説明

光輝性装飾体およびその製造方法

【課題】見る角度に応じて輝度の高い部分が移動するという、意匠性の高い光輝性を有する光輝性装飾体、および、この光輝性装飾体を低コストかつ簡便に製造することができる光輝性装飾体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光輝性装飾体10は、透明基材11と、透明基材11の裏面11bに並行に配された線状凸型透明突起12からなる複数のブロック13と、透明基材11の裏面11bに複数のブロック13を覆うように配された光反射層14とを備え、複数のブロック13の各ブロック13A,・・・,13Hは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと線状凸型透明突起12の延在する方向が異なることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気器具、電子機器などのパネル、銘板、デザインパネルに用いられる光輝性装飾体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属箔や金属箔紙に、彫刻ロールにより、圧力を加えてエンボス加工した光輝性シートや、板状またはシート状の透明基材の表面に、スクリーン印刷により、所定の間隔を置いて、複数のドット状の凸レンズを形成し、さらに、この凸レンズを形成した透明基材の裏面に光輝層を形成した光輝性装飾体などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、表層となる透明フィルムと、この透明フィルムの背面に設けられた装飾用の印刷層とを備え、弾球遊技機の遊技盤に貼着される遊技盤用装飾シートにおいて、透過する光をランダムに拡散させる乱拡散層を印刷層の背後に設け、さらに乱拡散層の背後に反射層を設けた遊技盤用装飾シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、ドレープ性を有する透明基材の表面に、線状に延在する断面形状が山形の複数の突起を、配列方向を互いに異にしたブロック毎に設けた装飾シートが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、紙などの隠蔽性を有する基材に、パール顔料を混入した光干渉性反射層を形成し、この光干渉性反射層の上に一定の規則性を有する凹凸模様を備えた透明樹脂をグラビア印刷方式により形成した光輝性装飾シートが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
また、透明基材の表面に、彫刻ロールにより、圧力を加えてエンボス加工を施すか、あるいは、特殊なペースト樹脂と特殊な製造装置(例えば、特許文献5、特許文献6参照)を用いるグラビア印刷方式(例えば、特許文献4参照)により、線状に延在する断面形状が山形の複数の突起を形成する方法が挙げられる。
【特許文献1】特開2002−307900号公報
【特許文献2】特開2002−17983号公報
【特許文献3】特開平10−58538号公報
【特許文献4】特開平5−338071号公報
【特許文献5】特開平10−250298号公報
【特許文献6】特開平11−115395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、装飾体を見る角度に応じて反射光が無作為に現れるか、あるいは、反射光が単色の明暗模様を形成することにより、装飾体の表面が浮き上がったように見えるため、装飾体は硝子調光沢またはレインボーホログラムとして見える。しかしながら、これらの硝子調光沢またはレインボーホログラムは光輝性が乏しく、見る角度に応じて輝度の高い部分が移動するという、意匠性の高い光輝性を有していなかった。
また、通常のグラビア印刷方式により、透明基材の表面に、断面形状が山形の突起を形成しようとしても、突起と透明基材の表面との高さの差が小さく、光の反射が十分になされないという問題があった。
また、透明基材の表面に、彫刻ロールにより、圧力を加えてエンボス加工を施すことにより、断面形状が山形の突起を形成する方法は、工程が複雑となり、簡便ではなかった。
さらに、特殊な製造装置を用いて、透明基材の表面に断面形状が山形の突起を形成する方法は、製造装置が高価になるという問題があった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、見る角度に応じて輝度の高い部分が移動するという、意匠性の高い光輝性を有する光輝性装飾体、および、この光輝性装飾体を低コストかつ簡便に製造することができる光輝性装飾体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る光輝性装飾体は、透明基材と、該透明基材の裏面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に前記複数のブロックを覆うように配された光反射層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る光輝性装飾体は、透明基材と、該透明基材の表面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に配された光反射層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る光輝性装飾体は、透明基材と、該透明基材の表面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に配された遮光層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1ないし3のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記線状凸型透明突起は曲線をなしていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1ないし4のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記線状凸型透明突起は有色であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1ないし5のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記複数のブロックが間欠的に配され、前記ブロックが欠けている部分および前記複数のブロック、あるいは、前記ブロックが欠けている部分または前記複数のブロックは、文字、記号または画像を形成していることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1、2、4ないし6のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記光反射層は部分的に色相が異なる領域を有し、該色相が異なる領域は文字、記号または画像を形成していることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項8に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項3に係る光輝性装飾体おいて、前記遮光層は部分的に色相が異なる領域を有し、該色相が異なる領域は文字、記号または画像を形成していることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項9に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1ないし8のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記透明基材の表面に透明もしくは不透明な有色層、あるいは、透明もしくは不透明な文字、記号または画像が配されたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項10に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1、2、4、5、7、8のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記光反射層の前記透明基材と接している面とは反対の面に、前記光反射層を保護する層が配されたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項11に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1ないし10のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記透明基材の裏面側の最外面に粘着層が配されたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項12に係る光輝性装飾体は、本発明の請求項1ないし11のいずれか1項に係る光輝性装飾体おいて、前記透明基材を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動するように、前記複数のブロックを配したことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項13に係る光輝性装飾体の製造方法は、本発明の請求項1ないし3のいずれか1項に係る光輝性装飾体を製造する方法であって、スクリーン印刷法により、前記透明基材の表面または裏面に、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した後、紫外線を照射して前記紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させ、前記線状凸型透明突起を形成する工程を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光輝性装飾体は、透明基材と、該透明基材の裏面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に前記複数のブロックを覆うように配された光反射層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なるので、光輝性装飾体に照射した光が線状凸型透明突起と光反射層との界面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するから、透明基材を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動して見える。特に、ブロック毎に、規則的に線状凸型透明突起が延在する方向を変化させれば、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置も規則的に移動して見えるので、より強い視覚的な効果が得られる。
【0020】
本発明の光輝性装飾体は、透明基材と、該透明基材の表面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に配された光反射層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なるので、光輝性装飾体に照射した光の一部が線状凸型透明突起の表面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するとともに、光輝性装飾体に照射した光の残りの一部が透明基材を透過し、光反射層の透明基材と接している面にて反射し、線状凸型透明突起でそれぞれのブロック毎に異なる方向に屈折するから、透明基材を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動して見える。特に、ブロック毎に、規則的に線状凸型透明突起が延在する方向を変化させれば、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置も規則的に移動して見えるので、より強い視覚的な効果が得られる。
【0021】
本発明の光輝性装飾体は、透明基材と、該透明基材の表面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に配された遮光層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なるので、光輝性装飾体に照射した光が線状凸型透明突起の表面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するとともに、透明基材の裏面に配された光輝性および反射性のない遮光層により、透明基材の裏面からの透過光の影響がなくなり、透明基材の表面において反射光が強調されるから、透明基材を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動して見える。特に、ブロック毎に、規則的に線状凸型透明突起が延在する方向を変化させれば、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置も規則的に移動して見えるので、より強い視覚的な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の光輝性装飾体およびその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0023】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の光輝性装飾体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1中、符号10は光輝性装飾体、11は透明基材、12は線状凸型透明突起、13はブロック、14は光反射層、15は保護層をそれぞれ示している。
この光輝性装飾体10は、透明基材11と、透明基材11の裏面11bに並行かつ直線的に配された線状凸型透明突起12からなる複数のブロック13(13A,・・・,13H)と、透明基材11の裏面11bに複数のブロック13を覆うように配された光反射層14と、光反射層14の透明基材11と接している面14aとは反対の面14bに配された保護層15とから概略構成されている。
【0024】
そして、複数のブロック13の各ブロック13A,・・・,13Hは、隣り合うブロック13A,・・・,13Hのうち少なくとも1のブロックと、線状凸型透明突起12が透明基材11の裏面11bに延在する方向が異なっている。
なお、この光輝性装飾体10では、ブロック13A、ブロック13C、ブロック13E、ブロック13Gの順、および、ブロック13B、ブロック13D、ブロック13F、ブロック13Hの順に、線状凸型透明突起12が透明基材11の裏面11bに延在する方向が少しずつ変化している。
なお、この線状凸型透明突起12が延在する方向の変化は、例えば、ブロック13毎に、5度ずつ、10度ずつというように規則的であることが好ましい。
【0025】
透明基材11としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステルなどの合成樹脂からなるシート状、板状の基材や、ガラス板などが用いられる。
また、透明基材11の厚みは特に限定されないが、0.1mm以上、5mm以下が好ましい。
【0026】
線状凸型透明突起12は、透明基材11の裏面11bに、スクリーン印刷機を用いたスクリーン印刷法により、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した後、紫外線を照射してこの紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて形成してなるものである。線状凸型透明突起12をなす紫外線硬化型クリヤーインキとしては、一般的な紫外線硬化型クリヤーインキが用いられる。
【0027】
また、線状凸型透明突起12は、無色であって有色であってもよい。線状凸型透明突起12を有色にするには、上記の紫外線硬化型クリヤーインキに光透過性の良い着色剤を添加すればよい。線状凸型透明突起12を有色にすることにより、光輝性装飾体10の意匠性および装飾性を高めることができる。
【0028】
線状凸型透明突起12の長手方向(延在する方向)と垂直な断面の形状は、特に限定されないが、半円形状、台形状、三角形状などをなしていてもよい。
線状凸型透明突起12の高さ(図1(b)に示すx1)は、1μm以上、200μm以下が好ましく、1μm以上、20μm以下がより好ましい。
線状凸型透明突起12の高さが1μm未満では、スクリーン印刷の工法では正確に形状を形成することが困難となる。一方、線状凸型透明突起12の高さが200μmを超えるためには、線幅を広くする必要があり、そのために光の反射が弱くなり、効果が無くなる。
【0029】
線状凸型透明突起12の幅(図1(b)に示すx2)は、0.01mm以上、2mm以下が好ましく、0.1mm以上、0.5mm以下がより好ましい。
線状凸型透明突起12の幅が0.01mm未満では、スクリーン印刷の工法では再現性が悪く、正確に形状を形成することが困難となる。一方、線状凸型透明突起12の幅が2mmを超えると、断面の形状(半円)を保てず、効果が弱くなる。
【0030】
線状凸型透明突起12の間隔(ピッチ)(図1(b)に示すx3)は、0.01mm以上、2mm以下が好ましく、0.1mm以上、0.5mm以下がより好ましい。
線状凸型透明突起12の間隔(ピッチ)が0.01mm未満では、隣接する線状凸型透明突起12が接触してしまい、正確に形状を形成できない。一方、線状凸型透明突起12の間隔(ピッチ)が2mmを超えると、平坦な部分が増えるため、効果が著しく弱くなる。
【0031】
ブロック13を構成する並行に配された線状凸型透明突起12の数n(nは自然数)は、1以上である。
ブロック13の大きさは、1mm×1mm〜10mm×10mm程度が好ましい。
【0032】
光反射層14としては、透明基材11の裏面11bにスクリーン印刷法によりミラーインキ、金インキ、銀インキなどを印刷してなるもの、透明基材11の裏面11bに貼着した金属箔、金属蒸着基材、ホログラム基材などからなるもの、透明基材11の裏面11bに蒸着した金属からなるものなどが挙げられる。
【0033】
光反射層14は、部分的に色相が異なる領域を有し、この色相が異なる領域は文字、記号または画像を形成していてもよい。このようにすれば、光輝性装飾体10の意匠性および装飾性を高めることができる。
【0034】
保護層15は、光反射層14を保護するために配されたものであり、光反射層14の透明基材11と接している面14aとは反対の面14bに、黒色インキ、白色インキなどの遮光性のインキを塗布した後、このインキを硬化させて形成してなるものである。このように、光輝性および反射性のない保護層15を配すれば、光反射層14の透明基材11と接している面14aとは反対の面14bからの透過光の影響がなくなり、透明基材11の表面11aにおいて反射光が強調される。
なお、保護層15は必ずしも配される必要はなく、必要に応じて配される。
【0035】
この光輝性装飾体10では、透明基材11の表面11aに透明もしくは不透明な有色層、あるいは、透明もしくは不透明な文字、記号または画像が配されていてもよい。このように透明基材11の表面11aに透明な有色層、あるいは、透明な文字、記号または画像が配されていれば、光輝性装飾体10の意匠性および装飾性を高めることができる。
【0036】
この光輝性装飾体10では、透明基材11の裏面11b側の最外面(図1では、保護層15の光反射層14と接している面とは反対の面15a)に、一般的な粘着剤からなる粘着層が配されていてもよい。このように透明基材11の裏面11b側の最外面に粘着層が配されていれば、所望の被着体に光輝性装飾体10を貼付することができる。
【0037】
この実施形態の光輝性装飾体10は、複数のブロック13の各ブロック13A,・・・,13Hは、隣り合うブロック13A,・・・,13Hのうち少なくとも1のブロックと、線状凸型透明突起12が透明基材11の裏面11bに延在する方向が異なるので、光輝性装飾体10に照射した光が線状凸型透明突起12と光反射層14との界面において、それぞれのブロック13(13A,・・・,13H)毎に異なる方向に反射するから、透明基材11を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロック13の位置が移動して見える。すなわち、この光輝性装飾体10では、例えば、ブロック13A、ブロック13C、ブロック13E、ブロック13Gの順に視点を移動するに伴って、ブロック13A、ブロック13C、ブロック13E、ブロック13Gは、この順に他のブロック13よりも輝いて(輝度が高く)見える。特に、ブロック13毎に、規則的に線状凸型透明突起12が延在する方向を変化させれば、視点の移動に伴って輝度が高いブロック13の位置も規則的に移動して見えるので、より強い視覚的な効果が得られる。例えば、この輝度が高いブロック13が規則的に移動するように見える効果を利用して、人、動物、自動車などが移動する状態を表現することができる。
【0038】
次に、図1を参照して、この光輝性装飾体10の製造方法について説明する。
まず、スクリーン印刷機を用いたスクリーン印刷法により、透明基材11の裏面11bに、硬化後に所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起をなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷する。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起12を形成する。これにより、線状凸型透明突起12からなる複数のブロック13が形成される。
【0039】
次いで、透明基材11の裏面11bに複数のブロック13を覆うように光反射層14を形成する。
光反射層14を形成する方法としては、透明基材11の裏面11bにスクリーン印刷法によりミラーインキ、金インキ、銀インキなどを印刷する方法、透明基材11の裏面11bに金属箔、金属蒸着基材、ホログラム基材などを貼着する方法、透明基材11の裏面11bに金属を蒸着する方法などが挙げられる。
【0040】
次いで、光反射層14の透明基材11と接している面14aとは反対の面14bに、黒色インキ、白色インキなどの遮光性のインキを塗布した後、このインキを硬化することにより、保護層15を形成し、光輝性装飾体10を得る。
【0041】
この実施形態の光輝性装飾体の製造方法は、スクリーン印刷法により、透明基材11の裏面11bに、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した後、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起12からなる複数のブロック13を形成するので、低コストかつ簡便に意匠性および装飾性に優れる光輝性装飾体を製造することができる。
【0042】
(2)第二の実施形態
図2は、本発明の光輝性装飾体の第二の実施形態を示す概略平面図であり、線状凸型透明突起からなるブロックの1つを拡大した図である。
図2中、符号20は光輝性装飾体、21は透明基材、22は線状凸型透明突起、23はブロックをそれぞれ示している。
この実施形態の光輝性装飾体20は、以下の点において、上述の第一の実施形態と異なっている。
上述の第一の実施形態では、線状凸型透明突起12が透明基材11の裏面11bに並行かつ直線的に配された場合を例示したが、本発明の光輝性装飾体は、この第二の実施形態のように、透明基材21の裏面に並行に配された線状凸型透明突起22は曲線をなしていてもよい。この線状凸型透明突起22のなす曲線の形状は、特に限定されず、周期的な変化をなす曲線、あるいは、不定形の曲線のいずれであってもよい。
このように、並行する線状凸型透明突起22が曲線をなしていれば、1つのブロック23内において、線状凸型透明突起22が延在する方向を変化させることもできるので、この1つのブロック23内において、視点の移動に伴って輝度が高い領域が移動して見える。例えば、図2において、丸で囲まれた領域αと領域βとでは、線状凸型透明突起22が延在する方向が異なるので、領域αから領域βへ視点を移動させることにより、輝度が高い領域が移動して見える。
【0043】
(3)第三の実施形態
図3は、本発明の光輝性装飾体の第三の実施形態を示す概略平面図である。
図3中、符号30は光輝性装飾体、31は透明基材、32は線状凸型透明突起、33はブロック、34はブロック33が欠けている部分をそれぞれ示している。
この実施形態の光輝性装飾体30は、以下の点において、上述の第一の実施形態と異なっている。
この光輝性装飾体30は、線状凸型透明突起32からなるブロック33が複数、透明基材31の裏面に間欠的に配されている部分を有しており、このブロック33が欠けている部分34が記号を形成している。
なお、この光輝性装飾体30では、ブロック33が欠けている部分34が記号を形成している場合を例示したが、本発明の光輝性装飾体はこれに限定されない。本発明の光輝性装飾体にあっては、ブロックが欠けている部分が、文字または画像を形成していてもよい。
【0044】
(4)第四の実施形態
図4は、本発明の光輝性装飾体の第四の実施形態を示す概略平面図である。
図4中、符号40は光輝性装飾体、41は透明基材、42は線状凸型透明突起、43はブロックをそれぞれ示している。
この実施形態の光輝性装飾体40は、以下の点において、上述の第一の実施形態と異なっている。
この光輝性装飾体40は、線状凸型透明突起42からなるブロック43が複数、透明基材41の裏面に間欠的に配されており、この間欠的に配されたブロック43が記号を形成している。
なお、この光輝性装飾体40では、間欠的に配されたブロック43が記号を形成している場合を例示したが、本発明の光輝性装飾体はこれに限定されない。本発明の光輝性装飾体にあっては、間欠的に配されたブロックが、文字または画像を形成していてもよい。
【0045】
また、本発明の光輝性装飾体は、上述の第三の実施形態と第四の実施形態を併せた形態、すなわち、線状凸型透明突起からなるブロックが複数、透明基材の裏面に間欠的に配され、このブロックとブロックが欠けている部分が文字、記号または画像を形成している形態であってもよい。
【0046】
(5)第五の実施形態
図5は、本発明の光輝性装飾体の第五の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
図5中、符号50は光輝性装飾体、51は透明基材、52は線状凸型透明突起、53はブロック、54は光反射層、55は保護層をそれぞれ示している。
この実施形態の光輝性装飾体50は、以下の点において、上述の第一の実施形態と異なっている。
この光輝性装飾体50は、透明基材51と、透明基材51の表面51aに並行かつ直線的に配された線状凸型透明突起52からなる複数のブロック53(53A,・・・,53H)と、透明基材51の裏面51bに配された光反射層54と、光反射層54の透明基材51と接している面54aとは反対の面54bに配された保護層55とから概略構成されている。
【0047】
そして、複数のブロック53の各ブロック53A,・・・,53Hは、隣り合うブロック53A,・・・,53Hのうち少なくとも1のブロックと、線状凸型透明突起52が透明基材51の表面51aに延在する方向が異なっている。なお、この光輝性装飾体50では、ブロック53A、ブロック53C、ブロック53E、ブロック53Gの順、および、ブロック53B、ブロック53D、ブロック53F、ブロック53Hの順に、線状凸型透明突起52が透明基材51の表面51aに延在する方向が少しずつ変化している。
なお、この線状凸型透明突起52が延在する方向の変化は、例えば、ブロック53毎に、5度ずつ、10度ずつというように規則的であることが好ましい。
【0048】
この光輝性装飾体50においても、光反射層54は、部分的に色相が異なる領域を有し、この色相が異なる領域は文字、記号または画像を形成していてもよい。このようにすれば、光輝性装飾体50の意匠性および装飾性を高めることができる。
【0049】
この光輝性装飾体50においても、保護層55は必ずしも配される必要はなく、必要に応じて配される。
また、保護層55の替わりに、光反射層54の透明基材51と接している面54aとは反対の面54bに、上述の光輝性および反射性のない遮光層が配されていてもよい。このように、光輝性および反射性のない遮光層を配すれば、光反射層54の透明基材51と接している面54aとは反対の面54bからの透過光の影響がなくなり、透明基材51の表面51aにおいて反射光が強調される。
【0050】
この光輝性装飾体50では、透明基材51の表面51aに、線状凸型透明突起52と透明基材の間に透明もしくは不透明な有色層、あるいは、透明もしくは不透明な文字、記号または画像が配されていてもよい。このように透明基材51の表面51aに、線状凸型透明突起52を覆うように透明な有色層、あるいは、透明な文字、記号または画像が配されていれば、光輝性装飾体50の意匠性および装飾性を高めることができる。
【0051】
この光輝性装飾体50においても、透明基材51の裏面51b側の最外面(図5では、保護層55の光反射層54と接している面とは反対の面55a)に、一般的な粘着剤からなる粘着層が配されていてもよい。このように透明基材51の裏面51b側の最外面に粘着層が配されていれば、所望の被着体に光輝性装飾体50を貼付することができる。
【0052】
また、この光輝性装飾体50においても、透明基材51の表面51aに並行に配された線状凸型透明突起52は曲線をなしていてもよい。この線状凸型透明突起52のなす曲線の形状は、特に限定されず、周期的な変化をなす曲線、あるいは、不定形の曲線のいずれであってもよい。
また、この光輝性装飾体50は、線状凸型透明突起52からなるブロック53が複数、透明基材51の表面51aに間欠的に配されている部分を有し、このブロック53が欠けている部分が文字、記号または画像を形成している形態であってもよい。また、この光輝性装飾体50は、線状凸型透明突起52からなるブロック53が複数、透明基材51の表面51aに間欠的に配され、この間欠的に配されたブロック53が文字、記号または画像を形成している形態であってもよい。さらに、この光輝性装飾体50は、線状凸型透明突起52からなるブロック53が複数、透明基材51の表面51aに間欠的に配され、このブロック53とブロック53が欠けている部分が文字、記号または画像を形成している形態であってもよい。
【0053】
この実施形態の光輝性装飾体50は、複数のブロック53の各ブロック53A,・・・,53Hは、隣り合うブロック53A,・・・,53Hのうち少なくとも1のブロックと、線状凸型透明突起52が透明基材51の表面51aに延在する方向が異なるので、光輝性装飾体50に照射した光の一部が線状凸型透明突起52の表面において、それぞれのブロック53(53A,・・・,53H)毎に異なる方向に反射するとともに、光輝性装飾体50に照射した光の残りの一部が透明基材51を透過し、光反射層54の透明基材51と接している面54aにて反射し、線状凸型透明突起52でそれぞれのブロック53毎に異なる方向に屈折するから、透明基材51を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロック53の位置が移動して見える。すなわち、この光輝性装飾体50では、例えば、ブロック53A、ブロック53C、ブロック53E、ブロック53Gの順に視点を移動するに伴って、ブロック53A、ブロック53C、ブロック53E、ブロック53Gは、この順に他のブロック53よりも輝いて(輝度が高く)見える。特に、ブロック53毎に、規則的に線状凸型透明突起52が延在する方向を変化させれば、視点の移動に伴って輝度が高いブロック53の位置も規則的に移動して見えるので、より強い視覚的な効果が得られる。例えば、この輝度が高いブロック53が規則的に移動するように見える効果を利用して、人、動物、自動車などが移動する状態を表現することができる。
【0054】
次に、図5を参照して、この光輝性装飾体50の製造方法について説明する。
まず、スクリーン印刷機を用いたスクリーン印刷法により、透明基材51の表面51aに、硬化後に所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起をなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷する。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起52を形成する。これにより、線状凸型透明突起52からなる複数のブロック53が形成される。
【0055】
次いで、透明基材51の裏面51bに光反射層54を形成する。
光反射層54を形成する方法としては、透明基材51の表面51bにスクリーン印刷法によりミラーインキ、金インキ、銀インキなどを印刷する方法、透明基材51の裏面51bに金属箔、金属蒸着基材、ホログラム基材などを貼着する方法、透明基材51の裏面51bに金属を蒸着する方法などが挙げられる。
【0056】
次いで、光反射層54の透明基材51と接している面54aとは反対の面54bに、黒色インキ、白色インキなどの遮光性のインキを塗布した後、このインキを硬化することにより、保護層55を形成し、光輝性装飾体50を得る。
【0057】
この実施形態の光輝性装飾体の製造方法は、スクリーン印刷法により、透明基材51の表面51aに、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した後、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起52からなる複数のブロック53を形成するので、低コストかつ簡便に意匠性および装飾性に優れる光輝性装飾体を製造することができる。
【0058】
(6)第六の実施形態
図6は、本発明の光輝性装飾体の第六の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
図6中、符号60は光輝性装飾体、61は透明基材、62は線状凸型透明突起、63はブロック、64は遮光層をそれぞれ示している。
この実施形態の光輝性装飾体60は、以下の点において、上述の第一の実施形態と異なっている。
この光輝性装飾体60は、透明基材61と、透明基材61の表面61aに並行かつ直線的に配された線状凸型透明突起62からなる複数のブロック63(63A,・・・,63H)と、透明基材61の裏面61bに配された遮光層64とから概略構成されている。
【0059】
そして、複数のブロック63の各ブロック63A,・・・,63Hは、隣り合うブロック63A,・・・,63Hのうち少なくとも1のブロックと、線状凸型透明突起62が透明基材61の表面61aに延在する方向が異なっている。なお、この光輝性装飾体60では、ブロック63A、ブロック63C、ブロック63E、ブロック63Gの順、および、ブロック63B、ブロック63D、ブロック63F、ブロック63Hの順に、線状凸型透明突起62が透明基材61の表面61aに延在する方向が少しずつ変化している。
なお、この線状凸型透明突起62が延在する方向の変化は、例えば、ブロック63毎に、5度ずつ、10度ずつというように規則的であることが好ましい。
【0060】
この光輝性装飾体60では、上述の第一〜第五の実施形態における光反射層の替わりに、透明基材61の裏面61bに、光輝性および反射性のない遮光層64が配されている。このように、光輝性および反射性のない遮光層64を配すれば、透明基材61の裏面61bからの透過光の影響がなくなり、線状凸型透明突起62において反射光が強調される。
また、この光輝性装飾体60では、遮光層64は、部分的に色相が異なる領域を有し、この色相が異なる領域は文字、記号または画像を形成していてもよい。このようにすれば、光輝性装飾体60の意匠性および装飾性を高めることができる。
【0061】
この光輝性装飾体60においても、透明基材61の表面61aと線状凸型透明突起62の間に透明な有色層、あるいは、透明な文字、記号または画像が配されていてもよい。このように透明基材61の表面61aと線状凸型透明突起62の間に透明な有色層、あるいは、透明な文字、記号または画像が配されていれば、光輝性装飾体60の意匠性および装飾性を高めることができる。なお、デザインによっては、透明な有色層の一部を不透明にしてもよい。
【0062】
この光輝性装飾体60においても、透明基材61の裏面61b側の最外面(図6では、遮光層64の透明基材61と接している面とは反対の面64a)に、一般的な粘着剤からなる粘着層が配されていてもよい。このように透明基材61の裏面61b側の最外面に粘着層が配されていれば、所望の被着体に光輝性装飾体60を貼付することができる。
【0063】
また、この光輝性装飾体60においても、透明基材61の表面61aに並行に配された線状凸型透明突起62は曲線をなしていてもよい。この線状凸型透明突起62のなす曲線の形状は、特に限定されず、周期的な変化をなす曲線、あるいは、不定形の曲線のいずれであってもよい。
また、この光輝性装飾体60は、線状凸型透明突起62からなるブロック63が複数、透明基材61の表面61aに間欠的に配されている部分を有し、このブロック63が欠けている部分が文字、記号または画像を形成している形態であってもよい。また、この光輝性装飾体60は、線状凸型透明突起62からなるブロック63が複数、透明基材61の表面61aに間欠的に配され、この間欠的に配されたブロック63が文字、記号または画像を形成している形態であってもよい。さらに、この光輝性装飾体60は、線状凸型透明突起62からなるブロック63が複数、透明基材61の表面61aに間欠的に配され、このブロック63とブロック63が欠けている部分が文字、記号または画像を形成している形態であってもよい。
【0064】
この実施形態の光輝性装飾体60は、複数のブロック63の各ブロック63A,・・・,63Hは、隣り合うブロック63A,・・・,63Hのうち少なくとも1のブロックと、線状凸型透明突起62が透明基材61の表面61aに延在する方向が異なっているので、光輝性装飾体60に照射した光が線状凸型透明突起62の表面において、それぞれのブロック63(63A,・・・,63H)毎に異なる方向に反射するとともに、透明基材61の裏面61bに配された光輝性および反射性のない遮光層64により、透明基材61の裏面61bからの透過光の影響がなくなり、透明基材61の表面61aにおいて反射光が強調されるから、透明基材61を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロック63の位置が移動して見える。すなわち、この光輝性装飾体60では、例えば、ブロック63A、ブロック63C、ブロック63E、ブロック63Gの順に視点を移動するに伴って、ブロック63A、ブロック63C、ブロック63E、ブロック63Gは、この順に他のブロック63よりも輝いて(輝度が高く)見える。特に、ブロック63毎に、規則的に線状凸型透明突起62が延在する方向を変化させれば、視点の移動に伴って輝度が高いブロック63の位置も規則的に移動して見えるので、より強い視覚的な効果が得られる。例えば、この輝度が高いブロック53が規則的に移動するように見える効果を利用して、人、動物、自動車などが移動する状態を表現することができる。
【0065】
次に、図6を参照して、この光輝性装飾体60の製造方法について説明する。
まず、スクリーン印刷機を用いたスクリーン印刷法により、透明基材61の表面61aに、硬化後に所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起をなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷する。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起62を形成する。これにより、線状凸型透明突起62からなる複数のブロック63が形成される。
【0066】
次いで、透明基材61の裏面61bに遮光層64を形成し、光輝性装飾体60を得る。
遮光層64を形成する方法としては、透明基材61の裏面61bに、黒色インキ、白色インキなどの遮光性のインキを塗布した後、このインキを硬化する方法が用いられる。
【0067】
この実施形態の光輝性装飾体の製造方法は、スクリーン印刷法により、透明基材61の表面61aに、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した後、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、所定の高さ、幅、ピッチの線状凸型透明突起62からなる複数のブロック63を形成するので、低コストかつ簡便に意匠性および装飾性に優れる光輝性装飾体を製造することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
スクリーン印刷機により、厚み0.5mmのポリカーボネート板の裏面に、所定の高さ、幅、ピッチをなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、高さ4μm、幅0.2mm、間隔0.4mmの並行な線状凸型透明突起を形成し、この線状凸型透明突起からなる複数のブロックを形成した。
形成した各ブロックの大きさは5mm×5mmであり、ブロック毎に、線状凸型透明突起がポリカーボネート板の裏面に延在する方向が10度ずつ規則的に変化するように、ブロックを配した。
次いで、スクリーン印刷機により、線状凸型透明突起からなるブロックが設けられたポリカーボネート板の裏面に、ブロックを覆うようにミラーインキを印刷した後、このミラーインキを乾燥させて、光反射層を形成した。
次いで、光反射層のポリカーボネート板と接している面とは反対の面に、遮光性のインキを印刷した後、このインキを硬化することにより、保護層を形成し、光輝性装飾体を得た。
得られた光輝性装飾体では、この光輝性装飾体の表面に照射した光は、線状凸型透明突起と光反射層との界面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するから、ポリカーボネート板を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動して見える。したがって、本実施例1の光輝性装飾体は、意匠性および装飾性に優れていた。
【0069】
(実施例2)
スクリーン印刷機により、厚み0.5mmのポリカーボネート板の表面に、所定の高さ、幅、ピッチをなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、高さ4μm、幅0.2mm、間隔0.4mmの並行な線状凸型透明突起を形成し、この線状凸型透明突起からなる複数のブロックを形成した。
形成した各ブロックの大きさは5mm×5mmであり、ブロック毎に、線状凸型透明突起がポリカーボネート板の表面に延在する方向が10度ずつ規則的に変化するように、ブロックを配した。
次いで、スクリーン印刷機により、ポリカーボネート板の裏面に、ミラーインキを印刷した後、このミラーインキを乾燥させて、光反射層を形成した。
次いで、光反射層のポリカーボネート板と接している面とは反対の面に、遮光性のインキを印刷した後、このインキを硬化することにより、保護層を形成し、光輝性装飾体を得た。
得られた光輝性装飾体では、この光輝性装飾体の表面に照射した光の一部が線状凸型透明突起の表面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するとともに、光輝性装飾体に照射した光の残りの一部が透明基材を透過し、光反射層のポリカーボネート板と接している面にて反射し、線状凸型透明突起でそれぞれのブロック毎に異なる方向に屈折するから、ポリカーボネート板を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動して見える。したがって、本実施例2の光輝性装飾体は、意匠性および装飾性に優れていた。
【0070】
(実施例3)
スクリーン印刷機により、厚み0.5mmのポリカーボネート板の表面に、所定の高さ、幅、ピッチをなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、高さ4μm、幅0.2mm、間隔0.4mmの並行な線状凸型透明突起を形成し、この線状凸型透明突起からなる複数のブロックを形成した。
形成した各ブロックの大きさは5mm×5mmであり、ブロック毎に、線状凸型透明突起がポリカーボネート板の表面に延在する方向が10度ずつ規則的に変化するように、ブロックを配した。
次いで、スクリーン印刷機により、ポリカーボネート板の裏面に、遮光性のインキを印刷した後、この遮光性のインキを乾燥させて、遮光層を形成し、光輝性装飾体を得た。
得られた光輝性装飾体では、この光輝性装飾体の表面に照射した光の一部が線状凸型透明突起の表面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するとともに、ポリカーボネート板の裏面に配された遮光層により、ポリカーボネート板の裏面からの透過光の影響がなくなり、ポリカーボネート板の表面において反射光が強調されるから、ポリカーボネート板を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動して見える。したがって、本実施例3の光輝性装飾体は、意匠性および装飾性に優れていた。
【0071】
(実施例4)
スクリーン印刷機により、厚み0.5mmのポリカーボネート板の裏面に、所定の高さ、幅、ピッチをなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、高さ4μm、幅0.2mm、間隔0.4mmの並行な線状凸型透明突起を形成し、この線状凸型透明突起からなる複数のブロックを形成した。
形成した各ブロックの大きさは5mm×5mmであり、ブロック毎に、線状凸型透明突起がポリカーボネート板の裏面に延在する方向が10度ずつ規則的に変化するように、ブロックを配した。
次いで、スクリーン印刷機により、線状凸型透明突起からなるブロックが設けられたポリカーボネート板の裏面に、ブロックを覆うようにミラーインキを印刷した後、このミラーインキを乾燥させて、光反射層を形成した。
次いで、光反射層のポリカーボネート板と接している面とは反対の面に、遮光性のインキを印刷した後、このインキを硬化することにより、遮光層を形成し、光輝性装飾体を得た。
本実施例4の光輝性装飾体は、実施例1の光輝性装飾体と同じ効果を奏し、意匠性および装飾性にも優れていた。
【0072】
(実施例5)
スクリーン印刷機により、厚み0.5mmのポリカーボネート板の表面に、所定の高さ、幅、ピッチをなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、高さ4μm、幅0.2mm、間隔0.4mmの並行な線状凸型透明突起を形成し、この線状凸型透明突起からなる複数のブロックを形成した。
形成した各ブロックの大きさは5mm×5mmであり、ブロック毎に、線状凸型透明突起がポリカーボネート板の表面に延在する方向が10度ずつ規則的に変化するように、ブロックを配した。
次いで、ポリカーボネート板の裏面に、アルミニウム蒸着シートを貼付して、このアルミニウム蒸着シートからなる光反射層を形成した。
本実施例5の光輝性装飾体は、実施例1の光輝性装飾体と同じ効果を奏し、意匠性および装飾性にも優れていた。
【0073】
(実施例6)
スクリーン印刷機により、厚み0.5mmのポリカーボネート板の裏面の一部に透明な紫色インキを、残部に墨インキを印刷した。
次いで、スクリーン印刷機により、このインキのポリカーボネート板と接している面とは反対の面に、所定の高さ、幅、ピッチをなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、高さ4μm、幅0.2mm、間隔0.4mmの並行な線状凸型透明突起を形成し、この線状凸型透明突起からなる複数のブロックを形成した。
形成した各ブロックの大きさは5mm×5mmであり、ブロック毎に、線状凸型透明突起がポリカーボネート板の裏面に延在する方向が10度ずつ規則的に変化するように、ブロックを配した。
次いで、スクリーン印刷機により、線状凸型透明突起からなるブロックが設けられたポリカーボネート板の裏面に、ブロックを覆うようにミラーインキを印刷した後、このミラーインキを乾燥させて、光反射層を形成した。
次いで、光反射層のインキ層と接している面とは反対の面に、遮光性のインキを印刷した後、このインキを硬化することにより、保護層を形成し、光輝性装飾体を得た。
得られた光輝性装飾体では、この光輝性装飾体の表面に照射した光は、透明な紫色のインキを印刷した部分のみ、線状凸型透明突起と光反射層との界面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するから、ポリカーボネート板を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動して見える。したがって、本実施例6の光輝性装飾体は、意匠性および装飾性に優れていた。
【0074】
(実施例7)
スクリーン印刷機により、厚み0.5mmのポリカーボネート板の裏面に、所定の高さ、幅、ピッチをなすように、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した。
次いで、この紫外線硬化型クリヤーインキに紫外線を照射し、この紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させて、高さ2μm、幅0.1mm、間隔0.2mmの並行な線状凸型透明突起を形成し、この線状凸型透明突起からなる複数のブロックを形成した。
各ブロックの形状は、円をその中心を基準として扇状に18分割したものとした。
次いで、スクリーン印刷機により、線状凸型透明突起からなるブロックが設けられたポリカーボネート板の裏面に、ブロックを覆うようにミラーインキを印刷した後、このミラーインキを乾燥させて、光反射層を形成した。
次いで、光反射層のポリカーボネート板と接している面とは反対の面に、遮光性のインキを印刷した後、このインキを硬化することにより、保護層を形成し、光輝性装飾体を得た。
得られた光輝性装飾体では、この光輝性装飾体の表面に照射した光は、線状凸型透明突起と光反射層との界面において、それぞれのブロック毎に異なる方向に反射するから、ポリカーボネート板を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高い扇状のブロックの位置が、回転するように移動して見える。したがって、本実施例7の光輝性装飾体は、意匠性および装飾性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の光輝性装飾体は、携帯電話の外装材、建材、オーディオのパネル、自動車のメーターパネル、時計の文字板などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の光輝性装飾体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の光輝性装飾体の第二の実施形態を示す概略平面図であり、線状凸型透明突起からなるブロックの1つを拡大した図である。
【図3】本発明の光輝性装飾体の第三の実施形態を示す概略平面図である。
【図4】本発明の光輝性装飾体の第四の実施形態を示す概略平面図である。
【図5】本発明の光輝性装飾体の第五の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明の光輝性装飾体の第六の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10,20,30,40,50,60・・・光輝性装飾体、11,21,31,41,51,61・・・透明基材、12,22,32,42,52,62・・・線状凸型透明突起、13,23,33,43,53,63・・・ブロック、14,54・・・光反射層、15,55・・・保護層、64・・・遮光層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、該透明基材の裏面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に前記複数のブロックを覆うように配された光反射層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なることを特徴とする光輝性装飾体。
【請求項2】
透明基材と、該透明基材の表面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に配された光反射層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なることを特徴とする光輝性装飾体。
【請求項3】
透明基材と、該透明基材の表面に並行に配された線状凸型透明突起からなる複数のブロックと、前記透明基材の裏面に配された遮光層とを備え、前記複数のブロックの各ブロックは、隣り合うブロックのうち少なくとも1のブロックと前記線状凸型透明突起の延在する方向が異なることを特徴とする光輝性装飾体。
【請求項4】
前記線状凸型透明突起は曲線をなしていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項5】
前記線状凸型透明突起は透明な有色であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項6】
前記複数のブロックが間欠的に配され、前記ブロックが欠けている部分および前記複数のブロック、あるいは、前記ブロックが欠けている部分または前記複数のブロックは、文字、記号または画像を形成していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項7】
前記光反射層は部分的に色相が異なる領域を有し、該色相が異なる領域は文字、記号または画像を形成していることを特徴とする請求項1、2、4ないし6のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項8】
前記遮光層は部分的に色相が異なる領域を有し、該色相が異なる領域は文字、記号または画像を形成していることを特徴とする請求項3に記載の光輝性装飾体。
【請求項9】
前記透明基材の表面に透明もしくは不透明な有色層、あるいは、透明もしくは不透明な文字、記号または画像が配されたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項10】
前記光反射層の前記透明基材と接している面とは反対の面に、前記光反射層を保護する層が配されたことを特徴とする請求項1、2、4、5、7、8のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項11】
前記透明基材の裏面側の最外面に粘着層が配されたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項12】
前記透明基材を正面から見た場合、視点の移動に伴って輝度が高いブロックの位置が移動するように、前記複数のブロックを配したことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の光輝性装飾体。
【請求項13】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光輝性装飾体を製造する方法であって、
スクリーン印刷法により、前記透明基材の表面または裏面に、紫外線硬化型クリヤーインキを印刷した後、紫外線を照射して前記紫外線硬化型クリヤーインキを硬化させ、前記線状凸型透明突起を形成する工程を備えたことを特徴とする光輝性装飾体の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−18631(P2008−18631A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192810(P2006−192810)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(598147802)株式会社 吉田製作所 (3)
【Fターム(参考)】