説明

光投影装置

【課題】簡単な構成によって特定の形状で光を投影することができる光投影装置を提供する。
【解決手段】光投影装置は、任意の空間及び当該空間内に設置された被照射体10に光を投影するために、光を投影する光投影部1と、光投影部1から投影された投影光を分割する分割領域を複数有し、各分割領域により投影光を遮光又は通過させる投影光分割遮光部2と、光投影部1の投影可能エリア1Aのうち、投影光分割遮光部2により投影光1aを通過させる投影範囲と、投影光分割遮光部2により投影光を遮光させる非投影範囲とを設定する投影範囲設定手段20とを備えたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の場所に光を投影する光投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、投影光の形を変化させる照明装置としては、下記の非特許文献1に記載されているように、投影機器にゴボやマスクなどと呼ばれるフィルタを設置し、当該投影機器から投影光が出射される投影部を遮光している。これにより、フィルタを通過した投影光は、特定の形に切り抜かれた状態となる。具体的には、従来の照明システムでは、丸、三角、四角などで構成されるベース形状で切り抜かれたフィルタ(ゴボなど)を投影機器に取り付けて、投影光の輪郭に形をつけている。
【0003】
また、従来の照明システムにおいて、特定の形状に沿って投影したい場合は、投影機器から出射された投影光の投影位置を当該特定の場所に合わせた後、投影機器の絞り機能やズーム機能によって大まかな投影光の形状合わせを行っている。
【0004】
更に、従来においては、投影機器であるプロジェクタを照明器具(ライト)の代わりに使用して、空間演出を行う照明システムがある。この照明システムに使用される照明器具は、ムービングプロジェクタとも呼ばれる。このムービングプロジェクタは、投影光として映像光を出射する。このため、投影光の形、色を自由に設定して、動画として変化させることが可能である。
【0005】
しかしながら、この照明システムであっても、投影光に形をつける場合は、従来の照明システムと同様に、ベース形状を用いて、大まかに被投影物体の形状に投影光の輪郭を合わせる手法が採用されている。
【0006】
更にまた、従来においては、立体形状モデルに物体の表面テクスチャを効果的に表現することができる立体表示装置として、下記の特許文献1等に記載された技術が知られている。
【0007】
更にまた、従来においては、特許文献2のように、投影光の形状を制御することによってユーザが希望する形状で光を投影することができる光投影装置、照明装置が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】http://www.egghouse.com/gobo/about.htm
【非特許文献2】http://www.ushiolighting.co.jp/product/productimage/pdf/dl2.pdf
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−338181号公報
【特許文献2】特開2009−225432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の照明システムにおいては、予め用意しておいた形状フィルタや絞り、ズームを用いるので、被投影物体に対して大まかに投影光の形状をあわせることしかできない。また、ベース形状を映像に重ね合わせるマスク処理では、ベース形状を被投影物体の形状にあわせて作成することにより精度の高い形状あわせが可能であるが、ベース形状は2次元形状で作成される。このため、任意形状の被投影物体を異なる方向から見た場合には、異なるベース形状を用いる必要があり、異なる位置に配置された複数の投影装置によって、同時に被投影物体に向けて投影光を投影する技術には転用しがたい。
【0011】
また、特許文献2の発明では、自動的に投影光の形状を制御できるものの、誰でも簡単に設定することは困難な場合があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、簡単な構成によって特定の形状で光を投影することができる光投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する第1の発明に係る光投影装置は、任意の空間及び当該空間内に設置された被照射体に光を投影する光投影装置であって、光を投影する光投影手段と、前記光投影手段から投影された投影光を分割する分割領域を複数有し、各分割領域により投影光を遮光又は通過させる投影光分割遮光手段と、前記光投影手段の投影可能範囲のうち、前記投影光分割遮光手段により投影光を通過させる投影範囲と、前記投影光分割遮光手段により投影光を遮光させる非投影範囲とを設定する投影範囲設定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
第1の発明に係る光投影装置であって、第2の発明は、ユーザの操作に従って任意の形状が描画され、当該描画された形状に基づく形状データを生成する形状描画手段を更に備え、前記投影範囲設定手段は、前記形状描画手段により生成された形状データに基づく形状を前記投影範囲とすることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明に係る光投影装置であって、第3の発明は、前記形状描画手段は、ユーザの操作に従った描画軌跡データを生成し、当該描画軌跡データを前記投影範囲設定手段にリアルタイムに出力し、前記投影範囲設定手段は、前記出力された描画軌跡データに基づいて前記投影範囲を設定して、前記光投影手段から前記投影光分割遮光手段を介してリアルタイムに投影光を投影させることを特徴とするものである。
【0016】
第1の発明乃至第3の発明の何れかに係る光投影装置であって、第4の発明は、前記投影範囲設定手段により設定された投影範囲の位置又は形状の少なくとも一方を調整する投影範囲調整手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【0017】
第1の発明乃至第4の発明の何れかに係る光投影装置であって、第5の発明は、前記投影光分割遮光手段を振動させる駆動手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【0018】
第1の発明乃至第5の発明の何れかに係る光投影装置であって、第6の発明は、前記光投影手段と前記投影光分割遮光手段とを複数備え、各光投影手段により被照射体を投影することを特徴とするものである。
【0019】
第1の発明乃至第6の発明の何れかに係る光投影装置であって、第7の発明は、前記投影範囲設定手段により設定された投影範囲データを格納するデータ格納手段と、前記記憶手段に記憶された投影範囲データの更新順序を時間軸上で設定するタイムライン設定手段とを備え、前記投影範囲設定手段は、前記タイムライン設定手段により設定された時間軸上に設定された投影範囲データを前記データ格納手段から読み出して、前記投影範囲及び前記非投影範囲を更新することを特徴とするものである。
【0020】
第7の発明に係る光投影装置であって、第8の発明は、前記データ格納手段は、任意の音楽データを記憶し、前記タイムライン設定手段は、前記音楽データの更新順序を前記時間軸上で設定し、前記タイムライン設定手段により設定された時間軸上に設定された音楽データを前記データ格納手段から読み出して、前記音楽を更新する音声生成手段を備えることを特徴とするものである。
【0021】
第7の発明又は第8の発明に係る光投影装置であって、第9の発明は、前記投影範囲設定手段により設定された投影範囲データ又は音楽データを格納するサーバと通信を行う通信手段を備え、前記タイムライン設定手段は、前記サーバから受信された投影範囲データ又は音楽データを時間軸上に設定することを特徴とするものである。
【0022】
第1の発明乃至第9の発明の何れかに係る光投影装置であって、第10の発明は、前記光投影手段の投影可能範囲を含む空間を撮像範囲とする撮影手段と、前記撮像手段により撮像された画像データを生成する撮像画像生成手段と、前記撮像画像生成手段により生成された撮像画像における画像位置と、前記投影光分割遮光手段における各分割領域との対応関係を記述した変換テーブルを生成する変換テーブル生成手段と、投影光が投影される投影範囲を抽出する条件を設定する投影範囲抽出設定手段と、前記投影範囲抽出設定手段により設定された条件に従って前記撮像画像格納手段で格納された撮像画像データを解析して、投影部分と非投影部分とを分別する投影範囲分別手段と、前記変換テーブル生成手段で生成された変換テーブルを参照して、前記投影範囲分別手段によって投影範囲に分別された撮像画像データの画素位置を、前記各分割領域に変換する投影範囲抽出手段とを備え、前記投影範囲設定手段は、前記投影範囲抽出手段により変換された分割領域により投影光を投影させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、投影範囲と非投影範囲とを投影範囲設定手段によって設定して投影光分割遮光手段を動作させるので、投影光分割遮光手段により透過させた部分のみを投影範囲とすることができ、簡単な構成によって特定の形状で光を投影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図2】光投影部から被照射体に対して直接に投影光を投影した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態として示す光投影装置において、投影光分割遮光部を介して透過光を投影した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態として示す光投影装置において、投影光分割遮光部により一部の投影光を遮蔽した透過光を投影した状態を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態として示す光投影装置において、投影光分割遮光部の一構成例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態として示す光投影装置において、投影光分割遮光部により一部の投影光を遮蔽した透過光を投影した状態を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図9】本発明の第4実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図10】本発明の第4実施形態として示す光投影装置において、撮像部を備えた一構成例を示す斜視図である。
【図11】本発明の第5実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図12】本発明の第5実施形態として示す光投影装置において、投影光分割遮光部を介して透過光を投影した状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の第5実施形態として示す光投影装置において、振動させた投影光分割遮光部を介して透過光を投影した状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の第6実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図15】本発明の第7実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図16】本発明の第7実施形態として示す他の光投影装置のブロック図である。
【図17】本発明の第8実施形態として示す光投影装置のブロック図である。
【図18】本発明の第8実施形態として示す光投影装置において、各光遮光部により透過光を透過し、当該透過光を撮像して、変換テーブルを作成する様子を示す斜視図である。
【図19】(a)はパネルの一部のみに透過光を投影した正面図であり、(b)本発明を適用した光投影装置における他の投影光分割遮光部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
[第1実施形態]
本発明を適用した第1実施形態に係る光投影装置は、例えば図1に示すような機能的な構成を有する。この光投影装置は、例えば図3,図4に示すように、光投影部1から投影された投影光を投影光分割遮光部2により分割して、被照射体10に対して投影光を投影する。
【0027】
この光投影装置は、光投影部1として、例えばスポットライトなどの光源を用いる。光投影装置は、投影光分割遮光部2により、光投影部1から投影された投影光1aを格子状に分割する。光投影装置は、任意の分割領域を遮光することによって、簡単に、高性能なトリミング照明を実現する。
【0028】
なお、光投影部1は、スポットライトであることが望ましいが、プロジェクタなどであっても良い。例えば、光投影部1として、単色かつ単形状の投影光1aしか投影できない一般的なスポットライトを使用する。プロジェクタは、一般的なスポットライトと比較して、輝度が低く、色温度が高い。スポットライトを光投影部1として用いることにより、光投影装置は、プロジェクタでは実現できなかった輝度や照明温度の投影光1aを投影できる。
【0029】
光投影装置は、任意の空間及び当該空間内に設置された被照射体10に光を投影する。このために、光投影装置は、図1に示すように、光投影部1と、投影光分割遮光部2と、投影範囲設定部3とを備える。
【0030】
投影光分割遮光部2は、光投影部1から投影された投影光を分割する分割領域を複数有する。投影光分割遮光部2は、各分割領域により投影光を遮光又は通過させる(投影光分割遮光手段)。これにより、投影光分割遮光部2は、投影光1aを透過した透過光1bにする。この透過光1bは、任意の空間に向けて投影される。
【0031】
投影光分割遮光部2は、例えば、図5に示すように構成されている。投影光分割遮光部2は、複数の光遮光部2aと、回転支持機構2bとを備える。光遮光部2aは、各分割領域に対応して設けられている。回転支持機構2bは、図示しないモータ等の駆動機構を有し、各光遮光部2aにより投影光1aを透過光1bとして通過させる方向に回転させるトルクを発生させる。
【0032】
光遮光部2aは、回転支持機構2bにより、非投影範囲を形成する光遮蔽状態2a−1と、投影範囲を形成する光透過状態2a−2とで切り替えられる。光遮光部2aは、回転支持機構2bに対して直立した状態が光を遮蔽する状態2a−1であり、回転支持機構2bにより回転されて光入射方向と平行とされた状態が投影光1aを透過する状態2a−2となる。
【0033】
投影範囲設定部3は、投影光分割遮光部2のうち、透過光1bを投影させる投影範囲と、透過光1bを投影させない非投影範囲とを設定する(投影範囲設定手段)。投影範囲は、投影光分割遮光部2により投影光1aを通過させる。非投影範囲は、投影光分割遮光部2により投影光1aを遮光させる。投影範囲設定部3は、投影範囲を表す投影範囲データ3aを投影光分割遮光部2に供給する。これにより、投影範囲設定部3は、投影範囲に対応した光遮光部2aを光透過状態2a−2するよう回転支持機構2bを駆動させる。投影範囲設定部3は、図3及び図4に示すように、投影範囲データ3aを出力する出力回路等を備える制御装置20に内蔵される。
【0034】
投影光分割遮光部2がない場合において、被照射体10A、10B(以下、総称する場合には単に「被照射体10」と呼ぶ。)を光照射しようとすると、光投影部1から投影される投影光1aは、図2に示すようになる。すなわち、被照射体10の全面及びその背景の投影可能エリア1Aに対して投影光1aが投影される。
【0035】
光投影部1と被照射体10との間に投影光分割遮光部2を設置し、投影光分割遮光部2の全ての分割領域に対応した光遮光部2aを光透過状態2a−2にした場合、図3に示すように、投影可能エリア1Aの全面が光投影エリア1Bとなる。なお、図3に示す点線は、分割領域を表している。投影光分割遮光部2の分割領域のうち、被照射体10に対応する光遮光部2aのみを光透過状態2a−2とした場合、図4に示すように、透過光1bによって、被照射体10の表面のみを光投影エリア1Bとでき、その他の部分を非光投影エリア1Cとできる。
【0036】
以上説明したように、本発明を適用した第1実施形態として示す光投影装置によれば、光投影エリア1Bに対応する光遮光部2aと非光投影エリア1Cに対応する光遮光部2aとを投影範囲設定部3によって設定して投影光分割遮光部2を動作させる。これにより、光投影装置によれば、投影可能エリア1Aのうち投影光分割遮光部2により透過させた部分のみを光投影エリア1Bとすることができ、簡単な構成によってユーザが希望する形状で光を投影することができる。
【0037】
また、光投影部1としては、スポットライトなどの一般的な照明器具で良い。これにより、光投影装置は、一般的な照明器具を用いて被照射体10のみを照射できるような高性能なトリミング効果を実現する。光投影部1がプロジェクタである場合、投影範囲データ3aは、映像データで構成する必要がある。このため、光投影エリア1Bの形状や色の設定、歪み補正処理を映像技術で実現していた。しかし、本発明を適用した光投影装置によれば、映像データを用いないので、分割された投影可能エリア1Aのうちの光投影エリア1Bとする光遮光部2aの位置(投影範囲)又は非光投影エリア1Cとする光遮光部2aの位置(非投影範囲)を決定するのみで、被照射体10のみを明るく照射できる。
【0038】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る光投影装置について説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0039】
第2実施形態として示す光投影装置は、図6に示すように、形状描画部30を備える点で、第1実施形態として示した光投影装置とは異なる。
【0040】
形状描画部30は、ユーザの操作に従って任意の形状が描画され、当該描画された形状に基づく形状データ30aを生成する(形状描画手段)。この形状データ30aは、投影可能エリア1A内においてユーザがどのような形状を描画したかの座標情報である。この形状データ30aは、投影範囲設定部3に供給される。
【0041】
投影範囲設定部3は、形状描画部30により生成された形状データ30aに基づく形状を光投影エリア1Bとするために光を透過する光遮光部2aを特定する投影範囲データ3aを生成する。この投影範囲データ3aは、描画された座標情報に対応して光透過状態2a−2とされる光遮光部2aの識別情報を含む。この形状データ30aは、投影光分割遮光部2に供給される。
【0042】
投影光分割遮光部2は、投影範囲データ3aを受信して、当該投影範囲データ3aで指定された光投影エリア1Bに相当する光遮光部2aを光透過状態2a−2とするよう動作する。これにより、光投影装置は、形状描画部30により描画された形状に応じた光遮光部2aを光透過状態2a−2とすることができる。
【0043】
具体的には、図7に示すように、形状描画部30は、マウス等のポインティングデバイス、モニタ装置の表示部として構成された液晶パネル30bとユーザが操作するペン30cとからなるペンタブレットシステムで構成されている。ここで、液晶パネル30bの全画面が、投影可能エリア1Aの全範囲に対応していることが望ましい。
【0044】
また、液晶パネル30bには、投影光分割遮光部2の分割領域と一致するように設定された升目が描かれていることが望ましい。ユーザは、光透過状態2a−2(投影範囲)としたい分割領域又は光遮蔽状態2a−1(非投影範囲)としたい分割領域を選択する操作を行う。これにより、形状描画部30は、ユーザにより選択された分割領域に対応した光遮光部2aを特定する形状データ30aを生成することができる。
【0045】
更に、形状描画部30をパーソナルコンピュータ等で構成した場合、分割領域に対応する升目を、液晶パネル30b上に表示しても良い。この構成であっても、パーソナルコンピュータに接続されたマウス等のポインティングデバイスや、液晶パネル30bに直接接触するペンタブレットシステムのペン30cの操作に応じて、光遮光部2aを光透過状態2a−2(投影範囲)又は光遮蔽状態2a−1(非投影範囲)を指定する形状データ30aを生成できる。
【0046】
以上説明したように、第2実施形態として示した光投影装置によれば、形状描画部30によってユーザが入力した形状に基づいて、各光遮光部2aを投影範囲又は非投影範囲とするかを決定する。そして、投影光分割遮光部2は、当該決定された投影範囲となるように光遮光部2aを動作する。これにより、光投影装置は、ユーザが入力した形状に応じて投影光1aをトリミングして、透過光1bを被照射体10に投影できる。したがって、この光投影装置によれば、ユーザが直感的に、まるで絵を描くように光投影エリア1Bを設定できる。
【0047】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態として示す光投影装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0048】
第3実施形態として示す光投影装置は、図8に示すように、形状描画部30が、ユーザの操作に従った描画軌跡データ30dを生成し、当該描画軌跡データ30dを投影範囲設定部3にリアルタイムに出力する。
【0049】
投影範囲設定部3は、出力された描画軌跡データ30dに基づいて光投影エリア1Bに対応する投影光分割遮光部2を設定して、光投影部1から投影光分割遮光部2を介してリアルタイムに透過光1bを投影させる。リアルタイムに透過光1bを投影させるとは、ユーザにより指定された分割領域が更新される度又は所定時間ごとに、形状描画部30は、描画軌跡データ30dを投影範囲設定部3に出力して、投影範囲設定部3により投影光分割遮光部2の状態を更新する。これにより、ユーザが入力した分割領域の描画軌跡を、直ぐに透過光1bに反映させる。ユーザは、被照射体10に投影される透過光1bを確認しながら、分割領域の軌跡を描画できる。
【0050】
形状描画部30は、ペンタブレットシステムの場合、ペン30cによって液晶パネル30bに与えられた筆圧の軌跡情報を生成する。この筆圧の軌跡情報は、光投影部1による光投影エリア1B(トリミング領域)の輪郭を表す描画軌跡データ30dに変換される。この描画軌跡データ30dは、投影範囲データ3aとして投影範囲設定部3から投影光分割遮光部2に供給される。これにより、投影光分割遮光部2は、投影範囲データ3aに基づいて、光遮光部2aの投影範囲、非投影範囲を変更することによって、光投影エリア1B、非光投影エリア1Cを変更できる。
【0051】
また、この光投影装置において、ユーザが形状描画部30によって光投影エリア1Bを指定する時に、形状描画部30の操作に対して、手探り点を液晶パネル30bに表示しても良い。また、光投影部1は、投影光分割遮光部2によって手探り点に対応した透過光1bを透過しても良い。例えば、被照射体10の左上端部を正確に指定したい場合、任意に形状描画部30の液晶パネル30bに触れた時に、当該任意の点に対応した投影可能エリア1A内の位置を照らすように投影光分割遮光部2の一部を光透過状態2a−2とする。これによって、光投影装置は、より簡単に光投影エリア1Bを指定させる操作をさせることができる。
【0052】
以上説明したように、第3実施形態として示した光投影装置によれば、ユーザの操作に応じてリアルタイムに描画軌跡データ30dを生成して、投影光分割遮光部2の状態を更新することができる。光投影装置は、ユーザ操作による描画軌跡を光遮光部2aの投影範囲に変換して、光投影エリア1Bとして投影することにより、ユーザは実際の被照射体10に対する照射の様子を確認しながら光投影エリア1Bの設定ができる。
【0053】
なお、形状描画部30は、ユーザが分割領域の軌跡を描いている最中には描画軌跡データ30dを出力し、当該描画軌跡により閉じた領域が設定されたときに形状データ30aを出力しても良い。これにより、描画軌跡により閉じた領域が設定されていない場合には、線図により描画軌跡を投影し、描画軌跡により閉じた領域が設定された時には、当該閉じた領域全体を光投影エリア1Bに設定することができる。
【0054】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る光投影装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0055】
第4実施形態として示す光投影装置は、図9に示すように、投影範囲設定部3により設定された投影光分割遮光部2の投影範囲、非投影範囲の位置及び形状の少なくとも一方を調整する投影範囲調整部48を更に備えている。
【0056】
投影範囲調整部48は、投影範囲設定部3から投影範囲データ3aを入力する。投影範囲調整部48は、入力した投影範囲データ3aによって設定された投影光分割遮光部2の投影範囲、非投影範囲の位置及び形状を調整した投影範囲調整データ48aを投影光分割遮光部2に供給する。投影光分割遮光部2は、投影範囲調整データ48aが供給されると、調整された結果に応じて光遮光部2aを光透過状態2a−2に変更する。これにより、光投影装置は、投影範囲データ3aにて設定された光投影エリア1Bの位置及び形状の少なくとも一方を調整できる。
【0057】
また、投影範囲調整部48は、形状描画部30により生成されたユーザの操作に応じた形状データ30aに基づいて投影範囲データ3aにて設定された投影光分割遮光部2の投影範囲、非投影範囲の位置又は形状を調整しても良い。また、投影範囲調整部48は、ユーザの操作によらず自動的に設定された範囲の光遮光部2aを調整しても良い。
【0058】
自動的に光遮光部2aを調整して光投影エリア1Bを設定する構成は、撮像部41、撮像画像生成部42、撮像画像格納部43、撮像画像分割部44、投影範囲抽出設定部45、投影範囲分別部46、投影範囲補正部47を備える。
【0059】
この光投影装置は、図10に示すように、撮像部41としてのビデオカメラを備えている。撮像部41は、その撮像範囲が光投影部1の投影可能エリア1Aを含むように設置されている。撮像部41は、光学系やCCD等の撮像素子を含む。撮像部41は、撮像素子により撮像した撮像画像信号を撮像画像生成部42に供給する。
【0060】
撮像画像生成部42は、撮像部41に対するI/Oインターフェースからなる。撮像画像生成部42は、撮像部41から出力された撮像画像信号を処理可能なデータ形式に変換して、撮像画像データ42aを生成して、撮像画像格納部43に供給する。
【0061】
撮像画像格納部43は、例えばハードディスク装置からなる。撮像画像格納部43は、撮像画像生成部42により生成された撮像画像データ42aを格納する。この撮像画像格納部43に格納された撮像画像データ42aは、図示しないディスプレイに対して出力して撮像部41の撮像状態を視認可能としても良い。撮像画像格納部43に格納された撮像画像データ43aは、投影範囲分別部46及び撮像画像分割部44に読み取られる。
【0062】
撮像画像分割部44は、撮像画像格納部43に格納された撮像画像データ43aを分割する。撮像画像分割部44は、投影光分割遮光部2の分割領域に対応して、撮像画像データ43aを分割する。分割された各撮像画像分割データ44aは、投影範囲補正部47に供給される。
【0063】
投影範囲抽出設定部45は、光投影エリア1Bを抽出する条件を設定する(投影範囲抽出設定手段)。投影範囲抽出設定部45は、撮像画像格納部43に格納された撮像画像データ43aを解析して、透過光1bを投影する光投影エリア1Bを抽出するための条件を設定する。投影範囲抽出設定部45は、例えば、色によって光投影エリア1Bを抽出する近似色抽出、形状によって光投影エリア1Bを抽出する形状抽出、明度によって光投影エリア1Bを抽出する明度抽出などの抽出方法、当該抽出方法における閾値等を設定する。
【0064】
投影範囲抽出設定部45は、例えば、ユーザが操作するキーボード及び当該キーボード操作を認識する入力インターフェースや、各種パラメータが格納された記録媒体を読み取る機構、外部から送信された各種パラメータを受信する機構などで構成される。投影範囲抽出設定部45により設定された光投影エリア1Bの抽出条件は、投影範囲抽出パラメータとして、投影範囲分別部46に供給される。
【0065】
投影範囲分別部46は、投影範囲抽出設定部45により設定された条件に従って撮像画像生成部42により生成されて格納された撮像画像データ43aを解析して、光投影エリア1Bと当該光投影エリア1B以外の非光投影エリア1Cとを分別する(分別手段)。
【0066】
投影範囲分別部46は、投影範囲抽出設定部45から供給された投影範囲抽出パラメータに従って、撮像画像格納部43から供給された撮像画像データ43aを解析する。この解析の結果、投影範囲分別部46は、投影範囲抽出パラメータに合致した光投影エリア1Bを表す座標情報としての投影範囲分別データ46aを投影範囲補正部47に供給する。投影範囲分別部46は、投影範囲分別データ46aと、撮像画像分割データ44aとを比較する。これにより、投影範囲分別部46は、投影範囲分別データ46aで示されている光投影エリア1Bの座標情報が、どの撮像画像分割データ44aに該当するかを調べる。すなわち、光投影エリア1Bの座標情報が、どの光遮光部2aに相当するかを調べる。これにより光投影装置は、投影範囲補正部47によって、投影範囲抽出設定部45が設定した抽出条件に合致した光投影エリア1Bを構成するための投影範囲補正データ47aを作成する。投影範囲補正データ47aは、投影光分割遮光部2に含まれる光投影エリア1Bに相当する各光遮光部2aの識別情報である。
【0067】
投影範囲設定部3は、投影範囲補正データ47aが供給されると、当該投影範囲補正データ47aに識別情報が含まれる光遮光部2aを、光透過状態2a−2とする。これにより、投影範囲設定部3は、投影範囲分別部46により光投影エリア1Bと判断された領域にのみ透過光1bを投影する光遮光部2aのみを光透過状態2a−2とすることができる。 具体的には、図4に示すように、被照射体10A,10Bに対して光投影エリア1Bを設定するために、撮像画像生成部42は、被照射体10A,10Bを含む撮像画像データ42aを生成し、撮像画像格納部43に供給する。
【0068】
一方、投影範囲分別部46は、撮像画像データ43aを入力すると、当該撮像画像データ43aを、投影範囲抽出設定部45により設定された投影範囲抽出パラメータに従って解析して、光投影エリア1Bと非光投影エリア1Cとを分別する。
【0069】
ここで、光投影エリア1Bの抽出条件が、「形状抽出処理」、「立方体領域を光投影エリア1B、立方体領域以外を非光投影エリア1C」にする投影範囲抽出パラメータが投影範囲分別部46に供給されているものとする。
【0070】
このような環境下において、投影範囲分別部46は、立方体の被照射体10を含む撮像画像データ43aが供給される。そして、投影範囲分別部46は、エッジ抽出処理によって撮像画像データ43aの全体に亘る形状エッジを認識し、立方体領域を光投影エリア1Bとし立方体領域以外を非光投影エリア1Cとする。
【0071】
これによって、光投影装置は、投影範囲分別データ46aに従って投影範囲補正部47が、光投影エリア1Bに向けて透過光1bを投影するために光透過状態2a−2とする光遮光部2aの識別情報を含む投影範囲補正データ47aを作成する。
【0072】
また、自動的に光投影エリア1Bを識別するデータを作成する処理は、被照射体10A,10Bの後方に、色抽出処理の抽出精度を高めるためのブルーシートを配置しても良い。この場合、投影範囲抽出設定部45は、光投影エリア1Bの抽出条件が、「色抽出処理」、「青領域を非光投影エリア1C、青領域以外を光投影エリア1B」する投影範囲抽出パラメータを設定して、投影範囲分別部46に供給する。その結果、投影範囲分別部46は、撮像画像データ43aに対して青領域と青領域以外とを分別する色抽出処理を施して、被照射体10A,10Bの輪郭情報を投影範囲分別データ46aとして作成することができる。
【0073】
このように、自動的に取得された光投影エリア1Bを表すデータに基づいて、投影範囲設定部3は、投影範囲データ3aを生成して、投影範囲調整部48に供給する。投影範囲調整部48は、例えば、光投影エリア1Bの範囲を調整できる。具体的には、投影範囲調整部48は、投影範囲設定部3により設定された光投影エリア1Bに対して、水平移動、回転移動、変形及びスケール変換等の形状変更、特定範囲の追加、特定範囲の削除などの処理する。
【0074】
以上説明したように、第4実施形態として示した光投影装置によれば、ユーザの操作又は自動的に設定された光投影エリア1Bに対応する光遮光部2aを表す投影範囲データ3aを、投影範囲調整部48により調整することができる。これにより、光投影装置によれば、光投影エリア1Bを容易に修正することができる。
【0075】
[第5実施形態]
つぎに、第5実施形態に係る光投影装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0076】
第5実施形態として示す光投影装置は、上述した実施形態における光投影装置に加えて、図11に示すように、投影光分割遮光部2を振動させる駆動部51を更に備える。
【0077】
駆動部51を備えない光投影装置は、図12に示すように、全ての光遮光部2aを光透過状態2a−2としていても、回転支持機構2bにより、透過光1bには、鮮明に影1cが含まれてしまう。第5実施形態として示す光投影装置は、駆動部51を備えることにより、当該影1cを目立たなくする。
【0078】
この光投影装置は、投影光分割遮光部2に対して微小振動を投影光分割遮光部2に対して与える。駆動部51による投影光分割遮光部2の振動幅は、回転支持機構2bの幅、光遮光部2a間の隙間を超えない範囲内とする。このように投影光分割遮光部2を振動することにより、回転支持機構2b、光遮光部2a間の隙間も振動する。これにより、透過光1bに含まれる影1cも振動させることができ、図13に示すように、影1cをぼかすことができる。
【0079】
また、投影光分割遮光部2を微小振動させることにより、被照射体10の形状にトリミングされた透過光1bを照射する場合に、被照射体10の背面に発生する漏れ光を振動させることができる。これにより、光投影装置は、被照射体10の背後に存在する壁に漏れ光が投影されても、当該漏れ光を振動させて、目立たなくさせることができる。
【0080】
[第6実施形態]
つぎに、第6実施形態に係る光投影装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0081】
第6実施形態として示す光投影装置は、図14に示すように、光投影部1,1’と投影光分割遮光部2,2’を複数備える。この光投影装置は、各光投影部1,1’により被照射体10を投影する。
【0082】
光投影部1から投影された投影光1aは、投影光分割遮光部2に透過され、透過光1bとして被照射体10に投影される。同様に、光投影部1’から投影された投影光1a’は、投影光分割遮光部2’に透過され、透過光1b’として被照射体10に投影される。
【0083】
このような光投影装置は、所謂マルチプロジェクション方式と称される技術である。複数の光投影部1,1’を備えることにより、複数の透過光1b,1b’を被照射体10に投影できる。これにより、光投影装置は、一つの光投影部1により透過光1bを投影する場合と比較して、より広い範囲の透過光1bを被照射体10に投影できる。
【0084】
この光投影装置において、投影範囲設定部3’は、投影光分割遮光部2,2’に対して投影範囲データ3a,3a’を供給すると共に、投影光分割遮光部2’に対して投影範囲データ3a’を供給する。これにより、光投影装置、光投影部1,1’ごとに、投影範囲データ3a、3a’の生成を行う。
【0085】
また、投影範囲設定部3’は、投影光分割遮光部2,2’の動作の同期をとるように投影範囲データ3a,3aを供給する必要がある。これによって、光投影装置は、複数の被照射体10に対して同期が取れた透過光1b,1b’を投影することができる。
【0086】
更に、光投影装置は、光投影部1と投影光分割遮光部2との組み合わせと、他の光投影部1’と投影光分割遮光部2’との組み合わせとを任意の位置に設置しても良い。これにより、光投影装置は、それぞれの光投影部1,1’から見た投影範囲データ3a,3a’を設定して、被照射体10を投影できる。これにより、光投影装置は、被照射体10を覆うような複数の透過光1b,1b’を投影できる。
【0087】
[第7実施形態]
つぎに、第7実施形態に係る光投影装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0088】
第7実施形態として示す光投影装置は、上述した第1乃至第6実施形態として示した光投影装置に加えて、時間軸に沿って透過光1b又は音楽データを変更することができるものである。この光投影装置は、時間軸に沿って設定された透過光1b又は音楽データを更新することによって、様々な演出効果を発揮できる。
【0089】
この光投影装置は、図15に示すように、タイムライン設定部61、データ格納部62を更に備える。データ格納部62は、投影範囲設定部3により設定される投影範囲データを格納する。この投影範囲データ62aは、投影範囲設定部3に供給され、投影範囲設定部3により、投影範囲データ3aとして投影光分割遮光部2に供給される。
【0090】
タイムライン設定部61は、データ格納部62に記憶された投影範囲データ62aのうち、ユーザによって設定された任意の投影範囲データ62aを任意のタイムスケジュールで自動的に更新させる。
【0091】
データ格納部62は、データ格納部62に記憶された投影範囲データ62aの更新順序(タイムスケジュール)を時間軸上で設定する(タイムライン設定手段)。このタイムライン設定部61により設定された時間軸上に沿って、投影範囲データ62aが配置される。データ格納部62は、時間軸上に設定された出力タイミングに合わせて投影範囲データ62aを投影範囲設定部3に出力する。
【0092】
投影範囲設定部3は、タイムライン設定部61により設定された時間軸上に設定された投影範囲データ62aをデータ格納部62から読み出して、投影範囲とする光遮光部2a及び非投影範囲とする光遮光部2aを更新することにより、光投影エリア1B及び非光投影エリア1Cを更新する。すなわち、投影範囲設定部3から時間軸上に沿って投影範囲データ3aを投影光分割遮光部2に供給する。これにより、投影光分割遮光部2は、回転支持機構2bにより、時間軸上の投影範囲データ3aに合わせて、光遮光部2aを光遮蔽状態2a−1と光透過状態2a−2との間で切り替え動作する。これにより、投影光分割遮光部2は、投影範囲を、被照射体10に向けて投影される透過光1bを時間軸上に沿って更新できる。
【0093】
また、この第7実施形態として示す光投影装置は、図15の構成に加え、データ格納部62に任意の音楽データを記憶しても良い。この音楽データは、投影範囲データ3aの更新順序により光投影部1により投影される透過光1bの動的表示状態に対応した音声であることが望ましい。
【0094】
タイムライン設定部61は、音楽データの更新順序を時間軸上で設定する。この時間軸は、上記のように、投影範囲データ3aの時間軸と同じものを用いる。また、光投影装置は、スピーカ等の音声生成部63を備える。この光投影装置によれば、タイムライン設定部61でタイムスケジュールが設定されると共に、ユーザの操作に応じて図示しない音声ファイル等を用いて、タイムスケジュールと同じ時間軸状で音声データを設定することができる。
【0095】
この音声生成部63は、光投影部1、制御装置20と別体であっても良く、パーソナルコンピュータとしての機能を利用してスピーカから音声を放音させる構成であっても良い。音声生成部63は、タイムライン設定部61により設定された時間軸上に設定された音楽データをデータ格納部62から読み出す。音声生成部63は、時間軸上で、音楽を更新する。これにより、光投影装置は、投影範囲データ62aに加えて音楽を時間軸上に配置し、透過光1bと音楽とを同期して更新できる。
【0096】
以上のように、この光投影装置によれば、被照射体10に対して透過光1bを投影して視覚的な演出に加えて、当該視覚的な演出のタイムスケジュールに同期して音楽BGMを設定でき、聴覚的な演出も実現できる。これにより、光投影装置は、例えば商品としての被照射体10のプロモーションや商品説明、観賞用展示などコンセプトを持ったコンテンツを作成して、空間演出ができる。
【0097】
また、タイムライン設定部61は、ユーザの操作に応じたタイムスケジュールに限らず、投影範囲データ62aをランダムに更新させるタイムスケジュールであっても良い。これにより、ユーザの意志を反映させない更新での演出を表現可能となる。
【0098】
更に、この第7実施形態として示す光投影装置は、図16に示すように、投影範囲データ62a又は音楽データを格納するサーバ65と通信を行う通信部64を備える。この光投影装置は、通信部64により、ユーザが指定する又は任意の投影範囲データ3a又は音楽データを、通信回線を介してダウンロードする。そして、タイムライン設定部61は、サーバ65から受信された投影範囲データ3a又は音楽データを時間軸上に設定する。
【0099】
また、サーバ65は、時間軸上に設定された投影範囲データ3a又は音楽データのファイルデータを記憶していても良い。これにより、通信部64は、サーバ65から、既に時間軸上の透過光1b又は音楽のタイムスケジュールが設定されたファイルをデータ格納部62に格納できる。
【0100】
以上のように、この光投影装置によれば、ユーザによって所望する投影範囲データ3a、音楽データをダウンロードできる。また、サーバ65から光投影装置に、自動的に最新情報などをダウンロードできる。したがって、光投影装置は、あらゆる投影範囲データ3aから任意のものを選択又は自動的に受信でき、膨大なデータを記憶しておく必要がない。また、光投影装置は、データ格納部62のデータを更新したい場合に、通信部64がサーバ65から投影範囲データ3a、音楽データをダウンロードして、遠隔操作によるデータの更新ができる。
【0101】
[第8実施形態]
つぎに、第8実施形態に係る光投影装置ついて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0102】
第8実施形態として示す光投影装置は、図17に示すように、第4実施形態として示した光投影装置の撮像画像分割部44及び投影範囲補正部47に代えて、変換テーブル生成部71及び投影範囲抽出部72を備える。この光投影装置は、上述した第4実施形態を除く第1乃至第7実施形態として示した光投影装置に対して、撮像部41、撮像画像生成部42、撮像画像格納部43、投影範囲抽出設定部45、投影範囲分別部46、変換テーブル生成部71及び投影範囲抽出部72を備えることができる。
【0103】
変換テーブル生成部71は、撮像画像生成部42により生成されて撮像画像格納部43に格納された撮像画像データ43aが供給される。変換テーブル生成部71は、撮像画像データ43aにおける画像位置と、投影光分割遮光部2における各分割領域(光遮光部2a)との対応関係を記述した変換テーブル71aを生成する。変換テーブル71aを参照すれば、光投影装置は、撮像部41により撮像して撮像画像生成部42により生成した撮像画像データ42aの画像位置が、投影光分割遮光部2におけるどの光遮光部2aを光透過状態2a−2にすれば透過光1bが投影できるかを認識できる。
【0104】
変換テーブル生成部71は、変換テーブル71aを生成する時には、以下の動作を行う。この動作は、新たに被照射体10を設置した場合などに行われる。
【0105】
変換テーブル生成部71は、投影光分割遮光部2の各光遮光部2aを光透過状態2a−2とし、当該光遮光部2aのみで分割された各分割光を順に投影する。具体的には、図18に示すように、ある光遮光部2aのみを光透過状態2a−2とし、当該部分2cのみから透過光1bを透過させる。すると、投影可能エリア1Aのうち、光透過状態2a−2とされている光遮光部2aに対応した部分のみに透過光1bが投影される。
【0106】
撮像部41は、各光遮光部2aが光透過状態2a−2とされて透過された分割光が投影されている様子を撮像する。これにより、撮像画像生成部42は、光遮光部2aに対応した数の撮像画像データ42aを生成して、撮像画像格納部43に格納できる。例えば、撮像画像データ42aは、表示モニタ73により表示すると、表示画面73aのうち、透過光1bが投影された部分だけに照射領域73bが現れる画像である。
【0107】
変換テーブル生成部71は、各光遮光部2aが光透過状態2a−2とされた撮像画像データ43aを読み出す。撮像画像データ43aには、光遮光部2aに対応した照射領域73bが含まれる。変換テーブル生成部71は、各撮像画像データ43aに対応した光遮光部2aの識別情報と、撮像画像データ43a内の照射領域73bの画像位置とを対応付けて変換テーブル71aに登録する。変換テーブル生成部71は、全光遮光部2aについて、光遮光部2aの識別情報と、撮像画像データ43a内の照射領域73bの画像位置とを対応付けて変換テーブル71aを完成させる。
【0108】
なお、投影された照射領域73bと撮像画像との関係において、画素位置の対応関係は、1画素ごとに検出してもよく、ある程度の画素を統合した画素の塊や線で検出してもよく、さらには離散的な位置の画素の対応関係を検出した後に画素間を補間しても良い。
【0109】
投影範囲抽出部72は、投影範囲分別部46から、投影可能エリア1Aにおけるどの領域を光投影エリア1Bとするかを分別した投影範囲分別データ46aが供給される。また、投影範囲抽出部72は、変換テーブル生成部71により生成された変換テーブル71aを読み込み可能となっている。投影範囲抽出部72は、投影範囲分別データ46aにより示された光投影エリア1Bとすべき画像位置が、投影光分割遮光部2におけるどの光遮光部2aかを、変換テーブル71aを参照して認識する。すなわち、投影範囲抽出部72は、光投影エリア1Bとすべき画像位置を、光遮光部2aの識別情報に変換する。投影範囲抽出部72は、光投影エリア1Bに透過光1bを投影するために光透過状態2a−2とされる光遮光部2aを示す投影範囲抽出データ72aを生成して、投影範囲設定部3に供給する。
【0110】
投影範囲設定部3は、投影範囲抽出部72から供給された投影範囲抽出データ72aによって、光透過状態2a−2(投影範囲)とすべき光遮光部2aを示す投影範囲データ3aを生成する。この投影範囲データ3aは、投影光分割遮光部2に供給される。これにより、投影光分割遮光部2は、投影範囲抽出データ72aにより光透過状態2a−2とされる光透過状態2a−2のみが、光透過状態2a−2に動作する。
【0111】
以上説明したように、第8実施形態として示した光投影装置によれば、各光遮光部2aが光透過状態2a−2とされた状態で、どの位置に透過光1bが投影されるかが不明であっても、変換テーブル生成部71によって、変換テーブル71aを作成できる。これにより、光投影装置は、透過光1bの投影位置と光遮光部2aとの対応関係を自動的に取得できる。
【0112】
これにより、光投影装置によれば、自動的に投影範囲分別部46により光投影エリア1Bを抽出すれば、投影範囲抽出部72によって、どの光遮光部2aを光透過状態2a−2とすれば当該光投影エリア1Bに対してのみ透過光1bを投影できるかを抽出できる。したがって、この光投影装置によれば、被照射体10に対応した投影範囲の自動抽出を実現できる。
【0113】
また、光投影装置によれば、さらに、所定時間ごとに透過光1bを投影する非光投影範囲1Cの自動抽出処理を更新することにより、 被照射体10の移動や変形など時間経過による変化に対応して光遮光部2aの投影範囲を追従させることができる。すなわち、光投影装置は、上述した構成において、投影範囲分別部46が、被照射体10の移動又は変形を含む時間経過に伴う変化を検出し、当該投影範囲分別部46により検出された被照射体10の変化に応答して、投影範囲抽出部72が、光遮光部2aの投影範囲を変化させ、投影範囲設定部3が、投影範囲抽出部72により変化された光遮光部2aの投影範囲により透過光1bを投影させる。このとき、光投影装置は、投影範囲抽出設定部45の設定条件により、投影光分割遮光部2の透過光1bが被照射体10を覆うように光遮光部2aの投影範囲を制御することもできる。
【0114】
[その他の実施形態]
つぎに、投影光分割遮光部2における他の構成について説明する。なお、この投影光分割遮光部2は、上述した全ての実施形態に適用できるものである。
【0115】
例えば図19(a)に示すように、平面パネル100に描かれた一部の文字「ABCパネル」の部分に透過光1bを投影する場合を考える。また、文字「ABCパネル」を含む領域を光投影エリア1Bとし、当該光投影エリア1Bを8つの分割領域a〜hを組み合わせて構成するとする。
【0116】
このような場面において、投影光分割遮光部2は、図19(b)に示すように、少なくとも、2−a〜2−hのフィルム群を含んで構成される。これらフィルム群2−a〜2−hは、各フィルムにそれぞれ位置が異なる透過領域a〜hが形成されている。また、フィルム群は、透過領域a〜h以外は遮光領域となっている。投影光分割遮光部2は、フィルム群a〜hを重ね合わせて光投影部1の投影光1aの出射方向に配置する。これにより、投影光分割遮光部2は、図19(a)に示す分割領域a〜hのみに透過光1bを透過できる。
【0117】
ここで、投影光分割遮光部2を構成するフィルムは、8枚に限らず、更に他の部分が透過領域になっている更に多数のフィルムを備えていても良い。透過領域の位置に応じて、ユーザが投影光分割遮光部2を構成するフィルムを選択することにより、投影光分割遮光部2は、様々な形状の光投影エリア1Bを形成できる。
【0118】
これにより、投影光分割遮光部2は、図5に示した構成に限らず、このような構成であっても、ユーザが所望する又は自動的に抽出された領域を光投影エリア1Bに設定して、透過光1bを投影することができる。
【0119】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0120】
1 光投影部
1A 投影可能範囲
1B 光投影範囲
1C 非光投影範囲
1a 投影光
1b 透過光
2 投影光分割遮光部
2−a〜2−h フィルム群
2a 光遮光部
2a−1 光遮蔽状態
2a−2 光透過状態
2b 回転支持機構
3 投影範囲設定部
10A,10B 被照射体
20 制御装置
30 形状描画部
30b 液晶パネル
30c ペン
41 撮像部
42 撮像画像生成部
43 撮像画像格納部
44 撮像画像分割部
45 投影範囲抽出設定部
46 投影範囲分別部
47 投影範囲補正部
48 投影範囲調整部
51 駆動部
61 タイムライン設定部
62 データ格納部
63 音声生成部
64 通信部
65 サーバ
71 変換テーブル生成部
72 投影範囲抽出部
73 表示モニタ
100 平面パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の空間及び当該空間内に設置された被照射体に光を投影する光投影装置であって、
光を投影する光投影手段と、
前記光投影手段から投影された投影光を分割する分割領域を複数有し、各分割領域により投影光を遮光又は通過させる投影光分割遮光手段と、
前記投影光分割遮光手段により投影光を通過させる投影範囲と、前記投影光分割遮光手段により投影光を遮光させる非投影範囲とを設定する投影範囲設定手段と
を備えたことを特徴とする光投影装置。
【請求項2】
ユーザの操作に従って任意の形状が描画され、当該描画された形状に基づく形状データを生成する形状描画手段を更に備え、
前記投影範囲設定手段は、前記形状描画手段により生成された形状データに基づく形状を前記投影範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の光投影装置。
【請求項3】
前記形状描画手段は、ユーザの操作に従った描画軌跡データを生成し、当該描画軌跡データを前記投影範囲設定手段にリアルタイムに出力し、
前記投影範囲設定手段は、前記出力された描画軌跡データに基づいて前記投影範囲を設定して、前記光投影手段から前記投影光分割遮光手段を介してリアルタイムに投影光を投影させることを特徴とする請求項2に記載の光投影装置。
【請求項4】
前記投影範囲設定手段により設定された投影範囲の位置又は形状の少なくとも一方を調整する投影範囲調整手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の光投影装置。
【請求項5】
前記投影光分割遮光手段を振動させる駆動手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の光投影装置。
【請求項6】
前記光投影手段と前記投影光分割遮光手段とを複数備え、
各光投影手段により被照射体を投影することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の光投影装置。
【請求項7】
前記投影範囲設定手段により設定された投影範囲データを格納するデータ格納手段と、
前記記憶手段に記憶された投影範囲データの更新順序を時間軸上で設定するタイムライン設定手段とを備え、
前記投影範囲設定手段は、前記タイムライン設定手段により設定された時間軸上に設定された投影範囲データを前記データ格納手段から読み出して、前記投影範囲及び前記非投影範囲を更新すること
を特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の光投影装置。
【請求項8】
前記データ格納手段は、任意の音楽データを記憶し、
前記タイムライン設定手段は、前記音楽データの更新順序を前記時間軸上で設定し、
前記タイムライン設定手段により設定された時間軸上に設定された音楽データを前記データ格納手段から読み出して、前記音楽を更新する音声生成手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の光投影装置。
【請求項9】
前記投影範囲設定手段により設定された投影範囲データ又は音楽データを格納するサーバと通信を行う通信手段を備え、
前記タイムライン設定手段は、前記サーバから受信された投影範囲データ又は音楽データを時間軸上に設定することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の光投影装置。
【請求項10】
前記光投影手段の投影可能範囲を含む空間を撮像範囲とする撮影手段と、
前記撮像手段により撮像された画像データを生成する撮像画像生成手段と、
前記撮像画像生成手段により生成された撮像画像における画像位置と、前記投影光分割遮光手段における各分割領域との対応関係を記述した変換テーブルを生成する変換テーブル生成手段と、
投影光が投影される投影範囲を抽出する条件を設定する投影範囲抽出設定手段と、
前記投影範囲抽出設定手段により設定された条件に従って前記撮像画像格納手段で格納された撮像画像データを解析して、投影部分と非投影部分とを分別する投影範囲分別手段と、
前記変換テーブル生成手段で生成された変換テーブルを参照して、前記投影範囲分別手段によって投影範囲に分別された撮像画像データの画素位置を、前記各分割領域に変換する投影範囲抽出手段とを備え、
前記投影範囲設定手段は、前記投影範囲抽出手段により変換された分割領域により投影光を投影させること
を特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の光投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−170296(P2011−170296A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36605(P2010−36605)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】