面の煩雑化を防ぐ為に、一部の構成要素については図示を省略している。
図2は、本第1実施形態に係る光学式センサを図1における矢印Yで示す方向から観た側面断面図である。なお、説明の便宜上、図2に示す側面断面図では、本第1実施形態に係る光学式センサの主要な構成要素を仮想的に可視化して示している(換言すれば、特定の断面についての側面断面図ではない)。
【0012】
光学式センサ1は、チップ101と、光検出器102と、チップ上面側端子103uと、チップ下面側端子103dと、基板104と、カバー層側端子105uと、ベース層側端子105dと、接着剤106と、導通材107と、配線108Wと、カバー層側外部端子109uと、ベース層側外部端子109dと、樹脂材110と、を具備する。
【0013】
前記チップ101は、光学式センサの主要部品たる光検出器102が搭載された半導体基板であり、例えば樹脂系或いはガラス系等の材料から成る。
また、前記チップ101には、光検出器102と後述するチップ上面側端子103uとの間で入出力される全ての信号/一部の信号に対して所定の変換処理等を施す信号処理回路(不図示)、及び、光検出器102や信号処理回路(不図示)等を静電気等から電気的に保護する為の保護素子(不図示)が、必要に応じて搭載されている。
【0014】
ここで、前記チップ101の下面(後述するチップ下面側端子103dを含む)は、例えばAgペーストや金属のプリフォーム(例えばAuやSn等をベースとした金属ろう材)等から成る電気的導通性を有する接着剤106によって基板104(のベース層104c)に対して接着されている。つまり、当該チップ101は、基板104に搭載されている。
【0015】
なお、チップ101の下面の電位を検出する必要性が無い場合には、接着剤106に導電性は不要である。
前記チップ上面側端子103uは、光検出器102の信号を出力するための端子であり、チップ101の上面に設けられている。図1に示す例では、6個のチップ上面側端子103uがチップ101の上面に設けられているが、チップ上面側端子103uは少なくとも1つ以上設けられていればよく、個数は任意である。
【0016】
前記チップ下面側端子103dは、チップ101の下面側の電位を検出する電極である。なお、チップ101の下面側の電位を検出する必要が無い場合には、チップ下面側端子103dに導電性は不要である。この場合、単純に当該光学式センサ1の形状を保持する為のダミー端子としてチップ下面側端子103dを設けてもよい。
【0017】
前記基板104は、フレキシブルな材質(例えばポリイミド等)で構成されたフィルム状の基板であり、カバー層104aとスペーサ層104bとベース層104cとの3層から成る。
詳細には、基板104は、例えば略50μm程度の厚さを有するフィルム状のフレキシブル基板であり、後述の構成により当該基板104中にチップ101が封止され、光学式センサとして機能する。
【0018】
従って、光学式センサ1を、例えば300μm〜400μm程度の厚さに構成することが可能である。従来の光学式センサは、通常、底部だけで0.5mm程度の厚さを有することを鑑みると、本第1実施形態に係る光学式センサにより実現された薄型化が格別であることが理解できる。なお、光検出器102が搭載されているチップ101は、厚いものでは例えば800μm程度の厚みを有することを鑑みると、本第1実施形態に係る光学式センサ1により実現された薄型化が格別であることが理解できる。
【0019】
なお、基板104の厚みは、例えば電気的接続、絶縁、及び遮光性等の光学式センサに必要な最低限の機能を保持するのに要する最低限の厚みであればよい。すなわち、基板104は、当該基板104自身では当該光学式センサ1の硬さを決定しない曲げ性を有するように構成されている。
【0020】
前記カバー層104aには、各チップ上面側端子103uとの電気的導通をとる為のカバー層側端子105uと、当該基板104と外部との電気的導通をとる為のカバー層側外部端子109uと、が設けられている。さらに、カバー層104aには、カバー層側端子105uとカバー層側外部端子109uとの間をそれぞれ電気的に接続する為の電気的導通部である配線108Wが設けられている。
【0021】
ここで、前記カバー層104aは、図1及び図2に示すように光検出器102の上部を覆わない形状/大きさに構成されている。これにより、光検出器102に光が入射することが可能となる。
なお、カバー層104aのうち光検出器102の上部に対応する領域を、検出対象の波長の光を必要な割合だけ透過させる材料で構成すれば、カバー層104aによってチップ101の上面全体を覆ってもよい。さらに、同領域を光透過樹脂や、光学フィルタ効果を有する材料によって覆う構造としても、当該光学式センサ1内への粉塵等の侵入防止効果を得ることができる。
【0022】
前記ベース層104cには、チップ101のチップ下面側端子103dに対して接着剤106を介して電気的に接続されたベース層側端子105dと、チップ101のチップ上面側端子103uに対して配線108Wによって電気的に接続されたベース層側外部端子109dと、が設けられている。
【0023】
前記カバー層側端子105uは、カバー層104aに設けられた電極であり、チップ101との対向面のうち各チップ上面側端子103uに対応する位置に設けられている。このカバー層側端子105uによって、導通材107(詳細は後述する)を介してチップ上面側端子103uの電位が基板104に伝達される。
【0024】
前記ベース層側端子105dは、ベース層104cに設けられた電極であり、チップ101との対向面のうちチップ各下面側端子103dに対応する位置に設けられている。このベース層側端子105dによって、接着剤106を介してチップ101下面の電位が基板104に伝達する。
【0025】
なお、チップ101下面の電位を検出する必要性が無い場合には、チップ下面側端子103d、接着剤106、及びベース層側端子105dに導電性は不要である。この場合、ベース層側端子105dは、チップ101の位置合わせの為にのみ利用される。
前記導通材107は、例えばAuやSn等をベースとした金属ボール或いは縦方向(光学式センサ1の厚み方向)にのみ電気的導通性を有する構造の樹脂材/ゴム系等の導通材である。この導通材107は、前記チップ上面側端子103uと前記カバー層側端子105uとを電気的に導通するように接合している。
【0026】
つまり、光検出器102により生成された電気信号は、チップ101から導通材107を介して基板104へ伝達される。
前記カバー層側外部端子109uは、当該光学式センサ1の外部との電気的導通をとる為の電極であり、フレキシブルな材料で構成されている。このカバー層側外部端子109uは、カバー層104aに設けられた電気的導通部である配線108Wによって、チップ上面側端子103uに対して電気的に接続されている。
【0027】
図1に示す例では、4個のカバー層側外部端子109uが設けられているが、カバー層側外部端子109uは少なくとも1つ以上設けられていればよく、個数は任意である。
前記ベース層側外部端子109dは、基板104の下面側(ベース104c側)からもチップ101の電位をとるように構成する場合に設ける電極である。このベース層側外部端子109dもフレキシブルな材料で構成されており、カバー層104a、スペーサ層104b、及びベース層104cに亘って設けられている電気的導通部である配線108Wによって、チップ上面側端子103uに対して電気的に接続されている。なお、このベース層側外部端子109dは必須の構成要件ではなく、必要に応じて設ければよい。
【0028】
前記樹脂材110は、前記カバー層104aと前記チップ101との間に充填され、それらを貼り合わせている電気的導通性の無い樹脂材、または導通材107で導通している端子同士の電気的導通をとる異方性導電膜(ACF)等である。この樹脂材110は、導通材107によるチップ上面側端子103uとカバー層側端子105uとの接合の強度向上や、当該光学式センサ1自体の構成強度向上、構成形状保持、及び導通材107の補助、またはその機能の代替として必要に応じて設けられる。
【0029】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、所望の検出精度を保持しつつ薄型化を実現した光学式センサを提供することができる。具体的には、例えば次のような効果を奏する光学式センサが提供される。
・基板104を略50μm程度の厚さで構成でき、チップ101と基板104との接合構造についても略50μm程度の厚さで構成できる。従って、実質的には、光検出器102が搭載されたチップ101の厚さと略同程度の厚さの光学式センサが実現する。具体的には、チップ101の厚さが例えば略250μm程度であれば、光学式センサ1全体の厚さを例えば略450μm程度で構成可能である。
・基板104は上述したようにフィルム状のフレキシブル基板であるので、チップ101が存在する部位以外の部位については曲げることが可能である。これにより、当該光学式センサ1の取り付けに関して自由度を持たせることができる。
【0030】
なお、上述したようにカバー側外部端子109u及びベース層側外部端子109dはフレキシブルな材質で構成されているので、当該光学式センサ1を例えばフレキコネクタ等へ固定する場合には、基板104の一部に所定の硬さを有する基板を貼り付けたり、置き換えたりして構成しても良い。
【0031】
また、基板104の幅及び長さは、チップ101の幅及び長さに応じて適宜設定すれば良い。また、光学式センサ1の大きさ(幅方向/長さ方向)を余裕もって設計できる場合には、当該余裕空間に、チップ101の周囲全体或いは一部にスペーサ層を設けても良い。
【0032】
さらには、基板104は、上述した例ではベース層104cとスペーサ層104bとカバー層104aとの3層より成る構成であるが、4層以上に構成しても勿論よい。また、それぞれの層を構成する部材は互いに異なっていても良い。
また、全ての層(本例ではベース層104cとスペーサ層104bとカバー層104aと)が構成された状態の基板104に対して、チップ101等の他の部材を組み込んで構成してもよいし、一部の層(例えばベース層104cとスペーサ層104bと)が構成された状態の基板104に対してチップ101等の他の部材を組み込んで構成し、その後にカバー層104aを形成して最終的な構成とする等しても良い。つまり、光学式センサ1の組立工程は任意である。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る光学式センサについて説明する。説明の重複を避ける為に、第1実施形態に係る光学式センサとの相違点について説明する。第1実施形態に係る光学式センサとの主な相違点の一つは、光学式センサを構成する基板におけるカバー層の構成である。
【0033】
図3は、本第2実施形態に係る光学式センサの上面図である。なお、図3に示す上面図においては、上面側から当該光学式センサを観た場合に不可視となる構成要素については破線で示している。また、図面の煩雑化を防ぐ為に、一部の構成要素については図示を省略している。
図4は、本第2実施形態に係る光学式センサを図3における矢印Yで示す方向から観た側面断面図である。なお、説明の便宜上、図4に示す側面断面図では、本第2実施形態に係る光学式センサの主要な構成要素を仮想的に可視化して示している(換言すれば、特定の断面についての側面断面図ではない)。
【0034】
本第2実施形態に係る光学式センサ1を構成する基板204は、第1実施形態に係る光学式センサ1と同様に、カバー層204aとスペーサ層204bとベース層204cとの3層から成る。ここで、第1実施形態に係る光学式センサ1との相違点であるカバー層204aは、次のように構成されている。
【0035】
すなわち、カバー層204aは、チップ101上面全体を覆うように構成され、且つ、図3に示すように光検出器102の上部に対応する部位には開口領域220aが形成されている。この開口領域220aにより、光検出器102に光が入射することが可能となる。
【0036】
上述の構成を採ることで、図3及び図4に示すように、チップ101全体をカバー層204aとスペーサ層204bとベース層204cとで取り囲むように封止することができる。
ところで、本第2実施形態に係る光学式センサ1においては、チップ101とスペーサ層204bとの間に生じた隙間には樹脂材235が充填されている。このような構成とすることにより、更なる信頼性の向上が実現する。
【0037】
以上説明したように、本第2実施形態によれば、第1実施形態に係る光学式センサと同様の効果を奏する上に、防塵効果を高めた光学式センサを提供することができる。
ところで、開口領域220aを物理的な開口構造として設けるのではなく、カバー層204aのうち少なくとも光検出器102の上部に対応する部位を、光検出器102による検出対象の波長の光を必要な割合だけ透過させる材料(例えば樹脂やガラス等)で形成することにより、実質的な開口部位として光学的に開口領域220aを設けてもよい。このように構成することで、更に防塵効果を高めることができる。
【0038】
なお、開口領域220aを物理的な開口構造として設ける場合には、カバー層204aを構成する材料は、光検出器102が検出する波長の光を必要な割合だけ透過させることができない材料であってもよい。つまり、材料選択の幅が広がる。
ところで、本第2実施形態に係る光学式センサ1を次のように変形することで、当該光学式センサ1にエンコーダ機能を具備させることができる。
《変形例》
図5は、第2実施形態の一変形例に係る光学式センサ1のカバー層204aの構成を示す上面図である。なお、図5に示す上面図においては、上面側から当該光学式センサを観た場合に不可視となる構成要素については破線で示している。また、図面の煩雑化を防ぐ為に、一部の構成要素については図示を省略している。
同図に示すように、本変形例では、カバー層204aは、チップ101上面全体を覆うように構成され、且つ、図3に示すように光検出器102の上部に対応する部位にはスリット構造220bが形成されている。
【0039】
以上説明したように、本変形例によれば、第2実施形態に係る光学式センサと同様の効果を奏する上に、当該光学式センサ1の厚み及び幅を変更することなく、エンコーダ機能を付加させた光学式センサを提供することができる。
なお、スリット構造220bを物理的なスリット構造として設けるのではなく、光検出器102による検出対象の波長の光を必要な割合だけ透過させる材料(例えば樹脂やガラス等)、あるいは光を遮光させる材料(メタル材、カーボン入り樹脂等)を利用することにより実質的にスリットとして機能するように光学的にスリット構造220bを設けてもよい。このように構成することで、更に防塵効果を高めることができる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る光学式センサについて説明する。説明の重複を避ける為に、第2実施形態に係る光学式センサとの相違点について説明する。第2実施形態に係る光学式センサとの主な相違点の一つは、当該光学式センサの外部との電気的導通をとる為の外部端子の配設構造である。
【0040】
図6は、本第3実施形態に係る光学式センサの上面図である。なお、図6に示す上面図においては、上面側から当該光学式センサを観た場合に不可視となる構成要素については破線で示している。また、図面の煩雑化を防ぐ為に、一部の構成要素については図示を省略している。
図7は、本第3実施形態に係る光学式センサを図6における矢印Yで示す方向から観た側面断面図である。なお、説明の便宜上、図7に示す側面断面図では、本第3実施形態に係る光学式センサの主要な構成要素を仮想的に可視化して示している(換言すれば、特定の断面についての側面断面図ではない)。
【0041】
図6及び図7に示すように、本第3実施形態に係る光学式センサ1では、当該光学式センサ1の外部との電気的導通をとる為の外部端子309が、基板304のベース層304cのうち、チップ101の搭載領域に対応する部位に配設されている。つまり、外部端子309の配設の為だけの部位を基板304に別途設けず、ベース層304cにおける未使用部位を利用する。
【0042】
各々の外部端子309には、例えばAuやSn等から成るボール部材311が接着等により設けられている。各外部端子309は、それぞれボール部材311を介して外部との電気的導通をとる。外部端子309とボール部材311とは略同程度の大きさに構成されている。
【0043】
ここで、各々の外部端子309は、それぞれ配線308Wを介して、対応するカバー層側端子105uに対して電気的に接続されている。
以上説明したように、本第3実施形態によれば、第2実施形態に係る光学式センサと同様の効果を奏する上に、小面積(チップ101の面積と略同程度の面積)化を実現した光学式センサを提供することができる。つまり、薄型化と小面積化とを共に実現した光学式センサを提供することができる。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態に係る光学式センサについて説明する。説明の重複を避ける為に、第2実施形態に係る光学式センサとの相違点について説明する。第4実施形態に係る光学式センサは、エンコーダ仕様に構成された光学式センサである。
【0044】
図8は、本第4実施形態に係る光学式センサの側面断面図(第2実施形態に係る光学式センサにおける図4に示す側面断面図に対応)である。
図8に示すように、本第4実施形態に係る光学式センサ1は、光源部400と、変位を検出する為の所定周期のパターンが形成されたエンコーダスケール440と、機能部500と、を更に具備する。
【0045】
前記光源部400は、基板404中に配設された光源430(例えばLEDやSEL等)と、光源430の上面に設けられた上面電極433uと、光源430の下面に設けられた下面電極433dと、カバー層404aに設けられた光源用端子435と、光源430の上面電極433uとカバー層404aの光源用端子435とを電気的に接合する導通材432と、光源430の下面電極433dとベース層404cとを電気的に接合する導電性のペースト431と、を有する。
【0046】
前記光源430は、その投光面が光検出器102の受光面と同一平面になるように、基板404中に配設されている光源である。図8に示す例では、光源430は、当該光源430の上面に設けられた上面電極433u及び下面に設けられた下面電極433dによって、発光/発振の為の電気的導通をとるタイプの光源である。
【0047】
なお、光源430を、上面電極433uのみで発光/発振の為の電気的導通をとるタイプの光源として構成してもよいし、下面電極433dのみで発光/発振の為の電気的導通をとるタイプの光源として構成してもよい。
前記導通材432は、例えばAuやSn等から成る金属ボール或いは縦方向のみに電気的導通を行うことのできる構造の樹脂材/ゴム系等から成る部材である。
【0048】
上述の構成により、光源430が発光/発振した光は、エンコーダスケール440の周期的パターンに対して照射され、エンコーダスケール440により反射され、該反射光が光検出器102によって受光される。
前記光源430上に格子が必要な場合には、例えば第2実施形態に係る光学式センサ1のカバー層204aのスリット220bのように、カバー層404aにスリットを形成すればよい。つまり、上述した第2実施形態を、前記カバー層404aに適用すればよい。
【0049】
上述の構成を採る本第4実施形態に係る光学式センサは、例えば周期性(略正弦波状信号や略三角波状信号等)のアナログ信号を出力するエンコーダ、或いは、前記アナログ信号に対して2値化処理や分解能を向上させる逓倍処理等を施し、変位量をデジタルカウンタで計数可能な信号として出力するエンコーダとして機能する。
【0050】
そして、これらの信号処理に係る機能は、チップ101に搭載してもよいし、図8に示すように一部の機能(例えば逓倍処理機能等)を独立した部品である機能部500に担わせ、該機能部500を当該基板404中に配設する構成としてもよい。
前記機能部500は、基板404中に配設された機能部品450と、機能部品450の上面に設けられた上面電極453uと、カバー層404aに設けられた機能部品用端子455と、機能部品450の上面電極453uとカバー層404aの機能部品用端子455とを電気的に接合する導通材457と、機能部品450の下面とベース層404cとを接合するペースト451と、を有する。
【0051】
なお、機能部500の個数は任意であり、所望数の機能部500を設けてよい。機能部500に担わせる機能としては、例えば原点位置検出機能や絶対位置検出機能等を挙げることができる。また、機能部500の配設位置は、チップ101や光源430から離間した位置であっても或いは近接した位置であっても構わない。
【0052】
以上説明したように、本第4実施形態によれば、所望の精度を保持しつつ薄型化を実現した光学式エンコーダを提供することができる。すなわち、光学式エンコーダの主要部品であるチップ101や光源430の厚み(例えば略250μm程度)に応じた非常に薄い光学式エンコーダを提供することができる。
《変形例》
ところで、図8に示す例では、光源430の厚みとチップ101の厚みとが略同一に構成されており、これにより光源430の投光面と光検出器102の受光面とが同一平面を為している。
【0053】
しかしながら、光源430の厚みとチップ101の厚みとが互いに異なる場合であっても、例えば図9に示すように、ベース層404cに段差部510を設けることで、光源430の投光面と光検出器102の受光面とが同一平面を為すように調整することができる。
【0054】
以上、第1実施形態乃至第4実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0055】
101…チップ、 102…光検出器、 103u…チップ上面側端子、 103d…チップ下面側端子、 104…基板、 104a…カバー層、 104b…スペーサ層、 104c…ベース層、 105…面発光レーザ、 105u…カバー層側端子、 105d…ベース層側端子、 106…接着剤、 107…導通材、 108W…配線、 109u…カバー層側外部端子、 109d…ベース層側外部端子、 109u…カバー側外部端子、 110…樹脂材、 201…チップ、 202…光検出器、 204…基板、 204a…カバー層、 204b…スペーサ層、 204c…ベース層、 220a…開口領域、 220b…スリット、 235…樹脂材、 304…基板、 304c…ベース層、 308w…配線、 309…外部端子、 311…ボール部材、 400…光源部、 401…チップ、 402…光検出器、 404…基板、 404a…カバー層、 404c…ベース層、 430…光源、 431…ペースト、 432…導通材、 433u…上面電極、 433d…下面電極、 435…光源用端子、 440…エンコーダスケール、 450…機能部品、 451…ペースト、 453u…上面電極、 455…機能部品用端子、 457…導通材、 500…機能部、 510…段差部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を検出する光検出器と、
前記光検出器が埋め込まれ、少なくとも3層から成る基板と、
を具備し、
前記基板は、
少なくともカバー層とスペーサ層とベース層とを有し、且つ、前記光検出器に対する電気的導通部が設けられている
ことを特徴とする光学式センサ。
【請求項2】
前記基板は、曲げ性を有する材料で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項3】
前記カバー層は、光線を透過或いは通過させる光透過/通過部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項4】
前記光透過/通過部は、前記光検出器との対向部位に設けられた開口形状の領域である
ことを特徴とする請求項3に記載の光学式センサ。
【請求項5】
前記光透過/通過部は、前記光検出器との対向部位に設けられたスリット形状の領域である
ことを特徴とする請求項3に記載の光学式センサ。
【請求項6】
前記基板には、前記基板の外部に向かって光を照射する光源が埋め込まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項7】
前記光源によって照射されるエンコーダスケールと、
前記エンコーダスケールと前記光検出器との相対変位を検出し、90度位相差の2相の略正弦波状アナログ信号をする信号生成部と、
を含み、
前記光検出器と前記光源とは、前記光検出器の受光面と前記光源の投光面とが平行を為すように、前記基板中に埋め込まれている
ことを特徴とする請求項6に記載の光学式センサ。
【請求項8】
前記信号生成部は、前記基板中に埋め込まれた機能性部品である
ことを特徴とする請求項7に記載の光学式センサ。
【請求項9】
前記光源と前記光検出器とは、略同じ厚みを有するように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光学センサ。
【請求項10】
前記ベース層の厚みは、前記光検出器の受光面と前記光源の投光面とが平行を為すように設定されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光学式センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−21884(P2012−21884A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160029(P2010−160029)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】