光電式エンコーダ
【課題】検出器を複雑化することなく、原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確な原点検出を可能とする。
【解決手段】測長方向で点光源24に対して対称に配置される原点信号受光部32z、32zbと、原点マーク14の位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する原点信号処理部60を有する信号処理部40と、を備え、原点信号処理部60は、原点マーク14で反射されることにより生じるサイドローブ光により原点信号受光部32z、32zbから出力される信号レベルの最大値を規定値Vtとして設け、原点信号受光部32zの出力が規定値Vtよりも大きな信号レベルとなる最初の位置から、原点信号受光部32zbの出力が規定値Vtを超えてから規定値Vtよりも小さな信号レベルとなる最初の位置の間に、原点検出の有効領域を設け、有効領域内で原点検出信号を発生させる。
【解決手段】測長方向で点光源24に対して対称に配置される原点信号受光部32z、32zbと、原点マーク14の位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する原点信号処理部60を有する信号処理部40と、を備え、原点信号処理部60は、原点マーク14で反射されることにより生じるサイドローブ光により原点信号受光部32z、32zbから出力される信号レベルの最大値を規定値Vtとして設け、原点信号受光部32zの出力が規定値Vtよりも大きな信号レベルとなる最初の位置から、原点信号受光部32zbの出力が規定値Vtを超えてから規定値Vtよりも小さな信号レベルとなる最初の位置の間に、原点検出の有効領域を設け、有効領域内で原点検出信号を発生させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダに係り、特に原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確に原点検出が可能な光電式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダにおいて、小型の検出器構成で、且つ、原点検出機能を持たせるために、例えば、特許文献1に示すような構成が提案されている。それは、スケールのインクリメンタルトラック上に原点マークを施すものである。このため、特許文献1では、原点マークに照射された光をレンズなどの結像手段で、2分割されたセンサ上に結像させて、そのセンサの一方の出力を他方の出力から引き算する。そしてその引き算された信号(差分信号)において、ゼロクロスする位置を求めることで、特許文献1では原点検出が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−503745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、少なくとも結像手段が検出器に設けられることで、検出器が複雑化するおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1の原点検出に関する配置において、例えば結像手段を用いずに、原点マークで光を反射させてその光を直接的にセンサに入射させることも考えられる。しかし、原点マークは相応に小さく、このために光が原点マークに照射されると、光の回折がなされる。このため、当該センサには原点マークによる回折光が入射して、差動信号を得た際にゼロクロスする位置が複数個所で発生して原点を誤検出するおそれがある。
【0006】
本発明は、前記問題点を解消するべくなされたもので、検出器を複雑化することなく、原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確な原点検出を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダにおいて、前記スケールに設けられた、前記インクリメンタルトラックの少なくとも1箇所に形成された反射型の原点マークと、前記検出器に設けられた、前記インクリメンタルトラックに光を照射する光照射部、及び前記測長方向で該光照射部に対して対称に配置される1対の原点信号受光部と、前記原点マークで反射された光による該1対の原点信号受光部からの出力の差動信号を求めて該原点マークの位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する原点信号処理部を有する信号処理部と、を備え、前記原点信号処理部を、前記原点マークで反射されることにより生じるサイドローブ光により前記原点信号受光部から出力される信号レベルの最大値を規定値として設け、前記相対変位により先に該規定値よりも大きな信号レベルを出力する一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値よりも大きな信号レベルとなる最初の位置から、もう一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値を超えてから該規定値よりも小さな信号レベルとなる最初の位置の間に、原点検出の有効領域を設け、該有効領域内で前記原点検出信号を発生させる構成としたことにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
本願の請求項2に係る発明は、前記有効領域を、更に、前記もう一方の原点信号受光部の出力が前記差動信号の信号レベルよりも大となる範囲としたものである。
【0009】
本願の請求項3に係る発明は、更に、前記信号処理部が前記原点検出信号でリセットされると共に前記相対変位で生じる前記反射型格子による周期の数を計数する内部周期カウンタを備え、前記原点信号処理部が、前記原点検出信号の発生位置に対する前記原点信号の位置を外部から指定して記憶するメモリ/設定回路と、前記内部周期カウンタから出力される計数による位置が該メモリ/設定回路で指定される位置とされた状態で該原点信号を出力する出力回路と、を備えるようにしたものである。
【0010】
本願の請求項4に係る発明は、前記検出器に、前記光照射部を中心としてその周囲に配置されると共に、前記光照射部から照射された光が前記スケールの前記反射型格子で回折されて形成された干渉縞を、前記測長方向に沿って配置されて90度位相差、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差の関係となっている4つの受光窓を介して受光し、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力するメイン受光部を備え、前記1対の原点信号受光部を、更に、前記光照射部の位置を点対称の中心位置として前記測長方向に対して垂直方向に配置するようにしたものである。
【0011】
本願の請求項5に係る発明は、更に、前記信号処理部が、前記インクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成し、該2相方形波信号のエッジを検出する回路を備え、前記原点信号処理部が、前記原点検出信号と前記2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路と、該原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから前記内部周期カウンタの計数開始位置を変更する回路と、を備えるようにしたものである。
【0012】
本願の請求項6に係る発明は、前記原点信号処理部が、更に、前記差動信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された該差動信号の信号レベルと新たに得られる前記差動信号の信号レベルとを比較することで前記原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有するようにしたものである。
【0013】
本願の請求項7に係る発明は、前記光照射部を拡散光源とし、前記原点マークの幅を前記原点信号受光部の開口幅の半分としたものである。なお、ここでの原点信号受光部の開口幅の半分とは、厳密さを要求するものではなく、多少の違いがあってもよい。
【0014】
本願の請求項8に係る発明は、前記光照射部を、点光源又は空間フィルタを有する光源としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出器には原点検出のための結像手段が不要なので検出器も複雑にすることなく、小型とすることができる。
【0016】
また、原点マークで反射されることにより生じる(光の回折の)サイドローブ光により原点信号受光部から出力される信号レベルの最大値を規定値として設け、いわばいずれかの原点信号受光部からの出力が当該規定値よりも大きいことを条件に用いて原点検出の有効領域を定めている。そして、その有効領域内で原点検出信号を発生させるようにしている。このため、原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確に原点検出が可能である。
【0017】
即ち、本発明は、複雑な光学系を必要とせず、且つ新たに検出器やセンサを付加するのではなく、小規模な電気回路の付加で実現できるため、光電式エンコーダをコンパクト・低コストとしながら、正確な原点検出を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る光電式エンコーダの一例の概略を示す斜視図
【図2】同じく平面図
【図3】同じくスケールの斜視図
【図4】同じくスケールの例を示す断面図
【図5】同じく検出器の受光配置を示す平面図
【図6】同じく検出器に接続された信号処理部の構成を示すブロック図
【図7】同じくスケールと検出器とを示す斜視図
【図8】同じく原点検出の流れを示す図
【図9】同じく原点マークと検出器の関係を示す模式図
【図10】同じく原点検出の概略を示す模式図
【図11】同じく原点検出の詳細を示す模式図
【図12】同じく取付により検出器が傾いた場合の原点検出の流れの概略を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0020】
最初に、本発明の実施形態に係わる光電式エンコーダの構成について図1を用いて以下に説明する。
【0021】
本実施形態の光電式エンコーダ1は、図1に示す如く、スケール10と、スケール10に対して相対変位する検出器20と、を備えている。なお、検出器20には、図6に示す信号処理部40が接続されている。
【0022】
前記スケール10は、図3に詳細に示す如く、インクリメンタルトラック11を有する。そして、インクリメンタルトラック11には、測長方向に沿って等間隔に反射型の位相格子(反射型格子)12が形成されている。また、インクリメンタルトラック11の測長範囲外で検出器20により検出可能なインクリメンタルトラック11の端部に、反射型格子12と平行に反射型の原点マーク14が形成されている。原点マーク14は、例えば図4(a)に示す如く格子一体構造としたり、あるいは図4(b)に示す如くアドオン構造としたりすることができる。なお、原点マーク14の位置は、スケール10の端部の1箇所に限定されず、任意の位置に複数箇所設けることができる。
【0023】
前記検出器20は、図1に示す如く、例えば光ファイバケーブル22に設けられている。光ファイバケーブル22は、その中心に投光用光ファイバ26と、その周囲に6つの受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bb、29z、29zbと、を備える。即ち、受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bb、29z、29zbは、全て投光用光ファイバ26から等距離とされている。
【0024】
投光用光ファイバ26は、図1に示す如く、その端面に配設された空間フィルタ28及び他の端面に配設された図示せぬレーザ光源により、点光源24を構成している。即ち、本実施形態では点光源24が光照射部となり、点光源24が拡散光源として機能し、インクリメンタルトラック11に光を照射している。なお、光照射部は、空間フィルタを有さずに点光源とされていてもよいし、点光源ではなく単に拡散光源であってもよいし、若しくは拡散光源でなくてもよい。
【0025】
光ファイバケーブル22の受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bbの端面(空間フィルタ28の配設された投光用光ファイバ26と同じ端面側)には、図5に詳細に示す如く、点光源24の位置を中心としてその周囲に配置されると共に、測長方向に沿って配置されて90度位相差(位相0°のa相と位相90°のb相、位相180°のab相と位相270°のbb相)、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差(位相0°のa相と位相180°のab相、位相90°のb相と位相270°のbb相)の関係となっているインデックスパターン31a、31b、31ab、31bbが受光窓として配設されている。即ち、インデックスパターン31a、31b、31ab、31bbは、いわば田型に配設されている。このため、受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bbは、点光源24から照射された光がスケール10の反射型格子12で回折されて形成された干渉縞を、前記4つの受光窓を介して受光している。そして、インデックスパターン31a、31b、31ab、31bbが設けられていない受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bbの他の端面に図示せぬ光検出器が配置されることで、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbがそれぞれ構成されている。このため、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbは、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力することができる。
【0026】
光ファイバケーブル22の受光用光ファイバ29z、29zbの端面(空間フィルタ28の配設された投光用光ファイバ26と同じ端面側)には、図2に示す如く、点光源24の位置を点対称の中心位置として測長方向に対して垂直方向、即ち原点マーク14の長手方向に受光用差動スリット33z、33zbが配設されている。更に、受光用差動スリット33z、33zbは、測長方向で点光源24に対して対称に配置されている。そして、受光用差動スリット33z、33zbが設けられていない受光用光ファイバ29z、29zbの他の端面に図示せぬ光検出器が配置されることで、1対の原点信号受光部32z(z相)、32zb(zb相)がそれぞれ構成されている。なお、原点信号受光部32z、32zbは、図5に示す如く、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbを測長方向に対して垂直な方向で挟み込むように外側に配置されている。このため、点光源24を中心に回転して検出器20が取り付けられても、原点信号受光部32z、32zbで受光される光量は等しくでき、且つ原点検出位置の位置ずれを最小限に抑えることができる(例えば図12(a))。
【0027】
このように、検出器20には、原点検出のための結像手段が不要なので、検出器20も複雑にすることなく、小型とすることができる。
【0028】
ここで、反射型格子12で生じるインクリメンタル信号を出力するメイン受光部30a、30b、30ab、30bbの測長方向幅をWd、原点信号受光部32z、32zbの開口幅(受光用差動スリット33z、33zbの幅)をWzとする。すると、本実施形態では、原点マーク14の幅W0は、次の式(1)、式(2)の条件を満たしている。
【0029】
(1/4)Wd>W0 …(1)
【0030】
原点マーク14を照射するのは点光源24(拡散光源)であり、図1、図7(b)に示す如く、点光源24及びインデックスパターン31a、31b、31ab、31bbの原点マーク14からの距離は同じである。即ち、本実施形態では、インデックスパターン31a、31b、31ab、31bb上で原点マーク14の反射光の幅は、幅W0のほぼ2倍となる。しかし、式(1)を満たしているので、原点マーク14の反射光の領域を検出器20が通過した時であっても、インクリメンタル信号のためのメイン受光部30a、30b、30ab、30bbの測長方向幅は最低でも(1/2)Wd確保することができる。即ち、式(1)を満たしていることで、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbからエラーを起こさずに安定したインクリメンタル信号を得ることができる。
【0031】
(1/2)Wz≒W0 …(2)
【0032】
前述の如く、本実施形態では、受光用差動スリット33z、33zb上の原点マーク14の反射光の幅は、原点マーク14の幅W0のほぼ2倍となる。即ち、式(2)を満たすことで、原点マーク14の反射光の幅は、原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzとほぼ等しくなる。つまり、原点マーク14の反射光の領域を検出器20が通過すると、原点信号受光部32z、32zbで受光される受光量を最大限に変化させることができる。このため、アライメント調整が容易となる。また、検出器20のスケール10に対する高さが変化しても原点信号受光部32z、32zbで受光される光量はほぼ同じなので、比較的検出器20のスケール10に対する高さ変動の許容範囲を広くすることが可能である。
【0033】
なお、原点マーク14による反射光の幅は、後述するように光の回折の影響を受ける。このせいもあり、本実施形態では原点マーク14による反射光の幅に厳密さを要求していない。原点マーク14の幅W0は、反射型格子12の周期より十分大きい(例えば5〜10倍)ことが望ましい。
【0034】
前記信号処理部40は、図6に示す如く、インクリメンタル信号処理部42と、方向判別部56と、内部Up/Downカウンタ(内部周期カウンタ)58と、原点信号処理部60と、を有している。インクリメンタル信号処理部42は、メイン受光部30a、30ab、30b、30bbの出力であるインクリメンタル信号を、ラテラル差動ベクトル合成により処理する。方向判別部56は、後述するA相方形波信号とB相方形波信号(2相方形波信号)のエッジを検出し、スケール10に対して相対変位する検出器20の方向を判別する。内部周期カウンタ58は、前記相対変位で生じる反射型格子12による周期の数を計数する。原点信号処理部60は、原点マーク14で反射された光による1対の原点信号受光部32z、32zbからの出力の差動Z信号(差動信号)を求めて原点マーク14の位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する。以下、各構成について説明する。
【0035】
前記インクリメンタル信号処理部42は、図6に示す如く、電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bbと、増幅器46a、46ab、46b、46bbと、3相信号生成部48と、2相正弦波信号生成部50と、利得調整部52A、52Bと、比較器54A、54Bと、を有する。
【0036】
電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bbはそれぞれ、検出器20のメイン受光部30a、30b、30ab、30bbに接続されている。そして、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbからのインクリメンタル信号(出力)が電圧信号(周期信号Sa、Sab、Sb、Sbb)に変換される。電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bbは、増幅器46a、46ab、46b、46bbを介して、3つの差動増幅器48A、48B、48Cでなる3相信号生成部48に接続されている。即ち、周期信号Sa、Sab、Sb、Sbbは、3相信号生成部48により3つの差動信号Dsa、Dsb、Dscに生成される。3相信号生成部48は、2つのベクトル合成差動増幅器50A、50Bでなる2相正弦波信号生成部50に接続されている。即ち、3つの差動信号Dsa、Dsb、Dscは、2つのベクトル信号A、Bに合成される。2相正弦波信号生成部50は、利得調整部52A、52Bに接続され、2つのベクトル信号A、Bはそれぞれ、A相正弦波信号、B相正弦波信号として出力される。
【0037】
一方で、2相正弦波信号生成部50は、比較器54A、54Bに接続され、2つのベクトル信号A、Bはそれぞれ、A相方形波信号、B相方形波信号(2相方形波信号)として出力される。このため、インクリメンタル信号処理部42は、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbのインクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成する回路とも言える。
【0038】
前記原点信号処理部60は、電流−電圧変換器62z、62zbと、増幅器64z、64zbと、判定出力回路66と、エッジ検出回路70と、トリガ回路72と、パルス間隔検出回路74と、下位2ビット加算回路76と、メモリ/設定回路80と、Z信号出力回路82と、を有している。
【0039】
電流−電圧変換器62z、62zbはそれぞれ、検出器20の原点信号受光部32z、32zbに接続されている。そして、原点信号受光部32z、32zbからの出力は電圧信号Sz、Szbに変換される。電流−電圧変換器62z、62zbは、増幅器64z、64zbを介して、判定出力回路66に接続されている。
【0040】
判定出力回路66は、例えば、図示せぬ、記憶器と差動増幅器と論理回路と比較器とを有する。記憶器は、増幅器64z、64zbの出力を記憶する。差動増幅器は、当該出力を差動増幅してゼロクロスする差動Z信号を生成する。論理回路は、増幅器64z、64zbの出力と、前記記憶器に記憶した信号レベル及び差動Z信号の信号レベルとの比較を行い原点検出の有効領域を判定する。比較器は、その有効領域の判定された範囲で、閾値を発生させてその閾値で当該差動Z信号を方形波となして出力する。
【0041】
エッジ検出回路70は、判定出力回路66から出力された方形波のエッジを検出する。トリガ回路72は、エッジ検出回路70の出力に基づいて、内部周期カウンタ58の計数を開始するためのトリガ信号である原点検出信号を発生させる。即ち、原点検出信号は、内部周期カウンタ58をリセットすることができる。
【0042】
このように、判定出力回路66とエッジ検出回路70とトリガ回路72とにより、原点検出の有効領域を設け、その有効領域内で原点検出信号を発生させることができる。
【0043】
トリガ回路72は、パルス間隔検出回路74にも接続されている。パルス間隔検出回路74は、トリガ回路72による原点検出信号と、方向判別部56による2相方形波信号のエッジ間隔とを検出する。パルス間隔検出回路74には下位2ビット加算回路76が接続され、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから、内部周期カウンタ58に下位2ビットを付加する。即ち、下位ビット2ビット加算回路76は、原点検出信号と2相方形波信号の間隔とから内部周期カウンタ58の計数開始位置を変更することができる。
【0044】
メモリ/設定回路80は、原点検出信号の発生位置に対する原点信号の位置を外部から自在に指定して記憶する。Z信号出力回路82(出力回路)は、内部周期カウンタ58から出力される計数による位置がメモリ/設定回路80で指定される位置とされた状態で原点信号を出力する。
【0045】
次に、図6に示すインクリメンタル信号処理部42の動作について概略を説明する。
【0046】
点光源24より照射された光は、図7に示す如く、インクリメンタルトラック11の反射型格子12で回折され、検出器20上で干渉縞を形成する。この干渉縞は、位相の異なる4つのインデックスパターン31a、31b、31ab、31bbを有するメイン受光部30a、30b、30ab、30bbで受光される。メイン受光部30a、30b、30ab、30bbからはそれぞれインクリメンタル信号が出力される。そして、各インクリメンタル信号に基づき、電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bb、増幅器46a、46ab、46b、46bb、3相信号生成部48、2相正弦波信号生成部50、そして利得調整部52A、52Bを経て、A相正弦波信号、B相正弦波信号がインクリメンタル信号処理部42から出力される。
【0047】
次に、原点信号処理部60の動作を、図8〜図12を参照して説明する。
【0048】
図8(a)に示すように、原点マーク14の相対移動(図ではCW方向)に対して、まずメイン受光部30a(a相)、30ab(ab相)での受光量が、原点マーク14による反射の影響を受けて変動する。それに伴い、周期信号Sa、Sabの信号レベルも変動する(図8(b)のP1部分)。しかし、受光量の変動があっても、既に説明したように、2相正弦波信号生成部50から出力されるベクトル信号A、Bでは、カウントエラーを生じない。なお、この現象は、図8(b)のP3、P5、P7部分も同様である。
【0049】
次に、メイン受光部30a(30ab)とメイン受光部30b(30bb)の間に配置されている原点信号受光部32z(32zb)の出力による電圧信号Sz(Szb)の信号レベルが、回折光量の一時的な低下により、変動する(図8(d)のP2部分)。なお、この現象は、図8(d)のP6部分も同様である。
【0050】
次に、原点マーク14が原点信号受光部32z、32zbと対向する位置に来ると、原点マーク14による反射光を原点信号受光部32z、32zbで直接的に受光する光量が増えていく。それに従って、原点信号受光部32z、32zbの出力による電圧信号Sz、Szbの信号レベルが増加し、最大値を取り、そして減少することとなる(図8(d)のP4部分)。そして、電圧信号Sz、Szbにより、差動Z信号が得られる。
【0051】
次に、差動Z信号の立下りエッジで原点検出信号を発生させ、内部周期カウンタ58をリセットする(図8(e)(e2))。なお、図8(d)に示す如く、原点マーク14の原点信号受光部32z、32zbと対向する位置の前後における変動(P2、P6部分)と該対向する位置における変動(P4部分)では、差動Z相信号のエッジ方向が異なる(前者が立上りエッジ、後者が立下がりエッジ)。このため、原点マーク14の位置に対応する原点検出が可能となる。
【0052】
ここで、原点マーク14による反射光を原点信号受光部32z、32zbで直接的に受光する様子(P4部分に該当)について、以下に詳細に説明する。
【0053】
まず、その際の配置を図9(a)、図9(b)に示す。ここで、符号15は原点マーク14による原点信号受光部32z、32zb上での反射光を示し、その幅は原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzとほぼ同一である。この原点信号受光部32z、32zbは、原点マーク14を検出した場合(反射光15が直接的に入射した場合)、概略的には図10に示すような電圧信号Sz、Szb、及び差動Z信号が出力される。なお、図10で示す位置関係はあくまでも原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzと原点マーク14による反射光15の幅と各信号の幅との関係をわかりやすく配置したもので、必ずしも実際の位置関係を示したものではない。なお、各原点信号受光部32z、32zbの出力による電圧信号Sz、Szbは原点マーク14以外からの回折光干渉成分の直流成分を含んでいる。ここで、図10はあくまでも概略的な信号を示したものであるので、より詳細な信号を図11に示し説明する。
【0054】
本実施形態において、原点マーク14に光が照射されると、光の回折が生じる。このため、原点マーク14の正反射の位置にあるときには、原点信号受光部32z、32zbが最大の光量を観測できるが、その正反射の位置の外側には光の回折によるサイドローブ光が存在する。即ち、図11(a)、図11(b)に示す如く、当該サイドローブ光によって、原点信号受光部32z、32zbの出力による電圧信号Sz、Szbもサイドローブ信号SLz、SLzbを備えることとなる。このため、このサイドローブ信号SLz、SLzbの影響により、図11(c)に示す如く、電圧信号Sz、Szbの差動Z信号を求めると、複数のゼロクロス点が生じる。
【0055】
このため、判定出力回路66では、原点マーク14で反射されることにより生じるサイドローブ光により原点信号受光部32z、32zbから出力される電圧信号Sz、Szbの信号レベルの最大値(サイドローブ信号SLz、SLzbの最大値Vt1、Vt2)を記憶器に記憶し、その最大値を規定値Vtとして設ける(なお、原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzが同一なのでVt1=Vt2となる)。
【0056】
そして、スケール10に対する検出器20の相対変位により先に規定値Vtよりも大きな電圧信号Szの信号レベルを出力する原点信号受光部32zにおいて、その出力による電圧信号Szが規定値Vtよりも大きな信号レベルとなる最初の位置x1を求める(図11(a))。そして、原点信号受光部32zbにおいて、その出力による電圧信号Szbが規定値Vtを超えてから規定値Vtよりも小さな信号レベルとなる最初の位置x2を求める(図11(b))。そして、図11(d)に示す如く、位置x1と位置x2の間に、原点検出の有効領域を設ける。
【0057】
一方で、原点信号受光部32z、32zbの出力による周期信号Sz、Szbを差動増幅して図11(c)に示す差動Z信号を得る。そして、原点検出の有効領域を、原点信号受光部32zbの出力による電圧信号Szbが差動Z信号の信号レベルよりも大となる範囲の位置x3から位置x2の間に制限する(図11(e))。
【0058】
そして、制限された原点検出の有効領域である位置x3から位置x2の間で、差動Z信号が比較器で方形波とされて出力される。即ち、図11(c)における差動信号のゼロクロスする位置x4〜x10のうち、位置x3から位置x2の間の位置x7でゼロクロス点の判定がなされる。ここまでが、判定出力回路66で行われる。
【0059】
そして、エッジ検出回路70とトリガ回路72とで、図11(f)に示す原点検出信号を発生させることとなる。
【0060】
このように、原点マーク14で反射されることにより生じる(光の回折の)サイドローブ光により原点信号受光部32z、32zbから出力される周期信号Sz、Szbの信号レベルの最大値を規定値Vtとして設け、いわばいずれかの原点信号受光部32z、32zbからの出力が規定値Vtよりも大きいことを条件に用いて原点検出の有効領域を定めている。そして、その有効領域内で原点検出信号を発生させるようにしている。なお、ここでの規定値Vtは、原点信号受光部32z、32zbで受光する受光量の変動に連動して変化するので、当該受光量の変動にロバストな原点検出の有効領域を定めることができる。このため、原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確に原点検出が可能である。
【0061】
又、原点検出の有効領域は、原点信号受光部32zbの出力が図11(c)に示す差動Z信号の信号レベルよりも大となる範囲の位置x3から位置x2の間に制限されているので、更に、確実に原点の誤検出を回避して、且つ、原点検出を迅速に行うことができる。
【0062】
以下、図8(e)から説明する。
【0063】
次に、前述した原点検出信号で、内部周期カウンタ58をリセットして、周期カウントを開始させる。そして、メモリ/設定回路80で設定した任意の位置(所望位置)で(エッジパルスより充分後のメイン受光部30a、30ab、30b、30bbの受光量変動が起きない位置が望ましい)、Z信号出力回路82から、周期カウントと同期して原点信号を出力する。これにより、任意の位置での原点信号の出力が可能となる。
【0064】
なお、ごみがスケール10上にあった場合には、差動Z相信号の増減方向が逆となるため、方向判別部56の機能により移動方向を判別して容易にごみの有無を識別することができる。
【0065】
本実施形態においては、更に、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路74と、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから内部周期カウンタ58に下位2ビットを加算する下位2ビット加算回路76と、を備えている。即ち、下位2ビット加算回路76は、内部周期カウンタ58の計数開始位置を変更することができる。このため、原点検出信号によるリセット位置の変動で生じうる周期飛びを防止して、原点信号の再現性を確保することができる。具体的に、図12を用いて説明する。
【0066】
図12(a)に示す如く、取付により検出器20がスケール10に対して傾いた場合、繰返し測定を行った際(図中で丸数字1,2,3で表記)に、カウンタ(1/4周期カウンタとした場合)の下位に2bitを加算して、半周期ずらすことができる。このため、2相方形波信号(図中では2相方形波で表記)のダウンエッジで内部周期カウンタ58で周期カウント開始することができて、原点信号の繰返し再現性を向上させることができる(図12(d)の場合)。理論的には、再現性<±1/2周期でも、原点信号(任意の位置)の再現性を確保できる。即ち、図12(c)に示すような周期カウントが跳んでしまうことを防止して、取付による原点検出の再現性の劣化を補償することで、原点信号の繰返し再現性を向上させることができる。なお、図12(b)は、検出器20が傾いていない場合を示している。
【0067】
なお、判定出力回路66に差動Z信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された差動Z信号の信号レベルと新たに得られる差動Z信号の信号レベルとを比較することで原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有することで、光源の劣化や表面の汚れ/酸化による反射率の変化にかかわらず、より高精度に原点を検出することもできる。
【0068】
即ち、本実施形態は、複雑な光学系を必要とせず、且つ新たに検出器やセンサを付加するのではなく、小規模な電気回路の付加で実現できるため、光電式エンコーダ1をコンパクト・低コストとしながら、正確な原点検出を可能としている。
【0069】
本発明について本実施形態を上げて説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことはいうまでもない。
【0070】
本実施形態においては、原点検出の有効領域を、更に、原点信号受光部32zbの出力による周期信号Szbを差動Z信号の信号レベルよりも大となる範囲として、2重に制限していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記制限を更に設ける必要もなく、2重の制限をするにしても原点信号受光部で受光する最大光量に対する割合(例えば半分など)などを実験から定めて用いてもよい。
【0071】
又、本実施形態においては、信号処理部40が原点検出信号でリセットされると共にスケール10に対する検出器20の相対変位で生じる反射型格子12による周期の数を計数する内部周期カウンタ58を備え、原点信号処理部60が、前記原点検出信号の発生位置に対する原点信号の位置を外部から指定して記憶するメモリ/設定回路80と、内部周期カウンタ58から出力される計数による位置がメモリ/設定回路80で指定される位置とされた状態で原点信号を出力する出力回路(Z信号出力回路82)と、を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、それらを備えずに原点検出信号が発生した段階で原点信号を出力するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、検出器20に、光照射部(点光源24)を中心としてその周囲に配置されると共に、光照射部から照射された光がスケール10の反射型格子12で回折されて形成された干渉縞を、測長方向に沿って配置されて90度位相差、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差の関係となっている4つの受光窓(インデックスパターン31a、31b、31ab、31bb)を介して受光し、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力するメイン受光部30a、30b、30ab、30bbを備え、1対の原点信号受光部32z、32zbを、更に、光照射部の位置を点対称の中心位置として測長方向に対して垂直方向に配置するようにしていたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0073】
又、本実施形態においては、更に、信号処理部40が、インクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成し、該2相方形波信号のエッジを検出する回路(インクリメンタル信号処理部42と方向判別部56)を備え、原点信号処理部60が、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路74と、該原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから内部周期カウンタ58の計数開始位置を変更する回路(下位2ビット加算回路76)と、を備えていたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0074】
又、本実施形態においては、原点信号処理部60が、更に、差動Z信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された該差動Z信号の信号レベルと新たに得られる前記差動Z信号の信号レベルとを比較することで原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有していたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0075】
又、本実施形態においては、光照射部を拡散光源とし、原点マーク14の幅W0を原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzの半分としたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0076】
又、本実施形態においては、検出器が光ファイバで検出されていたが、本発明の適用対象は、これに限定されず、例えば発光ダイオードとフォトダイオード又はフォトダイオードアレイ等を用いて検出器を構成することもできる。
【符号の説明】
【0077】
1…光電式エンコーダ
10…スケール
11…インクリメンタルトラック
12…反射型格子
14…原点マーク
15…原点マークの反射光
20…検出器
24…点光源
26…投光用光ファイバ
28…空間フィルタ
30a、30b、30ab、30bb…メイン受光部
32z、32zb…原点信号受光部
40…信号処理部
42…インクリメンタル信号処理部
48…3相信号生成部
50…2相正弦波信号生成部
56…方向判別部
58…内部周期カウンタ
60…原点信号処理部
66…判定出力回路
70…エッジ検出回路
72…トリガ回路
74…パルス間隔検出回路
76…下位2ビット加算回路
80…メモリ/設定回路
82…Z信号出力回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダに係り、特に原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確に原点検出が可能な光電式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダにおいて、小型の検出器構成で、且つ、原点検出機能を持たせるために、例えば、特許文献1に示すような構成が提案されている。それは、スケールのインクリメンタルトラック上に原点マークを施すものである。このため、特許文献1では、原点マークに照射された光をレンズなどの結像手段で、2分割されたセンサ上に結像させて、そのセンサの一方の出力を他方の出力から引き算する。そしてその引き算された信号(差分信号)において、ゼロクロスする位置を求めることで、特許文献1では原点検出が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−503745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、少なくとも結像手段が検出器に設けられることで、検出器が複雑化するおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1の原点検出に関する配置において、例えば結像手段を用いずに、原点マークで光を反射させてその光を直接的にセンサに入射させることも考えられる。しかし、原点マークは相応に小さく、このために光が原点マークに照射されると、光の回折がなされる。このため、当該センサには原点マークによる回折光が入射して、差動信号を得た際にゼロクロスする位置が複数個所で発生して原点を誤検出するおそれがある。
【0006】
本発明は、前記問題点を解消するべくなされたもので、検出器を複雑化することなく、原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確な原点検出を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダにおいて、前記スケールに設けられた、前記インクリメンタルトラックの少なくとも1箇所に形成された反射型の原点マークと、前記検出器に設けられた、前記インクリメンタルトラックに光を照射する光照射部、及び前記測長方向で該光照射部に対して対称に配置される1対の原点信号受光部と、前記原点マークで反射された光による該1対の原点信号受光部からの出力の差動信号を求めて該原点マークの位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する原点信号処理部を有する信号処理部と、を備え、前記原点信号処理部を、前記原点マークで反射されることにより生じるサイドローブ光により前記原点信号受光部から出力される信号レベルの最大値を規定値として設け、前記相対変位により先に該規定値よりも大きな信号レベルを出力する一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値よりも大きな信号レベルとなる最初の位置から、もう一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値を超えてから該規定値よりも小さな信号レベルとなる最初の位置の間に、原点検出の有効領域を設け、該有効領域内で前記原点検出信号を発生させる構成としたことにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
本願の請求項2に係る発明は、前記有効領域を、更に、前記もう一方の原点信号受光部の出力が前記差動信号の信号レベルよりも大となる範囲としたものである。
【0009】
本願の請求項3に係る発明は、更に、前記信号処理部が前記原点検出信号でリセットされると共に前記相対変位で生じる前記反射型格子による周期の数を計数する内部周期カウンタを備え、前記原点信号処理部が、前記原点検出信号の発生位置に対する前記原点信号の位置を外部から指定して記憶するメモリ/設定回路と、前記内部周期カウンタから出力される計数による位置が該メモリ/設定回路で指定される位置とされた状態で該原点信号を出力する出力回路と、を備えるようにしたものである。
【0010】
本願の請求項4に係る発明は、前記検出器に、前記光照射部を中心としてその周囲に配置されると共に、前記光照射部から照射された光が前記スケールの前記反射型格子で回折されて形成された干渉縞を、前記測長方向に沿って配置されて90度位相差、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差の関係となっている4つの受光窓を介して受光し、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力するメイン受光部を備え、前記1対の原点信号受光部を、更に、前記光照射部の位置を点対称の中心位置として前記測長方向に対して垂直方向に配置するようにしたものである。
【0011】
本願の請求項5に係る発明は、更に、前記信号処理部が、前記インクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成し、該2相方形波信号のエッジを検出する回路を備え、前記原点信号処理部が、前記原点検出信号と前記2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路と、該原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから前記内部周期カウンタの計数開始位置を変更する回路と、を備えるようにしたものである。
【0012】
本願の請求項6に係る発明は、前記原点信号処理部が、更に、前記差動信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された該差動信号の信号レベルと新たに得られる前記差動信号の信号レベルとを比較することで前記原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有するようにしたものである。
【0013】
本願の請求項7に係る発明は、前記光照射部を拡散光源とし、前記原点マークの幅を前記原点信号受光部の開口幅の半分としたものである。なお、ここでの原点信号受光部の開口幅の半分とは、厳密さを要求するものではなく、多少の違いがあってもよい。
【0014】
本願の請求項8に係る発明は、前記光照射部を、点光源又は空間フィルタを有する光源としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出器には原点検出のための結像手段が不要なので検出器も複雑にすることなく、小型とすることができる。
【0016】
また、原点マークで反射されることにより生じる(光の回折の)サイドローブ光により原点信号受光部から出力される信号レベルの最大値を規定値として設け、いわばいずれかの原点信号受光部からの出力が当該規定値よりも大きいことを条件に用いて原点検出の有効領域を定めている。そして、その有効領域内で原点検出信号を発生させるようにしている。このため、原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確に原点検出が可能である。
【0017】
即ち、本発明は、複雑な光学系を必要とせず、且つ新たに検出器やセンサを付加するのではなく、小規模な電気回路の付加で実現できるため、光電式エンコーダをコンパクト・低コストとしながら、正確な原点検出を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る光電式エンコーダの一例の概略を示す斜視図
【図2】同じく平面図
【図3】同じくスケールの斜視図
【図4】同じくスケールの例を示す断面図
【図5】同じく検出器の受光配置を示す平面図
【図6】同じく検出器に接続された信号処理部の構成を示すブロック図
【図7】同じくスケールと検出器とを示す斜視図
【図8】同じく原点検出の流れを示す図
【図9】同じく原点マークと検出器の関係を示す模式図
【図10】同じく原点検出の概略を示す模式図
【図11】同じく原点検出の詳細を示す模式図
【図12】同じく取付により検出器が傾いた場合の原点検出の流れの概略を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0020】
最初に、本発明の実施形態に係わる光電式エンコーダの構成について図1を用いて以下に説明する。
【0021】
本実施形態の光電式エンコーダ1は、図1に示す如く、スケール10と、スケール10に対して相対変位する検出器20と、を備えている。なお、検出器20には、図6に示す信号処理部40が接続されている。
【0022】
前記スケール10は、図3に詳細に示す如く、インクリメンタルトラック11を有する。そして、インクリメンタルトラック11には、測長方向に沿って等間隔に反射型の位相格子(反射型格子)12が形成されている。また、インクリメンタルトラック11の測長範囲外で検出器20により検出可能なインクリメンタルトラック11の端部に、反射型格子12と平行に反射型の原点マーク14が形成されている。原点マーク14は、例えば図4(a)に示す如く格子一体構造としたり、あるいは図4(b)に示す如くアドオン構造としたりすることができる。なお、原点マーク14の位置は、スケール10の端部の1箇所に限定されず、任意の位置に複数箇所設けることができる。
【0023】
前記検出器20は、図1に示す如く、例えば光ファイバケーブル22に設けられている。光ファイバケーブル22は、その中心に投光用光ファイバ26と、その周囲に6つの受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bb、29z、29zbと、を備える。即ち、受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bb、29z、29zbは、全て投光用光ファイバ26から等距離とされている。
【0024】
投光用光ファイバ26は、図1に示す如く、その端面に配設された空間フィルタ28及び他の端面に配設された図示せぬレーザ光源により、点光源24を構成している。即ち、本実施形態では点光源24が光照射部となり、点光源24が拡散光源として機能し、インクリメンタルトラック11に光を照射している。なお、光照射部は、空間フィルタを有さずに点光源とされていてもよいし、点光源ではなく単に拡散光源であってもよいし、若しくは拡散光源でなくてもよい。
【0025】
光ファイバケーブル22の受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bbの端面(空間フィルタ28の配設された投光用光ファイバ26と同じ端面側)には、図5に詳細に示す如く、点光源24の位置を中心としてその周囲に配置されると共に、測長方向に沿って配置されて90度位相差(位相0°のa相と位相90°のb相、位相180°のab相と位相270°のbb相)、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差(位相0°のa相と位相180°のab相、位相90°のb相と位相270°のbb相)の関係となっているインデックスパターン31a、31b、31ab、31bbが受光窓として配設されている。即ち、インデックスパターン31a、31b、31ab、31bbは、いわば田型に配設されている。このため、受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bbは、点光源24から照射された光がスケール10の反射型格子12で回折されて形成された干渉縞を、前記4つの受光窓を介して受光している。そして、インデックスパターン31a、31b、31ab、31bbが設けられていない受光用光ファイバ29a、29b、29ab、29bbの他の端面に図示せぬ光検出器が配置されることで、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbがそれぞれ構成されている。このため、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbは、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力することができる。
【0026】
光ファイバケーブル22の受光用光ファイバ29z、29zbの端面(空間フィルタ28の配設された投光用光ファイバ26と同じ端面側)には、図2に示す如く、点光源24の位置を点対称の中心位置として測長方向に対して垂直方向、即ち原点マーク14の長手方向に受光用差動スリット33z、33zbが配設されている。更に、受光用差動スリット33z、33zbは、測長方向で点光源24に対して対称に配置されている。そして、受光用差動スリット33z、33zbが設けられていない受光用光ファイバ29z、29zbの他の端面に図示せぬ光検出器が配置されることで、1対の原点信号受光部32z(z相)、32zb(zb相)がそれぞれ構成されている。なお、原点信号受光部32z、32zbは、図5に示す如く、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbを測長方向に対して垂直な方向で挟み込むように外側に配置されている。このため、点光源24を中心に回転して検出器20が取り付けられても、原点信号受光部32z、32zbで受光される光量は等しくでき、且つ原点検出位置の位置ずれを最小限に抑えることができる(例えば図12(a))。
【0027】
このように、検出器20には、原点検出のための結像手段が不要なので、検出器20も複雑にすることなく、小型とすることができる。
【0028】
ここで、反射型格子12で生じるインクリメンタル信号を出力するメイン受光部30a、30b、30ab、30bbの測長方向幅をWd、原点信号受光部32z、32zbの開口幅(受光用差動スリット33z、33zbの幅)をWzとする。すると、本実施形態では、原点マーク14の幅W0は、次の式(1)、式(2)の条件を満たしている。
【0029】
(1/4)Wd>W0 …(1)
【0030】
原点マーク14を照射するのは点光源24(拡散光源)であり、図1、図7(b)に示す如く、点光源24及びインデックスパターン31a、31b、31ab、31bbの原点マーク14からの距離は同じである。即ち、本実施形態では、インデックスパターン31a、31b、31ab、31bb上で原点マーク14の反射光の幅は、幅W0のほぼ2倍となる。しかし、式(1)を満たしているので、原点マーク14の反射光の領域を検出器20が通過した時であっても、インクリメンタル信号のためのメイン受光部30a、30b、30ab、30bbの測長方向幅は最低でも(1/2)Wd確保することができる。即ち、式(1)を満たしていることで、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbからエラーを起こさずに安定したインクリメンタル信号を得ることができる。
【0031】
(1/2)Wz≒W0 …(2)
【0032】
前述の如く、本実施形態では、受光用差動スリット33z、33zb上の原点マーク14の反射光の幅は、原点マーク14の幅W0のほぼ2倍となる。即ち、式(2)を満たすことで、原点マーク14の反射光の幅は、原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzとほぼ等しくなる。つまり、原点マーク14の反射光の領域を検出器20が通過すると、原点信号受光部32z、32zbで受光される受光量を最大限に変化させることができる。このため、アライメント調整が容易となる。また、検出器20のスケール10に対する高さが変化しても原点信号受光部32z、32zbで受光される光量はほぼ同じなので、比較的検出器20のスケール10に対する高さ変動の許容範囲を広くすることが可能である。
【0033】
なお、原点マーク14による反射光の幅は、後述するように光の回折の影響を受ける。このせいもあり、本実施形態では原点マーク14による反射光の幅に厳密さを要求していない。原点マーク14の幅W0は、反射型格子12の周期より十分大きい(例えば5〜10倍)ことが望ましい。
【0034】
前記信号処理部40は、図6に示す如く、インクリメンタル信号処理部42と、方向判別部56と、内部Up/Downカウンタ(内部周期カウンタ)58と、原点信号処理部60と、を有している。インクリメンタル信号処理部42は、メイン受光部30a、30ab、30b、30bbの出力であるインクリメンタル信号を、ラテラル差動ベクトル合成により処理する。方向判別部56は、後述するA相方形波信号とB相方形波信号(2相方形波信号)のエッジを検出し、スケール10に対して相対変位する検出器20の方向を判別する。内部周期カウンタ58は、前記相対変位で生じる反射型格子12による周期の数を計数する。原点信号処理部60は、原点マーク14で反射された光による1対の原点信号受光部32z、32zbからの出力の差動Z信号(差動信号)を求めて原点マーク14の位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する。以下、各構成について説明する。
【0035】
前記インクリメンタル信号処理部42は、図6に示す如く、電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bbと、増幅器46a、46ab、46b、46bbと、3相信号生成部48と、2相正弦波信号生成部50と、利得調整部52A、52Bと、比較器54A、54Bと、を有する。
【0036】
電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bbはそれぞれ、検出器20のメイン受光部30a、30b、30ab、30bbに接続されている。そして、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbからのインクリメンタル信号(出力)が電圧信号(周期信号Sa、Sab、Sb、Sbb)に変換される。電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bbは、増幅器46a、46ab、46b、46bbを介して、3つの差動増幅器48A、48B、48Cでなる3相信号生成部48に接続されている。即ち、周期信号Sa、Sab、Sb、Sbbは、3相信号生成部48により3つの差動信号Dsa、Dsb、Dscに生成される。3相信号生成部48は、2つのベクトル合成差動増幅器50A、50Bでなる2相正弦波信号生成部50に接続されている。即ち、3つの差動信号Dsa、Dsb、Dscは、2つのベクトル信号A、Bに合成される。2相正弦波信号生成部50は、利得調整部52A、52Bに接続され、2つのベクトル信号A、Bはそれぞれ、A相正弦波信号、B相正弦波信号として出力される。
【0037】
一方で、2相正弦波信号生成部50は、比較器54A、54Bに接続され、2つのベクトル信号A、Bはそれぞれ、A相方形波信号、B相方形波信号(2相方形波信号)として出力される。このため、インクリメンタル信号処理部42は、メイン受光部30a、30b、30ab、30bbのインクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成する回路とも言える。
【0038】
前記原点信号処理部60は、電流−電圧変換器62z、62zbと、増幅器64z、64zbと、判定出力回路66と、エッジ検出回路70と、トリガ回路72と、パルス間隔検出回路74と、下位2ビット加算回路76と、メモリ/設定回路80と、Z信号出力回路82と、を有している。
【0039】
電流−電圧変換器62z、62zbはそれぞれ、検出器20の原点信号受光部32z、32zbに接続されている。そして、原点信号受光部32z、32zbからの出力は電圧信号Sz、Szbに変換される。電流−電圧変換器62z、62zbは、増幅器64z、64zbを介して、判定出力回路66に接続されている。
【0040】
判定出力回路66は、例えば、図示せぬ、記憶器と差動増幅器と論理回路と比較器とを有する。記憶器は、増幅器64z、64zbの出力を記憶する。差動増幅器は、当該出力を差動増幅してゼロクロスする差動Z信号を生成する。論理回路は、増幅器64z、64zbの出力と、前記記憶器に記憶した信号レベル及び差動Z信号の信号レベルとの比較を行い原点検出の有効領域を判定する。比較器は、その有効領域の判定された範囲で、閾値を発生させてその閾値で当該差動Z信号を方形波となして出力する。
【0041】
エッジ検出回路70は、判定出力回路66から出力された方形波のエッジを検出する。トリガ回路72は、エッジ検出回路70の出力に基づいて、内部周期カウンタ58の計数を開始するためのトリガ信号である原点検出信号を発生させる。即ち、原点検出信号は、内部周期カウンタ58をリセットすることができる。
【0042】
このように、判定出力回路66とエッジ検出回路70とトリガ回路72とにより、原点検出の有効領域を設け、その有効領域内で原点検出信号を発生させることができる。
【0043】
トリガ回路72は、パルス間隔検出回路74にも接続されている。パルス間隔検出回路74は、トリガ回路72による原点検出信号と、方向判別部56による2相方形波信号のエッジ間隔とを検出する。パルス間隔検出回路74には下位2ビット加算回路76が接続され、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから、内部周期カウンタ58に下位2ビットを付加する。即ち、下位ビット2ビット加算回路76は、原点検出信号と2相方形波信号の間隔とから内部周期カウンタ58の計数開始位置を変更することができる。
【0044】
メモリ/設定回路80は、原点検出信号の発生位置に対する原点信号の位置を外部から自在に指定して記憶する。Z信号出力回路82(出力回路)は、内部周期カウンタ58から出力される計数による位置がメモリ/設定回路80で指定される位置とされた状態で原点信号を出力する。
【0045】
次に、図6に示すインクリメンタル信号処理部42の動作について概略を説明する。
【0046】
点光源24より照射された光は、図7に示す如く、インクリメンタルトラック11の反射型格子12で回折され、検出器20上で干渉縞を形成する。この干渉縞は、位相の異なる4つのインデックスパターン31a、31b、31ab、31bbを有するメイン受光部30a、30b、30ab、30bbで受光される。メイン受光部30a、30b、30ab、30bbからはそれぞれインクリメンタル信号が出力される。そして、各インクリメンタル信号に基づき、電流−電圧変換器44a、44ab、44b、44bb、増幅器46a、46ab、46b、46bb、3相信号生成部48、2相正弦波信号生成部50、そして利得調整部52A、52Bを経て、A相正弦波信号、B相正弦波信号がインクリメンタル信号処理部42から出力される。
【0047】
次に、原点信号処理部60の動作を、図8〜図12を参照して説明する。
【0048】
図8(a)に示すように、原点マーク14の相対移動(図ではCW方向)に対して、まずメイン受光部30a(a相)、30ab(ab相)での受光量が、原点マーク14による反射の影響を受けて変動する。それに伴い、周期信号Sa、Sabの信号レベルも変動する(図8(b)のP1部分)。しかし、受光量の変動があっても、既に説明したように、2相正弦波信号生成部50から出力されるベクトル信号A、Bでは、カウントエラーを生じない。なお、この現象は、図8(b)のP3、P5、P7部分も同様である。
【0049】
次に、メイン受光部30a(30ab)とメイン受光部30b(30bb)の間に配置されている原点信号受光部32z(32zb)の出力による電圧信号Sz(Szb)の信号レベルが、回折光量の一時的な低下により、変動する(図8(d)のP2部分)。なお、この現象は、図8(d)のP6部分も同様である。
【0050】
次に、原点マーク14が原点信号受光部32z、32zbと対向する位置に来ると、原点マーク14による反射光を原点信号受光部32z、32zbで直接的に受光する光量が増えていく。それに従って、原点信号受光部32z、32zbの出力による電圧信号Sz、Szbの信号レベルが増加し、最大値を取り、そして減少することとなる(図8(d)のP4部分)。そして、電圧信号Sz、Szbにより、差動Z信号が得られる。
【0051】
次に、差動Z信号の立下りエッジで原点検出信号を発生させ、内部周期カウンタ58をリセットする(図8(e)(e2))。なお、図8(d)に示す如く、原点マーク14の原点信号受光部32z、32zbと対向する位置の前後における変動(P2、P6部分)と該対向する位置における変動(P4部分)では、差動Z相信号のエッジ方向が異なる(前者が立上りエッジ、後者が立下がりエッジ)。このため、原点マーク14の位置に対応する原点検出が可能となる。
【0052】
ここで、原点マーク14による反射光を原点信号受光部32z、32zbで直接的に受光する様子(P4部分に該当)について、以下に詳細に説明する。
【0053】
まず、その際の配置を図9(a)、図9(b)に示す。ここで、符号15は原点マーク14による原点信号受光部32z、32zb上での反射光を示し、その幅は原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzとほぼ同一である。この原点信号受光部32z、32zbは、原点マーク14を検出した場合(反射光15が直接的に入射した場合)、概略的には図10に示すような電圧信号Sz、Szb、及び差動Z信号が出力される。なお、図10で示す位置関係はあくまでも原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzと原点マーク14による反射光15の幅と各信号の幅との関係をわかりやすく配置したもので、必ずしも実際の位置関係を示したものではない。なお、各原点信号受光部32z、32zbの出力による電圧信号Sz、Szbは原点マーク14以外からの回折光干渉成分の直流成分を含んでいる。ここで、図10はあくまでも概略的な信号を示したものであるので、より詳細な信号を図11に示し説明する。
【0054】
本実施形態において、原点マーク14に光が照射されると、光の回折が生じる。このため、原点マーク14の正反射の位置にあるときには、原点信号受光部32z、32zbが最大の光量を観測できるが、その正反射の位置の外側には光の回折によるサイドローブ光が存在する。即ち、図11(a)、図11(b)に示す如く、当該サイドローブ光によって、原点信号受光部32z、32zbの出力による電圧信号Sz、Szbもサイドローブ信号SLz、SLzbを備えることとなる。このため、このサイドローブ信号SLz、SLzbの影響により、図11(c)に示す如く、電圧信号Sz、Szbの差動Z信号を求めると、複数のゼロクロス点が生じる。
【0055】
このため、判定出力回路66では、原点マーク14で反射されることにより生じるサイドローブ光により原点信号受光部32z、32zbから出力される電圧信号Sz、Szbの信号レベルの最大値(サイドローブ信号SLz、SLzbの最大値Vt1、Vt2)を記憶器に記憶し、その最大値を規定値Vtとして設ける(なお、原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzが同一なのでVt1=Vt2となる)。
【0056】
そして、スケール10に対する検出器20の相対変位により先に規定値Vtよりも大きな電圧信号Szの信号レベルを出力する原点信号受光部32zにおいて、その出力による電圧信号Szが規定値Vtよりも大きな信号レベルとなる最初の位置x1を求める(図11(a))。そして、原点信号受光部32zbにおいて、その出力による電圧信号Szbが規定値Vtを超えてから規定値Vtよりも小さな信号レベルとなる最初の位置x2を求める(図11(b))。そして、図11(d)に示す如く、位置x1と位置x2の間に、原点検出の有効領域を設ける。
【0057】
一方で、原点信号受光部32z、32zbの出力による周期信号Sz、Szbを差動増幅して図11(c)に示す差動Z信号を得る。そして、原点検出の有効領域を、原点信号受光部32zbの出力による電圧信号Szbが差動Z信号の信号レベルよりも大となる範囲の位置x3から位置x2の間に制限する(図11(e))。
【0058】
そして、制限された原点検出の有効領域である位置x3から位置x2の間で、差動Z信号が比較器で方形波とされて出力される。即ち、図11(c)における差動信号のゼロクロスする位置x4〜x10のうち、位置x3から位置x2の間の位置x7でゼロクロス点の判定がなされる。ここまでが、判定出力回路66で行われる。
【0059】
そして、エッジ検出回路70とトリガ回路72とで、図11(f)に示す原点検出信号を発生させることとなる。
【0060】
このように、原点マーク14で反射されることにより生じる(光の回折の)サイドローブ光により原点信号受光部32z、32zbから出力される周期信号Sz、Szbの信号レベルの最大値を規定値Vtとして設け、いわばいずれかの原点信号受光部32z、32zbからの出力が規定値Vtよりも大きいことを条件に用いて原点検出の有効領域を定めている。そして、その有効領域内で原点検出信号を発生させるようにしている。なお、ここでの規定値Vtは、原点信号受光部32z、32zbで受光する受光量の変動に連動して変化するので、当該受光量の変動にロバストな原点検出の有効領域を定めることができる。このため、原点マークでの光の回折による原点の誤検出を回避して正確に原点検出が可能である。
【0061】
又、原点検出の有効領域は、原点信号受光部32zbの出力が図11(c)に示す差動Z信号の信号レベルよりも大となる範囲の位置x3から位置x2の間に制限されているので、更に、確実に原点の誤検出を回避して、且つ、原点検出を迅速に行うことができる。
【0062】
以下、図8(e)から説明する。
【0063】
次に、前述した原点検出信号で、内部周期カウンタ58をリセットして、周期カウントを開始させる。そして、メモリ/設定回路80で設定した任意の位置(所望位置)で(エッジパルスより充分後のメイン受光部30a、30ab、30b、30bbの受光量変動が起きない位置が望ましい)、Z信号出力回路82から、周期カウントと同期して原点信号を出力する。これにより、任意の位置での原点信号の出力が可能となる。
【0064】
なお、ごみがスケール10上にあった場合には、差動Z相信号の増減方向が逆となるため、方向判別部56の機能により移動方向を判別して容易にごみの有無を識別することができる。
【0065】
本実施形態においては、更に、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路74と、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから内部周期カウンタ58に下位2ビットを加算する下位2ビット加算回路76と、を備えている。即ち、下位2ビット加算回路76は、内部周期カウンタ58の計数開始位置を変更することができる。このため、原点検出信号によるリセット位置の変動で生じうる周期飛びを防止して、原点信号の再現性を確保することができる。具体的に、図12を用いて説明する。
【0066】
図12(a)に示す如く、取付により検出器20がスケール10に対して傾いた場合、繰返し測定を行った際(図中で丸数字1,2,3で表記)に、カウンタ(1/4周期カウンタとした場合)の下位に2bitを加算して、半周期ずらすことができる。このため、2相方形波信号(図中では2相方形波で表記)のダウンエッジで内部周期カウンタ58で周期カウント開始することができて、原点信号の繰返し再現性を向上させることができる(図12(d)の場合)。理論的には、再現性<±1/2周期でも、原点信号(任意の位置)の再現性を確保できる。即ち、図12(c)に示すような周期カウントが跳んでしまうことを防止して、取付による原点検出の再現性の劣化を補償することで、原点信号の繰返し再現性を向上させることができる。なお、図12(b)は、検出器20が傾いていない場合を示している。
【0067】
なお、判定出力回路66に差動Z信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された差動Z信号の信号レベルと新たに得られる差動Z信号の信号レベルとを比較することで原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有することで、光源の劣化や表面の汚れ/酸化による反射率の変化にかかわらず、より高精度に原点を検出することもできる。
【0068】
即ち、本実施形態は、複雑な光学系を必要とせず、且つ新たに検出器やセンサを付加するのではなく、小規模な電気回路の付加で実現できるため、光電式エンコーダ1をコンパクト・低コストとしながら、正確な原点検出を可能としている。
【0069】
本発明について本実施形態を上げて説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことはいうまでもない。
【0070】
本実施形態においては、原点検出の有効領域を、更に、原点信号受光部32zbの出力による周期信号Szbを差動Z信号の信号レベルよりも大となる範囲として、2重に制限していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記制限を更に設ける必要もなく、2重の制限をするにしても原点信号受光部で受光する最大光量に対する割合(例えば半分など)などを実験から定めて用いてもよい。
【0071】
又、本実施形態においては、信号処理部40が原点検出信号でリセットされると共にスケール10に対する検出器20の相対変位で生じる反射型格子12による周期の数を計数する内部周期カウンタ58を備え、原点信号処理部60が、前記原点検出信号の発生位置に対する原点信号の位置を外部から指定して記憶するメモリ/設定回路80と、内部周期カウンタ58から出力される計数による位置がメモリ/設定回路80で指定される位置とされた状態で原点信号を出力する出力回路(Z信号出力回路82)と、を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、それらを備えずに原点検出信号が発生した段階で原点信号を出力するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、検出器20に、光照射部(点光源24)を中心としてその周囲に配置されると共に、光照射部から照射された光がスケール10の反射型格子12で回折されて形成された干渉縞を、測長方向に沿って配置されて90度位相差、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差の関係となっている4つの受光窓(インデックスパターン31a、31b、31ab、31bb)を介して受光し、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力するメイン受光部30a、30b、30ab、30bbを備え、1対の原点信号受光部32z、32zbを、更に、光照射部の位置を点対称の中心位置として測長方向に対して垂直方向に配置するようにしていたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0073】
又、本実施形態においては、更に、信号処理部40が、インクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成し、該2相方形波信号のエッジを検出する回路(インクリメンタル信号処理部42と方向判別部56)を備え、原点信号処理部60が、原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路74と、該原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから内部周期カウンタ58の計数開始位置を変更する回路(下位2ビット加算回路76)と、を備えていたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0074】
又、本実施形態においては、原点信号処理部60が、更に、差動Z信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された該差動Z信号の信号レベルと新たに得られる前記差動Z信号の信号レベルとを比較することで原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有していたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0075】
又、本実施形態においては、光照射部を拡散光源とし、原点マーク14の幅W0を原点信号受光部32z、32zbの開口幅Wzの半分としたが、本発明はこれに限定されずに、これらを必須構成とはしない。
【0076】
又、本実施形態においては、検出器が光ファイバで検出されていたが、本発明の適用対象は、これに限定されず、例えば発光ダイオードとフォトダイオード又はフォトダイオードアレイ等を用いて検出器を構成することもできる。
【符号の説明】
【0077】
1…光電式エンコーダ
10…スケール
11…インクリメンタルトラック
12…反射型格子
14…原点マーク
15…原点マークの反射光
20…検出器
24…点光源
26…投光用光ファイバ
28…空間フィルタ
30a、30b、30ab、30bb…メイン受光部
32z、32zb…原点信号受光部
40…信号処理部
42…インクリメンタル信号処理部
48…3相信号生成部
50…2相正弦波信号生成部
56…方向判別部
58…内部周期カウンタ
60…原点信号処理部
66…判定出力回路
70…エッジ検出回路
72…トリガ回路
74…パルス間隔検出回路
76…下位2ビット加算回路
80…メモリ/設定回路
82…Z信号出力回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダにおいて、
前記スケールに設けられた、前記インクリメンタルトラックの少なくとも1箇所に形成された反射型の原点マークと、
前記検出器に設けられた、前記インクリメンタルトラックに光を照射する光照射部、及び前記測長方向で該光照射部に対して対称に配置される1対の原点信号受光部と、
前記原点マークで反射された光による該1対の原点信号受光部からの出力の差動信号を求めて該原点マークの位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する原点信号処理部を有する信号処理部と、を備え、
前記原点信号処理部は、前記原点マークで反射されることにより生じるサイドローブ光により前記原点信号受光部から出力される信号レベルの最大値を規定値として設け、前記相対変位により先に該規定値よりも大きな信号レベルを出力する一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値よりも大きな信号レベルとなる最初の位置から、もう一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値を超えてから該規定値よりも小さな信号レベルとなる最初の位置の間に、原点検出の有効領域を設け、該有効領域内で前記原点検出信号を発生させる構成とされていることを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項2】
前記有効領域は、更に、前記もう一方の原点信号受光部の出力が前記差動信号の信号レベルよりも大となる範囲とされていることを特徴とする請求項1に記載の光電式エンコーダ。
【請求項3】
更に、前記信号処理部は前記原点検出信号でリセットされると共に前記相対変位で生じる前記反射型格子による周期の数を計数する内部周期カウンタを備え、
前記原点信号処理部は、前記原点検出信号の発生位置に対する前記原点信号の位置を外部から指定して記憶するメモリ/設定回路と、前記内部周期カウンタから出力される計数による位置が該メモリ/設定回路で指定される位置とされた状態で該原点信号を出力する出力回路と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電式エンコーダ。
【請求項4】
前記検出器に、前記光照射部の位置を中心としてその周囲に配置されると共に、前記光照射部から照射された光が前記スケールの前記反射型格子で回折されて形成された干渉縞を、前記測長方向に沿って配置されて90度位相差、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差の関係となっている4つの受光窓を介して受光し、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力するメイン受光部を備え、
前記1対の原点信号受光部は、更に、前記光照射部の位置を点対称の中心位置として前記測長方向に対して垂直方向に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光電式エンコーダ。
【請求項5】
更に、前記信号処理部は、前記インクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成し、該2相方形波信号のエッジを検出する回路を備え、
前記原点信号処理部は、前記原点検出信号と前記2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路と、該原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから前記内部周期カウンタの計数開始位置を変更する回路と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の光電式エンコーダ。
【請求項6】
前記原点信号処理部は、更に、前記差動信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された該差動信号の信号レベルと新たに得られる前記差動信号の信号レベルとを比較することで前記原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光電式エンコーダ。
【請求項7】
前記光照射部が拡散光源であり、前記原点マークの幅が前記原点信号受光部の開口幅の半分であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光電式エンコーダ。
【請求項8】
前記光照射部が、点光源又は空間フィルタを有する光源であることを特徴とする請求項7に記載の光電式エンコーダ。
【請求項1】
測長方向に沿って等間隔に反射型格子が形成されたインクリメンタルトラックを有するスケールと、該スケールに対して相対変位する検出器と、を備えた光電式エンコーダにおいて、
前記スケールに設けられた、前記インクリメンタルトラックの少なくとも1箇所に形成された反射型の原点マークと、
前記検出器に設けられた、前記インクリメンタルトラックに光を照射する光照射部、及び前記測長方向で該光照射部に対して対称に配置される1対の原点信号受光部と、
前記原点マークで反射された光による該1対の原点信号受光部からの出力の差動信号を求めて該原点マークの位置に対応する原点検出信号を発生させることで原点信号を出力する原点信号処理部を有する信号処理部と、を備え、
前記原点信号処理部は、前記原点マークで反射されることにより生じるサイドローブ光により前記原点信号受光部から出力される信号レベルの最大値を規定値として設け、前記相対変位により先に該規定値よりも大きな信号レベルを出力する一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値よりも大きな信号レベルとなる最初の位置から、もう一方の前記原点信号受光部の出力が該規定値を超えてから該規定値よりも小さな信号レベルとなる最初の位置の間に、原点検出の有効領域を設け、該有効領域内で前記原点検出信号を発生させる構成とされていることを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項2】
前記有効領域は、更に、前記もう一方の原点信号受光部の出力が前記差動信号の信号レベルよりも大となる範囲とされていることを特徴とする請求項1に記載の光電式エンコーダ。
【請求項3】
更に、前記信号処理部は前記原点検出信号でリセットされると共に前記相対変位で生じる前記反射型格子による周期の数を計数する内部周期カウンタを備え、
前記原点信号処理部は、前記原点検出信号の発生位置に対する前記原点信号の位置を外部から指定して記憶するメモリ/設定回路と、前記内部周期カウンタから出力される計数による位置が該メモリ/設定回路で指定される位置とされた状態で該原点信号を出力する出力回路と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電式エンコーダ。
【請求項4】
前記検出器に、前記光照射部の位置を中心としてその周囲に配置されると共に、前記光照射部から照射された光が前記スケールの前記反射型格子で回折されて形成された干渉縞を、前記測長方向に沿って配置されて90度位相差、且つ、測長方向に対して垂直方向に沿って配置されて180度位相差の関係となっている4つの受光窓を介して受光し、位相の異なる4つのインクリメンタル信号を出力するメイン受光部を備え、
前記1対の原点信号受光部は、更に、前記光照射部の位置を点対称の中心位置として前記測長方向に対して垂直方向に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光電式エンコーダ。
【請求項5】
更に、前記信号処理部は、前記インクリメンタル信号に基づいて2相方形波信号を生成し、該2相方形波信号のエッジを検出する回路を備え、
前記原点信号処理部は、前記原点検出信号と前記2相方形波信号のエッジ間隔とを検出するパルス間隔検出回路と、該原点検出信号と2相方形波信号のエッジ間隔とから前記内部周期カウンタの計数開始位置を変更する回路と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の光電式エンコーダ。
【請求項6】
前記原点信号処理部は、更に、前記差動信号の信号レベルを記憶する回路と、記憶された該差動信号の信号レベルと新たに得られる前記差動信号の信号レベルとを比較することで前記原点検出信号の発生有無を決定する回路と、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光電式エンコーダ。
【請求項7】
前記光照射部が拡散光源であり、前記原点マークの幅が前記原点信号受光部の開口幅の半分であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光電式エンコーダ。
【請求項8】
前記光照射部が、点光源又は空間フィルタを有する光源であることを特徴とする請求項7に記載の光電式エンコーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−196780(P2011−196780A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62746(P2010−62746)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
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