説明

光終端装置

【課題】映像用光回線装置の動作状態を自動でサービス局に通知することができる光終端装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光回線網に接続されサービス局32との間で光信号の送受信を行う通信用光回線装置24と、光回線網に接続され前記サービス局から送信された光信号の受信を行う映像用光回線装置25とを有する光通信システムの光終端装置であって、映像用光回線装置25は、自装置の状態情報を収集して前記通信用光回線装置24に通知する通知手段68を有し、通信用光回線装置24は、自装置の状態情報を収集してサービス局32に送信する送信手段43を有し、通信用光回線装置24は、映像用光回線装置25の通知手段68から通知された状態情報を自装置の状態情報と共に送信手段43を用いて前記サービス局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回線網を用いた光通信システムの光終端装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FTTH(Fiber To The Home)等の光ファイバ回線網を用いて、電話サービス、インターネット接続サービス、テレビジョン放送サービス等を行う光通信サービスが普及してきている。この種の光通信サービスを行う光ネットワークでは、ユーザ側のノードとして、光ファイバケーブルで伝送された光信号を電気信号に変換する光終端装置がユーザ宅内に設置される。そして、光終端装置にモデムや端末、テレビジョン受信機等が接続され、サービス提供者との間でデータ通信が行われる。この種の光終端装置は、データ通信用、映像配信用等の各種用途別に構成されたONU(Optical Network Unit:光回線装置)を備えている。
【0003】
図4は、従来の光通信システムの光終端装置の一例の構成図を示す。図4において、光終端装置1はユーザ宅内に設置されており、光ネットワークの通信用光ファイバ2及び映像用光ファイバ3が接続されている。光終端装置1内にはD−ONU(通信用−ONU)4とV−ONU(映像用−ONU)5が設けられている。
【0004】
D−ONU4には通信用光ファイバ2の一端が接続されると共に、LANケーブル6によりパーソナルコンピュータ(PC)7と接続され、AC(交流)電源8から電源を供給されている。D−ONU4は通信用光ファイバ2から供給される光信号を電気信号に変換してパーソナルコンピュータ7に供給する。また、パーソナルコンピュータ7から供給される電気信号を光信号に変換して光ファイバ2に送出する。
【0005】
V−ONU5には映像用光ファイバ3の一端が接続されると共に、同軸ケーブル10によりテレビジョン受信機(TV)11と接続され、AC電源12から電源を供給されている。V−ONU5は映像用光ファイバ3から供給される光信号を電気信号(RF信号)に変換してテレビジョン受信機11に供給する。
【0006】
通信用光ファイバ2及び映像用光ファイバ3それぞれの他端は事業者側のサービス局13の接続されている。
【0007】
なお、光接続終端部を介して光ファイバにより伝送される光の波長を分離する波長分離部と、波長分離部に接続する通信モジュールを着脱可能に装着する通信モジュール接続部と、通信モジュール接続部に装着される通信モジュールとして、ビデオ通信モジュール又はデータ通信モジュールのいずれか一つを備える技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
また、WDMデバイスを光伝送路の途中の光信号の分岐前位置に配設することにより、WDMデバイスの使用個数を全体的に減少させ、かつ、システム全体のコストダウンを図る技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−277962号公報
【特許文献2】特開2005−294994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
D−ONU4は、自装置の状態を表す情報を、双方向通信路である通信用光ファイバ2を通して事業者側のサービス局13に通知している。これに対し、映像用光ファイバ3は片方向通信路であるため、V−ONU5は自装置の状態を表す情報を事業者側のサービス局13に対し通知していなかった。
【0011】
このため、V−ONU5に障害が発生したような場合には、ユーザがサービス局に電話でV−ONU5の障害状況を伝えるか、又は、保守要員がユーザを訪ねてV−ONU5の障害状況を確認する必要があり、障害状況を把握するのに手間がかかり、障害復旧に時間がかかるというという問題があった。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、映像用光回線装置の動作状態を自動でサービス局に通知することができる光終端装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施態様による光終端装置は、光回線網に接続されサービス局(32)との間で光信号の送受信を行う通信用光回線装置(24)と、前記光回線網に接続され前記サービス局から送信された光信号の受信を行う映像用光回線装置(25)とを有する光通信システムの光終端装置であって、
前記映像用光回線装置(25)は、自装置の状態情報を収集して前記通信用光回線装置(24)に通知する通知手段(68)を有し、
前記通信用光回線装置(24)は、自装置の状態情報を収集して前記サービス局(32)に送信する送信手段(43)を有し、
前記通信用光回線装置(24)は、前記映像用光回線装置(25)の通知手段(68)から通知された状態情報を前記自装置の状態情報と共に前記送信手段(43)を用いて前記サービス局に送信する。
【0014】
好ましくは、前記映像用光回線装置(25)は、前記光回線網から受信した光信号の入力レベルを検知して前記状態情報とする光検知手段(64)を有する。
【0015】
好ましくは、前記映像用光回線装置は、供給される電源電圧を検知して前記状態情報とする電圧検知手段(76)を有する。
【0016】
好ましくは、前記映像用光回線装置(25)と前記通信用光回線装置(24)は、同一の筐体に実装され、同一の電源を供給される。
【0017】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、映像用光回線装置の動作状態を自動でサービス局に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の光通信システムの光終端装置の一実施形態の構成図である。
【図2】D−ONUとV−ONU間の接続を模式的に示す図である。
【図3】D−ONU及びV−ONUの詳細構成図である。
【図4】従来の光通信システムの光終端装置の一例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0021】
<光通信システムの光終端装置>
図1は、本発明の光通信システムの光終端装置の一実施形態の構成図を示す。図1において、光終端装置21はユーザ宅内に設置されており、光ネットワークの通信用光ファイバ22及び映像用光ファイバ23が接続されている。光終端装置21の筐体内にはD−ONU(通信用光回線装置)24とV−ONU25(映像用光回線装置)が実装されている。
【0022】
D−ONU24には通信用光ファイバ22の一端が接続されると共に、LANケーブル26によりパーソナルコンピュータ27と接続され、AC電源28から電源を供給されている。D−ONU24は通信用光ファイバ22から供給される光信号を電気信号に変換してパーソナルコンピュータ27に供給する。また、パーソナルコンピュータ27から供給される電気信号を光信号に変換して通信用光ファイバ22に送出する。
【0023】
V−ONU25には映像用光ファイバ23の一端が接続されると共に、同軸ケーブル30によりテレビジョン受信機31と接続され、AC電源28から電源を供給されている。V−ONU25は映像用光ファイバ23から供給される光信号を電気信号(RF信号)に変換してテレビジョン受信機31に供給する。
【0024】
通信用光ファイバ22及び映像用光ファイバ23それぞれの他端は事業者側のサービス局32の接続されている。
【0025】
<D−ONUとV−ONU間の接続>
図2にD−ONU24とV−ONU25間の接続を模式的に示す。図2において、V−ONU25は、AC電源28から直接電源を供給されており、D−ONU24はV−ONU25を介してAC電源28からの電源を供給されている。
【0026】
V−ONU25は電源電圧検出回路35と光入力レベル検出回路36を有している。電源電圧検出回路35はAC電源28から供給される電源電圧をV−ONU25内の基準電圧V1,V2(V1>V2)と比較して、電源電圧が基準電圧V1以上、電源電圧が基準電圧V1未満かつV2以上、電源電圧が基準電圧V2未満、それぞれの状態を2ビットで表す電源電圧検出情報を生成する。
【0027】
光入力レベル検出回路36は映像用光ファイバ23から供給される光信号の入力レベルを検出し、検出レベルをV−ONU25内に保持している基準レベルL1,L2(L1>L2)と比較して、検出レベルが基準レベルL1以上、検出レベルが基準レベルL1未満かつL2以上、検出レベルが基準レベルL2未満、それぞれの状態を2ビットで表す光入力レベル検出情報を生成する。
【0028】
なお、V−ONU25は上記電源電圧検出情報と光入力レベル検出情報にも、例えば映像用光ファイバ23から供給される光信号の帯域制限情報等のその他の状態情報を生成する構成であっても良い。V−ONU25は電源電圧検出情報,光入力レベル検出情報等の状態情報をパラレルもしくはシリアルにD−ONU24に供給する。
【0029】
<D−ONUの詳細構成>
図3はD−ONU24及びV−ONU25の詳細構成図を示す。図3において、D−ONU24の光コネクタ41には通信用光ファイバ22が接続されている。光トランシーバ42は通信用光ファイバ22から光コネクタ41を介して光信号を受信し電気信号の受信フレームに変換してD−ONUプロセッサ43に供給すると共に、D−ONUプロセッサ43から供給される送信フレームを電気信号から光信号に変換して光コネクタ41を介し通信用光ファイバ22に送出する。
【0030】
D−ONUプロセッサ43にはメモリ44,発振器(OSC)45が併設されている。D−ONUプロセッサ43は受信フレーム及び送信フレームのMAC処理を行うと共に、保守フレームを生成する。D−ONUプロセッサ43は物理層処理部(PHY)46を介して接続されるIP電話機47との間でVoIP(Voice over Internet Protocol)フレームの送受信を行い、また、物理層処理部48を介して接続されるパーソナルコンピュータ27との間でデータフレームの送受信を行う。
【0031】
また、D−ONUプロセッサ43はインタフェース部43aを有しており、インタフェース部43aにはV−ONUプロセッサ68のインタフェース部68aから状態情報が供給される。D−ONUプロセッサ43はD−ONU24各部の動作状態を収集してD−ONU24の状態情報として保守フレームに格納する共に、V−ONUプロセッサ68から供給された状態情報を保守フレームの一部に格納する。D−ONUプロセッサ43は定期的に、又は、サービス局32からの要求があったときに、上記の保守フレームをサービス局32に送信する。
【0032】
D−ONU24の電源回路51はV−ONU25の配線74を通して電源を供給されており、この電源を安定化してD−ONU24の各部に供給する。
【0033】
<V−ONUの詳細構成>
V−ONU25の光コネクタ61には映像用光ファイバ23が接続されている。光受信部62は映像用光ファイバ23から光コネクタ61を介して光信号を受信し電気信号に変換して分配器63に供給すると共に、光信号の入力レベルを検出して光入力検知回路64に供給する。分配器63は受信した電気信号の周波数分離を行い、CATV(Community Antenna TeleVision)放送帯域のRF信号をRF部65に供給し、BS(衛星放送)放送帯域のRF信号をRF部66に供給し、制御信号帯域のRF信号をFSKレシーバ67に供給する。
【0034】
光入力検知回路64は光入力レベル検出回路36に対応しており、光信号の検出レベルを基準レベルL1,L2と比較して、検出レベルが基準レベルL1以上、検出レベルが基準レベルL1未満かつL2以上、検出レベルが基準レベルL2未満、それぞれの状態を2ビットで表す光入力レベル検出情報を生成し、V−ONUプロセッサ68に供給する。
【0035】
RF部65はV−ONUプロセッサ68から動作制御されており、CATV放送帯域(70〜770MHz)のRF信号を増幅して混合器71に供給する。RF部66はV−ONUプロセッサ68から動作制御されており、BS放送帯域(1〜2.6GHz)のRF信号を増幅して混合器71に供給する。FSKレシーバ67は制御信号帯域のRF信号のFSK(frequency shift keying)復調を行って、得られた制御信号をV−ONUプロセッサ68に供給する。
【0036】
V−ONUプロセッサ68にはメモリ69,発振器(OSC)70が併設されている。V−ONUプロセッサ68はFSKレシーバ67から供給される制御信号に応じてRF部65,66それぞれのオン/オフを含む動作制御を行う。また、また、V−ONUプロセッサ68はインタフェース部68aを有しており、インタフェース部68aは光入力検知回路64からの光入力レベル検出情報や電圧検知回路76からの電源電圧検出情報等の状態情報をD−ONUプロセッサ43のインタフェース部43aに供給する。
【0037】
混合器71はRF部65からのCATV放送帯域のRF信号とRF部66からのBS放送帯域のRF信号を混合してコネクタ72を介して接続されるテレビジョン受像機31に供給する。
【0038】
電源回路75はAC電源28から供給される電源を安定化してV−ONU25の各部に供給する。また、AC電源28から供給される電源はV−ONU25から配線74を通してD−ONU24の電源回路51に供給される。
【0039】
電源回路75には電圧検知回路76が併設されている。電圧検知回路76は電源電圧検出回路35に対応しており、AC電源28から供給される電源電圧を基準電圧V1,V2と比較して、電源電圧が基準電圧V1以上、電源電圧が基準電圧V1未満かつV2以上、電源電圧が基準電圧V2未満、それぞれの状態を2ビットで表す電源電圧検出情報を生成し、V−ONUプロセッサ68に供給する。
【0040】
このように、D−ONUプロセッサ43はD−ONU24各部の動作状態を収集してD−ONU24の状態情報として保守フレームに格納する共に、V−ONUプロセッサ68から供給された状態情報を保守フレームの一部に格納し、更に、D−ONUプロセッサ43は定期的に、又は、サービス局32からの要求があったときに、上記の保守フレームをサービス局32に送信するため、V−ONU25の動作状態を自動でサービス局32に通知することができる。
【符号の説明】
【0041】
21 光終端装置
22 通信用光ファイバ
23 映像用光ファイバ
24 D−ONU
25 V−ONU
26 LANケーブル
27 パーソナルコンピュータ
28 AC電源
30 同軸ケーブル
31 テレビジョン受信機
32 サービス局
35 電源電圧検出回路
36 光入力レベル検出回路
41,61 光コネクタ
42 光トランシーバ
43 D−ONUプロセッサ
43a,68a インタフェース部
44,69 メモリ
45,70 発振器
46,48 物理層処理部
47 IP電話機
51,75 電源回路
63 分配器
64 光入力検知回路
65,66 RF部
67 FSKレシーバ
68 V−ONUプロセッサ
71 混合器
76 電圧検知回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光回線網に接続されサービス局との間で光信号の送受信を行う通信用光回線装置と、前記光回線網に接続され前記サービス局から送信された光信号の受信を行う映像用光回線装置とを有する光通信システムの光終端装置であって、
前記映像用光回線装置は、自装置の状態情報を収集して前記通信用光回線装置に通知する通知手段を有し、
前記通信用光回線装置は、自装置の状態情報を収集して前記サービス局に送信する送信手段を有し、
前記通信用光回線装置は、前記映像用光回線装置の通知手段から通知された状態情報を前記自装置の状態情報と共に前記送信手段を用いて前記サービス局に送信することを特徴とする光終端装置。
【請求項2】
請求項1記載の光終端装置において、
前記映像用光回線装置は、前記光回線網から受信した光信号の入力レベルを検知して前記状態情報とする光検知手段を
有することを特徴とする光終端装置。
【請求項3】
請求項2記載の光終端装置において、
前記映像用光回線装置は、供給される電源電圧を検知して前記状態情報とする電圧検知手段を
有することを特徴とする光終端装置。
【請求項4】
請求項3記載の光終端装置において、
前記映像用光回線装置と前記通信用光回線装置は、同一の筐体に実装され、同一の電源を供給される
ことを特徴とする光終端装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−120135(P2011−120135A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277397(P2009−277397)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】