説明

光拡散シート、光拡散シートの製造方法、および発光装置

【課題】 高い光拡散性及び高い光透過性を有する光拡散シートを提供することにある。
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂が含有され、密度が30〜100kg/m3 であり、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上であることを特徴とする光拡散シートを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散シート、光拡散シートの製造方法、および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の光拡散シートは、例えば、照明カバーやディスプレイの光拡散板等として用いられている。
【0003】
斯かる光拡散シートとしては、例えば、棒状の気泡が分散しており、その棒状の気泡の軸方向がシート面と平行に且つ一方向に向けられている異方性拡散シート(例えば、特許文献1)や、基材として樹脂を用い、発泡倍率が1.5以下であって平均粒子径が0.5〜50μmの気泡を含み、全光線透過率が40〜80%、平行線透過率が6.5%以下である光拡散板(例えば、特許文献2)などが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−079522号公報
【特許文献2】特開2006−276838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光拡散シートは、例えば、室内照明器具のカバーとして用いられる場合には、室内全体に光を照射すべく高い光拡散性が求められ、更に、エネルギー効率の観点から光源からの光をできる限り室内に照射し得るように高い光透過性が求められている。
【0006】
しかしながら、従来の光拡散シートでは、より一層高い光拡散性を有し且つより一層高い光透過性を有するものが求められている昨今に於いては、斯かる要望を十分には満足することができない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、高い光拡散性及び高い光透過性を有する光拡散シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂が含有され、密度が30〜100kg/m3 であり、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上であることを特徴とする光拡散シートにある。
【0009】
また、本発明は、ポリプロピレン系樹脂を用い、密度が30〜100kg/m3 であり、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上となるように光拡散シートを製造することを特徴とする光拡散シートの製造方法にある。
【0010】
さらに、本発明は、前記光拡散シート及び光源を備えてなる発光装置にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い光拡散性及び高い光透過性を有する光拡散シート及び発光装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る円環ダイの断面略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
本発明の光拡散シートは、密度が、30〜100kg/m3 であり、好ましくは30〜90kg/m3 、より好ましくは35〜80kg/m3 である。
本発明の光拡散シートは、密度が30kg/m3 以上であることにより、製造がしやすいという利点を有する。
また、本発明の光拡散シートは、密度が100kg/m3 以下であることにより、軽量なものとなりかつ柔軟性が高いものとなるという利点を有する。また、本発明の光拡散シートは、軽量なものとなりかつ柔軟性が高いものとなることにより、種々の光源に対して設置が容易になるという利点がある。
【0015】
さらに、本発明の光拡散シートは、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上である。本発明の光拡散シートは、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上であることにより、高い光拡散性及び高い光透過性を有するという利点がある。
尚、前記シートの面とは、厚さ方向と垂直の面のことを意味し、また、光源から光が照射される面のことを意味する。
また、本発明の光拡散シートは、好ましくは、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が2×106 〜2×107 個である。本発明の光拡散シートは、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が2×106 個以上であることにより、本発明の光拡散シートが発光装置に取り付けられた際に発光装置からの照度がより均一になるという利点がある。また、本発明の光拡散シートは、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が2×107 個以下であることにより、発光装置からの照度の低下を抑えることができるという利点がある。
【0016】
尚、「シートの面1cm2 当たりの気泡個数」は、実施例に記載の方法で求めることができる。
【0017】
さらに、本発明の光拡散シートは、ライトボックスに取り付けた際に2次元色彩輝度計による平均輝度の測定値が、好ましくは1300cd/m2 以上、より好ましくは1500cd/m2 以上である。本発明の光拡散シートは、ライトボックスに取り付けた際に2次元色彩輝度計による平均輝度の測定値が1300cd/m2 以上であることにより、必要な照度を確保することができる。
尚、「ライトボックスに取り付けた際に2次元色彩輝度計による平均輝度」は、実施例に記載の方法で求めることができる。
【0018】
また、本発明の光拡散シートは、全光線透過率が、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上である。本発明の光拡散シートは、全光線透過率が20%以上であることにより、本発明の光拡散シートが発光装置に取り付けられた際に発光装置からの照度がより一層高くなるという利点がある。
【0019】
さらに、本発明の光拡散シートは、好ましくは、シート表面の少なくとも片面において気泡の断面が露出しており、さらに好ましくは、シート表面の両面において気泡の断面が露出している。本発明の光拡散シートは、シート表面の少なくとも片面において気泡の断面が露出していることにより、本発明の光拡散シートが発光装置に取り付けられた際に、光源からシート表面に照射された光が反射されてしまうのを抑制することができるため、照度がより一層高くなるという利点があり、また、効率良く光を拡散させ得るという利点もある。
尚、該シート表面は、厚さ方向と垂直の面の表面を意味する。
【0020】
また、本発明の光拡散シートは、厚さが、好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。本発明の光拡散シートは、厚さが0.3mm以上であることにより、光拡散性が高いという利点があり、更に、シート自体の強度が高いという利点もある。また、本発明の光拡散シートは、厚さが1.5mm以下であることにより、全光線透過率及び光透過性が高いという利点がある。
【0021】
さらに、本発明の光拡散シートは、ポリプロピレン系樹脂を含有してなる。
前記ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレートが、好ましくは0.2〜5g/10minであり、より好ましくは0.2〜4g/10minであり、さらにより好ましくは0.3〜3.5g/10minである。前記ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレートが0.2g/10min以上であることにより、光拡散シートを作製する過程において、押出機への負荷が抑制されて生産性が向上するという利点や、発泡剤が含有された際にポリプロピレン系樹脂組成物が金型内を円滑に流れやすくなり得られる発泡体の品質が向上し得るという利点がある。また、前記ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレートが5g/10min以下であることにより、光拡散シートを作製する過程で、金型での圧力保持がしやすくなり、発泡性が増加し、得られる発泡体の密度が高くなりすぎることが抑制されるという利点がある。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、具体的には、ホモプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。
プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体又はブロック共重合体の何れでもあってもよいが、耐熱性に優れていることから、ブロック共重合体が好ましい。
プロピレンと共重合する他のオレフィンとしては、例えば、エチレンの他に、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数が4〜10であるα−オレフィンが挙げられる。
これらの内、発泡性や耐熱性が優れるホモポリプロピレンや、ブロック共重合体ポリプロピレンが好ましく、さらに耐熱性に優れるホモポリプロピレンがより好ましい。
また、本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂としては、発泡性が優れることから、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。前記高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としては、電子線架橋などにより分子構造中に自由末端長鎖分岐を有している高溶融張力ポリプロピレン(HMS−PP)や、高分子量成分を含むことで溶融張力を上げたもの等がある。この高溶融張力ポリプロピレンとしては、市販品を使用でき、市販品の具体例としては、日本ポリプロ社製の商品名ニューストレンSH9000や、Borealis社製の商品名「DaployWB135HMS」等が挙げられる。
前記ポリプロピレン系樹脂は、一種単独のものであってもよく、2種以上適宜組み合わされ混合されたものであってもよい。
前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単量体単位を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上含んでなる。
【0022】
また、本発明の光拡散シートは、好ましくは、熱可塑性エラストマーを含有してなる。
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン単量体単位を、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらにより好ましくは40質量%以下含んでなる。
本発明では、前記熱可塑性エラストマーとしては、基材樹脂となるポリプロピレン系樹脂との相溶性が優れるという観点から、特にポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0023】
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーとの重合を多段階で行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや2軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマー;バンバリーミキサーや2軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させる際に架橋剤を加えることによって、ポリオレフィン系樹脂マトリックス中にゴムを完全架橋又は部分架橋させミクロ分散させて得られる、動的架橋されたエラストマー等が挙げられる。
本発明では、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、製造された製品たる光拡散シートのリサイクルがしやすいという観点から、ハードセグメントと、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造された非架橋エラストマーが好ましい。
【0024】
前記非架橋エラストマーは、1種単独であっても、或いは2種以上混合したものであってもよい。
本発明では、前記非架橋エラストマーとポリプロピレン系樹脂とを混練したものを押出発泡することにより、ポリプロピレン系樹脂単独で押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が容易となるという利点があり、更には、非架橋エラストマーに比べて、架橋ゴムによる発泡不良等の虞が抑制されるという利点もある。
【0025】
本発明の光拡散シートは、上記の如く構成されてなるが、次ぎに、本発明の光拡散シートを製造する、本発明の光拡散シートの製造方法について説明する。
【0026】
本発明の光拡散シートの製造方法は、ポリプロピレン系樹脂を用い、密度が30〜100kg/m3 であり、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上となるように光拡散シートを製造する。
【0027】
以下に、本実施形態の光拡散シートの製造方法について説明する。
【0028】
本実施形態の光拡散シートの製造方法は、前記ポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エラストマーとからなる熱可塑性樹脂組成物と、気泡核剤とを押出機にて溶融混練して気泡核剤含有樹脂組成物を得る。
【0029】
前記押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機等が挙げられる。本実施形態に於いては、押出条件の調整がしやすいという観点から、タンデム型押出機が好適に用いられる。
【0030】
前記気泡核剤は、樹脂組成物を発泡させる際に、気泡核の生成を促すものであり、気泡の微細化と均一性に効果を示すものである。
前記気泡核剤としては、例えば、無機化合物、有機化合物、不活性ガス等が挙げられる。前記無機化合物としては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズ等が挙げられる。前記有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムとクエン酸との混合物等が挙げられる。前記不活性ガスとしては、窒素等が挙げられる。前記気泡核剤の中で、無機化合物としてはタルクが好ましく、有機化合物としてはポリテトラフロオロエチレンが好ましい。尚、気泡核剤としては、1種単独のものを用いても、2種以上混合されたものを用いてもよい。
前記気泡核剤の量としては、気泡核剤を混入する前の前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜8重量部である。
本実施形態の光拡散シートの製造方法において、前記気泡核剤は、そのものの形態で熱可塑性樹脂組成物と混合してもよく、また、マスターバッチに含有された形態で熱可塑性樹脂組成物と混合してもよい。
また、本実施形態の光拡散シートの製造方法において、前記気泡核剤を前記熱可塑性樹脂組成物とともに混合してから押出機に供給してもよく、また、前記気泡核剤と前記熱可塑性樹脂組成物とを混合せずに押出機に供給してもよい。
前記マスターバッチの基材樹脂としては、熱可塑性樹脂組成物に対する相溶性がよいものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を好適に使用することができる。
【0031】
本実施形態の光拡散シートの製造方法は、任意成分として、発泡成形に通常用いられる各種添加剤を用いても良い。
前記添加剤としては、例えば、耐候性安定剤、光安定剤、顔料、染料、難燃剤、結晶核剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの内、界面活性剤は、すべり性及びアンチブロッキング性を向上させるものである。また、分散剤は、無機充填剤の分散性を向上させるものである。該分散剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
前記添加剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、適宜設定することができ、例えば、通常の熱可塑性樹脂の発泡成形に用いられる添加量を採用することができる。
前記添加剤は、取り扱いが容易になるという観点や、添加剤が粉末状の場合に粉末飛散によって製造環境汚染が生じてしまう虞を抑制することができるという観点から、マスターバッチに含有された状態で用いることが好ましい。
【0032】
また、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、気泡核剤含有樹脂組成物と発泡剤とを押出機で混合混練して発泡剤含有樹脂組成物を得、押出発泡法を用いて押出機と該押出機に取り付ける金型により該発泡剤含有樹脂組成物を発泡させて発泡体を得る。
【0033】
本実施形態では、前記発泡剤として、二酸化炭素が好適に用いる。
また、本実施形態では、他の発泡剤を用いる場合よりも発泡体の気泡を微細に形成することができるという観点から、前記二酸化炭素として、超臨界状態の二酸化炭素、亜臨界状態の二酸化炭素、又は液化された二酸化炭素を好適に用いる。
本実施形態では、形成しようとする発泡体の密度(即ち、形成しようとする光拡散シートの密度)に応じて前記発泡剤の量を適宜調整する。
前記発泡剤の量は、好ましくは、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜12重量部、より好ましくは2〜10重量部、さらにより好ましくは3〜8重量部である。本実施形態は、前記発泡剤の量が前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して1重量部以上であることにより、発泡体の密度を低く抑えることができ、形成される光拡散シートの軽量性や柔軟性が向上するという利点がある。また、本実施形態は、前記発泡剤の量が前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して12重量部以下であることにより、金型内で発泡が生じてしまうこと、破泡が生じてしまうこと、或いは、発泡体に大きな空隙が生じてしまうことが抑制されるという利点がある。
【0034】
前記金型としては、図1に示されるような円環ダイ、即ち、樹脂流路の絞りにより形成された気泡生成部2と、生成した気泡の成長及び発泡体表面の平滑化を行う発泡体成形部1とを有している円環ダイが好適に用いられる。本実施形態では、前記金型として該円環ダイを用いることにより、発泡体成形部1における適度なすべり抵抗によって気泡生成部2でのコルゲートの発生を抑制することができ、表面が平滑である発泡体を得ることができる。
前記気泡生成部2とは、円環ダイアウト側金型5と円環ダイイン側金型4とで形成される樹脂流路(発泡剤含有樹脂組成物流路部3)が狭まり、前記発泡体成形部1に続く手間の流路間隔が最も小さくなった部分のことを言う。
また、発泡体成形部1の金型表面は、高温の樹脂が付着することを防止し、適度なすべり抵抗を持たせるために、ブラスト処理をした後メッキ処理された梨地状とすることが好ましい。梨地の表面粗度(Ra)は、好ましくは0.4a〜3.2a、より好ましくは0.5a〜2.0aである。
尚、前記コルゲートとは、円環ダイから出た発泡体が堆積膨張による円周方向の線膨張分を吸収するために波打ちしてできる、多数の山谷状のヒダのことである。
【0035】
本実施形態の光拡散シートの製造方法では、押出発泡する際、気泡生成部2での樹脂の吐出速度Vは、好ましくは50〜300kg/(cm2 ・hr)、より好ましくは70〜250kg/(cm2 ・hr)、さらにより好ましくは100〜200kg/(cm2 ・hr)である。また、本実施形態の光拡散シートの製造方法では、押出発泡する際、円環ダイ直前での樹脂圧力が、好ましくは7MPa以上、より好ましくは8〜30MPaである。本実施形態の光拡散シートの製造方法では、これらの条件による押出発泡により、発泡剤含有樹脂組成物の発泡性を向上させることができるという利点があり、更には、得られる発泡体の気泡を微細化させることができるとともに該気泡の膜の強度がより高まるという利点もある。本実施形態では、これらの条件により、得られる発泡体を加工する際の加工性が向上し、例えば、気泡断面を露出させるためのスライス加工が容易に実施することができるという利点がある。
【0036】
また、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、前記吐出速度Vが50kg/(cm2 ・hr)以上であることにより、気泡の微細化が容易となるという利点があり、また、発泡体の密度を低くすることも容易となるという利点もある。
また、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、前記吐出速度Vが300kg/(cm2 ・hr)以下であることにより、金型の気泡生成部2で樹脂が発熱して気泡破れが生じる虞を抑制することができ、発泡体の密度を低くすることができるという利点があり、また、皺状のコルゲートが発生し難くなり気泡径が均一となり発泡体の表面の平滑性が高まるという利点もある。
前記吐出速度Vは、円環ダイの気泡生成部2の断面積、押出吐出量により適宜調整される。
本実施形態の光拡散シートの製造方法では、前記気泡生成部2の断面積を調整する方法として、金型の気泡生成部2の長さ(フラット金型の場合)や口径(円環ダイの場合)を変える方法と、金型の気泡生成部2の間隔(フラット金型又は円環ダイの場合)を変える方法が挙げられる。
【0037】
さらに、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、円環ダイ直前での樹脂圧力が7MPa以上であることにより、円環ダイの気泡生成部2より手前部分で気泡が生成し始めてしまうことを抑制することができ、良好な発泡体を得ることができるという利点がある。また、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、円環ダイ直前での樹脂圧力が30MPa以下であることにより、押出機での負荷を抑制することができるという利点があり、また、発泡剤を注入する際の圧力が高くなりすぎて発泡剤が圧入し難くなる虞を抑制することができるという利点もある。
前記円環ダイ直前での樹脂圧力は、溶融樹脂粘度、押出吐出量、及び円環ダイの気泡生成部2の断面積によって適宜調整される。
前記溶融樹脂粘度は、押出機内の樹脂組成物の粘度、発泡剤の添加量、及び溶融樹脂温度によって適宜調整される。
尚、本明細書での溶融樹脂温度とは、円環ダイ直前での樹脂圧力を測定する直管金型において、溶融樹脂に直接接触させる形で取り付けられた熱電対にて測定された温度を意味する。
前記溶融樹脂温度は、概ね本実施形態で用いるポリプロピレン系樹脂の融点より10℃〜20℃高い範囲とすることが、発泡性を高めるという観点から好ましい。本実施形態の光拡散シートの製造方法は、溶融樹脂温度が10℃以上であることにより、ポリプロピレンの結晶化が生じ難くなり、粘度上昇が緩やかとなり押出条件が安定しやすくなって、押出機の負荷を抑制することができるという利点がある。また、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、溶融樹脂温度が20℃以下であることにより、発泡後の樹脂の固化のスピードが発泡スピードに追いつかずに破泡が生じてしまう虞が抑制され、発泡体の密度を低くすることができるという利点がある。
【0038】
また、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、前記発泡体をカッター等で切開し、発泡シートを得、該発泡シートの表皮をスライス加工によって除去して、スライス発泡シートを得る。
本実施形態の光拡散シートの製造方法は、発泡シートの表皮をスライス加工によって除去することにより、シートの気泡断面を露出させることができる。
該スライス加工で用いるスライス加工機としては、刃物が回転するタイプのものなどの公知のものを使用できる。
【0039】
本実施形態の光拡散シートの製造方法は、前記スライス発泡シート1枚を光拡散シートとしてもよく、スライス発泡シート複数枚重ねたものを光拡散シートとしてもよい。
本実施形態の光拡散シートの製造方法は、スライス発泡シートを複数枚重ねる場合、光透過性を高めるという観点から、枚数を4枚以下とすることが好ましい。
【0040】
次に、本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、本発明の光拡散シート及び光源を備えてなる発光装置である。
前記光源としては、例えば、LED、蛍光灯、電球等が挙げられる。
【0041】
尚、本発明の光拡散シート、本実施形態の光拡散シートの製造方法、及び本発明の発光装置は、上記構成により、上記利点を有するものであったが、本発明の光拡散シート及び光拡散シートの製造方法は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【0042】
例えば、本実施形態の光拡散シートの製造方法は、気泡核剤含有樹脂組成物を用いるが、本発明の光拡散シートの製造方法は、気泡核剤を用いない態様であってもよく、その場合には、熱可塑性樹脂組成物と発泡剤とを混合混練して発泡剤含有樹脂組成物を得てもよい。
【実施例】
【0043】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0044】
(実施例1)
まず、口径が65mmの第一押出機の先端に、口径が75mmの第二押出機を接続してなるタンデム押出機を用意した。
次に、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、ニューストレンSH9000 MFR(メルトフローレイト):0.3g/10min)60重量%及び熱可塑性エラストマー(三菱化学社製 サーモランZ101N MFR:14g/min)40重量%からなる熱可塑性樹脂組成物(樹脂組成物密度:892kg/m3 )100重量部と、平均粒子径12μmのタルクが気泡核剤として70重量%含有されたマスターバッチ(日本タルク社製 タルペット70P)10重量部とを第一押出機に供給して溶融混練して気泡核剤含有樹脂組成物を得た。
そして、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、発泡剤としての超臨界状態の二酸化炭素を4.2重量部第一押出機に圧入し、溶融状態の気泡核剤含有樹脂組成物と発泡剤とを均一に混合混練して発泡剤含有樹脂組成物を得た。
次に、第二押出機の先端に取り付けた金型の円環ダイ(金型の気泡生成部の口径φ:35mm、金型の気泡生成部の間隔:0.25mm、発泡体成形部の出口部分の口径φ:70mm)から、吐出量30kg/hr(吐出速度V=109kg/c(m2 ・hr))、樹脂温度175℃、円環ダイ直前での樹脂圧力9.8MPaの条件下で前記発泡剤含有樹脂組成物を押出発泡させて、円環ダイの発泡体成形部において円筒上の発泡体を成形した。
そして、該発泡体を冷却されているマンドレル上に添わせるとともに該発泡体の外面部分にエアリングからのエアーを吹き付けることにより、該発泡体を冷却成形した。
次に、マンドレル上の一点でカッターにより該冷却された円筒状の発泡体を切開することにより、発泡シートを得た。
次に、得られた発泡シートをスプリッティングマシン(フォーチュナー社製「AB−320D」)によりスライス加工することにより両面の表皮部分を除去して、厚さ1.0mmの両面に気泡断面が露出したスライス発泡シートを得た。
そして、光拡散シートとして該スライス発泡シートを後述する各種試験(密度、全光線透過率、ヘイズ値、平均気泡径、シートの厚さ、メルトフローレート、平均輝度(B)、および光源間輝度高低差(ΔB))に供した。
尚、平均輝度(B)および光源間輝度高低差(ΔB)は、発泡体の成形の際の押出方向と、ライトボックスの蛍光灯の長手方向とが平行となるように、光拡散シートをライトボックスに設置して測定した。
【0045】
(実施例2)
スライス発泡シートは、実施例1と同様に作製した。
発泡体の成形の際の押出方向と、ライトボックスの蛍光灯の長手方向とが垂直となるように、光拡散シートとしてのスライス発泡シートをライトボックスに設置して、平均輝度(B)および光源間輝度高低差(ΔB)を測定したこと以外は、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0046】
(実施例3)
前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対する前記マスターバッチの量を8重量部としたこと、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対する二酸化炭素の量を4.3重量部としたこと、押出発泡の際の樹脂温度を174℃、円環ダイ直前の樹脂圧力を11.6MPaとしたこと、スライス発泡シートの厚さを0.5mmに作製したこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0047】
(実施例4)
前記マスターバッチの代わりに気泡核剤としてポリテトラフルオロエチレンを用い、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対する前記ポリテトラフルオロエチレンの量を1重量部としたこと、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対する二酸化炭素の量を4.6重量部としたこと、押出発泡の際の樹脂温度を176℃、円環ダイ直前の樹脂圧力を10.8MPaとしたこと、スライス発泡シートの厚さを0.5mmに作製したこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0048】
(実施例5)
実施例1で得られた発泡シートをスプリッティングマシンによりスライス加工することにより片面の表皮部分を除去して、厚さ0.5mmの片面に気泡断面が露出したスライス発泡シートを得たこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0049】
(実施例6)
実施例5の光拡散シートを気泡断面が露出していない表皮がある面を光源側となるように設置したこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0050】
(実施例7)
熱可塑性樹脂組成物として、ポリプロピレン系樹脂(E111G、プライムポリマー社製)(MFR:0.5g/10min)50重量%と、ポリプロピレン系樹脂(PL500A、サンアロマー社製)(MFR:3.5g/10min)10重量%と、熱可塑性エラストマー(R110E、プライムポリマー社製)(MFR:1.5g/10min)40重量%とを配合したものを用いたこと、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対する二酸化炭素の量を4.3重量部としたこと、押出発泡の際の樹脂温度を178℃、円環ダイ直前の樹脂圧力を11.1MPaとしたこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0051】
(実施例8)
実施例1で得られた発泡シートをスプリッティングマシンによりスライス加工することにより片面の表皮部分を除去して、厚さ0.5mmの片面に気泡断面が露出したスライス発泡シートを3枚得、発泡体の成形の際の押出方向が同じ方向となるようにスライス発泡シート3枚を重ね合わせて1.5mmの光拡散シートとし、発泡体の成形の際の押出方向と、ライトボックスの蛍光灯の長手方向とが垂直となるように、光拡散シートをライトボックスに設置して、平均輝度(B)および光源間輝度高低差(ΔB)を測定したこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0052】
(比較例1)
前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対する前記マスターバッチの量を2重量部としたこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0053】
(比較例2)
発泡シートとして、積水化成品工業社製PP発泡シート(製品名:ネオフラットボードNF5−120−200B)を用いたこと、該発泡シートをスプリッティングマシンによりスライス加工することにより両面の表皮部分を除去して、厚さ1.5mmの両面に気泡断面が露出したスライス発泡シートを得たこと以外は、実施例1と同様に光拡散シートを作製し、また、実施例1と同様に各種試験を実施した。
【0054】
実施例及び比較例の発泡シート及び光拡散シートを以下の試験に供した。
【0055】
(密度)
密度は、JIS K 7222−1999記載の方法に準拠して測定した。
具体的には、発泡シートから10cm3 以上(半硬質及び軟硬質材料の場合は100cm3 以上)の試験片を、試料の元のセル構造を変えないように切断し、その質量を測定し、次式により密度を算出した。
密度(kg/m3 )=試験片質量(g)/試験片体積(cm3 )×103
【0056】
(全光線透過率、及びヘイズ値)
全光線透過率及びヘイズ値は、JIS K 7361記載の方法に準拠して測定した。
具体的には、発泡シートから50×50mmの試験片を3点切り出し、ヘーズメーター(HM−150型、村上色彩技術研究所社製)に試験片を供し、全光線透過率及びヘイズ値を測定した。試験片3点の光線透過率及びヘイズ値の測定値を平均したものを、発泡シートの光線透過率及びヘイズ値とした。
【0057】
(平均気泡径)
平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定した。
具体的には、発泡シートをMD方向(押出方向)及びTD方向(押出方向に直行する方向)に沿って切断し、それぞれの切断面の中央部を走査型電子顕微鏡(S−3000N、日立製作所社製)で拡大して撮影した。
次に、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、画像上に長さ60mmの直線を1本描いた。なお、MD方向に切断した切断面については、MD方向に平行に直線を描き、TD方向に切断した切断面については、TD方向に平行に直線を描いた。
なお、直線上に気泡が10〜20個存在するように、上記電子顕微鏡での拡大倍率を調整した。
上記直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出し、この平均弦長(t)を各方向(MD方向、TD方向)の平均気泡径とした。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにする。また、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、さらに、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。
そして、下記式のように、得られたMD方向の気泡径(DMD)とTD方向の気泡径(DTD)との相加平均値を発泡シートの平均気泡径とした。
平均気泡径=(DMD+DTD)/2
【0058】
(気泡密度)
気泡密度(個/cm3 )は、前記平均気泡径(C:mm)と、JIS K7112−1999に基づき熱可塑性樹脂組成物を非発泡な状態で測定したときの密度(ρ:kg/m3 )と、JIS K7222−1999に基づき測定される発泡シートの見かけ密度(D:kg/m3)とから下記式により計算することが求めた。
気泡密度(個/cm3 )=(ρ/D−1)/{(4/3)×π×(C/10/2)3
【0059】
(スライス発泡シート及び光拡散シートの厚さ)
スライス発泡シート及び光拡散シートの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージにて測定した。
具体的には、スライス発泡シートのMD方向10m毎(10m未満の場合は両端2カ所)でシートのTD方向にシート幅を12等分した点においてシックネスゲージを用いて測定した厚みの平均値をスライス発泡シートの厚みとした。また、積層したスライスシートの厚みの合計(光拡散シートが積層していないものの場合は、スライス発泡シート自体の厚み)を、光拡散シートの厚みとした。
【0060】
(シートの面1cm2 当たりの気泡数)
光拡散シートに関して、シートの面1cm2 当たりの気泡数(個)は、気泡密度(個数/cm3 )と光拡散シートの厚さ(cm)とから算出した。
シートの面1cm2 当たりの気泡数(個)=気泡密度(個数/cm3 )×厚さ(cm)
【0061】
(ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート)
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、JIS K7210:1999のB法に準拠して、試験温度230℃、試験荷重21.18Nにて測定した。
尚、ポリプロピレン系樹脂を一種単独で用いた場合には、その一種の樹脂のメルトフローレートを上記方法で測定したものが本発明のポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートを意味する。
また、ポリプロピレン系樹脂が二種以上混合したものを用いる場合には、それぞれ個々の種のメルトフローレートを上記測定方法で測定し、それぞれのメルトフローレートの値から以下のようにして算出したものを意味する。尚、ここで、ポリプロピレン系樹脂がn種類のポリプロピレン系樹脂の混合物であるとした場合、該混合物のメルトフローレートは、下記式によって算出される。
該混合物のメルトフローレート(g/10min)=(MFR1 C1×(MFR2 C2×・・・×(MFRn Cn
尚、ここで、ポリプロピレン系樹脂1のメルトフローレートをMFR1 、ポリプロピレン系樹脂2のメルトフローレートをMFR2 、・・・ポリプロピレン系樹脂nのメルトフローレートをMFRn とする共に、ポリプロピレン系樹脂1の含有割合をC1、ポリプロピレン系樹脂2の含有割合をC2、ポリプロピレン系樹脂nの含有割合をCnとする。また、ポリプロピレン系樹脂nの含有割合は、ポリプロピレン系樹脂nの重量をポリプロピレン系樹脂全体の重量で除したものとする。
【0062】
(平均輝度(B))
平均輝度(B)は、ライトボックス(NEW5000インバーター、富士フィルムイメージング社製)と、2次元色彩輝度計(CA2000、コニカミノルタ社製)を用いて下記の条件下で測定した。
まず、ライトボックス上面の乳白色光拡散板を取り外し平面上に設置し、2次元色彩輝度計のCCDカメラのレンズ位置をライトボックスの上面から50cm上部にセットした。尚、このとき、ライトボックスとCCDカメラの中心軸が一致するようにセットした。
そして、測定を開始する前にライトボックスを予め1時間程度点灯させておき、照度が安定してから光拡散シートをライトボックス上面(蛍光灯上部からの距離約20mm)に弛まないように固定して、2次元色彩輝度計にて、ライトボックスの発光面内の平均輝度を測定した。
【0063】
(光源間輝度高低差(ΔB))
上記平均輝度の測定と同時に、ライトボックス内の2本の蛍光灯管の光源間輝度高低差を測定した。すなわち、ライトボックス中央部、蛍光灯の長手方向に垂直な方向に発光面内を50分割して、4mm矩形面での輝度をスポットで測定し、2本の蛍光灯を縦断するところでの最高輝度と、蛍光灯間に生じる最低輝度との差を光源間輝度高低差とした。この光源間輝度高低差は、光拡散性能の指標として用いた。
【0064】
上記試験の結果を表2に示す。また、「厚さ」が同じ程度のもの同士を比較すべく、厚さが0.1cmのものを表3に、厚さが0.15cm程度のものを表4にまとめた。尚、表2〜4の総合評価は、表1の基準をもとにしたものである。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
表3に示すように、本発明の範囲内である実施例1、2は、厚さが同程度であるが、本発明の範囲内より、1cm2 当たりのシート内気泡数が小さく且つ密度が大きい比較例1に比して、平均輝度が高いこと、即ち、光透過性が高いことが示された。
また、表4に示すように、本発明の範囲内である実施例8は、厚さが同程度であるが1cm2 当たりのシート内気泡数が本発明の範囲内より小さい比較例2に比して、平均輝度が高く且つ光源間輝度高低差が低いこと、即ち、光透過性が高く且つ光拡散性が高いことが示された。
【符号の説明】
【0070】
1:発泡体成形部、2:気泡生成部、3:発泡剤含有樹脂組成物流路部、4:円環ダイイン側金型、5:円環ダイアウト側金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂が含有され、密度が30〜100kg/m3 であり、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上であることを特徴とする光拡散シート。
【請求項2】
ライトボックスに取り付けた際に、2次元色彩輝度計による平均輝度の測定値が1300cd/m2 以上である請求項1記載の光拡散シート。
【請求項3】
シート表面の少なくとも片面において気泡の断面が露出している請求項1又は2項に記載の光拡散シート。
【請求項4】
熱可塑性エラストマーが含有されてなる請求項1〜3の何れか1項に記載の光拡散シート。
【請求項5】
発泡剤として二酸化炭素を使用して作製されたものである請求項1〜4の何れか1項に記載の光拡散シート。
【請求項6】
ポリプロピレン系樹脂を用い、密度が30〜100kg/m3 であり、シートの面1cm2 当たりの気泡個数が1×106 個以上となるように光拡散シートを製造することを特徴とする光拡散シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の光拡散シート及び光源を備えてなる発光装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−75888(P2011−75888A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227954(P2009−227954)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】