説明

光記録媒体、記録再生装置、記録再生方法

【課題】パターンドメディアについてニアフィールド方式による記録再生を行う場合、好適なパターンドメディア構造及び記録再生方法の提供。
【解決手段】記録再生対象のトラックとは別にウォブリングトラックを並走させて形成し、ウォブリングトラックに対し、記録用光とは別のウォブリングトラック用光を照射し、その反射光を用いてギャップ長エラー信号の生成及びギャップ長サーボを行うことで、記録用光の反射光の影響を受けずにギャップ長エラー信号の生成ができる。結果、記録用光と波長の異なる専用光の照射や当該専用光の反射光を分離検出するにあたっての光学系の構成の複雑化・高コスト化を防止することができる。また、上記ウォブリングトラックを設けることでこれを用いたトラッキングエラー信号の生成、アドレス情報の再生を行うことができ、当該ウォブリングトラックを用いたクロックの生成をPLL回路の複雑化を防止しつつ行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光の照射に応じた変調により記録状態が保持される極小記録担体が複数配列されたトラックが形成され、当該トラックにおける上記極小記録担体の記録/未記録(又は消去)のパターンによって記録情報が表現されるパターンドメディアとしての光記録媒体に関する。
また、このようなパターンドメディアとしての光記録媒体について記録再生を行う記録再生装置とその方法とに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2010−33688号公報
【特許文献2】特開2009−134780号公報
【特許文献3】特開2006−73087号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により情報の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(単に光ディスクとも表記する)が広く普及している。
【0004】
これらの光ディスクについては、記録再生光の短波長化・対物レンズの高開口数(NA)化が進められてきており、それによって記録再生のためのビームスポットサイズの縮小化が実現され、大記録容量化・高記録密度化が達成されてきた。
【0005】
但し、これら従来の光ディスクでは、対物レンズと光ディスクとの間の媒質が空気であるため、集光スポットのサイズ(径)を左右する開口数NAを「1」より大とすることができないことが知られている。
具体的に、光ディスク上に対物レンズを介して照射される光のスポットのサイズは、当該対物レンズの開口数をNAobj、光の波長をλとおくと、およそ

λ/NAobj

で与えられるものである。
このとき、開口数NAobjは、対物レンズと光ディスクとの間に介在する媒質の屈折率をnA、対物レンズの周辺光線の入射角度をθとしたとき、

NAobj=nA×sinθ

で表されるものとなる。
この式を参照して理解されるように、媒質が空気(nA=1)である限り、NAobj>1とすることはできない。
【0006】
そこで、例えば上記特許文献1や特許文献2などに開示されるような、近接場光(エバネッセント光)を利用してNAobj>1を実現する記録再生方式(ニアフィールド方式)が提案されている。
【0007】
周知のようにニアフィールド方式では、光ディスクに対して近接場光を照射して情報の記録/再生を行うようにされるが、このとき、光ディスクに対し近接場光を照射するための対物レンズとしては、ソリッドイマージョンレンズ(Solid Immersion Lens、以下SILと略称する)が用いられる(例えば特許文献1、特許文献2を参照)。
【0008】
図17は、SILを用いた従来のニアフィールド光学系について説明するための図である。
なお、この図17では、SILとして超半球状のSIL(超半球SIL)を用いた例を示している。具体的に、この場合の超半球SILは、対物側(つまり記録/再生対象とする記録媒体と対向する側)の形状が平面形状とされ、それ以外の部分が超半球状とされている。
【0009】
この場合の対物レンズは、上記超半球SILを先玉レンズとして有する2群レンズとして構成される。図示されるように、後玉レンズとしては、両面非球面レンズが用いられている。
【0010】
ここで、図17に示す構成による対物レンズの実効的な開口数NAは、入射光の入射角度をθi、超半球SILの構成材料の屈折率をnSILとすると、

NA=nSIL2×sinθi

で表される。
この式より、図17に示す対物レンズの構成とすれば、実効的な開口数NAは、SILの屈折率nSILを「1」よりも高く(空気の屈折率よりも高く)設定することで、「1」より大にできることが分かる。
従来において、SILの屈折率としては例えばnSIL=2程度が設定され、これにより実効的な開口数NAとして1.8程度が実現されている。
【0011】
ここで、ニアフィールド光学系としては、上記のような超半球SILを用いる構成のみでなく、半球状のSIL(半球状SIL)を用いたものであってもよい。
図12に示す超半球SILに代えて半球状SILを用いた対物レンズとした場合、その実効的な開口数NAは、

NA=nSIL×sinθi

となる。この式より、半球状SILを用いた場合も、SILの構成材料としてnSIL>1の高屈折率材料を用いることで、NA>1を実現可能であることが分かる。
【0012】
このとき、先の超半球SILの場合の式と比較すると、超半球状の場合と半球状の場合とでSILの構成材料(屈折率)を同一とするときには、超半球SILを用いる場合の方が、実効的なNAをより高く設定できることが分かる。
【0013】
なお確認のため述べておくと、SILにより生成されるNA>1の光(近接場光)を記録媒体に伝播(照射)して記録再生を行うためには、SILの対物面と記録媒体とを非常に近接させて配置する必要がある。このときのSILの対物面と記録媒体(記録面)との間隔は、ギャップと呼ばれている。
ニアフィールド方式において、ギャップの値としては、少なくとも光の波長の1/4程度以下に抑えることが要請される。
【0014】
また一方で、従来、高記録密度化の実現にあたっては、光記録媒体の構造を工夫するという試みも為されている。例えば、上記特許文献3に記載されるようないわゆるパターンドメディアによる光記録媒体の構造が提案されている。
磁気記録の分野で提案されているものと同様、パターンドメディアは、極小記録担体が配列されたトラックが形成され、当該トラックにおける上記極小記録担体の記録/未記録(又は消去)のパターンにより記録情報が表現されるものとなる。具体的には、1つの極小記録担体が1つの符号(”0”又は”1”)として機能するものである。
極小記録担体が独立して形成されているので、これらを近接して配置する、すなわち高密度配置しても、クロスライトやクロストークの抑制を図ることができる。つまりその分、高記録密度化を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、上記のようなパターンドメディアによる光記録媒体に記録や再生を行うとしたときは、ニアフィールド方式を採用することが好適である。
ニアフィールド方式を利用すれば、記録/再生の光スポットサイズを縮小化できる分、パターンドメディアに高密度に極小記録担体を配列させることが可能となり、結果、さらなる大記録容量化が図られるためである。
【0016】
しかしながら、パターンドメディアに対してニアフィールド記録再生を行うことに関して、現段階では、具体的なフォーマット(規格)は確立されていない。
【0017】
本技術はかかる問題点に鑑み為されたもので、パターンドメディアについてニアフィールド方式による記録再生を行うとした場合において、好適なパターンドメディアの構造、及び好適な記録再生手法を提案することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題の解決のため、本技術では、光記録媒体として以下のように構成することとした。
つまり、本技術の光ディスク記録媒体は、極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されているものである。
【0019】
また本技術では、記録再生装置として以下のように構成することとした。
すなわち、本技術の記録再生装置は、極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている光記録媒体について、ニアフィールド方式により記録再生を行う記録再生装置であって、それぞれ記録時又は再生時に対応して上記複数本の上記記録対象トラックに照射されるべき複数の記録用光又は再生用光と、上記ウォブリングトラックに照射されるべきウォブリングトラック用光とを、共通の対物レンズを介して上記光記録媒体に照射すると共に、上記複数の再生用光と上記ウォブリングトラック用光とについての上記光記録媒体からの反射光をそれぞれ個別に受光するように構成された光照射・受光部を備える。
また、上記光照射・生成部により得られる上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記対物レンズの対物面と上記光記録媒体の記録面との間の距離としてのギャップ長のエラーを表すギャップ長エラー信号を生成するギャップ長エラー信号生成部を備える。
また、上記ギャップ長エラー信号に基づき上記ギャップ長を制御するギャップ長制御部を備える。
また、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、トラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号に基づき上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキングサーボ制御部を備える。
また、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記ウォブリングトラックのウォブリング周期の変調により記録されたアドレス情報を検出するアドレス情報検出部を備える。
また、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記極小記録担体の形成周期に同期したクロックを再生するクロック生成部を備える。
また、上記クロックに応じたタイミングで上記複数の記録用光を発光駆動させて、上記複数本の上記記録対象トラックに対する記録を実行させる記録制御部を備える。
また、上記光照射・受光部により得られる上記複数の再生用光のそれぞれについての受光信号と、上記クロックとに基づき、上記複数の記録対象トラックの記録信号をそれぞれ2値化する2値化処理部を備えるものである。
【0020】
また本技術では、記録再生方法として以下のようにすることとした。
つまり、本技術の記録再生方法は、極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている光記録媒体について、ニアフィールド方式により記録再生を行う記録再生方法であって、それぞれ記録時又は再生時に対応して上記複数本の上記記録対象トラックに照射されるべき複数の記録用光又は再生用光と、上記ウォブリングトラックに照射されるべきウォブリングトラック用光とを、共通の対物レンズを介して上記光記録媒体に照射すると共に、上記複数の再生用光と上記ウォブリングトラック用光とについての上記光記録媒体からの反射光をそれぞれ個別に受光するように構成された光照射・受光部により得られる、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記対物レンズの対物面と上記光記録媒体の記録面との間の距離としてのギャップ長のエラーを表すギャップ長エラー信号を生成するギャップ長エラー信号生成部手順を有する。
また、上記ギャップ長エラー信号に基づき上記ギャップ長を制御するギャップ長制御手順を有する。
また、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、トラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号に基づき上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキングサーボ制御手順を有する。
また、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記ウォブリングトラックのウォブリング周期の変調により記録されたアドレス情報を検出するアドレス情報検出手順を有する。
また、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記極小記録担体の形成周期に同期したクロックを再生するクロック生成手順を有する。
また、上記クロックに応じたタイミングで上記複数の記録用光を発光駆動させて、上記複数本の上記記録対象トラックに対する記録を実行させる記録制御手順を有する。
また、上記光照射・受光部により得られる上記複数の再生用光のそれぞれについての受光信号と、上記クロックとに基づき、上記複数の記録対象トラックの記録信号をそれぞれ2値化する2値化処理手順を有するものである。
【0021】
ここで、パターンドメディアとしての光記録媒体に対し、ニアフィールド方式による記録再生を行うためには、少なくとも

1)ギャップ長サーボ
2)トラッキングサーボ、アドレス情報の再生
3)クロック(極小記録担体の形成周期に同期したクロック)の生成

が適切に行われる必要がある。
このとき、例えば従来の記録可能型の光ディスク記録媒体で行われているように、記録対象とされるトラック(以下、記録トラックとも表記する)自体を用いて、上記1)2)3)を実現させるという手法を採ることが順当に考えられる。
しかしながら、ニアフィールド方式におけるギャップ長サーボは、光記録媒体からの反射光量を評価指標(ギャップ長エラー信号)として、当該ギャップ長エラー信号が一定となるようにサーボ制御を行うようにされるものである。従って、このとき仮に、記録対象のトラックとサーボ用トラックとが同一であると、記録時において記録用光の反射光を利用してギャップ長エラー信号を生成する場合には、反射光量が増大するため、再生時より広いギャップ長しか保持することができなくなる。すなわち、ニアフィールド記録に必要となる適正なギャップ長とすることができなくなる。或いは記録時には、ギャップ長エラー信号にAGCをかけて対策することも考えられるが、AGCをかけたとしても記録区間/非記録区間のパワー遷移時のスパイクノイズによりサーボが容易に外れてしまい、ギャップ長サーボの安定性確保が非常に困難となる。
ギャップ長サーボを適正に実現できなければ、上記2)のトラッキングサーボ、アドレス再生や上記3)のクロックの生成のために必要な信号を得ることができないこととなる。
上記のような問題を解消して適正なギャップ長サーボを実現するにあたっては、記録用光とは波長の異なる専用光を別途照射し、当該専用光の反射光を用いてギャップ長サーボを行うという構成を採ることが考えられる。しかしながらその場合には、記録用光の反射光と上記専用光の反射光とを分離検出するためのダイクロイックプリズム等を設ける必要性があり、その分、光学系の構成の複雑化・高コスト化を助長するものとなってしまう。
【0022】
これに対し、上記本技術では、記録再生対象のトラックとは別に、ウォブリングトラックを並走させて形成している。
このように記録対象トラックとは別にウォブリングトラックを並走して形成すれば、上記本技術の記録再生装置・記録再生方法のように、記録に用いられない当該ウォブリングトラックに対して記録用光とは別のウォブリングトラック用光を照射し、その反射光を用いてギャップ長エラー信号の生成及びギャップ長サーボを行うことができる。これによれば、記録時において記録用光の反射光の影響を受けずにギャップ長エラー信号の生成ができ、記録用光と波長の異なる専用光の照射や当該専用光の反射光を分離検出するにあたっての光学系の構成の複雑化・高コスト化を防止することができる。
また、上記のように記録対象トラックとは別にウォブリングトラックを並走して形成すれば、上記本技術の記録再生装置・記録再生方法のように、記録に用いられない当該ウォブリングトラックを用いて上記2)のトラッキングサーボやアドレス再生を行うことができ、さらに上記3)のクロックの生成も行うことができる。これにより、上記クロック生成のためのPLL(Phase Locked Loop)回路の複雑化を防止しつつ、適正な上記クロックの生成を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
上記のように本技術によれば、パターンドメディアについてニアフィールド方式による記録再生を行うとした場合において、好適なパターンドメディアの構造、及び好適な記録再生手法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態の光記録媒体の記録面の構造について説明するための図である。
【図2】実施の形態の光記録媒体の全体の構造を平面図により表した図である。
【図3】ハイパーレンズを組み込んだ対物レンズの構成について説明するための図である。
【図4】ハイパーレンズ部の拡大断面図である。
【図5】本実施の形態で用いる対物レンズの構成について説明するための図である。
【図6】実施の形態の記録再生手法について説明するための図である。
【図7】実施の形態の記録再生装置の主に光学ピックアップの内部構成を示した図である。
【図8】レーザダイオードアレイの構造と受光部の受光面の構造とについて説明するための図である。
【図9】実施の形態の記録再生装置の全体的な内部構成を示した図である。
【図10】ギャップ長と対物レンズからの戻り光量との関係について説明するための図である。
【図11】ドットクロック生成回路の内部構成について説明するための図である。
【図12】記録処理部の内部構成を示した図である。
【図13】記録時のレーザ駆動信号生成時のタイミングチャートを示した図である。
【図14】2値化処理部の内部構成を示した図である。
【図15】動画像データについての説明図である。
【図16】各トラックに対する記録データの割り当てを模式化して示した図である。
【図17】ソリッドイマージョンレンズを用いたニアフィールド光学系について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.実施の形態の光記録媒体>
<2.光記録媒体についての記録再生手法>
[2-1.極小光スポットの形成手法]
[2-2.具体的な記録再生手法]
<3.記録再生装置>
[3-1.光学ピックアップの構成]
[3-2.記録再生装置全体の内部構成]
[3-3.具体的なデータ記録フォーマットの例]
<4.変形例>
【0026】
<1.実施の形態の光記録媒体>

図1は、本技術の光記録媒体の一実施形態としての光ディスクDの記録面の構造について説明するための図である。図1Aは、光ディスクDの記録面の構造の一部を拡大して平面図により示しており、図1Bは、上記記録面の一部の断面構造を表す。
また図2は、光ディスクDの全体の構造を平面図により表している。
【0027】
先ず、図2を参照して分かるように、本例の光ディスクDは、円盤状の光記録媒体とされる。光記録媒体とは、光の照射により信号の記録又は記録情報の再生が行われる記録媒体を指す。
【0028】
本例の光ディスクDは、いわゆるパターンドメディアとしての構造を有する。
パターンドメディアとは、例えば数十nm程度以下のサイズによる極小記録担体が複数配列されたトラックが形成され、当該トラックにおける上記極小記録担体の記録/未記録(又は消去)のパターンによって記録情報が表現される記録媒体を意味する。
本実施の形態の光ディスクDは、光記録媒体であるため、上記極小記録担体は光の照射に応じて変調され、記録状態を保持するように構成される。
【0029】
図1Aを参照して分かるように、光ディスクDの記録面上には、極小記録担体としてのドットDTが非常に高密度に配置されている。
図1A及び図1Bを参照して理解されるように、この場合のドットDTは、円柱形状を有するものとされる。
そしてドットDTは、図1Bに示されるように、その表面に対して反射膜Rfと記録膜Rcとが成膜されている。このような構造により、ドットDTは、光の照射に応じた変調を受けて記録状態を保持することになる。
なお、記録膜Rcとしては、いわゆるライトワンス型の光ディスクで用いられるような無機材料や有機材料による記録膜、又は書き換え可能型の光ディスクで用いられる相変化材料等で構成すればよい。
【0030】
図1Aに示すように、光ディスクDの記録面上には、極小記録担体であるドットDTが配列されたトラックとして、複数の録再用トラックTrpと、1本のサーボ等用トラックTsvとによる組が形成される。
録再用トラックTrpは、記録又は再生に用いられるトラックであり、図のように直線的(図1Bの拡大図においては直線とみなすことができるが、ディスク全体で見た際には円弧状となる)に形成されたものとなる。
これに対し、サーボ等用トラックTsvは、後述するトラッキングサーボやアドレス情報の検出等に用いられるものであり、図のように、ウォブリングされたトラックとなる。具体的には、ドットDTがウォブリング配列されて成る。
【0031】
本実施の形態の光ディスクDでは、複数の録再用トラックTrpと、1本のサーボ等用トラックTsvとが、1つのトラックユニットTUを形成する。具体的に本例の場合は、6本の録再用トラックTrp(Trp1〜Trp6)と1本のサーボ等用トラックTsvとが、トラックユニットTUを形成する。
【0032】
そして図2に示されるように、この場合のトラックユニットTUは、光ディスクDの記録面においてスパイラル状に形成されたものとなる。
【0033】
上記のように本実施の形態の光ディスクDでは、複数の録再用トラックTrpに対して、1本のサーボ等用トラックTsvが並走して形成されていることになる。
【0034】
ここで、図1Aを参照して分かるように、トラックユニットTU内においては、各録再用トラックTrp及びサーボ等用トラックTsv上の線方向(半径方向とは直交する方向:記録/再生の進行方向に平行な方向)におけるドットDTの形成位置を揃えるものとしている。
具体的には、各録再用トラックTrp及びサーボ等用トラックTsv上のドットDTの線方向における形成間隔は共に等しく、且つこれら各録再用トラックTrp及びサーボ等用トラックTsv上における各ドットDTの形成位置が、線方向上の同じ位置に揃えられている。
このように各トラック間で線方向におけるドットDTの形成位置を揃えるようにしていることで、後述するように、サーボ等用トラックTsvを利用して生成したクロックを各録再用トラックTrpの記録/再生に用いることができる。
【0035】
ここで、本例において、ドットDTは10nm程度の凸円柱(又は凹円柱でもよい)であり、直径は11nm程度であるとする。また、ドットDTの形成ピッチ(サーボ等用トラックTsvとその隣接トラックとの間の半径方向ピッチについては当該サーボ等用トラックTsvの中心線を基準としたピッチとする)は線方向・半径方向共に22nm程度であるとする。
【0036】
<2.光記録媒体についての記録再生手法>
[2-1.極小光スポットの形成手法]

ここで、上記のように本実施の形態の光ディスクDでは、ドットDTが非常に高密度に配列されている。
このとき、上記により例示したドットDTの直径及び形成ピッチによると、先の図17に示したような超半球状のSIL(Solid Immersion Lens:ソリッドイマージョンレンズ)による先玉レンズを備えた対物レンズでは、スポット径が過大となり、ドットDTごとの記録/再生を適正に行うことが非常に困難となってしまう。具体的に、図17に示した従来の対物レンズによるスポット径はおよそ220nm程度であり、上記で例示したドットDTの直径=11nm程度、ドットDTの形成ピッチ=22nm程度の高密度のパターンドメディアに対応することは非常に困難となる。
【0037】
そこで本実施の形態では、いわゆるハイパーレンズを組み込んだ対物レンズとすることで、本例の光ディスクDに対応可能なスポット径の実現を図る。
【0038】
図3は、ハイパーレンズを組み込んだ対物レンズOL'の構成について説明するための図である。
なおこの図3では、対物レンズOL'の断面を示している。
また図3では、対物レンズOL'に対する入射光Liとその光軸axsも併せて示している。
【0039】
図示するように対物レンズOL'は、後玉レンズL1と先玉レンズL2'とを有する2群レンズとされる。
この場合、後玉レンズL1としては両面非球面レンズが用いられる。
後玉レンズL1は、入射光Liに基づく収束光を先玉レンズL2'に対し入射する。
【0040】
この図において説明する先玉レンズL2'は、SIL部L2'aに対し、1つのハイパーレンズ部L2bが一体的に形成されたレンズとなる。
先玉レンズL2'に用いるSIL(SIL部L2'a)は、図のように超半球形状を有するSILとされる。具体的に、この場合のSIL部L2'aとしては、その対物側の面が平面とされた超半球状のSILとされる例を示している。
【0041】
なお確認のため述べておくと、「対物側」とは、対物レンズによる光照射の対象とする物体が配置される側を意味するものである。この場合は、光ディスクDに対する記録/再生システムへの適用を想定しているので、対物側と言ったときは、光ディスクDが配置される側を意味する。
【0042】
ソリッドイマージョンレンズとしてのSIL部L2'aは、少なくとも屈折率が1より大となる高屈折率材料で構成されており、後玉レンズL1からの入射光に基づき、開口数NA>1による近接場光(エバネッセント光)を生成する。
そして、先玉レンズL2'において、ハイパーレンズ部L2bは、図のようにSIL部L2'aにおける対物面に面する部分に形成されている。このような構成により、ハイパーレンズ部L2bには、SIL部L2'aが生成したNA>1による光が入射されるようになっている。
図のようにハイパーレンズ部L2bは、その全体的な形状として、略半球状の形状を有する。
【0043】
図4は、ハイパーレンズ部L2bの拡大断面図である。
図のようにハイパーレンズ部L2bは、複数の薄膜を積層した構造を有する。
具体的に、ハイパーレンズ部L2bは、誘電率εが負(ε<0)となる第1の薄膜と、誘電率εが正(ε>0)となる第2の薄膜とを交互に積層して形成されたものとなる。
【0044】
ここで、誘電率εが負の材料は、プラズモニック材料(Plasmonic Material)とも呼ばれる。プラズモニック材料の例としては、例えばAg、Cu、Au、Alなどを挙げることができる。
また、誘電率εが正の材料としては、例えばSiO2、SiN、SiCなどのシリコン系化合物、MgF2、CaF2などのフッ化物、GaN、AlNなどの窒化物、金属酸化物(Metal Oxide)、ガラス、ポリマーなどを挙げることができる。
【0045】
ここで、誘電率εは、使用する光の波長λに応じて変化するものである。従って第1の薄膜、第2の薄膜の材料は、所期の誘電率εが得られるべく、波長λに応じて選定すればよい。
本例の場合、波長λ=405nm程度を前提として、第1の薄膜の材料にはAgを、また第2の薄膜の材料にはAl23をそれぞれ選定しているものとする。
【0046】
図4において、第1の薄膜と第2の薄膜との積層は、ハイパーレンズ部L2bの対物側の外部(つまり先玉レンズL2'の対物側の外部と同じ)に設定した所定の基準点Prを中心とする半径Riによる球面に沿って、上記基準点Prを中心とする半径Ro(Ro>Ri)による球面の範囲まで行われている。このとき、第1の薄膜と第2の薄膜との積層は球面を基準に行われるので、各薄膜の積層は、図のようにドーム状に行われるものとなる。結果、ハイパーレンズ部L2bの断面形状としては、図のように年輪のような形状(半年輪形状)になる。
【0047】
なお確認のため述べておくと、前述のようにハイパーレンズ部L2bは、その全体的な形状としては略半円形状を有するものであり、従ってその対物側の面形状は、上記半径Riによる球面の形状を有する部分以外は、平面形状とされる。このようにハイパーレンズ部L2bの対物側の面をほぼ平面形状としているのは、当該ハイパーレンズ部L2bが一体形成されたSIL部L2'aの対物側の面形状が平面形状とされていることに対応させるためである。
【0048】
ここで、第1の薄膜と第2の薄膜とを積層した合計の層数は、3〜100000とされればよい。具体的に、本例の場合は68層程度としている。
また、各薄膜の膜厚は4nm〜40nmとされればよく、本例の場合、第1,第2の薄膜とも10nmを設定している。
【0049】
上記のようにハイパーレンズ部L2bは、誘電率が負である第1の薄膜と誘電率が正である第2の薄膜とを交互に積層した構造を有する。このような構造により、ハイパーレンズ部L2bにおいては、薄膜の積層方向に平行な方向おいて、NA>1の光(近接場光)を伝搬することができる。つまりこのことで、SIL部L2'aが生成したNA>1の光を伝搬して、対物側に出射することができる。
また、上記により説明したハイパーレンズ部L2bの積層構造によれば、半径Roの球面側から入射した光を半径Riの球面側より出射する際に、光の光束(つまり光のスポット径)を、上記半径Riと半径Roとの比率(Ro/Ri)に応じた分だけ縮小化することができる。
【0050】
これらの作用により、上記ハイパーレンズ部L2bによっては、SIL部L2'aによって生成されるNA>1の光で実現される極小光スポットをさらに縮小化することができ、なおかつ、これを伝搬して光ディスクDに照射することができる。
この結果、対物レンズOL'によれば、従来のソリッドイマージョンレンズを用いた対物レンズとする場合よりも小さなスポット径での記録を実現できる。
【0051】
また、図4に示す構造を有するハイパーレンズ部L2bによれば、対物側からの戻り光について、その光束を上記半径Riと上記半径Roとの比率に応じた分だけ拡大化することもできる。つまりハイパーレンズ部L2bは、光束を可逆的に縮小/拡大化することができるものである。
このような可逆的縮小/拡大化が可能なハイパーレンズ部L2bを有する対物レンズOL'によれば、当該対物レンズOL'を用いて記録の行われたドットDTについて、その読み出しも行うことができる。
つまりこの結果、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などの従来の光ディスクシステムの場合と同様に、記録と再生の双方を、共通の光学系を用いて実現することができる。換言すれば、記録時と再生時とで、それぞれ異なる光学系を用いるといった複雑な構成を採らずに済むものとできる。
【0052】
上記のようなハイパーレンズ部L2bを用いることによって、スポット径は30nm程度にまで縮小化できる。具体的に、例えば波長λ=405nm、Ro/Ri=6.58とし、図3に示した後玉レンズL1の厚さ(光軸axsに平行な方向の長さ)T_L1、SIL部L2'aの厚さT_L2、SIL部L2'aの半径R、及び後玉レンズL1と先玉レンズL2'との間のスペース(後玉レンズL1の対物側面の頂点からSIL部L2'aの超半球面の頂点までの距離)T_sをそれぞれ

T_L1=1.7mm
T_L2=0.7124mm
R=0.45mm
T_s=0.1556mm

とし、また後玉レンズL1への入射光Li(平行光)の径φが2.1mmであるとき、スポット径として33nm程度が実現される。
【0053】
ここで、後述もするように本実施の形態では、トラックユニットTUにおけるそれぞれのトラックに対して、共通の対物レンズを介して個々に光照射を行うことになる。
【0054】
このため本実施の形態では、図5に示すような、複数のハイパーレンズ部L2bを配列したハイパーレンズアレイHLAを組み込んだ対物レンズOLを用いるものとする。
図5において、図5Aは対物レンズOLの断面図、図5Bは対物レンズOLが有する先玉レンズL2の対物面の様子を平面図により表している。
この図に示すように、本実施の形態の対物レンズOLは、対物レンズOL’と同様に後玉レンズL1を備えると共に、その対物面側にハイパーレンズアレイHLAが一体成形された先玉レンズL2を備える。
なおこの場合、先玉レンズL2におけるハイパーレンズアレイHLAが形成された以外の部分としてのSIL部については、SIL部L2aと表記する。
【0055】
図5A,図5Bを参照して分かるように、ハイパーレンズアレイHLAは、光ディスクDの半径方向に平行となる方向に、ハイパーレンズ部L2bを複数配列したものとなる。
ここで、後述もするように本実施の形態では、トラックユニットTUにおける各トラックにそれぞれ1つのレーザ光を照射するために、1トラックにつきそれぞれ1つのレーザダイオード、及び1つのハイパーレンズ部L2bを設けるものとしている。具体的には、トラックユニットTUを構成する7つの各トラックに対応するため、7つのレーザダイオード(LDrp1〜LDrp6、LDsv)及びハイパーレンズ部L2bを設けるものとしている。
上記7つのレーザダイオードについては、そのレーザ光の出射角度の調整により、それぞれのレーザ光が、対応する1つのハイパーレンズ部L2bに入射するようにされている。
なお、この点については図7により改めて説明する。
【0056】
このとき、ハイパーレンズアレイHLAにおける各ハイパーレンズ部L2bの形成ピッチは、トラックユニットTUにおける各トラックの形成ピッチ(半径方向におけるピッチ)と同ピッチに設定される。
これにより、各トラックに対し、対応する各1つのレーザ光が照射されるようにできる。
【0057】
[2-2.具体的な記録再生手法]

図6は、光ディスクDについての具体的な記録再生手法について説明するための図である。
なお、これまでの説明からも理解されるように、本実施の形態の光ディスクDにおいては、トラックユニットTU内に6本の録再用トラックTrp(Trp1〜Trp6)と1本のサーボ等用トラックTsvとの計7本のトラックが形成され、これら7本のトラックにそれぞれ個別にレーザ光が照射されることになるが、この図6では図示の簡略化のため、録再用トラックTrpについてはTrp1とTrp2の2本のみを示すものとしている。
ここで、録再用トラックTrpを対象として照射されるレーザ光については録再用光Lrpと表記し、サーボ等用トラックTsvを対象として照射されるレーザ光についてはサーボ等用光Lsvと表記する。
録再用トラックTrp1〜Trp6に照射される個々のレーザ光については録再用光Lrp1〜Lrp6と表記するものとする。
【0058】
先ず、先の図5の説明からも理解されるように、本実施の形態では、録再用トラックTrpに照射される録再用光Lrp、及びサーボ等用トラックTsvに照射されるサーボ等用光Lsvについては、これらを共に共通の対物レンズOLを介して光ディスクDに照射するものとしている。これは、後述するサーボ等用光Lsvの反射光に基づくトラッキングサーボを可能とするためである。
【0059】
この前提の下で、先ず本実施の形態では、サーボ等用光Lsvの反射光に基づき、ギャップ長サーボを行うものとしている。
ここで、ギャップ長サーボは、ニアフィールド方式においてNA>1の光(近接場光)を記録媒体に伝播(照射)させるべく、対物レンズの対物面と記録媒体(記録面)との間隔としてのギャップ(ギャップ長)を、近接した一定の間隔に保つためのサーボ動作となる。前述もしたようにギャップ長は、少なくとも光の波長の1/4程度以下に抑えることが要請される。
【0060】
ギャップ長が適切であるか否か、すなわち近接場結合状態が適切に得られているか否かは、記録媒体からの戻り光量を指標として評価することができる。このため本実施の形態において、ギャップ長サーボは、サーボ等用光Lsvの反射光の受光信号レベルを評価指標として、ギャップ長を調整することで行う。具体的には、上記受光信号の振幅レベルをギャップ長エラー信号とし、当該振幅レベルが予め定められた目標値で一定となるように、対物レンズOLの光軸方向の位置を調整することで行うものである。
【0061】
また、本実施の形態では、サーボ等用光Lsvの反射光に基づき、トラッキングサーボを行う。
このトラッキングサーボについては、サーボ等用光Lsvの反射光に基づき、当該サーボ等用光Lsvの照射により形成される光スポットの、サーボ等用トラックTsvに対するトラッキング方向の位置誤差を表すトラッキングエラー信号TEを生成し、当該トラッキングエラー信号TEに基づき、対物レンズOLのトラッキング方向における位置を制御する。
これにより、サーボ等用光Lsvの光スポットがサーボ等用トラックTsvに追従するものとなり、同時に、当該サーボ等用光Lsvと共に対物レンズOLを介して照射される各録再用光Lrpについても、それぞれ対応する録再用トラックTrp上を追従させることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、サーボ等用光の反射光に基づき、アドレス検出、及び相対速度検出も行うものとしている。ここで、相対速度とは、光ディスクDと対物レンズOLを介して照射されるレーザ光の光スポットとの相対速度を意味するものである。
アドレス検出、及び相対速度検出については、サーボ等用トラックTsvのウォブリング周波数を検出した結果に基づき行う。具体的に、アドレス検出については、サーボ等用トラックTsvのウォブリング周波数の変調により記録されたアドレス情報信号を復調することで行う。また、相対速度検出については、サーボ等用トラックTsvのウォブリング周波数の中心周波数を検出することで行う。
【0063】
また、本実施の形態では、サーボ等用光Lsvの反射光に基づき、ドットクロック生成を行う。ここで、ドットクロックは、光ディスクDに配列されたドットDTの形成周期に同期したクロックを意味する。本実施の形態では、ドットDTの形成周期をそのまま表したドットクロックDclkを生成する。
【0064】
なお確認のため述べておくと、本実施の形態の光ディスクDは、先の図1Bに示した構造とされることで、ドットDTとそれ以外の部分との間に10nm程度の高低差を設けることにより反射率差が与えられている。この反射率差に応じた受光信号レベルの変化を利用して、ドットクロックDclkを生成することができる。
【0065】
また、本実施の形態において、各録再用トラックTrpを対象として照射する各録再用光Lrpによっては、それぞれ対応する録再用トラックTrpに形成されたドットDTに対する記録、又はドットDTの記録/未記録(又は消去)パターンにより表現される記録信号の再生を行う。
具体的に、録再用光Lrpによる記録は、上記ドットクロックDclkを記録用クロックとして用いて行う。すなわち、ドットクロックDclkが表すタイミングに従って録再用光Lrpを記録パワーで発光させることで行う。
また再生については、ドットクロックDclkが表すタイミングで、録再用光Lrpの反射光に基づく読出信号をサンプリングして行う。
【0066】
ここで、先の図1において説明したように、トラックユニットTUにおいては、各トラック間でドットDTの線方向形成位置が揃えられている。このため、上記のように録再用トラックTrpの記録/再生に、サーボ等用トラックTsvのドットDTを利用して生成したドットクロックDclkを用いたとしても、各録再用トラックTrpにおいて、ドットDTを対象とした記録、又はドットDTの記録/未記録(又は消去)の判定(符号”0”又は”1”の判定、すなわち2値化処理)をそれぞれ適正に行うことができる。
【0067】
ところで、パターンドメディアとしての光記録媒体に対し、ニアフィールド方式による記録再生を行うためには、少なくとも

1)ギャップ長サーボ
2)トラッキングサーボ、アドレス情報の再生
3)ドットクロックの生成

が適切に行われる必要がある。
【0068】
上記1)について、ニアフィールド方式におけるギャップ長サーボでは、前述のように光記録媒体からの戻り光量を評価指標(ギャップ長エラー信号)としてサーボ制御を行うようにされているが、このとき仮に、記録対象のトラックとギャップ長サーボ用のトラックとが同一であると、記録時におけるギャップ長エラー信号は、記録用光の反射光を用いて生成することが順当に考えられる。しかしながら、前述のようにギャップ長サーボでは光記録媒体からの反射光量が一定となるようにサーボ制御を行うようにされているので、記録時には、反射光量が増大することに伴い、再生時より広いギャップ長しか保持することができなくなってしまう。すなわち、ニアフィールド記録に必要とされる適性なギャップ長を維持することができない。或いは、記録時にはギャップ長エラー信号にAGC(Auto Gain Control)をかけて対策することも考えられるが、その場合には記録区間/非記録区間のパワー遷移時のスパイクノイズによりサーボが容易に外れてしまい、ギャップ長サーボを安定的に行うことが非常に困難となる。
上記1)のギャップ長サーボが実現できなければ、上記2)のトラッキングサーボやアドレス再生、及び上記3)のドットクロックの生成に必要な信号を適正に得ることができない。
【0069】
そこで、適正なギャップ長サーボの実現にあたっては、記録用光とは波長の異なる専用光を別途照射し、当該専用光の反射光を用いてギャップ長サーボを行うという構成を採ることが考えられる。
しかしながらその場合は、記録用光の反射光と上記専用光の反射光とを分離検出するためのダイクロイックプリズム等を設ける必要性があり、その分、光学系の構成の複雑化・高コスト化を助長するものとなってしまう。
【0070】
これに対し、本実施の形態では、記録再生対象のトラック(Trp)とは別に、ウォブリングされたトラック(Tsv)を並走させて形成するものとしている。
このように記録再生対象のトラックとは別にウォブリングトラックを並走して形成すれば、上記により説明した記録再生手法のように、記録に用いられないウォブリングトラックを用いて、録再用光Lrpとは別のサーボ等用光Lsvによりギャップ長エラー信号の生成及びギャップ長サーボを行うことができる。
これによれば、記録時において録再用光Lrpの反射光の影響を受けずにギャップ長エラー信号の生成ができ、記録用光と波長の異なる専用光の照射や当該専用光の反射光を分離検出するにあたっての光学系の構成の複雑化・高コスト化を防止することができる。
【0071】
また、上記のように記録再生対象のトラック(Trp)とは別に、ウォブリングされたトラック(Tsv)を並走させて形成するものとしたことで、上記により説明した記録再生手法のように、記録に用いられないウォブリングトラックを用いて、上記2)のトラッキングサーボ、アドレス再生や上記3)のドットクロック生成を行うことができる。
【0072】
ここで、3)のドットクロックの生成について、従来のパターンドメディアでは、下記参考文献1に開示されるようないわゆるセクタ・サーボ方式(サンプルサーボ方式)を採用する関係から、ドットクロックは、データの記録/再生の対象とするデータ記録領域(データ記録領域D)の間にドットクロック生成用の記録パターンを挿入(サーボパターン領域S)しておき、当該クロック生成用の記録パターンに基づき生成するようにされている。具体的には、上記クロック生成用の記録パターンから生成したドットクロックの位相をホールドし、当該位相をホールドしたクロックに従ってデータ記録領域に対する記録/再生を行うようにされているものである。このため従来では、ドットクロックの生成のためのPLL回路として前値ホールド型のNCO(数値制御発振器)を要するものとされ、その分PLL回路の構成が複雑となる。
これに対し、本実施の形態のように記録再生対象とする録再用トラックTrpとは別にサーボ等用トラックTsvを設け、当該サーボ等用トラックTsvを用いてドットクロックの生成を行うものとすれば、記録や再生中も当該サーボ等用トラックTsvからドットクロックを連続的に生成でき、結果、従来のパターンドメディアで用いられているような前値ホールド型NCOを設ける必要性はなくなる。つまりこの結果、適正なドットクロックの生成をPLL回路の複雑化を防止しつつ実現できる。

・参考文献1・・・特開2010−27169号公報
【0073】
上記のように本技術によれば、パターンドメディアについてニアフィールド方式による記録再生を行うとした場合において、好適なパターンドメディアの構造、及び好適な記録再生手法を提供できる。
【0074】
<3.記録再生装置>
[3-1.光学ピックアップの構成]

図7は、上記により説明した記録再生手法を実現するための、実施の形態としての記録再生装置の主に光学ピックアップ(光学ピックアップOP)の内部構成を示した図である。
先ず、図7において、光ディスクDは、図中のスピンドルモータ(SPM)11により回転駆動される。このようにスピンドルモータ11により回転駆動される光ディスクDに対して、光学ピックアップOPによる情報記録・記録情報の再生のための光照射が行われる。
【0075】
光学ピックアップOP内には、光ディスクDに形成された録再用トラックTrp1〜Trp6及びサーボ等用トラックTsvのそれぞれにレーザ光を個別に照射するための複数のレーザダイオードLDが配列された、レーザダイオードアレイ(以下、LDアレイと表記)1が設けられる。
【0076】
図8Aは、LDアレイ1の平面図である。
この図8Aに示されるように、LDアレイ1には、録再用レーザダイオードLDrp1〜LDrp6の計6つの録再用レーザダイオードLDrpと、サーボ等用レーザダイオードLDsvとが配列して形成される。
録再用レーザダイオードLDrp1は、録再用トラックTrp1を対象として照射されるべき録再用光Lrp1を出射するレーザダイオードとなる。同様に、録再用レーザダイオードLDrp2〜LDrp6は、それぞれ、録再用トラックTrp2〜Trp6を対象として照射されるべき録再用光Lrp2〜Lrp6を出射するレーザダイオードとなる。
また、サーボ等用レーザダイオードLDsvは、サーボ等用トラックTsvを対象として照射されるべきサーボ等用光Lsvを出射するレーザダイオードとなる。
【0077】
説明を図7に戻す。
LDアレイ1の各レーザダイオードLDから出射されたレーザ光(録再用光Lrp1〜lrp6及びサーボ等用光Lsv)は、図のようにそれぞれ発散光の状態で斜出射収差補正板2に入射する。当該斜出射収差補正板2では、斜出射されたレーザ光についての収差補正が為される。
【0078】
ここで、前述もしたように本実施の形態では、LDアレイ1の各レーザダイオードLDから出射されたレーザ光の出射角度の調整により、それぞれのレーザ光が、対物レンズOLにおける対応する1つのハイパーレンズ部L2bに入射するようにされている。
具体的に、中央に配置される録再用レーザダイオードLDrp4については、光軸を傾けずにレーザ光を出射することで、当該レーザ光が録再用トラックTrp4に対応するハイパーレンズ部L2b(ハイパーレンズアレイHPAの中央に配置される)に入射するようにされている。そして、録再用レーザダイオードLDrp4以外のレーザダイオードLDは、レーザ光をそれぞれ対応する角度で斜出射するようにされ、これにより、録再用光Lrp1が録再用トラックTrp1に対応するハイパーレンズ部L2bに入射し、録再用光Lrp2が録再用トラックTrp2に対応するハイパーレンズ部L2bに入射し、録再用光Lrp3が録再用トラックTrp3に対応するハイパーレンズ部L2bに入射し、録再用光Lrp5が録再用トラックTrp5に対応するハイパーレンズ部L2bに入射し、録再用光Lrp6が録再用トラックTrp6に対応するハイパーレンズ部L2bに入射し、またサーボ等用光Lsvがサーボ等用トラックTsvに対応するハイパーレンズ部L2bに入射するようにされている。
【0079】
斜出射収差補正板2を介した各レーザ光は、コリメーションレンズ3を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ4に入射する。偏光ビームスプリッタ4は、このように光源側から入射した各レーザ光については透過するように構成されている。
【0080】
偏光ビームスプリッタ4を透過した各レーザ光は、1/4波長板5を介した後、対物レンズOLを介して光ディスクDに対して照射される。すなわち、それぞれ対応するハイパーレンズ部L2bを介して、対応するトラックTに対して照射される。
【0081】
ここで、対物レンズOLに対しては、当該対物レンズOLをトラッキング方向(光ディスクDの半径方向に平行な方向)に変位させるためのトラッキング方向アクチュエータ6と、光軸方向(フォーカス方向、或いはギャップサーボ方向とも称する)に変位させるための光軸方向アクチュエータ7とが設けられる。
本例の場合、これらトラッキング方向アクチュエータ6、光軸方向アクチュエータ7としては共にピエゾアクチュエータが用いられる。
そしてこの場合、対物レンズOLは、トラッキング方向アクチュエータ6に保持され、このように対物レンズOLを保持するトラッキング方向アクチュエータ6が、光軸方向アクチュエータ7によって保持されている。これにより、これらトラッキング方向アクチュエータ6、光軸方向アクチュエータ7を駆動することで、対物レンズOLをトラッキング方向及び光軸方向に変位させることができるようにされている。
なお、逆に光軸方向アクチュエータ7が対物レンズOLを保持し、光軸方向アクチュエータ7をトラッキング方向アクチュエータ6が保持する構成としても同様の作用が得られることは言うまでもない。
【0082】
トラッキング方向アクチュエータ6は、後の図9に示す第1トラッキングドライバ24からの第1トラッキングドライブ信号TD-1に基づき駆動される。
また光軸方向アクチュエータ7は、図9に示す第1光軸方向ドライバ32からの第1光軸方向ドライブ信号GD-1に基づき駆動される。
【0083】
ここで、再生時において、各レーザ光が光ディスクDのそれぞれ対応するトラックTに照射されたことに応じては、それらのレーザ光についての反射光が得られる。このように得られる各レーザ光の反射光は、それぞれ対応するハイパーレンズ部L2bを介して、対物レンズOLにおける対物面とは逆側の面より出射される。
【0084】
対物レンズOLから出射された各レーザ光の反射光は、1/4波長板5を介した後、偏光ビームスプリッタ4に入射する。
ここで、このように偏光ビームスプリッタ4に入射する各反射光(復路光)は、1/4波長板5による作用と光ディスクDでの反射時の作用とにより、光源側から偏光ビームスプリッタ4に入射した各レーザ光(往路光)とはその偏光方向が90度異なるようにされる。この結果、上記のように入射した各反射光は、偏光ビームスプリッタ4にて反射される。
【0085】
このように偏光ビームスプリッタ4にて反射された各反射光は、HOE(Holographic Optical Element)8を介した後、集光レンズ9を介して受光部10の受光面に集光される。
このとき、HOE8によっては、各反射光のうちサーボ等用光Lsvの反射光のみが2方向に分光される。これにより、サーボ等用光Lsvの反射光は、集光レンズ9を介して受光部10上の異なる2つの位置にそれぞれ集光することになる。
【0086】
図8Bは、受光部10の受光面の構造を示している。
この図8Bに示すように、受光部10の受光面上には、録再光用フォトディテクタDTrp1〜DTrp6、ギャップ長サーボ・ドットクロック生成用フォトディテクタDTgd、及びサーボ・ウォブル検出用フォトディテクタDTswが形成されている。
録再光用フォトディテクタDTrp1〜DTrp6は、集光レンズ9により集光される録再用光Lrp1〜Lrp6の反射光のうち対応するものを受光するように設けられる。具体的に、ディテクタDTrp1は録再用光Lrp1を、ディテクタDTrp2は録再用光Lrp2を、ディテクタDTrp3は録再用光Lrp3を、ディテクタDTrp4は録再用光Lrp4を、ディテクタDTrp5は録再用光Lrp5を、ディテクタDTrp6は録再用光Lrp6をそれぞれ受光するように受光部10に形成されている。
【0087】
また、ギャップ長サーボ・ドットクロック生成用フォトディテクタDTgdは、HOE8により2方向に分光されたサーボ等用光Lsvの反射光のうち、一方の反射光を受光するように形成されている。
【0088】
また、サーボ・ウォブル検出用フォトディテクタDTswは、本例の場合、2分割ディテクタが用いられる。当該サーボ・ウォブル検出用フォトディテクタDTswの分割は、トラッキング方向に2つの受光領域が隣接配置されるように為されている。
サーボ・ウォブル検出用フォトディテクタDTswは、HOE8により2方向に分光されたサーボ等用光Lsvの反射光のうち、他方の反射光を受光するように形成されている。
【0089】
ここで、録再光用フォトディテクタDTrp1による受光信号は受光信号Drp1と表記する。同様に、録再光用フォトディテクタDTrp2、録再光用フォトディテクタDTrp3、録再光用フォトディテクタDTrp4、録再光用フォトディテクタDTrp5、録再光用フォトディテクタDTrp6による受光信号については、それぞれ受光信号Drp2、Drp3、Drp4、Drp5、Drp6と表記する。
また、ギャップ長サーボ・ドットクロック生成用フォトディテクタDTgdによる受光信号は受光信号Dgdと、サーボ・ウォブル検出用フォトディテクタDTswの一方の受光領域で得られた受光信号はDsw1と、他方の受光領域で得られた受光信号は受光信号Dsw2とそれぞれ表記する。
【0090】
[3-2.記録再生装置全体の内部構成]

図9は、実施の形態の記録再生装置の全体的な内部構成を示している。
なお図9において、光学ピックアップOPの内部構成については、先の図7に示した構成のうち録再用レーザダイオードLDrp1〜LDrp6、トラッキング方向アクチュエータ6、光軸方向アクチュエータ7のみを抽出して示している。
また図9においては、スピンドルモータ11の図示は省略している。
【0091】
先ず、記録再生装置には、ギャップ長サーボを実現するための構成として、I/V変換部26と共に、ギャップ長サーボ回路27、第1光軸方向ドライバ32、第2光軸方向ドライバ33、引込制御部34、及び面振れ追従機構36が設けられている。
【0092】
先ず、面振れ追従機構36は、光学ピックアップOPを保持するスライド移送・偏芯追従機構35を、光軸方向(フォーカス方向)に変位可能に保持する。
本例の場合、当該面振れ追従機構36はリニアモータを備えて成り、比較的高速な応答性を有するようにされている。面振れ追従機構36は、当該リニアモータの動力によりスライド移送・偏芯追従機構35を光軸方向に駆動し、これによって光学ピックアップOPを光軸方向に変位させる。
なお、当該面振れ追従機構36とスライド移送・偏芯追従機構35との位置関係についても、先のトラッキング方向アクチュエータ6と光軸方向アクチュエータ7との関係と同様にそれらの関係を入れ替えたとしても得られる作用は同様となる。
【0093】
I/V変換部26にてI/V変換された受光信号Dgdは、ギャップ長サーボにおけるエラー信号として機能する。
【0094】
ここで、図10は、ギャップ長と対物レンズOLからの戻り光量(ハイパーレンズ部L2bの対物側端面からの戻り光量)との関係について説明するための図である。
なおこの図10では一例として、シリコン(Si)ディスクを用いた場合におけるギャップ長と戻り光量との関係を示しているが、本例のように相変化材料等による記録膜Rcとする場合においてもこの図10とほぼ同様の関係が得られる。
また、この図に示す結果を得るにあたっては、サーボ等用光Lsvの波長λ=405nm、対物レンズOLの実効的な開口数NA=1.84とした。
【0095】
この図10に示されるように、対物レンズOLからの戻り光量は、ギャップ長が過大で近接場結合が生じない領域では最大値となる。近接場結合が生じていない場合、照射光は対物レンズOLの端面(ハイパーレンズ部L2bの端面)にて全反射されてしまうためである。
これに対し、およそ波長の1/4程度となるギャップ長=50nm近傍以下の領域では、近接場結合の作用により、戻り光量はギャップ長が短くなるに従って徐々に減少していくものとなる。
【0096】
ここで、近接場結合による作用を優先するのであれば、ギャップ長は短いほど有利となるが、ギャップ長を短くすると対物レンズOLと光ディスクDとの衝突や摩擦が問題となる。このため、ギャップ長としては近接場結合が生じる範囲内で光ディスクDとの間隔が或る程度空けられるようにして設定される。
この点を踏まえ、本例においては、ギャップ長(ギャップG)をG=20nm程度に設定している。
【0097】
図10において、例えばこのようにギャップG=20nmとする場合の戻り光量の目標値は、およそ0.08程度となっている。
ギャップ長サーボを行うにあたっては、予めギャップGの値から戻り光量についての目標値を求めておく。ギャップ長サーボは、検出した戻り光量がこのように予め求めておいた目標値で一定となるようにして行われる。
【0098】
説明を図9に戻す。
I/V変換部26を介した受光信号Dgdは、後述するドットクロック生成回路15に供給されると共に、図のようにギャップ長サーボ回路27と引込制御部34にも供給される。
【0099】
ギャップ長サーボ回路27には、ハイパスフィルタ28とサーボフィルタ29とによる第1のギャップ長サーボ信号生成系と、ローパスフィルタ30とサーボフィルタ31とによる第2のギャップ長サーボ信号生成系とが形成される。
第1のギャップ長サーボ信号生成系は光軸方向アクチュエータ7に対応するものとなり、第2のギャップ長サーボ信号生成系が面振れ追従機構36に対応する。
【0100】
ハイパスフィルタ28は、I/V変換部26を介した後の受光信号Dgdを入力し、当該受光信号Dgdの所定のカットオフ周波数以上の成分を抽出してサーボフィルタ29に出力する。
サーボフィルタ29は、ハイパスフィルタ28の出力信号についてサーボ演算を行って第1のギャップ長サーボ信号GS-1を生成する。
また、ローパスフィルタ30は、I/V変換部26を介した受光信号Dgdを入力し、当該受光信号Dgdの所定のカットオフ周波数以下の成分を抽出してサーボフィルタ31に出力する。
サーボフィルタ31はローパスフィルタ30の出力信号についてサーボ演算を行って第2のギャップ長サーボ信号GS-2を生成する。
【0101】
ここで、ギャップ長サーボ回路27には、ギャップGに基づいて予め求められた戻り光量についての目標値(つまりギャップGのときの受光信号Dgdの振幅値)が設定されており、サーボフィルタ29、31のそれぞれは、上記サーボ演算により、受光信号Dgdの振幅値を当該目標値とするためのギャップ長サーボ信号GS-1、GS-2をそれぞれ生成する。
【0102】
第1光軸方向ドライバ32は、第1のギャップ長サーボ信号GS-1に基づいて生成した第1の光軸方向ドライブ信号GD-1によって光軸方向アクチュエータ7を駆動する。
【0103】
また第2光軸方向ドライバ33は、第2のギャップ長サーボ信号GS-2に基づいて生成した第2の光軸方向ドライブ信号GD-2によって面振れ追従機構36を駆動する。
【0104】
ここで、上記により説明したギャップ長サーボ回路27において、ローパスフィルタ30のカットオフ周波数は、ディスクの面振れ周期以上の周波数に設定される。これにより、面振れ追従機構36によって光学ピックアップOPをディスク面振れに追従させるように変位させることができる。
このように光学ピックアップOP全体が面振れに追従するように駆動されることで、対物レンズOLの光ディスクDへの衝突の防止を図ることができる。
【0105】
引込制御部34は、ギャップ長サーボの引き込み制御を行うために設けられる。
この引込制御部34には、予めギャップGに基づいて求められた戻り光量についての目標値(ギャップGのときの受光信号Dgdの振幅値)が設定されている。引込制御部34は、このように設定された目標値に基づき、以下のようにしてギャップ長サーボの引き込み制御を行う。
先ずは、ギャップ長サーボがオフの状態において、I/V変換部26を介して入力される受光信号Dgdの振幅値と上記目標値との差分を計算する。そして、この差分の値が予め設定された引き込み範囲内の値であるか否かを判定し、引き込み範囲内でないとした場合は上記差分に応じた引き込み用波形(差分を減少させる方向に受光信号Dgdの振幅値を変化させるための信号)を生成し、これを第1光軸方向ドライバ32、第2光軸方向ドライバ33に与える。これにより、受光信号Dgdの振幅値が引き込み範囲内に収まるように制御することができる。
そして、上記差分の値が上記引き込み範囲内に入ったとした場合は、ギャップ長サーボ回路27にサーボループ(第1及び第2のギャップ長サーボ信号生成系の双方)をオンとするように指示を行う。これにより、引き込み制御が完了となる。
【0106】
また、本実施の形態の記録再生装置には、サーボ・ウォブル検出用フォトディテクタDTswにより得られる受光信号Dsw1,Dsw2に基づき、トラッキングサーボ、アドレス検出、及び相対速度検出を行うための構成が設けられる。
具体的には、信号生成回路16、アドレス・相対速度検出回路17、トラッキングサーボ回路19、第1トラッキングドライバ24、第2トラッキングドライバ25、及びスライド移送・偏芯追従機構35である。
【0107】
信号生成回路16は、受光信号Dsw1,Dsw2に基づき、トラッキングエラー信号TE、及びウォブル信号WS(サーボ等用トラックTsvのウォブリングに係る信号)を生成する。
図のようにトラッキングエラー信号TEはトラッキングサーボ回路19に供給され、ウォブル信号WSはアドレス・相対速度検出回路17に供給される。
【0108】
ここで、記録再生装置において、トラッキングサーボ回路19、第1トラッキングドライバ24、第2トラッキングドライバ25、及びスライド移送・偏芯追従機構35は、先に説明したサーボ等用光Lsv及び録再用光Lrpについてのトラッキングサーボと、光学ピックアップOP全体のスライドサーボを実現するために設けられたものとなる。
【0109】
スライド移送・偏芯追従機構35は、光学ピックアップOP全体をトラッキング方向に変位可能に保持する。
このスライド移送・偏芯追従機構35は、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの従来の光ディスクシステムに設けられるスレッド機構が備えるモータよりも高速な応答性を有する動力部を備えて構成され、光学ピックアップOPを、シーク時のスライド移送のために変位させるのみでなく、トラッキングサーボがオンの状態においてディスク偏芯に伴い生じるレンズシフトの抑制のためにも変位させる。
本例の場合、スライド移送・偏芯追従機構35はリニアモータを備え、当該リニアモータによる駆動力を光学ピックアップOPをトラッキング方向に変位可能に保持する機構部に与えるように構成されている。
【0110】
ここで、本実施の形態の記録再生装置において、上記のように光学ピックアップOP全体をディスク偏芯にも追従させるように駆動するものとしているのは、本実施の形態のようなハイパーレンズ部L2bを備える対物レンズOLを用いるシステムでは、BDシステムや従来SILのシステムとの比較で、視野範囲が比較的狭いものとなる点に鑑みたものである。
【0111】
トラッキングサーボ回路19内には、ハイパスフィルタ(HPF)20とサーボフィルタ21とによる第1のトラッキングサーボ信号生成系と、ローパスフィルタ(LPF)22とサーボフィルタ23とによる第2のトラッキングサーボ信号生成系とが形成される。
第1のトラッキングサーボ信号生成系が対物レンズOLを保持するトラッキング方向アクチュエータ6側に対応するものとなり、第2のトラッキングサーボ信号生成系が光学ピックアップOPを保持するスライド移送・偏芯追従機構35側に対応するものとなる。
【0112】
トラッキングサーボ回路19内において、トラッキングエラー信号TEは、ハイパスフィルタ20とローパスフィルタ22とに分岐して入力される。
ハイパスフィルタ20は、トラッキングエラー信号TEの所定のカットオフ周波数以上の成分を抽出してサーボフィルタ21に出力する。
サーボフィルタ21は、ハイパスフィルタ20の出力信号についてサーボ演算を行って第1のトラッキングサーボ信号TS-1を生成する。
また、ローパスフィルタ22はトラッキングエラー信号TEの所定のカットオフ周波数以下の成分を抽出してサーボフィルタ23に出力する。
サーボフィルタ23はローパスフィルタ22の出力信号についてサーボ演算を行って第2のトラッキングサーボ信号TS-2を生成する。
【0113】
第1トラッキングドライバ24は、第1のトラッキングサーボ信号TS-1に基づき生成した第1のトラッキングドライブ信号TD-1によってトラッキング方向アクチュエータ6を駆動する。
【0114】
また第2トラッキングドライバ25は、第2のトラッキングサーボ信号TS-2に基づき生成した第2のトラッキングドライブ信号TD-2によってスライド移送・偏芯追従機構35を駆動する。
【0115】
なお、図示による説明は省略するが、トラッキングサーボ回路19は、例えば記録再生装置の全体制御を行う制御部より目標アドレスが指示されることに応じて、トラッキングサーボループをオフとして、第1トラッキングドライバ24や第2トラッキングドライバ25にトラックジャンプやシーク移動のための指示信号を与えるように構成されている。
【0116】
ここで、トラッキングサーボ回路19において、ローパスフィルタ22のカットオフ周波数は、ディスク偏芯周期(ディスク偏芯に伴い光スポット位置とトラック位置との位置関係が変化する周期)以上の周波数に設定される。これにより、スライド移送・偏芯追従機構35が、光学ピックアップOPをディスク偏芯に追従させるように駆動することができる。
つまりこの結果、ディスク偏芯に伴う対物レンズOLのレンズシフトの量を大幅に抑えることができ、サーボ等用光Lsvや録再用光Lrpが対応するハイパーレンズ部L2bの視野範囲(視野全幅)から外れないようにすることができる。換言すれば、ディスク偏芯に依ってこれらのレーザ光が対応するハイパーレンズ部L2bの視野範囲から外れて記録/再生やサーボ制御等を行うことができなくなってしまうといった事態の発生を防止することができるものである。
【0117】
また、アドレス・相対速度検出回路17は、信号生成回路16からのウォブル信号WSに基づき、サーボ等用トラックTsvのウォブリングにより記録されたアドレス情報の検出、及び光ディスクDと光スポットの相対速度(この場合は光ディスクDの回転速度と同義となる)の検出を行う。
前述もしたように、アドレス検出については、サーボ等用トラックTsvのウォブリング周波数の変調により記録されたアドレス情報信号を復調することで行う。また、相対速度検出については、サーボ等用トラックTsvのウォブリング周波数の中心周波数を検出することで行う。
アドレス・相対速度検出回路17で検出されたアドレス情報はアドレス情報ADR、相対速度情報は相対速度情報Crと表記する。
【0118】
回転制御回路18は、アドレス・相対速度検出回路17にて検出された相対速度情報Crに基づき、先の図7に示したスピンドルモータ11の回転制御を行う。具体的にこの場合は、相対速度情報Crにより示される速度が設定された速度で一定となるようにするための駆動信号SDを生成し、当該駆動信号SDによりスピンドルモータ11を回転駆動する。これにより、スピンドルモータ11による回転速度が所定の回転速度で一定となるように制御される。
【0119】
また、記録再生装置には、ドットクロック生成回路15が設けられる。
このドットクロック生成回路15は、先の図7,図8に示したギャップ長サーボ・ドットクロック生成用フォトディテクタDTgdからの受光信号Dgdに基づき、ドットクロックDclkを生成する。具体的に、ドットクロック生成回路15には、I/V変換部26によりI/V変換された後の受光信号Dgdが入力され、当該受光信号Dgdに基づきドットクロックDclkを生成する。
【0120】
図11は、ドットクロック生成回路15の内部構成について説明するための図である。
なおこの図11ではドットクロック生成回路15の内部構成と共に、図9に示されるI/V変換部26も併せて示している。
図示するようにドットクロック生成回路15には、2値化回路40、エッジ検出回路41、及びPLL回路42が設けられる。
【0121】
2値化回路40は、I/V変換部26を介した受光信号Dgdを、予め設定された閾値によりスライスすることで、当該受光信号Dgdについての2値化を行う。
前述もしたように、光ディスクDの記録面においては、ドットDTとそれ以外の部分とに反射率差が与えられている。2値化回路40では、この反射率差に起因して振幅が変化する受光信号Dgdについての2値化が行われるものである。
【0122】
エッジ検出回路41は、2値化回路40で得られた2値化信号のエッジタイミングを検出する。具体的にこの場合は、上記2値化信号の立ち上がりエッジタイミングを検出し、当該エッジタイミングを表すエッジタイミング信号を生成する。
【0123】
PLL回路42は、エッジ検出回路41によるエッジタイミング信号に基づくPLL処理を行って、ドットDTの形成周期と同期したドットクロックDclkを生成する。
【0124】
説明を図9に戻す。
ドットクロック生成回路15により生成されたドットクロックDclkは、記録処理部12、及び2値化処理部13に供給される。
【0125】
記録処理部12に対しては、光ディスクDに記録すべきデータ(記録データ)が入力される。記録処理部12は、入力された記録データと、ドットクロックDclkとに基づき、録再用レーザダイオードLDrp1〜LDrp6を発光駆動するための駆動信号DL-rp1〜DL-rp6をそれぞれ生成する。そして、これら駆動信号DL-rp1〜DL-rp6により、それぞれ対応する1つの録再用レーザダイオードLDrpを発光駆動する。
これにより、記録データを、6本の録再用トラックTrp1〜Trp6に対して同時記録させることができる。
【0126】
図12は、記録処理部12の内部構成を示している。
記録処理部12内には、データ分割部43、ANDゲート回路44-1〜44-6が設けられる。
なお、この図12では図示の複雑化を避けるため、ANDゲート回路44についてはANDゲート回路44-1、44-2、44-6のみを示し、ANDゲート回路44-3〜44-5については図示を省略している。
【0127】
データ分割部43は、入力される記録データを、トラックユニットTU内に形成される録再用トラックTrpと同数のデータに分割する。
ここで、トラックユニットTU内に形成される録再用トラックTrpの本数を「n」とおいたとき、本実施の形態では、これらn本のトラックTrpに、それぞれ「m」bitのデータを逐次割り振るようにして記録を行う。すなわち、「n×m」bitのデータを、逐次、同時記録していくものである。
具体的に本例では、n=6本の条件の下で、m=8bitとすることで、48bitごとのデータを逐次同時記録していくようにされる。
【0128】
データ分割部43は、入力される記録データ中の「n×m」bitのデータを、逐次、n個に分割する。これにより、それぞれが「m」bitで成るn個の分割データを得る。具体的に本例では、記録データ中の48bitのデータを逐次6つに等分することで、それぞれが8bitで成る6つのデータ(D1〜D6とする)を得る。
【0129】
ANDゲート回路44-1〜44-6には、データ分割部43により得られたデータD1〜D6のうち対応する1つのデータDがそれぞれ入力される。具体的に、ANDゲート回路44-1にはデータD1が、ANDゲート回路44-2にはデータD2が、ANDゲート回路44-3にはデータD3が、ANDゲート回路44-4にはデータD4が、ANDゲート回路44-5にはデータD5が、またANDゲート回路44-6にはデータD6がそれぞれ入力される。
また、これらANDゲート回路44-1〜44-6には、ドットクロック生成回路15からのドットクロックDclkも入力される。
【0130】
ANDゲート回路44-1〜44-6は、入力されるデータDとドットクロックDclkとのANDをとり、その結果を録再用レーザダイオードLDを発光駆動するための駆動信号DL-rpとして出力する。
具体的に、ANDゲート回路44-1の出力は駆動信号DL-rp1、ANDゲート回路44-2の出力は駆動信号DL-rp2、ANDゲート回路44-3の出力は駆動信号DL-rp3、ANDゲート回路44-4の出力は駆動信号DL-rp4、ANDゲート回路44-5の出力は駆動信号DL-rp5、ANDゲート回路44-6の出力は駆動信号DL-rp6である。
【0131】
ここで、図13に、駆動信号DL-rp生成時のタイミングチャートを示す。
なおこの図では、先の図11に示した2値化回路40による2値化信号を「a」、エッジ検出回路41によるエッジタイミング信号を「b」、ドットクロックDclkを「c」、データ分割部43から出力されるデータD1を「d」、ANDゲート回路44-1の出力(DL-rp1)を「e」としている。
【0132】
この図13を参照して分かるように、図12に示す記録処理部12の構成によれば、ドットクロックDclkが表すドットDTの形成位置において記録パルスを印加することのできる駆動信号DL-rpが得られる。つまりこれにより、記録を行うべきドットDTに対してのみ正しく記録が行われるようにできる。
【0133】
図9に戻り、2値化処理部13、及び再生処理部14は、光ディスクDの録再用トラックTrp1〜Trp6に記録された情報を再生するために設けられる。
2値化処理部13は、図7,図8に示した録再光用フォトディテクタDTrp1〜DTrp6による受光信号Drp1〜Drp6と、ドットクロックDclkとに基づき、録再用トラックTrp1、Trp2、Trp3、Trp4、Trp5、Trp6のそれぞれの記録信号についての2値化処理を行う。
【0134】
なお図示による説明は省略するが、再生時において、録再用レーザダイオードLDrp1〜LDrp6のそれぞれは、再生パワーにより発光駆動されるものとなる。
サーボ等用レーザダイオードLDsvは、記録時・再生時の双方で再生パワーにより発光駆動される。
【0135】
図14は、2値化処理部13の内部構成を示している。
2値化処理部13には、I/V変換部45-1〜45-6、サンプリング部46-1〜46-6が設けられる。
なおこの図においても図示の複雑化を避けるため、I/V変換部45についてはI/V変換部45-1、45-2、45-6のみを示し、またサンプリング部46についてはサンプリング部46-1、46-2、46-6のみを示し、I/V変換部45-3〜45-5、及びサンプリング部46-3〜46-5についての図示は省略している。
【0136】
I/V変換部45-1〜45-6には、録再光用フォトディテクタDTrp1〜DTrp6にて得られる受光信号Drp1〜Drp6のうち、対応する1つの受光信号Drpがそれぞれ入力される。すなわち、I/V変換部45-1には受光信号Drp1が、I/V変換部45-2には受光信号Drp2が、I/V変換部45-3には受光信号Drp3が、I/V変換部45-4には受光信号Drp4が、I/V変換部45-5には受光信号Drp5が、I/V変換部45-6には受光信号Drp6がそれぞれ入力される。
【0137】
I/V変換部45-1〜45-6によりI/V変換された受光信号Drp1〜Drp6は、サンプリング部46-1〜46-6のうち、それぞれ対応する1つのサンプリング部46に入力される。つまり、受光信号Drp1はサンプリング部46-1、受光信号Drp2はサンプリング部46-2、受光信号Drp3はサンプリング部46-3、受光信号Drp4はサンプリング部46-4、受光信号Drp5はサンプリング部46-5、受光信号Drp6はサンプリング部46-6に入力される。
サンプリング部46-1〜46-6のそれぞれは、入力される受光信号DrpをドットクロックDclkが表すタイミングに従ってサンプリングする。これにより、ドットDTの記録/未記録を表す2値化信号を得ることができる。具体的に、この場合のサンプリング部46で得られる2値化信号は、記録済みのドットDTの形成位置でのみHigh(又はLow)となり、それ以外の部分でLow(又はHigh)となる信号となる。
【0138】
説明を図9に戻す。
上記により説明した2値化処理部13によって、トラックユニットTU内の各録再用トラックTrpの記録信号についての2値化信号を同時に得ることができる。
【0139】
再生処理部14は、2値化処理部13より入力される各2値化信号に基づき、前述した記録データを再生した再生データを得る。
具体的に、再生処理部14は、各2値化信号として「m」bitのデータが得られるごとに、これらを統合して「n×m」bitのデータを得る。そして、このように統合したデータを再生データとして順次出力する。
【0140】
以上で説明した記録再生装置の構成により、先に説明した実施の形態としての記録再生手法を実現することができる。
【0141】
[3-3.具体的なデータ記録フォーマットの例]

ここで、上記による説明では、簡単のため、各録再用トラックTrpに対しては記録データ中の「m」bitずつを分割して得たデータD1〜D6を並列記録するものとしたが、各録再用トラックTrpに対する記録は、以下のように行うこともできる。
【0142】
先ず、記録すべきデータとしては、図15に示されるような動画像データであるとする。 この図15に示すように、動画像データは、水平画素数H×垂直画素数Vによるフレーム画像データの連続となる。
【0143】
ここで、1画素(1ピクセル)分のデータは、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)の各色ごとの画素値(輝度値)で構成される。この場合、画素値の深度(階調)は16bitであるものとする。
【0144】
ここで例示する記録フォーマットは、録再用トラックTrp1〜Ttp6の6本のトラック×8bit=48bitを1データ単位とし、当該1データ単位を1ピクセル分の画素値の記録に割り当てるものである。
【0145】
図16は、この場合の記録データの割り当てを模式化して示している。
この場合の記録フォーマットでは、1ピクセルを構成するR,G,Bの各色の画素値を、それぞれMSByteとLSByteとに分け(つまり8bitずつに分け)て計6つのデータを得、それらの各1つを、録再用トラックTrp1〜Trp6のうち対応する1つのトラックTrpにそれぞれ割り当てる。
この図の例では、B画素値のLSbyteを録再用トラックLrp1に、また当該B画素値のMSByteを録再用トラックLrp2に割り当て、G画素値のLSbyteを録再用トラックLrp3に、また当該G画素値のMSByteを録再用トラックLrp4に割り当てるものとしている。さらにR画素値のLSbyteを録再用トラックLrp5に、また当該R画素値のMSByteを録再用トラックLrp6に割り当てるものとしている。
これにより、6本の録再用トラックTrp×8bit=48bitの領域が、1ピクセル分のデータの記録に割り当てられる。換言すれば、1画素分のR,G,Bのそれぞれの画素値が、複数の録再用トラックTrpに(複数の録再用光Lrpにより)分担して並列記録されるものである。
なお、図示もしているように、各Byteのデータの記録順は、MSbit→LSbitの順となる。
また、図15において矢印で示すように、このような1ピクセルごとのデータ記録は、水平ライン順次でスキャンするようにして行う。
【0146】
ここで、上記説明からも理解されるように、この場合の記録フォーマットでは、動画像のRAWデータ(生データ)を光ディスクDに記録するという点に特徴がある。
なお、実際には、所定ピクセル分のデータごとに、所定長の誤り訂正符号等の付加データを挿入してもよい。例えば、8192ピクセル分のデータ(49kByte)ごとに、2048ピクセル相当(12kByte)の誤り訂正符号、アドレス情報などの付加データを挿入する等の例を挙げることができる。
【0147】
ここで、上記による記録フォーマットを実現するとした場合、図12に示したデータ分割部43には、「記録データ」として、動画像データの各フレーム画像データを構成するピクセルデータ(R,G,Bの画素値)を水平ライン順次に入力する。そしてこの場合のデータ分割部43は、このように入力される記録データの48bitごとに、図16にて説明したような各録再用トラックTrpごとの8bitずつのデータの割り振りが実現されるように、データD1〜データD6の分割を行う。
なお、誤り訂正符号等の付加データを挿入する場合には、「記録データ」として、所定ピクセル分のデータごとに所定長の付加データが挿入されたデータをデータ分割部43に入力するものとすればよい。このとき、ピクセルデータ以外の付加データについても、6本の録再用トラックTrp×8bit=48bitを1データ単位として順次記録が行われるように、データD1〜データD6の分割を行うものとすればよい。
【0148】
確認のために述べておくと、本実施の形態において、上記のように光ディスクDに変調符号を用いずRAWデータを直接記録することができるのは、ドットDTの記録/未記録(又は消去)が符号ビット”0””1”を表すようにされたパターンドメディアとしての記録媒体を採用し、且つ、録再用トラックTrpとは別途に、記録/再生には使用しないサーボ等用トラックTsvを並走して形成するようにしたことに依る。
通常の光ディスクでは、記録符号の最大反転間隔が長すぎるとフォーカスサーボ(ギャップ長サーボ)やトラッキングサーボに漏れ込んでサーボを乱したり、PLLによる記録符号のビットクロック再生が著しく困難となるので、マーク(又はピット)とスペースの有限の長さの組み合わせで記録された信号を再生する必要があるため、記録符号の最大反転間隔を制限する必要性がある。すなわち、記録変調符号としてランレングスリミテッド符号を用いる必要がある。しかしながら、RAWデータは最大反転間隔が無限長であるため、そのまま記録することはできない。
これに対し、上記により説明した本実施の形態の構成によれば、サーボ等用トラックTsvには一切記録を行わないためこれを用いて行われるギャップ長サーボやトラッキングサーボが乱れることはなく、さらに、サーボ等用トラックTsvから適正にドットクロックDclkを生成することができるため、当該ドットクロックDclkの表すタイミングで各録再用トラックTrpのドットDTの記録/未記録(又は消去)、すなわち符号”0”/”1”を適正に判定することができる。このため、同符号が連続しても問題は生じず、記録符号の最大反転間隔を制限する必要性はない。
これらの結果、本実施の形態によれば、極小記録担体であるドットDTの1つと符号1ビットとの1:1対応と、物理ドットクロックとデータビットクロックとの1:1対応が実現でき、動画像のピクセルRAWデータを1ビット単位でパターンドメディアである光ディスクD上の1ドットに対応して記録することができる。
【0149】
<4.変形例>

以上、本技術の実施の形態について説明したが、本技術としては上記により説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、これまでの説明では、6本の録再用トラックTrpに対して1本のサーボ等用トラックTsvを並走させるものとしたが、トラックユニットTU内に形成する録再用トラックTrpの数については6本に限定されるべきものではない。
トラックユニットTUを構成する録再用トラックTrpの数は、より多くするほど、光ディスクDのデータ記録容量の向上が図られる(光ディスクD上において、記録再生に用いられないサーボ等用トラックTsvの形成領域の占める割合が小となるため)。
【0150】
また、トラックユニットTU内の録再用トラックTrpの数は、3の倍数であれば、R,G,Bの画素値を記録する場合に好適となる。
【0151】
また、トラックユニットTUは、スパイラル状に形成するものとしたが、同心円状に形成することもできる。
【0152】
また、本技術の光記録媒体はディスク状の記録媒体に限定されるべきものではなく、例えばカード状等の矩形状の記録媒体とすることもできる。
矩形状とする場合は、複数のトラックユニットTUを平行に配列して形成する。この場合、記録再生装置としては、トラックユニットTUの形成方向(線方向)に光学ピックアップOP又は光記録媒体をスライドさせて各トラックユニットTUに対する記録/再生を順次行うように構成すればよい。この場合の相対速度制御は、これら光学ピックアップOP又は光記録媒体のスライド速度を制御することで行う。
【0153】
またこれまでの説明では、極小記録担体の形状が円柱状とされる場合を例示したが、極小記録担体の形状は例えば球面状等の他の形状とすることもできる。
【0154】
またこれまでの説明では、サーボ等用トラックTsvからのサーボ等用光Lsvの反射光をHOE8により分光して個別に検出するものとしたが、このような構成は必須ではない。
例えば、サーボ等用光Lsvの反射光を受光するフォトディテクタとして、分割ディテクタであるフォトディテクタDTswのみを設けるものとしておき、当該フォトディテクタDTswの受光信号の和信号をドットクロックの生成、及びギャップ長サーボに用いるようにすれば、サーボ等用光Lsvの反射光を分光して個別検出する必要はない。
【0155】
また、これまでの説明では、ハイパーレンズ部L2bの全体的な形状を略半球状(半球に満たない形状)とする場合を例示したが、例えば半球状などの他の形状とすることもできる。
【0156】
また、SIL部L2aとして、超半球形状を有するソリッドイマージョンレンズを用いる場合を例示したが、半球形状を有するソリッドイマージョンレンズを用いることもできる。
【0157】
また本技術は、以下に示す構成とすることも可能である。
(1)
極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、
複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている
光記録媒体。
(2)
上記極小記録担体の形成部分とそれ以外の部分とに反射率差が与えられている上記(1)に記載の光記録媒体。
(3)
上記1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成される上記複数本の上記記録対象トラックの組として、3の倍数の本数による記録対象トラックが形成されている
上記(2)に記載の光記録媒体。
(4)
極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている光記録媒体について、ニアフィールド方式により記録再生を行う記録再生装置であって、
それぞれ記録時又は再生時に対応して上記複数本の上記記録対象トラックに照射されるべき複数の記録用光又は再生用光と、上記ウォブリングトラックに照射されるべきウォブリングトラック用光とを、共通の対物レンズを介して上記光記録媒体に照射すると共に、上記複数の再生用光と上記ウォブリングトラック用光とについての上記光記録媒体からの反射光をそれぞれ個別に受光するように構成された光照射・受光部と、
上記光照射・生成部により得られる上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記対物レンズの対物面と上記光記録媒体の記録面との間の距離としてのギャップ長のエラーを表すギャップ長エラー信号を生成するギャップ長エラー信号生成部と、
上記ギャップ長エラー信号に基づき上記ギャップ長を制御するギャップ長制御部と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、トラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号に基づき上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキングサーボ制御部と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記ウォブリングトラックのウォブリング周期の変調により記録されたアドレス情報を検出するアドレス情報検出部と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記極小記録担体の形成周期に同期したクロックを再生するクロック生成部と、
上記クロックに応じたタイミングで上記複数の記録用光を発光駆動させて、上記複数本の上記記録対象トラックに対する記録を実行させる記録制御部と、
上記光照射・受光部により得られる上記複数の再生用光のそれぞれについての受光信号と、上記クロックとに基づき、上記複数の記録対象トラックの記録信号をそれぞれ2値化する2値化処理部と
を備える記録再生装置。
(5)
上記光照射・受光部により上記光記録媒体上に形成される光スポットが上記光記録媒体上を相対的に移動するように 上記光記録媒体又は上記光照射・受光部を駆動する相対移動駆動部と、
上記ウォブリングトラック用光についての反射光に基づき上記光スポットの相対移動速度を検出する相対速度検出部と、
上記相対速度検出部が検出した上記相対移動速度に基づき、上記相対移動駆動部を制御する速度制御部とをさらに備える
上記(4)に記載の記録再生装置。
(6)
上記記録制御部は、
ランレングスリミッテッド符号化されていない状態のデータの1ビットがそれぞれ1つの上記極小記録担体に記録されるように制御を行う
上記(4)又は(5)に記載の記録再生装置。
(7)
上記記録制御部には、1画素分のデータが赤,緑,青の画素値で構成された画像データが順次供給され、
当該記録制御部は、
1画素分の赤,緑,青のそれぞれの画素値が、上記複数の記録用光により分担して並列記録されるように制御を行う
上記(6)に記載の記録再生装置。
(8)
上記対物レンズには、
上記複数の記録用光と上記ウォブリングトラック用光の個々に対応して、誘電率が負である第1の薄膜と誘電率が正である第2の薄膜とが交互に積層されて成るハイパーレンズ部が複数形成されており、
上記光照射・受光部は、
上記複数の記録光と上記ウォブリングトラック用光をそれぞれ対応する上記ハイパーレンズ部を介して上記光記録媒体に照射するように構成されている
上記(4)〜(7)に記載の記録再生装置。
(9)
極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている光記録媒体について、ニアフィールド方式により記録再生を行う記録再生方法であって、
それぞれ記録時又は再生時に対応して上記複数本の上記記録対象トラックに照射されるべき複数の記録用光又は再生用光と、上記ウォブリングトラックに照射されるべきウォブリングトラック用光とを、共通の対物レンズを介して上記光記録媒体に照射すると共に、上記複数の再生用光と上記ウォブリングトラック用光とについての上記光記録媒体からの反射光をそれぞれ個別に受光するように構成された光照射・受光部により得られる、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記対物レンズの対物面と上記光記録媒体の記録面との間の距離としてのギャップ長のエラーを表すギャップ長エラー信号を生成するギャップ長エラー信号生成部手順と、
上記ギャップ長エラー信号に基づき上記ギャップ長を制御するギャップ長制御手順と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、トラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号に基づき上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキングサーボ制御手順と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記ウォブリングトラックのウォブリング周期の変調により記録されたアドレス情報を検出するアドレス情報検出手順と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記極小記録担体の形成周期に同期したクロックを再生するクロック生成手順と、
上記クロックに応じたタイミングで上記複数の記録用光を発光駆動させて、上記複数本の上記記録対象トラックに対する記録を実行させる記録制御手順と、
上記光照射・受光部により得られる上記複数の再生用光のそれぞれについての受光信号と、上記クロックとに基づき、上記複数の記録対象トラックの記録信号をそれぞれ2値化する2値化処理手順と
を有する記録再生方法。
【符号の説明】
【0158】
D 光ディスク、Trp1〜Trp6 録再用トラック、Tsv サーボ等用トラックTsv、TU トラックユニット、DT ドット、Rc 記録膜、Rf 反射膜、OL 対物レンズ、L1 後玉レンズ、L2 先玉レンズ、L2a SIL部、L2b ハイパーレンズ部、HLA ハイパーレンズアレイ、1 LDアレイ、LDrp1〜LDrp6 録再用レーザダイオード、LDsv サーボ等用レーザダイオード、2 斜出射収差補正板、3 コリメーションレンズ、4 偏光ビームスプリッタ、5 1/4波長板、6 トラッキング方向アクチュエータ、7 光軸方向アクチュエータ、8 HOE、9 集光レンズ、10 受光部、11 スピンドルモータ、DTrp1〜DTrp6 録再光用フォトディテクタ、DTgd ギャップ長サーボ・ドットクロック生成用フォトディテクタ、DTsw サーボ・ウォブル検出用フォトディテクタ、12 記録処理部、13 2値化処理部、14 再生処理部、15 ドットクロック生成回路、16 信号生成回路、17 アドレス・相対速度検出回路、18 回転制御回路、19 トラッキングサーボ回路、20,28 ハイパスフィルタ、21,23,29,31 サーボフィルタ、22,30 ローパスフィルタ、24 第1トラッキングドライバ、25 第2トラッキングドライバ、26,45-1〜45-6 I/V変換部、27 ギャップ長サーボ回路、32 第1光軸方向ドライバ、33 第2光軸方向ドライバ、34 引込制御部、35 スライド移送・偏芯追従機構、36 面振れ追従機構、40 2値化回路、41 エッジ検出回路、42 PLL回路、43 データ分割部、44-1〜44-6 ANDゲート回路、46-1〜46-6 サンプリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、
複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている
光記録媒体。
【請求項2】
上記極小記録担体の形成部分とそれ以外の部分とに反射率差が与えられている請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項3】
上記1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成される上記複数本の上記記録対象トラックの組として、3の倍数の本数による記録対象トラックが形成されている
請求項2に記載の光記録媒体。
【請求項4】
極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている光記録媒体について、ニアフィールド方式により記録再生を行う記録再生装置であって、
それぞれ記録時又は再生時に対応して上記複数本の上記記録対象トラックに照射されるべき複数の記録用光又は再生用光と、上記ウォブリングトラックに照射されるべきウォブリングトラック用光とを、共通の対物レンズを介して上記光記録媒体に照射すると共に、上記複数の再生用光と上記ウォブリングトラック用光とについての上記光記録媒体からの反射光をそれぞれ個別に受光するように構成された光照射・受光部と、
上記光照射・生成部により得られる上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記対物レンズの対物面と上記光記録媒体の記録面との間の距離としてのギャップ長のエラーを表すギャップ長エラー信号を生成するギャップ長エラー信号生成部と、
上記ギャップ長エラー信号に基づき上記ギャップ長を制御するギャップ長制御部と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、トラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号に基づき上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキングサーボ制御部と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記ウォブリングトラックのウォブリング周期の変調により記録されたアドレス情報を検出するアドレス情報検出部と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記極小記録担体の形成周期に同期したクロックを再生するクロック生成部と、
上記クロックに応じたタイミングで上記複数の記録用光を発光駆動させて、上記複数本の上記記録対象トラックに対する記録を実行させる記録制御部と、
上記光照射・受光部により得られる上記複数の再生用光のそれぞれについての受光信号と、上記クロックとに基づき、上記複数の記録対象トラックの記録信号をそれぞれ2値化する2値化処理部と
を備える記録再生装置。
【請求項5】
上記光照射・受光部により上記光記録媒体上に形成される光スポットが上記光記録媒体上を相対的に移動するように 上記光記録媒体又は上記光照射・受光部を駆動する相対移動駆動部と、
上記ウォブリングトラック用光についての反射光に基づき上記光スポットの相対移動速度を検出する相対速度検出部と、
上記相対速度検出部が検出した上記相対移動速度に基づき、上記相対移動駆動部を制御する速度制御部とをさらに備える
請求項4に記載の記録再生装置。
【請求項6】
上記記録制御部は、
ランレングスリミッテッド符号化されていない状態のデータの1ビットがそれぞれ1つの上記極小記録担体に記録されるように制御を行う
請求項4に記載の記録再生装置。
【請求項7】
上記記録制御部には、1画素分のデータが赤,緑,青の画素値で構成された画像データが順次供給され、
当該記録制御部は、
1画素分の赤,緑,青のそれぞれの画素値が、上記複数の記録用光により分担して並列記録されるように制御を行う
請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項8】
上記対物レンズには、
上記複数の記録用光と上記ウォブリングトラック用光の個々に対応して、誘電率が負である第1の薄膜と誘電率が正である第2の薄膜とが交互に積層されて成るハイパーレンズ部が複数形成されており、
上記光照射・受光部は、
上記複数の記録光と上記ウォブリングトラック用光をそれぞれ対応する上記ハイパーレンズ部を介して上記光記録媒体に照射するように構成されている
請求項4に記載の記録再生装置。
【請求項9】
極小記録担体が配列されたトラックとして、上記極小記録担体に対し光照射による変調が与えられることで情報記録が行われる記録対象トラックと、上記極小記録担体がウォブルリング配列されたウォブリングトラックとが形成されると共に、複数本の上記記録対象トラックの組に対して、1本の上記ウォブリングトラックが並走して形成されている光記録媒体について、ニアフィールド方式により記録再生を行う記録再生方法であって、
それぞれ記録時又は再生時に対応して上記複数本の上記記録対象トラックに照射されるべき複数の記録用光又は再生用光と、上記ウォブリングトラックに照射されるべきウォブリングトラック用光とを、共通の対物レンズを介して上記光記録媒体に照射すると共に、上記複数の再生用光と上記ウォブリングトラック用光とについての上記光記録媒体からの反射光をそれぞれ個別に受光するように構成された光照射・受光部により得られる、上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記対物レンズの対物面と上記光記録媒体の記録面との間の距離としてのギャップ長のエラーを表すギャップ長エラー信号を生成するギャップ長エラー信号生成部手順と、
上記ギャップ長エラー信号に基づき上記ギャップ長を制御するギャップ長制御手順と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、トラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号に基づき上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキングサーボ制御手順と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記ウォブリングトラックのウォブリング周期の変調により記録されたアドレス情報を検出するアドレス情報検出手順と、
上記ウォブリングトラック用光についての受光信号に基づき、上記極小記録担体の形成周期に同期したクロックを再生するクロック生成手順と、
上記クロックに応じたタイミングで上記複数の記録用光を発光駆動させて、上記複数本の上記記録対象トラックに対する記録を実行させる記録制御手順と、
上記光照射・受光部により得られる上記複数の再生用光のそれぞれについての受光信号と、上記クロックとに基づき、上記複数の記録対象トラックの記録信号をそれぞれ2値化する2値化処理手順と
を有する記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−33563(P2013−33563A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167952(P2011−167952)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】