光脱毛装置
【課題】脱毛処理時に照射の不要な部位や危険な部位へ光を照射することなく、毛根位置への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる光脱毛装置を提供する。
【解決手段】電動モータ5により、ボールネジ6を回転させて移動機構部8とマスク部9とをX方向に移動させることができる。マスク部9には光の透過率が0%となるフィルター取り付けられている。マスク部9はX方向と直交するY方向に移動することができる。 検出器2で皮膚面を撮影しながら体毛を検出し、発光器12から脱毛用の光を照射して脱毛処理を行うが、光を照射したくない部位がある場合には、マスク部9をX方向とY方向とに移動させて、光を照射したくない部位を覆い、発光器12からの照射光の一部をマスク部9で遮蔽する。
【解決手段】電動モータ5により、ボールネジ6を回転させて移動機構部8とマスク部9とをX方向に移動させることができる。マスク部9には光の透過率が0%となるフィルター取り付けられている。マスク部9はX方向と直交するY方向に移動することができる。 検出器2で皮膚面を撮影しながら体毛を検出し、発光器12から脱毛用の光を照射して脱毛処理を行うが、光を照射したくない部位がある場合には、マスク部9をX方向とY方向とに移動させて、光を照射したくない部位を覆い、発光器12からの照射光の一部をマスク部9で遮蔽する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いた脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体毛を除去する装置としては、皮膚にレーザ光を照射して脱毛を行うものが知られている。レーザ光を皮膚に照射した場合、肌状態により温度上昇が異なるので、火傷を防ぐために冷却部材を患部に当接させて温度上昇を防ぎ、冷却部材が患部に当接していないときにはレーザ光の照射ができないようにした脱毛装置が提案されている。
また、毛根位置を検出する位置検出部を備え、検出された毛根位置とレーザ光の照射点とのズレが所定の範囲であれば、レーザ光を照射して脱毛を行うものもある。
【0003】
【特許文献1】特表2001−314419号公報
【特許文献2】特開2001−46141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術では、患部全体にレーザ光を照射するか、照射しないかを選択するものであるために、光を照射したい部位と照射したくない部位が隣接する場合に、照射を行いたい部位に光が照射されない場合がある。
【0005】
例えば、ホクロなどのように皮膚色が濃いと、皮膚面でエネルギーが吸収され温度上昇して火傷になりやすいが、脱毛処理を行いたい毛根位置とホクロが隣接あるいは近接している場合には、ホクロに光を当てないようにするには照射を中止するしかなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、脱毛処理時に照射の不要な部位や危険な部位へ光を照射することなく、毛根位置への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる光脱毛装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、皮膚面の体毛位置を検出する検出器と、前記検出器で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、前記発光器から皮膚面に照射される光の一部の領域の光量を低減させるマスク部とを備え、前記マスク部により体毛位置を含まない領域での照射光量が体毛位置での照射光量よりも少なくなるようにしたことを特徴とする光脱毛装置である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記マスク部は、前記発光器の光軸に対して直交する平面内を移動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記マスク部は、異なる透過率を有する複数のフィルターにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記マスク部は、電気的に透過率を変化させることができる液晶シャッターで構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脱毛処理が必要な領域と光照射を行うと危険な領域とが隣接していたとしても、光照射が不要な領域や危険な領域へ過度の光を照射することなく、体毛位置や毛根位置への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる。
【0012】
また、照射光はブロードな光でも良いので、様々な種類の光源を使用することができ、安価な光源を用いてコストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明による光脱毛装置の断面図を、図2は図1の構成を下方向から見た断面図を、図4は光脱毛装置の外観図を示す。
【0014】
装置本体は、ケース19で覆われており、皮膚面に光を照射したり、皮膚面からの反射光を装置内部に取り込むために透明ガラス等で形成された照射窓1が皮膚面側に設けられている。
【0015】
ケース19の内部には、共振バネ16、走査ユニット4、検出用照明3、検出器2、集光レンズ11、発光器12、駆動用磁石13、固定子14を有するリニアモータ15、電源17、制御基板18、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10等が取り付けられている。走査ユニット4は、駆動用磁石13と固定子14を有するリニアモータ15との相互作用により移動方向1の方向に動き、共振バネ16の作用により滑らかに均一の動きになるようになっている。
【0016】
走査ユニット4には、検出用照明3、検出器2、集光レンズ11、発光器12、駆動用磁石13、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10が配置されている。検出用照明3は皮膚面を照らすためのもので、LED等で構成されている。検出器2は、検出用照明3で照らされた皮膚面からの反射光を検出したり、検出用照明3で照らされた皮膚面の状態を検出するもので、光センサ、小型のTVカメラ等が用いられる。また、検出器2には、その他、赤外線センサや紫外線センサ、接触センサ(圧力センサ)を用いることができ、この場合には検出用照明3は特に必要がなくなる。
【0017】
一方、脱毛を行うために発光器12が設けられており、集光レンズ11により光ビームを集束させて、毛根に光を照射する。発光器12は、レーザ光源を用いても良いし、単なる光源であっても良い。図5に示すように、平均的に毛穴から深さ4〜5mmに毛根が存在するが、発毛細胞めがけて一定エネルギーの光を照射すると発毛細胞に刺激を与えることができる。
【0018】
また、電動モータ5により、ボールネジ6を回転させて移動機構部8とマスク部9とをX方向に移動させることができるようになっている。ストッパー7、10は、マスク部9と移動機構8をX方向の一定位置までの移動に制限するために、ボールネジ6の両側に取り付けられている。マスク部9は、透明なガラス板やアクリル板にフィルター91が取り付けられ、あるいは組み込まれている。フィルター91は光の透過率が0%となるように構成されており、金属板等の光を遮断するもので代用することもできる。このフィルターは、平均的な体毛サイズが100μmであるため、例えば1辺が200〜300μmのサイズとすることができる。
【0019】
図2のAの方向から見た移動機構部8の内部構造を図3に示す。移動機構部8の内部には、電動モータ81、ボールネジ82、ストッパー83、ストッパー84が取り付けられている。ボールネジ6とボールネジ82は直交し、段違いに交差している。電動モータ81が回転駆動すると、マスク部9はX方向と直交するY方向に移動することができ、ストッパー83、84によりY方向の動きが制限される。このように、マスク部9をX方向とY方向とに移動させることができ、発光器12からの照射光の一部をフィルター91で遮蔽することができる。
【0020】
図2からもわかるように、走査ユニット4に取り付けられた検出器2と発光器12とは、一定の間隔を置いて対になっており、この間隔を保ったまま移動方向1へ一体で移動する。移動方向1と直交する方向へは、操作者が手動により移動させる。
【0021】
電池等からなる電源17は、制御基板18、電動モータ5、リニアモータ15、検出用照明3、検出器2、発光器12等に電気を供給するもので、図示はしていないが適宜配線がなされている。制御基板18は、CPUやメモリ等が搭載されており、モータの制御や検出用照明、発光器、検出器の制御等、装置全体の制御を行うとともに、収集されたデータをメモリに記憶させておき、適宜演算を行う等の動作を行う。
【0022】
本発明の光脱毛装置の全体概観のデザインの一例を示したのが、図4であり、カバー20の中央当たりを手に持って、髭剃り機のように皮膚面に対して接触するように置く形状となっている。照射窓1の部分は照射窓1の両側に形成されているカバー部分よりは少し窪んでいるので、この両側のカバー部分が皮膚面に当接して光脱毛装置を固定させる。図4では、光脱毛装置を皮膚面の下側から押し当てるようにしているが、もちろん皮膚面の上側から照射窓10を下向きにして光脱毛装置を固定するようにすることもできる。
【0023】
スイッチ21の押し釦部分は、カバー20の外側に出ており、操作者が押せるようになっている。起動時にスイッチ21を押し、脱毛処理時に再度スイッチ21を押す。また、処理ランプ22はLED等から構成されており、点灯部分が外部から認識できるように、処理ランプ22の設置位置に該当するケースの一部分を透明にしたり、くり貫いたりしている。この処理ランプ22は脱毛処理完了時に点灯する。
【0024】
図5に示すように、発光器12からの照射光は集光レンズ11により、毛根に存在する発毛細胞付近に焦点が定められているので、皮膚面での光照射範囲は広がりを持つ。例えば、毛根に光を照射するために毛穴を検出して、毛穴位置に光を照射しようとした場合、図6のように毛穴位置の近傍にホクロが存在すると、ホクロにまで光が照射されてしまう。
【0025】
ここで、破線で囲まれた部分は皮膚面での光照射範囲を示す。ホクロのように皮膚色が濃い部分は、メラニンが多いため、照射光のエネルギーを吸収して発熱するので、火傷を生じる可能性が高い。そこで、フィルター91を電動モータ5、81を駆動させてX方向、Y方向に移動し、図7のようにホクロ位置に合わせれば、照射光はフィルター91によって遮られるので、毛穴には脱毛用の光照射を行うことができるとともに、ホクロへの光照射を防止することができる。また、発光器の光源に安価なものを用いて、照射光ビームがブロードになったとしても、フィルターの作用によって、危険な部位への光照射を避けることができる。
【0026】
次に、動作を説明する。検出器2にはカメラモジュールを用いて皮膚面を広範囲に撮影できるようにする。まず、検出器2に皮膚面の画像を撮影し、体毛認識処理を行う。画像処理により、体毛が検出された場合には、発光器12から脱毛用の光を照射する。この照射光は皮膚面において広い照射範囲を有するので、体毛(毛穴)の近くにホクロやシミ等の皮膚色の濃い部分が検出器2の撮影画像から検出されている場合には、皮膚色の濃い部分に光が照射されないように電動モータ5、81を用いてマスク部9を移動させ、フィルター91で皮膚色の濃い部分を覆うようにする。
【0027】
次に、リニアモータ15を駆動させ、移動方向1へ走査ユニット4を1ピッチ移動させて上記同様の処理を行い、この動作を第リニアモータ15の駆動により走査ユニット4が移動方向1の最終位置に到達するまで繰り返す。
【0028】
上記の動作については、例えば、移動ピッチは200μm、検出器による検出領域(撮像範囲)200μm×200μm、移動方向1への移動速度は400mm/s、移動方向1への1ストローク長は10mm、発光器の光出力波長は650nm〜680nm、照射スポット径100μm、照射強度150〜200mW/(100μm)2、照射間隔10〜40ms、皮膚面での光照射範囲は0.3〜2mm程度を想定している。
【0029】
上述した体毛あるいは毛穴認識からマスク動作までの処理を図8を用いて説明する。例えば、検出器2からの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下の貫通穴位置を体毛位置として検出する。撮像画像において画素毎に輝度レベルを検出する輝度レベルが120以下である画素で隣接する4方向の画素も同様に120以下であるものを一つの領域として束ねる。例えば、図8(a)のように領域が形成される。輝度レベルが120以下の画素を斜線と破線で示す。
【0030】
これらの画素は1ライン分間隔があるので、別々の要素として検出できる領域を分割する画素がない場合には、画素での輝度の変化量が大きい領域で形状が分離していると考える。画素の一部分に毛穴、またはシミがあると、他の領域と比較して輝度レベルが大きくなり変化が大きくなるので、この輝度レベルの変化が大きい画素を分離点として認識する。図8(b)に分離点の画素を太枠で囲んで示す。
【0031】
次に、エッジ検出処理によりしわを検出し、しわの交点側から先に検出した領域までが一つの領域として検出し、それ以外でのまとまりを一つの領域として2領域に分割する(図8(c))。検出した領域サイズに基づいて領域サイズが実測値で100〜110μm以上ある領域については、毛穴でなく別の領域(シミ/ホクロ)として判定する。図8(c)の場合は破線の領域がシミ、ホクロとして検出される。シミ、ホクロ位置として検出した領域の重心位置を算出する。図8(c)の太枠で囲まれた部分が重心位置を示す。図8(d)重心位置にフィルター91の中心がくるように、マスク部9を移動させる。
【0032】
図9に、複数のマスク部を用いた光脱毛装置の構成例を示す。図1の構成と異なるのは、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10の替りに複数マスク部駆動機構部30が取り付けられていることで、その他の構成は図1と同じである。
【0033】
複数マスク部駆動機構部30を拡大して示したのが、図10である。ソレノイド39が複数設けられており、各ソレノイドのシャフト先端にはマスク部31〜マスク部38が取り付けられている。制御基板18からの制御信号により駆動させるソレノイドを選択して動作させることで、シャフトを前方へ駆動させ、マスク部を発光器12からの照射光内に挿入する。図10の例では、マスク部32に対応するソレノイドが駆動してマスク部32が照射光の経路内に挿入されている。
【0034】
このマスク部の具体的動作を示すのが図11であり、図10を上方から見た図となっている。図11(a)はソレノイドの39のシャフトが戻っている状態を示し、発光器12の光源122からの光ビーム経路には挿入されていない。ソレノイド39が駆動してシャフトが前方に伸びると、図11(b)のように光源122からの光ビーム経路内にマスク部が挿入され、光照射範囲をカバーする。
【0035】
図12は、各マスク部の構成を示す。各マスク部は図12に示すように領域が9分割されており、光透過率が異なるフィルターにより構成されている。中心の1つの領域は必ず光透過率が90%以上のフィルターで構成され、その周囲8領域の1領域だけ光透過率が0%、その他7領域の光透過率は90%以上のフィルターで構成されている。
【0036】
マスク部は一辺が300〜600μmの正方形状、マスク部内の分割された1つの領域は一辺が100〜200μmの正方形状とすることができる。図12(a)にはマスク部31の構成を、図12(b)にはマスク部32の構成を、図12(c)にはマスク部38の構成を示す。このように、9分割された領域の内、中心の領域はマスク部31〜38まで光透過率90%以上のフィルターで構成されているが、中心の周囲の8領域については光透過率0%のフィルター位置が重ならないようにマスク部31〜38まで順に各領域に割当てられる。
【0037】
図13は、複数マスク部駆動機構部30の他の構成例を示す。マスク部31〜38には各々モータ40、ボールネジ41、ウォームギア42が取り付けられた構成となっている。制御基板18からの制御信号によりどのモータが駆動させるかが決定され、特定のモータ40が回転駆動すると、このモータに接続されているボールネジ41が回転し、ウォームギア42が回転する。この回転によりマスク部が紙面と直角方向に回転し、光源からの光照射方向へ移動する。また、複数個のモータを同時に駆動させることで複数のマスク部を光照射方向前へ同時に移動できる。なお、マスク部31〜38までの構成は、図12に示すものと同様である。
【0038】
以上のように複数のマスク部を用いた場合の照射光の遮断動作の様子を図14に示す。図の破線で囲まれている部分は皮膚面での光照射範囲を示す。図14(a)のようにホクロと毛穴が隣接していてホクロの一部も光照射範囲内に入っていた場合には、マスク部36とマスク部37を移動させて光照射範囲内に導入させる。図14(b)は、マスク部36だけを光照射範囲内に導入した場合を示しており、透過率0%のフィルターで覆われているホクロの一部には光が照射されない。
【0039】
しかし、まだホクロの一部には光が照射されてしまうので、図14(c)に示すようにマスク部36とマスク部37を光照射範囲内に導入させる。9分割された領域の内、2領域について照射光が遮られ、ホクロへの照射光はほぼ遮断される。一方、毛穴には確実に脱毛用の光を照射できるので、安全に脱毛処理が行える。
【0040】
体毛の認識処理については前記と同様であるが、シミ/ホクロと認識した画素位置について9分割したどの領域に対応するかを判断して必要なマスク部を駆動する。この時、画素の輝度レベルが最低の領域を抽出して、その画素が含まれる領域のマスク部を駆動する。これは、メラニン量が最大で最も光を吸収しやすい領域を覆うことで、火傷の影響を無くし、また、領域を防ぎすぎて必要なエネルギー量が照射されないことも防ぐためである。
【0041】
図15にマスク部として液晶シャッターを用いた構成例を示す。図1の構成と異なるのは、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10の替りに液晶シャッター30が取り付けられていることで、その他の構成は図1と同様である。図16のように毛穴の付近にホクロが検出された場合、ホクロには脱毛用の光を照射しないようにするために、液晶シャッター50の光透過率を変化させる。図の格子で区切られた升目は最小の液晶領域を表しており、この各領域に電圧を個々に加えることで、各液晶領域毎に透過率を変化させることができる。
【0042】
一般的な液晶と同様に透過率は10%〜90%まで変化し、照射させたくない領域は30%、毛穴部分は90%、それ以外の領域については50%に設定する。出力としては透過率90%時で出力が10%低下し、透過率30%時で70%低下する。透過率30%設定領域では脱毛に必要な出力にはならない。
【0043】
このようにして、液晶シャッターの透過率を変化させた例を、図17に示す。ホクロ、シミなどの領域を検出すると、光源から光を照射時にその領域に相当する液晶領域の透過率を小さくし、ホクロ、シミなどの領域については光が皮膚へ照射されない状態とする。体毛の認識処理は前述と同様であるが、毛穴位置と検出した以外の領域(画素部分)については、透過率を毛穴位置の半分にする。一方、毛穴位置については液晶シャッターの透過率を最高にする。
【0044】
図18に発光器が2次元状に並べられた光脱毛装置の例を示す。図1とは走査ユニット4内の構成が異なるが、それ以外の構成は同じである。走査ユニット4内には駆動用磁石13の他に検出部61、レンズ62、発光部63が取り付けられている。検出部61はCCDセンサ等で構成され、CCDの撮像領域は発光部全体を撮像可能となっている。発光部の上部(光軸上)からCCDにて画像を撮像する。発光部には貫通孔が開いており、皮膚面をCCDにて検出可能となっている。また、レンズ62は上下に移動できる構造となっている。
【0045】
検出部61、レンズ62の部分は、カメラモジュールで置き換えが可能であり、カメラモジュール64に置き換えた構成例を図19に示す。図の破線で囲まれた部分が撮像範囲であり、発光部全体を含んでいる。また、発光部63にはLEDモジュール71がアレイ状に設けられており、LEDモジュール71の取り付け位置の間には貫通孔が開けられている。この貫通孔は、皮膚面からの反射光をカメラモジュール64に取り込んで画像処理を行うためのものである。
【0046】
図20は、検出部61と発光部63とを密着させた構成を示し、図21はこの密着させた検出部61と発光部63の詳細な構成例を示す。検出部61は、CCDセンサ76から構成されており、発光部63のほとんど全領域と合致し、貫通孔75から皮膚面を撮像することができる。この撮像画像に基づいて体毛の認識処理を行う。なお、CCDセンサ76で結像する画像の大きさを調整する(拡大または縮小)ために、貫通孔にはマイクロレンズを取り付けるようにしても良い。
【0047】
毛穴位置に脱毛用の光を照射するためにLEDモジュール71が2次元アレイ状に設けられており、LEDモジュール71は、LEDチップ73、蛍光体74、反射板72、レンズ77から構成されており、照明用の光源も兼ねている。検出部61と発光部63とを密着させると図21(b)のようになる。LEDモジュール71のサイズMは200〜250μm、LEDモジュール71の配置間隔Lは200〜250μmとすることができる。
【0048】
前述した図18〜図21の構成とした場合の体毛認識時の発光処理の様子を図22に示す。図22(a)は、発光部63を真上から見た図を示し、「光」と記載しているのはLEDモジュール71の位置を、○で表しているのは貫通孔75を示している。また、図の左上のLEDモジュールをA11とし、その右横をA12とし、順に識別番号を付けていくと、第一行目に並んだLEDモジュールは、各々A11〜A15までとなり、第2行目はA21〜A25、第3行目はA31〜A35、第4行目はA41〜A45、第5行目はA51〜A55となる。
【0049】
貫通孔75を通過した反射光により、体毛を図22(b)のように認識できたとすると、この体毛位置を図22(a)の構成図と重ね合わしたものが図22(c)となる。ここで、貫通孔75から皮膚面を確認時に図の体毛を認識できたとすると、図22(d)のように斜線を付した○位置に相当する貫通孔から体毛が認識できたことになる。
【0050】
例えば、CCDセンサからの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下の貫通穴位置を体毛位置として検出する。斜線を付した○位置の対角線上にある4角のLEDを発光させる。
【0051】
例えば、左上の斜線を付した○位置の4角のLEDは、A11、A12、A31、A32が対応する。また、その下の斜線を付した○位置の4角のLEDは、A21、A22、A41、A42が対応する。さらにその下の斜線を付した○位置の4角のLEDには、A41、A42が対応し、下の部分には対応するLEDが配置されていないのでこの2個になる。以上のようにして発光させるべきLED位置を太線枠で囲んだのが図22(e)である。このように発光処理が行われ、脱毛処理がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の光脱毛装置の断面を示す図である。
【図2】図1の構成を下方向から見た図である。
【図3】移動機構部の内部構成を示す図である。
【図4】本発明の光脱毛装置の外観を示す図である。
【図5】皮膚面と発毛細胞付近での光の照射状態を示す図である。
【図6】皮膚面での光照射範囲を示す図である。
【図7】マスク部を移動させて光の一部を遮断する動作を示す図である。
【図8】体毛認識からマスク部動作までの処理を示す図である。
【図9】複数マスク部駆動機構部を備えた光脱毛装置例を示す図である。
【図10】複数マスク部駆動機構部の拡大図である。
【図11】複数マスク部駆動機構部のマスク部の動作を示す図である。
【図12】各マスク部の構成を示す図である。
【図13】複数マスク部駆動機構部の他の構成例を示す図である。
【図14】複数マスク部を用いた照射光の遮断動作を示す図である。
【図15】マスク部に液晶シャッターを用いた構成を示す図である。
【図16】皮膚面の検出画像と液晶シャッターとの位置関係を示す図である。
【図17】液晶シャッター動作を示す図である。
【図18】発光器が2次元状に並べられた光脱毛装置の例を示す図である。
【図19】図18の構成でカメラモジュールを用いた例を示す図である。
【図20】検出部と発光部とを密着させた構成を有する光脱毛装置例を示す図である。
【図21】密着した検出部と発光部との具体的な構成例を示す図である。
【図22】体毛認識時の発光処理の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 照射窓
2 検出器
3 検出用照明
4 走査ユニット
5 電動モータ
6 ボールネジ
7 ストッパー
8 移動機構部
9 マスク部
10 ストッパー
11 集光レンズ
12 発光器
13 駆動用磁石
14 固定子
15 リニアモータ
16 共振バネ
17 電源
18 制御基板
19 ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いた脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体毛を除去する装置としては、皮膚にレーザ光を照射して脱毛を行うものが知られている。レーザ光を皮膚に照射した場合、肌状態により温度上昇が異なるので、火傷を防ぐために冷却部材を患部に当接させて温度上昇を防ぎ、冷却部材が患部に当接していないときにはレーザ光の照射ができないようにした脱毛装置が提案されている。
また、毛根位置を検出する位置検出部を備え、検出された毛根位置とレーザ光の照射点とのズレが所定の範囲であれば、レーザ光を照射して脱毛を行うものもある。
【0003】
【特許文献1】特表2001−314419号公報
【特許文献2】特開2001−46141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術では、患部全体にレーザ光を照射するか、照射しないかを選択するものであるために、光を照射したい部位と照射したくない部位が隣接する場合に、照射を行いたい部位に光が照射されない場合がある。
【0005】
例えば、ホクロなどのように皮膚色が濃いと、皮膚面でエネルギーが吸収され温度上昇して火傷になりやすいが、脱毛処理を行いたい毛根位置とホクロが隣接あるいは近接している場合には、ホクロに光を当てないようにするには照射を中止するしかなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、脱毛処理時に照射の不要な部位や危険な部位へ光を照射することなく、毛根位置への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる光脱毛装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、皮膚面の体毛位置を検出する検出器と、前記検出器で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、前記発光器から皮膚面に照射される光の一部の領域の光量を低減させるマスク部とを備え、前記マスク部により体毛位置を含まない領域での照射光量が体毛位置での照射光量よりも少なくなるようにしたことを特徴とする光脱毛装置である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記マスク部は、前記発光器の光軸に対して直交する平面内を移動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記マスク部は、異なる透過率を有する複数のフィルターにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記マスク部は、電気的に透過率を変化させることができる液晶シャッターで構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脱毛処理が必要な領域と光照射を行うと危険な領域とが隣接していたとしても、光照射が不要な領域や危険な領域へ過度の光を照射することなく、体毛位置や毛根位置への光照射を行い、脱毛処理の安全性を向上させることができる。
【0012】
また、照射光はブロードな光でも良いので、様々な種類の光源を使用することができ、安価な光源を用いてコストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明による光脱毛装置の断面図を、図2は図1の構成を下方向から見た断面図を、図4は光脱毛装置の外観図を示す。
【0014】
装置本体は、ケース19で覆われており、皮膚面に光を照射したり、皮膚面からの反射光を装置内部に取り込むために透明ガラス等で形成された照射窓1が皮膚面側に設けられている。
【0015】
ケース19の内部には、共振バネ16、走査ユニット4、検出用照明3、検出器2、集光レンズ11、発光器12、駆動用磁石13、固定子14を有するリニアモータ15、電源17、制御基板18、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10等が取り付けられている。走査ユニット4は、駆動用磁石13と固定子14を有するリニアモータ15との相互作用により移動方向1の方向に動き、共振バネ16の作用により滑らかに均一の動きになるようになっている。
【0016】
走査ユニット4には、検出用照明3、検出器2、集光レンズ11、発光器12、駆動用磁石13、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10が配置されている。検出用照明3は皮膚面を照らすためのもので、LED等で構成されている。検出器2は、検出用照明3で照らされた皮膚面からの反射光を検出したり、検出用照明3で照らされた皮膚面の状態を検出するもので、光センサ、小型のTVカメラ等が用いられる。また、検出器2には、その他、赤外線センサや紫外線センサ、接触センサ(圧力センサ)を用いることができ、この場合には検出用照明3は特に必要がなくなる。
【0017】
一方、脱毛を行うために発光器12が設けられており、集光レンズ11により光ビームを集束させて、毛根に光を照射する。発光器12は、レーザ光源を用いても良いし、単なる光源であっても良い。図5に示すように、平均的に毛穴から深さ4〜5mmに毛根が存在するが、発毛細胞めがけて一定エネルギーの光を照射すると発毛細胞に刺激を与えることができる。
【0018】
また、電動モータ5により、ボールネジ6を回転させて移動機構部8とマスク部9とをX方向に移動させることができるようになっている。ストッパー7、10は、マスク部9と移動機構8をX方向の一定位置までの移動に制限するために、ボールネジ6の両側に取り付けられている。マスク部9は、透明なガラス板やアクリル板にフィルター91が取り付けられ、あるいは組み込まれている。フィルター91は光の透過率が0%となるように構成されており、金属板等の光を遮断するもので代用することもできる。このフィルターは、平均的な体毛サイズが100μmであるため、例えば1辺が200〜300μmのサイズとすることができる。
【0019】
図2のAの方向から見た移動機構部8の内部構造を図3に示す。移動機構部8の内部には、電動モータ81、ボールネジ82、ストッパー83、ストッパー84が取り付けられている。ボールネジ6とボールネジ82は直交し、段違いに交差している。電動モータ81が回転駆動すると、マスク部9はX方向と直交するY方向に移動することができ、ストッパー83、84によりY方向の動きが制限される。このように、マスク部9をX方向とY方向とに移動させることができ、発光器12からの照射光の一部をフィルター91で遮蔽することができる。
【0020】
図2からもわかるように、走査ユニット4に取り付けられた検出器2と発光器12とは、一定の間隔を置いて対になっており、この間隔を保ったまま移動方向1へ一体で移動する。移動方向1と直交する方向へは、操作者が手動により移動させる。
【0021】
電池等からなる電源17は、制御基板18、電動モータ5、リニアモータ15、検出用照明3、検出器2、発光器12等に電気を供給するもので、図示はしていないが適宜配線がなされている。制御基板18は、CPUやメモリ等が搭載されており、モータの制御や検出用照明、発光器、検出器の制御等、装置全体の制御を行うとともに、収集されたデータをメモリに記憶させておき、適宜演算を行う等の動作を行う。
【0022】
本発明の光脱毛装置の全体概観のデザインの一例を示したのが、図4であり、カバー20の中央当たりを手に持って、髭剃り機のように皮膚面に対して接触するように置く形状となっている。照射窓1の部分は照射窓1の両側に形成されているカバー部分よりは少し窪んでいるので、この両側のカバー部分が皮膚面に当接して光脱毛装置を固定させる。図4では、光脱毛装置を皮膚面の下側から押し当てるようにしているが、もちろん皮膚面の上側から照射窓10を下向きにして光脱毛装置を固定するようにすることもできる。
【0023】
スイッチ21の押し釦部分は、カバー20の外側に出ており、操作者が押せるようになっている。起動時にスイッチ21を押し、脱毛処理時に再度スイッチ21を押す。また、処理ランプ22はLED等から構成されており、点灯部分が外部から認識できるように、処理ランプ22の設置位置に該当するケースの一部分を透明にしたり、くり貫いたりしている。この処理ランプ22は脱毛処理完了時に点灯する。
【0024】
図5に示すように、発光器12からの照射光は集光レンズ11により、毛根に存在する発毛細胞付近に焦点が定められているので、皮膚面での光照射範囲は広がりを持つ。例えば、毛根に光を照射するために毛穴を検出して、毛穴位置に光を照射しようとした場合、図6のように毛穴位置の近傍にホクロが存在すると、ホクロにまで光が照射されてしまう。
【0025】
ここで、破線で囲まれた部分は皮膚面での光照射範囲を示す。ホクロのように皮膚色が濃い部分は、メラニンが多いため、照射光のエネルギーを吸収して発熱するので、火傷を生じる可能性が高い。そこで、フィルター91を電動モータ5、81を駆動させてX方向、Y方向に移動し、図7のようにホクロ位置に合わせれば、照射光はフィルター91によって遮られるので、毛穴には脱毛用の光照射を行うことができるとともに、ホクロへの光照射を防止することができる。また、発光器の光源に安価なものを用いて、照射光ビームがブロードになったとしても、フィルターの作用によって、危険な部位への光照射を避けることができる。
【0026】
次に、動作を説明する。検出器2にはカメラモジュールを用いて皮膚面を広範囲に撮影できるようにする。まず、検出器2に皮膚面の画像を撮影し、体毛認識処理を行う。画像処理により、体毛が検出された場合には、発光器12から脱毛用の光を照射する。この照射光は皮膚面において広い照射範囲を有するので、体毛(毛穴)の近くにホクロやシミ等の皮膚色の濃い部分が検出器2の撮影画像から検出されている場合には、皮膚色の濃い部分に光が照射されないように電動モータ5、81を用いてマスク部9を移動させ、フィルター91で皮膚色の濃い部分を覆うようにする。
【0027】
次に、リニアモータ15を駆動させ、移動方向1へ走査ユニット4を1ピッチ移動させて上記同様の処理を行い、この動作を第リニアモータ15の駆動により走査ユニット4が移動方向1の最終位置に到達するまで繰り返す。
【0028】
上記の動作については、例えば、移動ピッチは200μm、検出器による検出領域(撮像範囲)200μm×200μm、移動方向1への移動速度は400mm/s、移動方向1への1ストローク長は10mm、発光器の光出力波長は650nm〜680nm、照射スポット径100μm、照射強度150〜200mW/(100μm)2、照射間隔10〜40ms、皮膚面での光照射範囲は0.3〜2mm程度を想定している。
【0029】
上述した体毛あるいは毛穴認識からマスク動作までの処理を図8を用いて説明する。例えば、検出器2からの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下の貫通穴位置を体毛位置として検出する。撮像画像において画素毎に輝度レベルを検出する輝度レベルが120以下である画素で隣接する4方向の画素も同様に120以下であるものを一つの領域として束ねる。例えば、図8(a)のように領域が形成される。輝度レベルが120以下の画素を斜線と破線で示す。
【0030】
これらの画素は1ライン分間隔があるので、別々の要素として検出できる領域を分割する画素がない場合には、画素での輝度の変化量が大きい領域で形状が分離していると考える。画素の一部分に毛穴、またはシミがあると、他の領域と比較して輝度レベルが大きくなり変化が大きくなるので、この輝度レベルの変化が大きい画素を分離点として認識する。図8(b)に分離点の画素を太枠で囲んで示す。
【0031】
次に、エッジ検出処理によりしわを検出し、しわの交点側から先に検出した領域までが一つの領域として検出し、それ以外でのまとまりを一つの領域として2領域に分割する(図8(c))。検出した領域サイズに基づいて領域サイズが実測値で100〜110μm以上ある領域については、毛穴でなく別の領域(シミ/ホクロ)として判定する。図8(c)の場合は破線の領域がシミ、ホクロとして検出される。シミ、ホクロ位置として検出した領域の重心位置を算出する。図8(c)の太枠で囲まれた部分が重心位置を示す。図8(d)重心位置にフィルター91の中心がくるように、マスク部9を移動させる。
【0032】
図9に、複数のマスク部を用いた光脱毛装置の構成例を示す。図1の構成と異なるのは、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10の替りに複数マスク部駆動機構部30が取り付けられていることで、その他の構成は図1と同じである。
【0033】
複数マスク部駆動機構部30を拡大して示したのが、図10である。ソレノイド39が複数設けられており、各ソレノイドのシャフト先端にはマスク部31〜マスク部38が取り付けられている。制御基板18からの制御信号により駆動させるソレノイドを選択して動作させることで、シャフトを前方へ駆動させ、マスク部を発光器12からの照射光内に挿入する。図10の例では、マスク部32に対応するソレノイドが駆動してマスク部32が照射光の経路内に挿入されている。
【0034】
このマスク部の具体的動作を示すのが図11であり、図10を上方から見た図となっている。図11(a)はソレノイドの39のシャフトが戻っている状態を示し、発光器12の光源122からの光ビーム経路には挿入されていない。ソレノイド39が駆動してシャフトが前方に伸びると、図11(b)のように光源122からの光ビーム経路内にマスク部が挿入され、光照射範囲をカバーする。
【0035】
図12は、各マスク部の構成を示す。各マスク部は図12に示すように領域が9分割されており、光透過率が異なるフィルターにより構成されている。中心の1つの領域は必ず光透過率が90%以上のフィルターで構成され、その周囲8領域の1領域だけ光透過率が0%、その他7領域の光透過率は90%以上のフィルターで構成されている。
【0036】
マスク部は一辺が300〜600μmの正方形状、マスク部内の分割された1つの領域は一辺が100〜200μmの正方形状とすることができる。図12(a)にはマスク部31の構成を、図12(b)にはマスク部32の構成を、図12(c)にはマスク部38の構成を示す。このように、9分割された領域の内、中心の領域はマスク部31〜38まで光透過率90%以上のフィルターで構成されているが、中心の周囲の8領域については光透過率0%のフィルター位置が重ならないようにマスク部31〜38まで順に各領域に割当てられる。
【0037】
図13は、複数マスク部駆動機構部30の他の構成例を示す。マスク部31〜38には各々モータ40、ボールネジ41、ウォームギア42が取り付けられた構成となっている。制御基板18からの制御信号によりどのモータが駆動させるかが決定され、特定のモータ40が回転駆動すると、このモータに接続されているボールネジ41が回転し、ウォームギア42が回転する。この回転によりマスク部が紙面と直角方向に回転し、光源からの光照射方向へ移動する。また、複数個のモータを同時に駆動させることで複数のマスク部を光照射方向前へ同時に移動できる。なお、マスク部31〜38までの構成は、図12に示すものと同様である。
【0038】
以上のように複数のマスク部を用いた場合の照射光の遮断動作の様子を図14に示す。図の破線で囲まれている部分は皮膚面での光照射範囲を示す。図14(a)のようにホクロと毛穴が隣接していてホクロの一部も光照射範囲内に入っていた場合には、マスク部36とマスク部37を移動させて光照射範囲内に導入させる。図14(b)は、マスク部36だけを光照射範囲内に導入した場合を示しており、透過率0%のフィルターで覆われているホクロの一部には光が照射されない。
【0039】
しかし、まだホクロの一部には光が照射されてしまうので、図14(c)に示すようにマスク部36とマスク部37を光照射範囲内に導入させる。9分割された領域の内、2領域について照射光が遮られ、ホクロへの照射光はほぼ遮断される。一方、毛穴には確実に脱毛用の光を照射できるので、安全に脱毛処理が行える。
【0040】
体毛の認識処理については前記と同様であるが、シミ/ホクロと認識した画素位置について9分割したどの領域に対応するかを判断して必要なマスク部を駆動する。この時、画素の輝度レベルが最低の領域を抽出して、その画素が含まれる領域のマスク部を駆動する。これは、メラニン量が最大で最も光を吸収しやすい領域を覆うことで、火傷の影響を無くし、また、領域を防ぎすぎて必要なエネルギー量が照射されないことも防ぐためである。
【0041】
図15にマスク部として液晶シャッターを用いた構成例を示す。図1の構成と異なるのは、電動モータ5、ボールネジ6、ストッパー7、移動機構部8、マスク部9、ストッパー10の替りに液晶シャッター30が取り付けられていることで、その他の構成は図1と同様である。図16のように毛穴の付近にホクロが検出された場合、ホクロには脱毛用の光を照射しないようにするために、液晶シャッター50の光透過率を変化させる。図の格子で区切られた升目は最小の液晶領域を表しており、この各領域に電圧を個々に加えることで、各液晶領域毎に透過率を変化させることができる。
【0042】
一般的な液晶と同様に透過率は10%〜90%まで変化し、照射させたくない領域は30%、毛穴部分は90%、それ以外の領域については50%に設定する。出力としては透過率90%時で出力が10%低下し、透過率30%時で70%低下する。透過率30%設定領域では脱毛に必要な出力にはならない。
【0043】
このようにして、液晶シャッターの透過率を変化させた例を、図17に示す。ホクロ、シミなどの領域を検出すると、光源から光を照射時にその領域に相当する液晶領域の透過率を小さくし、ホクロ、シミなどの領域については光が皮膚へ照射されない状態とする。体毛の認識処理は前述と同様であるが、毛穴位置と検出した以外の領域(画素部分)については、透過率を毛穴位置の半分にする。一方、毛穴位置については液晶シャッターの透過率を最高にする。
【0044】
図18に発光器が2次元状に並べられた光脱毛装置の例を示す。図1とは走査ユニット4内の構成が異なるが、それ以外の構成は同じである。走査ユニット4内には駆動用磁石13の他に検出部61、レンズ62、発光部63が取り付けられている。検出部61はCCDセンサ等で構成され、CCDの撮像領域は発光部全体を撮像可能となっている。発光部の上部(光軸上)からCCDにて画像を撮像する。発光部には貫通孔が開いており、皮膚面をCCDにて検出可能となっている。また、レンズ62は上下に移動できる構造となっている。
【0045】
検出部61、レンズ62の部分は、カメラモジュールで置き換えが可能であり、カメラモジュール64に置き換えた構成例を図19に示す。図の破線で囲まれた部分が撮像範囲であり、発光部全体を含んでいる。また、発光部63にはLEDモジュール71がアレイ状に設けられており、LEDモジュール71の取り付け位置の間には貫通孔が開けられている。この貫通孔は、皮膚面からの反射光をカメラモジュール64に取り込んで画像処理を行うためのものである。
【0046】
図20は、検出部61と発光部63とを密着させた構成を示し、図21はこの密着させた検出部61と発光部63の詳細な構成例を示す。検出部61は、CCDセンサ76から構成されており、発光部63のほとんど全領域と合致し、貫通孔75から皮膚面を撮像することができる。この撮像画像に基づいて体毛の認識処理を行う。なお、CCDセンサ76で結像する画像の大きさを調整する(拡大または縮小)ために、貫通孔にはマイクロレンズを取り付けるようにしても良い。
【0047】
毛穴位置に脱毛用の光を照射するためにLEDモジュール71が2次元アレイ状に設けられており、LEDモジュール71は、LEDチップ73、蛍光体74、反射板72、レンズ77から構成されており、照明用の光源も兼ねている。検出部61と発光部63とを密着させると図21(b)のようになる。LEDモジュール71のサイズMは200〜250μm、LEDモジュール71の配置間隔Lは200〜250μmとすることができる。
【0048】
前述した図18〜図21の構成とした場合の体毛認識時の発光処理の様子を図22に示す。図22(a)は、発光部63を真上から見た図を示し、「光」と記載しているのはLEDモジュール71の位置を、○で表しているのは貫通孔75を示している。また、図の左上のLEDモジュールをA11とし、その右横をA12とし、順に識別番号を付けていくと、第一行目に並んだLEDモジュールは、各々A11〜A15までとなり、第2行目はA21〜A25、第3行目はA31〜A35、第4行目はA41〜A45、第5行目はA51〜A55となる。
【0049】
貫通孔75を通過した反射光により、体毛を図22(b)のように認識できたとすると、この体毛位置を図22(a)の構成図と重ね合わしたものが図22(c)となる。ここで、貫通孔75から皮膚面を確認時に図の体毛を認識できたとすると、図22(d)のように斜線を付した○位置に相当する貫通孔から体毛が認識できたことになる。
【0050】
例えば、CCDセンサからの検出電圧を0V〜3.3Vとし、A/D変換して0V〜3.3Vを0〜255とするとデジタル信号のしきい値レベル120以下の貫通穴位置を体毛位置として検出する。斜線を付した○位置の対角線上にある4角のLEDを発光させる。
【0051】
例えば、左上の斜線を付した○位置の4角のLEDは、A11、A12、A31、A32が対応する。また、その下の斜線を付した○位置の4角のLEDは、A21、A22、A41、A42が対応する。さらにその下の斜線を付した○位置の4角のLEDには、A41、A42が対応し、下の部分には対応するLEDが配置されていないのでこの2個になる。以上のようにして発光させるべきLED位置を太線枠で囲んだのが図22(e)である。このように発光処理が行われ、脱毛処理がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の光脱毛装置の断面を示す図である。
【図2】図1の構成を下方向から見た図である。
【図3】移動機構部の内部構成を示す図である。
【図4】本発明の光脱毛装置の外観を示す図である。
【図5】皮膚面と発毛細胞付近での光の照射状態を示す図である。
【図6】皮膚面での光照射範囲を示す図である。
【図7】マスク部を移動させて光の一部を遮断する動作を示す図である。
【図8】体毛認識からマスク部動作までの処理を示す図である。
【図9】複数マスク部駆動機構部を備えた光脱毛装置例を示す図である。
【図10】複数マスク部駆動機構部の拡大図である。
【図11】複数マスク部駆動機構部のマスク部の動作を示す図である。
【図12】各マスク部の構成を示す図である。
【図13】複数マスク部駆動機構部の他の構成例を示す図である。
【図14】複数マスク部を用いた照射光の遮断動作を示す図である。
【図15】マスク部に液晶シャッターを用いた構成を示す図である。
【図16】皮膚面の検出画像と液晶シャッターとの位置関係を示す図である。
【図17】液晶シャッター動作を示す図である。
【図18】発光器が2次元状に並べられた光脱毛装置の例を示す図である。
【図19】図18の構成でカメラモジュールを用いた例を示す図である。
【図20】検出部と発光部とを密着させた構成を有する光脱毛装置例を示す図である。
【図21】密着した検出部と発光部との具体的な構成例を示す図である。
【図22】体毛認識時の発光処理の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 照射窓
2 検出器
3 検出用照明
4 走査ユニット
5 電動モータ
6 ボールネジ
7 ストッパー
8 移動機構部
9 マスク部
10 ストッパー
11 集光レンズ
12 発光器
13 駆動用磁石
14 固定子
15 リニアモータ
16 共振バネ
17 電源
18 制御基板
19 ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚面の体毛位置を検出する検出器と、
前記検出器で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、
前記発光器から皮膚面に照射される光の一部の領域の光量を低減させるマスク部とを備え、
前記マスク部により体毛位置を含まない領域での照射光量が体毛位置での照射光量よりも少なくなるようにしたことを特徴とする光脱毛装置。
【請求項2】
前記マスク部は、前記発光器の光軸に対して直交する平面内を移動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【請求項3】
前記マスク部は、異なる透過率を有する複数のフィルターにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【請求項4】
前記マスク部は、電気的に透過率を変化させることができる液晶シャッターで構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【請求項1】
皮膚面の体毛位置を検出する検出器と、
前記検出器で検出された体毛位置に脱毛用の光を照射する発光器と、
前記発光器から皮膚面に照射される光の一部の領域の光量を低減させるマスク部とを備え、
前記マスク部により体毛位置を含まない領域での照射光量が体毛位置での照射光量よりも少なくなるようにしたことを特徴とする光脱毛装置。
【請求項2】
前記マスク部は、前記発光器の光軸に対して直交する平面内を移動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【請求項3】
前記マスク部は、異なる透過率を有する複数のフィルターにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【請求項4】
前記マスク部は、電気的に透過率を変化させることができる液晶シャッターで構成されていることを特徴とする請求項1記載の光脱毛装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−198108(P2006−198108A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12096(P2005−12096)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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