説明

光学式測定装置及び光学式測定方法

【課題】 凹凸を有する被測定物の形状を高精度に測定できるようにすること。
【解決手段】 光学式測定装置は、測定用光を出力する光源105、107、109と被測定物114、115で反射してきた前記測定用光を検出する光検出部106、108、110とを有する複数の測定部101〜103と、複数の測定部101〜103で検出した測定用光に基づいて被測定物114、115の形状を算出する制御部104とを備えており、各測定部101〜103の光源105、107、109から出力される測定用光の光軸は相互に交差しないと共に所定範囲内の共通領域113を通るように各光源105、107、109は測定用光を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源で発生する測定用光を被測定物に照射すると共に前記被測定物で反射した前記測定用光を検出し、前記検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状等を測定する光学式測定装置及び前記光学式測定装置を用いた光学式測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ光源等の光源から発生したレーザ光線等の測定用光を被測定物に照射し、被測定物で反射した前記測定用光を検出することによって、前記被測定物の形状や所定位置からの前記被測定物の距離等を測定するようにした光学式測定装置が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図4は、非特許文献1に記載された光学式測定装置の測定原理を示す原理図であり、三角測距方式の測定原理を示している。
図4において、401は所定位置から被測定物mまでの距離や被測定物mの形状等を測定するための測定用光を出力する光源としての発光素子(例えば、半導体レーザや赤外線発光ダイオード)、402は投光レンズ、403は受光レンズ、404は光検出部としてのPSD(Position Sensitive Detector)、405は投光レンズ402の光学軸(レンズの中心を通りレンズ面に直角な軸)、406は受光レンズ403の光学軸、mは被測定物である。尚、光検出部としては、PSD404の代わりにCCD(Charge Coupled Device)等も使用可能であるが、以下の説明ではPSD404を用いた例で説明する。
【0004】
発光素子401から出力された測定用光は、投光レンズ402によって所定の指向性が付与され、被測定物mに照射される。被測定物mに到達した測定用光は、被測定物mによって乱反射され、該反射光の一部が受光レンズ403によってPSD404上にスポット(点)として集光される。
これにより、被測定物mで反射された測定用光はPSD404によって検出される。このとき、PSD404上の受光スポットは、受光レンズ403と被測定物mとの距離に応じて、その位置が変化する。したがって、PSD404上の受光スポット位置を電気的に検出することにより、予め定めた所定位置から被測定物mまでの距離を測定することが可能になる。
【0005】
これを図4を用いて説明すると、投光レンズ402と受光レンズ403の中心間距離(基線長)をA、受光レンズ403の焦点距離をfとし、投光レンズ402から出力される測定用光の広がりやレンズ402、403の厚み・収差は無視し、受光レンズ403から距離fの位置にPSD404の受光面があるものとする。この場合、所定位置である投光レンズ402から被測定物mまでの距離dは、中心間距離A、焦点距離f及び受光スポットの位置Xを用いて、幾何学的に次式で求められる。
d=A・f/X
中心間距離A及び受光レンズ403の焦点距離fは既知の値であるため、PSD404における受光スポットの位置Xを検出することにより、所定位置から被測定物mまでの距離、被測定物mの形状、被測定物mの移動量等を光学的に測定することができる。以上のようにして、簡単な構成で高精度に、被測定物mの形状等を測定することが可能である。
【0006】
ところで、被測定物には凸部や凹部を有するものが多々存在する。図5は、凸部502及び凹部503を有する被測定物501の形状を測定する場合の説明図であり、同図(a)は凸部502の形状を測定する場合の説明図、同図(b)は凹部503の形状を測定する場合の説明図である。
被測定物501の凸部502の形状を測定する場合には、図5(a)に示すように、光学式測定装置(図示せず)から測定用光504を被測定物501の凸部502に照射し、凸部502で反射した前記測定用光を光学式測定装置で検出し、所定の形状算出処理を行うことによって被測定物501の凸部502の形状を算出する。
【0007】
このとき、凸部502の中央部付近では、光学式測定装置からの測定用光が被測定物501の凸部502の面に対して略直角に照射されるため、凸部502に照射された測定用光の大部分は凸部502から光学式測定装置側に反射する。したがって、光学式測定装置では該反射した測定用光を良好に検出することができるため、該検出した測定用光に基づいて被測定物501の凸部形状等を算出することが可能になり、高精度な測定が可能になる。
【0008】
しかしながら、凸部502の端部付近では、光学式測定装置からの測定用光が被測定物501の凸部502の面に対して略平行に照射されることになるため、凸部502に照射された測定用光の大部分は凸部502から光学式測定装置側へ反射しないことになる。したがって、光学式測定装置では該反射した測定用光を良好に検出することができないため、被測定物501の形状等の算出が困難になり、測定精度が劣化するという問題がある。
【0009】
一方、被測定物501の凹部503の形状を測定する場合には、図5(b)に示すように、光学式測定装置から測定用光504を被測定物501の凹部503に照射し、凹部503で反射した前記測定用光を光学式測定装置で検出し、所定の形状算出処理を行うことによって被測定物501の凹部503の形状を算出する。
このとき、凹部503の中央部付近では、光学式測定装置からの測定用光が被測定物501の凹部503の面に対して略直角に照射されるため、凹部503に照射された測定用光の大部分は凹部503から光学式測定装置側に反射する。したがって、光学式測定装置では該反射した測定用光を良好に検出することができるため、該検出した測定用光に基づいて被測定物501の凹部形状等を算出することが可能になり、高精度な測定が可能になる。
【0010】
しかしながら、凹部503の端部付近では、光学式測定装置からの測定用光が被測定物501の凹部503の面に対して略平行に照射されることになるため、凹部503に照射された測定用光の大部分は凹部503から光学式測定装置側へ反射しないことになる。したがって、光学式測定装置では該反射した測定用光を良好に検出することができないため、被測定物501の形状等の算出が困難になり、測定精度が劣化するという問題がある。
【0011】
また、図6に示すように、測定対象が車両の場合、車両本体301とドア本体302との間の間隙303を測定する必要性があるが、車両本体の端部304付近やドア本体302の端部305付近の形状や寸法を測定する必要があるが、端部304、305付近では、光学式測定装置からの測定用光が端部304、305の面に対して略平行に照射されるため、端部304、305の位置測定が困難であり、したがって、間隙303の距離の測定が困難という問題がある。
【非特許文献1】情報調査会より出版された「センサ技術」(1992年10月号(Vol.12.No.11))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、凹凸を有する被測定物の形状や端部を高精度に測定できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、測定用光を出力する光源と被測定物で反射してきた前記測定用光を検出する光検出部とを有する複数の測定手段と、前記複数の測定手段で検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状を算出する算出手段とを備え、前記各測定手段の光源から出力される測定用光の光軸は相互に交差しないと共に所定範囲内の共通領域を通るように前記各光源は測定用光を出力することを特徴とする光学式測定装置が提供される。
各測定手段の光源から出力される測定用光の光軸は相互に交差しないと共に所定範囲内の共通領域を通るように前記各光源は測定用光を出力する。算出手段は、前記複数の測定手段の光検出部で検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状を算出する。
【0014】
ここで、前記測定手段は3つ配設されて成り、前記算出手段は、前記各測定手段で検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状を算出するように構成してもよい。
また、前記各測定手段の光源は、同一円周上に等間隔に配設されて成るように構成してもよい。
また、前記算出手段は、前記3つの測定手段のうちの2つの測定手段で検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状を算出するように構成してもよい。
【0015】
また、本発明によれば、前記いずれか一に記載の光学式測定装置を用いて被測定物の形状を測定するとき、前記被測定物の凸面を測定するときには、前記被測定物を前記共通領域よりも前記各測定手段に近い位置に配設して測定を行うことを特徴とする光学式測定方法が提供される。被測定物の凸面を測定するときには、前記被測定物を共通領域よりも各測定手段に近い位置に配設して測定を行う。
ここで、前記いずれか一に記載の光学式測定装置を用いて被測定物の形状を測定するとき、前記被測定物の凹面を測定するときには、前記被測定物を前記共通領域よりも前記各測定手段から遠い位置に配設して測定を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光学式測定装置によれば、凹凸を有する被測定物の形状を高精度に測定することが可能になる。また、被測定物の端部を高精度に測定することが可能になる。
また、本発明の光学式測定方法によれば、凹凸を有する被測定物の形状を高精度に測定することが可能になる。また、被測定物の端部を高精度に測定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る光学式測定装置及び光学式測定方法について説明する。尚、本発明の実施の形態に係る光学式測定装置は、光学式測定装置の光源からの測定用光を被測定物に照射し、前記被測定物で反射した前記測定用光を前記光学式測定装置の光検出部で検出し、前記光検出部で検出した信号に基づいて算出手段により前記被測定物の形状や所定位置から前記被測定物までの距離等を測定するようにした光学式測定装置である。また、本発明の実施の形態に係る光学式測定方法は、前記光学式測定装置を用いて被測定物の形状等を測定する光学的測定方法である。以下の各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係る三角測距方式の光学式測定装置の外観斜視図、図2は図1に示した光学式測定装置の正面図であり、各々、形状等の測定対象である被測定物114、115とともに示している。
図1及び図2において、光学式測定装置は、複数(本実施の形態では3つ)の測定手段(第1の測定手段としての第1の測定部101、第2の測定手段としての第2の測定部102、第3の測定手段としての第3の測定部103)と、各測定部101〜103の制御や各測定部101〜103で検出した測定用光に基づいて被測定物の形状等を算出する制御部104とを備えている。
【0019】
各測定部101〜103は、所定の基準位置を基準とする既知の位置に配設されている。また、各測定部101〜103は電気ケーブルによって制御部104に電気的に接続されている。
各測定部101〜103には、異なる領域を(測定領域)を測定するように予め測定領域が割り当てられており、各測定部101〜103は被測定物の異なる領域を各々測定する。ここで、各測定部101〜103に割り当てられた測定領域とは、各測定部101〜103の光源105、107、109から出力される測定用光が被測定物で反射して所定割合以上反射して戻るような領域である。
【0020】
即ち、各光源105、107、109から出力される測定用光が被測定物の表面に対して、直角により近くなるような所定値以上の角度で入射する領域である。各測定部101〜103の測定領域を前記のような領域に割り当てることにより、各測定部101〜103の光源105、107、109から出力された測定用光は、多くが被測定物で反射して角測定部101〜103の光検出部106、108、110に戻り、検出されるため、凹凸部を有する被測定物の形状等の測定が良好に行われることになる。
【0021】
制御部104は、各測定部101〜103の光源105、107、109を、各測定部101〜103に割り当てられた各測定領域を測定用光で走査するように各光源105、107、109を回転制御する。
制御部104は、各測定部101〜103が各々担当して測定した被測定物の領域の測定データを合成することによって、全体的な被測定物の形状等を算出する。
【0022】
即ち、制御部104は、各測定部101〜103で測定して得られた被測定用光に対応する信号に基づいて、被測定物の全体的な形状を算出する。測定部101〜103は所定の基準位置を基準とする位置に配設されているため、各測定部101〜103で測定される測定用信号は、各測定部101〜103に共通する基準位置を基準とする信号であるため、制御部104は各測定部101〜103からの信号を容易に合成して被測定物の全体的な形状等を算出することができる。
【0023】
各測定部101〜103は、各々、測定用光を出力する光源(例えば、レーザ、発光ダイオード(LED))105、107、109と、被測定物から反射してきた測定用光を検出する光検出部(例えば、PSD(Position Sensitive Detector)、CCD(Charge Coupled Device))106、108、110を有している。光源105、107、109の発光は制御部104によって制御される。また、光検出部106、108、110によって検出した測定用光に対応する信号が制御部104に送信され、制御部104は算出手段として機能して、光検出部106、108、110で検出した測定用光に基づいて、被測定物の形状等を算出する。
【0024】
各測定部101〜103は、垂直方向に設けられた垂直軸112を中心とする円111の円周上に等間隔に配設されている。即ち、3つの測定部101〜103は、水平面内に設けられた同一の円111の円周上に等間隔(即ち、正三角形の頂点)に配設されている。
各測定部101〜103の光源105、107、109から出力される測定用光の光軸は相互に交差しないように構成されると共に、所定面積の円形領域である所定の共通領域113を通るように構成されている。
【0025】
各光源105、107、109から出力される測定用光の光軸は垂直軸112に対して所定角度内で傾斜するように構成される。共通領域113は、光源105、107、109によって構成される水平面内の面積が最も狭くなる部分の領域である。
本実施の形態では、共通領域113よりも各測定部101〜103に近い領域を第1領域、共通領域113よりも各測定部101〜103から遠い領域を第2領域とし、凸面形状を測定する被測定物114は第1領域に配設して測定し、凹面形状を測定する被測定物115は第2領域に配設して測定するようにしている。
【0026】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る光学式測定装置及び光学式測定方法を詳細に説明する。
先ず、被測定物115の凹面形状を測定する場合、被測定物115を第2領域に配設する。
この状態で、制御部104は、各測定部101〜103を制御して、各測定部101〜103の光源105、107、109から測定用光を出力する。このとき、制御部104は、各測定部101〜103の光源105、107、109から出力される測定用光が相互に交差しないように、且つ、各測定部101〜103に予め割り当てた領域を各測定部101〜103の光源105、107、109が測定用光で走査するように、各測定部101〜103を制御する。
【0027】
測定部101の光源105から出力された前記測定用光は、共通領域113を介して被測定物115に到達した後に被測定物115の凹面で反射し、該反射した測定用光は再び共通領域113を介して測定部101側に戻り、光検出部106で検出される。光検出部106で検出する測定用信号には、測定部101に予め割り当てられた測定領域における被測定物115の形状を表すための基礎となる点群データ(被測定物115の形状を表すための被測定物115における複数の点のデータ:形状のデータ)が含まれている。光検出部106は、前記測定用光を検出して、対応する電気信号を制御部104に出力する。前記電気信号には、測定部101に予め割り当てられた測定領域における被測定物115の形状のデータが含まれている。
【0028】
測定部102の光源107から出力された前記測定用光は、共通領域113を介して被測定物115に到達した後に被測定物115の凹面で反射し、該反射した測定用光は再び共通領域113を介して測定部102側に戻り、光検出部108で検出される。光検出部108で検出する測定用信号には、測定部102に予め割り当てられた測定領域における被測定物115の形状のデータが含まれている。光検出部108は、前記測定用光を検出して、対応する電気信号を制御部104に出力する。前記電気信号には、測定部102に予め割り当てられた測定領域における被測定物115の形状のデータが含まれている。
【0029】
また、測定部103の光源109から出力された前記測定用光は、共通領域113を介して被測定物115に到達した後に被測定物115の凹面で反射し、該反射した測定用光は再び共通領域113を介して測定部103側に戻り、光検出部110で検出される。光検出部110で検出する測定用信号には、測定部103に予め割り当てられた測定領域における被測定物115の形状のデータが含まれている。光検出部110は、前記測定用光を検出して、対応する電気信号を制御部104に出力する。前記電気信号には、測定部103に予め割り当てられた測定領域における被測定物115の形状のデータが含まれている。
制御部104は、各光検出部106、108、110から入力された前記測定用光に対応する信号に基づいて、被測定物115の形状を算出する。即ち、制御部104は、各光検出部106、108、110から入力された前記測定用光に対応する信号を合成することにより、被測定物115の形状を算出する。
【0030】
一方、被測定物が凸面形状を有する被測定物114の場合には、被測定物114を第1領域に配設する。この状態で、前記同様の動作を行う。この場合、被測定物114が凸部形状を有するものの、被測定物114は第1領域に配設した状態で測定されるため、各測定部101〜103の光源105、107、109から出力される測定用光は、被測定物114の凸面表面に対してより直角に近い角度で照射されることになるため、各測定部101〜103の光検出部106、108、110は被測定物114で反射された測定用光の多くを検出することができる。したがって、凸面を有する被測定物114の形状等の測定を高精度に行うことが可能になる。
【0031】
前記実施の形態では、各測定部101〜103を所定位置に固定して配設した例で説明したが、垂直軸112を中心にして回転する円盤上に、該円盤の円周方向に沿って等間隔に各測定部101〜103を取り付け、制御部104によってモータを回転制御することにより、前記円盤を前記モータで所定角度ずつ回転させながら測定を行うようにしてもよい。これにより、被測定物における陰に隠れた部分等も正確に測定することが可能になる。
【0032】
図3は、本発明の他の実施の形態に係る光学式測定装置及び光学式測定方法を説明するための正面図であり、図1及び図2と同一部分には同一符号を付している。前記実施の形態では、3つの測定部101〜103を使用すると共に、凸部や凹部を有する被測定物114、115を測定したが、本実施の形態では3つの測定部101〜103のうち、2つの測定部101、103を使用して、被測定物の端部を測定するようにしている。
【0033】
図3において、光学式測定装置自体は前記実施の形態に係る光学式測定装置であるが、本実施の形態では、3つの測定部101〜103のうち、測定部102は使用せずに、2つの測定部101、103を使用して、被測定物の端部を測定する。
また、本実施の形態では、測定対象は車両であり、車両本体301とドア302の間の隙間を測定する例を示している。
【0034】
図3に示すように、被測定物(車両)は、共通領域113よりも光学式測定装置から遠い領域である第2領域に配設して測定を行う。
この場合、制御部104は、各測定部101、103を制御して、各測定部101、103の光源105、109から測定用光を出力する。このとき、制御部104は、各測定部101、103の光源105、109から出力される測定用光が相互に交差しないように、且つ、各測定部101、103に予め割り当てた領域を各測定部101、103の光源105、109が測定用光で走査するように、各測定部101、103を制御する。
【0035】
測定部101の光源105から出力された前記測定用光は、共通領域113を介して被測定物に到達した後に車両本体301の端部304周辺及びドア本体302の端部305周辺で反射し、該反射した測定用光は再び共通領域113を介して測定部101側に戻り、光検出部106で検出される。光検出部106で検出する測定用信号には、測定部101に予め割り当てられた測定領域における被測定物の形状のデータが含まれている。光検出部106は、前記測定用光を検出して、対応する電気信号を制御部104に出力する。
【0036】
前記電気信号には、測定部101に予め割り当てられた測定領域における被測定物の形状のデータが含まれている。尚、測定部103からの測定用光は車両本体301の端部304の面に対してより直角に近い角度で入射し、端部304で反射する測定用光は測定部103でより多く検出されるため、車両本体301の端部304は測定部103によって正確に測定が行われる。
【0037】
測定部103の光源109から出力された前記測定用光は、共通領域113を介して被測定物に到達した後に車両本体301の端部304周辺及びドア本体302の端部305周辺で反射し、該反射した測定用光は再び共通領域113を介して測定部103側に戻り、光検出部110で検出される。光検出部110で検出する測定用信号には、測定部103に予め割り当てられた測定領域における被測定物の形状のデータが含まれている。光検出部110は、前記測定用光を検出して、対応する電気信号を制御部104に出力する。
【0038】
前記電気信号には、測定部103に予め割り当てられた測定領域における被測定物の形状のデータが含まれている。尚、測定部101からの測定用光はドア本体302の端部305の面に対してより直角に近い角度で入射し、端部305で反射する測定用光は測定部101でより多く検出されるため、ドア本体302の端部305は測定部101によって正確に測定が行われる。
【0039】
制御部104は、各光検出部106、110から入力された前記測定用光に対応する信号に基づいて、被測定物(車両本体301及びドア本体302)の形状を算出し、これにより、間隙303の距離を算出する。即ち、制御部104は、各光検出部106、110から入力された前記測定用光に対応する信号を合成することにより、被測定物の端部304、305を算出し、又、間隙303を算出する。
【0040】
前記実施の形態では、各測定部101、103を所定位置に固定して配設した例で説明したが、前記実施の形態と同様に、垂直軸を中心にして回転する円盤上に、該円盤の円周方向に沿って等間隔に各測定部101〜103を取り付け、制御部104によってモータを回転制御することにより、前記円盤を前記モータで所定角度ずつ回転させながら測定を行うようにしてもよい。これにより、被測定物における陰に隠れた部分等も正確に測定することが可能になる。
また、各測定部101、103を、被測定物の端部を横切る方向(図3では左右方向)に所定速度で移動させながら、各測定部101、103によって被測定物の端部304、305、あるいは、間隙303を測定するようにしてもよい。
【0041】
また、前記各実施の形態では、各測定部101〜103で検出した測定用光に対応する信号を、算出手段を構成する制御部104に送信し、制御部104で被測定物の全体的な形状等を算出するように構成したが、各測定部101〜103に個別の算出手段を設けておき、各測定部101〜103で測定した領域における被測定物の形状(部分的な形状)等を各測定部101〜103に設けられた個別の算出手段によって算出し、各測定部101〜103の個別の算出手段で算出した部分的な形状を、算出手段を構成する制御部104で合成して、被測定物の全体的な形状等を算出するようにしてもよい。
【0042】
この場合も、各測定部101〜103の個別の算出手段及び算出手段を構成する制御部104は、複数の測定部101〜103で検出した測定用光に基づいて被測定物の形状を算出する算出手段を構成することになる。
また、前記各実施の形態では、三角測距方式の光学式測定装置や光学式測定方法の例で説明したが、これに限定されるものではない。
【0043】
以上述べたように、前記各実施の形態に係る光学式測定装置によれば、測定用光を出力する光源105、107、109と被測定物114、115で反射してきた前記測定用光を検出する光検出部106、108、110とを有する複数の測定部101〜103と、前記複数の測定部101〜103で検出した測定用光に基づいて前記被測定物114、115の形状を算出する算出手段104とを備え、前記各測定部101〜103の光源105、107、109から出力される測定用光の光軸は相互に交差しないと共に所定範囲内の共通領域113を通るように前記各光源105、107、109は測定用光を出力することを特徴とするように構成されている。
【0044】
したがって、凹面あるいは凸面を有する被測定物114、115の形状を高精度に測定することが可能になる。また、被測定物の端部304、305や間隙303を高精度に測定することが可能になる。また、各光源から出力される測定用光が相互に交差することがなく、相互に干渉することがないため、良好な測定が可能になる。
前記各実施の形態に係る光学式測定方法は、前記いずれかの光学式測定装置を用いて被測定物114、115の形状を測定するとき、前記被測定物114の凸面を測定するときには、前記被測定物114を共通領域113よりも前記各測定部101〜103に近い位置に配設して測定を行うようにしている。
【0045】
また、前記被測定物115の凹面を測定するときには、前記被測定物115を前記共通領域113よりも前記各測定部101〜103から遠い位置に配設して測定を行うようにしている。
したがって、凹面あるいは凸面を有する被測定物114、115の形状を高精度に測定することが可能になる。
また、前記いずれかの光学式測定装置を用いて被測定物の端部304、305形状を測定する場合には、前記被測定物を前記共通領域113よりも前記各測定部101〜103から遠い位置に配設して測定を行うようにしている。したがって、被測定物の端部304、305や間隙303を高精度に測定することが可能になる。尚、この場合、前記被測定物を前記共通領域113よりも前記各測定部101〜103に近い位置に配設して測定を行うようにしても測定は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
自動車用トランスミッション等をはじめとして、種々の凹凸面や穴端部を有する被測定物の形状測定を行う光学式測定装置や光学式測定方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る光学式測定装置の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る光学式測定装置の正面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る光学式測定装置の正面図である。
【図4】従来の光学式測定装置の測定原理を示す原理図である。
【図5】従来の光学式測定装置による測定の説明図である。
【図6】従来の光学式測定装置による測定の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
101〜103・・・測定部
104・・・算出手段を構成する制御部
105、107、109・・・光源
106、108、110・・・光検出部
111・・・円
112・・・垂直軸
113・・・共通領域
114、115・・・被測定物
301・・・車両本体
302・・・ドア本体
303・・・間隙
304、305・・・端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用光を出力する光源と被測定物で反射してきた前記測定用光を検出する光検出部とを有する複数の測定手段と、
前記複数の測定手段で検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状を算出する算出手段とを備え、
前記各測定手段の光源から出力される測定用光の光軸は相互に交差しないと共に所定範囲内の共通領域を通るように前記各光源は測定用光を出力することを特徴とする光学式測定装置。
【請求項2】
前記測定手段は3つ配設されて成り、
前記算出手段は、前記各測定手段で検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状を算出することを特徴とする請求項1記載の光学式測定装置。
【請求項3】
前記各測定手段の光源は、同一円周上に等間隔に配設されて成ることを特徴とする請求項1又は2記載の光学式測定装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記3つの測定手段のうちの2つの測定手段で検出した測定用光に基づいて前記被測定物の形状を算出することを特徴とする請求項2又は3記載の光学式測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の光学式測定装置を用いて被測定物の形状を測定するとき、前記被測定物の凸面を測定するときには、前記被測定物を前記共通領域よりも前記各測定手段に近い位置に配設して測定を行うことを特徴とする光学式測定方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の光学式測定装置を用いて被測定物の形状を測定するとき、前記被測定物の凹面を測定するときには、前記被測定物を前記共通領域よりも前記各測定手段から遠い位置に配設して測定を行うことを特徴とする請求項5記載の光学式測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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