説明

光硬化性樹脂組成物

【課題】 未硬化塗膜表面を非粘着状態にでき、ゴミや粉塵の付着を防止することが可能である光硬化型樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 (A)重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体の側鎖及び/又は末端に重合性不飽和結合が形成された重合体と、(B)1分子中に少なくとも3個の重合性不飽和結合を有するウレタン化合物と、(C)1分子中に少なくとも4個の重合性不飽和結合を有し(B)成分と異なる多官能(メタ)アクリレートと、(D)光重合開始剤と、を含有する光硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物、塗料組成物、これらの硬化物及びこれらの層を備える積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性樹脂組成物やこれを用いた塗料は1液型でポットライフを長くでき、硬化時間を短くすることも可能なため、木工、プラスチック、紙及び金属基材等の塗装や加熱成形保護シート等に適用した場合に、生産性の向上が期待されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−100418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、光硬化性樹脂組成物の多くは、オリゴマーと総称される分子量の低いアクリル酸エステル化合物(エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、オリゴエステルアクリレート等)や反応性希釈モノマーと総称される液状の光硬化性化合物が混合されているため、光硬化するまでの塗膜は液状又は粘着性の固体であり、塗装工程中にゴミや粉塵が塗膜に付着する問題があった。
【0004】
このような不都合は、あらかじめフィルム上に光硬化性樹脂組成物の層を形成させたシート状組成物(積層体)が用いられる加熱転写式印刷の分野等においても生じていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、未硬化塗膜表面を非粘着状態にでき、ゴミや粉塵の付着を防止することが可能な光硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、(A)重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体の側鎖及び/又は末端に重合性不飽和結合が形成された重合体と、(B)1分子中に少なくとも3個の重合性不飽和結合を有するウレタン化合物と、(C)1分子中に少なくとも4個の重合性不飽和結合を有し(B)成分と異なる多官能(メタ)アクリレートと、(D)光重合開始剤と、を含有する光硬化性樹脂組成物(以下「第1の光硬化性樹脂組成物」という。)を提供する。
【0007】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記以外の光重合性単量体を含有していてもよい。すなわち、本発明は、(A)重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体の側鎖及び/又は末端に重合性不飽和結合が形成された重合体と、(B)1分子中に少なくとも3個の重合性不飽和結合を有するウレタン化合物と、(C)1分子中に少なくとも4個の重合性不飽和結合を有し(B)成分と異なる多官能(メタ)アクリレートと、(D)光重合開始剤と、(E)重合性不飽和結合を有し(B)成分及び(C)成分と異なる光重合性単量体と、を含有する光硬化性樹脂組成物(以下「第2の光硬化性樹脂組成物」という。)を提供する。
【0008】
本発明の第1及び第2の光硬化性樹脂組成物は、未硬化塗膜表面が非粘着性であり、ゴミや粉塵の付着を防止することが可能である。ゴミや粉塵の付着がないことによりゴミや粉塵の検査工程等を省略できることから、光硬化性樹脂組成物が適用される工程の効率が向上する。ゴミや粉塵の付着がないことはまた、光硬化性樹脂組成物が適用される製品にゴミや粉塵が混入しないことを意味し、最終製品の品質の向上が図られる。
【0009】
第1及び第2の光硬化性樹脂組成物は塗料組成物の成分として有効であり、塗膜を形成する樹脂組成物を含む塗料組成物であって、当該樹脂組成物として第1又は第2の光硬化性樹脂組成物を含む塗料組成物が提供できる。
【0010】
塗料組成物は製品の表面に適用されるために表面状態の良さが要求されるが、本発明の塗料組成物は、第1及び第2の光硬化性樹脂組成物を含むために、塗装途中のゴミや粉塵の付着が防止され、塗装表面の美麗性を向上できる。
【0011】
なお、第1及び第2の光硬化性樹脂組成物や塗料組成物の硬化物は、非常に優れた機械強度、表面の耐擦り傷性、耐薬品性を発揮する。
【0012】
第1及び第2の光硬化性樹脂組成物や塗料組成物はシート状に成形することができる。すなわち、フィルム状基材の一側又は両側に、第1若しくは第2の光硬化性樹脂組成物又は上記塗料組成物からなる層を備える積層体が提供される。この積層体は、上述した特性を発揮し、カバーシート等の被覆なしに重ね合わせたり巻き取ったりすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、未硬化塗膜表面を非粘着状態にでき、ゴミや粉塵の付着を防止することが可能であるのみならず、シート状に加工した際もカバーシート等の被覆なしに重ね合わせることが可能で、硬化後には機械強度、表面の耐擦り傷性及び耐薬品性等に優れた硬化物を与える光硬化型樹脂組成物を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について説明するが、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。また、(メタ)アクリル系重合体とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を必須成分として重合された重合体をいい、ウレタン化合物とは分子中にウレタン結合を有する化合物をいう。なお、重合性不飽和結合とは、本発明の(D)光重合開始剤により重合が生じ得る結合を意味し、エチレン性不飽和結合が代表的である。
【0015】
(A)成分:
(A)成分は重合性不飽和結合を有し重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体である。(A)成分は側鎖に官能基Xを有する重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体を先ず合成し、この(メタ)アクリル系重合体と、官能基Xと反応する官能基Yと重合性不飽和結合とを有する化合物とを反応させて得ることが好ましい。官能基Xと官能基Yの組合わせとしては、エポキシ基と水酸基、エポキシ基とカルボキシル基、活性水素を有する基(水酸基、メルカプト基、カルボキシル基等)とイソシアネート基、水酸基と酸ハライド基(又はカルボキシル基)、アルコキシシリル基と縮合基(水酸基)等が挙げられる。なお、それぞれの組合わせにおいて一方が官能基Xであり他方が官能基Yであればよい。
【0016】
(A)成分の第1の態様として、(I)(メタ)アクリル酸グリシジルエステルと(II)1の重合性不飽和結合を有し(I)成分と異なる単量体とを重合して得られる重量平均分子量が20,000以上の共重合体に、(III)重合性不飽和結合を有するカルボン酸を反応させてなる、(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。また、(A)成分の第2の態様として、(i)水酸基を含有する(メタ)アクリレートと(ii)1の重合性不飽和結合を有し(i)成分と異なる単量体とを重合して得られる重量平均分子量が20,000以上の共重合体に、(iii)イソシアネート基と重合性不飽和結合とを有する化合物を反応させてなる、(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。
【0017】
(II)成分又は(ii)成分としては、アクリル酸又はメタクリル酸の各種のエステルが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート;ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の1種若しくは2種以上の組み合わせからなる混合物が挙げられる。
【0018】
(I)成分及び(II)成分の共重合体((メタ)アクリル系重合体)は、ラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合法等の公知の方法で共重合反応させることによって得ることができる。ここで、これらの配合比としては、(I)成分は、(I)成分及び(II)成分の合計量100質量部に対して、30〜50質量部であることが好ましく、35〜45質量部であることがより好ましい。また、(II)成分は、(I)成分及び(II)成分の合計量100質量部に対して、50〜70質量部であることが好ましく、55〜65質量部であることがより好ましい。
【0019】
(i)成分及び(ii)成分の共重合体((メタ)アクリル系重合体)についても、ラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合法等の公知の方法で共重合反応させることによって得ることができる。上記と同様に、(i)成分は、(i)成分及び(ii)成分の合計量100質量部に対して、30〜50質量部であることが好ましく、35〜45質量部であることがより好ましい。また、(ii)成分は、(i)成分及び(ii)成分の合計量100質量部に対して、50〜70質量部であることが好ましく、55〜65質量部であることがより好ましい。
【0020】
(I)成分(又は(i)成分)が30質量部未満(すなわち、(II)成分(又は(ii)成分)が70質量部を超える場合)であると、光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の硬化性及び硬化後の性能が全般的に低下する傾向にある。一方、(I)成分(又は(i)成分)が50質量部を超える場合(すなわち、(II)成分(又は(ii)成分)が50質量部未満)であると溶剤等の揮発成分の揮発後の未硬化塗膜表面が粘着性を有し、ゴミや粉塵が塗膜に付着するおそれがある。
【0021】
(I)成分及び(II)成分の共重合体、及び(i)成分及び(ii)成分の共重合体としては、重量平均分子量(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー法、標準ポリスチレン換算値)が20,000以上のものが用いられる。重量平均分子量は30,000〜200,000であることが好ましく、50,000〜150,000であることがより好ましい。重量平均分子量が20,000未満であると、光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜において、溶剤等の揮発成分の揮発後の未硬化塗膜表面が粘着性を有し、ゴミや粉塵が塗膜に付着してしまう。一方、重量平均分子量が200,000を超えると光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、光硬化性樹脂を塗料として用いる場合に有機溶剤で希釈する必要性が出てくる。このとき、光硬化性樹脂組成物と有機溶剤との相溶性も同時に低下するため、有機溶剤で適切な塗装粘度まで希釈すると固形分が著しく低下し、塗装性が低下する傾向にある。
【0022】
(I)成分及び(II)成分の共重合体、及び(i)成分及び(ii)成分の共重合体のガラス転移温度は50℃以上が好ましく、50〜130℃がより好ましく、60〜130℃が更に好ましい。ガラス転移温度が50℃未満であると、光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜において、溶剤等の揮発成分の揮発後の未硬化塗膜表面が粘着性を有し、ゴミや粉塵が塗膜に付着するおそれがある。一方、ガラス転移温度が130℃を超えると、光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の外観、硬化性及び塗装性が低下する傾向にある。
【0023】
(I)成分及び(II)成分の共重合体は、側鎖及び/又は末端にエポキシ基を有しており、このエポキシ基と(III)成分のカルボキシル基を反応(付加反応)させて、共重合体に重合性不飽和基を導入する。(III)成分としては、(メタ)アクリル酸及びこれらの2量体(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM5600)、カプロラクトン変成(メタ)アクリル酸(ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM5300)、水酸基含有(メタ)アクリレートと無水カルボン酸との開環反応で得られる化合物(フタル酸モノヒドロキシエチルハイドロジェンサクシネート、新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル A−SA)等が挙げられる。
【0024】
上記付加反応における、当量比(エポキシ基/カルボキシル基)は、1/0.8〜1/1.1となるようにすることが好ましい。この当量比が上記の範囲外であると、光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の硬化後の性能が全般的に低下する傾向にある。なお、付加反応は、塩基性触媒、リン系触媒等の存在下で公知の方法にて行うことができる。
【0025】
(i)成分及び(ii)成分の共重合体は、側鎖及び/又は末端に水酸基を有しており、この水酸基と(iii)成分のイソシアネート基を反応(重付加反応)させてウレタン結合を形成させるとともに、共重合体に重合性不飽和基を導入する。(iii)成分としては、イソシアナートアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、当該(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は1〜6(更には1〜3)が好ましい。
【0026】
上記重付加反応における、当量比(水酸基/イソシアネート基)は、1/0.8〜1/1.1となるようにすることが好ましい。この当量比が上記の範囲外であると、光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の硬化後の性能が全般的に低下する傾向にある。なお、重付加反応は、アミン系触媒、錫系触媒等の存在下で公知の方法にて行うことができる。
【0027】
(B)成分:
(B)成分は、下記一般式(1)で表される化合物と、活性水素と重合性不飽和結合とを有する化合物と、を反応させてなる重合性不飽和結合を有するウレタン化合物であることが好ましい。なお式中のRは2価の有機基であり、Rとしては2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【化1】




【0028】
重合性不飽和結合を有するウレタン化合物は、OCN−R−NCOのジイソシアネート化合物を三量化して得られる三量体であることが好ましい。三量化されるジイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、水素添加されたトリレンジイソシアネート、水素添加されたキシリレンジイソシアネート、水素添加されたジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。特に、イソフォロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0029】
一般式(1)で表される化合物と反応させる、活性水素と重合性不飽和結合とを有する化合物としては、活性水素が水酸基に由来するものであり重合性不飽和結合がエチレン性不飽和結合(特には(メタ)アクリロイル基)であるものが好ましい。このような化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0030】
(C)成分:
(C)成分は、1分子中に少なくとも4個の重合性不飽和結合を有し(B)成分と異なる多官能(メタ)アクリレート化合物である。(C)成分としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
(D)成分:
(D)成分である光重合開始剤は、光(紫外線、電子線等の活性光線をいう。)の照射によりラジカル活性種を生じ(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、或いはこれらの3成分と後述する(E)成分とをラジカル重合反応させるための成分である。(D)成分としては、カルボニル系の光重合開始剤;ベンゾフェノン、ジアセチル、ベンジル、ベンゾイン、ω−ブロモアセトフェノン、クロロアセトン、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、メチルベンゾイルホルメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−N,N’−ジメチルアセトフェノン類等のスルフィド系の光重合開始剤;ジフェニルジスルフィド、ジベンジルスルフィド等のキノン系の光重合開始剤;ベンゾキノン、アントラキノン等のアゾ系の光重合開始剤;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、ヒドラジン等のスルホクロリド系の光重合開始剤;チオキサントン等の過酸化物系の光重合開始剤;過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド等の光重合開始剤;o−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の光重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0032】
(E)成分:
(E)成分は、重合性不飽和結合を有し(B)成分及び(C)成分と異なる光重合性単量体である。(E)成分としては、単官能性又は多官能性の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、イソデシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールアクリレート、1,4−ブタンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)−5、5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオールアクリレート、α,ω−ジアクリルビスジエチレングリコールフタレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットアクリレート、ペンタエリトリットヘキサアクリレート、ジペンタエリトリットモノヒドロキシペンタアクリレート、α,ω−テトラアリルビストリメチロールプロパンテトラヒドロフタレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジアクリロキシエチルフォスフェート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフィン、N−ビニルカプロラクタムが挙げられる。なお、これらの(E)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、(E)成分は多官能性の光重合性単量体であることが好ましい。
【0033】
第1の光硬化性樹脂組成物及び第2の光硬化性樹脂組成物において、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分として例示した上記化合物は、どのように組み合わせてもよい。また、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分はそれぞれ1種のみ用いても、複数種用いてもよい。
【0034】
各成分の比率:
第1の光硬化性樹脂組成物においては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に占める、(A)成分の量が20〜60質量部(更には30〜50質量部)、(B)成分の量が10〜60質量部、(C)成分の量が10〜40質量部(更には15〜30質量部)であり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に対する(D)成分の量が、0.1〜10質量部(更には1〜10質量部)であることが好ましい。
【0035】
第2の光硬化性樹脂組成物においては、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分の合計量100質量部に占める、(A)成分の量が20〜60質量部(更には30〜50質量部)、(B)成分の量が10〜60質量部、(C)成分の量が10〜40質量部(更には15〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部)、(E)成分の量が30質量部以下(更には5〜30質量部)であり、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分の合計量100質量部に対する(D)成分の量が0.1〜10質量部(更には1〜10質量部)であることが好ましい。
【0036】
第1及び第2の光硬化性樹脂組成物において、(A)成分が20質量部未満であると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の不粘着性が劣る傾向があり、60質量部を超えると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜において、硬化後の耐擦り傷性が低下する場合がある。
【0037】
第1及び第2の光硬化性樹脂組成物において、(B)成分が10質量部未満であると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の不粘着性が劣る傾向にあり、60質量部を超えると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜において、硬化後の耐擦り傷性が低下する場合がある。
【0038】
第1及び第2の光硬化性樹脂組成物において、(C)成分が10質量部未満であると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜において、硬化後の耐擦り傷性が低下する場合があり、60質量部を超えると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の不粘着性が劣る場合がある。
【0039】
第1及び第2の光硬化性樹脂組成物において、(D)成分が0.1質量部未満であると光による硬化性が十分でなくなる傾向にあり、10質量部を超えると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の物性が全般的に低下する傾向にある。
【0040】
第2の光硬化性樹脂組成物において、(E)成分が30質量部を超えると光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜において、未硬化塗膜表面に粘着性が生じやすくなる。
【0041】
第1及び第2の光硬化性樹脂組成物は、(A)〜(E)成分以外の添加成分を含有していてもよい。添加成分として代表的なものには、有機溶剤やフィラーが挙げられる。なお、第1及び第2の光硬化性樹脂組成物が有機溶剤等の揮発成分を含有するときは、未硬化での光硬化性樹脂組成物の粘着性は、揮発成分が除去された状態で判断する。
【0042】
塗料組成物:
本発明の塗料組成物は、塗膜を形成する樹脂組成物を含む塗料組成物であって、樹脂組成物として、第1又は第2の光硬化性樹脂組成物を含むことを特徴とするものである。本発明の塗料組成物は、硬化性、機械強度、耐汚染性、耐薬品性に優れており、ゴミや粉塵による塗膜表面の外観不良が少ない塗膜を形成する。
【0043】
塗料組成物は必要に応じて下記(1)〜(4)の溶剤、充填剤、顔料等を含有させることもできる。
【0044】
(1)トルエン、キシレン等の炭化水素系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、メチルケトン等のケトン系有機溶剤(以下「(1)成分」という。)。
(2)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、ビニルエステルウレタン樹脂、固形フェノール樹脂、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、エポキシ末端ポリオキサゾリドン、アクリル樹脂類、アルキド樹脂類、尿素樹脂類、メラミン樹脂類、ポリジエン系エラストマー、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル類、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、アマニ油、桐油、大豆油、ヒマシ油、エポキシ化油等の油脂類等の天然及び合成高分子物質(以下「(2)成分」という。)。
(3)炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、シリカパウダー、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、亜鉛華、ベンガラ、アゾ顔料等の各種充填剤や顔料(以下「(3)成分」という。)。
(4)ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤(以下「(4)成分」という。)。
【0045】
(1)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の合計量100質量部に対して、30〜80質量部が好ましく、50〜70質量部がより好ましい。(1)成分が30質量部未満であると光硬化性樹脂の粘度が高くなりやすく、80質量部を超えると光硬化性樹脂の粘度が低くなるため、いずれも光硬化性樹脂を塗料としたときの塗装適性に劣る傾向にある。
【0046】
(2)成分は、上記合計量に対して30質量部以下が好ましい。(2)成分が30質量部を超えると光硬化性樹脂の硬化性が低下する傾向にある。
【0047】
(3)成分は、上記合計量に対して0質量部以下が好ましい。(3)成分が20質量部を超えると光硬化性樹脂の硬化性及び、光硬化性樹脂を塗料としたときの塗装適性が低下する傾向にある。
【0048】
(4)成分は、上記合計量に対して0.5質量部以下が好ましい。(4)成分が0.5質量部を超えると光硬化性樹脂の硬化時間が長くなり作業性が低下する傾向にあり、光硬化性樹脂を塗料としたときに得られる塗膜の硬化後の特性も劣る傾向にある。
【0049】
上記(1)〜(4)成分の他、本発明の効果を低下させない程度でレベリング剤やその他の改質剤を添加することができる。
【0050】
本発明の塗料組成物は、紫外線硬化性塗料等として、鉄、アルミニウム等の金属素材、珪酸カルシウム板、パルプセメント板、軽量コンクリート板、軽量気泡コンクリート板、石綿セメント板、モルタル等の無機建材、木材、紙、プラスチック基材等に使用することができる。すなわち、上記塗料組成物は紫外線等を照射することにより硬化可能であるため、上記材料に好適に使用することができる。
【0051】
積層体:
本発明の積層体は、フィルム状基材の一側又は両側に、第1若しくは第2の光硬化性樹脂組成物又は上記塗料組成物からなる層を備えるものである。この積層体は、フィルム状基材に、第1若しくは第2の光硬化性樹脂組成物又は上記塗料組成物(有機溶剤溶液が好ましい)を塗布して作製できる。なお、第1若しくは第2の光硬化性樹脂組成物又は上記塗料組成物が有機溶剤等の揮発成分を含有するときは、この揮発成分を除去させることが好ましい。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の好適な実施例を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
なお、重量平均分子量の測定においては次に挙げる機器等を使用した。
使用機器:日立L6000型高速液体クロマトグラフィー
カラム:ゲルパックR400、R450及びR400M(日立化成工業(株)製)
溶離液:テトラハイドロフラン
【0054】
(製造例A1)
反応容器中に酢酸ブチル1,000質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら100℃まで加熱した。そして、重合性単量体成分1,000質量部(メタクリル酸グリシジルエステル370質量部、スチレン460質量部及びメタクリル酸メチル170質量部からなる。)と、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルO)20質量部とを2時間にわたって滴下した。滴下終了後、更に4時間100℃で反応を行い、その後、110℃まで加熱しパーブチルOの3質量部を1時間にわたって滴下した。滴下終了後、更に2時間110℃で反応を行った後、145℃に加熱させ、更に2時間反応を続け、共重合体を合成した。得られた共重合体は重量平均分子量が70,000であり、ガラス転移温度が76℃であった。
【0055】
続いてこの共重合体1,000質量部にアクリル酸85質量部、トリフェニルフォスフィン5質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル1質量部を加え、空気吹き込み下、105℃で約10時間加熱攪拌し、酸価5及び固形分50質量部の重合性不飽和結合を有する重合体((A)成分)を得た。
【0056】
(製造例A2)
反応容器中に酢酸ブチル1,000質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら125℃まで加熱した。そして、重合性単量体成分1,000質量部(メタクリル酸グリシジルエステル370質量部、メタクリル酸イソブチルエステル230質量部、メタクリル酸メチル300質量部及びスチレン100質量部からなる。)と、アゾビスイソブチロニトリル15質量部を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、更に4時間125℃で反応を行い、共重合体を合成した。得られた共重合体は重量平均分子量が20,000であり、ガラス転移温度が70℃であった。
【0057】
続いてこの共重合体1,000質量部にアクリル酸85質量部、トリフェニルフォスフィン3質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5質量部を加え、100℃で約10時間加熱攪拌し、酸価5及び固形分50質量部の重合性不飽和結合を有する重合体((A)成分)を得た。
【0058】
(比較製造例A1)
反応容器中に酢酸ブチル1,000質量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら125℃まで加熱した。そして、重合性単量体成分1,000質量部(メタクリル酸グリシジルエステル370質量部、スチレン460質量部及びメタクリル酸メチル170質量部からなる。)と、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルO)20質量部を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、更に2時間115℃で反応を行い、その後、145℃に加熱させ、更に2時間反応を続け共重合体を合成した。得られた共重合体は重量平均分子量が15,000であり、ガラス転移温度が76℃であった。
【0059】
続いてこの共重合体1,000質量部にアクリル酸85質量部、トリフェニルフォスフィン5質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル1質量部を加え、空気吹き込み下、105℃で約10時間加熱攪拌し、酸価5及び固形分50質量部の重合性不飽和結合を有する重合体を得た。
【0060】
(製造例B1)
反応溶液中に酢酸ブチル300質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(OH価=113mgKOH/g、商品名:アロニックスM305)341質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.3質量部、ジブチルチンジラウレート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、75℃まで加熱した。75℃で下記(1a)で表されるVESTANATE T1890Eを246質量部と酢酸ブチル110質量部との混合溶液を2時間にわたって滴下した。滴下終了後に8時間75℃で反応を行い、IR測定でイソシアネート吸収帯(2270cm−1)のピークが消失したところで合成を完了させて固形分50%、重量平均分子量2,500の、1分子中に重合性不飽和結合を9個有するウレタン化合物((B)成分)を得た。
【化2】

【0061】
(製造例B2)
反応溶液中に酢酸ブチル300質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(OH価=113mgKOH/g、商品名:アロニックスM305)245質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート65質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.3質量部、ジブチルチンジラウレート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、75℃まで加熱した。75℃でVESTANATE T1890Eを278質量部と酢酸ブチル110質量部との混合溶液を2時間にわたって滴下した。滴下終了後に8時間75℃で反応を行い、IR測定でイソシアネート吸収帯(2270cm−1)のピークが消失したところで合成を完了させて固形分50%、重量平均分子量2,500の、1分子中に重合性不飽和結合を7個有するウレタン化合物((B)成分)を得た。
【0062】
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
以下の表1に示す組成になるように各成分を混合して光硬化性樹脂組成物を得た。
【表1】

【0063】
(光硬化性樹脂組成物の性能評価)
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた光硬化性樹脂組成物を、乾燥膜厚が20μmになるように、バーコータを用いて基材であるガラス板に塗布し、70℃に加温した熱風乾燥機内で5分間乾燥した後、得られた乾燥皮膜について表面の非粘着性、鉛筆硬さの評価を行った。その後、80w/cmの高圧水銀灯2灯を備えた10m/分の速度で移動するコンベアに載せ、紫外線を照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させた。得られた硬化塗膜について、鉛筆硬さ、耐擦り傷性、耐薬品性の評価を行った。評価方法を以下に示し、評価結果を表2に示す。
【0064】
(1)硬化前非粘着性
温風乾燥機で含有有機溶剤を揮発した後、塗膜表面を指で触り、塗膜表面の乾燥度合いを評価した。
(2)鉛筆硬さ
JISK5600−5−4(2003年版)の鉛筆法に準拠して塗膜表面にキズ跡が残らない最大の鉛筆硬さと、塗膜が破壊しない最大の鉛筆硬さを測定した。
(3)耐擦り傷性
UV硬化塗膜表面をスチールウール(ボンスター#0000)を用いて荷重約200gで10回擦り、塗膜の擦り傷痕跡を目視により判定した。
(4)耐薬品性
キシレンを染み込ませた脱脂綿を用いて塗膜表面を100回擦り、塗膜表面の状態を観察した。
【0065】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体の側鎖及び/又は末端に重合性不飽和結合が形成された重合体と、
(B)1分子中に少なくとも3個の重合性不飽和結合を有するウレタン化合物と、
(C)1分子中に少なくとも4個の重合性不飽和結合を有し(B)成分と異なる多官能(メタ)アクリレートと、
(D)光重合開始剤と、を含有する光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に占める、(A)成分の量が20〜60質量部、(B)成分の量が10〜60質量部、(C)成分の量が10〜40質量部であり、
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に対する(D)成分の量が、0.1〜10質量部である、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体の側鎖及び/又は末端に重合性不飽和結合が形成された重合体と、
(B)1分子中に少なくとも3個の重合性不飽和結合を有するウレタン化合物と、
(C)1分子中に少なくとも4個の重合性不飽和結合を有し(B)成分と異なる多官能(メタ)アクリレートと、
(D)光重合開始剤と、
(E)重合性不飽和結合を有し(B)成分及び(C)成分と異なる光重合性単量体と、
を含有する、光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分の合計量100質量部に占める、(A)成分の量が20〜60質量部、(B)成分の量が10〜60質量部、(C)成分の量が10〜40質量部、(E)成分の量が30質量部以下であり、
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分の合計量100質量部に対する(D)成分の量が0.1〜10質量部である、請求項3記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
(A)成分は、(I)(メタ)アクリル酸グリシジルエステルと(II)1の重合性不飽和結合を有し(I)成分と異なる単量体とを重合して得られる重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体に、(III)重合性不飽和結合を有するカルボン酸を反応させてなる重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
(A)成分は、(i)水酸基を含有する(メタ)アクリレートと(ii)1の重合性不飽和結合を有し(i)成分と異なる単量体とを重合して得られる重量平均分子量が20,000以上の(メタ)アクリル系重合体に、(iii)イソシアネート基と重合性不飽和結合とを有する化合物を反応させてなる重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリル系重合体は、重合平均分子量が20,000〜70,000である、請求項5又は6に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
(メタ)アクリル系重合体は、ガラス転移温度が50℃以上である、請求項5又は6に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
(B)成分は、下記一般式(1)で表される化合物と、活性水素と重合性不飽和結合とを有する化合物と、を反応させてなる重合性不飽和結合を有するウレタン化合物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化1】


[式中、Rは2価の有機基である。]
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項11】
塗膜を形成する樹脂組成物を含む塗料組成物であって、
前記樹脂組成物として、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を含む、塗料組成物。
【請求項12】
請求項11記載の塗料組成物を硬化してなる塗料硬化物。
【請求項13】
フィルム状基材の一側又は両側に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物からなる層を備える、積層体。
【請求項14】
フィルム状基材の一側又は両側に、請求項11記載の塗料組成物からなる層を備える、積層体。


【公開番号】特開2006−70112(P2006−70112A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253378(P2004−253378)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】