説明

光学補償フィルム及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置

【課題】配向性や光学補償機能を損なうことなく、高温度高湿度下での耐久性が改良された光学補償フィルム、本発明の光学補償フィルムと偏光子を貼り付けた偏光板、及び高温度高湿度下においても表示品位を損なうことなく良好な視野角特性を有する液晶表示装置の提供。
【解決手段】支持体上に、液晶化合物を配向させるための配向膜層、及び液晶化合物からなる光学異方性層を有してなり、前記配向膜層が、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及びアジリジン系化合物の少なくともいずれかを、前記配向膜層の全固形分に対して0.10〜30.0質量%含むことを特徴とする光学補償フィルム等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板及びこれを有する液晶表示装置に好適に用いられる、液晶化合物を配向固定した光学補償フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶化合物を高度に配向固定した光学フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルム、輝度向上フィルム、投射型表示装置の光学補正フィルム等、近年になって様々な用途に展開されつつあり、中でも液晶表示装置の光学補償フィルムとしての発展は目覚しいものがある。
ここで、前記液晶表示装置は、偏光板と液晶セルとから主に構成されており、例えば、現在主流であるTwisted Nematicモード(TNモード)の薄膜トランジスタ(TFT)液晶表示装置においては、光学補償シートを偏光板と液晶セルの間に挿入し、表示品位の高い液晶表示装置を実現している。しかし、この方法によると液晶表示装置自体が厚くなる問題がある。
【0003】
前記液晶表示装置が厚くなる問題を解決するため、特許文献1では、偏光膜の片面に位相差板、他方の面に保護フィルムを有する楕円偏光板を用いることで、液晶表示装置を厚くすることなく、正面コントラストを高くすることが提案されている。ところが、前記提案の位相差フィルム(光学補償シート)では、十分な視野角改良効果が得られず、液晶表示装置の表示品位は低下してしまう問題があった。
そこで、液晶表示装置を厚くすることなく、視野角に関する問題を解決するため、すなわち表示品位の低下を防ぐため、特許文献2及び特許文献3では、透明支持体上にディスコティック(円盤状)化合物から形成された光学異方性層を塗設した光学補償シートを直接偏光板の保護フィルムとして用いる提案がされている。
【0004】
しかし、これらの提案では、主に、15インチ以下の小型あるいは中型の液晶表示装置を想定して、光学補償シートが開発されているため、近年の、17インチ以上の大型、かつ輝度の高い液晶表示装置の偏光板に装着しても、パネル上にムラが発生して適用できない問題があった。このため、大型化、高輝度化に対応して、光漏れムラに対処した光学フィルムを更に開発する必要が生じている。
このムラを改良するために、特許文献4では、重合性液晶にレベリング剤なるものを含有させた提案がされている。しかし、この提案は、重合性液晶がホモジニアス配向の場合にのみ有効であり、ハイブリット配向をはじめとした複雑な配向には適用できない。
【0005】
そこで、複雑な配向にも適用できる光学補償フィルムとして、支持体上に、液晶化合物と、フルオロ脂肪族基含有(メタ)クリレートモノマー、及びポリオキシアルキレン(メタ)クリレートモノマーから導かれる繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有共重合体とを含有する光学異方性層を有する光学補償フィルム等が提案されている(特許文献5参照)。
しかしながら、前記光学補償フィルムにおいては、光学異方性層の液晶化合物を配向させるために設けられる配向膜が水分を吸収しやすいため、前記光学補償フィルムと偏光子を貼りあわせた偏光板を搭載した液晶表示装置を高温高湿度下に置いた場合、偏光板が吸水し、伸縮して液晶セルのガラス基板との間で歪みが生じる。
そして、支持体や偏光子と比べて薄くて硬い前記光学異方性層は、その歪みに耐えられず亀裂を生じ、結果として表示品位を損なうことがあるため、耐久性の向上に改善の余地があった。
【0006】
したがって、偏光板を作製して高湿度下に置いた場合の耐久性が高く、かつ配向性を良好に保つことができる光学補償フィルム及びその製造方法、前記光学補償フィルムを用いた偏光板、並びに前記偏光板を用いた液晶表示装置の開発が強く望まれているのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開平2−247602号公報
【特許文献2】特開平7−191217号公報
【特許文献3】欧州特許第911656号明細書
【特許文献4】特開平11−148080号公報
【特許文献5】特開2004−198511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、配向性や光学補償機能を損なうことなく、高温度高湿度下での耐久性が改良された光学補償フィルム、本発明の光学補償フィルムと偏光子を貼り付けた偏光板、及び高温度高湿度下においても表示品位を損なうことなく良好な視野角特性を有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討の結果、前記問題を解決するために、配向膜層に含まれる高分子化合物のラジカル重合性基に反応し、ビニル基を2つ以上有する化合物が所定量含まれることによって、高温度高湿度下において、前記光学異方性層に亀裂が生じるといった現象を軽減し、耐久性を向上させることができることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に、液晶化合物を配向させるための配向膜層、及び液晶化合物からなる光学異方性層を有してなり、前記配向膜層が、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及びアジリジン系化合物の少なくともいずれかを、前記配向膜層の全固形分に対して0.10〜30.0質量%含むことを特徴とする光学補償フィルムである。
<2> 前記<1>に記載の光学補償フィルムを製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
<3> 前記<1>に記載の光学補償フィルムを含むことを特徴とする偏光板である。
<4> 前記<3>に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、配向性や光学補償機能を損なうことなく、高温度高湿度下での耐久性が改良された光学補償フィルム、該光学補償フィルムと偏光子を貼り付けた偏光板、及び高温度高湿度下においても表示品位を損なうことなく良好な視野角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明に係る光学補償フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置について詳細に説明する。
【0012】
(光学補償フィルム)
本発明の光学補償フィルムは、支持体上に、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及びアジリジン系化合物の少なくともいずれか含む配向膜層と、液晶化合物を含む光学異方性層とを、少なくともこの順に積層してなる。
【0013】
[支持体]
前記支持体は、ガラス、もしくは透明なポリマーフィルムであることが好ましく、光透過率が80%以上であることが好ましい。
前記ポリマーフィルムを構成するポリマーとしては、例えば、セルロースエステル、ノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。前記セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースジアセテートなどが挙げられる。
前記ポリマーとしては、市販のポリマーを用いてもよい。前記市販のポリマーとしては、ノルボルネン系ポリマーでは、例えば、アートン、ゼオネックス(いずれも商品名)などが挙げられる。
前記ポリマーとしては、以上例示したものの中でも、セルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがより好ましい。ここで、低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、セルロースアセテート(炭素原子数2)、セルロースプロピオネート(炭素原子数3)、又はセルロースブチレート(炭素原子数4)が好ましく、セルロースアセテートが特に好ましい。
【0014】
前記支持体としては、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、例えば、WO’00/26705号明細書に記載されているように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明の光学補償フィルムに用いることもできる。
偏光板に用いられる保護フィルム、もしくは位相差フィルムに本発明の光学補償フィルムを使用する場合は、前記支持体のポリマーフィルムとしては、酢化度が、55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましく、57.0〜62.0%であるセルロースアセテートを使用することがより好ましい。
【0015】
ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味し、例えば、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがより好ましい。また、前記セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的には、Mw/Mnの値は、1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.65であることがより好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
【0016】
前記セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。このため、本発明に用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。
前記セルロースアセテートの、2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがより好ましく、32〜40%であることが特に好ましい。前記6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。なお、これら各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、例えば、特開平11−5851号公報の、段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
【0017】
<配向膜層>
本発明の配向膜(層)は、架橋された高分子化合物からなる層であることが好ましく、例えば、それ自体架橋可能なポリマー又は架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することもできる。ポリマーの例として、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]記載の化合物が挙げられる。
【0018】
該高分子化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー、及びシランカップリング剤等の化合物が挙げられる。
上記高分子化合物の中でも、水溶性高分子化合物のポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及び後述する変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーが好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビルアルコールが更に好ましく、変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0019】
本発明において配向膜層を形成する高分子化合物(好ましくはポリビニルアルコール)の架橋剤としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及びアジリジン系化合物の少なくともいずれかを用いることができ、これら化合物は、前記配向膜層のポリマー全固形分に対して0.10〜30.0質量%含まれることが好ましい。
【0020】
また、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及びアジリジン系化合物以外の架橋剤を併用することもできる。具体例としてはアルデヒド系化合物、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシ基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。
【0021】
エポキシ系化合物として少なくとも分子内に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ系化合物が好ましい。分子内に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ系化合物の具体例としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリセリンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
イソシアネート系化合物として少なくとも分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート系化合物が好ましい。分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート系化合物の具体例としては、トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオン酸]トリメチロールプロパン、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の単量体、あるいはそれらのオリゴマーや、これらの化合物とポリオールとの反応物が挙げられる。このために用いるポリオールとしては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。イソシネート系化合物は、例えば、大日本インキ化学工業(株)から“ハイドラン アシスター”の商標を付して販売されている。
【0023】
前記アジリジン系化合物は、エチレンイミンとも呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子からなる3員環の骨格を有する化合物であり、分子内に少なくとも2個のアジリジン環を有するアジリジン系化合物が好ましい。分子内に2個以上のアジリジン環を有するアジリジン系化合物の具体例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイルビス−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィンオキサイド、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネートなどが挙げられる。
【0024】
前記エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物及びアジリジン系化合物で最も好ましくは水への溶解のし易さや良好なポットライフの点でエポキシ系化合物が好ましく、具体的にはエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。なかでもナガセケムテック(株)から販売されている低塩素タイプのEX810やEX920が好ましい。
【0025】
前記配向膜層には、前記エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物の少なくともいずれかが、配向膜層の全固形分に対して0.1〜30.0質量%含まれることが好ましい。1.0質量%以上、25.0質量%未満の割合で含まれていることが更に好ましく、3.0質量%以上、20.0質量%未満の割合で含まれることが特に好ましい。0.1質量%未満であると配向層膜が高温度高湿度下で水分により膨潤し、耐久性の良好な光学補償フィルムを得ることができない。30質量%以上であると配向性不良が生じ、光学補償フィルムの光学補償機能が損なわれる。
【0026】
―鹸化度―
上記ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85〜95%のものである。重合度としては、100〜3,000の範囲が好ましい。
【0027】
前記変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性等により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、メルカプト基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、スルフィド基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリジニル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開平9−152509号公報の段落番号[0071]〜[0095]、特開2000−56310号公報の段落番号[0074]、同2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載の化合物等が挙げられる。
【0028】
また、配向を光照射で行う場合には、光配向機能を発現する光配向性基を分子内に有することが必要である。これらの光配向性基としては、例えば、長谷川雅樹著「液晶」、第3巻(1)p.3−16(1999年)記載のもの、C=C結合を有し、光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基(例えば、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、ヘミチオインジゴ基、カルコン基等)、C=O結合を有し光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基(例えば、ベンゾフェノン基、クマリン基等の構造を有する基等)が挙げられる。具体的には、例えば特開2000−122069号公報、同2002−317013号公報の段落番号[0021]等記載のものが挙げられる。
【0029】
―架橋剤―
前記配向膜に使用するポリマー(好ましくは水溶性ポリマー、より好ましくはポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール)の架橋剤の例には、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシ基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
【0030】
―架橋剤の添加量―
前記架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。配向膜中の架橋剤の残存量が該上限値以下であれば、充分な耐久性が得られるので好ましい。そのような配向膜を液晶表示装置に使用したときには、長期使用、または高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にもレチキュレーションの発生がないので好ましい。
【0031】
―カルボン酸化合物―
本発明における配向膜形成用組成物は、特定のカルボン酸化合物を含有することが好ましい。これにより、形成された配向膜を配向手段により配向した後、光学異方性層を塗設して得られた光学補償シートの塗布面状が良好で、白抜け等の光学的欠陥を軽減、又は解消する改善効果を発現する。
この発現理由としては、配向膜に含有する特定のカルボン酸化合物が、配向膜の膜表面水素イオン濃度等を安定にして、光学異方性層塗設した時に、液晶分子の配向状態への影響を小さくすることが1つの要因と推測される。
また、透明支持体表面をアルカリ鹸化処理で親水化した場合には、該フィルム表面に僅かに残存した処理液があっても、安定して良好な光学的性能の配向膜が形成されると思われる。このとき、添加量により効果は異なってくるため、量を適宜調整する必要がある。特定のカルボン酸化合物の具体例としては、特開2005−115341号公報の段落番号[0162]〜[0176]に記載のもの等を使用できる。
【0032】
前記配向膜は、基本的に、配向膜形成用組成物である前記ポリマー、架橋剤、及び特定のカルボン酸を含む塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、配向処理することにより形成することができる硬化膜である。即ち、該配向膜は、主成分としてポリビニルアルコール及び/又は変性ポリビニルアルコールを含有した配向膜形成用組成物を塗布し、乾燥してなる硬化膜であるのが好ましい。架橋反応は、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。
【0033】
ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成用組成物として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は、質量比で水:有機溶媒(例えば、メタノール)が0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがより好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
【0034】
前記配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、液晶表示装置の液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴム、ナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法が用いられる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0035】
また、光照射で光配向する場合には、光照射装置としての光源は、超高圧水銀灯、キセノン灯、蛍光灯、レーザ等を用いることができ、光二量化化合物を光配向するには、これらの光源と偏光膜を組み合わせて(偏光膜を通して)紫外線を直線偏光とし、光配向膜に照射する。
該偏光膜としては、主に使用されているものとして延伸染色PVA(ポリビニルアルコール)がある。この直線偏光紫外線照射装置としては、例えば、特開平10−90684号公報に開示されているものが挙げられる。
配向膜の厚さは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
【0036】
<光学異方性層>
前記光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7-2、P411〜414に記載されている。
【0037】
前記光学異方性層は、前記配向膜を介して液晶性分子から形成する。前記光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性化合物、及びディスコティック液晶化合物が含まれる。
前記棒状液晶性分子及びディスコティック液晶化合物は、高分子液晶でもよいし、低分子液晶でもよく、更に、低分子液晶が架橋されて液晶性を示さなくなったものも含まれる。
前記光学異方性層は、液晶性分子、必要に応じて重合性開始剤、その他の成分を含む塗布液を、前記配向膜の上に塗布することで形成できる。
【0038】
[棒状液晶化合物]
本発明に使用可能な棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーが挙げられる。言い換えると、棒状液晶化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶化合物については、季刊化学総説第22巻「液晶の化学(1994)日本化学会編」の第4章、第7章、及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
【0039】
本発明に用いる棒状液晶化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基又はエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基が更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。
【0040】
[ディスコティック液晶化合物]
前記ディスコティック液晶化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
【0041】
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
前記ディスコティック液晶化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。
例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱、又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
前記ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
【0042】
前記ディスコティック液晶化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。
従って、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記一般式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0043】
【化1】

上記一般式(I)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
【0044】
円盤状コア(D)の例として、(D1)〜(D15)を以下に示す。以下の各例において、LQ(又はQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
【0045】
【化2】

【0046】
【化3】

【0047】
【化4】

【0048】
【化5】

【0049】
また、上記一般式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが更に好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが特に好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。前記アリ−レン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
【0050】
二価の連結基(L)の例として、(L1〜L24)を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
【0051】
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
【0052】
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−CO−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
【0053】
一般式(I)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の例を以下に示す。
【0054】
【化6】

【0055】
上記一般式(I)の重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1、Q2、Q3、Q7、Q8、Q15、Q16、Q17)またはエポキシ基(Q6、Q18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1、Q7、Q8、Q15、Q16、Q17)であることが更に好ましい。具体的なnの値は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0056】
ハイブリッド配向では、ディスコティック化合物の長軸(円盤面)と支持体の面との角度、すなわち傾斜角が、光学異方性層の深さ方向にかけ、偏光膜の面からの距離の増加と共に増加又は減少している。前記角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。
傾斜角の変化としては、例えば、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化などが挙げられる。前記間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。このような角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。ただし、前記傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
【0057】
前記ディスコティック化合物の長軸(円盤面)の平均方向(各分子の長軸方向の平均)は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。
表面側(空気側)のディスコティック化合物の長軸(円盤面)方向は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
前記ディスコティック化合物と共に使用する添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマーなどが挙げられる。
前記長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
【0058】
前記ディスコティック化合物と共に使用する可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーは、ディスコティック化合物と相溶性を有し、ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。したがって、これらの添加成分の中でも重合性モノマーが好ましい。
前記重合性モノマーとしては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
これらの添加成分の添加量は、ディスコティック化合物に対し、通常1〜50質量%であり、5〜30質量%であることが好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が4以上のモノマーを混合して用いると、配向膜と光学異方性層との間の密着性を高めることができる。
【0059】
前記光学異方性層には、ディスコティック化合物と共に、ポリマーを含有していてもよい。このようなポリマーとしては、ディスコティック化合物とある程度の相溶性を有し、前記ディスコティック化合物に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
前記ポリマーとしては、例えば、セルロースエステルなどが挙げられる。前記セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。
前記ポリマーの添加量は、ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
前記ディスコティック化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がより好ましい。
【0060】
[液晶性分子の配向状態の固定]
配向させた液晶性分子は、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により行なうことが好ましい。この重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応が好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、米国特許2367661号、同2367670号の各明細書に記載されているα−カルボニル化合物、米国特許2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル、米国特許2722512号明細書に記載されているα−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、米国特許3046127号、同2951758号の各明細書に記載されている多核キノン化合物、米国特許3549367号明細書に記載されているトリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ、特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書に記載されているアクリジン化合物及びフェナジン化合物、米国特許4212970号明細書に記載されているオキサジアゾール化合物などが挙げられる。
【0061】
前記光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
前記液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。その照射エネルギーは、20〜50J/cmの範囲にあることが好ましく、20〜5,000mJ/cmの範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cmの範囲にあることが更に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0062】
前記光学異方性層は、前記液晶性化合物の少なくとも一種と、所望により重合性開始剤、フッ素系ポリマー等の添加剤を含有する塗布液を調製し、該塗布液を配向膜表面に塗布・乾燥することで形成される。
フッ素系化合物としては、従来公知の化合物が挙げられるが、具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]に記載のフッ素系化合物等が挙げられる。
【0063】
前記塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。前記有機溶媒としては、例えば、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。これらの中でも、アルキルハライド、及びケトンが好ましい。また、これらの有機溶媒は。1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明のように、非常に均一性の高い光学補償フィルムを作製する場合には、表面張力が25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であることがより好ましい。
前記塗布液の塗布は、公知の方法により行なうことができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法などが挙げられる。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが更に好ましい。なお、前記光学異方性層には、この上に保護層を設けてもよい。
【0064】
(光学補償フィルムの製造方法)
次に、本発明の好ましい光学補償フィルムを連続的に製造する方法について説明する。
本発明の光学補償フィルムの製造方法は、例えば、下記(1)〜(4)の工程を連続して行う。
【0065】
(1)支持体作製工程
セルロースエステルアセテート溶液組成物を加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製しておく一方、別のタンク等にてセルロースアセテート(リンター)、レターデーション上昇剤等を加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製する。
前記セルロースアセテート溶液に前記レターデーション上昇剤溶液を混合し、充分に攪拌してドープを調製する。このドープを、バンド流延機を用いて流延し、支持体を作製する。
【0066】
(2)配向膜作製工程
前記支持体作製工程で得られた支持体上に、前記ラジカル重合性基と反応可能であって、ビニル基を2つ以上有する化合物を含む配向膜塗布液を塗布し、乾燥して配向膜を作製する。前記配向膜には、支持体の所定軸方向にラビング処理を行う。
【0067】
(3)光学異方性層作製工程
ディスコティック液晶性化合物、光重合開始剤等を溶解した溶液に、更に前記フルオロ脂肪族基含有共重合体を加え、光学異方性層形成用の塗布液を調製する。
この塗布液を、前記配向膜上に、連続的に塗布し、加熱して、ディスコティック液晶性化合物を配向させ、照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、室温まで放冷し、光学異方性層付き光学補償フィルムを作製する。
【0068】
(偏光板)
本発明の偏光板は、本発明の前記光学補償フィルムと、偏光膜とを少なくとも含む。
このように、本発明の前記光学補償フィルムは、偏光膜と貼り合せて偏光板を作製することで、その機能を著しく発揮する。
【0069】
<偏光子>
前記偏光子(以下、「偏光膜」と称することもある。)としては、例えば、Optiva社製のものに代表される塗布型偏光膜、バインダーと、ヨウ素又は二色性色素とからなる偏光膜などが好ましい。
前記偏光子におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。前記ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
ここで、汎用の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
前記汎用の偏光子は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布している。このため、十分な偏光性能を得るためには、前記バインダーの厚みは、10μm以上であることが好ましい。一方、厚みの上限については、特に制限はないが、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象の観点からは、薄い程好ましい。このため、30μm以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の、溶液濃度、浴槽温度、浸漬時間により制御することができる。
【0070】
前記偏光膜のバインダーは、架橋していてもよい。架橋しているバインダーとしては、それ自体架橋可能なポリマーが挙げられる。具体的には、官能基を有するポリマー、又はポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱、又はpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、前記ポリマーには、架橋剤により架橋構造を導入してもよい。該架橋構造は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用い、バインダー間に、架橋剤に由来する結合基を導入し、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
前記架橋は一般に、ポリマー、又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより行なわれる。架橋させる処理は、最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
【0071】
前記偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマー又は架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。前記ポリマーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例えばポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、及びそれらのコポリマーなどが挙げられる。前記コポリマーとしては、例えば、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、前記ポリマーとしては、例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーが好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0072】
前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。前記ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5,000が好ましい。
前記変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対し、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。前記共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)、N(CH・Cl、C19COO、SONa、C1225を導入することができる。前記連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC1225を導入することができる。
前記変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3,000が好ましい。前記変性ポリビニルアルコールにとしては、例えば、特開平8−338913号、同9−152509号、及び同9−316127号の各公報などに記載されている。
前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールとしては、これらの中でも、鹸化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール、及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。なお、前記ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。このため、前記架橋剤の添加量は、バインダーに対し、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
前記バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいてもよい。ただし、その残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。前記バインダー中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。即ち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
前記架橋剤としては、例えば、米国再発行特許23297号明細書に記載されている。また、例えば、硼酸、硼砂等のホウ素化合物も、架橋剤として用いることができる。
【0074】
前記二色性色素としては、例えば、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素などが挙げられる。前記二色性色素は、水溶性であることが好ましい。また、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
前記二色性色素としては、例えば、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリーン59、C.I.アシッド・レッド37などが挙げられる。
また、前記二色性色素としては、例えば、特開平1−161202号、同1−172906号、同1−172907号、同1−183602号、同1−248105号、同1−265205号、同7−261024号の各公報などに記載されている。
前記二色性色素は、遊離酸、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩として用いられる。また、2種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。
前記二色性色素としては、これらの中でも、偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜又は偏光板が、単板透過率及び偏光率共に優れており好ましい。
【0075】
ここで、液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、前記偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。前記偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがより好ましく、40〜50%の範囲にあることが特に好ましい。なお、偏光板の単板透過率の最大値は50%である。
前記偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがより好ましく、99〜100%の範囲にあることが特に好ましい。
【0076】
偏光膜と光学異方性層とは、接着剤を介して配置することもできる。該接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂やホウ素化合物水溶液が挙げられ、これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。なお、前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、又はオキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む。
前記接着剤の層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることがより好ましい。
【0077】
[偏光子の製造方法]
前記偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対し、10〜80°傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、液晶ディスプレイ(LCD)を構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦方向又は横方向のなす角度とにあわせるように延伸することが好ましい。
前記傾斜角度は、通常45゜であるが、近年は、透過型LCD、反射型LCD、及び半透過型LCDにおいて必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
【0078】
前記延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がより好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で行なってもよいし、水に浸漬した状態でのウェット延伸を行ってもよい。前記ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、前記ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。
延伸工程は、斜め延伸を含めて数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。また、斜め延伸前に、横あるいは縦に、幅方向の収縮を防止する程度の延伸を行ってもよい。
延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって行なうことができる。前記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。前記二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
前記延伸法では、以上のようにして偏光膜のMD方向に対して10〜80°斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
【0079】
前記ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。即ち、膜の表面を、例えば、紙、ガーゼ、フェルト、ゴム、ナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより行なわれる。
該ラビングは、ラビングロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて行なうことが好ましい。前記ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることでも、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/分の速度で搬送することが好ましい。この際、前記ラビングロールは、任意のラビング角度設定のため、フィルム進行方向に対して水平方向に回転自在とされることが好ましく、具体的には0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。該ラビング角度は、液晶表示装置に使用する場合は、40〜50゜が好ましく、45゜が特に好ましい。
前記偏光膜の、光学異方性層とは反対側の表面には、ポリマーフィルムを配置し、光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とすることが好ましい。
【0080】
[光学補償フィルムの表面処理]
偏光板の透明保護膜の代わりに光学補償フィルムを使用する場合、光学補償フィルムと偏光板の透明保護膜との接着が問題となる。本発明では、光学補償フィルムの偏光膜側の面を表面処理することにより、光学補償フィルムと偏光膜との接着を改善することができる。
表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理又はアルカリ処理を実施する。
コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等の処理方法は、例えば、公開技報公技番号2001−1745の30〜31頁に記載の内容が挙げられる。本発明は、アルカリ処理することが好ましく、前記したフィルムの鹸化処理で記載と同様の内容のものが挙げられる。
【0081】
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を有する。各液晶モードにおける好ましい形態について、以下で説明する。
【0082】
[TNモード液晶表示装置]
TN(Twisted Nematic)モードの液晶セルは、カラー薄膜トランジスタアレイ(TFT)液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
前記TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
【0083】
前記セル中央部の棒状液晶性分子に対しては、円盤面が寝ている水平配向であるホメオトロピック配向のディスコティック化合物、又は(透明)支持体で補償することができ、前記セルの基板近傍の棒状液晶性分子に対しては、長軸の傾きが偏光膜との距離に伴って変化している配向であるハイブリッド配向のディスコティック化合物で補償することができる。
また、前記セル中央部の棒状液晶性分子に対しては、長軸が寝ている水平配向であるホモジニアス配向の棒状液晶性分子、又は(透明)支持体で補償することもでき、前記セルの基板近傍の棒状液晶性分子に対しては、ハイブリッド配向のディスコティック化合物で補償することもできる。
【0084】
前記ホメオトロピック配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が85〜95゜の状態で配向している。
前記ホモジニアス配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が5°未満の状態で配向している。
前記ハイブリッド配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が15°よりも大きいことが好ましく、15〜85゜であることがより好ましい。
【0085】
前記(透明)支持体もしくはディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、前記棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層、及び前記ホメオトロピック配向したディスコティック化合物とホモジニアス配向した棒状液晶分子との混合体からなる光学異方性層は、厚み方向のレターデーション値(Rth)が40nm〜200nm、面内レターデーション値(Re)が0〜70nmであることが好ましい。ここで、Rthは、下記式(A)で定義される値であり、Reは、下記式(B)で定義される値である。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・・・・・・・・式(A)
Re=(nx−ny)×d・・・・・・・・・・・・・・・・・式(B)
ただし、前記式(A)、(B)中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、nzはフィルムの厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚さを表す。
前記ホメオトロピック配向(水平配向)しているディスコティック化合物層及びホモジニアス配向(水平配向)している棒状液晶性分子層に関しては、特開平12−304931号及び同12−304932号の各公報に記載されている。前記ハイブリッド配向している円盤状液晶性分子層に関しては、特開平8−50206号公報に記載されている。
【0086】
[OCBモード液晶表示装置]
OCB(Optically Compensatory Bend)モードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に、対称的に配向させるベンド配向モードの液晶セルである。前記ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、例えば、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に記載されている。
前記ベンド配向モードの液晶セルは、棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB液晶モードと呼ばれる。
前記OCBモードの液晶セルも、TNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
【0087】
このように、黒表示においては、TNモードと液晶の配向は同じ状態であるため、好ましい態様もTNモードと同じである。ただし、TNモードに比べ、OCBモードの方がセル中央部で液晶化合物が立ち上がった範囲が大きいために、ディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層について、若干のレターデーション値の調整が必要である。
具体的には、(透明)支持体上のディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層は、Rthが150〜500nm、Reが20〜70nmであることが好ましい。
【0088】
[VAモード液晶表示装置]
VA(Vertically Aligned)モードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。前記VAモードの液晶セルには、例えば、(1)特開平2−176625号公報に記載されている、棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル、(2)SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845に記載されている、視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化したMVAモードの液晶セル、(3)日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)に記載されている、棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル、及び(4)LCDインターナショナル98で発表されたSURVAIVALモードの液晶セルなどが挙げられる。
【0089】
前記VAモードの液晶表示装置の黒表示において、液晶セル中の棒状液晶性分子は、そのほとんどが、立ち上がった状態であるため、ディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層で液晶化合物を補償し、別に、棒状液晶性分子がホモジニアス配向し、棒状液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の透過軸方向との角度が5゜未満である光学異方性層で偏光板の視角依存性を補償することが好ましい。
前記ホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層は、Rthが150〜500nm、Reが20〜70nmであることが好ましい。
【0090】
[その他の液晶表示装置]
その他、ECB(Electrically Controlled Bend)モード、及びSTN(Super Twisted Nematic)モードの液晶表示装置に対しても、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
【実施例】
【0091】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0092】
(実施例1)
(光学補償フィルム(KH−1)の作製)
<支持体(PK−1)の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
【0093】
[セルロースアセテート溶液組成]
・酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター)・・・・・・・80.0質量部
・酢化度60.8%のセルロースアセテート(リンター)・・・・・・・20.0質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・・・・・7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・300.0質量部
・メタノール(第2溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54.0質量部
・1−ブタノール(第3溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11.0質量部
【0094】
別のミキシングタンクに、酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター)4質量部、下記一般式(II)に示すレターデーション上昇剤16質量部、シリカ微粒子(粒径20nm,モース硬度約7)0.5質量部、メチレンクロライド87質量部、及びメタノール13質量部を投入し、加熱しながら攪拌し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
次いで、セルロースアセテート溶液464質量部に、レターデーション上昇剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。なお、レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。
【0095】
【化7】

【0096】
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。ドープは、バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶剤量が43質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。
この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%の、支持体(PK−1)を作製した。
得られた支持体(PK−1)の幅は1,340mmであり、厚さは92μmであった。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い、波長590nmにおける面内レターデーション値(Re)を測定したところ、43nmであった。また、波長590nmにおける厚み方向のレターデーション値(Rth)を測定したところ、175nmであった。
このようにして作製された支持体(PK−1)を、2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。この支持体(PK−1)の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
【0097】
<<配向膜層の作製>>
下記の組成の配向膜層形成用組成物を、液比重が0.968になるように調製し、支持体(PK−1)におけるアルカリ処理面上に、#18のワイヤーバーコータで31.5mL/m塗布した。
その後、60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜層を作製した。
【0098】
[配向膜層形成用組成物]
・下記に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・・・100.00質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2,360.00質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・755.00質量部
・エチレングリコールジグリシジルエーテル(架橋剤)
EX810(ナガセケムテック製)・・・・・・・・・・・・5.40質量部
・下記に示すカルボン酸化合物(添加剤)・・・・・・・・・・・・・・1.75質量部
【0099】
【化8】

【0100】
【化9】

【0101】
<光学異方性層の形成>
下記の組成の光学異方性層形成用組成物を、液比重が0.912になるよう調製し、ラビング処理を施した配向膜上に、#3.2のワイヤーバーコータで5.4mL/m塗布した。そして、130℃の温風で90秒、更に90℃の雰囲気下で160W/cm高圧水銀灯を用いて、4秒間UV照射し、円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷して光学異方性層を形成し、光学補償フィルム(KH−1)を作製した。
【0102】
[光学異方性層形成用組成物]
・下記一般式(III)に示すディスコティック液晶性化合物・・・・41.01質量部
・エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製)・・・・・・・・・・・・・・4.06質量部
・セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)・・・・・・・0.34質量部
・セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)・・・・・・・・・0.11質量部
・下記一般式(IV)に示すフルオロ脂肪族基含有ポリマー1・・・・・0.56質量部
・下記一般式(V)に示すフルオロ脂肪族基含有ポリマー2・・・・・・0.06質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)・・・・・1.35質量部
・増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)・・・・・・・・0.45質量部
・メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97.00質量部
【0103】
【化10】

【0104】
【化11】

【0105】
【化12】

【0106】
(偏光板HB−1の作製)
<偏光子の作製>
平均重合度4,000、鹸化度99.8mol%のポリビニルアルコール(PVA)を水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで、厚みは左端が120μm、右端が135μmになるようにしてフィルムを作製した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45°方向に斜め延伸して、そのままヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、ヨウ化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、更に水洗槽にて20℃で10秒間水洗した後、80℃で5分間乾燥して偏光子(HF−01)を得た。得られた偏光子(HF−01)は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
【0107】
<光学補償フィルムの貼り付け>
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルム(KH−1)を支持体(PK−1)面で偏光子(HF−01)の一方の面に貼り付けた。
また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子(HF−1)の他方の面に貼り付けた。
なお、偏光子(HF−01)の長手方向と、支持体(PK−1)の長手方向と、更には、市販のトリアセチルセルロースフィルムの長手方向とが全て平行になるように配置した。このようにして、偏光板(HB−1)を作製した。
【0108】
(液晶表示装置の作製)
液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に用いられているTN型液晶セルの両側に設置された一対の偏光板を剥がし、この偏光板の代わりに偏光板(HB−1)を、光学補償フィルム(KH−1)が前記液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とが直交するように配置した。
【0109】
(光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置の評価)
−耐久性クラックの評価−
実施例1で作製した偏光板(HB−1)をガラスに貼り付けたものを試料とし、温度60℃、相対湿度90%の条件下でそれぞれ24時間放置した後、室温に戻して前記試料を目視及び実体顕微鏡で試料の亀裂(耐久性クラック)を観察した。耐久性クラックの度合いは以下の基準で判定した。
【0110】
◎:亀裂が全く発生しなかった。
○:目視では観察できない微小な亀裂が発生しているが、製品としては問題にならない。
×:目視でも観察できる亀裂が発生して、製品として使用不可能。
【0111】
−配向性の評価−
実施例1で作製した光学補償フィルム(KH−1)を偏光顕微鏡で観察し配向状態を観察した。配向性の評価は以下の基準で判定した。
【0112】
◎:シュリレーンが全く発生せず、均一に配光している。
○:僅かに極微小なシュリレーンが発生しているが、製品としては問題にならない。
×:シュリレーンが発生して、製品として使用不可能。
【0113】
−パネルでのムラ評価−
実施例1で作製した偏光板(HB−1)を用いた液晶表示装置を全面中間調に調整し、正面及び法線から60°傾けた方向からムラを目視で評価した。その評価結果を表1に示す。本実施例の液晶表示装置では、どの方向から見てもムラは観察されなかった。
【0114】
◎:ムラが全く発生しなかった。
○:目立ちにくい僅かなムラが発生しているが、製品としては問題にならない。
×:目立つムラが発生して、製品として使用不可能。
【0115】
(実施例2)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤を、エチレングリコールジグリシジルエーテルからトリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテック製EX920)に変えた以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0116】
(実施例3〜5)
表1に示すように、実施例2の配向膜層形成用組成物における架橋剤(トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル)の添加量を変えた以外は実施例2と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0117】
(実施例6)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤をエチレングリコールジグリシジルエーテルからソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック製EX614B)に変えた以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0118】
(実施例7)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤をエチレングリコールジグリシジルエーテルからグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック製EX521)に変えた以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0119】
(実施例8)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤をエチレングリコールジグリシジルエーテルから1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(和光純薬工業製)に変えた以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0120】
(実施例9)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤をエチレングリコールジグリシジルエーテルからトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオン酸]トリメチロールプロパン(和光純薬工業製)に変えた以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0121】
(比較例1)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤を添加しない以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0122】
(比較例2)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤をエチレングリコールジアクリレートからグルタルアルデヒドに変えた以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0123】
(比較例3)
表1に示すように、実施例1の配向膜層形成用組成物における架橋剤をエチレングリコールジアクリレートからホルムアルデヒドに変えた以外は実施例1と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0124】
(比較例4〜5)
表1に示すように、実施例2の配向膜層形成用組成物における架橋剤の添加量を変えた以外は実施例2と同様にして、光学補償フィルム、及び偏光板を作製し、耐久性クラック、配向性、及びムラを評価した。その評価結果を表1に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
表1の結果から、配向膜層形成用組成物に前記エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、アジリジン系化合物が配向層膜の全固形分に対して0.10〜30.00質量%の割合で含まれている実施例1〜10は配向性に問題なく、良好な耐久性が認められた。特に、前記エポキシ系化合物の含有量が1.0〜10.0質量%とした実施例1〜4では、耐久性及び配向性がより優れた結果を示した。
これに対し、比較例1〜4の光学補償フィルム及び偏光板では、前記エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、アジリジン系化合物が含まれていない、あるいは0.10質量%未満であるので配向性は良好であるものの、耐久性が不良であった。比較例5は30.00質量%を超える割合で含まれているため、配向性が不良であった。
【0127】
また、実施例1〜10の液晶表示装置のパネル観察では、ムラ等なく良好な表示品位を保つことが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の光学補償フィルムは、偏光板を作製して高温度、高湿度下に置いた場合の耐久性が高く、かつ配向性を良好に保つことができるので、偏光板及びこれを有する液晶表示装置に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、液晶化合物を配向させるための配向膜層、及び液晶化合物からなる光学異方性層を有してなり、前記配向膜層が、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及びアジリジン系化合物の少なくともいずれかを、前記配向膜層の全固形分に対して0.10〜30.0質量%含むことを特徴とする光学補償フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学補償フィルムを製造することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の光学補償フィルムを含むことを特徴とする偏光板。
【請求項4】
請求項3に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2008−164921(P2008−164921A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354188(P2006−354188)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】