説明

光学的応用分野において有用な低着色ポリイミド樹脂組成物ならびにそれに関連する方法および組成物

【課題】良好な光線透過率と低いCTEを有する、低着色のポリイミドベースのフィルムに関する。
【解決手段】3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BDPA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)モノマーとによって生成されるポリマー繰り返し単位を、少なくとも50モル%含むペルフルオロポリイミド(およびペルフルオロコポリイミド)組成物、特にフィルムを開示する。本発明のフィルムは、−5〜+20ppm/℃の間の面内CTEと、約65.0〜約99.0までの平均光線透過率(厚さ75ミクロンのフィルム基準)を有する。本発明のフィルムは、熱転換ステップに代えて、化学転換法を使用してポリイミドに転換されて、これら所望の性質を得る。本発明のフィルムは、光学的ディスプレイ装置の優れた基板とすることができ、また、柔軟なディスプレイ装置の製造に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、良好な光線透過率と低い面内CTE(熱膨張係数)を有する、比較的透明な(低着色の)ポリイミドベースのフィルムに関する。より詳細には、本発明の組成物は、ガラスタイプの用途、特に電子ディスプレイの分野において有用な、ペルフルオロポリイミドを対象とする。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には低着色フィルム用として有用なポリイミドの種類が開示されている。しかしながら、これらのポリイミドは、比較的高い熱膨張係数(CTE)と、比較的低いガラス転移温度(Tg)とを有することがあるので、一般的にガラスの高性能な代替品として選択するには適していない。特許文献1、2、3、及び4には、クレゾール溶剤に可溶性の、BPDAおよびTFMBモノマーから誘導されるポリイミドの種類が開示されている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,071,997号明細書
【特許文献2】米国特許第5,344,916号明細書
【特許文献3】米国特許第5,480,964号明細書
【特許文献4】国際公開第91/01340号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,166,308号明細書
【特許文献6】米国特許第5,298,331号明細書
【非特許文献1】Polyimides Based on 9,9-Disubstituted Xanthene Dianhydrides, Trofimenko and Auman, Macromolecules, 1994, vol. 27, p. 1136-1146
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、透明で、低着色な応用分野において有用なペルフルオロポリイミド組成物を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の組成物は、第1の二無水物成分を第1のジアミン成分と接触させて、次式で表されるポリイミド生成物を供給することによって、少なくとも一部を生成することができる。
【0006】
【化1】

【0007】
一実施形態において、上記のポリイミド生成物は、ポリイミドフィルムの(モルベースにおける)主成分で、このポリイミドフィルムは、以下の数値−5、−2、0、2、5、7、10、12、15、18および20ppm/℃の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間の範囲である面内熱膨張係数(CTE)を有し、約5ミクロン〜200ミクロンの間の厚さを有し、約380〜770nmの波長の光に露光された場合、以下の数値65.0、70.0、75.0、80.0、85.0、90.0、95.0、および99.0の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間の範囲の平均光線透過率を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一実施形態において、新しい種類のポリイミドフィルム(およびコポリイミドフィルム)が提供され、これらは、(全ポリイミドに対して)少なくとも50モル%の、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BDPA)および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)モノマーから誘導される「ポリマー繰り返し単位」から誘導される。かかるフィルムは、−5から+20ppm/℃の範囲の面内熱膨張係数(CTE)を有し、一方では(約380〜770nm波長の光に露光される場合)65.0〜約99.0の平均光線透過率を有している。
ポリマー繰り返し単位は、以下の式で表される。
【0009】
【化2】

【0010】
本発明のポリイミドフィルムは、通常ジアミン成分と二無水物成分との反応を含む重縮合反応によって合成される。一般的に、ポリイミドは、上記モノマーを溶剤と合わせてポリアミック酸溶液(ポリアミド溶液またはポリイミド前躯体材料とも呼ばれる)を生成することで作製することができる。二無水物成分とジアミン成分は一般に、芳香族ジアミン成分の芳香族二無水物成分に対するモル比が約0.90から1.10、または約0.98から1.02に、合わせられる。分子量は、二無水物とジアミンのモル比を調整することで調整できる。したがって、「n」は、10から100,000の間の、または約100から1000までの範囲内のどの数値にもすることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、ポリアミック酸溶液(および/またはポリアミック酸キャスト溶液)を、有機溶剤中で調製することができる。ポリアミック酸濃度は、以下の数値5、10、12、15、20、25、27、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90重量%の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間で変動させることができる。
【0012】
本発明のポリイミドの合成に有用な有機溶剤は、ポリイミド前躯体材料(例えばモノマー)を溶解できることが好ましい。かかる溶剤は、ポリイミドが中温で乾燥できるように(すなわち、より便利で、よりコストがかからないように)、例えば225℃未満の比較的低い沸点も有しているべきである。通常、210、205、200、195、190、または180℃未満の沸点が一般的に好ましい。一般的に、本発明のポリイミドは、クレゾール溶剤または以下に説明する他の一般的な有機溶剤に不溶性である。本発明の低CTEフィルムは、それらを下流の用途で使用する前に、それらのポリアミック酸状態からポリアミド樹脂へと化学的に転換される。
【0013】
本発明のポリイミドを調製するのに有用な溶剤(すなわち、それらのポリアミック酸前躯体を溶解する有用な溶剤)は、単独でもまたは他の溶剤(すなわち、補助溶剤)と組み合わせて使用することもできる。有用な有機溶剤には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N’−ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチル尿素(TMU)、N,N’−ジメチル−N,N’−プロピレン尿素(DMPU)、およびγ−ブチロラクトンが含まれる。一実施形態において、好ましい溶剤には、N−メチルピロリドン(NMP)およびジメチルアセトアミド(DMAc)が含まれる。
【0014】
補助溶剤も通常、全溶剤の約5重量%から50重量%で使用することができる。有用な補助溶剤には、キシレン、トルエン、ベンゼン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(モノグリム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、1,2−ビス−(2−メトキシエトキシ)エタン(トリグリム)、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル)]エーテル(テトラグリム)、ビス−(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが含まれる。
【0015】
本発明において、有用であることが判明した二無水物成分には、全二無水物成分の少なくとも50モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を含まれる。BPDAモノマーは、単独で(すなわち、全二無水物成分の100%モル比)で使用することもできるし、本明細書で開示される選択群の1つまたは複数の他の二無水物と組み合わせて使用することもできる。単独で、あるいはお互いに組み合わせて使用するこれら追加の二無水物は、全二無水物成分の50モル%未満を構成することができる。追加の二無水物は、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA);4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(BPADA);2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA);ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA);4,4’−ビスフェノールA二無水物;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;(−)−[1S,5R,6S]−3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3−(テトラヒドロフラン−2,5−ジオン)[すなわち、(−)−DAN、JSR Corp.製]およびビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物ならびに環状脂肪族二無水物からなる群から選択してもよい。他の有用な二無水物には、9,9−二置換キサンテンが含まれる。これらの二無水物には、それだけには限らないが、9,9−ビス−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物(6FCDA);9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物(3FCDA);9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(PPXDA);9,9−ジフェニル−2,3,6,7−テトラメチルキサンテン(TMPPX);9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(p−アニシジルイミド);9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(ブチルイミド);9,9−ジフェニル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(p−トリルイミド);9−フェニル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(MPXDA);9−フェニル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(プロピルイミド);9−フェニル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(p−トリルイミド);9、9−ジメチル2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(MMXDA);9,9−ジメチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(プロピルイミド);9,9−ジメチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸ビス(トリルイミド);9−エチル−9−メチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(EMXDA);9,9−ジエチル−2,3,6,7−キサンテンテトラカルボン酸二無水物(EEXDA)等が含まれ、文献に開示されている(例えば、非特許文献1に開示され、それらは参照により本明細書に組み込まれる)。上述の二無水物の多くは(全部ではないにしても)、それらの「テトラ−酸形態(tetra−acid form)」として(またはこのテトラ酸の、モノ、ジ、トリあるいはテトラエステルとして)、あるいはそれらのジエステル酸ハロゲン化物(塩化物)として使用することもできる。しかしながら、本発明の一部の実施形態においては、二無水物が一般的に酸またはエステルよりもより反応性が高いという理由で、一般的に二無水物が好まれる。
【0016】
本発明において、有用であることが判明したジアミン成分は、少なくとも50モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を含む。更に、TFMBジアミンモノマーは、単独で(すなわち、全ジアミン成分の100%モル比で)使用することができるし、または本明細書で開示される選択群の1つまたは複数の他のジアミンと組み合わせて使用することもできる。単独でまたはお互いに組み合わせて使用されるこれら追加のジアミンは、全ジアミン成分の50モル%未満を構成することができる。これらのジアミンは、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン(CHDA);ジアミノシクロオクタン;テトラメチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;オクタメチレンジアミン;ドデカメチレン−ジアミン;アミノメチルシクロオクチルメタンアミン;アミノメチルシクロドデシルメタンアミン;アミノメチルシクロヘキシルメタンアミン;3,5−ジアミノベンゾトリフルオライド;2−(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン;5−(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレンジアミン;1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン;2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−ヘキサフルオロプロパン(BDAF);2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン(6Fジアミン);3,4’−オキシジアニリン(3,4’−ODA),m−フェニレンジアミン(MPD)、4,4−ビス(トリフルオロメトキシ)ベンジジン、3,3’−ジアミノ−5,5’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ジアミノ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン;2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4−BDAF)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド(4,4’−DDS);3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS);4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;および4,4’−トリフルオロメチル−2,2’−ジアミノビフェニルからなる群から選択してもよい。
【0017】
本発明のポリイミドフィルム実施形態は、ポリイミド中の主鎖に、一般的に50モル%超のBPDA−TFMB(すなわち、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)//2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)を含み、ポリイミドフィルムは、特性において完全には熱的でない転換方法(すなわち、完全な熱転換方法とは、ポリアミック酸前躯体状態からポリイミドを硬化するのに熱だけを使用する)を使用して生成されることが好ましい。一実施形態において、ポリイミドフィルムは、(全部ではないにしても)主に化学転換法によって作製される。化学転換法は、CTEを抑え、これによってポリイミドが、熱転換では起こりうる事象であるような過度に高いCTEになることを防止する傾向がある。
【0018】
一実施形態において、ポリイミドへの転換が「化学転換法」で行われる場合、本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミド主鎖中に50モル%超のBPDA−TFMB(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)//2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)反応生成物を含む。得られたフィルムは、一般的に、低CTE(すなわち、約20ppm/℃未満)であって、同時に良好な光線透過率(すなわち、3ミル(75ミクロン)のフィルム基準で約65%超)を有している。
【0019】
本発明の一実施形態において、本明細書で開示されるポリイミドを生成するのに使用される二無水物(またはジアミン)は、場合によって活性末端基を含むことができる。これら活性末端基のいくつかは、ナディク基、アセチレン基、n−プロパルギル基、シクロヘキセン基、マレイン酸基、n−スチレニル基、フェニルエチニル基とすることができる。これら活性末端基は、より低い分子量のポリマーを形成するか、あるいはポリイミドの最終CTEを低下させるためにポリマーを架橋するのを助けるかのいずれかのために、ポリマーをエンドキャップするのに使用することができる。ポリマーに架橋を追加することによって、最終ポリイミドのTgと機械的弾性率を上昇させることができる。低分子量のポリマー(すなわちオリゴマー)が生成される場合、場合によっては、ポリマーが高度に架橋されて耐溶剤性に優れたポリイミドが生成される。
【0020】
化学転換法(すなわち、本発明に従った方法)を使用してポリイミドフィルムを作製するのに有用な方法は、文献において全ての技術を見出すことができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれている特許文献5および6参照)。
【0021】
本発明のポリイミドは、成分(すなわち、モノマーおよび溶剤)を互いにどのように配合するかに関して様々な方法を使用して調製することができる。ポリアミック酸溶液を生成する様々な方法には以下が含まれる。
(a)ジアミン成分および二無水物成分を予め混合し、次いで攪拌しながらこの混合物を少しずつ溶剤に加える方法。
(b)溶剤を、ジアミン成分および二無水物成分の攪拌混合物に、加える方法(上記(a)と逆の方法)。
(c)ジアミンを単独で溶剤中に溶解し、次いでそこに二無水物を、反応速度を制御することを可能にするような割合で加える方法。
(d)二無水物成分を単独で溶剤中に溶解し、次いでそこにアミン成分を、反応速度を制御することを可能にするような割合で加える方法。
(e)ジアミン成分と二無水物成分とを、別々に溶剤中に溶解し、次いでこれら溶液を反応器中で混合する方法。
(f)過剰のアミン成分を有するポリアミック酸と、過剰の二無水物成分を有する別のポリアミック酸とを予め生成し、次いで反応器中で、特に非ランダムまたはブロックコポリマーを作製するようなやりかたで、お互いを反応させる方法。
(g)アミン成分の特定の部分を二無水物成分と最初に反応させ、次いで残りのジアミン成分を反応させるか、またはその逆を行う方法。
(h)成分を部分的にまたは全体的に、溶剤の一部または全体に、任意の順序で加える方法であって、どの成分もその一部または全体を溶液として溶剤の一部または全体に加えることもできる方法。
(i)最初に二無水物成分の1種とジアミン成分の1種とを反応させて第1のポリアミック酸を得る方法。次いで、その他の二無水物成分とその他のアミン成分を反応させて第2のポリアミック酸を得、次いでフィルムを形成する前に、これらのポリアミック酸をいくつかの方法の1つにより一緒にする方法。
【0022】
一般的に言えば、ポリアミック酸キャスト溶液は、上記に開示したポリアミック酸溶液調製方法のうちのいずれか1つから生成することができる。
【0023】
本発明のポリアミック酸キャスト溶液には、任意の量の転換化学物質と合わせたポリアミック酸溶液もともに含まれる。本発明において有用であることが判明した転換化学物質には、それだけには限らないが、(i)脂肪族酸無水物(無水酢酸等)および芳香族酸無水物などの1種または複数の脱水剤、ならびに(ii)脂肪族第三アミン(トリエチルアミン等)、芳香族第三アミン(ジメチルアニリン等)、および複素環第三アミン(ピリジン、ピコリン、イソキノリン等)などの1種または複数の触媒が含まれる。無水物脱水剤材料は、ポリアミック酸溶液に存在するアミド酸基の量よりも、一般的に若干モル過剰で使用される。使用される無水酢酸の量は、ポリアミック酸1当量に対して、一般的に約2.0〜3.0モルである。一般的に、同等の量の第三アミン触媒が使用される。驚くべきことに、発明者は、化学転換法を使用した場合(すなわち、より一般的な熱転換法に代えて使用した場合)、同じ組成で熱転換法を用いて転換したフィルムよりも、所望する(i)面内CTE、(ii)ガラス転移温度、そして(iii)光線透過係数を有するポリイミドフィルムが生成されることを見出した。本明細書に含まれている実施例、比較例、およびデーター表によって、この事象を詳細に説明する。
【0024】
本明細書では、「熱転換」とは、ポリアミック酸キャスト溶液を、ポリイミドに転換するのに転換化学物質を使用しない(すなわち、化学触媒を使用しない)方法を意味している(すなわち、溶剤中のフィルムを乾燥し且つイミド化反応行わせるためのフィルムの加熱に、熱エネルギーだけが使用される)。
【0025】
本発明のポリアミック酸溶液(および/またはキャスト溶液)は、場合によってはいくつかの添加剤のいずれかを更に含むことができる。かかる添加剤は、加工助剤(例えば、オリゴマー)、酸化防止剤、光安定剤、吸光係数調製剤、難燃剤、静電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤またはさまざまな補強材として使用することができる。
【0026】
本発明によれば、ポリイミドフィルムを形成するために追加のモノマーを使用することができ、フィルムに重要な物理的性状を与えるために具体的に選択することができる。一般に追求される有益な特性には、それだけには限らないが、高および/または低弾性率、良好な機械的伸長、低い面内熱膨張係数(CTE)、低い湿潤膨張係数、および特定のガラス転移温度(Tg)が含まれる。
【0027】
一般的に、溶媒和混合物(すなわち、上述の転換化学物質を含む、ポリアミック酸キャスト溶液)は、キャスティングするかまたは(例えば、継目無しベルトや回転ドラムなどの)支持体に塗布してフィルムにすることができる。次に、溶剤含有フィルム(ゲルフィルム)を、適当な温度で焼成することによって自己支持型ポリイミドフィルムに転換することができ(すなわち、化学的硬化することができ)、乾燥フィルムが作製される。次にフィルムは、完全に乾燥する前に支持体から剥がすことができ、幅出し乾燥機で更に硬化することで分子的方向付けを行うことができる。本発明のための硬化ポリイミドフィルムは、アミック酸部分(moiety)の少なくとも90、92、94、96、98、99または99.9%が、イミド部分に転換されるポリイミドを意味するものである。本明細書では、乾燥フィルムとは、ポリイミドフィルム複合体に残留する揮発分(例えば溶剤)が、2、1.5、1.0、0.5、0.1、0.05および0.01重量%未満のフィルムであると定義される。
【0028】
本発明の一実施形態において、作製されるポリイミドフィルムは、以下の数値5、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175および200ミクロンの任意の2つの数値(それら数値を含む)の間の厚さを有する。
【0029】
本発明の一実施形態において、作製されるポリイミドフィルムは、特定のガラス転移温度(Tg)を有する。本発明のポリイミドフィルムのガラス転移温度値は、TA Instruments 2980動的熱弾性測定装置(Dynamic mechanical analyzer)を使用して測定した。Tg測定法は、サンプリング周波数約1.0Hz(振幅約10.0μm)および予備負荷力約0.01Nを使用した。温度傾斜率は、約5℃/分を使用した。Tgは、tanδ応答のピークで測定した。本発明のフィルムの有用なガラス転移温度は、以下の数値250、275、300、325、350、375、400、425、450、475および500℃の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間であることが判明した。
【0030】
本発明の一実施形態において、作製されるポリイミドフィルムは、特定の面内熱膨張係数(CTE)範囲を有することができる。本発明のポリイミドフィルムの面内CTEは、TA Instruments TMA 2940熱機械測定装置を使用して測定した。フィルムの膨張は、約50℃と約250℃の間で、第2パスについて測定した。次いでこの膨張測定値を温度差(およびサンプル長さ)で割って、ppm/℃単位のCTEを得た。第1パスは、同じ温度範囲にわたってサンプルから収縮を除去するために、ならびにサンプルを(吸収水から)乾燥するために使用された。したがって、次に第2パスが、フィルムの固有の性質(例えば、フィルムのCTEについて有しているはずの負の吸水率および有効水(effect water))のCTE値特性を提供した。この方法は、0.05Nの負荷力を使用し、温度傾斜率約10℃/分において、上記の温度範囲で操作した。本発明の多くの有用なポリイミドフィルムの面内CTE値は、以下の数値−5、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18および20ppm/℃の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間であることが見出された。
【0031】
一実施形態において、本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミドが適切な光線透過率を有していることを条件に、電子ディスプレイ装置のガラスの適切な代替品とすることができる。本発明のポリイミドフィルムの光線透過率は、約380〜約770nmの間(約380nmと約770nmを含む)にわたって(Hewlett Packard 8452A分光光度計を使用して約2nmの間隔で)測定した。本発明のポリイミドの有用な平均光線透過率は、フィルムが約380〜770nmの波長の間の光に露光された場合、以下の数値65.0、70.0、75.0、80.0、85.0、90.0、95.0および99.0の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間であることが判明した。
【0032】
本発明の一実施形態において、本明細書で開示されたポリイミドフィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)の構成部品として有用でありうる。一般的に、液晶ディスプレイ(LCD)装置は、消費電力が非常に低いことが必要とされる。これら装置は、画面用に平面的(平ら)な軽量の構成材料であることも必要とされる。このような属性によって、LCDを、腕時計、ポケット電卓およびパーソナルコンピュータ、PDA、航空機コックピット用ディスプレイ、およびその他多くの用途などのディスプレイ装置に使用することが可能になる。
【0033】
その最も簡単な形態において、液晶ディスプレイは、一般的に2つの相対する面を有する液晶層、液晶層のどちらかの面上の電極セット、および各電極セットと液晶層との間の配向層から成る。配向層が付帯している電極は、通常ガラスまたはプラスチック製の基板によって支持されている。液晶分子の配向は、2つの基板(例えば、ガラス板、プラスチックシート、石英プレートまたは電極を支持している他の配向層)の内面に関するある角度(表面チルト角または単に「チルト角」と呼ばれる)で起こる。配向層(すなわち、これら基板)は、通常インジウム−スズ酸化物(ITO)製の被覆(透明な電極または導電体のセット)を有することができる。これら電極のセットは、LCDによって表示される情報に適合するように、(例えば、エッチングによって)パターン化させることができる。TN効果またはSTN効果を使用するディスプレイは、様々なディスプレイ方式で液晶をスイッチングするのに求められうる、大部分が垂直な電界を得るために、液晶層の相対する面に電極を使用する。このTN効果は、「活性マトリックスTNディスプレイ(active matrix TN display)」と呼ばれる、各ピクセルにおける電子活性スイッチング素子(例えば、TFTまたはダイオード)を特徴とするディスプレイにおいて、広範囲に利用されている。TN−ディスプレイは、例えばラップトップ型コンピュータのディスプレイ用として、既に広範囲に使用されている。
【0034】
LCDにおけるもう1つのあり得るディスプレイ方式は、インプレーンスイッチング方式(IPS)である。この場合、1つのピクセルの電極が液晶層の同じ側にあり、スイッチングは、基本的に水平方向の電界(すなわち、液晶層に対して基本的に平行であり得る電界)によって実現される。IPSディスプレイは、(一般的にTFTの)活性素子マトリックスによって頻繁にアドレス指令される。
【0035】
本発明の一実施形態において、開示されたポリイミドは、ディスプレイ装置において配向層として使用することができる。有機物(例えば、ポリイミド)ベースの配向層を構築する方法は、ポリマーを、溶液キャスティングステップ(例えば、スピンコーティング、ローラーコーティング、浸漬、スプレー、印刷および/またはドクターブレード塗布)によって基板(例えば、ガラスまたはシリコン)上に塗布することによって最も容易に実施される。溶剤の除去および/またはポリマーの硬化の後、ポリマー基板は、一般的に布を使用してこするかまたは一方向にバフ研磨することによって、独自の光方向を確立することができる。場合によって、基板の相対する面はバリヤー不動態化層を有することができる。基板をこすった後、基板はもう1つのポリマー基板に関して0から360度で回転することができる。別の場合には、これらの層は、有機接着剤を使用して、お互いに接着させることもできる。基板間の隙間を一定の厚さに保つために、しばしばスペーサーが使用される。別の場合には、液晶材料の様々な混合物をこれら基板に充填することができる。また、しばしば偏光フィルムおよび/または補強フィルムを、積層法によって基板の外面に付着させることもできる。最終的に、電気的設計およびディスプレイ設計に一致した方法で、両方の基板に電気的接続がなされる。現在、ラビング処理ポリマーフィルム(rubbed polymer film、すなわち、配向方向とチルト角を制御しているフィルム)は、液晶ディスプレイの全ての種類の作製の中心となっている既知のプロセス技術である。したがって、ポリイミドベースのフィルムは、柔軟性があり、低コストで、信頼性のある配向フィルムとして使用することができる。
【0036】
別の実施形態において、本明細書で開示されるポリイミドフィルムは、有機発光ダイオード(OLED)を有する有機電子装置の構成部品として使用することができる。有機電子装置は、産業において重要な役割をはたしている。例えば、有機発光ダイオード(OLED)は、それらの高い電力変換効率と比較的低い加工コストによって、多くのディスプレイ応用分野において有望である。かかるディスプレイは、携帯電話、個人用デジタル補助装置、手持ちサイズのパーソナルコンピュータ、およびDVDプレーヤーを含めた電池式携帯電子装置において特に有望である。これらの用途は、低消費電力に加えて、大きな情報量、フルカラー、および迅速なビデオレート応答時間を有するディスプレイを必要とする。
【0037】
本明細書において、「有機電子装置」または時に「電子装置」という用語は、1つまたは複数の有機半導体層または材料を含む装置を意味するものである。有機電子装置には、それだけには限らないが、(1)電気エネルギーを放射に転換する装置(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、またはライティングパネル)、(2)電子的方法を使用して信号を検出する装置(例えば、光検出器、光伝導セル、光抵抗器、光スイッチ、光トランジスター、光電管、赤外線(IR)検出器、またはバイオセンサー)、(3)放射を電気エネルギーに転換する装置(例えば光起電力装置または太陽電池)、(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子構成部品を含む装置(例えば、トランジスターまたはダイオード)、あるいは(1)から(4)までの装置の任意の組合せが含まれる。
【0038】
OLEDは、通常陽極と陰極の間に配置された有機エレクトロルミネセンス(EL)材料層を含んでいる。他の有機電子装置と同様に、OLEDは、バッファ層および電荷輸送層など他の活性材料を含んでいてもよい。EL材料は、蛍光染料および有機金属錯体などの小さな分子材料とすることができ、あるいは共役ポリマーおよび共役オリゴマーなどの大きな分子材料とすることもできる。各ELまたは活性材料層は、ディスプレイの全体的な性能に貢献する。
【0039】
OLED装置を構成する層は、一般的に基板上に形成される。「基板」という用語は、硬質または軟質のいずれでも良く、1つまたは複数の材料からできている1つまたは複数の層を含むことのできる基材を意味する。これら材料には、それだけには限らないが、ガラス、ポリマー、金属またはセラミック材料あるいはそれらの組合せが含まれる。基材は、電子構成部品、回路、または導電部材を含んでいてもまたは含んでいなくてもよい。
【0040】
装置の層は、蒸着、液相成長(連続式および不連続式技術)、熱転移を含めた在来型析出技術のいずれかによって形成することができる。連続式析出技術には、それだけには限らないが、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬被覆、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続式ノズルコーティングが含まれる。不連続式析出技術には、それだけには限らないが、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が含まれる。
【0041】
この用途で使用されるポリマーフィルムは、一般的に無色の外見を維持すると同時に高い熱的安定性を示すことが必要とされる。しばしば、ディスプレイ装置は、透過スペクトルまたは反射スペクトルにおいて、「フルカラー」に対応するように設計することができる。したがって、これらポリマーフィルムの低着色性は必要不可欠なものである。更に、新しい「フレキシブルディスプレイ」の応用分野では、柔軟な薄膜トランジスター(TFT)バックプレーンが必要とされる。この様に、(TFTバックプレーンに使用される)従来のガラス基板は、柔軟性があり、透明な有機フィルムに取って代わられるであろう。ポリマーフィルムを、これらの種類の応用分野での使用することに関連する一般的な1つの問題は、(ディスプレイ用途のガラス上の)アモルファスシリコン薄膜トランジスターが、通常300〜350℃の間で加工されることである。これらの加工温度は、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンナフタレ−ト)(一般的に、Tgがそれぞれ約70℃〜100℃および120℃であるプラスチック)を含む多くのプラスチックにとって高過ぎる。更に、(250〜275℃の範囲内の)より高い加工温度は、漏洩(ディスプレイ時間枠にわたってピクセルキャパシタ上にデーターを記憶することを不可能にしうる電流の損失)を減少させ、TFTの移動性を増加するために必要とされうる。低い移動性は一般に、OLEDの輝度を制限する可能性がある。したがって、無色のポリイミドフィルムは、理想的な基板(すなわちTgが280℃以上の材料)になり得る。活性TFT型の加工温度が同様に250℃から275℃の範囲であるであるから、同様の考察はLCDディスプレイの作製に対しても当てはまる。
【0042】
透明な導電体は、多くのオプトエレクトロニック装置において基本的構成要素である。これらの装置には、それだけには限らないが、ディスプレイ、タッチスクリーン、および光電池(例えば太陽電池)が含まれる。インジウムスズ酸化物(ITO)は、これらの種類の装置における導電体として使用することができる。場合によって、カーボンナノチューブを導電性媒体として使用する導電性ポリマーの複合フィルムは、金属酸化物の代替品とすることができる。この様に、これらの種類の複合フィルムは、フレキシブルディスプレイにおいて適切に使用することができる。酸化亜鉛フィルムおよび酸化亜鉛をドープしたフィルムは、酸化亜鉛が毒性を有しておらず、安価であるので、ITOフィルムの代替品として使用することができる。最後に、本発明のフィルムは、カメラの透明な保護フィルターとして使用することができる。
【実施例】
【0043】
本発明の利点を、以下の非限定な実施例で説明する。ポリイミドフィルムの調製および試験に使用した処理および手順を以下に記載する。各実施例および比較例サンプルは、厚さ約75ミクロン(約3.0ミル)で調製した。サンプルを、本発明に従って、25ミクロン厚で調製した場合、光線透過率の数値は90.0を超えることができたであろう。ポリアミック酸前躯体材料(ポリイミドフィルムを作製するための前躯体)は、それらの最終粘度を得るために均衡化することができた。
【0044】
本発明のフィルムのその他のフィルム特性、および対応する前躯体材料の特性は、以下の通り測定した。本発明のポリアミック酸の溶液粘度は、約20rpmの速度で操作する#5スピンドルを備えたBrookfield HADV−II+ Viscometerを使用して測定した。ヤング率、引張強度、およびフィルム伸長は、Instron Model 1122 Series IX Automated Materials Testing System 8.10.00版を使用して測定した。クロスヘッド速度は、100.0重量ポンドのロードセルを使用して、約1.0インチ/分に設定した。ポリイミドフィルムの寸法は、各テストストリップで、厚さ約3.0ミル(約75ミクロン)×幅0.5インチ(約12.7mm)であった。機器は1.0インチ(2.54cm)のあご型開口部を使用した。試験条件は、73℃において相対湿度約50%で行った。
【0045】
(実施例1)
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)38.43g(0.12モル)と、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)334mlとを、窒素入口、機械式攪拌器、および温度計を備え、乾燥した500mlの三つ口丸底フラスコに入れた。
【0046】
この混合物を加熱して、ジアミンが完全に溶解して淡黄色の溶液が得られるまで、45℃において数分間攪拌した。次いで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)26.47g(0.09モル)および4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)13.326g(0.03モル)を、(反応器の)ジアミン溶液に加えた。全ての固体が溶解するまで攪拌を続け、反応によってポリアミック酸溶液を生成させた。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。
【0047】
上記のポリアミック酸(BPDA/6FDA//TFMB)から誘導されたポリイミドフィルムを、触媒溶液の使用を介して化学的にイミド化した。化学的にイミド化したフィルムは、このポリマーを、DuPont MYLAR(登録商標)フィルムのシート上にキャスティングすることによって調製した。ポリマー(および支持シート)を、無水酢酸とβ−ピコリンとを1:1の比で含む触媒溶液に浸漬した。数分以内に(部分的なイミド化が起こった時点で)、ゲルフィルムが形成された。ゲルフィルムを支持シートから剥がし、制御型枠(restraining frame)(ピンフレーム)に移した。
【0048】
次いでフィルムを、強制通風乾燥器を使用して加熱して、ポリマーを更にイミド化し、溶剤を除去した。次いでこのフィルムを、炉の温度100℃、150℃、200℃、および300℃で、約1/2時間さらした。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0049】
(実施例2)
ポリアミック酸を、実施例1に従って調製した。但し、6FDA無水物の部分を使用する代わりに、ポリマーは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)の2つのモノマーだけから形成された。
【0050】
BPDA16.181g(0.055モル)と、TFMB17.163g(0.055モル)とを、窒素入口、機械式攪拌器、および温度計を備え、乾燥した500mlの三つ口丸底フラスコに入れた。この2種のモノマーを131.68mlのDMAcに溶解させた。化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成した。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。
【0051】
上記で調製したポリアミック酸(BPDA//TFMB)から誘導されたポリイミドフィルムを、触媒溶液の使用を介して化学的にイミド化した。化学的にイミド化したフィルムは、ポリマーを、DuPont MYLAR(登録商標)フィルムのシート上にキャスティングすることによって調製した。ポリマー(および支持シート)を、無水酢酸とβ−ピコリンとを1:1の比で含む触媒溶液に浸漬した。数分以内に(部分的なイミド化が起こった時点で)、ゲルフィルムが形成された。ゲルフィルムを支持シートから剥がし、制御型枠(ピンフレーム)に移した。
【0052】
次いでフィルムを、強制通風乾燥器を使用して加熱し、ポリマーを更にイミド化して、溶剤を除去した。次いでこのフィルムを、炉の温度100℃、150℃、200℃、および300℃で、約1/2時間さらした。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0053】
(実施例3)
ポリアミック酸を、実施例1に従って調製した。但し、6FDA無水物の部分を使用する代わりに、ポリマーは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、3,5−ジアミノベンゾトリフルオライド(DABTF)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)の3つのモノマーから生成された。
【0054】
TFMB24.658g(0.077モル)と、3,5−ジアミノベンゾトリフルオライド(DABTF)5.911g(0.033モル)とを、窒素入口、機械式攪拌器、および温度計を備え、乾燥した500mlの三つ口丸底フラスコに入れた。この2種のモノマーを252.6mlのDMAcに溶解させた。次いで、32.362g(0.11モル)のBPDAを加え、溶解させた。化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成した。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。
【0055】
上記で調製したポリアミック酸(BPDA//TFMB/DABTF)から誘導されたポリイミドフィルムを、触媒溶液の使用を介して化学的にイミド化した。化学的にイミド化したフィルムは、ポリマーを、DuPont MYLAR(登録商標)フィルムのシート上にキャスティングすることによって調製した。ポリマー(および支持シート)を、無水酢酸とβ−ピコリンとを1:1の比で含む触媒溶液に浸漬した。数分以内に(部分的なイミド化が起こった時点で)、ゲルフィルムが形成された。ゲルフィルムを支持シートから剥がし、制御型枠(ピンフレーム)に移した。
【0056】
次いでフィルムを、強制通風乾燥器を使用して加熱して、ポリマーを更にイミド化し、溶剤を除去した。次いでこのフィルムを、炉の温度100℃、150℃、200℃、および300℃で、約1/2時間さらした。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0057】
(実施例4)
ポリアミック酸を、実施例1に従って調製した。但し、ポリマーは、実施例1の代わりに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン(CHDA)、および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)の3つのモノマーから生成された。
【0058】
TFMB12.52g(0.04モル)と、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン(CHDA)0.79g(0.007モル)とを、窒素入口、機械式攪拌器、および温度計を備え、乾燥した500mlの三つ口丸底フラスコに入れた。この2種のモノマーを114mlのDMAcに溶解させた。次いで、13.5g(0.046モル)のBPDAを加え、溶解させた。化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成した。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。
【0059】
上記で調製したポリアミック酸(BPDA//TFMB/CHDA)から誘導されたポリイミドフィルムを、触媒溶液の使用を介して化学的にイミド化した。化学的にイミド化したフィルムは、ポリマーを、DuPont MYLAR(登録商標)フィルムのシート上にキャスティングすることによって調製した。ポリマー(および支持シート)を、無水酢酸とβ−ピコリンとを1:1の比で含む触媒溶液に浸漬した。数分以内に(部分的なイミド化が起こった時点で)、ゲルフィルムが形成された。ゲルフィルムを支持シートから剥がし、制御型枠(ピンフレーム)に移した。
【0060】
次いでフィルムを、強制通風乾燥器を使用して加熱して、ポリマーを更にイミド化し、溶剤を除去した。次いでこのフィルムを、炉の温度100℃、150℃、200℃、および300℃で、約1/2時間さらした。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0061】
(比較例1)
粘度2,000ポイズのポリアミック酸を、実施例1に従って調製した。ポリマーをキャスティングし、熱転換法を用いて(すなわち、触媒化学物質を使用しないで)、ポリイミドフィルムに転換した。
【0062】
ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液を316ステンレス鋼プレート上にキャスティングすることによって調製した。ポリアミック酸溶液は、段差のあるアルミニウム刃を用いて広げた。段差は、最終フィルムの厚さが約3.0ミルになるように設定した。
【0063】
次いで、ウェットフィルムの付いたステンレス鋼プレートをホットプレート上に置き、約80℃までまたはフィルムが不粘着状態になるまで加熱した。乾燥したフィルムを、次いで制御型枠(ピンフレーム)上に移した。ピンフレーム上で、強制熱風を用いて、100℃、150℃、200℃、および300℃の温度でそれぞれ約1/2時間加熱し、フィルムをポリイミドに熱的に転換した。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0064】
(比較例2)
粘度3,100ポイズのポリアミック酸を、実施例2(BPDA//TFMB)に従って調製した。ポリマーをキャスティングし、熱転換法を用いて(すなわち、触媒化学物質を使用しないで)、ポリイミドフィルムに転換した。
【0065】
ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液を316ステンレス鋼プレート上にキャスティングすることによって調製した。ポリアミック酸溶液は、段差のあるアルミニウム刃を用いて広げた。段差は、最終フィルムの厚さが約3.0ミルになるように設定した。
【0066】
次いで、ウェットフィルムの付いたステンレス鋼プレートをホットプレート上に置き、約80℃までまたはフィルムが不粘着状態になるまで加熱した。乾燥したフィルムを、次いで制御型枠(ピンフレーム)上に移した。ピンフレーム上で、強制熱風を用いて、100℃、150℃、200℃、および300℃の温度でそれぞれ約1/2時間加熱し、フィルムをポリイミドに熱的に転換した。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0067】
(比較例3)
粘度2,300ポイズのポリアミック酸を、実施例2(BPDA//TFMB/DABTF)に従って調製した。ポリマーをキャスティングし、熱転換法を用いて(すなわち、触媒化学物質を使用しないで)、ポリイミドフィルムに転換した。
【0068】
ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液を316ステンレス鋼プレート上にキャスティングすることによって調製した。ポリアミック酸溶液は、段差のあるアルミニウム刃を用いて広げた。段差は、最終フィルムの厚さが約3.0ミルになるように設定した。
【0069】
次いで、ウェットフィルムの付いたステンレス鋼プレートをホットプレート上に置き、約80℃までまたはフィルムが不粘着状態になるまで加熱した。乾燥したフィルムを、次いで制御型枠(ピンフレーム)上に移した。ピンフレーム上で、強制熱風を用いて、100℃、150℃、200℃、および300℃の温度でそれぞれ約1/2時間加熱し、フィルムをポリイミドに熱的に転換した。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0070】
(比較例4)
ポリアミック酸溶液を、実施例1に従って調製した。但し、BPDA無水物部分を使用する代わりに、6FDAだけを使用した。使用したジアミンは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)であった。
【0071】
(溶解させた)TFMB16.012g(0.05モル)と、6FDA22.21g(0.05モル)とを、窒素入口、機械式攪拌器、および温度計を備え、乾燥した500mlの三つ口丸底フラスコに入れた。使用したDMAcの量は148.93mlであった。化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成させた。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。化学的転換用の化学物質は加えなかった。
【0072】
ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液を316ステンレス鋼プレート上にキャスティングすることによって調製した。ポリアミック酸溶液は、段差のあるアルミニウム刃を用いて広げた。段差は、最終フィルムの厚さが約3.0ミルになるように設定した。
【0073】
次いで、ウェットフィルムの付いたステンレス鋼プレートをホットプレート上に置き、約80℃までまたはフィルムが不粘着状態になるまで加熱した。乾燥したフィルムを、次いで制御型枠(ピンフレーム)上に移した。ピンフレーム上で、強制熱風を用いて、100℃、150℃、200℃、および300℃の温度でそれぞれ約1/2時間加熱し、フィルムをポリイミドに熱的に転換した。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0074】
(比較例5)
本発明の比較例4で説明したのと同じ方法と条件により、BPDA22.065g(0.075モル)を、予めDMAc148.93ml中に溶解した3,3’−ジアミノジフェニルスルホン18.622g(0.075モル)に加えた。化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成させた。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。化学的転換用の化学物質は加えなかった。
【0075】
ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液を316ステンレス鋼プレート上にキャスティングすることによって調製した。ポリアミック酸溶液は、段差のあるアルミニウム刃を用いて広げた。段差は、最終フィルムの厚さが約3.0ミルになるように設定した。
【0076】
次いで、ウェットフィルムの付いたステンレス鋼プレートをホットプレート上に置き、約80℃までまたはフィルムが不粘着状態になるまで加熱した。乾燥したフィルムを、次いで制御型枠(ピンフレーム)上に移した。ピンフレーム上で、強制熱風を用いて、100℃、150℃、200℃、および300℃の温度でそれぞれ約1/2時間加熱し、フィルムをポリイミドに熱的に転換した。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0077】
(比較例6)
本発明の比較例4で説明したのと同じ方法と条件により、BPDA22.065g(0.075モル)を、予めDMAc148.93ml中に溶解した4,4’−ジアミノジフェニルスルホン18.622g(0.075モル)に加えた。化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成した。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。化学的転換用の化学物質は加えなかった。
【0078】
ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液を316ステンレス鋼プレート上にキャスティングすることによって調製した。ポリアミック酸溶液は、段差のあるアルミニウム刃を用いて広げた。段差は、最終フィルムの厚さが約3.0ミルになるように設定した。
【0079】
次いで、ウェットフィルムの付いたステンレス鋼プレートをホットプレート上に置き、約80℃までまたはフィルムが不粘着状態になるまで加熱した。乾燥したフィルムを、次いで制御型枠(ピンフレーム)上に移した。ピンフレーム上で、強制熱風を用いて、100℃、150℃、200℃、および300℃の温度でそれぞれ約1/2時間加熱し、フィルムをポリイミドに熱的に転換した。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0080】
(比較例7)
ポリイミドフィルムを、実施例1に従って調製した(すなわち、フィルムをイミド化するのに化学的転換法を使用した)。但し、代わりに、ポリマーは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、3,4−オキシジアニリン(3,4−ODA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)の4つのモノマーから誘導された。
【0081】
TFMB12.8g(0.04モル)と、3,4−オキシジアニリン(3,4−ODA)8.0g(0.04モル)とを、窒素入口、機械式攪拌器、および温度計を備えた乾燥した500mlの三つ口丸底フラスコに入れた。2つのモノマーは、DMAc169ml中に溶解した。次いで、PMDA14.0g(0.046モル)と、BPDA4.7g(0.16モル)とを加えて溶解した。
【0082】
化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成させた。少量の6.0重量%ピロメリット酸二無水物DMAc溶液を、溶液の粘度が約2,400ポイズに達するまでポリアミック酸溶液に加えた。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。
【0083】
上記で調製したポリアミック酸(PMDA/BPDA//TFMB/3,4−ODA)から誘導されたポリイミドフィルムを、触媒溶液の使用を介して化学的にイミド化した。化学的にイミド化したフィルムは、ポリマーを、DuPont MYLAR(登録商標)フィルムのシート上にキャスティングすることによって調製した。ポリマー(および支持シート)を、無水酢酸とβ−ピコリンとを1:1の比で含む触媒溶液に浸漬した。数分以内に(部分的なイミド化が起こった時点で)、ゲルフィルムが形成された。ゲルフィルムを支持シートから剥がし、制御型枠(ピンフレーム)に移した。
【0084】
次いでフィルムを、強制通風炉を使用して加熱して、ポリマーを更にイミド化し、溶剤を除去した。次いでこのフィルムを、炉の温度100℃、150℃、200℃、および300℃に、約1/2時間さらした。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0085】
(比較例8)
ポリイミドフィルムを、実施例1に従って調製した(すなわち、フィルムをイミド化するのに化学的転換法を使用した)。但し、代わりに、ポリマーは、4,4−オキシジアニリン(4,4−ODA)、p−フェニレンジアミン(PPD)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)の4つのモノマーから誘導された。
【0086】
4,4−オキシジアニリン(4,4−ODA)38.4g(0.192モル)と、p−フェニレンジアミン(PPD)31.1g(0.288モル)とを、窒素入口、機械式攪拌器、および温度計を備えた乾燥した500mlの三つ口丸底フラスコに入れた。2つのモノマーを、DMAc168ml中に溶解した。次いで、PMDA60.0g(0.275モル)と、BPDA56.5g(0.192モル)とを加えて溶解した。
【0087】
化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成させた。少量の6.0重量%ピロメリット酸二無水物DMAc溶液を、溶液の粘度が約2,200ポイズに達するまでポリアミック酸溶液に加えた。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。
【0088】
上記で調製したポリアミック酸(PMDA/BPDA//4,4−ODA/PPD)から誘導されたポリイミドフィルムを、触媒溶液の使用を介して化学的にイミド化した。化学的にイミド化したフィルムは、ポリマーを、DuPont MYLAR(登録商標)フィルムのシート上にキャスティングすることによって調製した。ポリマー(および支持シート)を、無水酢酸とβ−ピコリンとを1:1の比で含む触媒溶液に浸漬した。数分以内に(部分的なイミド化が起こった時点で)、ゲルフィルムが形成された。ゲルフィルムを支持シートから剥がし、制御型枠(ピンフレーム)に移した。
【0089】
次いでフィルムを、強制通風炉を使用して加熱して、ポリマーを更にイミド化し、溶剤を除去した。次いでこのフィルムを、炉の温度100℃、150℃、200℃、および300℃に、約1/2時間さらした。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0090】
(比較例9)
本発明の比較例4(熱転換法)で説明したのと同じ方法と条件により、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)22.8g(0.90モル)を、DMAc267mlに溶解した。6FDA30.0g(0.675モル)と、BPDA6.6g(0.0225モル)を加えて、化学反応を起こさせ、これによってポリアミック酸溶液を生成させた。この溶液をデカントし、フィルムキャスティングで使用するまで0℃で保存した。
【0091】
ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液を316ステンレス鋼プレート上にキャスティングすることによって調製した。ポリアミック酸溶液は、段差のあるアルミニウム刃を用いて広げた。段差は、最終フィルムの厚さが約3.0ミルになるように設定した。
【0092】
次いで、ウェットフィルムの付いたステンレス鋼プレートをホットプレート上に置き、約80℃までまたはフィルムが不粘着状態になるまで加熱した。乾燥したフィルムを、次いで制御型枠(ピンフレーム)上に移した。ピンフレーム上で、強制熱風を用いて、100℃、150℃、200℃、および300℃の温度でそれぞれ約1/2時間加熱し、フィルムをポリイミドに熱的に転換した。フィルムをピンフレームから取り出して分析した。データーを表1に示す。
【0093】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドを含むフィルムであって、前記ポリイミドは、第1の二無水物成分と第1のジアミン成分との接触によって得られたペルフルオロ−イミド部分を含み、前記ペルフルオロ−イミド部分は次式で表され
【化1】

(式中、nは繰り返しペルフルオロ−イミド部分の数を表し、nは10と100,000の間の整数である)、
前記ペルフルオロ−イミド部分は、ポリイミドフィルム中のイミド部分の全モル数に対して、以下の数値100、95、90、85、80、75、70、65、60、55および50モル%の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間のモル%存在し、
前記ポリイミドフィルムは、以下の数値−5、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18および20ppm/℃の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間の面内熱膨張係数(CTE)を有し、
前記フィルムは、以下の数値5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175および200ミクロンの任意の2つの数値(それら数値を含む)の間の厚さを有し、
前記フィルムは、380〜770nmの波長の間の光に露光された場合に、65.0、70.0、75.0、80.0、85.0、90.0、95.0および99.0の間の平均光線透過率を有していることを特徴とするフィルム。
【請求項2】
前記ポリイミドは、以下の数値250、275、300、325、350、375、400、425、450、475および500℃の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間のガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ポリイミドは、第2のジアミン成分から誘導され、前記第1のジアミン成分と前記第2のジアミン成分が全ジアミン成分を構成し、前記第2のジアミン成分は、前記ポリイミドへと反応する全ジアミン成分の、以下の数値1、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45および50モル%の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間の量で前記ポリイミドへと反応し、前記第2のジアミン成分は、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン;ジアミノシクロオクタン;テトラメチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;オクタメチレンジアミン;ドデカメチレン−ジアミン;アミノメチルシクロオクチルメタンアミン;アミノメチルシクロドデシルメタンアミン;アミノメチルシクロヘキシルメタンアミン;3,5−ジアミノベンゾトリフルオライド;2−(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン;5−(トリフルオロメチル)−1,3−フェニレンジアミン;1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン;2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−ヘキサフルオロプロパン;2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)−ヘキサフルオロプロパン(6Fジアミン);3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン;4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド(4,4’−DDS);3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS);4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;および4,4’−トリフルオロメチル−2,2’−ジアミノビフェニルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ポリイミドは第2の二無水物成分からも誘導され、第1の二無水物成分と第2の二無水物成分が全二無水物成分を構成し、第2の二無水物成分は、全二無水物成分の、以下の数値1、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45および50モル%の任意の2つの数値(それら数値を含む)の間の量でポリイミドへと組み込まれ、第2の二無水物成分は、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA);4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(BPADA);2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA);ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA);4,4’−ビスフェノールA二無水物;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;(−)−[1S,5R,6S]−3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3−(テトラヒドロフラン−2,5−ジオン);ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物および9,9−二置換キサンテン二無水物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記フィルムは、リン酸二カルシウム、二酸化シリコン、アルミナおよび二酸化チタンからなる群から選択されるフィラーを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
請求項1のフィルムおよびインジウムスズ酸化物層を含む積層品であって、前記フィルムと前記インジウムスズ酸化物層は隣接していることを特徴とする積層品。
【請求項7】
前記積層品は、インジウムスズ酸化物析出プロセスを使用して形成されることを特徴とする請求項6に記載の積層品。
【請求項8】
請求項1のフィルムおよび不動態化バリヤー層を含む積層品であって、前記フィルムおよび前記不動態化バリヤー層は隣接しており、不動態化バリヤー層はフィルムの一面または両面に存在することを特徴とする積層品。
【請求項9】
前記不動態化バリヤー層は、酸素不動態化層、蒸気不動態化バリヤー層または両方であることを特徴とする請求項8の積層品。
【請求項10】
前記不動態化バリヤー層は、式SiOxまたはSiNxを有する材料(式中、Xは、2、3または4のいずれかである)を含むことを特徴とする請求項8に記載の積層品。
【請求項11】
前記不動態化バリヤー層は、Alを、SiOxまたはSiNx(式中、Xは、2、3または4のいずれかである)と場合によっては組み合わせて含むことを特徴とする請求項8に記載の積層品。
【請求項12】
前記不動態化バリヤー層は、原子蒸気析出法を使用してフィルムに施すことを特徴とする請求項8に記載の積層品。
【請求項13】
請求項1のフィルムおよび導体層を含む積層品であって、前記導体層はその中に導電性粒子が分散したポリマーを含み、前記導電性粒子は、カーボンナノチューブ、カーボン粉末、インジウムスズ酸化物および亜鉛ベース酸化物からなる群から選択されることを特徴とする積層品。

【公開番号】特開2007−46054(P2007−46054A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−212212(P2006−212212)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】