説明

光接続ユニット

【課題】 外線側光ファイバと、前記他の光ファイバとが干渉するのを防ぐことができる光接続ユニットを提供する。
【解決手段】 外線側光ファイバ6を、コネクタ接続可能に成端された成端用光ファイバ8を介して、他の光ファイバ42と切替可能に接続する光接続ユニットであって、外線側光ファイバ6と成端用光ファイバ8との接続部を収納する接続部収納ユニット3と、成端用光ファイバ8が接続される光コネクタ32が複数配列された光コネクタ配列部4と、外線側光ファイバ6を案内する外線側光ファイバガイド体5とを備え、接続部収納ユニット3が、一方の側部に設けられた成端用光ファイバ導入部29と、他方の側部に設けられた外線側光ファイバ導入部30とを備え、外線側光ファイバガイド体5は、光接続ユニットの一方の側部から他方の側部に向けて、外線側光ファイバ6を案内することができるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの光ファイバを、他の光ファイバに切替可能に接続する光接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルを光接続ユニット内で切替可能にコネクタ接続するには、一般に、光ファイバケーブルを光接続ユニット内に引き込んで固定し、光ファイバケーブルの先端部に露出された光ファイバ(外線側光ファイバ)を、成端用光ファイバに融着接続する。
成端用光ファイバの先端に組み立てられた光コネクタプラグは、光接続ユニット内に配列された光コネクタアダプタに接続される。これにより、外線側光ファイバは、成端用光ファイバを介していずれかの光コネクタアダプタに対応付けられる。
外線側光ファイバに対して他の光ファイバ(例えば伝送装置等の局内装置と接続された光ファイバコード)を接続するには、前記他の光ファイバの先端に設けられた光コネクタプラグを前記光コネクタアダプタに接続する(例えば、特許文献1を参照)。
光接続ユニットでは、加入者の増減や機器の故障などの場合に、光ファイバの接続切替が必要となるため、光ファイバの配線には明瞭な識別性が不可欠である。
【特許文献1】特許第3173980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光接続ユニットでは、外線側光ファイバと前記他の光ファイバは、保守の都合上、異なる方向に配線される。一般には、外線側光ファイバと前記他の光ファイバが、それぞれ光接続ユニットの一側方向および他側方向に配線される。
このように、外線側光ファイバと前記他の光ファイバの配線方向が特定方向に限定される場合には、これらが干渉するのを回避し、これらを明確に識別することが必要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、外線側光ファイバと、前記他の光ファイバとが干渉するのを防ぐことができる光接続ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に係る光接続ユニットは、外線側光ファイバを、コネクタ接続可能に成端された成端用光ファイバを介して、他の光ファイバと切替可能に接続する光接続ユニットであって、前記外線側光ファイバと成端用光ファイバとの接続部を収納する接続部収納ユニットと、前記成端用光ファイバが接続される光コネクタが複数配列された光コネクタ配列部と、前記外線側光ファイバを案内する外線側光ファイバガイド体とを備え、前記接続部収納ユニットが、一方の側部に設けられた成端用光ファイバ導入部と、他方の側部に設けられた外線側光ファイバ導入部とを備え、前記外線側光ファイバガイド体は、前記光接続ユニットの一方の側部から他方の側部に向けて、外線側光ファイバを案内することができるようにされていることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る光接続ユニットは、請求項1において、前記外線側光ファイバガイド体は、外線側光ファイバが挿通する管状に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る光接続ユニットは、請求項2において、前記外線側光ファイバガイド体は、コルゲート管からなることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る光接続ユニットは、請求項1〜3のうちいずれか1項において、前記光コネクタ配列部は、前記他の光ファイバを前方から接続できるようにされ、前記外線側光ファイバガイド体は、外線側光ファイバを、接続部収納ユニットの後方を経由して案内することができるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の光接続ユニットは、一方の側部から他方の側部に向けて外線側光ファイバを案内する外線側光ファイバガイド体を備えているので、一方の側部から導入された外線側光ファイバを、接続部収納ユニットの他方の側部に設けられた外線側光ファイバ導入部に導くことができる。
このように、外線側光ファイバガイド体によって、外線側光ファイバの配線位置を規制することができるため、外線側光ファイバと、他方の側部に配線された他の光ファイバとが干渉するのを防ぐことができる。
また、外線側光ファイバが他方の側部から光接続ユニットに導入される場合においては、外線側光ファイバは、他方の側部から接続部収納ユニットにそのまま導入される。このため、外線側光ファイバと、一方の側部に配線された他の光ファイバとが干渉するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の光接続ユニットの一例を示す正面図である。図2は、図1に示す光接続ユニットの内部構造を示す平面図である。図3は、図1に示す光接続ユニットのA−A線に沿う断面を示す平面図である。図4は、図1に示す光接続ユニットにおいて、接続部収納トレイを引き出した状態を示す平面図である。図5は、図1に示す光接続ユニットのB−B線に沿う断面を示す側面図である。図6は、図1に示す光接続ユニットのA−A線に沿う断面を示す平面図である。
【0007】
図1〜図5に示すように、光接続ユニット1は、ラック2と、接続部収納ユニット3と、光コネクタ配列部4と、外線側光ファイバガイド管5(外線側光ファイバガイド体)とを備えている。以下、図2における下方を前方と呼び、上方を後方と呼ぶことがある。
ラック2は、底板11と、その両側縁11a、11bにそれぞれ設けられた側板12a、12bと、底板11の後縁11cに設けられた背板13と、側板12a、12bの間に架設された棚板14と、その上に形成された支持板15を備えている。
【0008】
図1に示すように、棚板14は、底板11とほぼ平行とされ、底板11の上方に、底板11から間隔をおいて設けられている。
図3に示すように、棚板14には、外線側光ファイバガイド管5が通過可能な切欠き14aが形成されている。切欠き14aは、棚板14の一方の側部(図3における右上部)に形成されている。
図1に示すように、棚板14と底板11との間の空間は、外線光ファイバケーブル側の光ファイバである外線側光ファイバ6および局内側光ファイバ42(他の光ファイバ)が配線される光ファイバ配線領域16である。
【0009】
図1に示すように、支持板15は、棚板14とほぼ平行とされ、棚板14の上方に、棚板14から間隔をおいて設けられている。
図2に示すように、支持板15には、成端用光ファイバ8が通過可能な切欠き15aが形成されている。切欠き15aは、支持板15の一方の側部(図2における右上部)に形成されている。
図1に示すように、支持板15と棚板14との間の空間は、接続部収納ユニット3を収納可能なユニット収納領域17である。
ラック2は、ステンレス板や鋼板などの板材からなるものが好適である。
【0010】
図4に示すように、接続部収納ユニット3は、枠体21と、枠体21内に出し入れ可能に収納される接続部収納トレイ22とを備えている。
接続部収納トレイ22は、トレイ本体23と、光ファイバガイド24〜27と、融着接続部保持部28と、成端用光ファイバ導入部29と、外線側光ファイバ導入部30とを備えている。
【0011】
融着接続部保持部28は、外線側光ファイバ6の先端から引き出された光ファイバ7と、成端用光ファイバ8から引き出された光ファイバ9との融着接続部40を収納するようになっている。
成端用光ファイバ導入部29は、接続部収納トレイ22の一方の側部(図4における右部)に形成されている。
外線側光ファイバ導入部30は、接続部収納トレイ22の他方の側部(図4における左部)に形成されている。
図3および図4に示すように、接続部収納トレイ22は、枠体21から前方に引き出すことができるようになっている。
接続部収納ユニット3は、複数の接続部収納トレイ22を枠体21内に上下に積層した構成が好ましい。
【0012】
図1に示すように、光コネクタ配列部4は、ラック2の前部に形成された枠状のフレーム31に複数の光コネクタアダプタ32が取り付けられたもので、支持板15上に設けられている。
図2および図5に示すように、光コネクタアダプタ32は、成端用光ファイバ8から引き出された光ファイバ41の先端に組み立てられた光コネクタプラグ33を、後方から接続することができるようになっている。
【0013】
光コネクタアダプタ32としては、光コネクタプラグ33と、局内側光ファイバ42の先端の光コネクタプラグ43とをコネクタ接続することが可能なものが採用される。
光コネクタアダプタ32は、光コネクタプラグ43を前方から接続できるようになっている。
光コネクタの具体例としては、例えば、JIS C 5973に規定されるSC形光コネクタ(Single fiber Coupling optical fiber connector)や、JIS C 5983に規定されるMU形光コネクタ(Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等、各種の光コネクタが挙げられる。
【0014】
光コネクタプラグ33を光コネクタアダプタ32に接続することによって、外線側光ファイバ6を、局内側光ファイバ42に対してコネクタ接続可能に成端できる。
局内側光ファイバ42は、伝送装置等の局内装置と接続された装置側光ファイバであり、例えば光ファイバコード、光ファイバ心線が使用できる。
【0015】
図1、図3〜図5に示すように、底板11上には、外線側光ファイバガイド管5が設けられている。
外線側光ファイバガイド管5は、外線側光ファイバ6を案内するためのもので、合成樹脂や金属などからなる管状体が使用できる。外線側光ファイバガイド管5の使用によって、外線側光ファイバ6の配線位置を正確に定めることができる。
外線側光ファイバガイド管5は、可撓性を有し、その方向を任意に設定できるものが好ましい。特に、軸方向に沿って所定の間隔またはピッチで配列された環状またはらせん状の凹凸を有するコルゲート管は、可撓性に優れ、しかも十分な強度を有するため好ましい。
【0016】
外線側光ファイバガイド管5の一端部5aは、ラック2の一方の側部(図1および図3における右側部)に配置される。図示例では、外線側光ファイバガイド管5の一端部5aは、底板11の一方の側縁11a近傍に配置されている。
外線側光ファイバガイド管5は、一端部5aから、他方の側板12b(図1および図3における左方)に向かって湾曲しつつ背板13に向かって延び、切欠き14aを通過して棚板14上に至り、接続部収納ユニット3の後方に達している。外線側光ファイバガイド管5の他端部5bは、背板13の幅方向(図1および図3における左右方向)の中央付近に位置している。
【0017】
光接続ユニット1では、以下に示す2とおりの配線が可能である。
(1)外線側光ファイバ6が、一方の側部(図3における右側部)から光接続ユニット1に導入される場合
図3に示すように、外線側光ファイバ6は、光接続ユニット1の一方の側部(図3における右側部)に配置された一端部5aから外線側光ファイバガイド管5に導入される。外線側光ファイバ6は、一端部5aから外線側光ファイバガイド管5内に送り込むようにして配線することができる。
外線側光ファイバ6は、接続部収納ユニット3の後方に位置する他端部5bを経て、他方の側部(図3における左側部)に向かって延び、接続部収納ユニット3の側方(図3における左方)に至り、接続部収納トレイ22の左部分に設けられた外線側光ファイバ導入部30から接続部収納トレイ22に導入される。
【0018】
図4に示すように、外線側光ファイバ6の先端から単心分離された光ファイバ7は、成端用光ファイバ8の一端側から単心分離された光ファイバ9と融着接続される。光ファイバ7と光ファイバ9の融着接続部40は、融着接続部保持部28に保持される。
なお、光ファイバ7と光ファイバ9は、融着以外の方法、例えばメカニカルスプライス接続によって接続してもよい。
光ファイバ7の余長は、光ファイバガイド24、25に沿って処理することができる。光ファイバ9の余長は、光ファイバガイド26、27に沿って処理することができる。
【0019】
図2および図5に示すように、成端用光ファイバ8の他端側からから単心分離された光ファイバ41は、光コネクタプラグ33を介して光コネクタ配列部4の光コネクタアダプタ32に接続される。
なお、外線側光ファイバ6と成端用光ファイバ8を、併せて光コネクタ付光ファイバと呼ぶことができる。
【0020】
図1および図2に示すように、光コネクタアダプタ32には、局内側光ファイバ42が切替可能に接続される。局内側光ファイバ42は、底板11上に配線され、光接続ユニット1の他方の側部(図2における左側部)から外部に導出される。図示例では、局内側光ファイバ42は、底板11と棚板14の間の空間である光ファイバ配線領域16を経て外部に導出されている。
【0021】
(2)外線側光ファイバ6が、他方の側部(図6における左側部)から光接続ユニット1に導入される場合
図6に示すように、外線側光ファイバ6は、光接続ユニット1の他方の側部(図6における左側部)から底板11上に導入され、光ファイバ配線領域16を経て棚板14上に至り、外線側光ファイバ導入部30から接続部収納トレイ22に導入される。
なお、符号18は、外線側光ファイバ6の余長部分である。
局内側光ファイバ42は、底板11上に配線され、光接続ユニット1の一方の側部(図6における右側部)から外部に導出される。図示例では、局内側光ファイバ42は、底板11と棚板14の間の空間である光ファイバ配線領域16を経て外部に導出されている。
【0022】
このように、光接続ユニット1では、2とおりの配線が可能であり、いずれの場合においても、外線側光ファイバ6と局内側光ファイバ42とが左右に区分けされる。
【0023】
光接続ユニット1では、一方の側部(図3における右側部)から他方の側部(図3における左側部)に向けて外線側光ファイバ6を案内する外線側光ファイバガイド管5を備えているので、一方の側部から導入された外線側光ファイバ6を、接続部収納ユニット3の他方の側部に設けられた外線側光ファイバ導入部30に導くことができる。
このように、外線側光ファイバガイド管5によって、外線側光ファイバ6の配線位置を規制することができるため、外線側光ファイバ6と、他方の側部に配線された局内側光ファイバ42とが干渉するのを防ぐことができる。
また、外線側光ファイバ6が他方の側部(図6における左側部)から光接続ユニット1に導入される場合においては、外線側光ファイバ6は、他方の側部から接続部収納ユニット3にそのまま導入される。
このため、外線側光ファイバ6と、一方の側部(図6における右側部)に配線された局内側光ファイバ42とが干渉するのを防ぐことができる。
【0024】
また、光コネクタ配列部4は、局内側光ファイバ42を前方から接続できるようにされ、外線側光ファイバガイド管5が、外線側光ファイバ6を、接続部収納ユニット3の後方を経由して案内することができるようになっているので、外線側光ファイバ6と局内側光ファイバ42の配線位置を離間させ、これらを干渉しにくくすることができる。
【0025】
なお、図示例では、外線側光ファイバガイド管5を備えた光接続ユニットを例示したが、本発明で使用できる外線側光ファイバガイド体はこれに限定されない。例えば、外線側光ファイバが挿通する複数の環状のガイド体を使用してもよいし、外線側光ファイバを挟み込む複数のガイド体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の光接続ユニットの一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す光接続ユニットの内部構造を示す平面図である。
【図3】図1に示す光接続ユニットのA−A線に沿う断面を示す図である。
【図4】図1に示す光接続ユニットにおいて、接続部収納トレイを引き出した状態を示す平面図である。
【図5】図1に示す光接続ユニットのB−B線に沿う断面を示す側面図である。
【図6】図1に示す光接続ユニットのA−A線に沿う断面を示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…光接続ユニット、3…接続部収納ユニット、4…光コネクタ配列部、5…外線側光ファイバガイド管(外線側光ファイバガイド体)、6…外線側光ファイバ、8…成端用光ファイバ、29…成端用光ファイバ導入部、30…外線側光ファイバ導入部、40…融着接続部、42…局内側光ファイバ(他の光ファイバ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線側光ファイバ(6)を、コネクタ接続可能に成端された成端用光ファイバ(8)を介して、他の光ファイバ(42)と切替可能に接続する光接続ユニットであって、
前記外線側光ファイバと成端用光ファイバとの接続部(40)を収納する接続部収納ユニット(3)と、前記成端用光ファイバが接続される光コネクタ(32)が複数配列された光コネクタ配列部(4)と、前記外線側光ファイバを案内する外線側光ファイバガイド体(5)とを備え、
前記接続部収納ユニットが、一方の側部に設けられた成端用光ファイバ導入部(29)と、他方の側部に設けられた外線側光ファイバ導入部(30)とを備え、
前記外線側光ファイバガイド体は、前記光接続ユニットの一方の側部から他方の側部に向けて、外線側光ファイバを案内することができるようにされていることを特徴とする光接続ユニット。
【請求項2】
前記外線側光ファイバガイド体は、外線側光ファイバが挿通する管状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光接続ユニット。
【請求項3】
前記外線側光ファイバガイド体は、コルゲート管からなることを特徴とする請求項2に記載の光接続ユニット。
【請求項4】
前記光コネクタ配列部は、前記他の光ファイバを前方から接続できるようにされ、
前記外線側光ファイバガイド体は、外線側光ファイバを、接続部収納ユニットの後方を経由して案内することができるようになっていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光接続ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−10973(P2007−10973A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191555(P2005−191555)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】