説明

光照射窓

【課題】真空紫外光を均一に透過することができ、生産性のよい光照射窓の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】人工水晶からなる平板11,12,13の接合される部分、例えば、人工水晶からなる平板11,12,13の所定の側面11a,12a,13a,12bを研磨する研磨工程と、この人工水晶からなる平板11,12,13の所定の側面11a,12a,13a,12bをはり合わせて仮接合する仮接合工程と、はり合わされた人工水晶からなる平板11,12,13を加熱して接合する本接合工程とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光を被処理物に照射させる紫外光照射装置に用いられる光照射窓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットディスプレーに用いられるガラス基板や半導体に用いられる半導体ウエハの洗浄工程では、例えば、紫外光が表面に照射されて表面に付着している有機物を酸化させて除去するといった洗浄方法が行われている。
【0003】
このような紫外光を照射して洗浄する方法は、例えば、真空紫外照射装置が用いられる。
このような真空紫外照射装置は、紫外光の一種である真空紫外光を被処理物に照射する構造となっている。また、この真空紫外照射装置は、例えば、ランプハウスと光検出手段とを主に備えている。
【0004】
ランプハウスは、その内部にエキシマ放電ランプが収納されている。また、ランプハウスは、真空紫外光を透過させる光照射窓を有している。
【0005】
エキシマ放電ランプは、エキシマ放電ランプ用ガスが容器内に封入された状態となっている。また、エキシマ放電ランプは、このエキシマ放電ランプ用ガスが容器内に封入された状態に高電圧を印加させてエキシマ放電ランプ用ガスを励起させた状態としている。また、エキシマ放電ランプは、エキシマ放電ランプ用ガスが励起状態から定常状態に戻るときに発光する原理を利用して、放射する構造となっている。
エキシマ放電ランプは、封入されるエキシマ放電ランプ用ガスの種類によって放射される真空紫外光の波長が異なる。
エキシマ放電ランプは、例えば、キセノン(Xe)ガスが封入されると放射される真空紫外光の波長が172nmとなり、例えば、クリプトン塩素(KrCl)ガスが封入されると放射される真空紫外光の波長が220nmとなり、例えば、キセノン塩素(XeCl)ガスが封入されると放射される真空紫外光の波長が308nmとなる。
【0006】
光照射窓は、平板であって、エキシマ放電ランプから放出された真空紫外光を透過させる材質が用いられている。
また、光照射窓は、エキシマ放電ランプの大きさ及び被処理物の大きさによって異なる。
ここで、光照射窓は、例えば、矩形形状の平板状になっており、主面の縦幅が230mmであり主面の横幅が230mmであり厚みが5mmとなっている。
【0007】
ランプハウスは、エキシマ放電ランプから放射された光が光照射窓を透過し、被処理物に照射される構造となっている。
【0008】
光検出手段は、真空紫外光が光照射窓を透過することが繰り返し行われることにより、光照射窓の内部に構造欠陥が生じ真空紫外光が吸収される状態、つまり、真空紫外光の透過率が低下した状態に光照射窓が変質したことを検出する手段である。
【0009】
真空紫外照射装置は、エキシマ放電ランプから放射された光が光照射窓を透過し被処理物の表面に照射され、被処理物を洗浄する装置である。
また、真空紫外照射装置は、光検出手段により光照射窓が変質しエキシマ放電ランプから放射された真空紫外光の透過率が低下したことを検出した後、別の光照射窓に交換することができる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
このような光照射窓は、合成石英ガラスが用いられている。
合成石英ガラスは、構造が非晶質(アモルファス)の構造であるが波長が160nmより長い光、例えば、波長が175nmの光を透過させることができる。このため、このような光照射窓は、合成石英ガラスが用いられる。
【0011】
このような光照射窓の製造方法は、例えば、インゴット生成工程、外形加工工程から主になっている。
【0012】
インゴット生成工程は、例えば、多孔質シリカ体生成工程、透明化ガラス工程、アニール工程から主になっている。
多孔質シリカ体生成工程は、四塩化珪素を酸素、水素火炎中に導入し火炎加水分解して得られる合成シリカ微粒子を生成し、この合成シリカ微粒子を回転する種棒の周囲に体積させて多孔質シリカ体を生成する工程である。
透明化ガラス工程は、多孔質シリカ体を真空炉で所定の真空度で所定の温度で加熱する工程である。透明化ガラス工程では、多孔質シリカ体が、例えば、真空度が20Pa以下の真空中で温度が1500℃の雰囲気中で加熱する。透明化ガラス工程では、多孔質シリカ体が透明化される。
アニール工程は、透明ガラス工程を経た多孔質シリカ体が、所定の圧力及び所定の温度雰囲気中で加熱される工程である。アニール工程では、均一に光が透過されるように歪を除去するために行われる。アニール工程では、例えば、圧力が約200kg/cmの状態で1600℃の温度雰囲気中で加熱される。
【0013】
外形加工工程は、光照射窓の大きさに切断し、切断直後の表面状態と比較して表面での反射損失を減少させるために表面粗さが5nm以下であって鏡面状態となるように研磨する工程である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−294896号公報
【特許文献2】特開2001−48571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の光照射窓の製造方法は、合成石英ガラスからなるインゴットが設けられて切断されて設けられている。
従って、従来の光照射窓の製造方法は、合成石英ガラスからなるインゴットが非晶質(アモルファス)構造となっている。このため、従来の光照射窓の製造方法で製造された光照射窓は、合成石英ガラスからなるインゴットの切断する場所によって光の透過率が異なり光を均一に透過させることができない恐れがある。
つまり、従来の光照射窓の製造方法は、同じ光照射窓の製造方法で製造しても光を均一に透過することができない恐れがあり、安定した品質の製品を製造することができないため、生産性が低下する恐れがある。
【0016】
そこで、本発明では、光を均一に透過することができ生産性のよい光照射窓の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため人工水晶からなる平板の接合される部分を研磨する研磨工程と、前記人工水晶からなる平板同士をはり合わせて仮接合する仮接合工程と、はり合わされた前記人工水晶からなる平板を加熱して接合する本接合工程と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような光照射窓の製造方法は、人工水晶からなる平板がはり合わされて仮接合されて加熱されることによって接合されている。
従って、このような光照射窓の製造方法は、人工水晶からなる平板が結晶構造となっている。つまり、このような光照射窓の製造方法で製造された光照射窓は、従来の光照射窓と比較して場所によって光の透過率が異ならないので光を均一に透過させることができる。
つまり、このような光照射窓の製造方法は、同じ光照射窓の製造方法で製造することで光を均一に透過することができ安定した品質の製品を製造することができるので、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法で製造される光照射窓の一例を示す概念図であり、(b)は、本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法で製造される光照射窓の一例を示す断面図である。
【図2】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法に於ける仮接合工程前の状態の一例を示す概念図であり、(b)は、本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法に於ける仮接合工程後の状態の一例を示す概念図である。
【図3】(a)は、本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法で製造される光照射窓の一例を示す概念図であり、(b)は、本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法で製造される光照射窓の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において、各構成要素の状態をわかりやすくするために誇張して図示している。
【0021】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法で製造される光照射窓について説明する。
【0022】
光照射窓は、例えば、真空紫外照射装置のランプハウスに用いられる。
ここで、真空紫外照射装置は、例えば、ランプハウスの内部に収納されているエキシマ放電ランプが主に備えられている。また、真空紫外照射装置は、エキシマ放電ランプから放射された光をランプハウスの外部に放出するための光照射窓がランプハウスに設けられている。
【0023】
また、光照射窓は、複数枚の人工水晶からなる透明な平板が接合された状態となっており、1枚の矩形形状の平板形状となっている。また、光照射窓は、エキシマ放電ランプの大きさ及び真空紫外照射装置での被処理物の大きさにより異なる。
ここで、例えば、図1(a)及び図1(b)に示すように、光照射窓10は、3枚の人工水晶からなる平板11,12,13が接合された状態となっている。
また、光照射窓10は、例えば、その主面の縦幅が230mmとなっておりその主面の横幅が約230mmとなっており厚みが5mmとなっている。
【0024】
人工水晶からなる平板11,12,13は、合成石英ガラスからなる平板と異なり、その内部の構造が結晶構造となっている。
また、人工水晶からなる平板11,12,13は、天然水晶からなる平板と比較すると内部に不純物が混在している割合が少ないので不純物による光の吸収が少ない。つまり、人工水晶からなる平板11,12,13は、天然水晶からなる平板と比較すると真空紫外光の透過率がよい。
【0025】
また、人工水晶からなる平板11,12,13は、波長が140nmより長い光を透過することができる。
光の波長が140nm未満の場合、人工水晶からなる平板11,12,13は、その結晶構造から光を吸収してしまい、光を透過させることができない。
このため、人工水晶からなる平板11,12,13は、波長が140nmより長い光を透過することができる。
ここで、例えば、人工水晶からなる平板11,12,13は、波長が146nmより長い光を透過することができる。
【0026】
また、人工水晶からなる平板11,12,13は、例えば、矩形形状の平板となっており、主面の縦幅が230mmとなっており主面の横幅が76.6mmであり厚みが5mmとなっている。
【0027】
また、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面が鏡面形状となっている。また、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面の表面粗さが5nm以下となっており、透明になっている。
両主面が鏡面状態となっていない場合、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面で光が乱反射してしまい光を均一に透過させることが困難となる恐れがある。
両主面の表面粗さが5nmより大きい場合、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面で光が反射してしまい光を均一に透過させることが困難となる恐れがある。
このため、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面が鏡面形状となっており、その両主面の表面粗さが5nm以下となっている。また、人工水晶からなる平板11,12,13は、両主面が鏡面形状となっており、その両主面の表面粗さが5nm以下となることで、透明となっている。
【0028】
また、図1(b)に示すように、人工水晶からなる平板11は、所定の側面11aが人工水晶からなる平板12の所定の一つの側面12aと接合されている。
また、図1(b)に示すように、人工水晶からなる平板12は、所定の一つの側面12aが人工水晶からなる平板11の所定の側面11aと接合されており、所定の他の一つの側面12bが人工水晶からなる平板の所定の側面13aと接合されている。
また、人工水晶からなる平板13は、所定の側面13aが人工水晶からなる平板12の所定の他の一つの側面12bと接合されている。
【0029】
つまり、光照射窓10は、はり合わされた人工水晶からなる平板11,12,13が加熱されることで接合されている。
また、光照射窓10は、同じ厚みの人工水晶からなる平板11,12,13が用いられている。
つまり、光照射窓10は、同じ厚みの人工水晶が接合されているので光を均一に透過させることができる。
【0030】
次に、本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法について説明する。
本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、研磨工程、仮接合工程、本接合工程とからなっている。
【0031】
(研磨工程)
研磨工程は、人工水晶からなる透明な平板の接合される部分を研磨する工程である。
【0032】
ここで、人工水晶からなる平板11,12,13は、例えば、3枚設けられる。
【0033】
人工水晶からなる平板11,12,13は、ランバード人工水晶から矩形形状の平板状に切断されその両主面が研磨されることで設けられる。
【0034】
人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面が鏡面形状であって、両主面の表面粗さが5nm以下となっている。また、人工水晶からなる平板11,12,13は、透明となっている。
両主面が鏡面形状となっていない場合、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面で光が反射してしまい光を均一に透過させることが困難となる恐れがある。
両主面の表面粗さが5nmより大きい場合、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面で光が反射してしまい光を均一に透過させることが困難となる恐れがある。
このため、人工水晶からなる平板11,12,13は、その両主面が鏡面形状となっており、その両主面の表面粗さが5nm以下となっている。また、人工水晶からなる平板11,12,13は、両主面が鏡面形状となっており、その両主面の表面粗さが5nm以下となることで、透明となっている。
【0035】
また、人工水晶からなる平板11,12,13は、例えば、矩形形状の平板状となっており、主面の縦幅が230mmとなっており主面の横幅が230mmとなっており厚みが5mmとなっている。
【0036】
また、人工水晶からなる平板11,12,13は、波長が140nmより長い光を透過することができる。
光の波長が140nm未満の場合、人工水晶からなる平板11,12,13は、その結晶構造から光を吸収してしまい、光を透過させることができない。
このため、人工水晶からなる平板11,12,13は、波長が140nmより長い光を透過することができる。
ここで、例えば、人工水晶からなる平板11,12,13は、波長が146nmより長い光を透過することができる。
【0037】
研磨工程では、例えば、片面研磨機が用いられて研磨される。
研磨工程後、人工水晶からなる平板11,12,13の接合される部分、つまり接合される面11a,12a,12b,13aは、その面が鏡面状態であってその面の表面粗さが0.1μm以下となっている。
接合される面11a,12a,13aの表面粗さが0.1μmより大きい場合、接合される面11a,12a,13aは、後述する接合工程に於いて接合することができなくなる恐れがある。
このため、研磨工程では、接合される面11a,12a,13aの表面粗さが0.1μm以下となるように研磨される。
【0038】
つまり、研磨工程では、後述する仮接合工程に於いて人工水晶からなる平板11の所定の側面11aと人工水晶からなる平板12の所定の一つの側面12aとが接合されるので、人工水晶からなる平板11の所定の側面11aと人工水晶からなる平板12の所定の一つの側面12aとが研磨される。
また、研磨工程では、後述する仮接合工程に於いて人工水晶からなる平板13の所定の側面13aと人工水晶からなる平板12の所定の他の一つの側面12bとが接合されるので、人工水晶からなる平板13の所定の側面13aと人工水晶からなる平板12の所定の他の一つの側面12bとが研磨される。
【0039】
(仮接合工程)
仮接合工程は、前記人工水晶からなる平板11,12,13同士をはり合わせて仮接合する工程である。
【0040】
仮接合工程では、図2(a)及び図2(b)に示すように、人工水晶からなる平板11の所定の側面11aと人工水晶からなる平板12の所定の一つの側面12aとが接合される。ここで、第一の接合面S11は、人工水晶からなる平板11の所定の側面11aと人工水晶からなる平板12の所定の一つの側面12aとが接合された面である。
また、仮接合工程では、図2(a)及び図2(b)に示すように、研磨工程で研磨された人工水晶からなる平板13の所定の側面13aと研磨工程で研磨された人工水晶からなる平板12の所定の他の一つの側面12bとが接合される。ここで、第二の接合面S12は、人工水晶からなる平板13の所定の側面13aと人工水晶からなる平板12の所定の他の一つの側面12bとが接合された面である。
【0041】
仮接合工程では、接合される面が親水化されて、接合される面同士を重ね合わせて仮結合される。
従って、仮接合工程では、人工水晶からなる平板11の所定の側面11aと人工水晶からなる平板12の所定の一つの側面12aとが親水化され人工水晶からなる平板11の所定の側面11aと人工水晶からなる平板12の所定の一つの側面12aとを重ね合わせて仮接合される。また、仮接合工程では、人工水晶からなる平板13の所定の側面13aと人工水晶からなる平板12の所定の他の一つの側面12bとが親水化され、これらの接合面12b,13aを重ね合わせて仮接合させる。
【0042】
仮接合工程では、接合される面を親水化することでその接合される表面にヒドロキシル基(−OH)が結合された状態(−Si−OH)となり、親水化された接合される面を重ね合わせることで両表面のヒドロキシル基(−OH)が作用しあい水素結合された状態(−Si−OH−HO−Si−)となり、結合された状態となる。
【0043】
(本接合工程)
本接合工程は、はり合わされた前記人工水晶からなる平板11,12,13を加熱して接合する工程である。
本接合工程では、仮結合されている複数の人工水晶からなる平板11,12,13を人工水晶の転移点温度573℃未満の温度で加熱する工程である。
ここで、人工水晶の転移点温度573℃以上の温度で加熱を行った場合、本接合工程では人工水晶からなる平板11,12,13の結晶構造が大きく変化(結晶転移)してしまい破損してしまう恐れがある。
【0044】
本接合工程では、第一の接合面S11及び第二の接合面S12で水素結合された状態(−Si−OH−HO−Si−)が加熱されることによって、水(H−O−H)が脱水され、第一の接合面及び第二の接合面で珪素が酸素で結合された状態(−Si−O−Si−)となり、直接接合により接合された状態となる。
【0045】
つまり、本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法では、複数の人工水晶からなる平板11,12,13の接合する面11a,12a,12b,13aが親水化され水素結合により仮結合され人工水晶の転移点温度である573℃未満で加熱されことによって、複数の人工水晶からなる平板11,12,13が接合されている。
【0046】
このような本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、人工水晶からなる平板11,12,13がはり合わされて仮接合されて加熱されることによって接合されている。
従って、このような光照射窓の製造方法は、人工水晶からなる平板11,12,13が結晶構造となっている。つまり、このような光照射窓の製造方法で製造された光照射窓10は、従来の光照射窓と比較して場所によって光の透過率が異ならないので光を均一に透過させることができる。
つまり、このような光照射窓の製造方法は、同じ光照射窓の製造方法で製造することで光を均一に透過することができ安定した品質の製品を製造することができるので、生産性を向上させることができる。
【0047】
また、本発明の第一の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、複数、例えば、3枚の人工水晶からなる平板11,12,13が直接接合により接合しているので、光照射窓の大きさが大型化されても、人工水晶からなる平板の枚数を増やすことで対応することができる。
【0048】
(第二の実施形態)
次に本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法で製造される光照射窓について説明する。
【0049】
本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法で製造される光照射窓は、図3(a)及び図3(b)に示すように、人工水晶からなる平板が主面で接合されている点で第一の実施形態と異なる。
【0050】
光照射窓は、複数枚の人工水晶からなる平板が接合された状態となっている。また、光照射窓は、エキシマ放電ランプの大きさ及び真空紫外照射装置での被処理物の大きさにより異なる。
ここで、例えば、図2(a)及び図2(b)に示すように、光照射窓20は、3枚の人工水晶からなる平板21,22,23が接合された状態となっている。
【0051】
また、例えば、光照射窓20は、その主面の縦幅が230mmとなっておりその主面の横幅が約230mmとなっており厚みが5mmとなっている。
【0052】
人工水晶からなる平板21,22,23は、合成石英ガラスからなる平板と異なり、その内部の構造が結晶構造となっている。
また、人工水晶からなる平板21,22,23は、天然水晶からなる平板と比較すると内部に不純物が混在している割合が少ないので不純物による光の吸収が少ない。つまり、人工水晶からなる平板21,22,23は、天然水晶からなる平板と比較すると真空紫外光の透過率がよい。
【0053】
また、人工水晶からなる平板21,22,23は、波長が140nmより長い光を透過することができる。
光の波長が140nm未満の場合、人工水晶からなる平板21,22,23は、その結晶構造から光を吸収してしまい、光を透過させることができない。
このため、人工水晶からなる平板21,22,23は、波長が140nmより長い光を透過することができる。
ここで、例えば、人工水晶からなる平板21,22,23は、波長が146nmより長い光を透過することができる。
【0054】
また、人工水晶からなる平板21,22,23は、その両主面が鏡面形状であって、両主面の表面粗さが5nm以下となっている。また、人工水晶からなる平板21,22,23は、透明となっている。
両主面が鏡面形状となっていない場合、人工水晶からなる平板21,22,23は、その両主面で光が反射してしまい光を均一に透過させることが困難となる恐れがある。
両主面の表面粗さが5nmより大きい場合、人工水晶からなる平板21,22,23は、その両主面で光が反射してしまい光を均一に透過させることが困難となる恐れがある。
このため、人工水晶からなる平板21,22,23は、その両主面が鏡面形状となっており、その両主面の表面粗さが5nm以下となっている。また、人工水晶からなる平板21,22,23は、両主面が鏡面形状となっており、その両主面の表面粗さが5nm以下となることで、透明となっている。
【0055】
人工水晶からなる平板21,22,23は、断面が台形形状となっており、一方の主面の面積が他方の主面の面積と比較して大きい。
また、人工水晶からなる平板21,22,23は、一方の長辺に沿った縁部に第一の傾斜面21a,22a,23aを備えており、他方の長辺に沿った縁部に第二の傾斜面21b,22b,23bを備えている。
【0056】
第一の傾斜面21a,22a,23aは、人工水晶からなる平板21,22,23の一方の主面に対して反時計回りに90°より大きく180°未満の角度に回転している。
90°以下の場合、光照射窓20の板厚が一定とならないため、光照射窓20として用いることができない。
また、180°以上の場合、光照射窓20の板厚が一定とならないため、光照射窓20として用いることができない。
このため、第一の傾斜面21a,22a,23aは、人工水晶からなる平板21,22,23の一方の主面に対して反時計回りに90°より大きく180°未満の角度に回転している。
【0057】
第二の傾斜面21b,22b23bは、人工水晶からなる平板21,22,23の一方の主面に対して時計回りに90°より大きく180°未満の角度に回転している。
90°以下の場合、光照射窓20の板厚が一定とならないため、光照射窓20として用いることができない。
また、180°以上の場合、光照射窓20の板厚が一定とならないため、光照射窓20として用いることができない。
このため、第二の傾斜面21b,22b23bは、人工水晶からなる平板21,22,23の一方の主面に対して時計回りに90°より大きく180°未満の角度に回転している。
【0058】
ここで、人工水晶からなる平板21は、例えば、一方の主面の縦幅が230mmであり一方の主面の横幅が81.6mmとなっている。また、人工水晶からなる平板21は、例えば、他方の主面の縦幅が230mmであり他方の主面の横幅が73.3mmとなっている。
また、人工水晶からなる平板21,22,23は、例えば、一方の主面の縦幅が230mmであり一方の主面の横幅が81.6mmとなっている。また、人工水晶からなる平板22は、例えば、他方の主面の縦幅が230mmであり他方の主面の横幅が73.3mmとなっている。
【0059】
人工水晶からなる平板21は、一方の主面の一方の長辺側に沿った縁部が人工水晶からなる平板22の一方の主面の一方の長辺側に沿った縁部と接合されている。
人工水晶からなる平板22は、一方の主面の一方の長辺側に沿った縁部が人工水晶からなる平板21の一方の主面の一方の長辺側に沿った縁部と接合されている。
人工水晶からなる平板22は、一方の主面の他方の長辺側に沿った縁部が人工水晶からなる平板23の一方の主面の他方の長辺に沿った縁部と接合されている。
人工水晶からなる平板23は、一方の主面の他方の長辺側に沿った縁部が人工水晶からなる平板22の一方の主面の他方の長辺側に沿った縁部と接合されている。
【0060】
光照射窓20は、図3(a)及び図3(b)に示すように、所定の間隔を空けて2枚の人工水晶からなる平板21,23が設けられ、この2枚の人工水晶からなる平板21,23に接触するように1枚の人工水晶からならなる平板22が直接接合により接合されている。従って、光照射窓20は、3枚の人工水晶からなる平板21,22,23が人工水晶の結晶軸方向に関係なく直接接合により接合されて、架橋形状となっている。
【0061】
光照射窓20は、第一の傾斜面21aと第一の傾斜面22aとが平行となっている。また、真空紫外照射装置用の光照射窓20は、人工水晶からなる平板21の第一の傾斜面21aの一方の主面側の端部が人工水晶からなる平板22の第一の傾斜面21aの他方の主面側の端部と対向する位置に設けられている。
また、光照射窓20は、第二の傾斜面22bと第二の傾斜面23bとが平行となっている。また、光照射窓20は、人工水晶からなる平板22の第二の傾斜面22bの一方の主面側の端部が人工水晶からなる平板23の第二の傾斜面23bの他方の主面側の端部と対向する位置に設けられている。
従って、光照射窓20は、その厚みが人工水晶からなる平板21,22,23の厚みと同じ、例えば、厚みが5mmとなっている。このため、光照射窓20は、厚みが均一となっているのでエキシマ放電ランプから放射された光を均一に透過することができ、透過できる光の波長が同じとなる。
【0062】
次に、本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法について説明する。
本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、接合される部分が水晶からなる平板の一方の主面となっている点で第一の実施形態と異なる。
つまり、本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、研磨工程に於いて人工水晶からなる平板の一方の主面が研磨されて、仮接合工程に於いて人工水晶からなる平板が架橋形状となるように仮接合されて、本接合工程に於いて架橋形状となるように仮接合された人工水晶からなる平板が加熱されて接合されて設けられている。
【0063】
本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、仮接合工程に於いて人工水晶からなる平板21,22,23が架橋形状となるように仮接合されて本接合工程に於いて架橋形状となるように仮接合された人工水晶からなる平板21,22,23が加熱され接合されて設けられているので、第一の実施形態と同様の効果を奏する。
【0064】
また、本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、人工水晶からなる平板21の一方の主面の一方の長辺の縁部と人工水晶からなる平板22の一方の主面の一方の長辺の縁部とが接合されている。
つまり、本発明の第二の実施形態に係る光照射窓の製造方法は、人工水晶からなる平板21と人工水晶からなる平板22とが第一の実施形態と比較して広い面積で接合できるので、接合強度を高めることができ容易に扱うことができる。
【0065】
なお、ここでは人工水晶からなる平板が3枚設けられている場合について説明しているが、光照射窓の大きさにすることができ光照射窓の厚みを均一にすることができれば、例えば、4枚であってもよい。
【0066】
なお、光照射窓が人工水晶からなる平板が1行3列の形態となるように直接接合により接合されている場合について説明しているが、光照射窓の大きさに対応していれば、例えば、人工水晶からなる平板が2行2列の形態となるように接合されていてもよい。
【0067】
また、ここでは人工水晶からなる平板の主面の大きさが同じ場合について説明しているが、光照射窓の大きさにすることができ人工水晶からなる平板の厚さが同じでれば、例えば、全て異なる大きさであってもよい。
【0068】
また、ここでは複数の人工水晶からなる平板の厚みが同じ厚みの場合について説明しているが、異なる厚みの複数の人工水晶からなる平板を用いて光照射窓の厚みを均一にするように接合した後に研磨を行ってもよい。
【0069】
なお、ここでは、エキシマ放電ランプが用いられる場合について説明しているが、例えば、水銀ランプ等が用いられる紫外照射装置に使用してもよい。
【0070】
なお、ここでは、エキシマ放電ランプが用いられる場合について説明しているが、例えば、エキシマレーザー等に使用してもよい。
【0071】
なお、人工水晶からなる平板を、予め、鏡面形状であってその表面粗さが5nm以下となるように研磨しておくのが良い。
【符号の説明】
【0072】
10,20 光照射窓
11,12,13,21,22,23 人工水晶からなる平板
S11,S21 第一の接合面
S12,S22 第二の接合面
11a,12a,12b,13a 接合される側面
21a,22a,23a 第一の傾斜面
21b,22b,23b 第二の傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工水晶からなる平板の接合される部分を研磨する研磨工程と、
前記人工水晶からなる平板同士をはり合わせて仮接合する仮接合工程と、
はり合わされた前記人工水晶からなる平板を加熱して接合する本接合工程と、
からなることを特徴とする光照射窓の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−113952(P2011−113952A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272368(P2009−272368)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】