説明

光学機器

【課題】 光学機器において非撮影時にレンズ鏡筒をコンパクトに収納することを目的とする。
【解決手段】 非撮影時に絞り駆動風車が第2の部材に係合し、絞りをオープン〜クローズの動作をすることによってレンズ移動枠を光軸から外に移動させ、そのあと更に沈胴することによって沈胴時の全長を短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ、カメラ等の光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラやビデオカメラ等の光学機器において、撮影レンズを保持するレンズ鏡筒がカメラ本体の前面より突出している光学機器が多数あるが、その光学機器の携帯性を向上させるために、不使用時にレンズ鏡筒を光学機器筐体内に退避収納させる、いわゆる沈胴と称される構成がしばしば用いられている。撮影レンズをズームレンズにすると、レンズ枚数が増加するので、全てのレンズをカメラ本体の厚みの中に沈胴させることは困難である。そのため、例えば特許文献1にはレンズ群を、独立した駆動手段で光軸方向と垂直方向に退避させる構成をとっている。
【特許文献1】特開2003−149723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のようにズームレンズは枚数が多いため、全てのレンズをカメラ本体の厚みの中に沈胴させることは困難であり、特許文献1の構成だとレンズ群を光軸方向と垂直方向に退避させ、その空いたスペースに他のレンズ群を移動させるため、沈胴時の光軸方向の厚みを薄くすることができる。しかしこの構成においては独立した駆動手段でレンズ群を光軸方向と垂直方向に退避させるので、その駆動手段のスペースが必要となり光学機器として大型化してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本出願に係る第1の発明は、撮影領域では光学機器内部の光量調節装置の光量調節駆動レバーもしくは該駆動レバーと連結された部材がレンズスライド部材と非係合状態にあり、絞り撮影領域から沈胴領域に入るとまず、該駆動レバーもしくは該絞り駆動レバーと連結された部材がスライド部材と係合し、かつ、スライド部材はレンズを保持するレンズ移動枠と係合し、係合後、光量調節動作で、該スライド部材が駆動され、該スライド部材と係合しているレンズ移動枠が光軸から退避し、沈胴が完了するということを特徴とする。
【0005】
上記構成により、絞り駆動レバーの駆動力を用いてレンズ移動枠が光軸から退避するため、レンズを退避させる為の独立した駆動手段を光学機器内部に配置する必要が無い為、光学機器の小型化に寄与する。
【0006】
本出願に係る第2の発明は、撮影領域では光学機器内部の光量調節装置の光量調節駆動レバーもしくは該駆動レバーと連結された部材がレンズスライド部材と非嵌合状態にあり、絞り撮影領域から沈胴領域に入るとまず、該駆動レバーもしくは該絞り駆動レバーと連結された部材がスライド部材と嵌合し、嵌合後、光量調節動作で、該スライド部材が駆動され、該スライド部材はレンズを保持するレンズ移動枠と当接しレンズ移動枠が光軸から退避し、沈胴が完了することを特徴とする。
【0007】
上記構成により、レンズを退避させる為の独立した駆動手段を光学機器内部に配置する必要が無い為、光学機器の小型化に寄与する。また、スライド部材と駆動レバーに面取りを設けることにより、両者の位置をある程度ラフに設定することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の説明によれば、撮影領域では光学機器内部の光量調節装置の光量調節駆動レバーもしくは該駆動レバーと連結された部材が回転ギアと非係合状態にあり、絞り撮影領域から沈胴領域に入るとまず、該駆動レバーもしくは該絞り駆動レバーと連結された部材が回転ギアと係合し、かつ、回転ギアはレンズを保持するレンズ移動枠と係合し、係合後、光量調節動作で、該回転ギアが回転され、該回転ギアと係合しているレンズ移動枠が光軸から退避し、沈胴が完了するという特徴とするため、絞り駆動レバーの駆動力を用いてレンズ移動枠が光軸から退避する。よってレンズを退避させる為の独立した駆動手段を光学機器内部に配置する必要が無い為、光学機器の小型化に寄与する。
【0009】
請求項2に記載の説明によれば、撮影領域では光学機器内部の光量調節装置の光量調節駆動レバーもしくは該駆動レバーと連結された部材がレンズスライド部材と非嵌合状態にあり、絞り撮影領域から沈胴領域に入るとまず、該駆動レバーもしくは該絞り駆動レバーと連結された部材がスラ イド部材と嵌合し、嵌合後、光量調節動作で、該スライド部材が駆動され、該スライド部材はレンズを保持するレンズ移動枠と当接し、レンズ移動枠が光軸から退避し、沈胴が完了するという特徴をもつため、絞り駆動レバーの駆動力を用いてレンズ移動枠が光軸から退避する。よってレンズを退避させる為の独立した駆動手段を光学機器内部に配置する必要が無い為、光学機器の小型化に寄与する。また、スライド部材と駆動レバーに面取りを設けることにより、両者の位置をある程度ラフに設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の光学機器に関する3種の実施例を図面を使って説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は本実施形態で説明するカメラ全体図を表す図である。本カメラは本体部Bとレンズ鏡筒部Lから成り、レンズ鏡筒部Lの詳細を図2以降の図で説明する。
【0012】
図2、図3は本発明を凹凸凸の3群構成の変倍光学系を有するレンズ鏡筒に適用した場合の説明図であり、図2は使用状態(繰り出し状態)を表し、図2は収納状態(沈胴状態)を表す図である。L1は第1レンズ群、L2は光軸方向に移動することにより変倍動作を行なう第2レンズ群、L3は光軸方向に移動する事により合焦動作を行なう第3レンズ群である。L4はローパスフィルター(LPF)である。
【0013】
1は前キャップ、2は飾り名版、3は1群鏡筒、4はバリア、5は、第二カム環、6は、第二直進キー、7は、第一カム環、8は、内径にカム溝を有する固定鏡筒、9は、第一直進キー、10は、光量調節装置、11は、2群鏡筒、12は3群鏡筒、13は、CCDホルダー、14は、CCDである。
【0014】
図2は、通常撮影状態で、1群鏡筒3に保持された1群レンズL1と、2群鏡筒11に保持された2群レンズL2が、所定の間隔で配置され、ズーム位置が設定される。3群鏡筒12に保持された3群レンズL3が、光軸方向に移動する事により、フォーカシング動作が行われる。光量調整として光量調節装置10により、絞り径の設定と、シャッター動作が行われ、ピント面に結像した像をCCD14にて、電気信号に変換され、デジタル画像が形成される。
【0015】
光量調節装置10は、開放や、中間絞りの位置から、閉じきる事により、絞り機能とシャッター機能を兼用している。専用の絞り羽根と、シャッター羽根を別に用意しても、同じで有る。
【0016】
図3は、沈胴状態の撮影鏡筒の断面図で、2群鏡筒11が、光軸と異なる位置に退避している。最終的に沈胴が完了すると、第2レンズ群L2を保持する2群鏡筒11は光軸から外れ、ローパスフィルターL4の外側に位置する。これによって、本光学機器の不使用時には鏡筒全長を短縮させることが出来、カメラ等をコンパクトにまとめることが出来る。
【0017】
光量調節装置10は6枚の絞り羽根を光軸に対して垂直に移動させて開口径を変化させるいわゆる虹彩絞りである。光量調節装置10は第2レンズ群L2を保持する移動枠11を保持している。光量調節装置10と2群鏡筒11は光軸方向には同時に動く。但し、2群鏡筒11は光量調節装置10に対して光軸と垂直方向に独立して動く。
【0018】
以下に、前述の光量調節装置10と2群鏡筒11の移動方法の詳細について、図4〜図9を用いて述べる。図4〜図6は撮像面側から見た斜視図であり、図4はカメラ通常使用時における光量調節装置10と2群鏡筒11の関係を示す図であり、図5はレンズ鏡筒を収納する際の中間段階、図6は最終のレンズ収納状態である。図7〜図9も同様にして、図7はカメラ通常使用時における光量調節装置10と2群鏡筒11の関係を示す図、図8はレンズ鏡筒を収納する際の中間段階、図9は最終のレンズ収納状態である。但し、図7〜図9は光量調節装置10のベース部材10bを表示せず、第1レンズ群L1側から見た斜視図である。
【0019】
10aは絞り駆動アクチュエータであり、その回転力はまず第1ギア10fに伝えられる。第1ギア10fは風車10eと係合している。風車10eは光軸を中心に回転し、6箇所のピン10e1がある。その6箇所のピン10e1には絞り羽根10gの長穴部10g2が嵌合している。絞り羽根10gの丸穴部10g1は不図示の絞り地板のピンと嵌合している。よって、風車10eが回転すると、6枚の絞り羽根10gが丸穴部10g1を回転中心として回転し、絞りの開閉動作が行われる。
【0020】
また、絞りユニットには2本のガイドバー10cが固定されており、ガイドバーには2群鏡筒11のスリーブ部11a、U溝部11bと嵌合しており、光軸方向と垂直方向に移動可能に2群鏡筒11が挿入されている。通常使用時は付勢バネ10dによって2群鏡筒11が一方向に付勢されており、それによって第2レンズ群L2の光軸はレンズ全系の光軸と同軸の位置となるように設定されている。2群鏡筒11のスリーブ部11aにはギア11a1が形成されている。
【0021】
通常状態から収納状態に移るときはまず、絞りの状態をクローズ側にし、2群鏡筒11とともに絞りユニット10が光軸方向の撮像面側に移動する。不図示の後部鏡筒13には回転可能に取り付けられたギア13aがあり、絞りユニット10が撮像面側に移動すると風車10eのギア部10e2、及び、2群鏡筒11のギア部11a1に後部鏡筒側のギア13aが係合する。その係合した状態で絞りの状態をクローズ側からオープン側にする際に風車10eの回転力が後部鏡筒側のギア13aに伝わり、更に2群鏡筒11のギア部11a1に伝えられる。それによってレンズ2群鏡筒11はガイドバー10cに沿って光軸方向と垂直方向に移動する。絞りをクローズ状態にすることにより、2群鏡筒11の光軸方向への移動が完了すると、さらに絞りユニット10を撮像面方向に移動させることにより、後部鏡筒のローパスフィルター横の空間に2群鏡筒11を収納させることができ、沈胴時のレンズ鏡筒全長を短くすることが出来る。
【0022】
この実施形態によると、最終的に2群鏡筒11を光軸方向と垂直に移動させる駆動アクチュエータは通常使用時は絞り駆動手段として用いられるため、2群鏡筒11を独立して動かす為の別アクチュエータをレンズ鏡筒内に配置する必要が無く、レンズ鏡筒全体の大きさをコンパクトにすることが出来る。
【0023】
なお本実施形態では絞りをクローズ状態にした後、風車10eと後部鏡筒側ギア13aとが係合して2群鏡筒11が退避し、沈胴が始まる形態であるが、2群鏡筒11の移動方向を逆にしてオープン状態で風車10eと後部鏡筒ギア13aが係合し、その後クローズ状態にすることによってレンズが光軸と垂直方向に退避するという形態でも良い。
【0024】
また本実施形態では光量調節装置9を6枚羽根を駆動する虹彩絞りとしているが、2枚羽根を駆動させるいわゆるギロチンタイプの絞りでその駆動レバーで2群鏡筒11を光軸方向と垂直に駆動させる形態でもよい。また、虹彩絞り形態において、駆動アクチュエータが直結された第1ギア10fが、直接後部鏡筒側のギア13を回転させる構造でもよい。
【0025】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は鏡筒の基本構成は同じであるので説明を省略し、構成の異なる光量調節装置9と2群鏡筒11について説明する。
【0026】
以下に、前述の光量調節装置10と2群鏡筒11の移動方法の詳細について、図10〜図15を用いて述べる。図10〜図12は撮像面側から見た斜視図であり、図10はカメラ通常使用時における光量調節装置10と2群鏡筒11の関係を示す図であり、図11はレンズ鏡筒を収納する際の中間段階、図12は最終のレンズ収納状態である。図13〜図15も同様にして、図13はカメラ通常使用時における光量調節装置10と2群鏡筒11の関係を示す図、図14はレンズ鏡筒を収納する際の中間段階、図15は最終のレンズ収納状態である。但し、図13〜図15は光量調節装置10のベース部材10bを表示せず、第1レンズ群L1側から見た斜視図である。
【0027】
10aは絞り駆動アクチュエータであり、その回転力はまず第1ギア10fに伝えられる。第1ギア10fは風車10eと係合している。風車10eは光軸を中心に回転し、6箇所のピン10e1がある。その6箇所のピン10e1には絞り羽根10gの長穴部10g2が嵌合している。絞り羽根10gの丸穴部10g1は不図示の絞り地板のピンと嵌合している。よって、風車10eが回転すると、6枚の絞り羽根10gが丸穴部10g1を回転中心として回転し、絞りの開閉動作が行われる。
【0028】
また、絞りユニットには2本のガイドバー10cが固定されており、ガイドバーには2群鏡筒11のスリーブ部11a、U溝部11bと嵌合しており、光軸方向と垂直方向に移動可能に2群鏡筒11が挿入されている。通常使用時は付勢バネ10dによって2群鏡筒11が一方向に付勢されており、それによって第2レンズ群L2の光軸はレンズ全系の光軸と同軸の位置となるように設定されている。2群鏡筒11のスリーブ部11aには凸形状11a2が形成されている。
【0029】
通常状態から収納状態に移るときはまず、絞りの状態をクローズ側にし、2群鏡筒11とともに絞りユニット10が光軸方向の撮像面側に移動する。不図示の後部鏡筒13には光軸と垂直方向のみ摺動可能に取り付けられたスライド部材13bがある。スライド部材13bは後部鏡筒に対して13b3方向にのみ移動可能な構造となっている。絞りユニット10が撮像面側に移動すると風車10eのピン部10e3がスライド部材13bのU溝部13b1と嵌合する。それと同時に、スライド部材13bの上端面部13b2は2群鏡筒11の凸形状部11a2と当接する。その状態から絞りの状態をクローズ側からオープン側にする際に風車10eの回転力によって後部鏡筒のスライド部材13bが13b3方向に移動され、レンズ2群鏡筒11はガイドバー10cに沿って光軸方向と垂直方向に移動する。絞りをクローズ状態にすることにより、2群鏡筒11の光軸と垂直方向への移動が完了すると、さらに絞りユニット10を光軸撮像面方向に移動させることにより、後部鏡筒のローパスフィルター横の空間に2群鏡筒11を収納させることができ、沈胴時のレンズ鏡筒全長を短くすることが出来る。
【0030】
この実施形態によると、最終的に2群鏡筒11を光軸方向と垂直に移動させる駆動アクチュエータは通常使用時は絞り駆動手段として用いられるため、2群鏡筒11を独立して動かす為の別アクチュエータをレンズ鏡筒内に配置する必要が無く、レンズ鏡筒全体の大きさをコンパクトにすることが出来る。また、風車10eのピン部10e3の先端部、及び、スライド部材13bのU溝部13b1にはそれぞれ面取り形状があり、両者の位置精度がある程度ラフでも沈動時にピン部10e3をU溝部13b1に嵌合させることが出来る。
【0031】
なお本実施形態では絞りをクローズ状態にした後、風車10eのピン部10e3と後部鏡筒側のスライド部材13bとが嵌合して2群鏡筒11が退避し、沈胴が始まる形態であるが、2群鏡筒11の移動方向を逆にしてオープン状態で風車10eとスライド部材13bが嵌合し、その後クローズ状態にすることによってレンズが光軸と垂直方向に退避するという形態でも良い。
【0032】
また本実施形態では光量調節装置9を6枚羽根を駆動する虹彩絞りとしているが、2枚羽根を駆動させるいわゆるギロチンタイプの絞りでその駆動レバーで2群鏡筒11を光軸方向と垂直に駆動させる形態でもよい。また、虹彩絞り形態において、駆動アクチュエータが直結された第1ギア10fが、直接後部鏡筒側のスライド部材13bをスライドさせる構造でもよい。
【0033】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は鏡筒の基本構成は同じであるので説明を省略し、構成の異なる光量調節装置9と2群鏡筒11について説明する。
【0034】
以下に、前述の光量調節装置10と2群鏡筒11の移動方法の詳細について、図16〜図21を用いて述べる。図16〜図18は撮像面側から見た斜視図であり、図16はカメラ通常使用時における光量調節装置10と2群鏡筒11の関係を示す図であり、図17はレンズ鏡筒を収納する際の中間段階、図18は最終のレンズ収納状態である。図19〜図21も同様にして、図19はカメラ通常使用時における光量調節装置10と2群鏡筒11の関係を示す図、図20はレンズ鏡筒を収納する際の中間段階、図21は最終のレンズ収納状態である。但し、図19〜図21は光量調節装置10のベース部材10bを表示せず、第1レンズ群L1側から見た斜視図である。
【0035】
10aは絞り駆動アクチュエータであり、その回転力はまず第1ギア10fに伝えられる。第1ギア10fは風車10eと係合している。風車10eは光軸を中心に回転し、6箇所のピン10e1がある。その6箇所のピン10e1には絞り羽根10gの長穴部10g2が嵌合している。絞り羽根10gの丸穴部10g1は不図示の絞り地板のピンと嵌合している。よって、風車10eが回転すると、6枚の絞り羽根10gが丸穴部10g1を回転中心として回転し、絞りの開閉動作が行われる。
【0036】
また、絞りユニットには2本のガイドバー10h1、10h2が固定されており、ガイドバー10h2を回転中心として2群鏡筒11が回転可能に取り付けられている。ガイドバー10h1は2群鏡筒11のストッパーである。2群鏡筒11にはねじりコイルバネ10iの力によって通常撮影時は2群鏡筒11は常にガイドバー10h1に当接しており、この位置に2群鏡筒が当たることによって2群鏡筒11の光軸中心はレンズ全系の光軸中心と同軸となる。2群鏡筒11の回転中心近傍には凸形状11cが形成されている。
【0037】
通常状態から収納状態に移るときはまず、絞りの状態をクローズ側にし、2群鏡筒11とともに絞りユニット10が光軸方向の撮像面側に移動する。不図示の後部鏡筒13には光軸と垂直方向のみ摺動可能に取り付けられたスライド部材13bがある。スライド部材13bは後部鏡筒に対して13b3方向にのみ移動可能な構造となっている。絞りユニット10が撮像面側に移動すると風車10eのピン部10e3がスライド部材13bのU溝部13b1と嵌合する。それと同時に、スライド部材13bの上端面部13b2は2群鏡筒11の凸形状部11cと当接する。その状態から絞りの状態をクローズ側からオープン側にする際に風車10eの回転力によって後部鏡筒のスライド部材13bが13b3方向に移動され、レンズ2群鏡筒11はガイドバー10h2を回転中心として光軸方向と垂直方向に回転する。絞りをクローズ状態にすることにより、2群鏡筒11の光軸と垂直方向への回転が完了すると、さらに絞りユニット10を光軸撮像面方向に移動させることにより、後部鏡筒のローパスフィルター横の空間に2群鏡筒11を収納させることができ、沈胴時のレンズ鏡筒全長を短くすることが出来る。
【0038】
この実施形態によると、最終的に2群鏡筒11を光軸方向と垂直に移動させる駆動アクチュエータは通常使用時は絞り駆動手段として用いられるため、2群鏡筒11を独立して動かす為の別アクチュエータをレンズ鏡筒内に配置する必要が無く、レンズ鏡筒全体の大きさをコンパクトにすることが出来る。また、風車10eのピン部10e3の先端部、及び、スライド部材13bのU溝部13b1にはそれぞれ面取り形状があり、両者の位置精度がある程度ラフでも沈動時にピン部10e3をU溝部13b1に嵌合させることが出来る。
【0039】
なお本実施形態では絞りをクローズ状態にした後、風車10eのピン部10e3と後部鏡筒側のスライド部材13bとが嵌合して2群鏡筒11が回転し、沈胴が始まる形態であるが、2群鏡筒11の移動方向を逆にしてオープン状態で風車10eとスライド部材13bが嵌合し、その後クローズ状態にすることによってレンズが光軸と垂直方向に回転するという形態でも良い。
【0040】
また本実施形態では光量調節装置9を6枚羽根を駆動する虹彩絞りとしているが、2枚羽根を駆動させるいわゆるギロチンタイプの絞りでその駆動レバーで2群鏡筒11を光軸方向と垂直に駆動させる形態でもよい。駆動アクチュエータが直結された第1ギア10fが、直接後部鏡筒側のスライド部材13bをスライドさせる構造でもよい。
【0041】
図22に撮影状態から沈胴状態へのフローチャート、及び、沈胴状態から撮影状態へのフローチャートを示す。図22は本実施形態1〜3の全ての場合を説明するものである。沈胴動作1とは光量調節装置10が光軸方向でCCD側にに移動し、回転ギア13aもしくはスライド部材13bと風車10eが係合するまでのことを言う。繰り出し動作2はその逆の動作のことを言う。沈胴動作2とは2群鏡筒を退避させた後、更に光量調節装置10を光軸方向でCCD側に移動させ、2群鏡筒11がローパスフィルター11の外側に入り込み、図3の状態で最終の沈胴状態になるまでのことを言う。繰り出し動作1とはその逆の動作のことを言う。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】カメラ全体の斜視図。
【図2】レンズ鏡筒の通常使用時を示す断面図。
【図3】レンズ鏡筒の沈胴時を示す図。
【図4】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例1)。
【図5】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例1)。
【図6】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例1)。
【図7】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例1)。
【図8】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例1)。
【図9】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例1)。
【図10】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例2)。
【図11】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例2)。
【図12】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例2)。
【図13】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例2)。
【図14】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例2)。
【図15】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例2)。
【図16】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例3)。
【図17】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例3)。
【図18】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例3)。
【図19】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例3)。
【図20】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例3)。
【図21】光量調節装置10と移動枠11の詳細を示す図(実施例3)。
【図22】撮影状態→沈胴状態、沈胴状態→撮影状態へのフローチャートを示す図(実施例1〜3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影領域では光学機器内部の光量調節装置の光量調節駆動レバーもしくは該駆動レバーと連結された部材が回転ギアと非係合状態にあり、絞り撮影領域から沈胴領域に入るとまず、該駆動レバーもしくは該絞り駆動レバーと連結された部材が回転ギアと係合し、かつ、回転ギアはレンズを保持するレンズ移動枠と係合し、係合後、光量調節動作で、該回転ギアが回転され、該回転ギアと係合しているレンズ移動枠が光軸から退避し、沈胴が完了するという特徴をもつ光学機器。
【請求項2】
撮影領域では光学機器内部の光量調節装置の光量調節駆動レバーもしくは該駆動レバーと連結された部材がレンズスライド部材と非嵌合状態にあり、絞り撮影領域から沈胴領域に入るとまず、該駆動レバーもしくは該絞り駆動レバーと連結された部材がスライド部材と嵌合し、嵌合後、光量調節動作で、該スライド部材が駆動され、該スライド部材はレンズを保持するレンズ移動枠と当接しレンズ移動枠が光軸から退避し、沈胴が完了するという特徴をもつ光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−39373(P2006−39373A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221721(P2004−221721)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】