説明

光輝性顔料含有組成物、印刷物、および塗装物

【課題】本発明では、発色について黄色みを帯びることが抑制され、輝度が高く、銀白色の色調を呈し、かつ、ダイヤモンドが散りばめられたような輝きを有する光輝層を形成可能な光輝性顔料含有組成物および、上記光輝層を含む、塗装物または印刷物等を提供する。
【解決手段】光輝性顔料(A)と、鱗片状のアルミニウムからなる光輝性顔料(B)および無機基体に二酸化チタンが被覆された鱗片状の光輝性顔料(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の銀フリーメタリック顔料と、ビヒクルと、を含み、前記光輝性顔料(A)が、鱗片状の無機基体と、当該無機基体を覆い、金、パラジウム、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属と銀とを含む銀系合金被膜とを含み、前記貴金属の含有量が0.1〜2原子%である光輝性顔料含有組成物。ただし、前記銀の原子%と前記貴金属の原子%の総和を100原子%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性顔料含有組成物、およびこの光輝性顔料含有組成物を用いて形成された光輝層を含む、印刷物および塗装物等に関する。
【背景技術】
【0002】
光輝性顔料の一例として、薄片状基材が金属層によって被覆されたメタリック顔料が知られている。
【0003】
メタリック顔料は、その表面が光を反射してキラキラと輝くという特性を有しており、塗料、インクなどの材料として使用される。これら光輝性顔料は、塗料を塗布することにより得られる塗装物や、インクが使用された印刷物に、素地の色調と相まって、変化に富み美粧性に優れた独特な外観を与える。
【0004】
そのため、光輝性顔料は、自動車、オートバイ、OA機器、携帯電話、家庭電化製品などの塗装に用いる塗料、各種印刷物または筆記用具類などのインクに、それぞれ添加されて用いられ、幅広い用途で利用されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ガラスフレークの表面上に、厚さ50〜200Åの金属被膜がスパッタリング法にて形成された光輝性顔料が開示されている。上記金属被膜は、Au,Ag,Cu,Al又はこれらの合金からなる。金属被膜の厚さは50〜200Åである。
【0006】
特許文献2には、ガラスフレーク、マイカ等の粉粒状基材が、銀合金によって被覆されたシルバー色メタリック顔料が開示されている。銀合金は、Al,Cr,Ni,Ti,およびMgからなる群から選ばれる1種又は2種以上を0.5〜10重量%含む。上記銀合金からなる被覆層は、物理蒸着法にて形成されている。
【0007】
特許文献3には、ガラスフレーク、マイカ等の粉粒状基材が、Al,Cr,Ni,Ti,およびMgからなる群から選ばれる1種又は2種以上と、Snとを含む銀合金にて被覆された光輝性顔料が開示されている。上記銀合金からなる被覆層は、物理蒸着法にて形成されている。
【0008】
特許文献4には、平滑な金属表面を有する鱗片状の光輝性粒子を含有する光輝性化粧料が開示されている。金属表面を形成する金属は、銀、金、ニッケル、アルミニウムのいずれかの金属単体、又はこれらの合金であり、粒子母体は、ガラスフレーク粒子、雲母状酸化鉄(III)粒子等の無機粒子、樹脂フィルム粉、多層フィルム粉等である。
【0009】
特許文献5には、銀または金を含んで成る被膜が層状基質上に形成された光輝性化粧料が開示されている。上記被膜にはロジウムが含まれており、上記被膜におけるロジウムの含有量は約2重量%以下である。層状基質の適切な材料は、例えば、マイカ、タルク、ガラス、カオリンである。
【特許文献1】特開平9−188830号公報
【特許文献2】特開平10−158540号公報
【特許文献3】特開平10−158541号公報
【特許文献4】特開2001−270805号公報
【特許文献5】特表2003−509530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、銀は、可視光線の反射率が非常に高い。よって、薄片状基体が銀単体からなる被膜によって被覆された光輝性顔料の輝度は、高い。しかし、可視光線の短波長側(500nm以下)の光は、可視光線の長波長側(500nmを越え700nm以下)の光よりも、銀に対する反射率が低い。そのため、上記光輝性顔料の発色が、黄色みを帯びてしまうという問題があった。
【0011】
本発明では、発色について黄色みを帯びることが抑制され、輝度が高く、銀白色の色調を呈し、かつ、ダイヤモンドが散りばめられたような輝きを有する光輝層を形成可能な光輝性顔料含有組成物および、上記光輝層を含む、塗装物または印刷物等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光輝性顔料含有組成物は、光輝性顔料(A)と、鱗片状のアルミニウムからなる光輝性顔料(B)および無機基体に二酸化チタンが被覆された鱗片状の光輝性顔料(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の銀フリーメタリック顔料と、ビヒクルと、を含み、前記光輝性顔料(A)が、鱗片状の無機基体と、当該無機基体を覆い、金、パラジウム、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属と銀とを含む銀系合金被膜とを含み、前記貴金属の含有量が0.1〜2原子%である。ただし、前記銀の原子%と前記貴金属の原子%の総和を100原子%とする。
【0013】
本発明の印刷物は、本発明の光輝性顔料含有組成物を用いて形成された光輝層を含む。
【0014】
本発明の塗装物は、本発明の光輝性顔料含有組成物を用いて形成された光輝層を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、発色について黄色みを帯びることが抑制され、輝度が高く、銀白色の色調を呈し、かつ、ダイヤモンドが散りばめられたような輝きを有する光輝層を形成可能な光輝性顔料含有組成物および、上記光輝層を含む、塗装物または印刷物等を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者は、銀の反射光が黄色みを帯びることを抑制し、銀の反射光を白くするための検討を行った。銀の結晶構造には、熱が加わると原子の拡散により格子欠陥が形成される。湿度が例えば80%RH(相対湿度)以上の高湿環境下では、加熱温度が、例えば80〜200℃程度でも上記拡散が促進されて銀原子が粒界に移動し、結晶粒が成長していくことが知られている。また、高湿環境下でなくても、加熱温度が、例えば、300℃以上と高い場合も結晶粒が成長する。結晶粒が大きくなると銀の反射光はより白くなる。しかし、結晶粒が大きくなりすぎると、銀の凝集が起こって銀被膜の表面の平滑性が損なわれる。その結果、反射率が小さくなり金属光沢が損なわれる。
【0017】
なお、上記温度は、熱電対温度計を用いて測定され、上記湿度は、セラミックセンサ型湿度計を用いて測定される。
【0018】
本発明者は、所定の貴金属を所定量、銀マトリックスに添加して、銀原子を貴金属原子で置換することにより、銀の結晶粒の成長が適切な程度に制御されることを見出した。そして、可視光線の短波長側(500nm以下)の光に対する反射率が高くなることにより反射光の黄色みが抑制され、かつ、金属光沢の劣化が抑制された、光輝性顔料の提供を可能とした。
【0019】
そして、この光輝性顔料(A)と、銀白色を呈するAgフリーメタリック顔料として、鱗片状のアルミニウムからなる光輝性顔料(B)および無機基体に二酸化チタンが被覆された鱗片状の光輝性顔料(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料とを含む光輝性顔料含有組成物を用いることにより、発色について黄色みを帯びることが抑制され、輝度が高く、銀白色の色調を呈する光輝層の形成を可能とした。光輝性顔料(A)と、上記Agフリーメタリック顔料とは、相互に輝度が異なることから、これらを含む光輝層は、ダイヤモンドが散りばめられたような輝きを強く呈する。
【0020】
本発明者は、銀原子が貴金属原子と置換され、この置換された貴金属原子の存在により銀原子の移動が抑制されて、銀の結晶粒の過剰成長が抑制されている推測している。ただし、この推測によって本発明は制限されない。
【0021】
なお、銀の原子半径は1.44Åであり、その結晶構造は面心立方格子である。一方、金、パラジウム、および白金の原子半径は、1.37〜1.5Åであり、銀の原子半径と近い値である。また、金、パラジウム、および白金の結晶構造は、いずれも、銀と同じ、面心立方格子である。そのため、金、パラジウム、および白金と、銀とは、例えば、比較的低い温度(例えば、これらの金属のうちの最も融点が低い金属の融点よりも低い温度)で加熱されることにより、結晶構造を変化させることなく、置換型固溶体となり得る。
【0022】
置換型固溶体であるか否かは、X線光電子分光(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscope)分析法にて確認できる。具体的には、各元素に固有の結合エネルギーのケミカルシフトに基づいて確認できる。
【0023】
本発明の光輝性顔料含有組成物は、後述するビヒクル中の溶剤が有機溶剤からなる組成物であってよいし、ビヒクル中の溶剤が水からなる組成物であってよい。また、ミネラルスピリットのような潤滑剤をさらに含むペースト状組成物であってもよいし、水性エマルジョンであってもよい。
【0024】
本発明の光輝性顔料含有組成物の用途としては、塗料、インクなどが挙げられる。下記で詳細に説明する光輝性顔料(A)〜(C)は、いずれも銀白色を呈するので、本発明の光輝性顔料含有組成物に、色素がさらに含まれていれば、例えば、赤、青、緑、黒等の原色のみならず、色調の調整が困難なパステルカラー等の光輝性顔料含有組成物も実現できる。
【0025】
(光輝性顔料(A))
次に、光輝性顔料(A)およびその製造方法について説明する。
【0026】
図1に示すように、光輝性顔料(A)200は、鱗片状の無機基体20と、無機基体20を覆う銀系合金被膜21とを含む。銀系合金被膜21は、金、パラジウム、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属と銀とを含む。
【0027】
本発明の光輝性顔料含有組成物がインクである場合、光輝性顔料(A)の平均厚さは、印刷の表面仕上り性(平滑性)が良好となるという理由から、0.3〜2μmであると好ましい。同様の理由により、光輝性顔料(A)の平均粒径は、50μm以下であると好ましい。上記インクがグラビアインク、オフセットインクである場合は、版かぶり等の印刷適性が良好となるので、光輝性顔料(A)の平均粒径は、平均粒径1μm〜30μmが好ましい。なお、版かぶりとは、印刷時にドクターブレードが版上のインクを充分にかきとることができず、そのインクが被印刷体に転写され、印刷物の地汚れを起こす現象である。下記において説明する光輝性顔料(B)および光輝性顔料(C)の平均粒径についても、同様の理由により、上記範囲内の大きさであると好ましい。
【0028】
本発明の光輝性顔料含有組成物が塗料である場合、光輝性顔料(A)の好ましい平均厚さ、および、好ましい平均粒径は下記のとおりである。
【0029】
例えば、自動車外板などの塗装工程では塗料の循環使用が行われる。塗料を循環使用するための循環ラインの途中には、異物を除去するためのフィルターが設けられている。粒径の大きい顔料が塗料に含まれていると、顔料が上記フィルターに捕集され、その結果、塗布における圧力損失の上昇や塗料中の顔料のコンテントが減少して塗装品質に悪影響が及ぶ。このフィルトレーションに起因する上記塗装品質への悪影響が小さく、または、塗膜表面から顔料が突き出たりすることなく、塗膜中において顔料がきれいに配列されて塗膜の仕上り性が良好となるという理由から、このような塗料に含まれる光輝性顔料(A)の平均粒径は5〜50μmであると好ましく、その平均厚みは0.3〜3μmであると好ましい。下記において説明する光輝性顔料(B)および光輝性顔料(C)の平均粒径についても、同様の理由により、上記範囲内の大きさであると好ましい。
【0030】
ここで、光輝性顔料(A)〜(C)の平均粒径は、レーザー回折式粒度計によって測定され、粒度分布の体積累積50%に相当する粒径(D50)である。
【0031】
光輝性顔料(A)〜(C)の平均厚みは、電子顕微鏡を用いて、60粒の光輝性顔料について端面における厚みを測定し、それらを平均して得た値である。
【0032】
(鱗片状の無機基体)
鱗片状の無機基体20の材料としては、例えば、ガラス、雲母、合成マイカ、シリカおよびアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのうち、ガラスは平滑な表面を得やすいので好ましい。
【0033】
鱗片状の無機基体20の形状は、使用用途によって異なり、特に限定されない。一般的には、平均粒径は1μm〜50μm、平均厚さは0.1μm〜3μmであると好ましい。平均粒径が大きすぎると、光輝性顔料(A)を含む塗料の調製の際に、鱗片状の無機基体20が破砕される恐れがある。一方、平均粒径が小さすぎると、塗膜中において、光輝性顔料(A)の主面がランダムな方向を向いてしまい、また、個々の粒子が放つ反射光が弱くなる。このため、光輝感が損なわれてしまう。平均粒径が1μm〜50μmであれば、光輝性顔料(A)が配合過程で破砕されることが抑制され、かつ、光輝感を高めることができる。
【0034】
無機基体20の平均粒径は、レーザー回折式粒度計によって測定され、粒度分布の体積累積50%に相当する粒径(D50)である。
【0035】
無機基体20の平均厚みは、100粒の無機基体の厚みを測定し、それを平均して得た値である。各無機基体の厚みは、干渉顕微鏡を用いて、直接光(位相物体の影響を受けていない光)と、無機基体を透過した光との光路差を測定することで求める。
【0036】
鱗片状の無機基体20の一例である鱗片状ガラス基体の製造方法については特に限定されないが、例えば、ブロー法が好ましい。ブロー法では、まず、原料カレットが熔融される。熔けたガラスは円形スリットから連続的に排出され、同時に円形スリットの内側に設けられたブローノズルから空気等の気体が吹き込まれる。これにより、熔けたガラスは膨らませられながら引っ張られてバルーン状とされる。このバルーン状のガラスを粉砕すれば鱗片状ガラス基体が得られる。
【0037】
上記ブロー法にて製造された鱗片状ガラス基体は、滑らかな表面を有しているので、光をよく反射する。この鱗片状ガラス基体を用いた光輝性顔料の一例を用いて塗料を調整すると、光輝感の高い、光輝層が得られるので好ましい。このような鱗片状ガラス基体の市販品としては、例えば、日本板硝子(株)製の、マイクログラス(登録商標)ガラスフレーク(登録商標)シリーズ(RCF−160、REF−160、RCF−015、REF−015)が挙げられる。
【0038】
(銀系合金被膜)
銀系合金被膜21は、金、パラジウム、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属と、銀とを含む。貴金属の含有量は、0.1〜2原子%である。ただし、銀系合金被膜21中の銀の原子%と銀系合金被膜21中の貴金属の原子%の総和を100原子%とする。貴金属の含有量が0.1原子%未満では、銀の結晶粒が大きくなりすぎ、結晶粒の成長を適切な程度に抑制できない。一方、貴金属の含有量が2原子%を越えると、貴金属自体が有する色による影響を受ける。例えば、貴金属が金を含む場合は、銀系合金被膜が黄色みを帯び、貴金属がパラジウムを含む場合は、銀系合金被膜が赤色みを帯び、貴金属が白金を含む場合は、銀系合金被膜が青色みを帯びる。貴金属の種類やその含有量を変化させることによって、反射色調を調整することができるが、上記貴金属の含有量が、0.2〜1.5原子%であると、より銀白色で高い輝度の銀系合金被膜が得られより好ましい。
【0039】
銀系合金被膜21は、例えば、銀−金合金、銀−パラジウム合金、銀−白金合金、銀−金−パラジウム合金、銀−白金−パラジウム合金、または銀−金−白金合金であると好ましい。
【0040】
銀系合金被膜21の膜厚は、25〜65nmであると好ましい。銀系合金被膜21の膜厚が25〜65nmであれば、充分な反射光量が得られる。
【0041】
なお、銀系合金被膜の平均厚み(n=10)は、電界放射型走査電子顕微鏡FE−SEM(Fild Emission Scanning Electron Microscipe)((株)日立ハイテクノロジーズ製、S−4800)にて観察した光輝性顔料の断面から測定できる。
【0042】
次に、銀系合金被膜の形成方法について説明する。
【0043】
銀を含む第1被膜と、上記貴金属と銀とを含む第2被膜とをこの順で形成した後、第1被膜と第2被膜とを、所定温度下で、所定時間加熱する。この加熱により、第2被膜に含まれていた貴金属は熱により拡散して、第1被膜に達し、第1被膜中にも拡散する。第1被膜は、銀を含むが、例えば、実質的に銀のみから形成されていてもよい。第2被膜は、金、パラジウム、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属と銀とを含むが、例えば、実質的に上記貴金属と銀のみから形成されていてもよい。
【0044】
上記加熱により、第1被膜と第2被膜の界面は例えば消失し、第1被膜と第2被膜とが一体化して銀系合金被膜21となる。この方法によれば、例えば、銀系合金被膜21の外表面(無機基体側の面の反対面)およびその近傍における貴金属濃度を高くすることが容易に行える。
【0045】
加熱を行う雰囲気の温度は、良好な置換型固溶体を形成可能とし、かつ、輝度の高い光輝性顔料を得る観点から、例えば、350〜600℃であると好ましい。加熱時間については、上記雰囲気の温度に応じて適宜決定すればよいが、通常0.1時間〜10時間であると好ましい。
【0046】
第1被膜および第2被膜の形成方法は特に限定されない。これらの被膜の形成方法としては、例えば、スパッタ法、CVD法、無電解(化学)めっき法等の方法が挙げられるが、なかでも、均一な成膜が容易な点で無電解めっき法が好ましい。
【0047】
第2被膜の厚みは、第1被膜のそれよりも薄く、1〜20nmであると好ましい。このように、第2被膜の厚みが薄いと、銀に比べて高価な貴金属の少量の添加により、銀の凝集に起因する輝度の低下を効果的に抑制できる。第1被膜の厚みについては、第1被膜の厚みと第2被膜との厚みの和が、例えば、25〜65nmとなるように決定すると好ましい。第1被膜の厚みと第2被膜との厚みの和が、25〜65nmであれば、充分な反射光量が得られる。
【0048】
無電解めっき液において、金属原料としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
(1)銀原料:硝酸銀
(2)金原料:亜硫酸金(I)ナトリウム、塩化金(III)酸[テトラクロロ金(III)酸四水和物]
(3)パラジウム原料:ジアミノ亜硝酸パラジウム、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)ジクロライド
(4)白金原料:塩化白金(IV)酸[ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物]、ジニトロジアンミン白金(II)、テトラアンミンジクロロ白金(II)
なお、シアン化合物は安全性の観点から、その使用を避けることが好ましい。
【0049】
銀系合金被膜21の形成方法は上記方法に限定されない。例えば、上記貴金属と銀とを含む単一の被膜Aを形成した後、この被膜を、所定温度雰囲気下で所定時間、例えば、350〜600℃の雰囲気下で、0.1〜10時間加熱することにより、銀系合金被膜21を形成してもよい。被膜Aの形成方法についても特に制限はなく、第1被膜および第2被膜の形成方法と同様でよい。
【0050】
上記貴金属は、かならずしも、銀系合金被膜21中に均一に分散している必要はなく、例えば、貴金属の濃度が銀系合金被膜21の外表面(無機基体側の面の反対面)に近づくにつれて高くなるような濃度分布で、貴金属は銀系合金被膜21に含まれていてもよい。貴金属の濃度が銀系合金被膜21の外表面(無機基体側の面の反対面)に近づくにつれて高くなっていると、少量の貴金属の添加により、銀の凝集に起因する輝度の低下を効果的に抑制でき、好ましい。
【0051】
(光輝性顔料(B))
次に、鱗片状のアルミニウムからなる光輝性顔料(B)およびその製造方法について説明する。
【0052】
アルミニウムからなる光輝性顔料(B)は、通常、アルミニウム粉(例えばアトマイズド粉)をボールミル、振動ミル、遊星ミル、スタンプミル、アトライター等の粉砕機により粉砕することにより製造される。アルミニウム粉の粉砕の際には、通常、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸が粉砕助剤として用いられる。粉砕助剤は、アルミニウム粉を粉砕する際に潤滑剤として働くとともに、各光輝性顔料(B)の表面に吸着して粒子同志の二次凝集を防止する。また、粉砕助剤は、光輝性顔料(B)のビヒクルへの分散性、再分散性、分散安定性の向上等に寄与する。
【0053】
光輝性顔料(B)の平均粒径は、特に限定されないが、光輝性顔料(B)の凝集を効果的に抑制でき、かつ、製造工程での取り扱い性が良好であるという理由から、2μm以上であると好ましく、5μm以上であるとより好ましい。また、光輝性顔料(B)の平均粒径は、本発明の光輝性顔料含有組成物が塗料として使用された場合に塗膜表面の平坦性が高まるという理由から、40μm以下であると好ましく、30μm以下であるとより好ましい。
【0054】
光輝性顔料(B)の、平均粒径を平均厚みで割った形状係数(本明細書においては「アスペクト比」と呼称する。)は、高い光輝感を確保する観点から、5以上であると好ましく、15以上であるとより好ましい。また、このアスペクト比は、光輝性顔料(B)の機械的強度を十分に確保することにより色調の安定性を高める観点から、1,000以下であると好ましく、500以下であるとより好ましい。
【0055】
光輝性顔料(B)の表面には、上記粉砕助剤が付着していてもよい。粉砕助剤としては、例えば、不飽和脂肪酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸、エライジン酸、ゾーマリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。
【0056】
(光輝性顔料(C))
光輝性顔料(C)は、鱗片状の無機基体と、無機基体を被覆する二酸化チタン層とからなる。
【0057】
(鱗片状の無機基体)
光輝性顔料(C)を構成する鱗片状の無機基体の材料は、光輝性顔料(A)を構成する鱗片状の無機基体と同じであってもよく、例えば、ガラス、雲母、合成マイカ、シリカおよびアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのうち、ガラスは平滑な表面を得やすいので好ましい。
【0058】
(二酸化チタン層)
二酸化チタン層は、実質的に、ルチル型二酸化チタンからなっているとよい。二酸化チタンは、アナターゼ型、ブルーカイト型、ルチル型の3種類の結晶型を有する。この中で工業的に製造されているのは、アナターゼ型とルチル型である。アナターゼ型二酸化チタンは、強い光触媒活性を持つ。一方、ルチル型二酸化チタンは、アナターゼ型二酸化チタンと比較すると10分の1程度の光触媒活性を持つ。よって、ルチル型二酸化チタンは、変色や分解を防ぐ観点から、アナターゼ型二酸化チタン、ブルーカイト型二酸化チタンよりも、顔料として適している。また、ルチル型二酸化チタンは、アナターゼ型二酸化チタンよりも屈折率が高く、緻密かつ均一な被膜を容易に形成できるため、二酸化チタン層がルチル型二酸化チタンからなる場合は、より高い輝度を有する光輝層を形成できる。
【0059】
ルチル型二酸化チタンの製造方法としては、特開2001−31421号公報に開示されているように、温度55〜85℃、pH1.3以下の条件下で、チタン含有溶液から中和反応によりルチル型二酸化チタンを析出させる方法が例示できる。この方法を用いると、結晶型転移のための加熱を本質的に必要とせず、耐熱性の低い基体に対してもルチル型二酸化チタンを容易に定着させることができる。
【0060】
二酸化チタン層20の平均厚みは、例えば、30nm〜80nmであると、銀白色の光輝性顔料(C)が得られるので、好ましい。ニ酸化チタン層の厚みは、光輝性顔料(A)を構成する銀系合金含有被膜の厚みと同じ方法で測定できる。
【0061】
光輝性顔料(C)の市販品としては、例えば、日本板硝子社より入手可能な、メタシャイン(登録商標)RCシリーズ(MC5090RS、MC1080RS、MC1040RS、MC1030RS、MC1020RS)がある。
【0062】
本発明の光輝性顔料含有組成物は、上記の光輝性顔料(A)と、光輝性顔料(B)および光輝性顔料(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の銀フリーメタリック顔料と、後述するビヒクルとが、従来から既知の方法によって撹拌混合されることにより得られる。攪拌混合は、例えば、混合分散機を用いて行える。
【0063】
本発明の光輝性顔料含有組成物中における、光輝性顔料(A)および銀フリーメタリック顔料の含有率の合計は、ビヒクル中の固形分(ビヒクル中の揮発成分以外の成分)の質量と、光輝性顔料(A)の質量と、銀フリーメタリック顔料の質量の総和を100とした場合、素地の色調を損なうことなく高い光輝感を有する光輝層が得られるという理由から、0.1〜30質量%であると好ましく、1〜15質量%であるとさらに好ましい。
【0064】
光輝性顔料(A)の質量と、銀フリーメタリック顔料の質量の比(光輝性顔料(A)の質量/銀フリーメタリック顔料の質量)は、輝度が高まり、より強いダイヤモンドの輝きが得られるという理由から、(1/9)〜(7/3)であると好ましく、(2/8)〜(5/5)であるとさらに好ましい。
【0065】
(ビヒクル)
本発明の光輝性顔料含有組成物に含まれるビヒクルの主成分としては、樹脂および溶剤が挙げられる。
【0066】
樹脂としては、例えば、カルボキシル基を有する樹脂(以下、カルボキシル基含有樹脂とも呼ぶ。)であると好ましい。本発明の光輝性顔料含有組成物のビヒクルがカルボキシル基含有樹脂を含んでいると、高い硬度を有し、耐摩耗性および耐薬品性が優れ、かつ、被着体との密着性が良好な、光輝層を形成できる。
【0067】
カルボキシル基含有樹脂の一例としては、アクリル酸樹脂(ホモポリマー)、(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の、カルボキシル基含有アクリル酸系重合体が挙げられる。他の例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(例えば、カルボキシル基が導入されたスチレン・ブタジエン系ラテックス)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、カルボキシル基含有アルキド樹脂、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。さらに他の例としては、カルボキシメチルセルロース等の天然樹脂が挙げられる。また、アクリル変性ポリエステル、アクリル変性ポリウレタン、アクリル変性エポキシ樹脂のような2成分系樹脂も使用可能である。以下、カルボキシル基含有アクリル酸系重合体とアクリル変性エポキシ樹脂について詳細に説明する。
【0068】
(カルボキシル基含有アクリル酸系重合体)
カルボキシル基含有アクリル酸系重合体は、例えば、アクリル酸エステル類と、芳香族ビニル類またはビニルエステル類とを共重合させることにより得られる。カルボキシル基含有アクリル酸系重合体は、例えば、単量体(カルボキシル基を有する単量体(単量体が塩である場合もある。))に由来する構成単位が0.2〜30質量%含まれていると好ましく、1〜20質量%含まれているとより好ましい。カルボキシル基含有アクリル酸系重合体の酸価は、2〜200mg・KOH/gであると好ましく、10〜100mg・KOH/gであるとより好ましい。
【0069】
カルボキシル基含有アクリル酸系重合体の重量平均分子量は、例えば、1000〜1000000であると好ましく、3000〜500000であるとより好ましく、5000〜100000であるとさらに好ましい。また、カルボキシル基含有アクリル酸系重合体のガラス転移温度は、樹脂組成物の用途に応じて異なるが、一般的には−60℃〜50℃が好ましい。
【0070】
本発明の光輝性顔料含有組成物の用途が、塗料または印刷用インクである場合、光輝性顔料含有組成物は、ガラス転移温度が−10℃〜50℃のカルボキシル基含有アクリル酸系重合体を含んでいると好ましい。本発明の光輝性顔料含有組成物の用途が接着剤である場合、光輝性顔料含有組成物は、ガラス転移温度が−20℃〜30℃のカルボキシル基含有アクリル酸系重合体を含んでいると好ましい。
【0071】
(アクリル変性エポキシ樹脂)
アクリル変性エポキシ樹脂は、主鎖のエポキシ樹脂にアクリル系ビニル共重合体を導入し、このビニル共重合体にカルボキシル基が結合したものである。
【0072】
カルボキシル基を含有するアクリル変性エポキシ樹脂は、ビニル共重合体とエポキシ樹脂とを親水性有機溶剤中で塩基性化合物の存在下でエステル化反応させることにより得られる。ビニル共重合体の原料であるエチレン性不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは、2種以上用いられてもよい。この単量体成分を重合する方法としては特に限定されず、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤を用いて重合すればよい。
【0073】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型および水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上が好ましく、1分子中に平均1.1〜2.0個のエポキシ基を有し、数平均分子量が900以上のものが好ましい。
【0074】
アクリル変性エポキシ樹脂の重量平均分子量としては、例えば、2000〜100000が好ましい。重量平均分子量が2000〜100000であれば、乳化分散性がよく、アクリル系ビニル共重合体とエポキシ樹脂との反応時にゲル化が生じにくい。
【0075】
ビヒクルに含まれる溶剤が有機溶剤である場合、その有機溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、脂環族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、セルソルブ類(例えば、メチルセルソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、ブチルセルソルブ、フェニルセルソルブ、ベンジルセルソルブ等)、カルビトール類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル等)、またはこれらの混合溶剤等を用いることができる。
【0076】
ビヒクルに含まれる溶剤が水である場合、ビヒクルにはさらにアルカリが含まれることにより、樹脂が水に溶解される。アルカリとしては、脂肪族アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等)等の有機塩基;エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;モルホリン等の複素環式アミン;アンモニア;アルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等の無機塩基が挙げられる。これらのアルカリのうち、アンモニア、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0077】
樹脂(例えばカルボキシル基含有アクリル酸系重合体)に含まれる酸性基(例えば、カルボキシル基)は、樹脂を水に分散させることができる程度に、塩基で中和されていることが望ましい。中和される酸性基の割合としては、全ての酸性基の50%程度であるとよい。例えば、樹脂に含まれる酸性基の全モル数を1とした場合、その0.4〜2.0倍、好ましくは0.6〜1.4倍のモル数のアミンを使用して中和するとよい。
【0078】
水性エマルジョンは、慣用の方法により調製できる。例えば、カルボキシル基含有アクリル酸系重合体におけるカルボキシル基の一部を塩基で中和することにより、カルボキシル基含有アクリル酸系重合体を水に分散する方法が挙げられる。水性エマルジョンは、乳化重合法によって調製されてもよい。乳化重合に際しては、慣用の乳化剤(例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、ポリビニルアルコールや水溶性ポリマー等の保護コロイド)を用いればよい。水性エマルジョンのpHは、pH調整剤を用いて調整してもよい。
【0079】
ビヒクル中の樹脂の濃度は、特に制限されないが、例えば、光輝性顔料含有組成物総量の、10〜70質量%が好ましく、25〜50質量%であるとより好ましい。
【0080】
(架橋硬化剤)
本発明の光輝性顔料含有組成物を構成するビヒクルは、架橋硬化剤をさらに含んでいてもよい。架橋硬化剤として、アミノ樹脂および/またはポリイソシアネート化合物を用いることができる。ビヒクルを構成する樹脂が水酸基を有している場合、この水酸基が、アミノ樹脂やポリイソシアネート化合物等の架橋剤と反応して、樹脂が硬化する。アミノ樹脂および/またはポリイソシアネート化合物は、水酸基以外に活性水素を有するカルボシル基、アミノ基などとも架橋反応する。
【0081】
架橋硬化剤の一例であるアミノ樹脂としては、アルキルエーテル化メラミン樹脂等のメラミン樹脂、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂等のベンゾグアナミン樹脂、アルキルエーテル化尿素樹脂等の尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、メラミン樹脂が好ましい。メラミン樹脂の具体例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンが挙げられる。さらに、アミノ樹脂としては、これらのメラミン樹脂のアルキルエーテル(メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル等)化物、尿素−ホルムアミド縮合物、尿素−メラミン縮合物であってもよい。これらのアミノ樹脂は、2種以上併用されてもよい。
【0082】
アミノ樹脂の含有量としては、例えば、ビヒクルを構成する樹脂(固形分)とアミノ樹脂(固形分)との質量比が、95/5〜60/40となるように設定されると好ましく、85/15〜65/35となるように設定されるとより好ましい。このようにすれば、塗料を塗布することにより形成された塗膜について、高い強度および高い耐蝕性が得られる。
【0083】
架橋硬化剤の一例であるポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基がブロック剤でマスクされた構造のブロックポリイソシアネート化合物が好適である。ポリイソシアネート化合物としては、HDI系(ヘキサメチレンジイシアネート等)、TDI系(トリレンジイソシアネート等)、XDI系(キシリレンジイソシアネート等)、MDI系(ジフェニルメタンジイソシアネート等)等が挙げられる。ブロック剤としては、オキシムやラクタム等が挙げられる。
【0084】
上記ポリイソシアネート化合物の含有量としては、ポリイソシアネート化合物がブロックポリイソシアネート化合物である場合、ビヒクルを構成する樹脂が有する水酸基と、ポリイソシアネート化合物が有する脱ブロック化された再生イソシアネート基とのモル比(水酸基のモル数/再生イソシアネート基のモル数)が、100/20〜100/150になるようにするとよい。
【0085】
なお、本発明の光輝性顔料含有組成物のビヒクルには、用途に応じて、他の熱可塑性樹脂(例えば、カルボキシル基を含まないアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等)、熱硬化性樹脂(例えば、ウレタン樹脂、アミノ樹脂等)や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤、可塑剤、帯電防止剤、分散剤、皮張り防止剤、増粘剤等の粘度調整剤、平坦化剤、たれ防止剤、防黴剤、防腐剤、充填剤、染顔料等の添加剤が含まれていてもよい。
【0086】
(塗装方法、印刷方法)
本発明の光輝性顔料含有組成物は、塗装対象物または印刷対象物等に塗布または印刷等された後、必要に応じて加熱し乾燥されることにより、光輝層となる。
【0087】
塗布方法としては、特に制限はないが、スプレーコーティング、ロールコーティング、ナイフコーティング、バーコーターコーティング、ディップコーティング、刷毛などを用いた慣用の方法などが挙げられる。印刷方法としては、平版法のオフセット印刷、孔版法のスクリーン印刷、凹版法のフレキソ印刷、グラビア印刷などが挙げられる。
【0088】
上記光輝層の厚みは、塗装対象物や印刷対象物等の種類に応じて異なるが、例えば、0.5μm〜100μmであると好ましく、1μm〜50μmであるとより好ましく、1μm〜30μmであるとさらに好ましい。
【0089】
なお、光輝層の平均厚みは、マイクロメータを用いて測定した値である。具体的には、光輝層の平均厚みは、塗装対象物または印刷対象物上に光輝層が形成された塗装物または印刷物の平均厚み(n=5)と塗装対象物単体または印刷対象物単体の平均厚み(n=5)の差より求める。
【0090】
光輝性顔料含有組成物の乾燥または硬化を行う雰囲気の温度は、例えば、10℃〜200℃であると好ましく、20℃〜150℃であるとより好ましく、50℃〜120℃であるとさらに好ましい。
【0091】
(塗装物)
本発明の塗装物の具体例としては、図2に示すように、例えば、自動車の外装である外板1、ラジエータグリル2、サイドモール3、ドアミラー4、バックパネル5、バンパー9、エンブレム10、タイヤホイールカバー13等が挙げられる。
【0092】
次に、本発明の塗装物の一例を、外板を例に挙げて説明する。
【0093】
図3に示すように、外板は、鋼板14の一方の主面上に、下塗り部15と上塗り部16とがこの順に形成されている。下塗り部15は、鋼板14側から、化成処理層15a、カチオン電着層15b、中塗り層15cをこの順に備える。上塗り部16は、鋼板14側から、本発明の光輝性顔料含有組成物を用いて形成された光輝層16aとトップクリア層16bとをこの順に備える。
【0094】
本発明の塗装物の一例は、本発明の光輝性顔料含有組成物を用いて形成された光輝層16aを備えているので、発色について黄色みを帯びることが抑制され、輝度が高く、銀白色の色調を呈し、かつ、ダイヤモンドが散りばめられたような輝きを有している。
【0095】
なお、本発明において、化成処理層15a、カチオン電着層15b、中塗り層15c、およびトップクリア層16bを構成する材料および形成方法については、特に制限されず、従来から公知のものと同様でよいが、例えば、各々、一例として下記が挙げられる。
【0096】
化成処理層15aは、鋼板14の腐食を防止するために設けられる。化成処理層15aは、例えば、リン酸亜鉛被膜からなる。
【0097】
カチオン電着層15bは、鋼板14の耐蝕性を向上させ、カチオン電着層15bよりも上に形成される層の安定性の向上させ、かつ、カチオン電着層15bよりも上に形成される層の形成を容易化するために設けられる。カチオン電着層15bは、例えば、アクリル・ウレタン系樹脂を含む硬化塗膜などかならなる。
【0098】
中塗り層15cは、中塗り層15cよりも下の層と上の層との密着性を高め、かつ、中塗り層15cよりも上の層の耐チッピング性を向上させるために設けられる。中塗り層15cは、例えば、アクリル・メラミン系樹脂を含む硬化塗膜などからなる。
【0099】
トップクリア層16bは、光沢のある外観を付与するため、かつ、防汚性を向上させるために設けられる。トップクリア層16bは、例えば、アクリル・メラミン系樹脂を含む硬化塗膜などからなる。
【実施例】
【0100】
以下に、実施例や比較例を例に挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0101】
1.顔料の作製
下記のようにして顔料(1)〜(8)を作製した。なお、顔料(1)〜(5)は光輝性顔料(A)に相当し、顔料(7)は光輝性顔料(C)に相当し、顔料(8)は光輝性顔料(B)に相当する。顔料(6)は、光輝性顔料(A)〜(C)のいずれでもない。
【0102】
〔顔料(1)〕
顔料(1)は、図1に示した例のように、鱗片状ガラス基体が、銀系合金被膜によって被覆された構造をしている。銀系合金被膜は、銀−金−パラジウム合金からなる。この顔料(1)は下記のとおり作製した。
【0103】
<鱗片状ガラス基体の作製>平均粒径20μm、平均厚み1.3μmの鱗片状ガラス基体を準備した。鱗片状ガラス基体は、溶融ガラスを材料としてバルーン法にて成形されたガラス片を、パルペライザーで粉砕し、粉砕された鱗片状ガラス基体を振動篩機、超音波篩機および気流分級機にて分級して得た。
【0104】
<前処理>次に、純水1Lに、塩化第1スズ0.7gを添加し、溶解させ、さらに希塩酸を添加して、pHが2.0〜2.2の無電解めっきの前処理液を得た。この前処理液に、鱗片状ガラス基体100gを添加した後、鱗片状ガラス基体を取り出して水洗した。この処理を数回繰り返すことにより、鱗片状ガラス基体に前処理をした。
【0105】
<銀被膜の形成>次に、前処理をした鱗片状ガラス基体に、下記のようにして、銀被膜(第1被膜)を無電解めっき法により形成した。まず、純水2Lに、錯化剤として25質量%アンモニア水100g、pH調整剤として水酸化ナトリウム10g、銀原料として硝酸銀30gを添加し、これらを30℃に加温しながら撹拌して、めっき液Aを得た。一方で、純水1Lに還元剤としてブドウ糖30gを添加してブトウ糖溶液を得、この溶液に前処理をした鱗片状ガラス基体を加え、撹拌して、めっき液Bを得た。
【0106】
次に、めっき液Aにめっき液Bを加え、これらを20分間撹拌して、無電解めっき反応により、鱗片状ガラス基体の表面に銀を析出させ、銀被膜を形成した。銀被膜形成後、めっき液Aとめっき液Bとの混合液(めっき液)中に、投入した銀のうちの25%が残存していることを、ICP発光分光分析法にて確認した。
【0107】
<銀−金−パラジウム合金被膜の形成>次に、銀被膜上に銀−金−パラジウム合金の被膜(第2被膜)を下記のとおり無電解めっき法により形成した。
【0108】
銀被膜によって被覆された鱗片状ガラス基体を含む上記めっき液に、金原料として亜硫酸金ナトリウム水溶液(濃度50g/L)2.5gと、パラジウム原料としてジアミノ亜硝酸パラジウム水溶液(濃度1.0質量%)8.2gを追加し、還元剤としてL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度3質量%)55mlを追加した。ついでこれらを、50℃まで昇温させながら20分撹拌して、銀被膜上に、銀−金−パラジウム合金被膜を形成した。
【0109】
続いて、濾過を行い、銀被膜および銀−金−パラジウム合金被膜によって覆われた鱗片状ガラス基体の水洗を数回行った後、180℃で乾燥させた(銀被膜の厚み:40nm、銀−金−パラジウム合金の膜厚:約10nm)。最後に、銀被膜および銀−金−パラジウム合金被膜によって覆われた鱗片状ガラス基体に対して、電気マッフル炉を用いて450℃で2時間の熱処理を行い、銀−金−パラジウム合金被膜中の金原子とパラジウム原子とを、銀被膜中に熱拡散させて、顔料(1)を得た。顔料(1)は、その平均粒径が25μm、平均厚みが1.4μmであり、銀白色の金属光沢を呈していた。
【0110】
ICP発光分光分析法による分析の結果から換算された、各金属の原子%は、銀が99.5原子%、金が0.4原子%、パラジウムが0.1原子%であった。二次イオン質量分析の結果、顔料の表面から鱗片状ガラス基体の表面まで、銀中に、金とパラジウムが均一に分布していた。
【0111】
〔顔料(2)〕
顔料(2)は、図1に示した例のように、鱗片状ガラス基体が、銀系合金被膜によって被覆された構造をしている。銀系合金被膜は、銀−白金合金からなる。
【0112】
金原料およびパラジウム原料に代えて、白金原料としてヘキサクロロ白金酸六水和物(濃度1.0%)15gを用い、L−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度3質量%)に代えて、ヒドラジン(50質量%)の水溶液10gを還元剤として用いたこと以外は顔料(1)の作製方法と同様の方法で顔料(2)を作製した。顔料(2)は、その平均粒径は25μm、平均厚みは1.4μmであり、銀白色の金属光沢を呈していた。
【0113】
ICP発光分光分析法による分析の結果から換算された各金属の原子%は、銀が99.8原子%、白金が0.2原子%であった。二次イオン質量分析の結果、顔料(2)の表面から鱗片状ガラス基体の表面まで、銀中に白金が均一に分布していた。
【0114】
〔顔料(3)〕
顔料(3)は、図1に示した例のように、鱗片状ガラス基体が、銀系合金被膜によって被覆された構造をしている。銀系合金被膜は、銀−金合金からなる。
【0115】
銀被膜によって被覆された鱗片状ガラス基体を含むめっき液に、パラジウム原料を加えなかったこと以外は顔料(1)の作製方法と同様の方法で顔料(3)を作製した。顔料(3)は、その平均粒径は35μm、平均厚みは1.3μmであり、銀白色の金属光沢を呈していた。
【0116】
ICP発光分光分析法による分析の結果から換算された、各金属の原子%は、銀が99.6原子%、金は0.4原子%であった。二次イオン質量分析の結果、顔料(3)の表面から鱗片状ガラス基体の表面まで、銀中に金が均一に分布していた。
【0117】
〔顔料(4)〕
顔料(4)は、図1に示した例のように、鱗片状ガラス基体が、銀系合金被膜によって被覆された構造をしている。銀系合金被膜は、銀−金−パラジウム合金からなる。顔料(4)は、顔料(1)と、金およびパラジウムの原子%が異なること以外は同様である。
【0118】
金原料として用いた亜硫酸金ナトリウム水溶液(濃度50g/L)の添加量を7.5gとし、パラジウム原料として用いたジアミノ亜硝酸パラジウム水溶液(濃度1.0質量%)の添加量を25gとし、還元剤として用いたL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度3質量%)の添加量を165mlとしたこと以外は顔料(1)の作製方法と同様の方法で顔料(4)を作製した。顔料(4)は、その平均粒径は35μm、平均厚みは1.3μmであり、銀白色の金属光沢を呈していた。
【0119】
ICP発光分光分析法による分析の結果から換算された、各金属の原子%は、銀が98.5原子%、金は1.2原子%、パラジウムは0.3原子%であった。二次イオン質量分析の結果、顔料(4)の表面から鱗片状ガラス基体の表面まで、銀中に金が均一に分布していた。
【0120】
〔顔料(5)〕
顔料(5)は、図1に示した例のように、鱗片状ガラス基体が、銀系合金被膜によって被覆された構造をしている。銀系合金被膜は、銀−金合金からなる。顔料(5)は、顔料(3)と、金の原子%が異なること以外は同様である。
【0121】
金原料として用いた亜硫酸金ナトリウム水溶液(濃度50g/L)の添加量を1.3gとし、還元剤として用いたL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液(濃度3質量%)の添加量を28mlとしたこと以外は顔料(3)の作製方法と同様の方法で顔料(5)を作製した。顔料(5)は、その平均粒径は35μm、平均厚みは1.3μmであり、銀白色の金属光沢を呈していた。
【0122】
ICP発光分光分析法による分析の結果から換算された、各金属の原子%は、銀が99.8原子%、金は0.2原子%であった。二次イオン質量分析の結果、顔料(5)の表面から鱗片状ガラス基体の表面まで、銀中に金が均一に分布していた。
【0123】
〔顔料(6)〕
顔料(6)は、銀が被覆され、輝度が高く金属光沢を呈する、日本板硝子社製メタシャイン(登録商標)ME2025PSである。この顔料(6)は、平均粒径23μm、平均厚み1.4μm、銀の付着量が約24質量%であり、黄ニゴリのある高い輝度の金属光沢を呈している。
【0124】
〔顔料(7)〕
顔料(7)は、ルチル型二酸化チタンが被覆され白色を呈する顔料(7)として、日本板硝子社製メタシャイン(登録商標)MC1020RSを用いた。この顔料(7)は、平均粒径20μm、平均厚み1.6μm、ルチル型二酸化チタンの付着量が約7質量%であり、補色の黄ニゴリのある白色の光沢を呈している。
【0125】
〔顔料(8)〕
顔料(8)は、金属光沢を呈するアルミフレーク(東洋アルミニウム(株)製アルペースト(登録商標)7675NS、固形分65質量%、アルミフレーク平均厚み0.3μm、)153.8g(アルミとして100g)をミネラルスピリットで洗浄濾過することにより、アルミフレークを含むペースト(固形分60質量%)を得た。得られたペースト167gとミネラルスピリット600gとを1Lのセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入しながらこれらを攪拌し、かつ、系内の温度を80℃に昇温させた。次いで、アクリル酸0.4g、エポキシ化ポリブタジエン8g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、ジビニルベンゼン3.6g、およびアゾビスイソブチロ二トリル0.75gを上記セパラブルフラスコ内に入れ、これらを80℃で6時間、重合反応させた。反応終了後、得られたスラリーを濾過し、樹脂被膜で被覆されたアルミフレークを含むペースト(固形分60質量%、フレークの平均粒径14μm、フレークの平均厚み1.0μm)を得た。樹脂被膜の厚みは0.3μmであった。
【0126】
<塗装サンプルの作製>
下記の成分a〜cに、シンナーを適量加えて、粘度13Pa・s(株式会社安田精機製作所製フォードカップNo.4/20℃)となるように、攪拌機を用いて混合して、光輝性顔料含有組成物を得た。この光輝性塗料を、スプレーガン(アネスト岩田株式会社製W−100)を用いて被塗装板(日本ルートサービス株式会社製D−7、中塗り色N=6.0)に塗装し、光輝層(未硬化)を形成した。
【0127】
(成分a)アクリル樹脂 78質量%、
(製品名「アクリデックA−322」大日本インキ化学工業株式会社製)
(成分b)ブチル化メラミン樹脂 16質量%、
(製品名「スーパーベッカミンL−117−60」大日本インキ化学工業株式会社製)
(成分c)顔料(1)〜(8)から選択される1種以上の顔料 6質量%、
【0128】
次に、アクリル樹脂(製品名「アクリデックA−345」(大日本インキ化学工業株式会社製))72質量%、ブチル化メラミン樹脂(製品名「スーパーベッカミンL−117−60」(大日本インキ化学工業株式会社製))28質量%に、シンナーを加えて、粘度24Pa・s(株式会社安田精機製作所製フォードカップNo.4/20℃)となるように、攪拌機を用いて混合して、トップクリア塗料組成物を調整した。このトップクリア塗料組成物を、スプレーガン(アネスト岩田株式会社製W−100)を用いて、光輝層(未硬化)が形成された被塗装板に塗装し、その後に焼成(140℃、30分)を行い、トップクリア層(30μm)を形成した。焼成後の光輝層(硬化)の平均厚みは15μmであった。
【0129】
塗装サンプルの輝度、黄ニゴリの程度、ダイヤモンドのような輝きの程度を下記のようにして評価した。その結果は表1に示している。
【0130】
(輝度)
輝度(Intensity Value、以下これをIVと略する。)は、関西ペイント株式会社の半導体レーザー式非接触測定装置"ALCOPE LMR−200"を用いて測定した。輝度(IV)値が大きいほど光輝感が高いことを意味する。
【0131】
(黄ニゴリ)
図4に示すように、塗装サンプルの表面に対して45°の角度で光を入射可能とする位置に観察光源6を配置した。そして、塗装サンプルの表面に対して正反射の方向から観察光源側へ110°ずれた方向の反射光の色調(シェード色調)をディテクター7により測定した。正反射の方向から110°ずれた角度からの観測であれば、正反射による影響が除かれ、光輝層内部から散乱光(黄ニゴリ)の色調を測定できる。
【0132】
シェード色調は、マルチアングル分光測色計(株式会社カラーテクノシステム製)を用いて測定した。ただし、表色系L***にてL*とa*とb*とを測定した。表1にはb*を示している。b*が6を超えると、無視できない黄ニゴリが観察される。
【0133】
(外観の目視評価)
D65自然光源を用いて、ダイヤモンドが散りばめられたような輝きの程度を目視で観察した。評価は、下記の3段階で行った。
1:外観にダイヤモンドが散りばめられたような輝きが認められない。
2:外観にダイヤモンドが散りばめられたような輝きが多少認められる。
3:外観にダイヤモンドが散りばめられたような強い輝きが認められる。
【0134】
表1に示されるように、光輝層が、光輝性顔料(A)と光輝性顔料(B)および/または光輝性顔料(C)とを含む実施例1〜5では、比較例1〜3よりも、発色について黄色みを帯びることが抑制され、輝度が高く、銀白色の色調を呈し、かつダイヤモンドが散りばめられたような輝きを有していることが確認できた。
【0135】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の光輝性顔料含有組成物に含まれる光輝性顔料(A)の模式断面図
【図2】本発明の塗装物の一例を備えた車両の一例の側面図
【図3】本発明の塗装物の一例の模式断面図
【図4】b*の測定を説明する概念図
【符号の説明】
【0137】
200 光輝性顔料(A)
20 鱗片状の無機基体
21 銀系合金被膜
1 外板
2 ラジエータグリル
3 サイドモール
4 ドアミラー
5 バックパネル
9 バンパー
10 エンブレム
13 タイヤホイールカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性顔料(A)と、
鱗片状のアルミニウムからなる光輝性顔料(B)および無機基体に二酸化チタンが被覆された鱗片状の光輝性顔料(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の銀フリーメタリック顔料と、
ビヒクルと、を含み、
前記光輝性顔料(A)が、鱗片状の無機基体と、当該無機基体を覆い、金、パラジウム、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属と銀とを含む銀系合金被膜とを含み、前記貴金属の含有量が0.1〜2原子%である光輝性顔料含有組成物。
ただし、前記銀の原子%と前記貴金属の原子%の総和を100原子%とする。
【請求項2】
前記銀系合金被膜において、前記銀の格子点の原子が前記貴金属の原子で置換されている請求項1に記載の光輝性顔料含有組成物。
【請求項3】
前記銀系合金被膜が、銀−金合金、銀−パラジウム合金、銀−白金合金、銀−金−パラジウム合金、銀−白金−パラジウム合金、または銀−金−白金合金を含む請求項1に記載の光輝性顔料含有組成物。
【請求項4】
前記貴金属の濃度が銀系合金被膜の外表面に近づくにつれて高くなるような濃度分布で、前記貴金属は銀系合金被膜に含まれている請求項1に記載の光輝性顔料含有組成物。
【請求項5】
前記銀系合金被膜の平均厚みが25nm〜65nmである請求項1に記載の光輝性顔料含有組成物。
【請求項6】
前記光輝性顔料(A)を構成する前記無機基体が、ガラス、雲母、合成マイカ、シリカおよびアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の光輝性顔料含有組成物。
【請求項7】
前記光輝性顔料(A)および前記銀フリーメタリック顔料の含有率の合計は、前記ビヒクル中の固形分の質量と、光輝性顔料(A)の質量と、銀フリーメタリック顔料の質量の総和を100とした場合、0.1〜30質量%である請求項1に記載の光輝性顔料含有組成物。
【請求項8】
光輝性顔料含有組成物が、インク、または塗料である請求項1に記載の光輝性顔料含有組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかの項に記載の光輝性顔料含有組成物を用いて形成された光輝層を含む印刷物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかの項に記載の光輝性顔料含有組成物を用いて形成された光輝層を含む塗装物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−91411(P2009−91411A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261394(P2007−261394)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】