説明

光学樹脂組成物およびその用途

【課題】非結晶性含フッ素重合体(A)に対して相溶性のよい屈折率調整物質を提供し、もって高い透明性と耐熱性を併有する重合体(A)組成物からなる光伝送体、特に屈折率分布型光ファイバを提供する。
【解決手段】一般式(5)で表される化合物、一般式(14)で表される化合物および一般式(15)で表される化合物から選ばれた化合物(B)を屈折率調整物質とし、実質的にC−H結合を有しない重合体(A)をマトリックスとする光伝送体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含フッ素多環式化合物を屈折率調整物質として含む非結晶性含フッ素重合体からなる光学樹脂組成物、光伝送体用プリフォーム及びその材料を用いた光伝送体(特にプラスチック光伝送ファイバ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より非結晶性含フッ素重合体は、電気特性、耐薬品性、防水性、撥水撥油性、光学特性に優れるため、半導体をはじめとする電子部品の保護膜、インクジェットプリンタのヘッドの撥水膜、フィルタの防水防油コート、プラスチック光ファイバなどに用いられている。この重合体は単独で利用されることもあるが、各種の添加剤、改質剤などを混合され、新たな機能を付加する試みもなされている。しかし、非結晶性含フッ素重合体は極性基を通常有しないことより、この含フッ素重合体に対する低分子量化合物の溶解性は低い。そのため、非結晶性含フッ素重合体に低分子量化合物を配合して均一に混合させることが困難な場合が少なくなく、非結晶性含フッ素重合体が本来有している電気的特性、機械的特性、表面特性および透明性などの優れた特性を損なわれることがしばしばある。
【0003】
このうち、最近では、C−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体からなるマトリックス中に、屈折率調整物質として、例えば、クロロトリフルオロエチレンの5〜8量体であるオリゴマーを分散させて、屈折率分布型プラスチック光伝送ファイバ(以下、「屈折率分布型POF」ともいう)を得る方法が開示されている(特許文献1)。この方法により得られるPOFは、従来のポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の樹脂をマトリックスとするプラスチック光伝送ファイバでは達し得なかった、1300〜1550nmでの波長において低損失のものが得られている。しかし、上記クロロトリフルオロエチレンの5〜8量体であるオリゴマーは、ガラス転移点(以下、「Tg」という)が約−60℃と低い。このため、上記POFにおける、開口数NA[NA=(n2−m21/2
nは屈折率分布型光学樹脂材料中の屈折率の最大値、mは屈折率分布型光学樹脂材料中の屈折率の最小値。]を大きくしようとして配合量を多くすると、POF組成物のTgが低下し、POFの耐熱性が低下するため、高温に曝されたときに屈折率分布や光伝送性能が変動するという問題がある。
【0004】
このため、上記耐熱性の問題点を解決するために、C−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体からなるマトリックス中に、屈折率調整物質として、ペルフルオロフルオレン、ペルフルオロフェナレン等を分散させてPOFを得る方法が開示されている(特許文献2)。しかし、上記方法では、ペルフルオロフルオレン、ペルフルオロフェナレン等の屈折率調整物質が上記含フッ素重合体に対して、相溶性が充分でないことから、マトリックス中に適切な濃度に屈折率調整物質が分布しないため、光散乱や光伝送損失が発生するという問題が挙げられる。
【0005】
この屈折率調整物質の上記含フッ素重合体への相溶性の問題を解決するために、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)等の新規な化合物を屈折率調整物質として使用する方法が開示されている(特許文献3)。しかし、最近では、さらに、低い伝送損失で、耐熱性が高く、曲げ損失の低減を目的とした高い開口率化が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−5848号公報
【特許文献2】特開平11−167030号公報
【特許文献3】特開平13−302935号公報
【特許文献4】特公昭63−18964号公報
【特許文献5】特開昭63−238111号公報
【特許文献6】特開昭63−238115号公報
【特許文献7】WO94/04949公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、非結晶性含フッ素重合体の優れた透明性を損なうことなく、従来の光学樹脂組成物が有する課題を解決し、耐熱性が向上し、かつ光伝送損失が低い光学樹脂組成物を提供することを目的とする。また、そのような特性を有する光学樹脂組成物からなる光伝送体、特にPOFの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、新規の屈折率調整物質を用いた光学樹脂組成物に関する発明であり、以下の構成を採用する。
(a)実質的にC−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体(A)に、下記の一般式(1)[式中、R1〜R3及びR6は、それぞれ、独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペル
フルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のぺルフルオロアルキル基であり、R4及び
5は、それぞれ、独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であるが、R1〜R6
の全てがフッ素原子ではないものとする。]で表される含フッ素多環式化合物から選ばれた少なくとも1種の含フッ素多環式化合物(B)を含有させてなる光学樹脂組成物である。
【0009】
【化1】

【0010】
(b)前記一般式(1)におけるR5がトリフルオロメチル基であり、R4およびR6がフ
ッ素原子である前記(a)に記載の光学樹脂組成物である。
(c)前記一般式(1)におけるR5がフッ素原子であり、R6がトリフルオロメチル基であり、R4がフッ素原子またはトリフルオロメチル基である前記(a)に記載の光学樹脂
組成物である。
【0011】
(d)前記一般式(1)におけるR1〜R3がフッ素原子またはトリフルオロメチル基である前記(a)〜(c)に記載のいずれかである光学樹脂組成物である。
なお、上記(b)及び(c)に記載の含フッ素多環式化合物は新規化合物である。
(e)前記非結晶性含フッ素重合体(A)が主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する非結晶性含フッ素重合体である前記(a)〜(d)のいずれかに記載の光学樹脂組成物である。
【0012】
(f)前記非結晶性含フッ素重合体(A)100質量部に対して前記含フッ素多環式化合物(B)が5〜25質量部含まれている前記(a)〜(e)のいずれかに記載の光学樹脂組成物である。
(g)前記非結晶性含フッ素重合体(A)と前記含フッ素多環式化合物(B)の屈折率の差が0.05〜0.25である前記(a)〜(f)のいずれかに記載の光学樹脂組成物である。
【0013】
(h)前記(a)〜(g)のいずれかに記載の光学樹脂組成物からなる光伝送体用プリフォームである。
(i)断面円形状の光伝送体用プリフォームであって、前記非結晶性含フッ素重合体(A)中に前記含フッ素多環式化合物(B)が光伝送体用プリフォームの断面中心から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型であることを特徴とする前記(h)に記載の光伝送体用プリフォームである。
【0014】
(j)前記(a)〜(g)のいずれかに記載の光学樹脂組成物より形成されることを特徴とする光伝送体である。
(k)前記非結晶性含フッ素重合体(A)中に前記含フッ素多環式化合物(B)が光伝送体の光伝送路の中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型であることを特徴とする前記(j)に記載の光伝送体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明における含フッ素多環式化合物(B)は実質的にC−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体(A)への高い相溶性を有し、非結晶性含フッ素重合体(A)中に白濁することなく均一に溶解する。したがって、本発明の光学樹脂組成物においては、ミクロな相分離や含フッ素多環式化合物(B)の微結晶などにより生じる光散乱が少ない。また、本発明における含フッ素多環式化合物(B)は屈折率が高いので、少量の配合であっても目的の屈折率差を形成でき、含フッ素多環式化合物(B)の添加によるTgの低下が少ない利点がある。この利点および含フッ素多環式化合物(B)のTgが高いことにより、本発明の屈折率分布型光伝送体は耐熱性が飛躍的に向上し、屈折率分布の熱的な安定性が高く、室温以上の高温に長期間さらされた場合においても、伝送帯域の低下を防止できる。さらに、屈折率が高い含フッ素多環式化合物(B)は開口数NAを大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
含フッ素多環式化合物(B)を含む非結晶性含フッ素重合体(A)からなる本発明の光学樹脂組成物は、光学樹脂製品の原材料を意味するばかりでなく、光学樹脂製品における樹脂組成物そのものをも意味する。また、本発明の光学樹脂組成物は、含フッ素多環式化合物(B)が非結晶性含フッ素重合体(A)の全体にわたって均一に分布した状態にあるものばかりでなく、含フッ素多環式化合物(B)が非結晶性含フッ素重合体(A)中に不均一に分布している状態にあるものをも意味する。
【0017】
以下、本発明の光学樹脂組成物における非結晶性含フッ素重合体(A)および含フッ素多環式化合物(B)について説明する。
上記一般式(1)においてR1〜R3及びR6は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数
1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のぺルフルオロアルキル基であり、R4及びR5は、それぞれ、独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であるが、R1〜R6の全てがフッ素原子ではない含フッ素多環式化合物は高屈折率を有するため屈
折率調整物質として有用である。更に、実質的にC−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体(A)に対する相溶性が非常に高いため、非結晶性含フッ素重合体(A)の優れた透明性を損なうことなく、光の散乱損失の少ない光学樹脂組成物を提供することが可能である。また、本発明における含フッ素多環式化合物(B)は、分子サイズが大きいため、得られた組成物のTgが高くなるほか、非結晶性含フッ素重合体(A)中での拡散速度が小さく、得られる組成物は熱安定性に優れるので好ましい。特に、高Tgを有するため、非結晶性含フッ素重合体(A)に高濃度で含有させても、Tgの低下を低減させることができる。
【0018】
上記一般式(1)で表される含フッ素多環式化合物(B)は、屈折率が1.40〜1.50であることが好ましい。これにより、非結晶性含フッ素重合体(A)への添加量が少なく、熱伝送損失に優れる光学材料を提供することができる。屈折率1.40未満であると、目的の屈折率を有する光学樹脂組成物に調整するために必要な屈折率調整剤の量が増加し、屈折率の揺らぎに起因する光散乱が増加してしまうので好ましくなく、屈折率1.50超であると、非結晶性含フッ素重合体(A)に対する相溶性が低下し、相分離による光散乱の原因になるおそれがあるので好ましくない。屈折率は1.41〜1.47であることが特に好ましい。
【0019】
また、上記一般式(1)で表される含フッ素多環式化合物(B)は、Tgが−20〜10℃であることが好ましい。これにより、得られる光学樹脂組成物のTgを高く、熱安定性に優れた、光学樹脂組成物を得ることができるので好ましい。Tgが−20℃未満であると、得られる光学樹脂組成物のTgがさがり、使用している最中に、含フッ素多環式化合物が熱で拡散するため屈折率分布が変動してしまい、帯域性能やNAの性能が低下するおそれがあるので好ましくない。また、Tgが10℃超であると、成型工程で、光学樹脂組成物中で含フッ素多環式化合物の結晶が発生してしまい、組成物内で相分離が起こり、光散乱の原因となるおそれがあるので好ましくない。Tgは−15℃〜2℃であることが特に好ましい。
【0020】
上記一般式(1)においてR5がトリフルオロメチル基であり、R4およびR6がフッ素
原子である含フッ素多環式化合物(B)は、Tgが高く、熱安定性に優れた、光学樹脂組成物を得ることができるので好ましい。本発明の含フッ素多環式化合物が非結晶性含フッ素重合体(A)に対して、相溶性の高い理由としては、本発明における含フッ素多環式化合物が分子内に、非結晶性含フッ素重合体(A)に対して、親和性の高いトリフルオロメチル基を有することによる。
中でも、一般式(1)で表される含フッ素多環式化合物は、R1〜R3が、それぞれ、独立にフッ素原子又はトリフルオロメチル基である下記一般式(2)〜(4)で表される含フッ素多環式化合物であることが好ましい。これにより、非結晶性含フッ素重合体(A)に添加されることにより、得られる組成物の結晶性の低下が少ないため好ましい。さらに、R1〜R3が全てフッ素原子である下記一般式(5)で表される化合物は立体障害による結晶性の低下が少ないため、さらに、高いTgで、熱安定性に優れた光学樹脂組成物が得られるため特に好ましい。
【0021】
【化2】

【0022】
上記一般式(1)におけるR5がフッ素原子であり、R6がトリフルオロメチル基であり、R4がフッ素原子又はトリフルオロメチル基である含フッ素多環式化合物(B)は、分
子内の立体障害により結晶性が低いため、重合体中で微結晶を形成することがないため光散乱を少なくすることができる。更に、非結晶性含フッ素重合体(A)に対する相溶性が高いため、多量に含有させても相分離を生じることがないので、高屈折率な光学樹脂組成物を作製することが可能となる。
中でも、非結晶性含フッ素重合体(A)への相溶性及び分子内の立体障害が大きく光学樹脂組成物が低散乱であることから、一般式(1)において、R1〜R3が、それぞれ、独立にフッ素原子又はトリフルオロメチル基である下記一般式(6)〜(13)で表される含フッ素多環式化合物であることが好ましい。
【0023】
【化3】

【0024】
【化4】

【0025】
また、上記一般式(9)で表される化合物は下記一般式(14)及び(15)で表される異性体の混合物として得られる。これらの異性体を混合物のまま利用すればより結晶性が低下し、比較的高い屈折率を維持したまま、より非結晶性含フッ素重合体(A)との高い相溶性が得られるという効果を有する。また、これらの混合物は、液体クロマトグラフ法等により各々分離することが可能である。
【0026】
【化5】

【0027】
上記一般式(1)で表される含フッ素多環式化合物は新規な化合物であるが、下記一般式(16)により表される化合物と下記一般式(17)により表される化合物を反応させることにより、ホモカップリング体を殆ど副生することなく、高選択的かつ高収率で製造することができる。一般式(16)により表される化合物と一般式(17)により表される化合物は、いずれも、反応性が高い。このため、この二つの化合物を混合することにより、反応が速やかに進み、ホモカップリング体を生成することなく、高い収率で、本発明の含フッ素多環式化合物が得られる。
【0028】
【化6】

【0029】
【化7】

【0030】
上記一般式(16)においてそれぞれ独立に選択されるR1〜R3は、それぞれ独立にフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基であり、Xa〜Xcはそれぞれ独立に臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。化合物は、得られる化合物の特性がよく、目的物の収率のよいことから、R1
3が、それぞれ、独立にトリフルオロメチル基又はフッ素原子で、Xa〜Xcがヨウ素原
子であることが好ましい。
【0031】
また、上記一般式(17)で表される化合物はR4及びR5はそれぞれ独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で、R6はフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルキ
ル基又は炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基であることが好ましい。
【0032】
一般式(17)で表される化合物の量が一般式(16)で表される化合物の3倍モル以上であることが好ましく、3〜10倍モルが特に好ましく、3〜4倍モルが最も好ましい。また、反応温度は、10〜160℃が好ましく、40〜100℃が特に好ましい。反応温度は、低すぎると反応に長時間を要するので好ましくなく、高すぎると副反応が起き易くなるので好ましくない。
【0033】
本発明では、一般式(16)により表される化合物と、一般式(17)により表される化合物を反応させるには、溶媒中で反応させることが好ましい。混合の仕方は特に限定されないが、溶媒中に、一般式(16)により表される化合物と、一般式(17)により表される化合物をそれぞれ、加えることが好ましい。
【0034】
溶媒は、反応液中のアニオン種を安定させることから極性溶媒であることが好ましい。極性溶媒は特に限定されるものではないが、非プロトン系極性溶媒を好ましく利用することができる。極性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THFという)、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン系極性溶媒が反応のアニオン種を安定させることから特に好ましい。極性溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、上記一般式(16)で表される化合物に対し3〜20倍モルが適当である。
【0035】
反応終了後、溶媒と無機物を除去することによりほぼ純粋な目的物が得られ、ペルフルオロビフェニルなどの副生物は通常10質量%以下である。また、Ullmann型のカップリングでは今まで避けられなかったタール状成分がほとんど副生しないため、目的物単離のためのハンドリングも容易である。こうして得られた粗結晶は、再結晶をすること
で容易に純度を上げることができる。再結晶溶媒は特に制限されないが、トルエン、ヘキサン、ペルフルオロ系有機溶媒等が好ましい。
【0036】
上記一般式(17)で表される化合物は、従来より公知の方法により得ることができ、例えば、下記一般式(18)で表される化合物を溶媒中で、エチルマグネシウムブロマイドなどのアルキルマグネシウムブロマイドや金属マグネシウム等とのグリニヤー交換反応により、下記一般式(19)で表される化合物とした後、この反応系に臭化銅(CuBr)を添加し反応させて製造し得る。この反応は発熱の大きい反応であり、反応温度が上がりすぎると分解などの副反応が生じやすくなるため、副反応を抑制するために反応温度を低めに抑えることが好ましい。具体的には−20〜+40℃が適当で、特に0〜+10℃で行なうのが好ましい。臭化銅を分割添加し、かつ反応温度を上記範囲に維持しながら反応を行うことが好ましい。臭化銅の量は出発物質である一般式(18)で表される化合物に対して1〜10倍モルが適当であり、特に2〜5倍モルが好ましい。
【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
続いて、非結晶性含フッ素重合体(A)について説明する。
本発明における非結晶性含フッ素重合体(A)は、非結晶性であるため光の透過性が高く、かつ近赤外光で光吸収が起こるC−H結合を実質的に有しない重合体である。
非結晶性含フッ素重合体(A)の溶融状態における粘度は、溶融温度200〜300℃において102〜104Pa・sが好ましい。溶融粘度が高すぎると溶融紡糸が困難なうえ、屈折率分布の形成に必要な、含フッ素多環式化合物(B)の拡散が起こりにくくなり屈折率分布の形成が困難になる。また、溶融粘度が低すぎると実用上問題が生じる。すなわち、電子機器や自動車等での光伝送体として用いられる場合に高温に曝され軟化し、光の伝送性能が低下する。
非結晶性含フッ素重合体(A)の数平均分子量は1×104〜5×106が好ましく、5×104〜1×106がより好ましい。分子量が小さすぎると耐熱性を阻害することがあり、大きすぎると屈折率分布を有する光伝送体の形成が困難になる。
【0040】
非結晶性含フッ素重合体(A)としては、C−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体であれば特に限定されないが、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するとは、脂肪族環を構成する炭素原子の1以上が主鎖を構成する炭素連鎖中の炭素原子であり、かつ脂肪族環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子またはフッ素含有基が結合している構造を有することを意味する。脂肪族環の環を構成する原子としては、炭素原子以外に酸素原子や窒素原子を含んでいてもよい。含フッ素脂肪族環構造としては、含フッ素脂肪族エーテル環構造がさらに好ましい。
【0041】
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素環構造を有する単量体を重合して得られるものや、2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体を環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
含フッ素脂肪族環構造を有する単量体を重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特許文献4などにより知られている。すなわち、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)やペルフルオロ(4−メチル−1,3−ジオキソール)などの含フッ素脂肪族環構造を有する単量体を単独重合することにより、またこの単量体とテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)などのラジカル重合性単量体とを共重合させることにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0042】
また、2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体を環化重合して得られる、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特許文献5や特許文献6などにより知られている。すなわち、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)やペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などを環化重合することにより、またはこのような単量体とテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)などのラジカル重合性単量体とを共重合させることにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
また、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)などの含フッ素脂肪族環構造を有する単量体とペルフルオロ(アリルビニルエーテル)やペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などの2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体とを共重合させることによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0043】
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体の全モノマー単位に対して含フッ素脂肪族環構造を有するモノマー単位を20モル%以上、特には40モル%以上含有するものが透明性、機械的特性などの面から好ましい。また、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、重合当初の重合体は末端に不安定な官能基を有していることが少なくないことより、重合体製造後、重合体をフッ素でフッ素化する末端安定化処理を行ったものを用いることが好ましい。
上記の含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、具体的には以下の化学式から選
ばれるモノマー単位を有するものが例示される。下記式(20)および式(21)は含フッ素環構造を有する単量体の重合により形成されるモノマー単位の例である。下記式(22)および式(23)は重合性二重結合を2個有する含フッ素単量体の環化重合により形成されるモノマー単位の例である。
【0044】
下記式(20)〜(23)において、X1〜X10はそれぞれ独立にフッ素原子またはペ
ルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基を表わし、フッ素原子の一部は塩素原子で置換されていてもよく、またペルフルオロアルキル基やペルフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は塩素原子で置換されていてもよい。ペルフルオロアルキル基やペルフルオロアルコキシ基における炭素数は1〜5が好ましく、特に1が好ましい。Zは酸素原子、単結合または−OC(R3940)O−を表す。好ましいZは酸素原子である。
【0045】
19〜R26,R39,R40はそれぞれ独立にフッ素原子、ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基を表わし、フッ素原子の一部は塩素原子で置換されていてもよく、またペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は塩素原子で置換されていてもよい。ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基における炭素数は1〜5が好ましく、特に1が好ましい。また、R19とR20およびR21とR22はそれぞれ共同して含フッ素脂肪族環を形成していてもよく、pやqが2以上の場合、異なる置換メチレン基に結合している置換基は同様に共同して含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。例えば、R19とR20は共同して炭素数2〜6のペルフルオロアルキレン基を表わしてもよい。
【0046】
pは1〜4の整数を、qは1〜5の整数を、s、tはそれぞれ独立に0〜5でかつs+tが1〜6の整数(ただし、Zが−OC(R3940)O−の場合はs+tは0であってもよい)を表す。ただし、p、q、s、tが2以上の整数の場合、その数で規定された複数の置換メチレン基における置換基の種類は異なっていてもよい。例えば、pが2の場合、2つのR19は異なっていてもよく、2つのR20も同様に異なっていてもよい。好ましいpは1または2、好ましいqは2である。sとtはそれぞれ0〜4でかつs+tが1〜4である整数が好ましい。
【0047】
【化10】

【0048】
式(20)で表されるモノマー単位を形成する単量体としては、下記式(24)で表される含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(pが1のもの)と下記式(25)で表される含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(pが2のもの)が好ましい。また、式(21)で表されるモノマー単位を形成する単量体としては、下記式(26)で表される含フッ素脂肪族環構造を有する単量体(qが2のもの)が好ましい。下記式においてR27、R29は前記R19と同じものを、R28、R30は前記R20と同じものを、R31、R33はR21と同じものを、R32、R34はR22と同じものを表す。また、前記したように、R27とR30、R31とR34とはそれぞれ共同して含フッ素脂肪族環を形成してもよい。
【0049】
式(24)〜式(26)で表される化合物としては、X1〜X4がいずれもフッ素原子、R19、R20、R27、R29、R28、R30、R31、R33、R32、R34がそれぞれ独立にフッ素原子、トリフルオロメチル基またはクロロジフルオロメチル基である化合物が好ましい。最も好ましい化合物はX1、X2がいずれもフッ素原子で、R19とR20がいずれもトリフルオロメチル基である化合物[すなわち、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)]である。
【0050】
【化11】

【0051】
好ましい式(24)〜式(26)で表される化合物の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。
【0052】
【化12】

【0053】
式(22)および式(23)で表されるモノマー単位を環化重合により形成する重合性二重結合を2個有する含フッ素単量体としては、下記式(27)で表される含フッ素脂肪族環構造を有する単量体がある。式(27)で表される化合物としては、Zは酸素原子または−OC(R3940)O−、sは0または1、tは0〜4でかつs+tは1〜4(ただし、Zが−OC(R3940)O−の場合は0であってもよい)、X5〜X10がいずれ
もフッ素原子であるかまたは多くとも2個以内が塩素原子、トリフルオロメチル基もしくはクロロジフルオロメチル基で他がフッ素原子、R23〜R26,R39〜R40がそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子(ただし多くとも炭素原子1個に付き1個結合)、トリフルオロメチル基またはクロロジフルオロメチル基である化合物が好ましい。
【0054】
【化13】

【0055】
式(27)で表される化合物としては、下記式(28)〜式(30)で表される化合物が好ましい。下記式(28)で表される化合物は、式(23)において、Zが酸素原子、sが0、tが1である化合物であり、下記式(29)で表される化合物は、式(27)において、Zが酸素原子、sが0、tが2である化合物であり、式(30)で表される化合物は、式(27)において、Zが−OC(R3940)O−、s、tがいずれも0である化合物である。
【0056】
式(28)で表される化合物において、X5〜X10はすべてフッ素原子であるか、また
はその1〜2個(ただし、X5〜X7の多くとも1個かつX8〜X10の多くとも1個)が塩
素原子で他がフッ素原子であることが好ましい。R25とR26はすべてフッ素原子であるか、一方が塩素原子もしくはトリフルオロメチル基であり、他方がフッ素原子であることが好ましい。最も好ましい式(28)で表される化合物はX5〜X10、R25、R26のすべて
がフッ素原子である化合物[すなわち、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)]である。
【0057】
式(29)で表される化合物において、X5〜X10はすべてフッ素原子であるか、また
はその1〜2個(ただし、X5〜X7の多くとも1個かつX8〜X10の多くとも1個)が塩
素原子で、他がフッ素原子であることが好ましい。R35、R36、R37、R38はすべてフッ素原子であるか、または多くとも2個が塩素原子もしくはトリフルオロメチル基であり、他がフッ素原子であることが好ましい。最も好ましい式(29)で表される化合物はX5
〜X10、R35、R36、R37、R38のすべてがフッ素原子である化合物[すなわち、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)]である。
【0058】
式(30)で表される化合物において、X5〜X10はすべてフッ素原子であるか、または
その1〜2個(ただし、X5〜X7の多くとも1個かつX8〜X10の多くとも1個)が塩素
原子で、他がフッ素原子であることが好ましい。R3940はすべてフッ素原子であるか、一方が塩素原子もしくはトリフルオロメチル基であり、他方がフッ素原子であることが好ましい。最も好ましい式(30)で表される化合物はX5〜X10、R3940のすべて
がフッ素原子である化合物[すなわち、ペルフルオロ{ビス(ビニルオキシ)メタン}]である。
【0059】
【化14】

【0060】
式(28)〜(30)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物などが挙げられる。
【0061】
【化15】

【0062】
本発明の光学樹脂組成物において、含フッ素多環式化合物(B)は非結晶性含フッ素重合体(A)中に完全に溶解し、不溶解物がなくまたミクロな相分離構造が生じていないことが好ましい。不溶解物やミクロ相分離構造が存在すると、その部分が光散乱の要因となる。したがって、含フッ素多環式化合物(B)は非結晶性含フッ素重合体(A)中にその飽和溶解度量以下で存在することが好ましく、含フッ素多環式化合物(B)が部分的に高濃度に存在する場合であってもその高濃度部分に不溶解物がないことが好ましい。
【0063】
非結晶性含フッ素重合体(A)の種類にもよるが、非結晶性含フッ素重合体(A)100質量部に対して、含フッ素多環式化合物(B)の割合が25質量部でも充分均一に溶解する。したがって、本発明の光学樹脂組成物における非結晶性含フッ素重合体(A)100質量部に対する含フッ素多環式化合物(B)の割合は5〜25質量部、特に5〜20質量部であることが好ましく、さらに7〜15質量部であることが最も好ましい。5質量部未満であると、得られる光学樹脂組成物中において、必要な屈折率差が得られなくなるので好ましくなく、含有量が25質量部超であると、成形工程で、光学樹脂組成物中に屈折率調整剤の結晶の相分離が起こりやすく、散乱原因となるおそれがあるので好ましくない。
【0064】
上記拡散性を有する光学樹脂組成物は屈折率分布型光ファイバ(POF)に好ましく応用される。周知のように屈折率分布型光ファイバは中心軸部分の屈折率が最大で中心軸から周辺方向に沿って屈折率が徐々に(通常二次曲線に沿って)低下する構造を有する。こ
のような屈折率分布を形成する方法の一つとして拡散法が知られている。拡散法は、マトリックス中でマトリックスと異なる屈折率を有する屈折率調整物質を中心軸から周辺方向に沿って(屈折率調整物質がマトリックスよりも高屈折率である場合)拡散させることにより上記屈折率分布を形成する方法である。マトリックス中の屈折率調整物質の濃度が高い部分が高屈折率でその濃度が低下するほど低屈折率となる。
【0065】
本発明の光学樹脂組成物を屈折率分布型POFとするためには、非結晶性含フッ素重合体(A)と屈折率調整物質との屈折率の差は0.05〜0.25であることが好ましく、0.055〜0.20であることが特に好ましい。非結晶性含フッ素重合体(A)の屈折率は、その種類にもよるが、通常、1.25〜1.35であり、含フッ素多環式化合物(B)の屈折率は1.40〜1.47である。したがって、両者は屈折率分布を形成するのに充分の屈折率差を有する。また、屈折率差が大きいことにより、非結晶性含フッ素重合体(A)に対する含フッ素多環式化合物(B)の割合が最大存在部分において、非結晶性含フッ素重合体(A)(100質量部)に対して、10質量部以下であっても充分な屈折率分布を形成し得る。
【0066】
本発明の光学樹脂成形体(プリフォーム)は、上述の光学樹脂組成物を成形して得られる。本発明の光学樹脂成形体(プリフォーム)は上記拡散法により形成されていることが好ましい。この方法による光学樹脂成形体の製造方法は特許文献1や特許文献2などに記載されている。回転成形により屈折率分布型POF製造用プリフォーム(以下、単にプリフォームという)を製造し、プリフォームから紡糸してPOFとすることが可能である。含フッ素多環式化合物(B)の拡散はプリフォーム製造工程、プリフォームを加熱維持して拡散を行う工程、プリフォームからの紡糸工程、またはそれら工程の2以上の工程で行い得る。また含フッ素多環式化合物(B)の拡散を行いながら押出し紡糸を行って光ファイバを1段で製造することもできる(特許文献7の方法参照)。この拡散を行いながら押出しする方法で屈折率分布型のプリフォームを製造することもできる。
【0067】
上記のようにプリフォームは必ずしも屈折率分布を有していなくてもよく、含フッ素多環式化合物(B)の拡散工程前のものであってよい。この場合、含フッ素多環式化合物(B)は中心軸部分のみに存在する。このプリフォームを加熱状態に維持して含フッ素多環式化合物(B)を拡散させ屈折率分布を有するプリフォームを得ることができる。しかし通常はプリフォームの成形工程において拡散も行い屈折率分布を有するプリフォームを得る。プリフォームの形状は通常円柱状である。しかし形状はこれに限られず、回転成形で通常得られる孔の径がごく小さい円筒状のものであってもよい。円筒状プリフォームではその内表面に含フッ素多環式化合物(B)を存在させてそこから外表面方向に拡散させて屈折率分布を形成し得る。円筒状プリフォームの孔を潰しながら紡糸を行ってPOFとし得る。
光伝送体用プリフォームの断面形状は円形状である。ここでいう断面円形状とは中心に円形の開口部を有する形状も含むものである。
【0068】
本発明の光伝送体とは、光を光学樹脂組成物中に通過させて伝送する機能を有する部材をいう。光伝送体は、プラスチック光伝送ファイバに限られるものではなく、例えば、ロッドレンズ、光導波路、光分岐器、光合波器、光分波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレータ、光送信モジュール、光受信モジュール、カプラ、偏向子、光集積回路などのそのものやその光伝送部分をいう。これら光伝送体の光を伝送する部分は、後述する屈折率分布構造を有するもの(以下屈折率分布型という)であることが好ましい。すなわち、非結晶性含フッ素重合体(A)中に含フッ素多環式化合物(B)が光伝送体の光伝送路の中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光伝送体であることが好ましい。
【0069】
本発明における含フッ素多環式化合物(B)のTgは−15℃〜2℃であり、従来の屈折率調整物質に比較して比較的高いTgを有している。したがって、含フッ素多環式化合物(B)は非結晶性含フッ素重合体(A)のTgを低下させる作用が少ない。よって、含フッ素多環式化合物(B)は、光学樹脂組成物に対する割合を少なくでき、かつ、本発明の光学樹脂組成物のTgの低下は少なく、耐熱性の良好な光伝送体が得られる。
【0070】
本発明の光伝送体としては特にPOFが好ましく、光伝送体の光が通過する光伝送路において、非結晶性含フッ素重合体(A)中に含フッ素多環式化合物(B)が光伝送路の中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型POFであるのが特に好ましい。この屈折率分布は屈折率調整物質である含フッ素多環式化合物(B)をマトリックスである非結晶性含フッ素重合体(A)中に拡散させることにより形成される。例えば、光伝送路の中心軸となる部分にある濃度で含フッ素多環式化合物(B)を存在させ、その含フッ素多環式化合物(B)を熱拡散させて中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を形成する。
【0071】
非結晶性含フッ素重合体(A)と屈折率調整物質を用いて屈折率分布型POF(及びそれを製造するためのプリフォーム)を製造する方法は前記特許文献1や特許文献2などに記載されている。これら公報記載の屈折率調整物質の代わりに含フッ素多環式化合物(B)を使用して、これら公報記載の方法で屈折率分布型POFを製造することができる。同様にこれら公報記載の方法で屈折率分布型POF製造用プリフォームを製造することができる
【0072】
尚、本発明の光伝送体は屈折率分布型POFのみならず、ステップインデックス型POFとしても好ましく利用することができる。ステップインデックス型POFの製造方法としては周知の技術を利用可能である。
【0073】
本発明の光伝送体、特に屈折率分布型POFは、波長600〜1600nmで、100mの伝送損失が5db以下(即ち50dB/km以下)とすることができる。波長600〜1600nmという比較的長波長において、このような低レベルの伝送損失であることはきわめて有利である。すなわち、石英光ファイバと同じ波長を使えることから、石英光ファイバとの接続が容易であり、また波長600〜1600nmよりも短波長を使わざるをえない従来のPOFに比べ、安価な光源ですむ利点がある。
光伝送体の伝送特性において、上記伝送損失とともに重要な特性として伝送帯域がある。大量の情報を高速で伝送するために伝送帯域が広いことが望まれる。現在、長距離通信において用いられている石英系シングルモードファイバは伝送帯域が数10GHz・kmの広い伝送帯域を有する。
【0074】
一方、POFはファイバ径が太く光源・受光素子との接続またはファイバ同士の接続が容易なことから安価な短距離通信システムの構築への期待が高まっている。通常のステップインデックス型POFは伝送帯域は数MHz・km程度と狭い。これを解決するために、本発明のような伝送帯域のより広い屈折率分布型POFにおいては、屈折率分布が熱的に安定でないと、結果として伝送帯域が低下する。本発明の屈折率分布型POFは耐熱性が飛躍的に向上しているので、屈折率分布の熱的な安定性が高く、室温以上の高温に長期間曝された場合においても、伝送帯域の低下を防止できる。
【0075】
なお、本発明の光学樹脂組成物の用途は前記したような光伝送体用途に限られるものではない。例えば、本発明の光学樹脂組成物からなるフィルムやシートは透明性の高いフッ素樹脂製のフィルムやシートとして有用である。例えば厚さ100μm〜数mmのフィルムの可視光線(波長400〜700nm)透過率は90%以上である。また本発明の含フッ素樹脂組成物は波長300nm以下の紫外線を吸収するため、各種の紫外線遮蔽フィル
ムとして利用し得る。さらに、KrFやArFなどのエキシマレーザによるレーザアブレーションを利用したマイクロパターンの形成用材料としても利用できる。マイクロパターン形成用材料としての応用例としては、例えば半導体素子製造工程における半導体の保護膜や層間絶縁膜、インクジェットプリンタヘッドのインク吐出口を形成する撥水膜、などがある。
【実施例】
【0076】
以下、非結晶性含フッ素重合体(A)並びに含フッ素多環式化合物(B)の合成例及びこれらの物質よりなる光学樹脂組成物、光学樹脂成形体、光伝送体の作製例並びに評価を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の例において、例1〜3は非結晶性含フッ素重合体(A)の合成例、例4及び5は含フッ素多環式化合物(B)の合成例、例6〜例16は実施例、例17〜22は比較例である。部は質量部を表す。
【0077】
[例1]
[非結晶性含フッ素重合体(A)の作製例]
750gのペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)[以下、PBVEという]、4kgのイオン交換水、260gのメタノールおよび3.7gのジイソプロピルペルオキシジカーボネートを、内容積5Lのガラスフラスコに入れた。系内を窒素で置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行い、数平均分子量約5×104の重合体を690g得た。この
重合体をフッ素/窒素混合ガス(フッ素ガス濃度20容量%)雰囲気中で250℃、5時間加熱処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体(以下、重合体Aという)を得た。
【0078】
重合体Aの固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[以下、PBTHFという]中30℃で0.3であった。重合体AのTgは108℃であり、室温では強靱で透明なガラス状重合体であった。また屈折率は1.342であった。
なお、固有粘度[η]は、柴田科学器械工業株式会社製のウベローデ型粘度計を用いて下記条件にて測定した。以下の各例においても同様である。
測定温度:30℃(恒温槽)
希釈溶媒:ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)
希釈濃度:1%、0.67%、0.59%
粘度計に関するJIS:
JIS K2283 石油製品動粘度および粘度試験方法
JIS Z8803 粘度測定方法
JIS K7367−1
プラスチック−毛細管形粘度計を用いた
ポリマー希釈溶液の粘度の求め方−第1部:通則
また、Tgは、TA Instruments社 DSC Q100にて測定した。以下の各例においても同様である。
屈折率は、アタゴ社製 アッペ屈折率計2Tを用いてJISI:K7142に準じて、測定した。以下の各例においても同様である。
【0079】
[例2]
[非結晶性含フッ素重合体(A)の作製例]
PBVEを173g、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)[以下、PDDという]を27g、PBTHFを200g、重合開始剤としてジイソプロピルペルオキシジカーボネートを2g、内容積1Lのステンレス製オートクレーブに入れた。系内を窒素で置換した後、40℃で20時間重合を行い、数平均分子量約1.5×105
の透明な重合体20gを得た。この重合体をフッ素/窒素混合ガス(フッ素ガス濃度20
容量%)雰囲気中で250℃、5時間加熱処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体(以下、重合体Bという)を得た。重合体BのTgは150℃、屈折率は1.325であった。
【0080】
[例3]
[非結晶性含フッ素重合体(A)の作製例]
PDDとテトラフルオロエチレンを質量比80:20で、PBTHFを溶媒として用いてラジカル重合し、Tgが160℃で数平均分子量が約1.7×105の重合体を得た。
この重合体をフッ素/窒素混合ガス(フッ素ガス濃度20容量%)雰囲気中で250℃、5時間加熱処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体(以下、重合体Cという)を得た。重合体Cは無色透明であり、屈折率は1.305であった。
【0081】
[例4]
[1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼンの合成]
温度計、ジムロート冷却器、メカニカル撹拌器、滴下ロートの付いた2Lガラスフラスコに、室温にて、ヨウ素577g(2.27mol)、60質量%発煙硫酸1000gを仕込み、ここに滴下ロートより1,3,5−トリフルオロベンゼン100g(0.76mol)をゆっくり滴下した。全量を仕込んだ後、反応器内温を60〜70℃に保ち、18時間そのまま撹拌を続けた。その後室温まで冷却し、反応液を氷水にゆっくり注ぎ込むと黒色の固体が析出した。過剰のヨウ素をチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理した後、褐色固体をヘキサンから再結晶することにより338gの淡褐色針状結晶を得た。NMR、ガスクロマトグラフ(以下GCともいう)、マススペクトルの結果、純度99.1質量%の1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼンであることを確認した。融点は155℃であった。収率は1,3,5−トリフルオロベンゼン基準で87質量%であった。
【0082】
なお、ガスクロマトグラフは、Agilent Technologies 社製GC
System6850にキャピラリーカラムHP−1(Thicness:0.25μm、Length:30m,Phase Ratio 320,Colum ID:0.32mm)を用いて、JISI:K114に準じて測定を行った。
マススペクトルは、Agilent Technologies 社製GC System5890にキャピラリーカラムHP−1(Thicness:0.25μm、Length:30m,Phase Ratio 320,Colum ID:0.32mm)、検出器に日本電子社製 SX−102Aをもちいて、JISI:K0123に準じて測定した。
また、NMRは、日本電子データム社製 JNM−AL300を用いて測定した。
ガスクロマトグラフ、マススペクトル、NMRは以下の各例においても同様に測定した。
【0083】
[目的物の一般式(5)で表される化合物の合成]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、滴下ロート、メカニカルスターラーの付いた2Lパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコを窒素置換した。100rpmで撹拌しながら室温にて4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゾトリフロライド222.7g(0.75mol)とテトラヒドロフラン(以下、THFという)500mlをロートから仕込んだ。その後、氷水でフラスコを冷却し撹拌速度を500rpmに上昇させた。0.96mol/LのエチルマグネシウムブロマイドTHF溶液760ml(0.730mol)を滴下ロートに仕込み、フラスコ内温が5℃以下になったら、エチルマグネシウムブロマイドを5ml/分程度の速度で滴下すると内温は6〜7℃に保たれ、約2時間で滴下終了した。滴下終了後、そのまま1時間撹拌を続けると淡青緑色懸濁溶液になった。
【0084】
つぎに固体の臭化銅(CuBr)215.3g(1.50mol)をロートから添加するが、この際発熱が大きく温度が高いと、ホモカップリングが起こりペルフルオロ(4,4−ジメチルビフェニル)が副生しやすくなるため、フラスコを氷冷したまま4回に分けて添加した。添加終了後、1時間以上そのまま撹拌を続けると淡灰色懸濁溶液となった。さらに滴下ロートからジオキサン200mlを加え、そのまま30分間撹拌した。つぎに例3の様に合成した1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼンの固体76.5g(0.15mol)をロートから一括投入し、氷浴をオイルバスに切り替えた後、撹拌しながら16時間還流を続けた。
【0085】
16時間後に反応液から溶媒を留去濃縮し、残留物を水中に入れ、急冷した。濾過して集めた固体を2000gのジクロロペンタフルオロプロパン(商品名「AK225」:旭硝子(株)製。以下、R225という)で抽出した後、エバポレーターで乾固すると、136.7gの黄色結晶(GC純度83質量%、収率97質量%)が得られた。さらにこの結晶をヘキサンから再結晶すると白色針状結晶が得られた。NMR、ガスクロマトグラフ、マススペクトルの結果、純度99.99質量%の目的物の一般式(5)で表される化合物であることを確認した。融点は示差走査熱量計(以下、DSCと記す)で測定した結果180.5℃であった。収率は1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼン基準で75質量%であった。なお、DSCはTA Instruments社 DSC Q100を用いて測定した(以下の各例においても同様である)。また、得られた一般式(5)で表される化合物の屈折率は、1.44であり、Tgは、2℃であった。
【0086】
NMRデータ:19FNMR(282.65MHz,溶媒(CDCl3,基準CFCl3):δ(ppm):−56.9(9F,t,J=21.9Hz),−100.5(3F,m),−135.6(6F,m),−139.2(6F,m)
【0087】
[例5]
[目的物の一般式(14)および一般式(15)で表される化合物の合成法]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、滴下ロート、メカニカルスターラーの付いた2Lパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコを窒素置換した。100rpmで撹拌しながら室温にて2−ブロモ−3,4,5,6−テトラフルオロベンゾトリフロライド22.3g(0.075mol)とTHF50mlをロートから仕込んだ。その後、氷水でフラスコを冷却し撹拌速度を500rpmに上昇させた。0.96mol/LのエチルマグネシウムブロマイドTHF溶液76ml(0.0730mol)を滴下ロートに仕込み、フラスコ内温が5℃以下になったら、エチルマグネシウムブロマイドを5ml/分程度の速度で滴下すると内温は3〜6℃に保たれ、約1時間で滴下終了した。滴下終了後、そのまま1時間撹拌を続けると淡青緑色懸濁溶液になった。
【0088】
つぎに固体の臭化銅(CuBr)21.53g(0.150mol)をロートから添加するが、この際発熱が大きく温度が高いと、ホモカップリングが起こりペルフルオロ(2,2−ジメチルビフェニル)が副生しやすくなるため、フラスコを氷冷したまま4回に分けて添加した。添加終了後、1時間以上そのまま撹拌を続けると淡灰色懸濁溶液となった。さらに滴下ロートからジオキサン20mlを加え、そのまま30分間撹拌した。つぎに例3の様に合成した1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼンの固体7.65g(0.015mol)をロートから一括投入し、氷浴をオイルバスに切り替えた後、撹拌しながら16時間還流を続けた。
16時間後に反応液から溶媒を留去濃縮し、残留物を水中に入れ、急冷した。濾過して集めた固体を500gのR225で抽出した後、エバポレーターで濃縮すると、透明褐色のオイル状の液体が得られた。
【0089】
得られた透明褐色のオイル状の液体を液体クロマトグラフ法(MERK製 Silicagel60/φ30×500H/n−ヘキサン)を用いて分離を行い、得られた留分を生成物事にまとめて、ロータリーエバポレーターを用いて80℃/400Paで濃縮することにより、純度99質量%のペルフルオロ(2,2−ジメチルビフェニル)が0.51g分別され、更に2つの生成物が各々6.8g、3.3g得られた。
【0090】
NMR、ガスクロマトグラフ、マススペクトルの結果、純度98質量%の目的物の一般式(14)と一般式(15)で表される化合物であることを確認した。融点はDSCで測定した結果、一般式(14)で表される化合物は68.4℃、一般式(15)で表される化合物では115.8℃あった。
収率は1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼン基準で一般式(14)で表される化合物は56.9質量%、一般式(15)で表される化合物は27.5質量%であった。
なお、得られた一般式(14)で表される化合物の屈折率は1.41であり、Tgは−12℃であった。また、得られた一般式(15)で表される化合物の屈折率は1.46であり、Tgは−1℃であった。
【0091】
一般式(14)で表される化合物NMRデータ:19FNMR(282.65MHz, 溶媒(CDCl3,基準CFCl3):δ(ppm):−57.50(3F,d,J=22.6Hz),):−57.58(6F,d,J=22.6Hz),−105.34(2F,s),−105.48(1F,s),−133.94(3F,m),−136.00(3F,m)−146.88(1F,m),−147.07(2F,m),−148.93(1F,m),−18.95(2F,m)
【0092】
一般式(15)で表される化合物NMRデータ:19FNMR(282.65MHz,溶媒(CDCl3,基準CFCl3):δ(ppm):−57.60(9F,d,J=22.6Hz),−105.36(3F,s),−133.8(3F,m),−135.9(3F,m),−147.26(3F,m),−148.92(3F,m)
【0093】
[例6]
[一般式(5)で表される化合物を含有したフィルムの作製例及びその評価]
重合体Aの100質量部に対して、一般式(5)で表される化合物の17.6質量部をPBTHFに溶解して固形分濃度12質量%の溶液からなる含フッ素樹脂組成物を調製した。これをガラス板上に流延し、乾燥することにより厚さ10μmのフィルムを得た。このフィルムの光線透過率を測定すると350〜700nmの可視光線に対しては90%以上の透過率であったことから、この含フッ素樹脂組成物は相分離に由来する光散乱が生じない、均一な組成物であることがわかった。
このフィルム中の一般式(5)で表される化合物の含有量は10質量%で、このフィルムの屈折率は1.356であった。またこのフィルムのTgは94℃であった。また、このフィルムは紫外線の波長範囲において吸収を示し、極大点が220nmおよび265nmにあることから紫外線吸収性が良好なことがわかった。
【0094】
[例7]
[一般式(14)で表される化合物を含有したフィルムの作製例及びその評価]
重合体Aの100質量部に対して、一般式(14)で表される化合物17.6質量部をPBTHFに溶解して固形分濃度12質量%の溶液からなる含フッ素樹脂組成物を調製した。これをガラス板上に流延し、乾燥することにより厚さ10μmのフィルムを得た。このフィルムの光線透過率を測定すると350〜700nmの可視光線に対しては90%以上の透過率であったことから、この含フッ素樹脂組成物は相分離に由来する光散乱が生じない、均一な組成物であることがわかった。
このフィルム中の一般式(14)で表される化合物の含有量は10質量%で、このフィルムの屈折率は1.352であった。またこのフィルムのTgは91℃であった。また、このフィルムは紫外線の波長範囲においては吸収を示し、極大点が220nmおよび265nmにあることから紫外線吸収性が良好なことがわかった。
【0095】
[例8]
[一般式(15)で表される化合物を含有したフィルムの作製例及びその評価]
重合体Aの100質量部に対して、一般式(15)で表される化合物17.6質量部をPBTHFに溶解して固形分濃度12質量%の溶液からなる含フッ素樹脂組成物を調製した。これをガラス板上に流延し、乾燥することにより厚さ10μmのフィルムを得た。このフィルムの光線透過率を測定すると350〜700nmの可視光線に対しては90%以上の透過率であったことから、この含フッ素樹脂組成物は相分離に由来する光散乱が生じない、均一な組成物であることがわかった。
このフィルム中の一般式(15)で表される化合物の含有量は10質量%で、このフィルムの屈折率は1.361であった。またこのフィルムのTgは93℃であった。また、このフィルムは紫外線の波長範囲においては吸収を示し、極大点が220nmおよび265nmにあることから紫外線吸収性が良好なことがわかった。
【0096】
[例9]
[一般式(5)で表される化合物を含有したフィルムの作製例及びその評価]
重合体Bの100質量部に対して、一般式(5)で表される化合物17.6質量部をPBTHFに溶解して固形分濃度12質量%の溶液からなる含フッ素樹脂組成物を調製した。これをガラス板上に流延し、乾燥することにより厚さ10μmのフィルムを得た。このフィルムの光線透過率を測定すると350〜700nmの可視光線に対しては90%以上の透過率であることから、この含フッ素樹脂組成物は相分離に由来する光散乱が生じない、均一な組成物であることがわかった。
このフィルム中の一般式(5)で表される化合物の含有量は10質量%で、このフィルムの屈折率は1.342であった。またこのフィルムのTgは128℃であった。また、210〜320nmの波長範囲において吸収を示すことから紫外線吸収性が良好なことがわかった。
【0097】
[例10]
[一般式(5)で表される化合物を含有したSI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aおよび一般式(5)で表される化合物の混合物(重合体Aの100質量部に対して、一般式(5)で表される化合物を11.1質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体aという)を得た。成形体aの屈折率は1.356、Tgは94℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この円筒管中空部に成形体aを挿入して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することによりステップインデックス型の光ファイバを得た。得られた光ファイバの光伝送特性は650nmで73dB/km、850nmで33dB/km、1300nmで30dB/km、開口数NAは0.197であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
【0098】
[例11]
[一般式(5)で表される化合物を含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この円筒管中空部に成形体aを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバ(i)を得た。得られた光ファイバ(i)の光伝送特性は、図1に示すごと
く、650nmで70dB/km、850nmで22dB/km、1300nmで20dB/km、開口数NAは0.196であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
【0099】
この光ファイバ(i)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布をインターファコ干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところ変化は見られなかった。さらに、以下のようなパルス法により伝送帯域を測定することにより伝送特性を評価した。
すなわち、パルスジェネレータを用いてパルスレーザ光を発振させ、これを光ファイバに入射し、出射光をサンプリングオシロスコープで検出した。この検出信号をフーリエ変換して周波数特性を解析することにより伝送帯域を測定した。光ファイバ(i)を70℃、1000時間保存した後に伝送帯域を測定したところ、保存前後ともに260MHz・kmで、帯域の低下が起こらないことから耐熱性が良好であることが確認された。
【0100】
[例12]
[一般式(14)で表される化合物を含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aおよび一般式(14)で表される化合物の混合物(重合体Aの100質量部に対して、一般式(14)で表される化合物を11.1質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体bという)を得た。成形体bの屈折率は1.352、Tgは91℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、例11と同様な方法で屈折率分布型光ファイバ(ii)を得た。得られた光ファイバの光伝送特性は、650nmで65dB/km、850nmで19dB/km、1300nmで19dB/km、開口数NAは0.166であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(ii)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布をインターファコ干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところ変化は見られなかった。さらに、例11と同様なパルス法により伝送帯域を測定することにより伝送特性を評価し、保存前後ともに260MHz・kmで、帯域の低下が起こらないことから耐熱性が良好であることを確認した。
【0101】
[例13]
[一般式(15)で表される化合物を含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aおよび一般式(15)で表される化合物の混合物(重合体Aの100質量部に対して、一般式(15)で表される化合物を11.1質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体cという)を得た。成形体cの屈折率は1.361、Tgは93℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、例11と同様な方法で屈折率分布型光ファイバ(iii)を得た。得られた光ファイバの光伝送特性は、650nmで67dB/km、850nmで20dB/km、1300nmで20dB/km、開口数NAは0.223であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(iii)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布をインターファコ干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところ変化は見られなかった。さらに、例11と同様なパルス法により伝送帯域を測定することにより伝送特性を評価し、保存前後ともに260MHz・kmで、帯域の低下が起こらないことから耐熱性が良好であることを確認した。
【0102】
[例14]
[一般式(14)及び(15)で表される化合物を含有したGI型POFの作製例及びそ
の評価]
重合体Aを100質量部に対して、一般式(14)で表される化合物8.9質量部および一般式(15)で表される化合物2.2質量部の混合物をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体dという)を得た。成形体dの屈折率は1.354、Tgは92℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、例11と同様な方法で屈折率分布型光ファイバ(iv)を得た。得られた光ファイバ(iv)の光伝送特性は、650nmで70dB/km、850nmで22dB/km、1300nmで19dB/km、開口数NAは0.177であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(iv)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布をインターファコ干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところ変化は見られなかった。さらに、例11と同様なパルス法により伝送帯域を測定することにより伝送特性を評価し、保存前後ともに260MHz・kmで、帯域の低下が起こらないことから耐熱性が良好であることが確認された。
【0103】
[例15]
[一般式(14)で表される化合物を含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Bおよび一般式(14)で表される化合物の混合物(重合体Bの100質量部に対して、一般式(14)で表される化合物を11.1質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体eという)を得た。成形体eの屈折率は1.342、Tgは128℃であった。
つぎに、重合体Bのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この中空部に成形体eを挿入し230℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを270℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバ(v)を得た。得られた光ファイバ(v)の光伝送特性は、650nmで104dB/km、850nmで40dB/km、1300nmで35dB/km、開口数NAは0.210であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(v)を85℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布をインターファコ干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところ特に変化は見られなかった。また、例11と同様なパルス法により伝送帯域を測定し、保存前後の特性を比較したところいずれも280MHz・kmで帯域の低下が起こらないことから耐熱性が良好であることが確認された。
【0104】
[例16]
[一般式(5)で表される化合物を含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Cおよび一般式(5)で表される化合物の混合物(重合体Cの100質量部に対して、一般式(5)で表される化合物を11.1質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体fという)を得た。成形体fの屈折率は1.325、Tgは136℃であった。
つぎに、重合体Cのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この中空部に成形体fを挿入し230℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを270℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバ(vi)を得た。得られた光ファイバ(vi)の光伝送特性は、650nmで96dB/km、850nmで42dB/km、1300nmで40dB/km、開口数NAは0.228であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(vi)を85℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布をインターファコ干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較し
たところ特に変化は見られなかった。また、例11と同様なパルス法により伝送帯域を測定し、保存前後の特性を比較したところいずれも260MHz・kmで帯域の低下が起こらないことから耐熱性が良好であることが確認された。
【0105】
[例17(比較例)]
[クロロトリフルオロエチレンを含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aおよびクロロトリフルオロエチレンのオリゴマー(平均分子量850、屈折率1.41)の混合物(重合体Aの100質量部に対して、クロロトリフルオロエチレンのオリゴマーを17.6質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体gという)を得た。成形体gの屈折率は1.357、Tgは75℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この中空部に成形体gを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する屈折率分布型光ファイバ(vii)を得た。得られた光ファイバ(vii)の光伝送特性は、780nmで110dB/km、850nmで100dB/km、1300nmで80dB/km、開口数NAは0.199であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(vii)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布を干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところコアの中心付近で屈折率の低下が見られた。また、これに伴い伝送帯域の低下が見られ、保存前に260MHz・kmであったものが保存後には160MHz・kmに低下していた。
【0106】
[例18(比較例)]
[デカフルオロビフェニルを含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aおよびアルドリッチ社製デカフルオロビフェニル(屈折率1.45)の混合物(重合体Aの100質量部に対して、デカフルオロビフェニルを7.5質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体hという)を得た。成形体hの屈折率は1.357、Tgは73℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この中空部に成形体hを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する屈折率分布型光ファイバ(viii)を得た。得られた光ファイバ(viii)の光伝送特性は、780nmで150dB/km、850nmで120dB/km、1300nmで100dB/km、開口数NAは0.200であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(viii)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布を干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところコアの中心付近で屈折率の低下が見られた。これに伴い、伝送帯域の低下が見られ、保存前に200MHz・kmであったものが保存後には110MHz・kmに低下していた。
【0107】
[例19(比較例)]
[ペルフルオロジフェニルスルフィドを含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aおよびアルドリッチ社製ペルフルオロジフェニルスルフィドの混合物(重合体Aの100質量部に対して、デカフルオロビフェニルを6.4質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体iという)を得た。成形体iの屈折率は1.357、Tgは77℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この中空部に成形体iを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下
する屈折率分布型光ファイバ(ix)を得た。得られた光ファイバ(ix)の光伝送特性は、780nmで190dB/km、850nmで150dB/km、1300nmで120dB/km、開口数NAは0.198であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(ix)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布を干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところコアの中心付近で屈折率の低下が見られた。これに伴い、伝送帯域の低下が見られ、保存前に260MHz・kmであったものが保存後には180MHz・kmに低下していた。
【0108】
[例20(比較例)]
[ペルフルオロナフタレンを含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体Aおよびアルドリッチ社製ペルフルオロナフタレン(屈折率1.48)の混合物(重合体Aの100質量部に対して、ペルフルオロナフタレンを6.4質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体jという)を得た。成形体jの屈折率は1.357、Tgは76℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この中空部に成形体jを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する屈折率分布型光ファイバ(x)を得た。得られた光ファイバ(x)の光伝送特性は、780nmで180dB/km、850nmで150dB/km、1300nmで110dB/km、開口数NAは0.200であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(x)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布を干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところコアの中心付近で屈折率の低下が見られた。これに伴い、伝送帯域の低下が見られ、保存前に220MHz・kmであったものが保存後には110MHz・kmに低下していた。
【0109】
[例21(比較例)]
[1,3,5−トリクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゼンを含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体AおよびPCR社製1,3,5−トリクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゼンの混合物(重合体Aの100質量部に対して、1,3,5−トリクロロ−2,4,6−トリフルオロベンゼンを6.4質量部を含む)をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体kという)を得た。成形体kの屈折率は1.355、Tgは79℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この中空部に成形体kを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する屈折率分布型光ファイバ(xi)を得た。得られた光ファイバ(xi)の光伝送特性は、780nmで210dB/km、850nmで170dB/km、1300nmで130dB/km、開口数NAは0.187であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(xi)を70℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布を干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところコアの中心付近で屈折率の低下が見られた。これに伴い、伝送帯域の低下が見られ、保存前に250MHz・kmであったものが保存後には170MHz・kmに低下していた。
【0110】
[例22(比較例)]
[ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)を含有したGI型POFの作製例及びその評価]
重合体A100質量部に、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)7質量部をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体lという)を得た。成形体lの屈折率は1.357、Tgは90℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この円筒管中空部に成形体lを挿入し200℃に加熱して合体させる周知の方法によってプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバ(xii)を得た。得られた光ファイバ(xii)の径は500μm、コア径は120μmであり、光伝送損失は、650nmで63dB/km、850nmで23dB/km、1300nmで20dB/kmであり、開口数NAは0.191であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバ(xii)であることを確かめた。
この光ファイバ(xii)を80℃のオーブン中に1000時間保存した後に、例11と同様なパルス法により伝送帯域を測定したところ、保存前に260MHz・kmであったものが保存後には180MHz・kmに低下していた。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の光学樹脂材料は光伝送体、特に屈折率分布型プラスチック光伝送ファイバとして非常に好ましく利用することができる。また他の用途として、例えば、本発明の光学樹脂材料からなるフィルムやシートは透明性の高いフッ素樹脂製のフィルムやシートとして有用であり、各種の紫外線遮蔽フィルムとしても利用し得る。更に、KrFやArFなどのエキシマレーザによるレーザアブレーションを利用したマイクロパターンの形成用材料としても利用できる。マイクロパターン形成用材料としての応用例としては、半導体素子製造工程における半導体の保護膜や層間絶縁膜、インクジェットプリンタヘッドのインク吐出口を形成する撥水膜、などがある。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】例11のファイバの伝送損失(波長500〜1600nm)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にC−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体(A)に下記の一般式(1)[式中、R1〜R3及びR6は、それぞれ、独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオ
ロアルコキシル基または炭素数1〜5のぺルフルオロアルキル基であり、R4及びR5は、それぞれ、独立に、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であるが、R1〜R6の全てがフッ素原子ではないものとする。]で表される含フッ素多環式化合物から選ばれた少なくとも1種の含フッ素多環式化合物(B)を含有させてなる光学樹脂組成物。
【化1】

【請求項2】
前記一般式(1)におけるR5がトリフルオロメチル基であり、R4およびR6がフッ素
原子である請求項1に記載の光学樹脂組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)におけるR5がフッ素原子であり、R6がトリフルオロメチル基であり、R4がフッ素原子またはトリフルオロメチル基である請求項1に記載の光学樹脂組成物

【請求項4】
前記一般式(1)におけるR1〜R3がフッ素原子またはトリフルオロメチル基である請求項1〜3に記載のいずれかである光学樹脂組成物。
【請求項5】
前記非結晶性含フッ素重合体(A)が主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する非結晶性含フッ素重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の光学樹脂組成物。
【請求項6】
前記非結晶性含フッ素重合体(A)100質量部に対して前記含フッ素多環式化合物(B)が5〜25質量部含まれている請求項1〜5のいずれかに記載の光学樹脂組成物。
【請求項7】
前記非結晶性含フッ素重合体(A)と前記含フッ素多環式化合物(B)の屈折率の差が0.05〜0.25である請求項1〜6のいずれかに記載の光学樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光学樹脂組成物からなる光伝送体用プリフォーム。
【請求項9】
断面円形状の光伝送体用プリフォームであって、前記非結晶性含フッ素重合体(A)中に前記含フッ素多環式化合物(B)が光伝送体用プリフォームの断面中心から周辺方向に
沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型であることを特徴とする請求項8に記載の光伝送体用プリフォーム。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の光学樹脂組成物より形成されることを特徴とする光伝送体。
【請求項11】
前記非結晶性含フッ素重合体(A)中に前記含フッ素多環式化合物(B)が光伝送体の光伝送路の中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型であることを特徴とする請求項10に記載の光伝送体。


【図1】
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【公開番号】特開2008−3351(P2008−3351A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173514(P2006−173514)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】