説明

光学装置又は撮像装置

【課題】構造が簡単で、光量損失が少なく、低電圧により駆動可能で、光学特性を変化させ得る明るい光学特性可変光学素子及びそれを用いた各種の光学装置や光学機器を提供する。
【解決手段】光学装置が、偏心した非球面の反射、屈折による結像作用を実現する自由曲面光学素子と焦点距離が連続的に変化する液晶レンズのような可変焦点レンズ等の光学特性可変光学素子を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学特性可変光学素子、更に詳しくは光学特性を変化させる光学特性可変光学素子を有する光学装置又は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ズームレンズ或いは撮像装置のピント合わせでは、通常レンズを機械的に移動することが行なわれている。
【0003】
しかし、レンズ系の全体、或いは一部を移動させることは、超小型であることが要求される電子内視鏡やマイクロマシンの眼等では不可能であり、又、テレビカメラ、電子スチルカメラや銀塩フィルムカメラ等でも、軽量化、コストダウンのためには、レンズ系を移動させずにズーム、ピント合わせができることが望ましい。
【0004】
そこで、従来より、これらの課題をレンズの移動を行わずに解決する手段として、例えば特開平5−34656号公報や特開平4−345124号公報に、可変焦点レンズが提案されている。
【0005】
また、図31は、この種の可変焦点レンズの別の一例である液晶レンズを示している。図中の1はシール部材2により封止された斜め配向のネマティック液晶で、ドーナツ状の電極3を設けた一対の基板4,5の間に挟まれている。6は透明基板4,5の内側表面に設けられた配向膜、7は基板4の前側(左側)に設けられていて紙面内で振動する光のみを透過する偏光板、8はスイッチ9と可変抵抗器10を介して電極3に接続された交流電源である。
【0006】
この液晶レンズにおいて、スイッチ9がオフの場合、液晶1は図示のように一様に斜めに配向していて、光線Lは直進する。これに対し、スイッチ9をオンにして電極3に電圧を印加すると、電極3がドーナツ状をしているため電場Eの方向は図5に示すように不均一になり、液晶1は図32に示すように配向する。つまり、液晶レンズの中心付近では電場が弱いため液晶1は斜め配向を保っているが、電極3に近づくにつれて電場が強くなるため液晶1は基板4,5に垂直となる。このため、偏光板7を透過した偏光に対して液晶1の屈折率は液晶レンズの中心ほど高く周辺ほど低くなり、液晶レンズの半径方向(y方向)に屈折率分布をもつようになる。このため、液晶レンズは凸レンズ作用を持つ不均質レンズとなり、入射した光線Lは収束する。
また、自由曲面光学素子を用いた光学装置や撮像装置が知られている。
【特許文献1】特開平5− 34656号
【特許文献2】特開平4−345124号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、自由曲面光学素子は、偏心した非球面の反射、屈折により結像作用を実現するもので、プラスチックやガラス等で作られているが、その形が非対称であるために、ピント合わせを行う場合、固体撮像素子との距離を変化させるための機械的構造が複雑になるという欠点があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で、光量損失が少なく、低電圧により駆動可能で、光学特性を変化させ得る光学特性可変光学素子を備えた光学装置又は撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の光学装置は、自由曲面光学素子と光学特性可変光学素子を有する。
【0010】
又、本発明の撮像装置は、非回転対称面,面内面外共に対称軸を有しない面,光学作用面に回転対称軸を有しない面,面内面外共に対称面を一面のみ有する面の内の何れかと、光学特性可変光学素子とを備える。
【0011】
又、本発明の光学装置は、複数の自由曲面プリズムと、その間に配置された可変焦点レンズを含む光学系を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、明るい光学特性可変光学素子及びそれを用いた各種の光学装置や光学機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図示した実施例に基づき説明する。図1は、本発明に係る光学特性可変光学素子の一実施例としての可変焦点レンズを示しており、図中、従来技術で説明したのと実質上同一の部材には同一符号が付されている。この可変焦点レンズは、ネマティック液晶2を、内側にドーナツ状の電極3を夫々被膜させた基板4と5との間に配向膜6を介して挾み、シール部材2により封止した構成が基本構成となっており、ネマティック液晶1の捩れのピッチP(図2)は使用光の波長λに比べ非常に小さいものとする。即ち、
P≪λ (1)
である。このように、ピッチPが光の波長λに比べて非常に小さいと、この可変焦点レンズは入射光の偏光によらず、屈折率n′をもつ媒質として作用する。
【0014】
n′=(ne+n0)/2 (2)
ここで、neは液晶分子長軸方向の偏光に対する屈折率、n0は液晶分子短軸方向の偏光に対する屈折率である。図3にネマティック液晶1の入射側の液晶分子に対応する屈折率楕円体を示す。ここで、x軸及びz軸は、液晶分子の短軸方向、y軸は液晶分子の長軸方向になっている。なお、ne>n0とする。
【0015】
次に、ジョーンズのベクトルと行列によって、なぜ、ネマティック液晶1が実効的に屈折率n′の等方的な媒質としてふるまうのかを、以下に説明する。
【0016】
吉野勝美、岡崎雅則共著:液晶とディスプレイ応用の基礎 コロナ社のP85〜92に示される式3.10,式3.110及び式3.126によれば、絶対的な位相の変化exp(−iα)を含めた時、図1に示した厚さdのネマティック液晶1に対するジョーンズの行列wtは、

で与えられる。但し、
Φ=2πd/P (4)
Γ=2π(ne−n0)d/λ (5)
α=2π{(ne+n0)/2}・d/λ (6)
X=(Φ2+Γ2/2)1/2 (7)

である。ここで、常光を液晶分子の短軸方向の偏光と定義し、異常光を液晶分子の長軸方向の偏光、又は、長軸を光軸に垂直な平面へ投影した時の方向の偏光と定義すると、Γはネマティック液晶1による常光と異常光の位相差を表わす。
【0017】
尚、Φはネマティック液晶1の液晶分子の捩れ角をラジアンで表わしたものである。又、式(3)、式(8)の座標系は、図1に示すx,y,z軸のように取るものとする。つまり、x軸は紙面の表から裏側へ向かっており、y軸はネマティック液晶1の入射面での液晶分子の長軸の方向である。
【0018】
次に、式(1)の条件のもとで、式(3)のWtがどのようになるかを調べてみる。まず、式(1)は、
0<P/λ≪1 (9)
と変形できる。そこで、P/λ→0の時、式(3)のWtの極限値WtLを求めてみる。
Γ/Φ=(ne−n0)P/λ (10)
であるから、P/λ≪1のとき
|Γ/Φ|≪1 (11)
となり、P/λ→0のとき|Γ/Φ|→0となる。
【0019】
式(11)の条件のもとで

と近似でき、P/λ→0のとき、それぞれ、
X→Φ (16)
cosX→cosΦ (17)

となるので、P/λ→0のとき、

となる。これは屈折率n′=(ne+n0)/2、厚さdの、光軸に沿って等方な媒質のジョーンズ行列にほかならない。従って、P/λ≪1であるので、図1の可変焦点レンズは、屈折率n′の媒質として作用する。
【0020】
又、図4に示すようにスイッチ9をオンにすると、図5に示すような電場が液晶1に加わるので、液晶1の配向は図4に示すように変わる。つまり、液晶レンズの光軸付近ではほぼ螺旋状の配向のままであり、光軸から離れるにつれて液晶分子の方向は徐々に基板4,5に対して垂直に近づき、電極3に挟まれた部分では基板4,5に対してほぼ垂直となる。図2は、光軸から多少離れたところに於ける液晶1の配向のようすを示している。液晶分子はこのように配向しているので、その屈折率は光軸付近ではn′、周辺部ではn0となり、不均質レンズとして作用する。上記の式(3)〜(20)の考え方は、液晶1の微小部分に対して適用される。従って、偏光板なしの明るい可変焦点レンズが得られるのである。
【0021】
次に、上記の可変焦点レンズの具体的な構成例を説明する。図1に示すように、可変焦点レンズは、具体的には、可変抵抗器10により電圧を連続的に可変にした構成になり、液晶分子の配列を、図1と図4の中間にもってくることができるように構成する。これにより、焦点距離が連続的に変化する液晶レンズを実現できる。
【0022】
なお、図6に示すような中間の配列の場合においても、neの値を、neとn0のある中間の値である異常光の屈折率ne′で置き換えることで、上記の式(3)〜式(20)は満たされる。
【0023】
なお、図1に示すように構成することで、電圧の印加のしかたとしては、連続可変に限らず、いくつかの離散的な電圧値から印加電圧を選択するようにしても、可変焦点レンズが実現できる。
【0024】
ここで、図1のように構成した可変焦点レンズの実際的な例について、詳細に説明する。
【0025】
式(20)にはP/λ→0の極限の場合が示されているが、実際の液晶レンズ、可変焦点レンズでは必ずしも極限値があてはまらない場合もあるので、式(3)の近似式を導いてみる。
【0026】
式(3)をP/λの1次までを考えて近似すると、次のようになる。つまり、式(12)〜式(14)で、P/λの1次まで、即ち式(10)より、Γ/Φの1次までを残しP/λの2次以上、Γ/Φの2次以上を省略すると、

を得る。従って、WtNの値が等方媒質のジョーンズ行列とほぼ等しいと見なせるためには、|i・Γ/2Φ|が0に近ければよい。この時WtNは、

に近づくが、この式は、液晶1が入射光の偏光方向はΓ/4・Γ/Φだけ回転するが、等方媒質であるとみなせることを意味している。
【0027】

であれば、ボケのない可変焦点レンズが得られる。式(10)より

となる。
【0028】
実際のレンズ付撮像装置、例えば電子カメラ、VTRカメラ、電子内視鏡などの、比較的低コストの製品等のレンズに本発明の可変焦点レンズを用いる場合、高解像を要求しない場合もあるので、式(26)は条件をゆるめることができ、
|Γ/2Φ|<1 (28)
であれば良い。
【0029】
画素数の多い電子撮像装置のレンズ、フィルムカメラ、顕微鏡などの高画質の製品等のレンズでは高解像が要求されるので、
|Γ/2Φ|<π/6 (29)
であればよい。
【0030】
光ディスクのレンズ等結像に用いないレンズ或いは画素数の少ない電子撮像装置などの場合、条件はさらにゆるめられ、
|Γ/2Φ|<π (30)
であればよい。
【0031】
なお、本実施の形態に共通していえることであるが、液晶1が螺旋状の配列の時、液晶分子の長軸方向が光軸に対して垂直でない時、つまり斜めの時は、式(1)、式(26)〜式(30)のneを上記のne′で置き換えればよい。
【0032】
以下に、いくつかの設計例を上げる。ネマティック液晶1の厚さdは、薄いとレンズのパワーが弱く役に立たないし、厚いと光を散乱して、フレアの原因となるので、
2μ<d<300μ (31)
ぐらいが適当である。光の波長λの例としては可視光を考えれば、
0.35μ<λ<0.7μ (32)
である。
【0033】
ne−n0の値は液晶の物性で決まるが、
0.01<|ne−n0|<0.4 (33)
ぐらいの物質が多い。そこで、第1の設計例として、
d=15μ
λ=0.5μ
ne−n0=0.2
P=0.05μ
φ=60μ (可変焦点レンズの有効径)
とすれば、
Γ/2Φ=1/2・0.2×0.05/0.5=0.01となり、式(26)、式(28)、式(29)、式(30)を満たす。
【0034】
第2の設計例として、
d=30μ
λ=0.6μ
ne−n0=0.25
P=0.3μ
φ=180μ
とすれば、
Γ/2Φ=1/2・0.3×0.25/0.6=0.0625となり、式(26)、式(28)、式(29)、式(30)を満たす。
【0035】
また、第3の設計例として、
d=50μ
λ=0.55μ
ne−n0=0.2
P=5μ
φ=150μ
とすれば、
Γ/2Φ=1/2・0.2×5.0/0.55=0.909となり、式(28)、式(30)を満たす。
【0036】
さらに、第4の設計例として、近赤外光用の可変焦点レンズを考え、
d=200μ
λ=0.95μ
ne−n0=0.2
P=4μ
φ=2000μ
とすれば、
Γ/2Φ=1/2・0.2×4/0.95=0.42となり、式(26)、式(28)、式(29)、式(30)を満たす。
【0037】
以上の各設計例では、ネマティック液晶を例にとって説明したが、ネマティック液晶の螺旋のピッチを、用いる光の波長よりも小さくするためには、カイラル剤を液晶に混ぜると良い。
【0038】
カイラル剤としては、コレステリック液晶又は合成品の光学活性化合物などが用いられる。以下の化学式(1)、化学式(2)にネマティック液晶の例を、化学式(3)、化学式(4)にカイラル剤の例を示す。
【0039】

【0040】
以上の説明において、可変焦点レンズに用いる液晶1としては、ネマティック液晶を用いて説明したが、本実施の形態はこれに限らず、可変焦点レンズの第1の変形例として、図7に示すようなスメクティック液晶を用いて構成することができる。この図7は、スメクティックC相の液晶分子配列を示したもので、これを用いた可変焦点レンズの構造を図8に示す。
【0041】
これに電圧を印加すると、一対の電極3に挟まれた各層の液晶分子は、図8のように、座標系のz軸方向に配列し、スメクティック液晶11の屈折率は、図8の状態の光軸上の屈折率n′から、周辺部の屈折率n0に低下し、可変焦点レンズの焦点距離が変化する。
【0042】
この図7及び8に示した第1の変形例についても、式(1)〜式(30)はあてはまり、特に式(26)、式(28)、式(29)、式(30)を満たせばボケの少ない可変焦点レンズが得られる。又、図8の構成においても、スメクティック液晶11に加わる電圧は連続的に変えることができ、それに伴って焦点距離も連続的に変わる。
又、一対の電極3の中心穴の大きさを図8に示すように互いに変えることでスメクティック液晶11の屈折率変化を収差が小さくなるように変えることもできる。これは図1,9等に示した可変焦点レンズにも適用できる。
【0043】
ここで、スメクティック液晶11を用いた可変焦点レンズの設計例を示すと、パラメータとして、
d=25μ
λ=0.55μ
ne−n0=0.3
P=1.0μ
φ1=50μ
φ2=70μ
とすると、
Γ/2Φ=1/2・0.3×1.0/0.55=0.2725となり、式(26)、式(28)、式(29)、式(30)を満たす。
【0044】
なお、化学式(5)に、スメクティック液晶11の分子構造の1例である「4−(n−ヘキシルオキシ)フェニルオキシ−4″−(2−メテルブチル)ビフェニル−4′−カルボキシレート」を示した。なお、ピッチPはおよそ0.2μである。

また、可変焦点レンズの第2の変形例として、図9に示すように、コレステリック液晶12を用いた可変焦点レンズを構成することができる。
【0045】
コレステリック液晶12では、液晶分子の配向方向は各層でレンズ表面に平行で方位角が周期Pで、z軸方向に螺旋を描いて変わる。この状態で式(1)〜式(30)があてはまる。電圧が加わると、液晶分子の配向が図9に示すように周辺にいくにつれて螺旋が無くなり、凸レンズ作用が生ずる。又、この変形例では基板5の内面形状を凸レンズ状とし、コレステリック液晶12の形状によるレンズ効果も兼ね備えた可変焦点レンズである。基板5の内面の形状はフレネルレンズ状にしてもよい。
【0046】
なお、コレステリック液晶12には選択反射の性質があり、波長λs=P・n′近傍の右又は左の円偏光を全反射してしまう。図10は、自然偏光に対するコレステリック液晶の反射率の実測値の例を示している。
【0047】
従って、波長λsは、この可変焦点レンズで用いる光の波長範囲外にあることが望ましい。つまり、P・n′が、この可変焦点レンズを利用する光の波長域外にあることが、さらに透過率の良い、着色のない液晶レンズを得るために必要である。可視光であれば、
P・n′<0.4μ (34)
であることが必要である。
【0048】
なお、上述した第1の変形例である図7に示したスメティックC相の液晶でも選択反射は生じる場合があり、上記の理由で式(34)は図7に示した例にも適用される。
【0049】
コレステリック液晶12を用いた可変焦点レンズの設計例として、
d=15μ
ne−n0=0.4
λ=0.45μ
P=0.01μ
n′=1.7
φ=300μ
とすると、
Γ/2Φ=1/2・0.4×0.01/0.45=0.00445となり、式(26)、式(28)、式(29)、式(30)を満たし、P・n′=0.017μであるから、式(34)も満たしている。
【0050】
化学式(6)はコレステリック液晶12の1例で、安息香酸コレステロールの化学式である。

又、可変焦点レンズの第3の変形例として、コレステリック液晶12の代りにディスコチック液晶を用いてもよい。
【0051】
本実施の形態並びに各変形例及び後述する他の実施の形態で述べる可変焦点レンズに共通して言えることであるが、螺旋のピッチPが、用いる光の波長λに比べて小さいか、或いは波長の20倍程度以下であることが、ボケのより少ない可変焦点レンズを得るためにより望ましいことであり、例えば可視光の場合、0.4μ<λ<0.7μで使用する光学装置では、
0.001μ<P<14μ (35)
が望ましい条件となる。さらに充分ボケを減らすためには、
0.001μ<P≦5μ (36)
であることが望まれる。Pの下限は液晶分子自体の大きさから決まっている。
【0052】
また、本実施の形態並びに各変形例では、各液晶の配向を変化させるのに、電場を用いてきたが、これに限らず、図11に示すように、コイル13及び鉄芯14を用いて、例えばコレステリック液晶12に磁場Hを印加し、磁場の空間的不均一によって液晶の方向を変えて、屈折率変化を生じさせるようにしても良い。なお、図11はコレステリック液晶12より成る可変焦点レンズの例であるが、ネマティック液晶1或いはスメクティック液晶11等より成る可変焦点レンズに適用してもよい。
【0053】
又、各液晶の配向を変化させるのに、図12に示すように、ヒータ15を用いて温度の変化によって、例えばコレステリック液晶12の配向を変えるようにしてもよく、これまで述べた他の液晶、ネマティック液晶1或いはスメクティック液晶11等の可変焦点レンズにも適用できる。この構成では、温度を変えることによって、液晶に相転移を生じさせ、レンズの焦点距離を変えるようになっている。基板4,5はフレネルレンズ形状をしていてもよい。
【0054】
以上の例で液晶のピッチPは波長λに比べて小さい程よいが、実際には波長より10〜50倍大きくてもよい場合もある。今、これを式(10)と(30)を用いて考えてみる。
即ち、
|Γ/2Φ|<π
|1/2(ne−n0)P/λ|<π
ここでλ=0.5μ,ne−n0=0.2とすると、
P<10πλ=31.4λ (37)
を得る。式(28)、(29)、(30)等は図4の光軸付近の液晶に対するものであるが、図4の光軸から離れたところの液晶では液晶分子の傾きがあるため、実効的なne−n0の値は光軸付近より小さい。従って液晶レンズ全体としては式(37)を更に緩めることができ、
P<60λ (38)
でよい。
【0055】
やや高精度な光学系では、式(28)より同様にして
P<20λ (39)
であればよい。
【0056】
又、Pの値が液晶の場所ごとに異なる場合、Pとしてはそれらの平均値をとるものとする。
【0057】
図13は、本発明に係る可変焦点レンズの第3の変形例を示すもので、高分子分散液晶層16を用いた例である。即ち、この可変焦点レンズでは一対の基板4,5の間に高分子分散液晶層16が配設されており、スイッチ9をオンにすると、電極3を介して高分子分散液晶層16に電場が加えられるようになっている。高分子分散液晶層16は、図14に明示したように、それぞれ液晶分子16aを含む球状、多面体等の任意の形状の多数の微小な高分子セル16bから構成されている。
【0058】
ここで高分子セル16bの大きさは、例えば球状の場合、その平均直径をD、使用する光の波長をλとするとき、例えば、
2nm≦D≦λ/5 (40)
とする。即ち、液晶分子16aの大きさは、2nm程度以上であるので、直径Dの下限値は、2nm以上とする。又、直径Dの上限値は、可変焦点レンズの光軸方向における高分子分散液晶層16の厚さtにも依存するが、波長λに比べて大きいと、高分子の屈折率と液晶分子16aの屈折率との差により、高分子セル16bの境界面で光が散乱して高分子分散液晶層16が不透明になってしまうため、波長λ以下或いは後述するように、好ましくは、λ/5以下とする。なお、高分子分散液晶層16の透明度は、厚さtが厚いほど悪くなる。
【0059】
また、液晶分子16aとしては、例えば、一軸性のネマティック液晶分子を用いる。この液晶分子16aの屈折率楕円体は、図15に示すような形状となり、
ox=noy=n0 (41)
である。但し、n0は常光線の屈折率を示し、nox及びnoyは、常光線を含む面内での互いに直交する方向の屈折率を示す。
【0060】
ここで、図13に示すように、スイッチ9をオフ即ち高分子分散液晶層16に電界を印加しない状態では、液晶分子16aが様々な方向を向いているので、可変焦点レンズは平行平面板と等価となりレンズとしては作用しない。この時の可変焦点レンズの焦点距離をf1とすると、f1=∞である。これに対し、図16に示すようにスイッチ9をオンにすると、一対の電極3に挟まれた部分では、液晶分子16aの方向は基板4,5に垂直に向き、光軸に近づくにつれて基板4,5に対して斜めを向くようになり、光軸付近ではその方向はランダムになる。従って光軸付近では図13の状態とほぼ同じ配列となる。このため、高分子分散液晶層16の屈折率は光軸付近では高く、光軸から離れるにつれて低下していく。これにより、可変焦点レンズは凸レンズ作用を持つ不均質レンズとして作用するようになる。
【0061】
なお、高分子の割合を増やすと、高分子分散液晶層16は固体に近づくので、その場合には、基板4又は5の少なくとも一方はなくてもよい。そして、これは後述の図17,図18等に示す液晶可変焦点レンズにも適用され得る。
【0062】
なお、高分子分散液晶層16に印加する電圧は、図13に示すように、可変抵抗器10により段階的或いは連続的に変化させることもできる。このようにすれば、印加電圧が高くなるにつれて、液晶分子16aは、その楕円長軸が徐々に可変焦点レンズの光軸と平行となるように配向するので、屈折力を段階的或いは連続的に変えることができる。
【0063】
ここで、図13に示す状態、即ち高分子分散液晶層16に電界を印加しない状態での、液晶分子16aの平均屈折率nLC′は、図15に示すように屈折率楕円体の長軸方向の屈折率をnzとすると、およそ
(nox+noy+nz)/3≡nLC′ (42)
となる。又、上記(41)式が成り立つときの平均屈折率nLCは、nzを異常光線の屈折率neと表して、
(2n0+ne)/3≡nLC (43)
で与えられる。このとき、高分子分散液晶層16の屈折率nAは、高分子セル16bを構成する高分子の屈折率をnPとし、高分子分散液晶層16の体積に占める液晶分子16aの体積の割合をffとすると、マックスウェル・ガーネットの法則により、
A=ff・nLC′+(1−ff)nP (44)
で与えられる。
【0064】
又、常光線の平均屈折率を、
(nox+noy)/2=no′ (45)
とすれば、図16に示す状態、即ち高分子分散液晶層16に電界を印加した状態での電極3の間の高分子分散液晶層16の屈折率nBは、
B=ff・n0′+(1−ff)nP (46)
で与えられる。又、図16に示す状態で高分子分散液晶層16の屈折率が光軸からの距離yに対して、2乗で変化していると仮定して、この可変焦点レンズの焦点距離f2を求めてみる。高分子分散液晶層16のyにおける屈折率n(y)を
n(y)=n0+n022 (47)
と表わせば、
2-1≒−2n02t (48)
と近似的に表わされる。
n(y)−n0=n022 (49)
であり、レンズの周縁ではn(y)=nBで、またn0=nAであるから、
B−nA=n022 (50)
2=−y2/{2(nB−nA)t} (51)
となる。但し、tは高分子分散液晶層16の厚さである。
【0065】
上記(51)式から、高分子分散液晶層16による焦点距離の変化を大きくするには|nB−nA|を大きくすればよい。ここで、
B−nA=ff(n0′−nLC′) (52)
であるから、|n0′−nLC′|を大きくすれば、変化率を大きくすることができる。実用的には、nBが、1.3〜2程度であるから、
0.01≦|n0′−nLC′|≦10 (53)
とすれば、ff=0.5のとき、高分子分散液晶層16による焦点距離を、0.5%以上変えることができるので、効果的な可変焦点レンズを得ることができる。なお、|n0′−nLC′|は、液晶物質の制限から、10を越えることはできない。
【0066】
次に、上記(40)式の上限値の根拠について説明する。
「Solar Energy Materials and Solar Cells」31巻, Wilson and Bck, 1993.
Elesvier Science Publishers B. v. 発行の第197 〜214 頁、「Transmission variation using scattering/transparent switching films 」には、高分子分散液晶の大きさを変化させたときの透過率τの変化が示されている。そして、この文献の第206頁、図6には、高分子分散液晶の半径をrとし、t=300μm、ff=0.5、nP=1.45、nLC=1.585、λ=500nmとするとき、透過率τは、理論値で、r=5nm(D=λ/50、D・t=λ・6μm(ただし、Dおよびλの単位はnm、以下も同じ)のときτ≒90%となり、r=25nm(D=λ/10)のときτ≒50%になることが示されている。
【0067】
ここで、例えば、t=150μmとして、透過率τがtの指数関数で変化すると仮定して、t=150μmの場合の透過率τを推定してみると、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・15μm)のときτ≒71%となる。また、t=75μmの場合は、同様に、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・7.5μm)のときτ≒80%となる。
【0068】
これらの結果から、
D・t≦λ・15μm (54)
であれば、τは70%〜80%以上となり、レンズとして十分実用になる。従って、例えば、τ=75μmの場合、D≦λ/5で、十分な透過率が得られることになる。
【0069】
また、高分子分散液晶層16の透過率は、nPの値がnLC′の値に近いほど良くなる。一方、n0′とnPとが異なる値になると、高分子分散液晶層16の透過率は悪くなる。図13の状態と図16の状態とで、平均して高分子分散液晶層16の透過率が良くなるのは、
P=(n0′+nLC′)/2 (55)
をほぼ満足するときである。
【0070】
ここで、この可変焦点レンズは、レンズとして使用するものであるから、図13の状態でも、図16の状態でも、透過率はほぼ同じで、かつ高い方が良い。そのためには、高分子セル16bを構成する高分子の材料および液晶分子16aの材料に制限があるが、実用的には、
0′≦nP≦nLC′ (56)
とすればよい。
【0071】
上記(55)式をおよそ満足すれば、上記(54)式は、さらに緩和され、
D・t≦λ・60μm (57)
であれば良いことになる。なぜなら、フレネルの反射則によれば、反射率は屈折率差の2乗に比例するので、高分子セル16bを構成する高分子と液晶分子16aとの境界での光の反射、即ち高分子分散液晶層16の透過率の減少は、およそ上記の高分子と液晶分子16aとの屈折率の差の2乗に比例するからである。上記(57)式でt=75μmとすれば、D≦0.8λとなり、およそD≦λであればよいことになる。
【0072】
以上は、n0′≒1.45、nLC′≒1.585の場合であったが、より一般的に定式化すると、
D・t≦λ・15μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP2 (58)
であればよい。但し、(nu−nP2は、(nLC′−nP2と(n0′−nP2とのうち、大きい方である。
【0073】
又、この可変焦点レンズの焦点距離変化を大きくするには、ffの値が大きいほうが良いが、ff−1では、高分子の体積がゼロとなり、高分子セル16bを形成できなくなるので、
0.1≦ff≦0.999 (59)
とする。一方、ffは小さいほどτは向上するので、上記(58)式はゆるめられる場合もあり、好ましくは、
4×10-6〔μm〕2
≦D・t
≦λ・45μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP2 (60)
とする。なお、tの下限値は、図13から明らかなように、t=Dで、Dは、上述したように2nm以上であるので、D・tの下限値は、(2×10-3μm)2、即ち4×10-6〔μm〕2となる。
【0074】
以上は可変焦点レンズによる光の散乱、透過率にかなり良い値を要求した場合であった。しかし、低コストの光学系、撮像装置の照明系、信号処理系などでは、それほど光の散乱、透過率を良くしなくてもよい場合もあり、上記(60)式はさらに以下のように緩和され得る。
4×10-6〔μm〕2
≦D・t
≦λ・450μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP2 (61)
【0075】
なお、物質の光学特性を屈折率で表わす近似が成り立つのは、「岩波科学ライブラリー8 小惑星がやってくる」向井正著,1994,岩波書店発行の第58頁に記載されているように、Dが10nm〜5nmより大きい場合である。また、Dが500λを越えると、光の散乱は幾何学的となり、高分子セル16bを構成する高分子と液晶分子16aとの界面での光の散乱がフレネルの反射式に従って増大するので、Dは実用的には、
7nm≦D≦500λ (62)
とする。
【0076】
図13に示す構成において、上記のnox,noy,n0,nz,ne,nP,ff,D,t,λ,nLC′,nLC,nA,nB,f1,f2および可変焦点レンズの有効径φは、具体的には、それぞれ以下の値にする。
ox=noy=n0=1.5
nz=ne=1.75
P=1.54
ff=0.5
D=50nm
t=125μm
λ=500nm
LC′=nLC=1.5833
A=1.5617
B=1.52
1=∞
2=599.5mm
φ=5mm
【0077】
この場合、上記(60)式の右辺は、
λ・45μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP2
=500nm・45μm・(0.135)2/(0.0433)2
≒218712nm・μm
となる。また、D・tは、
D・t=50nm・125μm=6250nm・μm
となり、確かに上記(60)式を満足する。
【0078】
また、上記の具体例において、通常のレンズのように基板4,5の表面を曲面とすることもできる。
【0079】
図17は、図13に示す可変焦点レンズを用いるデジタルカメラ用の撮像光学系の構成を示すものである。この撮像光学系においては、物体(図示せず)の像を、可変焦点レンズVFLおよびレンズ17を介して、例えばCCDよりなる固体撮像素子18上に結像させる。なお、図17では、液晶分子16aの図示を省略してある。また、この光学系の絞りは電極3で兼ねており、基板4,5は曲面になっている。
【0080】
かかる撮像光学系によれば、可変抵抗器10により可変焦点レンズVFLの高分子分散液晶層16に印加する交流電圧を調整して、可変焦点レンズVFLの焦点距離を変えることにより、可変焦点レンズVFLおよびレンズ17を光軸方向に移動させることなく、例えば、無限遠から600mmまでの物体距離に対して、連続的に合焦させることが可能となる。
【0081】
図18は、強誘電性液晶19を用いた可変焦点レンズの第4の変形例である。図中、20は透明電極である。基板4,5の少なくとも一方は曲面となっているので、印加される電場が一様であってもレンズ作用を持つ。そして可変抵抗器10により、このレンズ作用を変化させることができる。なお、強誘電性液晶19の代りに反強誘電性液晶を用いてもよい。いずれの場合も、ネマティック液晶を用いた場合に比べて応答時間が早いので有利である。強誘電性液晶又は反強誘電性液晶のいずれを用いた高分子分散液晶レンズの場合でも、上記式(40)〜(46)及び上記式(52)〜(62)は適用される。
【0082】
本発明のすべての液晶レンズに共通して言えることであるが、液晶のアツベ数(通常νdと表わされる。)は小さくて40〜10程度のものが多い。従って、液晶レンズは強い色収差を発生するので、これを補正するために少なくとも基板4又は5の一方をレンズ形状とし、且つその材質としてはアツベ数が50以下とするのが良い。
例えば、重フリント系のガラスがこれに該当する。そして、液晶レンズが凸作用なら、基板の少なくとも一方を凹レンズ、液晶レンズが凹作用なら基板の少なくとも一方を凸レンズとするのが良い。
【0083】
図19は、光学特性可変光学素子の他の実施例を示しており、可変偏角プリズムの例である。この実施例では、2つの基板4,5の間に高分子分散液晶層16が挟まれており、電圧の変化で光の偏向を変えることができるようになっている。この場合の基板4にもアツベ数が50以下の硝材を使うのがよい。また、ここで用いられる液晶21はネマティック液晶でも、強誘電性液晶でも、反強誘電性液晶等でも良い。
【0084】
図20は本発明の更に他の実施例を示しており、2枚の液晶可変焦点レンズVFL1,VFL2を組み合わせて用いた例である。液晶可変焦点レンズの一方VFL1は、高分子分散液晶層16をドーナツ状の電極3とドーナツ状の透明電極20を有する基板4,5で挾んで構成したものであり、可変抵抗器10を夫々調節して各電極間に加えられる電圧を適宜選ぶことにより、屈折率の分布形状を変え、収差を制御することができるようにしたものであり、凸の可変焦点レンズとして作用する。液晶可変焦点レンズの他方VFL2はネマティック液晶1を配向膜6を介して透明電極20を形成した基板4,5で構成したものであり、凹の可変焦点レンズとして作用する。このように、2枚の液晶可変焦点レンズVFL1,VFL2を用いると、どちらも液晶を用いているのでアツベ数が小さく、色収差を補正することが容易となる。一方が凸レンズなら他方は凹レンズであることが、色収差の補正には必要である。
【0085】
図21は、液晶の屈折率ndの変化に伴うアツベ数νdの変化を表わした特性線図である。ここには2種類の液晶のnd−νd特性曲線が表わされている。一般に、屈折率の増大とともにアツベ数は減少する傾向にある。
従って、液晶可変焦点レンズVFL1,VFL2を含むレンズ系の屈折率を変化させた場合、色収差の変動を減らすためには、液晶可変焦点レンズVFL1,VFL2のいずれか一方のアツベ数νdが大きい状態の時には、他方のアツベ数νdも大きい状態で用いるのがよい。逆に、一方のアツベ数νdが小さい状態の時には、他方のアツベ数νdも小さい状態で用いるのが良い。そして、このレンズ系を色収差の少ない凸レンズとして作用させるには、凸レンズを構成する方の液晶のアツベ数νdを大きく、凹レンズを構成する方の液晶のアツベ数νdを小さく選ぶのが良い。図21で言えば、凸レンズに左側のグラフで示されるような特性の液晶を、凹レンズに右側のグラフで示されるような特性の液晶を用いるのが良い。なお、図21のE7,MBBAは何れも液晶の名称である。凸レンズと凹レンズに用いる液晶のグラフは、液晶の屈折率ndの小さいところで交わっていても良く、要するにある屈折率範囲に於いて凹レンズの液晶のグラフの方が凸レンズの液晶のグラフより右にあれば良い。そして更に、色収差を除去するためには、液晶のアツベ数νdは50を超えないことが望ましい。図20を参照して、VFL1の焦点距離をf1、VFL2の焦点距離をf2とすると、色収差を除去するためには、下記条件
1/2<|f1/f2|<2 (63)
を満たすことが望ましい。何故ならば、図20の例で言えば、|f1/f2|が式(63)の上限を越えれば色収差は補正過剰となり、|f1/f2|が式(63)の下限を満たさなければ色収差は補正不足となるからである。
【0086】
また、本発明の光学特性可変液晶光学素子全般に言えることであるが、液晶としてトラン系の液晶を用いれば、屈折率変化が大きく、且つ粘性が小さいので、応答時間が短く有利である。図22は、トラン系液晶の例として4−アルキルシクロヘキシル−4′−アルキルトランを示している。ここでRはアルキル基を、R′はアルコキン基を夫々示す。又、液晶の応答時間を短くするためには、液晶に常時低い電圧を加えておくとよい。この電圧は、液晶の屈折率が変化をおこす相転移電圧と同程度か、それより低ければよい。
【0087】
又、本発明の光学特性可変光学素子全般に対して言えることであるが、液晶の代りに電気光学効果、磁気光学効果、熱光学効果を(温度によって屈折率が変わる)有する物質並びに強誘電体等を用いてもよいことは言うまでない。電気光学効果を有する物質の例としてはチタン酸バリウム(BaTiO3)が、磁気光学効果を有する物質の例としては鉛ガラス,水晶が熱光学効果を有する物質の例としては水が強誘電体物質の例としてはチタン酸バリウム,ロッシェル塩等がある。
【0088】
図23は、液晶可変焦点レンズVFLの応用例を示すもので、自由曲面光学素子22,23を用いたデジタルカメラ用撮像装置を示している。自由曲面光学素子22,23は、偏心した非球面の反射、屈折により結像作用を実現するもので、プラスチックやガラス等で作られているが、その形が非対称系であるために、ピント合わせを行う場合、固体撮像素子18との距離を変化させるための機械的構造が複雑になると云う欠点があった。そこで、この例では、2つの自由曲面光学素子22,23の間の絞り近傍位置に液晶可変焦点レンズVFLを配置し、その屈折力を変えることにより、ピント合わせを実現したものである。この場合、機械的に自由曲面光学素子22,23を動かすことなくピント合わせができるので、構造が単純となり有利である。また、この構成によれば、液晶可変焦点レンズVFLの基板の一方は自由曲面光学素子22の外面で代用しているので、コストが安くでき有利である。
【0089】
なお、本撮像装置の光学系は、固体撮像素子18をフィルムに置き換えれば、フィルムカメラ等に用いることもできる。又、自由曲面光学素子と本発明による光学特性可変光学素子を組み合わせて、ズームレンズ付の撮像装置或いは光学装置としてもよい。又、自由曲面光学素子の変わりに、不均質レンズ(通常GRINレンズとも呼ばれる)又は回折光学素子又は非球面レンズと本発明による光学特性可変光学素子とを組み合わせて、焦点距離可変の撮像装置或いは光学装置としてもよい。この場合の光学装置としては、光ディスク用のピックアップ,顕微鏡等をあげることが出来る。
【0090】
本発明による光学特性可変光学素子は、例えば可変焦点レンズとして構成すれば、電子カメラ,TVカメラ,電子内視鏡のオートフォーカス装置,ズームレンズ等に利用することができる。又、双眼鏡,カメラのファインダー,顕微鏡の接眼レンズ等の光学機器の視度調整装置や変倍装置等にも用いることができる。さらに、可変焦点眼鏡にも用いることができる。
【0091】
以下に、その実施形態を例示する。
図24〜図26は、本発明による光学特性可変光学素子を電子カメラのファインダー部の対物光学系に組み込んだ構成の概念図を示す。図24は電子カメラ24の外観を示す前方斜視図、図25は同後方斜視図、図26は電子カメラ24の内部構成を示す断面図である。電子カメラ24は、この例の場合、撮影用光路25を有する撮影光学系26、ファインダー用光路27を有するファインダー光学系28、レリーズ29、フラッシュ30、液晶表示モニター31等を含み、カメラ24の上部に配置されたレリーズ29を押圧すると、それに連動して撮影用対物光学系32を通して撮影が行われる。撮影用対物光学系32によって形成された物体像が、ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等のフィルタ33を介してCCD18の撮像面18a上に形成される。このCCD18で受光された物体像は、処理手段34を介し電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニター31に表示される。また、この処理手段34にはメモリ等が配置され、撮影された電子画像を記録することもできる。なお、このメモリは処理手段34と別体に設けてもよいし、フロッピーディスク等により電子的に記録書き込みを行うように構成してもよい。また、CCD18に代わって銀塩フィルムを配置した銀塩カメラとして構成してもよい。
【0092】
さらに、ファインダー用光路27上には、光学特性可変光学素子をファインダー用対物光学系35として配置してある。また、カバー部材として正のパワーを有するカバーレンズ36を配置し、画角を拡大している。なお、このカバーレンズ36と結像光学系の絞り37より物体側の光学特性可変光学素子VFLとでファインダー用対物光学系35の前群を、結像光学系の絞り37より像側の光学特性可変光学素子VFLとでファインダー用対物光学系35の後群を構成している。絞り37を挟んだ前群と後群の各々に光学特性可変光学素子VFLを配し、液晶への印加電圧等を制御することによって、ズーミングとフォーカシングを行っている。またこの制御は、処理手段により撮影用対物光学系32のズーミング、フォーカシング作用に連動して行われる。このファインダー用対物光学系35によって形成された物体像は、像正立部材であるポロプリズム38の視野枠39上に形成される。なお、視野枠39は、ポロプリズム38の第1反射面38aと第2反射面38bとの間を分離し、その間に配置されている。このポロプリズム38の後方には、正立正像にされた像を観察者眼球に導く接眼光学系40が配置されている。このように構成されたカメラ24は、ファインダー用対物光学系35を少ない光学部材で構成でき、高性能及び小型化が実現できる。
【0093】
図27は、本発明の光学特性可変光学素子VFLを電子カメラ24の撮影用対物光学系32に組み込んだ構成の概念図を示す。この例の場合、撮影用光路25上に配置された撮影用対物光学系32は、光学特性可変光学素子VFLを用いている。この撮影用対物光学系により形成された物体像は、ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等のフィルタ33を介してCCD18の撮像面18a上に形成される。このCCD18で受光された物体像は、処理手段34を介し、液晶表示素子(LCD)40上に電子像として表示される。また、この処理手段34は、CCD18で撮影された物体像を電子情報として記録する記録手段41の制御も行う。LCD40に表示された画像は、接眼光学系42を介して観察者眼球に導かれる。この接眼光学系42は、対物光学系32に用いられているものと同様の形態をもつ光学特性可変光学素子VFLからなり、液晶への印加電圧等を制御することによって、観察者の視度に合わせてLCD40の虚像の奥行きを調節可能としている。このように構成されたカメラ24は、撮影用対物光学系32を少ない光学部材で構成でき、高性能・小型化が実現できる。
【0094】
図28は、本発明の光学特性可変光学素子VFLを電子内視鏡の観察用対物光学系55に組み込んだ構成の概念図を示す。この例の場合も、観察系の対物光学系55は、ズーミング・フォーカシングを行うのに光学特性可変光学素子を用いている。この電子内視鏡43は、図28(a)に示すように、照明光を供給する光源装置44と、電子内視鏡43に対応する信号処理を行うビデオプロセッサ45と、このビデオプロセッサ45から出力される映像信号を表示するモニター46と、このビデオプロセッサ45と接続され映像信号等に記録するVTRデッキ47及びビデオディスク48と、映像信号を映像としてプリントアウトするビデオプリンタ49と共に構成されており、電子内視鏡43の挿入部50の先端部51は、図28(b)に示すように構成されている。光源装置44からの照明光束は、ライトガイドファイバー束52を通って照明用対物光学系53により、観察部位を照明する。そして、この観察部位からの光が、カバー部材54を介して、観察用対物光学系55によって物体像として形成される。この物体像は、ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等のフィルタ56を介してCCD18の撮像面18a上に形成される。さらに、この物体像は、CCD18によって映像信号に変換され、その映像信号は、図28(a)に示すビデオプロセッサ45により、モニター46上に直接表示されると共に、VTRデッキ47、ビデオディスク48中に記録され、また、ビデオプリンタ49から映像としてプリントアウトされる。このように構成された内視鏡は、ズーミングやフォーカシング機能を備えているにも拘わらず少ない光学部材で構成でき、高性能・小型化が実現できる。
【0095】
図29は、本発明の光学特性可変光学素子VFLを双眼鏡の光学系に組み込んだ構成の概念図を示す。この例の場合も、対物光学系56に光学特性可変光学素子VFLを用いている。対物光学系56の後方には、像反転光学系としてペカンプリズム57が配置され、このペカンプリズム57の後方には、正立正像にされた像を観察者の眼球に導く接眼光学系58が配置されている。対物光学系56は、上述した実施形態と同様の形態をもつ光学特性可変光学素子VFLを含み、液晶への印加電圧等を制御することによって、対物光学系56の焦点距離を調節可能とし、ズーミング・フォーカシングをおこなっている。なお、本図では双眼鏡の片側の構成しか示していないが、もう一方の側も同様な構成を有する。このように構成された双眼鏡は、ズーミングやフォーカシング機能を備えているにも拘わらず少ない光学部材で構成でき、高性能・小型化が実現できる。
【0096】
図30は、本発明の光学特性可変光学素子VFLを眼鏡の光学系に組み込んだ構成の概念図を示す。この例の場合は、眼鏡レンズに光学特性可変光学素子VFLを用いている。かかる構成の眼鏡においては、液晶への印加電圧を制御することによって、眼鏡レンズ全体の視度を調節することが出来る。
【0097】
なお、本発明の光学装置又は撮像装置に用いる光学特性可変光学素子は、以下のような特徴を有したものを用いても良い。
(1)捩れのピッチが使用光の波長の60倍以下の液晶を含み、該液晶に空間的に不均一な電場又は磁場又は温度を加えることにより屈折率分布を形成するようにして、電場又は磁場又は温度を変化させることにより屈折率分布を変えるようにした学特性可変光学素子。
【0098】
(2)高分子分散液晶を含み、該液晶に空間的に不均一な電場又は磁場又は温度を加えることにより屈折率分布を形成するようにして、電場又は磁場又は温度を変化させることにより屈折率分布を変えるようにした光学特性可変光学素子。
【0099】
(3)凸、凹の2つ以上の液晶レンズを組み合わせて成る光学特性可変光学素子。
【0100】
(4)使用波長を可視光波長域とした上記(1)に記載の光学特性可変光学素子。
【0101】
(5)上記(1)に記載の光学特性可変光学素子から成る可変焦点レンズ。
【0102】
(6)前記式(28),(29),(30),(35),(36),(37),(39)の何れかを満たす上記(1)に記載の光学特性可変光学素子。
【0103】
(7)液晶粒子の平均直径が使用波長の500倍以下で且つ7nm以上の高分子分散液晶に、空間的に不均一な電場又は磁場又は温度を加えることにより屈折率分布を形成し、電場又は磁場又は温度を変化させて前記屈折率分布を変化させるようにした光学特性可変光学素子。
【0104】
(8)液晶粒子の平均直径が使用波長以下で且つ液晶分子の大きさ以上の高分子分散液晶に、空間的に不均一な電場又は磁場又は温度を加えることにより屈折率分布を形成し、電場又は磁場又は温度を変化させて前記屈折率分布を変化させるようにした光学特性可変光学素子。
【0105】
(9)前記式(53),(54),(57),(59),(60),(61)の何れかを満たす上記(2)に記載の光学特性可変光学素子。
【0106】
(10)形状の異なる2つ以上の電極により液晶に電場を加えるようにしたことを特徴とする光学特性可変光学素子。
【0107】
(11)形状の異なる2つ以上の電極により液晶に電場を加えるようにしたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の光学特性可変光学素子。
【0108】
(12)高分子分散液晶の基板が1枚以下であることを特徴とする光学特性可変光学素子。
【0109】
(13)強誘電性液晶又は反強誘電性液晶を用いた高分子分散液晶を用いた光学特性可変光学素子。
【0110】
(14)液晶の基板にアツベ数50以下の媒質を用いたことを特徴とする光学特性可変光学素子。
【0111】
(15)液晶の所定の屈折率範囲において凸液晶レンズの液晶のアツベ数が凹液晶レンズの液晶のアツベ数よりも大きいことを特徴とする上記(3)に記載の光学特性可変光学素子。
【0112】
(16)凸液晶レンズの焦点距離をf1、凹液晶レンズの焦点距離をf2としたとき、条件式1/2<|f1/f2|<2を満たすことを特徴とする上記(3)に記載の光学特性可変光学素子。
【0113】
(17)前記液晶レンズの液晶としてトラン系液晶を用いたことを特徴とする上記(16)に記載の光学特性可変光学素子。
【0114】
(18)アツベ数が50以下の液晶を用いたことを特徴とする上記(3)又は上記(15)乃至(17)の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
【0115】
(19)トラン系液晶を用いた光学特性可変光学素子。
【0116】
(20)液晶に代えて電気光学効果又は磁気光学効果又は熱光学効果を有する物質を用いたことを特徴とする上記(1)乃至(15)の何れかに記載の光学特性可変光学素子。
【0117】
また、上記した光学特性可変光学素子は、以下のように用いても良い。
(21)上記(1)乃至(20)の何れかに記載の光学特性可変光学素子を用いた光学機器。
【0118】
(22)自由曲面と、上記(1)乃至(20)の何れかに記載の光学特性可変光学素子とを備えた焦点距離可変の撮像装置又は光学装置。
【0119】
(23)不均質レンズ又は回折光学素子又は非球面レンズと、上記(1)乃至(20)の何れかに記載の光学特性可変光学素子とを備えた焦点距離可変の撮像装置又は光学装置。
【0120】
(24)上記(1)乃至(20)の何れかに記載の光学特性可変光学素子を用いたオートフォーカス装置。
【0121】
(25)上記(1)乃至(20)の何れかに記載の光学特性可変光学素子を用いた視度調整装置。
【0122】
(26)上記(1)乃至(20)の何れかに記載の光学特性可変光学素子を用いた可変焦点眼鏡。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明に係る光学特性可変光学素子の一実施例の基本構成を示す図である。
【図2】図1に示したネマティック液晶の捩れの様子を示す説明図である。
【図3】ネマティック液晶の入射側の液晶分子に対応する屈折率楕円体を示す図である。
【図4】図1に示した光学特性可変光学素子に電場を加えた時の液晶の配向の変化を示す図である。
【図5】図1に示した光学特性可変光学素子に加えられた電場の様子を示す図である。
【図6】図1に示した光学特性可変光学素子に電場を加えた時の液晶の図4と状態を示す図である。
【図7】スメクティック液晶を用いて構成した図1に示した光学特性可変光学素子の第1の変形例を示す概略図である。
【図8】図7に示した光学特性可変光学素子に電場を加えた時の配向状態を示す図である。
【図9】コレステリック液晶を用いて構成した図1に示した光学特性可変光学素子の第2の変形例を示す概略図である。
【図10】自然偏光に対するコレステリック液晶の波長に対する反射率の実測値の例を示す特性線図である。
【図11】コレステリック液晶に磁場を印加して屈折率変化を生じさせるように構成した光学特性可変光学素子の概略図である。
【図12】コレステリック液晶に熱を加えて屈折率変化を生じさせるように構成した光学特性可変光学素子の概略図である。
【図13】高分子分散液晶層を用いて構成した図1に示した光学特性可変光学素子の第3の変形例を示す概略図である。
【図14】図13における高分子分散液晶層の部分拡大図である。
【図15】図13に示した変形例に用いられる一軸性のネマティック液晶分子の屈折率楕円体を示す図である。
【図16】図13に示した光学特性可変光学素子に電場を加えた時の液晶分子の配向の変化を示す図である。
【図17】図13に示した光学特性可変光学素子を用いたデジタルカメラ用の撮像光学系の構成を示す図である。
【図18】強誘電性液晶を用いて構成した図1に示した光学特性可変光学素の第4の変形例を示す概略図である。
【図19】本発明に係る光学特性可変光学素子の他の実施例を示す図である。
【図20】本発明に係る光学特性可変光学素子の更に他の実施例を示す図である。
【図21】液晶の屈折率変化に伴うアツベ数の変化を示す特性線図である。
【図22】トラン系液晶の化学構造を示す図である。
【図23】本発明に係る光学特性可変光学素子を自由曲面光学素子と組み合わせて用いたデジタルカメラ用撮像装置の構成を示す図である。
【図24】本発明による光学特性可変光学素子をファインダー光学系に組み込んだ電子カメラの前方斜視図である。
【図25】図24に示す電子カメラの後方斜視図である。
【図26】図24に示した電子カメラの内部構成を示す概略断面図である。
【図27】本発明による光学特性可変光学素子を撮影用対物光学系に組み込んだ電子カメラの概略構成図である。
【図28】本発明による光学特性可変光学素子を観察用対物光学系に組み込んだ電子内視鏡装置の概略構成図で、(a)はシステム全体の構成図、(b)は内視鏡先端部の内部構成図である。
【図29】本発明による光学特性可変光学素子を光学系に組み込んだ双眼鏡の概略構成図である。
【図30】本発明による光学特性可変光学素子を光学系に組み込んだ眼鏡の概略構成図である。
【図31】従来の液晶レンズの基本構成を示す図である。
【図32】図31に示した液晶レンズに電場を加えた時の液晶の配向の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
1 ネマティック液晶
2 シール部材
3 ドーナツ状の電極
4,5 透明基板
6 配向膜
7 偏光板
8 電源
9 スイッチ
10 可変抵抗器
11 スメクティック液晶
12 コレステリック液晶
13 コイル
14 鉄芯
15 ヒータ
16 高分子分散液晶層
16a 液晶分子
16b 高分子セル
17 レンズ
18 固体撮像素子
19 強誘電性液晶
20 透明電極
21 液晶
22,23 自由曲面光学素子
24 電子カメラ
25 撮影用光路
26 撮影光学系
27 ファインダー用光路
28 ファインダー光学系
29 レリーズ
30 フラッシュ
31 液晶表示モニター
32 撮影用対物光学系
33,56 フィルタ
34 処理手段
35 ファインダー用対物光学系
36 カバーレンズ
37 絞り
38 ポロプリズム
39 視野枠
40 液晶表示素子(LCD)
41 記録手段
42 接眼光学系
43 電子内視鏡
44 光源装置
45 ビデオプロセッサ
46 モニター
47 VTRデッキ
48 ビデオディスク
49 ビデオプリンタ
50 挿入部
51 先端部
52 ライトガイドファイバー束
53 照明用対物光学系
54 カバー部材
55 観察用対物光学系
56 対物光学系
57 像反転光学系
58 接眼光学系
d ネマティック液晶の厚さ
E 電場
L 光線
P ネマティック液晶の捩れのピッチ
VFL,VFL1,VFL2 可変焦点レンズ(光学特性可変光学素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由曲面光学素子と光学特性可変光学素子を有する光学装置。
【請求項2】
非回転対称面,面内面外共に対称軸を有しない面,光学作用面に回転対称軸を有しない面,面内面外共に対称面を一面のみ有する面の内の何れかと、光学特性可変光学素子とを備えた撮像装置。
【請求項3】
複数の自由曲面プリズムと、その間に配置された可変焦点レンズを含む光学系を備えた光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2008−3576(P2008−3576A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127254(P2007−127254)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【分割の表示】特願平10−161198の分割
【原出願日】平成10年6月9日(1998.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】