説明

光素子モジュール、光伝送モジュール、および光伝送モジュールの製造方法

【課題】高画素数の撮像素子と信号処理装置間の高速信号伝送を可能にするとともに、小型化可能な光素子モジュール、光伝送モジュール、および光伝送モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光素子モジュール50は、光信号の入力または出力を行う光素子2と、光素子が実装される基板1と、光素子2から入出力される光信号を入出力する光ファイバ挿入用の貫通孔15を有し、光素子2と基板1の厚さ方向に並べて実装配置されるガイド保持部材3と、を備え、貫通孔15は光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光素子モジュール、光伝送モジュール、および光伝送モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の内視鏡は、挿入部が体内に深く挿入されることによって、病変部の観察を可能とし、さらに必要に応じて処置具が併用されることによって体内の検査、治療を可能としている。このような内視鏡として、挿入部の先端にCCD等の撮像素子を内蔵した撮像装置を備えた内視鏡がある。近年、より鮮明な画像観察を可能とする高画素数の撮像素子が開発されており、内視鏡への高画素数の撮像素子の使用が検討されている。内視鏡で高画素数の撮像素子を使用する場合、該撮像素子と信号処理装置との間を高速で信号を伝送するために、光伝送モジュールを内視鏡に組み込むことが必要となる。患者への負担ならびに観察視野の確保のためには、内視鏡挿入部の先端部外径ならびに先端部長はできるだけ小さくすることが希求されており、内視鏡内に組み込む光伝送モジュールを構成する硬質部分である光素子モジュールの幅および長さもできるだけ小さくする必要がある。
【0003】
一方、光信号と電気信号とを変換する光電変換素子回路に関する技術として、光ファイバの一端を挿入固定したフェルールを、光電変換素子と保持部材とが対向する面にそれぞれ実装された基板に対して、保持部材に形成された貫通孔に挿通することにより固定し、該基板には、フェルールおよび保持部材により固定された光ファイバの端面が露出する貫通孔が形成され、該貫通孔により光通信を行う光通信用モジュールが記載されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−090175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の通信用モジュールにおいては、フェルールに挿入固定された光ファイバを保持部材により基板に接合しているため、小型化するのが困難である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高画素数の撮像素子と信号処理装置間の高速信号伝送を可能にするとともに、小型化可能な光素子モジュール、光伝送モジュール、および光伝送モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる光素子モジュールは、光信号を入力する受光部または光信号を出力する発光部を有する光素子と、前記光素子が実装される基板と、を備える光素子モジュールにおいて、前記光素子の受光部または発光部から入出力される光信号を入出力する光ファイバ挿入用の貫通孔を有し、前記光素子と前記基板の厚さ方向に並べて実装配置されガイド保持部材を備え、前記貫通孔は前記光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなしていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記光素子は、前記発光部または前記受光部が前記基板と対向するように前記基板にフリップチップ実装され、前記ガイド保持部材は、前記基板の前記光素子が実装された面とは反対側の面に実装され、前記基板は、異なる面に位置する前記光素子と前記光ファイバとの間で光信号を送受信する孔部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記孔部の内径は、前記貫通孔の内径と同径または大きいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記貫通孔の前記基板と接する側の端部がテーパ形状をなすことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記貫通孔の光ファイバ挿入口側の端部がテーパ形状をなすことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記基板の前記光素子の実装面の孔部周辺に、実装面から突起する凸状部材が形成されることを特徴とする。
【0013】
前記基板の前記ガイド保持部材の実装面の孔部周辺に、実装面から突起する凸状部材が形成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記光素子は、前記発光部または前記受光部が前記基板との実装面の反対側の面に位置するようにワイヤボンディング実装され、前記ガイド保持部材は、前記基板の前記光素子が実装された面と同一面に実装されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記貫通孔は前記光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなし、光ファイバ挿入口側がテーパ形状をなすことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる光素子モジュールは、上記発明において、前記貫通孔の前記光素子側端面と前記発光部または前記受光部との間に、挿通する光ファイバの端面から前記発光部または前記受光部までの距離を調整しうる空間を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる光伝送モジュールは、上記に記載の光素子モジュールを用いた光伝送モジュールであって、さらに、前記貫通孔に挿入された光ファイバを有し、前記光ファイバは、前記光ファイバの一方の端面と前記光素子の発光部または受光部とを光学的に位置合わせして前記ガイド保持部材に接合されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる光伝送モジュールは、上記発明において、前記光ファイバの他方の端面に光学的に位置合わせし、前記光素子の受光部に対し光信号を出力する発光部を有する送信モジュール、または、前記光素子の受光部が出力した光信号を入力する発光部を有する受信モジュールを更に有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる光伝送モジュールの製造方法は、光信号を入力する受光部または光信号を出力する発光部を有する光素子と、前記光素子が実装された基板と、前記光素子に光信号の入力または出力を行う光ファイバと、を備える光伝送モジュールの製造方法において、前記基板の表面に前記光素子を実装する光素子実装ステップと、前記光素子実装ステップの後、前記基板に前記光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなす貫通孔を有するガイド保持部材を、該ガイド保持部材と前記光素子とが前記基板の厚さ方向に並ぶよう配置して実装するガイド保持部材実装ステップと、前記光ファイバを前記貫通孔に挿入し、前記貫通孔の前記光素子側端面と前記発光部または前記受光部との間の空間を介し、前記光ファイバ端面と前記発光部または前記受光部とを光学的に位置合わせした後、前記光ファイバを前記ガイド保持部材に接合する接合ステップと、含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光素子と、光素子が実装される基板と、を備える光素子モジュールにおいて、光ファイバ挿入用の貫通孔を有するガイド保持部材と前記光素子とを前記基板の厚さ方向に並べて実装配置し、前記光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなす前記貫通孔に光ファイバを挿通し、挿通する光ファイバの端面から前記発光部または前記受光部までの距離を調整して接合することにより、光素子モジュールを小型化可能で、かつ光伝送効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る光素子モジュールの断面図である。
【図2】図2は、図1の光素子モジュールを使用した光伝送モジュールの断面図である。
【図3】図3は、図2の光伝送モジュールの光素子モジュールと光ファイバとの固定部分の断面図である。
【図4】図4は、図2の光伝送モジュールの基板の孔部を面発光レーザ側からみた平面図である。
【図5】図5は、実施の形態2に係る光素子モジュールの断面図である。
【図6】図6は、実施の形態2で使用するガイド保持部材の斜視図である。
【図7】図7は、図5の光素子モジュールに光ファイバを挿通固定した光伝送モジュールの断面図である。
【図8】図8は、実施の形態2の変形例1に係る光素子モジュールの断面図である。
【図9】図9は、実施の形態2の変形例2に係る光素子モジュールの断面図である。
【図10】図10は、実施の形態3に係る光伝送モジュールの断面図である。
【図11】図11は、図10の光伝送モジュールの基板の孔部を面発光レーザ側からみた平面図である。
【図12】図12は、実施の形態3の変形例1にかかる光伝送モジュールの断面図である。
【図13】図13は、実施の形態3の変形例2にかかる光伝送モジュールの断面図である。
【図14】図14は、実施の形態3の変形例3にかかる光伝送モジュールの断面図である。
【図15】図15は、実施の形態4に係る光素子モジュールの断面図である。
【図16】図16は、図15の光素子モジュールに光ファイバを挿通固定した光伝送モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率などは、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光素子モジュール50の断面図である。図2は、図1の光素子モジュール50を使用した光伝送モジュール100の断面図である。図3は、図2の光伝送モジュール100の光素子モジュール50と光ファイバ4との固定部分の断面図である。図4は、図2の光伝送モジュール100の基板1の孔部10を面発光レーザ側2からみた平面図である。
【0024】
本発明の実施の形態1にかかる光伝送モジュール100は、光素子モジュール50と、光信号を伝送する光ファイバ4と、光素子モジュール50に光信号を送信、または光素子モジュール50から光信号を受信する光素子モジュール30と、を備える。光素子モジュール50と光素子モジュール30は、送信モジュールまたは受信モジュールとして機能するが、一方が送信モジュールとして機能する場合、他方は受信モジュールとして機能するものとする。本実施の形態1においては、光素子モジュール50が送信モジュールであり、光素子モジュール30が受信モジュールである場合について説明する。
【0025】
光素子モジュール50は、基板1と、基板1に実装される発光素子である面発光レーザ2と、面発光レーザ2の実装面と対向する基板1の面に実装されるガイド保持部材3と、を備える。光ファイバ4は、光素子モジュール50に接合され、光ファイバ4の他方の端面には、光素子モジュール30が接続されている。光素子モジュール30は、面発光レーザ2が出力した光信号を受けて光−電流変換するフォトダイオード(以下PD)である受光素子31と、この変換した電流信号をインピーダンス変換、増幅し、電圧信号として出力するトランスインピーダンスアンプ32(Transimpedance Amplifier)(以下TIA32)とを有している。光素子モジュール30は、TIA32を介して、さらに外部の信号処理回路に接続される。
【0026】
光素子モジュール50は、基板1の対向する面に、ガイド保持部材3と面発光レーザ2とが基板1の厚さ方向に並べて実装配置される。基板1として、FPC基板やセラミック基板、ガラエポ基板、ガラス基板、Si基板等が使用される。基板1には、接続電極11が形成され、接続電極11を介し面発光レーザ2に電気信号が送信される。面発光レーザ2は、発光部12が基板1と対向するように基板1に実装されるフリップチップタイプである。基板1への面発光レーザ2の実装は、例えば、面発光レーザ2にAuバンプ13を形成し、基板1の接続電極11上に超音波により接合する。接合部に、アンダーフィル材やサイドフィル材等の接着剤14を注入し、接着剤14を硬化させて実装する。あるいは、Auバンプ13を使用せず、基板1にはんだペースト等を印刷し、面発光レーザ2を配置した後、リフロー等ではんだを溶融して実装してもよい。あるいは、面発光レーザ2にはんだバンプを形成し、基板1の接続電極11上に実装装置により配置およびはんだ溶融することで実装してもよい。
【0027】
ガイド保持部材3は、保持する光ファイバ4の外径と略同一径の円柱状をなす貫通孔15を有する。ガイド保持部材3の基板1への実装は、例えば、基板1の実装面に接着剤16を塗布後、ガイド保持部材3をボンダー等の装置により接着剤16上にマウントし、接着剤16を硬化させて実装する。貫通孔15は、円柱状のほか、その内面で光ファイバ4を保持できれば、角柱状であってもよい。ガイド保持部材3の材質はセラミック、Si、ガラス、SUS等の金属部材、等である。
【0028】
基板1は、面発光レーザ2と光信号を送受信する孔部10を有する。孔部10の内径は、貫通孔15の内径と同径または僅かに大きく形成される。ガイド保持部材3の貫通孔15に挿入されて、光素子モジュール50に実装される光ファイバ4は、孔部10を介して面発光レーザ2の発光部12から発光される光を受信する。
【0029】
基板1への面発光レーザ2の実装において、二視野光学系を用いて面発光レーザ2の発光部12の中心と孔部10の中心とを位置合わせし、発光部12の真下に孔部10が位置するように実装する。また、ガイド保持部材3の基板1への実装において、二視野光学系を用いて面発光レーザ2の発光部12の中心と貫通孔15の中心とを位置合わせし、実装する。
【0030】
光素子モジュール50への光ファイバ4の実装は、貫通孔15を介して行われる。光素子モジュール50は、貫通孔15の面発光レーザ2側の端面と発光部12との間に、挿通する光ファイバ4の端面から発光部12までの距離を調整しうる、孔部10と空間17とを有する。空間17は、面発光レーザ2と基板1との間の隙間である。光ファイバ4は、貫通孔15に挿入され、孔部10を通して発光部12の近傍まで挿通され、発光部12からの出力された光を効率よく入力できる位置で接着剤18によりガイド保持部材3と接合して光伝送モジュール100となる。なお、光ファイバ4を簡易に接合する場合には、発光部12と光ファイバ4の端面とを接触させて接合すればよい。
【0031】
光ファイバ4は、光を伝送するコア19と、コアの外周に設けられるクラッド20とからなり、樹脂等のジャケットで被覆されない状態で貫通孔15に挿入される。本明細書において、光ファイバ4の外径はクラッド20の径とする。
【0032】
光ファイバ4としてマルチモード光ファイバを使用した場合、コア19の径は50μm程度、面発光レーザ2の発光部12の発光領域は20μm程度の円形であり、図4に示すように、コア19内に発光部12の発光領域が入っており、光結合を容易に行いうる。
【0033】
実施の形態1にかかる光伝送モジュール100において、面発光レーザ2は、基板1上に実装された図示しない電子デバイスからの電気信号を受信し、受信した電気信号を光信号に変換して発光部12を点灯・消灯し、発光部12から出力された光信号が光ファイバ4に入力され、光ファイバ4が図示しない信号処理装置等に光信号を送信し、データが伝送される。
【0034】
実施の形態1にかかる光伝送モジュール100は、ガイド保持部材3のみで容易に光ファイバ4を位置決めするとともに、光ファイバ4の保持も行うことができるため、小型化が可能となる。また、光ファイバ4の接合強度を劣化させることなく、光ファイバ4と面発光レーザ2との光学的な結合が可能となる。なお、本実施の形態1では、面発光レーザ2と光ファイバ4との間で光通信を行う光伝送モジュール100について説明したが、光素子として面発光レーザ2を受光素子に変えた光伝送モジュールにおいても、ガイド保持部材3のみで容易に光ファイバ4を位置決め保持することができる。したがって、面発光レーザ2を実装した光伝送モジュールと同様に小型化可能であり、光ファイバ4の接合強度を劣化させることなく、光ファイバ4と受光素子との光学的な結合が可能である。
【0035】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる光伝送モジュールは、ガイド保持部材の貫通孔の両端部にそれぞれテーパが形成されている点で、実施の形態1の光伝送モジュール100と異なる。以下、図面を参照して、実施の形態2にかかる光伝送モジュールを説明する。図5は、実施の形態2に係る光素子モジュール60の断面図である。図6は、実施の形態2で使用するガイド保持部材3Aの斜視図である。図7は、図5の光素子モジュール60に光ファイバ4を挿通固定した光伝送モジュール200の断面図である。なお、図7の光伝送モジュール200は、光素子モジュール60と光ファイバ4で形成されているが、実施の形態1の光伝送モジュール100と同様に、光ファイバ4の他方の端面に、光素子モジュール30を接続した構成としてもよい。
【0036】
実施の形態2にかかる光素子モジュール60は、貫通孔15の両端部にそれぞれテーパ21、テーパ22が形成されている。
【0037】
実施の形態2において、ガイド保持部材3Aの基板1への実装は、基板1の実装面に接着剤16を塗布後、ガイド保持部材3Aをボンダー等の装置により接着剤16上にマウントし、接着剤16を硬化させて実装する。例えば、接着剤16の供給量が所定量より多く供給された場合、またはガイド部材3Aのマウントの際に所定より大きな負荷がかかったような場合、接着剤16は、基板1の孔部10内部に溢れ、硬化されるおそれがある。接着剤16が孔部10内にまではみ出して硬化されると、光ファイバ4の孔部10への挿入ができないという問題が生じることになる。ガイド保持部材3Aの基板1の実装面側にテーパ21を形成することにより、接着剤16の供給量が過多の場合であっても、余分な接着剤16がテーパ21内に留まり、孔部10内へのはみ出しがなく、光ファイバ4の挿通を問題なく行うことができる。これにより、光素子モジュール60製造の際の歩留まりを向上できる。
【0038】
また、実施の形態2において、光ファイバ4は、テーパ22が挿入側に形成された貫通孔15に挿入され、孔部10を通して発光部12の近傍まで挿通され、発光部12からの出力された光を効率よく入力できる位置で接着剤18によりガイド保持部材3Aと接合される。貫通孔15の光ファイバ4挿入側にテーパ22を形成することにより、光ファイバの貫通孔15への挿入を容易に行うことができる。さらに接着剤18をテーパ22内に供給して、光ファイバ4とガイド保持部材3Aとを接合するため、ガイド保持部材3Aと光ファイバ4との接合面積を大きくでき、接合強度を向上することができる。
【0039】
なお、接着剤16の孔部10へのはみ出しを防止する、光ファイバ4の貫通孔15への挿入を容易にする、ガイド保持部材3Aと光ファイバ4との接合面積を大きくできる形状であれば、テーパに限定されるものでなく、例えば、貫通孔15の両端部に、貫通孔15の内径より大きな径の円柱形状の溝部を形成してもよい。
【0040】
また、実施の形態2の光素子モジュール60の変形例1として、図8に示す光素子モジュール60Bが例示される。変形例1にかかる光素子モジュール60Bにおいて、ガイド保持部材3Bの貫通孔15には、基板1と接する側にのみテーパ21が形成されている。テーパ21を貫通孔15に形成することにより、接着剤16の孔部10へのはみ出しを防止して、光素子モジュール60B製造の際の歩留まりを向上できる。
【0041】
さらに、実施の形態2の光素子モジュール60の変形例2として、図9に示す光素子モジュール60Cが例示される。変形例2にかかる光素子モジュール60Cにおいて、ガイド保持部材3Cの貫通孔15には、光ファイバ4挿入口側にのみテーパ22が形成されている。テーパ22を貫通孔15に形成することにより、光ファイバ4の挿入時のガイドとしての機能を果たすだけでなく、光ファイバ4とガイド保持部材3Cとの接合の際に、テーパに接着剤18を供給することにより接着面積を増加し、接着強度を向上することができる。また、貫通孔15を、光ファイバ4挿入口側から出口側まで一体のテーパ形状としてもよい。貫通孔15を一体のテーパとする場合は、光ファイバ4出口側に光ファイバ4の外径と略同一径の保持部分を設けて、光ファイバ4をガイド保持部材3Cに接合する際にずれなく位置あわせできるようにすることが好ましい。
【0042】
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる光伝送モジュールは、基板の孔部周辺に凸上部材が形成されている点で、実施の形態1にかかる光伝送モジュール100と異なる。以下、図面を参照して、実施の形態3にかかる光伝送モジュールを説明する。図10は、実施の形態3に係る光伝送モジュール300の断面図である。図11は、図10の光伝送モジュール300の基板1Aの孔部10を面発光レーザ2側からみた平面図である。なお、図10の光伝送モジュール300は、光素子モジュール70と光ファイバ4で形成されているが、実施の形態1の光伝送モジュール100と同様に、光ファイバ4の他方の端面に、光素子モジュール30を接続した構成としてもよい。
【0043】
実施の形態3にかかる光伝送モジュール300において、基板1Aの孔部10周辺に、凸状部材23および凸状部材24が形成されている。凸状部材23は、基板1Aのガイド保持部材3Aの実装側の孔部10周辺に形成される短円筒形状をなす。凸状部材24は、基板1Aの面発光レーザ2の実装側の孔部10周辺に形成される短円筒形状をなす。凸状部材23および凸状部材24の内径は孔部10の径と同じまたは僅かに大きいものとする。図10は、図9の光伝送モジュール300の基板1Aの孔部10を面発光レーザ2側からみた平面図であるが、凸状部材23を凸状部材24と同一形状とし、孔部10に対して同じ位置に形成すれば、光伝送モジュール300の基板1Aの孔部10をガイド部材3A側からみた平面図も、図10と同じになる(凸状部材24が凸状部材23となる)。凸状部材23および凸状部材24は、レジスト等により形成され、基板1A表面にレジストを塗布して、フォトリソグラフィ工程により所望の形状に形成される。
【0044】
実施の形態3において、ガイド保持部材3Aの基板1Aへの実装は、基板1Aの実装面である凸状部材23の外周部に接着剤16を塗布後、ガイド保持部材3Aをボンダー等の装置により接着剤16を塗布した基板1A上にマウントし、接着剤16を硬化させて実装する。基板1のガイド保持部材3A実装側の孔部10周辺に凸状部材23を形成することにより、接着剤16が多く塗布された場合であっても、接着剤16が凸状部材23によりせき止められるとともに、接着剤16がガイド保持部材3Aのテーパ21内に流れ込むことにより、接着剤16が孔部10内にはみ出すのを防止できるので、光ファイバ4の挿通を問題なく行うことができる。これにより、光伝送モジュール300製造の際の歩留まりを向上できる。
【0045】
また、実施の形態3において、面発光レーザ2の基板1Aへの実装は、面発光レーザ2の基板1Aとの接続面にAuバンプ13を形成し、基板1Aの接続電極11上に配置して超音波装置により接合され、接合部には接着剤14が注入され、接着剤14を硬化して実装する。基板1Aの面発光レーザ2実装側の孔部10周辺に凸状部材24を形成することにより、凸状部材23は接着剤14をせき止める。これにより、孔部10内への接着剤14のはみ出しを防止し、光ファイバ4の挿通を問題なく行うことができる、光伝送モジュール300製造の際の歩留まりを向上できる。
【0046】
また、実施の形態3の光伝送モジュール300の変形例1として、図12に示す光伝送モジュール300Bが例示される。変形例1にかかる光伝送モジュール300Bにおいて、基板1Bの面発光レーザ2実装面の孔部10周辺にのみ凸状部材24が形成されている。変形例1では、凸状部材24を面発光レーザ2実装面の孔部10周辺に形成することにより、接着剤14の孔部10内へのはみ出しを防止して、光ファイバ4の挿通を問題なく行うことができる。また、ガイド保持部材3Bの貫通孔15には、基板1Bと接する側にテーパ21が形成されているので、接着剤16の孔部10へのはみ出しを防止できる。
【0047】
さらに、実施の形態3の光伝送モジュール300の変形例2として、図13に示す光伝送モジュール300Cが例示される。変形例2にかかる光伝送モジュール300Cにおいて、基板1Aの孔部10周辺には凸状部材23および凸状部材24が形成される。また、変形例2では、ガイド保持部材3の基板1A側の貫通孔15にはテーパが形成されていない。変形例2では、凸状部材24を面発光レーザ2実装面の孔部10周辺に形成することにより、接着剤14の孔部10内へのはみ出しを防止して、光ファイバ4の挿通を問題なく行うことができる。さらに、凸状部材23をガイド保持部材3実装面の孔部10周辺に形成することにより、接着剤16の孔部10内へのはみ出しを防止して、光ファイバ4の挿通を問題なく行うことができる。なお、凸状部材23をガイド保持部材3の貫通孔15の周辺に形成しても同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、実施の形態3の光伝送モジュール300の変形例3として、図14に示す光伝送モジュール300Dが例示される。変形例3にかかる光伝送モジュール300Dにおいて、基板1Dのガイド保持部材3実装面の孔部10周辺にのみ凸状部材23が形成される。変形例3では、凸状部材23をガイド保持部材3実装面の孔部10周辺に形成することにより、接着剤16の孔部10内へのはみ出しを防止して、光ファイバ4の挿通を問題なく行うことができる。なお、変形例2と同様に、凸状部材23をガイド保持部材3の貫通孔15の周辺に形成しても同様の効果を得ることができる。
【0049】
(実施の形態4)
実施の形態4にかかる光伝送モジュール400は、発光部が基板との実装面の反対に位置するように基板に実装されるワイヤボンディングタイプの面発光レーザを光素子として使用する。図15は、実施の形態4に係る光素子モジュール80の断面図である。図16は、図15の光素子モジュール80に光ファイバ4を挿通固定した光伝送モジュール400の断面図である。なお、図16の光伝送モジュール400は、光素子モジュール80と光ファイバ4で形成されているが、実施の形態1の光伝送モジュール100と同様に、光ファイバ4の他方の端面に、光素子モジュール30を接続した構成としてもよい。
【0050】
基板1E上には、接続電極11Aと接続電極11Bとが形成される。接続電極11A上に、Agペーストやはんだペースト等の導電性接着剤25を塗布し、発光部12が基板1Eとの実装面の反対に位置するように面発光レーザ2Aを配置し、導電性接着剤25を加熱して面発光レーザ2Aを接続電極11Aにダイボンドする。面発光レーザ2Aの発光部12側には接続電極11Cが形成され、接続電極11Cと接続電極11BとはAu線等によりワイヤボンディングされている。ワイヤボンディング部は、必要に応じて樹脂接着剤により補強してもよい。
【0051】
ガイド保持部材3Eは、内部に面発光レーザ2Aを収容する空間17Eを有し、基板1Eの面発光レーザ2A実装面に実装される。基板1Eに接着剤16を塗布した後、ボンダー等によりガイド保持部材3Eを接着剤16上にマウントし、接着剤16を硬化してガイド保持部材3Eを実装する。ガイド保持部材3Eの基板1Eへの実装において、二視野光学系を用いて面発光レーザ2の発光部12の中心と貫通孔15の中心とを位置合わせして、実装する。
【0052】
光素子モジュール80への光ファイバ4の実装は、貫通孔15を介して行われる。貫通孔15は、光ファイバ4の外径と略同一径の円柱状をなす。貫通孔15の光ファイバ4挿入側には、テーパ22が形成されている。光ファイバ4は、テーパ22を介し貫通孔15に挿入され、発光部12の近傍まで挿通され、発光部12からの出力された光を効率よく入力できる位置で接着剤18によりガイド保持部材3Eと接合される。光素子モジュール70に光ファイバ4を接合すると、実施の形態4にかかる光伝送モジュール400となる。本実施の形態4にかかる光伝送モジュール400では、貫通孔15の光ファイバ4挿入側にテーパ22を形成することにより、光ファイバ4の貫通孔15への挿入を容易に行うことができる。さらに接着剤18をテーパ22内に供給して、光ファイバ4とガイド保持部材3Eとを接合するため、ガイド保持部材3Eと光ファイバ4との接合面積を大きくでき、接合強度を向上することができる。
【0053】
本実施の形態4にかかる光伝送モジュール400は、基板1Eの片側面に面発光レーザ2Aとガイド保持部材3Eとを集約して実装する。これにより、設計自由度の高い光伝送モジュール400の製造が可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明の光素子モジュール、光伝送モジュールおよび光伝送モジュールの製造方法は、高画素数の撮像素子と信号処理装置間を高速で信号伝送を行う用途に適する。また、本発明の光伝送モジュールは、例えば内視鏡や超音波画像システム(超音波内視鏡)のように、高速でデータ通信を行い、小型化が要求される用途に特に適している。
【符号の説明】
【0056】
1 基板
2 面発光レーザ
3 ガイド保持部材
4 光ファイバ
10 孔部
11 接続電極
12 発光部
13 Auバンプ
14、16、18 接着剤
15 貫通孔
17 空間
19 コア
20 クラッド
21、22 テーパ
23、24 凸状部材
50 光素子モジュール
100 光伝送モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を入力する受光部または光信号を出力する発光部を有する光素子と、前記光素子が実装される基板と、を備える光素子モジュールにおいて、
前記光素子の受光部または発光部から入出力される光信号を入出力する光ファイバ挿入用の貫通孔を有し、前記光素子と前記基板の厚さ方向に並べて実装配置されガイド保持部材を備え、
前記貫通孔は前記光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなしていること を特徴とする光素子モジュール。
【請求項2】
前記光素子は、前記発光部または前記受光部が前記基板と対向するように前記基板にフリップチップ実装され、
前記ガイド保持部材は、前記基板の前記光素子が実装された面とは反対側の面に実装され、
前記基板は、異なる面に位置する前記光素子と前記光ファイバとの間で光信号を送受信する孔部を有することを特徴とする請求項1に記載の光素子モジュール。
【請求項3】
前記孔部の内径は、前記貫通孔の内径と同径または大きいことを特徴とする請求項2に記載の光素子モジュール。
【請求項4】
前記貫通孔の前記基板と接する側の端部がテーパ形状をなすことを特徴とする請求項3に記載の光素子モジュール。
【請求項5】
前記貫通孔の光ファイバ挿入口側の端部がテーパ形状をなすことを特徴とする請求項3または4に記載の光素子モジュール。
【請求項6】
前記基板の前記光素子の実装面の孔部周辺に、実装面から突起する凸状部材が形成されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の光素子モジュール。
【請求項7】
前記基板の前記ガイド保持部材の実装面の孔部周辺に、実装面から突起する凸状部材が形成されることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の光素子モジュール。
【請求項8】
前記光素子は、前記発光部または前記受光部が前記基板との実装面の反対側の面に位置するようにワイヤボンディング実装され、
前記ガイド保持部材は、前記基板の前記光素子が実装された面と同一面に実装されることを特徴とする請求項1に記載の光素子モジュール。
【請求項9】
前記貫通孔は前記光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなし、光ファイバ挿入口側がテーパ形状をなすことを特徴とする請求項8に記載の光素子モジュール。
【請求項10】
前記貫通孔の前記光素子側端面と前記発光部または前記受光部との間に、挿通する光ファイバの端面から前記発光部または前記受光部までの距離を調整しうる空間を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の光素子モジュール。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載の光素子モジュールを用いた光伝送モジュールであって、さらに、
前記貫通孔に挿入された光ファイバを有し、
前記光ファイバは、前記光ファイバの一方の端面と前記光素子の発光部または受光部とを光学的に位置合わせして前記ガイド保持部材に接合されることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項12】
前記光ファイバの他方の端面に光学的に位置合わせし、前記光素子の受光部に対し光信号を出力する発光部を有する送信モジュール、または、前記光素子の発光部が出力した光信号を入力する受光部を有する受信モジュールを更に有することを特徴とする請求項11に記載の光伝送モジュール。
【請求項13】
光信号を入力する受光部または光信号を出力する発光部を有する光素子と、前記光素子が実装された基板と、前記光素子に光信号の入力または出力を行う光ファイバと、を備える光伝送モジュールの製造方法において、
前記基板の表面に前記光素子を実装する光素子実装ステップと、
前記光素子実装ステップの後、前記基板に前記光ファイバの外径と略同一径の円柱状をなす貫通孔を有するガイド保持部材を、該ガイド保持部材と前記光素子とが前記基板の厚さ方向に並ぶよう配置して実装するガイド保持部材実装ステップと、
前記光ファイバを前記貫通孔に挿入し、前記光ファイバ端面と前記発光部または前記受光部とを光学的に位置合わせした後、前記光ファイバを前記ガイド保持部材に接合する接合ステップと、
を含むことを特徴とする光伝送モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−25092(P2013−25092A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159847(P2011−159847)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】