光電変換装置の製造方法
【課題】絶縁分離領域において必要な絶縁耐電圧を安定して確保できる薄膜太陽電池を提供する。
【解決手段】透明電極層、光電変換層および裏面電極層が順次積層された透明絶縁基板にレーザ光を2回以上照射することにより、透明絶縁基板の周縁に位置する、透明電極層の一部、光電変換層の一部および裏面電極層の一部をそれぞれ除去して絶縁分離領域を形成する工程を含む、光電変換装置の製造方法である。
【解決手段】透明電極層、光電変換層および裏面電極層が順次積層された透明絶縁基板にレーザ光を2回以上照射することにより、透明絶縁基板の周縁に位置する、透明電極層の一部、光電変換層の一部および裏面電極層の一部をそれぞれ除去して絶縁分離領域を形成する工程を含む、光電変換装置の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の薄膜太陽電池として、たとえば特開2000-261019号公報(特許文献1)には、透明絶縁基板の表面上において、透明電極層、光電変換層および金属電極層が順次積層されてなる発電セルの複数が電気的に直列接続されたストリングを備え、ストリングを含む透明絶縁基板の表面全面を樹脂層および裏面封止材で封止した構造の薄膜太陽電池が開示されている。
【0003】
このような薄膜太陽電池は、外周縁に金属フレームが取り付けられて設置箇所に設置されるため、金属フレームへの落雷によって破壊されないような絶縁耐電圧を有することが要求されている。
【0004】
たとえば特許文献1の薄膜太陽電池においては、透明絶縁基板の外周の側面から内側に0.5mm〜15mm程度離れた領域に、透明電極層、光電変換層および金属電極層が除去されてなる絶縁分離領域が形成されており、この絶縁分離領域によって必要な絶縁耐電圧を確保している。
【0005】
また、特許文献1には、絶縁分離領域の形成方法として、レーザ光の照射後に研磨機を用いて研磨を行なう方法、またはレーザ光の照射後にブラスト洗浄機を用いてブラスト洗浄を行なう方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、研磨機を用いて研磨を行なう方法およびブラスト洗浄機を用いてブラスト洗浄を行なう方法によって、透明電極層、光電変換層および金属電極層を機械的に除去して絶縁分離領域を形成した場合には、透明絶縁基板にダメージが与えられる。また、これらの方法においては、絶縁分離領域の形成後に、研磨屑、砥粒および微粒子などがストリングの表面に付着するため、水洗浄によりこれらを除去する工程が必要であるとともに、洗浄に使用した水の処理も必要となるため、製造工程および製造コストが増加する。
【0007】
また、エッチングなどの方法によって、透明電極層、光電変換層および金属電極層を化学的に除去して絶縁分離領域を形成することも考えられるが、この場合には、洗浄工程の追加に加え、エッチング液の濃度および温度などの管理が必要であるため、加工装置が複雑となり、結果的に製造コストが増加する。
【0008】
上記のような特許文献1に記載の方法おける問題点を解決するため、たとえば特開2009-206279号公報(特許文献2)には、レーザ光の照射により絶縁分離領域を形成した後に、レーザ光が照射された領域を不織布などで拭き取ることにより、簡易な方法で必要な絶縁耐電圧を確保する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000-261019号公報
【特許文献2】特開2009-206279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の方法で形成された絶縁分離領域においては、必要な絶縁耐電圧を確保することはできるが、さらに安定して必要な絶縁耐電圧を確保できる技術が求められていた。
【0011】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、絶縁分離領域において必要な絶縁耐電圧を安定して確保できる薄膜太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、透明電極層、光電変換層および裏面電極層が順次積層された透明絶縁基板にレーザ光を2回以上照射することにより、透明絶縁基板の周縁に位置する、透明電極層の一部、光電変換層の一部および裏面電極層の一部をそれぞれ除去して絶縁分離領域を形成する工程を含む、光電変換装置の製造方法である。
【0013】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、絶縁分離領域を形成する工程が、第1の照射条件による第1レーザ光照射工程と、第2の照射条件による第2レーザ光照射工程と、を含み、第1の照射条件と第2の照射条件とが異なることが好ましい。
【0014】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、第1の照射条件と第2の照射条件とは、レーザ光の焦点位置の条件が異なることが好ましい。
【0015】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、第1レーザ光照射工程および第2レーザ光照射工程の少なくとも一方におけるレーザ光の照射が、絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の光電変換装置の製造方法においては、絶縁分離領域を形成する工程における2回目以降のレーザ光の照射が、絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれることが好ましい。
【0017】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、光電変換層の少なくとも一部として結晶相を含む層が積層されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、絶縁分離領域において必要な絶縁耐電圧を安定して確保できる薄膜太陽電池を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法により製造された薄膜太陽電池の一例の模式的な平面図である。
【図2】(a)は図1のA−A’に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1のB−B’に沿った模式的な断面図である。
【図3】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図4】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図5】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図6】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図7】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図8】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図9】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図10】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図11】平均的な透明絶縁基板の反りの状態と、異常な透明絶縁基板の反りの状態とを図解する模式的な拡大断面図である。
【図12】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法により製造された薄膜太陽電池の他の一例の模式的な断面図である。
【図13】特許文献2に記載の方法によって製造された薄膜太陽電池の外観上問題となる箇所を図解する模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0021】
<薄膜太陽電池の構造>
図1に、本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法により製造された薄膜太陽電池の一例の模式的な平面図を示す。本実施の形態の薄膜太陽電池は、表面が矩形状の発電セル11が複数接続されたストリングと、そのストリングの外側を取り囲むようにして設けられている絶縁分離領域8と、を有している。
【0022】
図2(a)に図1のA−A’に沿った模式的な断面を示し、図2(b)に図1のB−B’に沿った模式的な断面を示す。図2(a)に示すように、図1に示す薄膜太陽電池においては、透明絶縁基板1の表面上に、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4がこの順序で積層されているとともに、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4が透明絶縁基板1側からこの順序で積層されることにより発電セル11が構成されている。また、透明絶縁基板1の表面のうち、発電セル11が設置されている領域の外側において露出している幅Wの領域が絶縁分離領域8とされる。なお、透明電極層2の両端は、それぞれ、光電変換層3および裏面電極層4よりも発電セル11の長手方向(発電セル11が完成していない場合でも、この方向を「発電セル11の長手方向」という。)に突出している。
【0023】
図2(b)に示すように、透明電極層2は光電変換層3で埋められた第1分離溝5によって分離されており、光電変換層3は裏面電極層4で埋められたコンタクトライン6によって分離されており、光電変換層3および裏面電極層4は第2分離溝7によって分離されている。ここで、第2分離溝7を挟んで隣り合う発電セル11のうちの一方の発電セル11の裏面電極層4でコンタクトライン6を埋めることによって、一方の発電セル11の裏面電極層4が他方の発電セル11の透明電極層2と電気的に接続されている。これにより、隣り合う発電セル11同士が順次直列に接続されていくことによりストリングが形成される。そして、透明絶縁基板1の表面のうち、ストリングが設置されている領域の外側において露出している幅Wの領域が絶縁分離領域8とされる。なお、絶縁分離領域8の幅Wは、たとえば、0.5mm〜15mmとすることができる。
【0024】
また、図2(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向(発電セル11が完成していない場合でも、この方向を「発電セル11の長手方向に直交する方向」という。以下同じ。)の両端に配置された発電セル11の裏面電極層4の表面にはそれぞれ電流取り出し用の電極10が形成されている。これらの電極10はそれぞれ、発電セル11の長手方向と平行に形成されている。
【0025】
図2(a)および図2(b)に示すように、透明絶縁基板1の表面上には、発電セル11を包み込むようにして封止する透明接着材12が設置されており、透明接着材12の表面上には裏面封止材13が設置されている。
【0026】
<薄膜太陽電池の製造方法>
以下、図3〜図10の模式的断面図を参照して、本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法について説明する。なお、図3(a)〜図10(a)は図1に示すA−A’方向(発電セル11の長手方向)に沿った断面を図解しており、図3(b)〜図10(b)は図1に示すB−B’方向(発電セル11の長手方向に直交する方向)に沿った断面を図解している。
【0027】
<透明電極層の形成>
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、透明絶縁基板1上に透明電極層2を積層する。
【0028】
透明絶縁基板1としては、たとえばガラス基板などを用いることができる。また、透明電極層2としては、たとえば、SnO2(酸化スズ)、ITO(Indium Tin Oxide)またはZnO(酸化亜鉛)からなる層等を用いることができる。透明電極層2の形成方法は特に限定されず、たとえば従来から公知の熱CVD法、スパッタリング法、蒸着法またはイオンプレーティング法などを用いることができる。
【0029】
次に、発電セル11の長手方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射することによって、図4(b)に示すように、レーザ光の照射部分に相当する透明電極層2の一部をストライプ状に除去して透明電極層2を分離する第1分離溝5を形成する。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向であるため、図4(a)には、第1分離溝5が図示されていない。
【0030】
第1分離溝5の形成に用いられるレーザ光としては、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ光の基本波(波長:1064nm)またはYVO4(Yttrium Orthovanadate)レーザ光の基本波(波長:1064nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の基本波およびYVO4レーザ光の基本波はそれぞれ透明絶縁基板1を透過し、透明電極層2に吸収される傾向にあるため、透明電極層2を選択的に加熱して蒸散させることができる傾向にある。
【0031】
<光電変換層の形成>
次に、透明絶縁基板1の表面をたとえば純水を用いて超音波洗浄を行なった後、図5(a)および図5(b)に示すように、第1分離溝5で分離された透明電極層2を覆うように光電変換層3を積層する。
【0032】
光電変換層3としては、半導体光電変換層を用いることができ、たとえば、透明絶縁基板1側から、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したトップセル(第1光電変換層)と、トップセル上に、微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したボトムセル(第2光電変換層)と、をたとえばプラズマCVD法により積層することができる。
【0033】
また、光電変換層3としては、たとえば、透明絶縁基板1側から、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したトップセル(第1光電変換層)と、トップセル上に、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したミドルセル(第2光電変換層)と、ミドルセル上に、微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したボトムセル(第3光電変換層)と、をたとえばプラズマCVD法により積層してもよい。なお、光電変換層の数をこれ以上とすることもできる。
【0034】
第1光電変換層から第3光電変換層の各光電変換層は、すべて同種のシリコン系半導体からなっていてもよく、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなっていてもよい。
【0035】
第1光電変換層から第3光電変換層の各光電変換層が、それぞれ、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を含んでいる場合には、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層の各半導体層は、たとえば、シリコン系半導体からなってもよい。
【0036】
光電変換層に含まれる各半導体層は、すべて同種のシリコン系半導体からなっていてもよく、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなっていてもよい。たとえば、p型半導体層とi型半導体層をアモルファスシリコンで形成し、n型半導体層を微結晶シリコンで形成してもよい。また、たとえば、p型半導体層とn型半導体層とをシリコンカーバイドまたはシリコンゲルマニウムで形成し、i型半導体層をシリコンで形成してもよい。
【0037】
また、p型、i型およびn型の各半導体層は、1層構造であってもよく、複数層構造であってもよい。複数層構造である場合には、各半導体層は、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなっていてもよい。
【0038】
アモルファスシリコン薄膜の概念には、シリコンの未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端された水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなる薄膜が含まれる。微結晶シリコン薄膜の概念には、シリコンの未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端された水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなる薄膜が含まれる。光電変換層3の厚みは、特には限定されず、たとえば200nm以上5μm以下とすることができる。光電変換層3の形成方法もプラズマCVD法に限定されるものではない。
【0039】
その後、発電セル11の長手方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射することによって、光電変換層3の一部をストライプ状に除去して、図6(b)に示すコンタクトライン6を形成する。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向であるため、図6(a)には、コンタクトライン6が図示されていない。
【0040】
コンタクトライン6の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)またはYVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波はそれぞれ透明絶縁基板1および透明電極層2を透過し、光電変換層3に吸収される傾向にあるため、光電変換層3を選択的に加熱して光電変換層3を選択的に蒸散させることができる傾向にある。
【0041】
<裏面電極層の形成>
次に、図7(a)および図7(b)に示すように、光電変換層3を覆うようにして裏面電極層4を積層する。これにより、図7(b)に示すように、裏面電極層4でコンタクトライン7が埋められる。
【0042】
裏面電極層4としては、たとえば、銀またはアルミニウムからなる金属薄膜とZnO等の透明導電膜との積層体を用いることができる。ここで、金属薄膜の厚みはたとえば100nm以上1μm以下とすることができ、透明導電膜の厚みはたとえば20nm以上200nm以下とすることができる。単層または複数層の金属薄膜からなる裏面電極層4と光電変換層3との間に透明導電膜を設置した場合には、金属薄膜からなる裏面電極層4から光電変換層3に金属原子が拡散するのを防止することができ、さらに裏面電極層4による太陽光の反射率が向上する傾向にある点で好ましい。裏面電極層4としては、金属薄膜の単層のみまたは金属薄膜の複数層のみを用いてもよいことは言うまでもない。裏面電極層4の形成方法は特に限定されず、たとえばスパッタリング法などを用いることができる。
【0043】
次に、発電セル11の長手方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射して、レーザ光の照射部分の光電変換層3および裏面電極層4をストライプ状に除去することによって、図8(b)に示す第2分離溝7を形成する。これにより、第2分離溝7を挟んで隣り合う発電セル11の一方の発電セル11の裏面電極層5が他方の発電セル11の透明電極層3と電気的に接続され、隣り合う発電セル11同士が順次直列に接続されることにより、ストリングが形成される。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向に平行な方向であるため、図8(a)には、第2分離溝7が図示されていない。
【0044】
第2分離溝7の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)またはYVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波はそれぞれ透明絶縁基板1および透明電極層2を透過し、光電変換層3に吸収される傾向にあるため、光電変換層3を選択的に加熱して光電変換層3および裏面電極層4を選択的に蒸散させることができる傾向にある。
【0045】
第2分離溝7の形成においては、透明電極層2へのダメージを最小限に抑え、かつ第2分離溝7の形成後の裏面電極4のバリの発生を抑制することが可能な形成条件を選択することが好ましい。
【0046】
<周縁溝の形成>
次に、図9(a)に示すように、第2分離溝7の形成後の発電セル11の長手方向の両端にそれぞれ周縁溝14を形成する。ここで、周縁溝14は、たとえば、発電セル11の長手方向の両端にそれぞれ、発電セル11の長手方向に直交する方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射して、レーザ光の照射部分の光電変換層3および裏面電極層4をストライプ状に除去することにより形成することができる。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向に直交する方向であるため、図9(a)には、第2分離溝7が図示されていない。
【0047】
周縁溝14の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)またはYVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波はそれぞれ透明絶縁基板1および透明電極層2を透過し、光電変換層3に吸収される傾向にあるため、光電変換層3を選択的に加熱して光電変換層3および裏面電極層4を選択的に蒸散させて周縁溝14を形成することができる傾向にある。
【0048】
周縁溝14の形成においては、透明電極層2へのダメージを最小限に抑え、周縁溝14の形成後の裏面電極層4のバリの発生を抑制することが可能な形成条件を選択することが好ましい。
【0049】
なお、図8に示す第2分離溝7の形成工程および図9に示す周縁溝14の形成工程は同一のレーザ光の照射工程で行なう方が好ましい。これは、第2分離溝7および周縁溝14の形成には同一波長のレーザ光を用いることができるため、効率的に薄膜太陽電池を製造することができるためである。
【0050】
<絶縁分離領域の形成>
次に、図10(a)に示すように、発電セル11の長手方向においては、周縁溝14の外側の領域に位置する、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4を除去するとともに、図10(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向においては、発電セル11の長手方向に直交する方向の両端の透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4のそれぞれの部分を除去する。これにより、透明絶縁基板1の表面において、隣り合う発電セル11同士が順次直列に接続されてなるストリングの周囲を取り囲むようにして露出する絶縁分離領域8が形成される。
【0051】
絶縁分離領域8は、レーザ光を2回以上照射することにより、透明絶縁基板1の周縁上に位置する、透明電極層2の一部、光電変換層3の一部および裏面電極層4の一部をそれぞれ除去することによって形成される。
【0052】
これは、本発明者らが、特許文献2に記載の方法で製造した薄膜太陽電池の絶縁分離領域の絶縁性が問題となったサンプルを調査した結果、透光性基板の反りのばらつきや、絶縁分離領域上に存在する異物などによってレーザ光の焦点の位置がずれることによる加工不良が主な絶縁不良の原因であることが判明したことに基づくものである。
【0053】
絶縁分離領域8の形成時においては、透明絶縁基板1の反りがばらつく場合、すなわち絶縁分離領域8の反りがばらつく場合があり、特に光電変換層3の少なくとも一部に結晶相を含む層を用いた場合には、透明絶縁基板1の反りがばらつく傾向が大きくなる。具体例を挙げれば、透明絶縁基板1のサイズとして矩形の各辺が1m以上で、光電変換層3のi型半導体層に微結晶シリコンを用いた場合には透明絶縁基板1の反りがばらつく傾向が大きくなる。
【0054】
たとえば、図11の模式図に示すように、平均的な透明絶縁基板1の反りの状態31とともに、異常な透明絶縁基板1の反りの状態32が存在する場合において、レーザ光の照射部30と、状態31の透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置とのZ方向における距離をZ1とする。このとき、状態32の透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置の条件を、Z方向のプラス方向にずらした条件に変更することにより、反りの状態31におけるレーザ光の照射により得られる効果と、反りの状態32におけるレーザ光の照射により得られる効果と、をほぼ同一にすることができる傾向にある。
【0055】
すなわち、透明絶縁基板1の反りの状態が状態31の部分(絶縁分離領域8に相当する領域の一部)については、透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置とのZ方向における距離をZ1とした条件(第1の照射条件)でレーザ光を照射する(第1レーザ光照射工程)。
【0056】
そして、透明絶縁基板1の反りの状態が状態32の部分(絶縁分離領域8に相当する領域の他の一部)については、透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置とのZ方向における距離をZ1+αとした条件(第2の照射条件)でレーザ光を照射する(第2レーザ光照射工程)。
【0057】
以上のように、焦点位置の条件が互いに異なる、第1レーザ光照射工程および第2レーザ光照射工程を経ることにより、透明絶縁基板1に反りのばらつきが生じている場合でも絶縁分離領域8の形成時におけるレーザ光による処理を均一に行なうことができることから、必要な絶縁耐電圧を担保できる絶縁分離領域8を安定して形成することができる。
【0058】
また、絶縁分離領域8を形成する工程において、1回目のレーザ光の照射(たとえば第1レーザ光照射工程)により絶縁分離領域8の大部分を形成し、2回目以降のレーザ光の照射(たとえば第2レーザ光照射工程)を、絶縁分離領域8に相当する領域の一部(たとえば異物が付着している部分などの異常部分)のみに対して行なうことが好ましい。このような部分的なレーザ光の照射により、たとえばレーザ光の照射による異物の除去などによって異常部分を効率的に除去することができるため、絶縁分離領域8を効率的に形成することができる。
【0059】
また、特許文献2に記載の方法により製造された薄膜太陽電池については、たとえば図13に示すように、発電セル41の複数が電気的に直列接続されたストリングの外側の絶縁分離領域48に茶色に変色した部分40が残ることがあった。そして、この茶色に変色した部分40は、裏面封止材として白色のものを用いたときに、薄膜太陽電池を透明絶縁基板側からの外観を悪化させるという問題があった。
【0060】
そこで、たとえば、第1レーザ光照射工程後に、茶色に変色した部分40が残存している場合には、第2レーザ光照射工程におけるレーザ光の第2の照射条件をレーザ光の照射により茶色に変色した部分40を除去できる条件として第2レーザ光照射工程を行なうことが好ましい。この場合には、薄膜太陽電池の外観を向上させることができる傾向にある。
【0061】
茶色に変色した部分40は、透明絶縁基板1の反りにより、レーザ光の焦点位置が変化することにより形成されやすい傾向にある。また、ジャストフォーカス位置から、膜面側に焦点が合う位置が来る場合にも茶色に変色した部分40が形成されやすい傾向にある。したがって、第1レーザ光照射工程後に、茶色に変色した部分40が残存している場合には、第1レーザ光照射工程での焦点位置と異なる焦点位置とする照射条件にて第2レーザ光照射工程を施すことにより、茶色に変色した部分40を確実に除去することができる。
【0062】
絶縁分離領域8の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の基本波(波長:1064nm)またはYVO4レーザ光の基本波(波長:1064nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の基本波およびYVO4レーザ光の基本波はそれぞれ透明絶縁基板1を透過し、透明電極層2に吸収される傾向にあるため、透明電極層2を選択的に加熱して、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4を蒸散して除去することができる傾向にある。また、絶縁分離領域8は一般的に幅広に形成されるため、レーザ光の照射幅(レーザ光の移動方向に直交する方向の長さ)は150μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましい。
【0063】
レーザ光の照射後の絶縁分離領域8の状態を良好にするため、レーザ光の強度分布は、レーザ光の移動方向および幅方向のそれぞれについて矩形状の分布にすることが好ましい。また、この場合には、たとえばガルバノスキャンを用いた光学系や角ファイバーを用いた光学系を特に限定なく併せて用いることもできる。
【0064】
また、図12の模式的断面図に示すように、絶縁分離領域8の内側に絶縁分離ライン20をたとえば数十μm〜数百μm程度の幅で形成して、発電領域と絶縁分離領域8とを完全に分離した構造としてもよく、その他の構造としてもよい。なお、絶縁分離ライン20の形成は、たとえば、YAGレーザ光の基本波(波長:1064nm)またはYVO4レーザ光の基本波(波長:1064nm)を発電セル11の長手方向および発電セル11の長手方向と直交する方向にそれぞれ移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより形成することができる。なお、図12においては、発電セル11の長手方向に沿った断面構造のみが示されている。
【0065】
<検査工程>
次に、絶縁分離領域8の形成後の積層体が所望の絶縁耐電圧を有しているかを検査するための検査工程を行なう。この検査工程は、透明絶縁基板1の1枚ごとに行なわれ、裏面電極層4を接地した状態で透明絶縁基板1の外周部の側面に所定の電圧を印加し、透明絶縁基板1の外周部の側面と裏面電極層4との間に流れる電流の電流値が所定値以下であれば合格と判断する。ここで、透明絶縁基板1の外周部の側面に印加される電圧は、薄膜太陽電池のシステム電圧に応じた電圧に設定され、たとえば、システム電圧が1000Vの薄膜太陽電池である場合には6000Vの電圧が印加され、電流値が50μA未満であれば合格と判断する。
【0066】
<電極の形成>
次に、図2(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層4の表面上にそれぞれ、銀ペーストなどの金属ペースト9を介して発電セル11の長手方向に伸長する電流取り出し用の電極10を形成する。
【0067】
<封止工程>
その後、電極10の形成後の裏面電極層4の表面上にたとえばEVAシートなどからなる透明接着材12を設置し、透明接着材12上に、たとえばPET(ポリエステル)/Al(アルミニウム)/PETの3層積層フィルムなどからなる裏面封止材13を設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図2(a)および図2(b)に示す構成の薄膜太陽電池が完成する。その後、薄膜太陽電池の裏面封止材13に端子ボックスを接着し、端子ボックス内をシリコーンで充填し、アルミフレームを取り付けることもできる。
【0068】
<絶縁耐電圧の検査>
上記のようにして作製した薄膜太陽電池については、上記の薄膜太陽電池の絶縁分離領域8に対応する箇所にアルミニウムフレームなどのフレームを取り付けた後に、フレームと薄膜太陽電池の電極10との間に高電圧を印加した場合でも放電しない絶縁耐電圧を有するか否かを判断するための試験を行なうことができる。
【0069】
絶縁耐電圧とは、薄膜太陽電池の外周縁に取り付けられたアルミニウムフレームと薄膜太陽電池の電極10との間に所定の高電圧を印加しても、アルミニウムフレームと薄膜太陽電池との間で放電しない特性を意味する。たとえば国際規格(IEC:61730および61646)で定められた絶縁耐電圧試験によって所定の絶縁耐電圧が得られているか調べることができる。システム電圧が1000Vの薄膜太陽電池の場合には、国際規格では雷サージ耐圧6KVに対する絶縁耐電圧が必要とされている。
【実施例】
【0070】
<実施例>
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、幅1000mm×長さ1400mm×厚さ4mm程度のガラス基板からなる透明絶縁基板1の表面上にSnO2からなる透明電極層2を熱CVD法により形成した。
【0071】
次に、YAGレーザ光の基本波を発電セルの長手方向(以下、「透明絶縁基板1の長手方向」という。)に移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより、YAGレーザ光の基本波の照射部分の透明電極層2を除去して、図4(a)および図4(b)に示すように、透明電極層2を短冊状に分離する帯状の第1分離溝5を形成した。その後、第1分離溝5の形成後の透明絶縁基板1を純水で超音波洗浄した。
【0072】
次に、図5(a)および図5(b)に示すように、第1分離溝5が形成された透明電極層2を覆うようにして、光電変換層3を形成した。ここで、光電変換層3は、p型の水素化アモルファスシリコン膜からなるp層、i型の水素化アモルファスシリコン膜からなるi層およびn型の水素化アモルファスシリコン膜からなるn層をこの順序で積層してトップセルを形成し、その後、トップセルのn層上に、p型の微結晶シリコンからなるp層、i型の微結晶シリコンからなるi層およびn型の微結晶シリコンからなるn層をこの順序で積層してボトムセルを形成することにより形成した。
【0073】
次に、図6(a)および図6(b)に示すように、YAGレーザ光の第2高調波を透明絶縁基板1の長手方向に移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより、光電変換層3を短冊状に分離する帯状のコンタクトライン6を形成した。
【0074】
次に、図7(a)および図7(b)に示すように、コンタクトライン6が形成された光電変換層3を覆うようにして、裏面電極層4を形成した。ここで、裏面電極層4は、マグネトロンスパッタ法により、厚さ50nmのZnO(酸化亜鉛)膜を形成した後に厚さ125nmのAg(銀)膜を形成することによって形成した。
【0075】
次に、図8(a)および図8(b)に示すように、YAGレーザ光の第2高調波を透明絶縁基板1の長手方向に移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより、光電変換層3および裏面電極層4を短冊状に分離する帯状の第2分離溝7を形成した。これにより、透明絶縁基板1の長手方向に直交する方向に電気的に直列に接続された複数の発電セル11からなるストリングが形成された。
【0076】
次に、図9(a)および図9(b)に示すように、YAGレーザ光の第2高調波を照射して透明絶縁基板1の長手方向に直交する方向に周縁溝を形成した後に、図10(a)および図10(b)に示すように、幅12mmの絶縁分離領域8を形成した。ここで、絶縁分離領域8は、ストリングの周囲を取り囲むようにしてYAGレーザ光の基本波(レーザ光の照射幅:650μm)を移動させながら照射することにより、YAGレーザ光の基本波の照射部分の透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4をそれぞれ除去して形成した。
【0077】
ここで、絶縁分離領域8の形成時におけるYAGレーザ光の基本波の照射は、平均的な透明絶縁基板1の反りの状態に焦点位置を合わせた第1の照射条件による第1レーザ光の照射工程で照射幅650μmのYAGレーザ光の基本波の照射によって周縁から幅12mmの領域の透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4の積層体を除去した後に、第1レーザ光の照射工程後に異常な反りの状態となっている透明絶縁基板1の部分にそれぞれ焦点位置を合わせた第2の照射条件による第2レーザ光の照射工程を含むレーザ光の照射を実施することにより行なった。
【0078】
ここで、第1レーザ光の照射工程および第2レーザ光の照射工程においては、それぞれ、73mJ/mm2のエネルギ密度でレーザ光の照射を行ない、第2レーザ光の照射工程においては焦点位置を鉛直上方に0.2mm移動してレーザ光の照射を行なった。
【0079】
次に、透明絶縁基板1の外周縁にフレームを取り付け、裏面電極層4を設置した状態でフレームに6000Vの電圧を印加した。その結果、上記のようにして作製した10000個すべての積層体の電流値が50μA未満であることが確認された。
【0080】
次に、図2(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層4の表面上にそれぞれ銀ペーストからなる金属ペースト9を介して発電セル11の長手方向に伸長する電流取り出し用の電極10を形成した。
【0081】
次に、図2(a)および図2(b)に示すように、上記の積層体の裏面側に透明なEVA(エチレンビニルアセテート)からなる透明接着材12を設置し、その後、PET(ポリエステル)/アルミニウム/PETの積層フィルムからなる裏面封止材13を設置した後に、真空ラミネート装置によって、裏面封止材13と透明絶縁基板1とを接着した。
【0082】
その後、薄膜太陽電池の裏面封止材13に端子ボックスを接着し、端子ボックス内をシリコーン樹脂で充填し、アルミニウムフレームを取り付けることによって、実施例の薄膜太陽電池を完成させた。
【0083】
そして、上記のようにして実施例の薄膜太陽電池を10000個作製し、10000個の実施例の薄膜太陽電池について、アルミニウムフレームと、電極10との間に6000Vの電圧を印加したときの電流値が50μA未満である合格率を調べた。その結果、10000個の実施例の薄膜太陽電池の100%が電流値が50μA未満の合格品であって、それぞれの薄膜太陽電池について外観不良も発生していないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、薄膜太陽電池などの光電変換装置の製造方法に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 透明絶縁基板、2 透明電極層、3 光電変換層、4 裏面電極層、5 第1分離溝、6 コンタクトライン、7 第2分離溝、8 絶縁分離領域、9 金属ペースト、10 電極、11 発電セル、12 透明接着材、13 裏面封止材、14 周縁溝、20 絶縁分離ライン、30 照射部、31,32 状態。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の薄膜太陽電池として、たとえば特開2000-261019号公報(特許文献1)には、透明絶縁基板の表面上において、透明電極層、光電変換層および金属電極層が順次積層されてなる発電セルの複数が電気的に直列接続されたストリングを備え、ストリングを含む透明絶縁基板の表面全面を樹脂層および裏面封止材で封止した構造の薄膜太陽電池が開示されている。
【0003】
このような薄膜太陽電池は、外周縁に金属フレームが取り付けられて設置箇所に設置されるため、金属フレームへの落雷によって破壊されないような絶縁耐電圧を有することが要求されている。
【0004】
たとえば特許文献1の薄膜太陽電池においては、透明絶縁基板の外周の側面から内側に0.5mm〜15mm程度離れた領域に、透明電極層、光電変換層および金属電極層が除去されてなる絶縁分離領域が形成されており、この絶縁分離領域によって必要な絶縁耐電圧を確保している。
【0005】
また、特許文献1には、絶縁分離領域の形成方法として、レーザ光の照射後に研磨機を用いて研磨を行なう方法、またはレーザ光の照射後にブラスト洗浄機を用いてブラスト洗浄を行なう方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、研磨機を用いて研磨を行なう方法およびブラスト洗浄機を用いてブラスト洗浄を行なう方法によって、透明電極層、光電変換層および金属電極層を機械的に除去して絶縁分離領域を形成した場合には、透明絶縁基板にダメージが与えられる。また、これらの方法においては、絶縁分離領域の形成後に、研磨屑、砥粒および微粒子などがストリングの表面に付着するため、水洗浄によりこれらを除去する工程が必要であるとともに、洗浄に使用した水の処理も必要となるため、製造工程および製造コストが増加する。
【0007】
また、エッチングなどの方法によって、透明電極層、光電変換層および金属電極層を化学的に除去して絶縁分離領域を形成することも考えられるが、この場合には、洗浄工程の追加に加え、エッチング液の濃度および温度などの管理が必要であるため、加工装置が複雑となり、結果的に製造コストが増加する。
【0008】
上記のような特許文献1に記載の方法おける問題点を解決するため、たとえば特開2009-206279号公報(特許文献2)には、レーザ光の照射により絶縁分離領域を形成した後に、レーザ光が照射された領域を不織布などで拭き取ることにより、簡易な方法で必要な絶縁耐電圧を確保する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000-261019号公報
【特許文献2】特開2009-206279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の方法で形成された絶縁分離領域においては、必要な絶縁耐電圧を確保することはできるが、さらに安定して必要な絶縁耐電圧を確保できる技術が求められていた。
【0011】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、絶縁分離領域において必要な絶縁耐電圧を安定して確保できる薄膜太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、透明電極層、光電変換層および裏面電極層が順次積層された透明絶縁基板にレーザ光を2回以上照射することにより、透明絶縁基板の周縁に位置する、透明電極層の一部、光電変換層の一部および裏面電極層の一部をそれぞれ除去して絶縁分離領域を形成する工程を含む、光電変換装置の製造方法である。
【0013】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、絶縁分離領域を形成する工程が、第1の照射条件による第1レーザ光照射工程と、第2の照射条件による第2レーザ光照射工程と、を含み、第1の照射条件と第2の照射条件とが異なることが好ましい。
【0014】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、第1の照射条件と第2の照射条件とは、レーザ光の焦点位置の条件が異なることが好ましい。
【0015】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、第1レーザ光照射工程および第2レーザ光照射工程の少なくとも一方におけるレーザ光の照射が、絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の光電変換装置の製造方法においては、絶縁分離領域を形成する工程における2回目以降のレーザ光の照射が、絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれることが好ましい。
【0017】
また、本発明の光電変換装置の製造方法においては、光電変換層の少なくとも一部として結晶相を含む層が積層されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、絶縁分離領域において必要な絶縁耐電圧を安定して確保できる薄膜太陽電池を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法により製造された薄膜太陽電池の一例の模式的な平面図である。
【図2】(a)は図1のA−A’に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1のB−B’に沿った模式的な断面図である。
【図3】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図4】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図5】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図6】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図7】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図8】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図9】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図10】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法の製造工程の他の一部を図解するための図であり、(a)は図1に示すA−A’方向(発電セルの長手方向)に沿った模式的な断面図であり、(b)は図1に示すB−B’方向(発電セルの長手方向に直交する方向)に沿った模式的な断面図である。
【図11】平均的な透明絶縁基板の反りの状態と、異常な透明絶縁基板の反りの状態とを図解する模式的な拡大断面図である。
【図12】本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法により製造された薄膜太陽電池の他の一例の模式的な断面図である。
【図13】特許文献2に記載の方法によって製造された薄膜太陽電池の外観上問題となる箇所を図解する模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0021】
<薄膜太陽電池の構造>
図1に、本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法により製造された薄膜太陽電池の一例の模式的な平面図を示す。本実施の形態の薄膜太陽電池は、表面が矩形状の発電セル11が複数接続されたストリングと、そのストリングの外側を取り囲むようにして設けられている絶縁分離領域8と、を有している。
【0022】
図2(a)に図1のA−A’に沿った模式的な断面を示し、図2(b)に図1のB−B’に沿った模式的な断面を示す。図2(a)に示すように、図1に示す薄膜太陽電池においては、透明絶縁基板1の表面上に、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4がこの順序で積層されているとともに、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4が透明絶縁基板1側からこの順序で積層されることにより発電セル11が構成されている。また、透明絶縁基板1の表面のうち、発電セル11が設置されている領域の外側において露出している幅Wの領域が絶縁分離領域8とされる。なお、透明電極層2の両端は、それぞれ、光電変換層3および裏面電極層4よりも発電セル11の長手方向(発電セル11が完成していない場合でも、この方向を「発電セル11の長手方向」という。)に突出している。
【0023】
図2(b)に示すように、透明電極層2は光電変換層3で埋められた第1分離溝5によって分離されており、光電変換層3は裏面電極層4で埋められたコンタクトライン6によって分離されており、光電変換層3および裏面電極層4は第2分離溝7によって分離されている。ここで、第2分離溝7を挟んで隣り合う発電セル11のうちの一方の発電セル11の裏面電極層4でコンタクトライン6を埋めることによって、一方の発電セル11の裏面電極層4が他方の発電セル11の透明電極層2と電気的に接続されている。これにより、隣り合う発電セル11同士が順次直列に接続されていくことによりストリングが形成される。そして、透明絶縁基板1の表面のうち、ストリングが設置されている領域の外側において露出している幅Wの領域が絶縁分離領域8とされる。なお、絶縁分離領域8の幅Wは、たとえば、0.5mm〜15mmとすることができる。
【0024】
また、図2(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向(発電セル11が完成していない場合でも、この方向を「発電セル11の長手方向に直交する方向」という。以下同じ。)の両端に配置された発電セル11の裏面電極層4の表面にはそれぞれ電流取り出し用の電極10が形成されている。これらの電極10はそれぞれ、発電セル11の長手方向と平行に形成されている。
【0025】
図2(a)および図2(b)に示すように、透明絶縁基板1の表面上には、発電セル11を包み込むようにして封止する透明接着材12が設置されており、透明接着材12の表面上には裏面封止材13が設置されている。
【0026】
<薄膜太陽電池の製造方法>
以下、図3〜図10の模式的断面図を参照して、本実施の形態の薄膜太陽電池の製造方法について説明する。なお、図3(a)〜図10(a)は図1に示すA−A’方向(発電セル11の長手方向)に沿った断面を図解しており、図3(b)〜図10(b)は図1に示すB−B’方向(発電セル11の長手方向に直交する方向)に沿った断面を図解している。
【0027】
<透明電極層の形成>
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、透明絶縁基板1上に透明電極層2を積層する。
【0028】
透明絶縁基板1としては、たとえばガラス基板などを用いることができる。また、透明電極層2としては、たとえば、SnO2(酸化スズ)、ITO(Indium Tin Oxide)またはZnO(酸化亜鉛)からなる層等を用いることができる。透明電極層2の形成方法は特に限定されず、たとえば従来から公知の熱CVD法、スパッタリング法、蒸着法またはイオンプレーティング法などを用いることができる。
【0029】
次に、発電セル11の長手方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射することによって、図4(b)に示すように、レーザ光の照射部分に相当する透明電極層2の一部をストライプ状に除去して透明電極層2を分離する第1分離溝5を形成する。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向であるため、図4(a)には、第1分離溝5が図示されていない。
【0030】
第1分離溝5の形成に用いられるレーザ光としては、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ光の基本波(波長:1064nm)またはYVO4(Yttrium Orthovanadate)レーザ光の基本波(波長:1064nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の基本波およびYVO4レーザ光の基本波はそれぞれ透明絶縁基板1を透過し、透明電極層2に吸収される傾向にあるため、透明電極層2を選択的に加熱して蒸散させることができる傾向にある。
【0031】
<光電変換層の形成>
次に、透明絶縁基板1の表面をたとえば純水を用いて超音波洗浄を行なった後、図5(a)および図5(b)に示すように、第1分離溝5で分離された透明電極層2を覆うように光電変換層3を積層する。
【0032】
光電変換層3としては、半導体光電変換層を用いることができ、たとえば、透明絶縁基板1側から、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したトップセル(第1光電変換層)と、トップセル上に、微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したボトムセル(第2光電変換層)と、をたとえばプラズマCVD法により積層することができる。
【0033】
また、光電変換層3としては、たとえば、透明絶縁基板1側から、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したトップセル(第1光電変換層)と、トップセル上に、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したミドルセル(第2光電変換層)と、ミドルセル上に、微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したボトムセル(第3光電変換層)と、をたとえばプラズマCVD法により積層してもよい。なお、光電変換層の数をこれ以上とすることもできる。
【0034】
第1光電変換層から第3光電変換層の各光電変換層は、すべて同種のシリコン系半導体からなっていてもよく、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなっていてもよい。
【0035】
第1光電変換層から第3光電変換層の各光電変換層が、それぞれ、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を含んでいる場合には、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層の各半導体層は、たとえば、シリコン系半導体からなってもよい。
【0036】
光電変換層に含まれる各半導体層は、すべて同種のシリコン系半導体からなっていてもよく、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなっていてもよい。たとえば、p型半導体層とi型半導体層をアモルファスシリコンで形成し、n型半導体層を微結晶シリコンで形成してもよい。また、たとえば、p型半導体層とn型半導体層とをシリコンカーバイドまたはシリコンゲルマニウムで形成し、i型半導体層をシリコンで形成してもよい。
【0037】
また、p型、i型およびn型の各半導体層は、1層構造であってもよく、複数層構造であってもよい。複数層構造である場合には、各半導体層は、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなっていてもよい。
【0038】
アモルファスシリコン薄膜の概念には、シリコンの未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端された水素化アモルファスシリコン系半導体(a−Si:H)からなる薄膜が含まれる。微結晶シリコン薄膜の概念には、シリコンの未結合手(ダングリングボンド)が水素で終端された水素化微結晶シリコン系半導体(μc−Si:H)からなる薄膜が含まれる。光電変換層3の厚みは、特には限定されず、たとえば200nm以上5μm以下とすることができる。光電変換層3の形成方法もプラズマCVD法に限定されるものではない。
【0039】
その後、発電セル11の長手方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射することによって、光電変換層3の一部をストライプ状に除去して、図6(b)に示すコンタクトライン6を形成する。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向であるため、図6(a)には、コンタクトライン6が図示されていない。
【0040】
コンタクトライン6の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)またはYVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波はそれぞれ透明絶縁基板1および透明電極層2を透過し、光電変換層3に吸収される傾向にあるため、光電変換層3を選択的に加熱して光電変換層3を選択的に蒸散させることができる傾向にある。
【0041】
<裏面電極層の形成>
次に、図7(a)および図7(b)に示すように、光電変換層3を覆うようにして裏面電極層4を積層する。これにより、図7(b)に示すように、裏面電極層4でコンタクトライン7が埋められる。
【0042】
裏面電極層4としては、たとえば、銀またはアルミニウムからなる金属薄膜とZnO等の透明導電膜との積層体を用いることができる。ここで、金属薄膜の厚みはたとえば100nm以上1μm以下とすることができ、透明導電膜の厚みはたとえば20nm以上200nm以下とすることができる。単層または複数層の金属薄膜からなる裏面電極層4と光電変換層3との間に透明導電膜を設置した場合には、金属薄膜からなる裏面電極層4から光電変換層3に金属原子が拡散するのを防止することができ、さらに裏面電極層4による太陽光の反射率が向上する傾向にある点で好ましい。裏面電極層4としては、金属薄膜の単層のみまたは金属薄膜の複数層のみを用いてもよいことは言うまでもない。裏面電極層4の形成方法は特に限定されず、たとえばスパッタリング法などを用いることができる。
【0043】
次に、発電セル11の長手方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射して、レーザ光の照射部分の光電変換層3および裏面電極層4をストライプ状に除去することによって、図8(b)に示す第2分離溝7を形成する。これにより、第2分離溝7を挟んで隣り合う発電セル11の一方の発電セル11の裏面電極層5が他方の発電セル11の透明電極層3と電気的に接続され、隣り合う発電セル11同士が順次直列に接続されることにより、ストリングが形成される。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向に平行な方向であるため、図8(a)には、第2分離溝7が図示されていない。
【0044】
第2分離溝7の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)またはYVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波はそれぞれ透明絶縁基板1および透明電極層2を透過し、光電変換層3に吸収される傾向にあるため、光電変換層3を選択的に加熱して光電変換層3および裏面電極層4を選択的に蒸散させることができる傾向にある。
【0045】
第2分離溝7の形成においては、透明電極層2へのダメージを最小限に抑え、かつ第2分離溝7の形成後の裏面電極4のバリの発生を抑制することが可能な形成条件を選択することが好ましい。
【0046】
<周縁溝の形成>
次に、図9(a)に示すように、第2分離溝7の形成後の発電セル11の長手方向の両端にそれぞれ周縁溝14を形成する。ここで、周縁溝14は、たとえば、発電セル11の長手方向の両端にそれぞれ、発電セル11の長手方向に直交する方向にレーザ光を移動させながら透明絶縁基板1側からレーザ光を照射して、レーザ光の照射部分の光電変換層3および裏面電極層4をストライプ状に除去することにより形成することができる。なお、レーザ光の移動方向は、発電セル11の長手方向に直交する方向であるため、図9(a)には、第2分離溝7が図示されていない。
【0047】
周縁溝14の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)またはYVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の第2高調波およびYVO4レーザ光の第2高調波はそれぞれ透明絶縁基板1および透明電極層2を透過し、光電変換層3に吸収される傾向にあるため、光電変換層3を選択的に加熱して光電変換層3および裏面電極層4を選択的に蒸散させて周縁溝14を形成することができる傾向にある。
【0048】
周縁溝14の形成においては、透明電極層2へのダメージを最小限に抑え、周縁溝14の形成後の裏面電極層4のバリの発生を抑制することが可能な形成条件を選択することが好ましい。
【0049】
なお、図8に示す第2分離溝7の形成工程および図9に示す周縁溝14の形成工程は同一のレーザ光の照射工程で行なう方が好ましい。これは、第2分離溝7および周縁溝14の形成には同一波長のレーザ光を用いることができるため、効率的に薄膜太陽電池を製造することができるためである。
【0050】
<絶縁分離領域の形成>
次に、図10(a)に示すように、発電セル11の長手方向においては、周縁溝14の外側の領域に位置する、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4を除去するとともに、図10(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向においては、発電セル11の長手方向に直交する方向の両端の透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4のそれぞれの部分を除去する。これにより、透明絶縁基板1の表面において、隣り合う発電セル11同士が順次直列に接続されてなるストリングの周囲を取り囲むようにして露出する絶縁分離領域8が形成される。
【0051】
絶縁分離領域8は、レーザ光を2回以上照射することにより、透明絶縁基板1の周縁上に位置する、透明電極層2の一部、光電変換層3の一部および裏面電極層4の一部をそれぞれ除去することによって形成される。
【0052】
これは、本発明者らが、特許文献2に記載の方法で製造した薄膜太陽電池の絶縁分離領域の絶縁性が問題となったサンプルを調査した結果、透光性基板の反りのばらつきや、絶縁分離領域上に存在する異物などによってレーザ光の焦点の位置がずれることによる加工不良が主な絶縁不良の原因であることが判明したことに基づくものである。
【0053】
絶縁分離領域8の形成時においては、透明絶縁基板1の反りがばらつく場合、すなわち絶縁分離領域8の反りがばらつく場合があり、特に光電変換層3の少なくとも一部に結晶相を含む層を用いた場合には、透明絶縁基板1の反りがばらつく傾向が大きくなる。具体例を挙げれば、透明絶縁基板1のサイズとして矩形の各辺が1m以上で、光電変換層3のi型半導体層に微結晶シリコンを用いた場合には透明絶縁基板1の反りがばらつく傾向が大きくなる。
【0054】
たとえば、図11の模式図に示すように、平均的な透明絶縁基板1の反りの状態31とともに、異常な透明絶縁基板1の反りの状態32が存在する場合において、レーザ光の照射部30と、状態31の透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置とのZ方向における距離をZ1とする。このとき、状態32の透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置の条件を、Z方向のプラス方向にずらした条件に変更することにより、反りの状態31におけるレーザ光の照射により得られる効果と、反りの状態32におけるレーザ光の照射により得られる効果と、をほぼ同一にすることができる傾向にある。
【0055】
すなわち、透明絶縁基板1の反りの状態が状態31の部分(絶縁分離領域8に相当する領域の一部)については、透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置とのZ方向における距離をZ1とした条件(第1の照射条件)でレーザ光を照射する(第1レーザ光照射工程)。
【0056】
そして、透明絶縁基板1の反りの状態が状態32の部分(絶縁分離領域8に相当する領域の他の一部)については、透明絶縁基板1に対するレーザ光の焦点位置とのZ方向における距離をZ1+αとした条件(第2の照射条件)でレーザ光を照射する(第2レーザ光照射工程)。
【0057】
以上のように、焦点位置の条件が互いに異なる、第1レーザ光照射工程および第2レーザ光照射工程を経ることにより、透明絶縁基板1に反りのばらつきが生じている場合でも絶縁分離領域8の形成時におけるレーザ光による処理を均一に行なうことができることから、必要な絶縁耐電圧を担保できる絶縁分離領域8を安定して形成することができる。
【0058】
また、絶縁分離領域8を形成する工程において、1回目のレーザ光の照射(たとえば第1レーザ光照射工程)により絶縁分離領域8の大部分を形成し、2回目以降のレーザ光の照射(たとえば第2レーザ光照射工程)を、絶縁分離領域8に相当する領域の一部(たとえば異物が付着している部分などの異常部分)のみに対して行なうことが好ましい。このような部分的なレーザ光の照射により、たとえばレーザ光の照射による異物の除去などによって異常部分を効率的に除去することができるため、絶縁分離領域8を効率的に形成することができる。
【0059】
また、特許文献2に記載の方法により製造された薄膜太陽電池については、たとえば図13に示すように、発電セル41の複数が電気的に直列接続されたストリングの外側の絶縁分離領域48に茶色に変色した部分40が残ることがあった。そして、この茶色に変色した部分40は、裏面封止材として白色のものを用いたときに、薄膜太陽電池を透明絶縁基板側からの外観を悪化させるという問題があった。
【0060】
そこで、たとえば、第1レーザ光照射工程後に、茶色に変色した部分40が残存している場合には、第2レーザ光照射工程におけるレーザ光の第2の照射条件をレーザ光の照射により茶色に変色した部分40を除去できる条件として第2レーザ光照射工程を行なうことが好ましい。この場合には、薄膜太陽電池の外観を向上させることができる傾向にある。
【0061】
茶色に変色した部分40は、透明絶縁基板1の反りにより、レーザ光の焦点位置が変化することにより形成されやすい傾向にある。また、ジャストフォーカス位置から、膜面側に焦点が合う位置が来る場合にも茶色に変色した部分40が形成されやすい傾向にある。したがって、第1レーザ光照射工程後に、茶色に変色した部分40が残存している場合には、第1レーザ光照射工程での焦点位置と異なる焦点位置とする照射条件にて第2レーザ光照射工程を施すことにより、茶色に変色した部分40を確実に除去することができる。
【0062】
絶縁分離領域8の形成に用いられるレーザ光としては、YAGレーザ光の基本波(波長:1064nm)またはYVO4レーザ光の基本波(波長:1064nm)を用いることが好ましい。YAGレーザ光の基本波およびYVO4レーザ光の基本波はそれぞれ透明絶縁基板1を透過し、透明電極層2に吸収される傾向にあるため、透明電極層2を選択的に加熱して、透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4を蒸散して除去することができる傾向にある。また、絶縁分離領域8は一般的に幅広に形成されるため、レーザ光の照射幅(レーザ光の移動方向に直交する方向の長さ)は150μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましい。
【0063】
レーザ光の照射後の絶縁分離領域8の状態を良好にするため、レーザ光の強度分布は、レーザ光の移動方向および幅方向のそれぞれについて矩形状の分布にすることが好ましい。また、この場合には、たとえばガルバノスキャンを用いた光学系や角ファイバーを用いた光学系を特に限定なく併せて用いることもできる。
【0064】
また、図12の模式的断面図に示すように、絶縁分離領域8の内側に絶縁分離ライン20をたとえば数十μm〜数百μm程度の幅で形成して、発電領域と絶縁分離領域8とを完全に分離した構造としてもよく、その他の構造としてもよい。なお、絶縁分離ライン20の形成は、たとえば、YAGレーザ光の基本波(波長:1064nm)またはYVO4レーザ光の基本波(波長:1064nm)を発電セル11の長手方向および発電セル11の長手方向と直交する方向にそれぞれ移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより形成することができる。なお、図12においては、発電セル11の長手方向に沿った断面構造のみが示されている。
【0065】
<検査工程>
次に、絶縁分離領域8の形成後の積層体が所望の絶縁耐電圧を有しているかを検査するための検査工程を行なう。この検査工程は、透明絶縁基板1の1枚ごとに行なわれ、裏面電極層4を接地した状態で透明絶縁基板1の外周部の側面に所定の電圧を印加し、透明絶縁基板1の外周部の側面と裏面電極層4との間に流れる電流の電流値が所定値以下であれば合格と判断する。ここで、透明絶縁基板1の外周部の側面に印加される電圧は、薄膜太陽電池のシステム電圧に応じた電圧に設定され、たとえば、システム電圧が1000Vの薄膜太陽電池である場合には6000Vの電圧が印加され、電流値が50μA未満であれば合格と判断する。
【0066】
<電極の形成>
次に、図2(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層4の表面上にそれぞれ、銀ペーストなどの金属ペースト9を介して発電セル11の長手方向に伸長する電流取り出し用の電極10を形成する。
【0067】
<封止工程>
その後、電極10の形成後の裏面電極層4の表面上にたとえばEVAシートなどからなる透明接着材12を設置し、透明接着材12上に、たとえばPET(ポリエステル)/Al(アルミニウム)/PETの3層積層フィルムなどからなる裏面封止材13を設置した後に、これらを加熱圧着することによって、図2(a)および図2(b)に示す構成の薄膜太陽電池が完成する。その後、薄膜太陽電池の裏面封止材13に端子ボックスを接着し、端子ボックス内をシリコーンで充填し、アルミフレームを取り付けることもできる。
【0068】
<絶縁耐電圧の検査>
上記のようにして作製した薄膜太陽電池については、上記の薄膜太陽電池の絶縁分離領域8に対応する箇所にアルミニウムフレームなどのフレームを取り付けた後に、フレームと薄膜太陽電池の電極10との間に高電圧を印加した場合でも放電しない絶縁耐電圧を有するか否かを判断するための試験を行なうことができる。
【0069】
絶縁耐電圧とは、薄膜太陽電池の外周縁に取り付けられたアルミニウムフレームと薄膜太陽電池の電極10との間に所定の高電圧を印加しても、アルミニウムフレームと薄膜太陽電池との間で放電しない特性を意味する。たとえば国際規格(IEC:61730および61646)で定められた絶縁耐電圧試験によって所定の絶縁耐電圧が得られているか調べることができる。システム電圧が1000Vの薄膜太陽電池の場合には、国際規格では雷サージ耐圧6KVに対する絶縁耐電圧が必要とされている。
【実施例】
【0070】
<実施例>
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、幅1000mm×長さ1400mm×厚さ4mm程度のガラス基板からなる透明絶縁基板1の表面上にSnO2からなる透明電極層2を熱CVD法により形成した。
【0071】
次に、YAGレーザ光の基本波を発電セルの長手方向(以下、「透明絶縁基板1の長手方向」という。)に移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより、YAGレーザ光の基本波の照射部分の透明電極層2を除去して、図4(a)および図4(b)に示すように、透明電極層2を短冊状に分離する帯状の第1分離溝5を形成した。その後、第1分離溝5の形成後の透明絶縁基板1を純水で超音波洗浄した。
【0072】
次に、図5(a)および図5(b)に示すように、第1分離溝5が形成された透明電極層2を覆うようにして、光電変換層3を形成した。ここで、光電変換層3は、p型の水素化アモルファスシリコン膜からなるp層、i型の水素化アモルファスシリコン膜からなるi層およびn型の水素化アモルファスシリコン膜からなるn層をこの順序で積層してトップセルを形成し、その後、トップセルのn層上に、p型の微結晶シリコンからなるp層、i型の微結晶シリコンからなるi層およびn型の微結晶シリコンからなるn層をこの順序で積層してボトムセルを形成することにより形成した。
【0073】
次に、図6(a)および図6(b)に示すように、YAGレーザ光の第2高調波を透明絶縁基板1の長手方向に移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより、光電変換層3を短冊状に分離する帯状のコンタクトライン6を形成した。
【0074】
次に、図7(a)および図7(b)に示すように、コンタクトライン6が形成された光電変換層3を覆うようにして、裏面電極層4を形成した。ここで、裏面電極層4は、マグネトロンスパッタ法により、厚さ50nmのZnO(酸化亜鉛)膜を形成した後に厚さ125nmのAg(銀)膜を形成することによって形成した。
【0075】
次に、図8(a)および図8(b)に示すように、YAGレーザ光の第2高調波を透明絶縁基板1の長手方向に移動させながら透明絶縁基板1側から照射することにより、光電変換層3および裏面電極層4を短冊状に分離する帯状の第2分離溝7を形成した。これにより、透明絶縁基板1の長手方向に直交する方向に電気的に直列に接続された複数の発電セル11からなるストリングが形成された。
【0076】
次に、図9(a)および図9(b)に示すように、YAGレーザ光の第2高調波を照射して透明絶縁基板1の長手方向に直交する方向に周縁溝を形成した後に、図10(a)および図10(b)に示すように、幅12mmの絶縁分離領域8を形成した。ここで、絶縁分離領域8は、ストリングの周囲を取り囲むようにしてYAGレーザ光の基本波(レーザ光の照射幅:650μm)を移動させながら照射することにより、YAGレーザ光の基本波の照射部分の透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4をそれぞれ除去して形成した。
【0077】
ここで、絶縁分離領域8の形成時におけるYAGレーザ光の基本波の照射は、平均的な透明絶縁基板1の反りの状態に焦点位置を合わせた第1の照射条件による第1レーザ光の照射工程で照射幅650μmのYAGレーザ光の基本波の照射によって周縁から幅12mmの領域の透明電極層2、光電変換層3および裏面電極層4の積層体を除去した後に、第1レーザ光の照射工程後に異常な反りの状態となっている透明絶縁基板1の部分にそれぞれ焦点位置を合わせた第2の照射条件による第2レーザ光の照射工程を含むレーザ光の照射を実施することにより行なった。
【0078】
ここで、第1レーザ光の照射工程および第2レーザ光の照射工程においては、それぞれ、73mJ/mm2のエネルギ密度でレーザ光の照射を行ない、第2レーザ光の照射工程においては焦点位置を鉛直上方に0.2mm移動してレーザ光の照射を行なった。
【0079】
次に、透明絶縁基板1の外周縁にフレームを取り付け、裏面電極層4を設置した状態でフレームに6000Vの電圧を印加した。その結果、上記のようにして作製した10000個すべての積層体の電流値が50μA未満であることが確認された。
【0080】
次に、図2(b)に示すように、発電セル11の長手方向に直交する方向の両端の裏面電極層4の表面上にそれぞれ銀ペーストからなる金属ペースト9を介して発電セル11の長手方向に伸長する電流取り出し用の電極10を形成した。
【0081】
次に、図2(a)および図2(b)に示すように、上記の積層体の裏面側に透明なEVA(エチレンビニルアセテート)からなる透明接着材12を設置し、その後、PET(ポリエステル)/アルミニウム/PETの積層フィルムからなる裏面封止材13を設置した後に、真空ラミネート装置によって、裏面封止材13と透明絶縁基板1とを接着した。
【0082】
その後、薄膜太陽電池の裏面封止材13に端子ボックスを接着し、端子ボックス内をシリコーン樹脂で充填し、アルミニウムフレームを取り付けることによって、実施例の薄膜太陽電池を完成させた。
【0083】
そして、上記のようにして実施例の薄膜太陽電池を10000個作製し、10000個の実施例の薄膜太陽電池について、アルミニウムフレームと、電極10との間に6000Vの電圧を印加したときの電流値が50μA未満である合格率を調べた。その結果、10000個の実施例の薄膜太陽電池の100%が電流値が50μA未満の合格品であって、それぞれの薄膜太陽電池について外観不良も発生していないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、薄膜太陽電池などの光電変換装置の製造方法に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 透明絶縁基板、2 透明電極層、3 光電変換層、4 裏面電極層、5 第1分離溝、6 コンタクトライン、7 第2分離溝、8 絶縁分離領域、9 金属ペースト、10 電極、11 発電セル、12 透明接着材、13 裏面封止材、14 周縁溝、20 絶縁分離ライン、30 照射部、31,32 状態。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極層、光電変換層および裏面電極層が順次積層された透明絶縁基板にレーザ光を2回以上照射することにより、前記透明絶縁基板の周縁に位置する、前記透明電極層の一部、前記光電変換層の一部および前記裏面電極層の一部をそれぞれ除去して絶縁分離領域を形成する工程を含む、光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁分離領域を形成する工程は、第1の照射条件による第1レーザ光照射工程と、第2の照射条件による第2レーザ光照射工程と、を含み、
前記第1の照射条件と前記第2の照射条件とが異なる、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の照射条件と前記第2の照射条件とは、レーザ光の焦点位置の条件が異なる、請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1レーザ光照射工程および前記第2レーザ光照射工程の少なくとも一方におけるレーザ光の照射が、前記絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれる、請求項2または3に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁分離領域を形成する工程における2回目以降のレーザ光の照射が、前記絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれる、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記光電変換層の少なくとも一部として結晶相を含む層が積層される、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項1】
透明電極層、光電変換層および裏面電極層が順次積層された透明絶縁基板にレーザ光を2回以上照射することにより、前記透明絶縁基板の周縁に位置する、前記透明電極層の一部、前記光電変換層の一部および前記裏面電極層の一部をそれぞれ除去して絶縁分離領域を形成する工程を含む、光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁分離領域を形成する工程は、第1の照射条件による第1レーザ光照射工程と、第2の照射条件による第2レーザ光照射工程と、を含み、
前記第1の照射条件と前記第2の照射条件とが異なる、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の照射条件と前記第2の照射条件とは、レーザ光の焦点位置の条件が異なる、請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1レーザ光照射工程および前記第2レーザ光照射工程の少なくとも一方におけるレーザ光の照射が、前記絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれる、請求項2または3に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁分離領域を形成する工程における2回目以降のレーザ光の照射が、前記絶縁分離領域に相当する領域の一部に対して行なわれる、請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記光電変換層の少なくとも一部として結晶相を含む層が積層される、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−181826(P2011−181826A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46736(P2010−46736)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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