説明

光電気化学システムおよびその方法

光により電解質を水素へ開裂するための光電気化学システムであって、電気的に接続された第1および第2のセルを備える光電気化学装置と、および、前記システムを通じて電解質を循環するための手段とを備え、前記第1のセルは、前記電解質と接触している時、光を吸収して、プロトンを発生するよう動作可能な光活性電極を含み、前記第2のセルは、光を吸収し、前記第1のセルが発生したプロトンを水素に還元するのを駆動するための電圧バイアスを発生するよう動作可能であり、前記水素は、前記電解質内に浸漬された第2の電極で発生するシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を照射したときに作動可能であり、電解質を開裂し、ガス状生成物を産生できる光電気化学システムに関し、ガス状生成物の内の一つ以上は燃料として用いることができるものである。本発明の他の実施の形態は、このシステムで用いるための光電気化学セル、およびそのセルのアレイに関する。
【0002】
ほとんどの場合、実用上の有効性を考えると、電解質は、電解質溶液(海水、または適切な電解質を加えた水等)であり、システムに光照射して電解質内の水を酸素、および水素に開裂させるよう動作させる(通常は、燃料として水素だけが収集される)。しかし、言うまでもなく、他の電解質を用いることもできるので、酸素以外のガスを発生させることもでき、本明細書における電解質溶液の電気分解への言及または実施例自体が、本発明の範囲を電解質溶液だけに限定すると解釈してはならない。
【0003】
本発明の目的に対しては、セルが光照射を受けた時に、水素の他にどのガスが発生するかは重要ではない。したがって、本出願の文脈では、用語「電解質」は、(最小限として)水素を含み、その結果、セルの作用を受けて水素を発生させることができる任意の溶液と解釈すべきである。
【背景技術】
【0004】
電解質の光電気分解により水素(および更に他のガス状生成物)を発生させることができるメカニズムは周知である。
【0005】
電解質溶液の水を開裂するための光電気化学システムの核となる構成体は、光電気化学セルであり、引用して本明細書にその内容を組み込む国際PCT特許出願第WO 01/02624号は、この方法での水素生成が実行可能な提案であることを少なくとも実験的に実証した、そのようなセル(口語では「タンデムセル」として周知である)の一つを開示している。
【0006】
上記PCT出願に詳細に記載されているように、タンデムセルは可視光を用いて、電解質溶液の水を水素と酸素に開裂し、一般的には、並列に電気接続した2つの光システムから成る。
【0007】
図1は、タンデムセルの図解である。図示のように、光はガラス板10を通って進み、水が光分解を受ける電解質溶液12を含む区画を経由して、セルの第1の光システムに入る。光は、電解質を横断し、半導体のWO電極の前面に作用する(電極は、ガラス板14、当該板の上に設けられる導電層16、および当該導電層上に形成されたWO薄膜18を備える)。WO薄膜は、太陽光の青と緑のスペクトル部分を吸収し、赤と黄色部分は、この例では、WO電極の背面に設けられるセルの第2の光システムに透過する。
【0008】
第2の光システムは、WO薄膜18から現れる電子の電気化学電位を増大させるよう動作可能な、光駆動電気バイアスとして機能する色素増感メソ多孔性のTiO薄膜20を含む。
【0009】
TiO薄膜20は、WO電極のガラス板14の背面に形成されている透明な導電体22上に形成され、その薄膜は、薄膜20と、透明な対向電極26との間に設けられる有機酸化還元電解質24と接触している。透明な対向電極26は、塗布した導電層により酸化還元電解質に面する側に導電性が与えられている。対向電極の背後には、ガラス板28により仕切られたチャンバ30が設けられ、チャンバ内には、(第1のセルに備えられたのと同じ組成の)電解質が供給され、その電解質は、ガラスフリット32、またはイオン導電膜により相互に流体連通している。
【0010】
タンデムセルに可視光を照射すると、セルの第1の光システムの3酸化タングステン薄膜は、電解質の水を開裂して酸素を発生するよう動作可能であり、セルの第2の光システムは、3酸化タングステン薄膜18からのプロトンを水素に還元するのを駆動する電圧バイアスを発生するよう動作可能であり、水素は、対向電極26の背後にあるチャンバ30に浸漬されているカソード34で発生する。発生した水素、およびオプションの酸素は、それぞれカソードおよびアノードで収集可能であり、そして、例えば、発電に用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
タンデムセルは、実験的な条件で十分に機能していると示されているが、(例えば、住宅据え付けに適したような)動作システムはまだ提案されていない。したがって、本発明の第1の目的は、水素発生の実用的な動作システムを提供することにある。
【0012】
本発明の別の態様は、入射光の、より広い電磁スペクトル部分を使用する編成を考案することに関する。タンデムセルでは、例えば、WO薄膜は、青と緑の光に応答し、TiO薄膜は赤と黄色の光に応答するが、入射する残りの電磁スペクトルは、ほとんど利用されない。入射太陽スペクトルの大部分をシステム内で利用できるように、これまで未使用であったこの太陽スペクトルの幾分かを利用できれば、大きな利点となるのは明らかである。したがって、本発明の更なる目的は、入射太陽スペクトルの大部分を使用するための手段を考案することにある。
【0013】
本発明の別の態様が関連するのは、タンデムセル自体は、研究室での実験に十分適合しているが(例えば、光で水を開裂する原理を証明すること)、実用的な動作システムの核となる構成体としては、特に適合しているわけではない、ということである。例えば、増感メソ多孔性のTiO薄膜が提供するバイアス電圧は、水の光電気分解を駆動するのに十分であるが、バイアス電圧を増大させることにより、更に効率的な水素生成を提供できる。(実用的な動作システムとして)何らかの改良が期待されるタンデムセルの他の局面は、セルの耐久性および生産コストである。したがって、本発明の更に別の目的は、これら不利な点の幾つかを軽減するセルを提供することにある。
【0014】
本発明の他の態様は、廃棄するしかないシステムの発生熱の利用および多様な用途に対して適切な圧力で水素を供給するための手段提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[本発明の説明]
本発明の第1の態様によれば、光により電解質を水素へ開裂するための光電気化学システムが提供され、そのシステムは、電気的に接続された第1、および第2のセルと;およびシステムを通じて電解質を循環するための手段を備え、前記第1のセルは、前記電解質と接触している時、光を吸収して、プロトンを発生するよう動作可能な光活性電極を含み、前記第2のセルは、光を吸収し、前記第1のセルが発生したプロトンを水素に還元するのを駆動するための電圧バイアスを発生するよう動作可能であり、前記水素は、前記電解質内に浸漬された第2の電極で発生する。
【0016】
本発明の別の実施の形態によれば、システムのための光電気化学装置が提供され、その装置は、電気的に接続された第1および第2のセルを備え、前記第1のセルは、前記電解質と接触している時、光を吸収して、プロトンを発生するよう動作可能な光活性の3酸化タングステン電極(または等価物)を含み、前記第2のセルは、光を吸収し、前記第1のセルが発生したプロトンを水素に還元するのを駆動するための電圧バイアスを発生するよう動作可能な光起電デバイスを備え、前記水素は、前記第2のセルに電気結合されるとともに、前記電解質内に浸漬された第2の電極で発生する。
【0017】
本発明の別の態様では、システムのための別の光電気化学装置を提供し、その装置は、電気的に接続された第1および第2のセルを備え、前記第2のセルは、第1および第2の導電層の間にカプセル化した光起電デバイスを備え、前記第1の導電層は、その他方の面に堆積した光活性の3酸化タングステン電極(または等価物)を有し、第2の導電層は、電極として、その上に堆積した導電薄膜を有し、3酸化タングステン層は、前記電解質と接触している時、光を吸収し、プロトンを発生するよう動作可能であり、前記光起電デバイスは、光を吸収し、前記3酸化タングステン電極が発生したプロトンを水素に還元するのを駆動するための電圧バイアスを発生するよう動作可能であり、前記水素は、前記第2の導電層上に堆積した電極を前記電解質内に浸漬した時、前記電極で発生する。
【0018】
本発明の更に別の態様は、光電気化学装置のリールツーリール連続製造方法に関し、その方法は、フレキシブルな光起電デバイスを、透明でフレキシブルな導電材料内にカプセル化するステップ、前記デバイス前面の材料の一面を、光活性半導体薄膜で被覆して第1の電極を形成するステップ、および前記デバイス背後の材料の他面を導電体で被覆して第2電極を形成するステップを含む。
【0019】
本発明のこれらの態様毎の好ましい特長を請求の範囲の請求項で説明する。本発明の更なる特長および利点は、明細書を通読すれば明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記説明のように、図1は、上述した、以前に提案されたタンデムセルの図である。この編成は、電解質の光電気分解による水素生成の実現性をもたらすのに著しく適しているが、市販製品としては余り適していない。その主たる理由は、色素増感メソ多孔性のセルが、かなり複雑な編成となり、必然的に製造費用が嵩んでしまう、という点にある。加えて、その薄膜が発生する電圧バイアスは、水素を発生させるのに十分であるが、更に水素を効率的に発生できるようにその電圧を増大すると、市販製品として更に良くなる。
【0021】
図2は、これらの問題を回避する方法をとるセルの概要図である。図1と図2のセルの主たる違いは、図2のセルの方の、上記の色素増感メソ多孔性のTiO薄膜20が、従来のシリコン光起電セル(または、半導体薄膜の透過光の特定波長に対する応答性により選択されるいくつかの他の光起電セル)等の、光起電セルに置換されているという点にある。このような編成は、バイアス電圧の増大(したがって、発生する水素の量が増大する)、耐久性向上をもたらし、製造費用が著しく低減する。
【0022】
当該技術で周知のように、単一の光起電セルは、n型シリコン層およびp型シリコン層を備え、両者の間にP−N接合を形成するよう境界を接している。電流は、光照射を受けるシリコンセルから、n型層に接する接触グリッドおよびp型層に接する導電性の背面板を用いて、抽出される。
【0023】
図2は、図1のセルで用いた色素増感メソ多孔性の2酸化チタン薄膜20の代わりに、光起電セル42(上記シリコン光起電セルの内の一つ等)を利用する光電気化学セル40を示す。図示のように、(図の)左のセルは、光分解を受ける電解質を含む区画44を備える。好適な編成では、電解質は、イオン導電性を与えるために電解質を加えた水または海水を含む。光は、セルの左側からガラス窓46を通って入る。次いで、光は、電解質を横断し、ガラス板48、導電層50、およびWO薄膜52を備えるWO電極の前面に当たる。WO薄膜52は、太陽光の青と緑のスペクトル部分を吸収し、赤と黄色部分は、この例では、WO電極の背面に設けられる光起電セル42を透過させる。
【0024】
図1の編成と同様に、第2の(光起電)セル42は、WO薄膜から現れる電子の電気化学電位を増大するよう動作可能な光駆動電気バイアスとして機能する。第2のセルの背後に、(第1のセルに備えられるのと同一組成の)電解質が内部に供給されるガラス板56で仕切られたチャンバ54が設けられ、2つの電解質は、ガラスフリット58、またはイオン導電性膜により、相互に流体連通している。
【0025】
図2に示されるように、酸素が第1のセル内の区画から発生し、水素が第2のセル背後に提供されるチャンバ54内に浸漬されたカソード60で発生するように、入射光を用いて電解質(好適な編成では電解質溶液)を開裂する。
【0026】
本編成は図1のものと比較すると、単一の光起電セルは、かなり複雑な色素増感メソ多孔性のセルより非常に廉価であり、直ちに入手できるし、光起電セルが提供するバイアス電圧の増大が水素発生を増大させるので、利点がある。
【0027】
図2の編成の潜在的な一つの欠点は、光起電セル42の背面が電解質と接触しているので、電解質は、光起電セルまたは実際にはその上に普通提供される電気接触を劣化させたり、損傷を与えたり、またはこれらと反応するような組成にはできない、ということである。この問題に対する簡単な一解決策は、光起電セルの背面部を、電解質に侵されない適切な材料で被覆することであろう。少し複雑な別の編成を図3に示す(別の理由で、図2に示す編成を超える利点がある)。
【0028】
図3は、水素を生じる電解質の光電気分解のためのセルアレイの(図4のB−B線に沿った)縦断面概要図である。図に見えるアレイの内の一つのセル70は、入射する太陽光への露出が増加するように、通常通りに傾斜して(例えば、屋根の上に取り付ける場合)示されている。一般に、アレイは、ガスを収集するためセル上部に集めるように、水平に対して少なくとも10°だけ傾斜させる必要がある。このアレイもまた、ガス収集および電解質循環を促進するために、左右に数度傾斜させる。
【0029】
この編成のセル70は、第1の導電層74と第2の導電層76との間に挟み込まれ、適切な封止材料77により上部および下部を電解質から封止された、例えば、アモルファスシリコンから成る、フレキシブルな光起電パネル72を備える。
【0030】
導電層74、76はそれぞれ、横方向に導電性があり(上記セルでは縦方向であったのと対照的に)、少なくとも第1の導電層は、少なくとも光起電パネルが応答する波長の光に対して透明である。このような層は、例えば、導電性ガラス、または更に好適には、電子産業で普通に用いられる種類の導電エポキシ接着剤(例えば、基板に半導体デバイスを取り付ける接着剤)を備えることができる。
【0031】
光活性薄膜78(例えば、上記したような3酸化タングステン薄膜、酸化鉄(III)薄膜、または幾つかの光活性がある他の半導体薄膜の内のどれか一つ、とすることができる)が、第1の層74の前面に堆積され、適切な導電層80(例えば、白金、白金めっきした導電材料等)が、第2の導電層76の下側(すなわち、パネル72に取り付けられる面と反対側)に堆積されてカソードを形成する。
【0032】
上記したセルと類似の方法で、セルに入射した光は、半導体薄膜78に当たり、ガス、例えば酸素が発生する。薄膜を通過する光は、導電層を横方向に通過し、フレキシブルな光起電パネルに当たる。照射されたパネルは、第1の層に堆積された光活性薄膜78から現れる電子の電気化学電位を増大するよう動作可能な光駆動電気バイアスとして働き、第2の導電層76の下側の上に形成された導電層により形成されたカソードに水素が発生する。
【0033】
図2の場合と比較した本編成の最も重要な利点は、各種の層のフレキシブルな性質がロールツーロールの生産プロセスを可能にするということである。これは、セルが非常に経済的に生産できるということを意味する。
【0034】
セルの構造的剛性を増大させるため、一つ以上の強化導電層を、例えば、堆積した光活性薄膜78と第1の導電層74との間に、または第1の導電層74とフレキシブルな光起電パネル72との間に含めることができる。
【0035】
極めて好適な編成では、強化導電層82(金属またはカーボンのシートまたは薄膜等)は、フレキシブルな光起電パネル72と第2の導電層76との間に提供され、この強化層は、セルの基部で(図示のように)延伸して、水素がセルの底部を廻り込み、セルの前面半分に生成されるガスと再結合するのを阻止するバッフルを提供できる。
【0036】
セルは、使用に際しては、筐体84(プレス鋼板の筐体等)に配置される。図3に示すように、両端において筐体により適切な弾力のあるガスケット86内で封止されるガラスの前面シートにより、筐体84を閉じてから、セルを電解質で満たす。
【0037】
極めて好適な本編成では、筐体84の上端は、内向きの段88を有する形状をし、段88の下側に対して、第2の導電層76は封止されている。この編成により、セルは、マニホールドとして効率的に機能して、水素、および、例えば酸素をそれぞれ出口90に導く。
【0038】
ガス出口90に加えて、筐体には、電解質入口92および電解質出口94も設けられ、セルを通して電解質を循環させる。
【0039】
図1、および図2に示すセルの特定の不利な一点は、カソードからアノード(すなわち、3酸化タングステン薄膜)への戻りのイオン通路がかなり長いということである。この問題を軽減するために、図3のセルに複数の貫通孔96を設けて、それにより、カソードとアノード間のセル内イオン導電通路の長さを短縮することを提案する。好適な編成では、セルの活性領域が減少しすぎないように、貫通孔は、比較的小さな直径とし、水素の気泡がカソードから出口に上昇する時に、セルの一側から他側に流れないように、カソードの高さレベルの下に延伸するシールド98により覆う。
【0040】
上記に簡単に説明したように、多数の光活性材料が、当該技術に精通する者には既知であり、これらの内の任意の材料を光活性薄膜として、上記説明のセル内で用いることができる。
【0041】
本発明者らの同時係属のUK特許出願第0405751.9号および第0408887.8(それぞれの内容を引用して本明細書に組み込む)のいずれかに記載した技法を利用して、光活性薄膜から達成可能な光電流に更に別の改良を提供できる場合もある。
【0042】
図4は、アレイの横方向の(図3のA−A線に沿う)断面概要図である。図示のように、本実施例では、アレイは、筐体84内に並置した3個の同一セルを備える。しかしながら、要求される出力に応じて、任意の数のセルを設けてもよい。
【0043】
上記説明のように、強化導電層82は、セルの基部で下向きに延伸し、バッフルを提供するのが好ましい。また、各セルの強化導電層82は(図4に示すように)横方向下向きに延伸して、カソード80の下に延伸する横方向スカート85であって、筐体84の基部と、その基部に形成される横向き凹部83の両端で接する横方向スカート85を、形成するのが好ましい(図3参照)。スカート85は、セルを筐体84から離間させるよう機能して、電解質が通して流れることができるチャンネル87を提供するとともに、カソードで形成される水素がセルの側面を回り込んで、アノードで形成される例えば酸素と、再結合するのを防ぐ。図示のスカート編成の利点は、イオン通路が、上記の凹部83によりカソードとアノード間で、依然としてセルの両側の周囲に拡がる(セルの下部に位置し、および貫通孔96を通るのは無論のこと)という点にある。
【0044】
図5は、上記説明のセルの何れかを利用するシステム100の概要図である。セル/アレイに入射する大部分の太陽エネルギを使用するのを主たる目的として設計されているシステムを、建物の屋根101上にある状態のまま示す。この目的のために、この後説明するような図5に示すシステムは、光電気化学セルの光照射を受けて発生する夥しい熱量(主としてスペクトルの赤外線成分による)の使用を提案する。
【0045】
図5に示すシステムの核となる構成体は、光電気化学装置102である。好適な編成では、光電気化学装置102は、図3および図4に示すような、セルのアレイを備える。しかしながら、言うまでもなく、代わりに単一セルを設けてもよく、または異なる種類のセルを含むアレイ(図1または図2のセル等)または異なる種類のセル(例えば、図1、図2、および図3に示すセルのどれか)の組合せも適している。
【0046】
各装置102には、電解質供給マニホールド106に結合された入口104が設けられる。電解質供給マニホールド106は、電解質容器108に結合され、特定の本実施例では、システム内の電解質は、容器108の上方に配置された電解質ヘッダータンク110により加圧される。電解質が電解質溶液の場合、ヘッダータンクは、水道水供給に結合され、システム内の水の流体損失が自動的に補給されるようフロートバルブ(例えば、トイレのタンクに設けられるタイプの)が設けられる。ヘッダータンクの編成を提供する利点は、タンクが電解質を加圧するだけでなく、タンクがシステム全体の電解質部分の過圧保護をするという点にある。
【0047】
電解質を循環させるために、各装置には、電解質戻りマニホールド114に結合される出口112が設けられ、次いで、この戻りマニホールドは、容器108に結合されており、電解質が装置102を通って循環すると、電解質が容器108に戻る。この編成には特に利点があり、電解質が、アノード、およびカソードを通って循環できるので、これによりガス発生が容易になる。
【0048】
装置102が光照射を受けて発生する水素は、後で使用するために水素出口116で収集される。電解質溶液では、アノードで発生したガス(酸素)は、前記装置を形成する各セル、または前記セルのアレイから大気に排出するだけでよい。代替として、前記ガスまたは、水素に加えて、発生するガスを収集する配管を更に設けることができる。
【0049】
本実施例では、装置の出口116毎に収集した水素は、水素化合物格納アレイ120に結合される水素マニホールド118に渡される。当該技術で周知の水素化合物格納アレイは、水素の格納、および個々に充填(すなわち、水素の格納)、放出(すなわち、水素を出力)するのに使用できる水素化合物パックの相互接続スタックを備える。
【0050】
電解質がシステムを通って循環する時に、電解質は入射する電磁放射(典型的には太陽光)により加熱され、電解質が光電気化学装置102から出て循環すると、この熱は、電解質容器に戻る。水素化合物格納アレイ120を、電解質容器108に近接して配置することにより、水素格納に好適になるように、アレイの温度を調整することが可能である。このようなアレイに対する市販データが示すところによれば、85℃の熱源(太陽光に曝された装置では普通に、かつ容易に達成可能である)は、格納のために7bargから250bargまで水素を圧縮できる。
【0051】
水素化合物アレイを、例えば、プロトン交換膜燃料電池システム等の、二次装置(不図示)に結合することができ、アレイに格納した水素を用いて、水素を放出させた時に燃料電池システムを駆動できる。
【0052】
図5に示すシステムの特定の利点は、ヘッダータンク110が、容器108の上方の比較的近い距離に配置されているので、システム内の電解質は1〜5poss(概ね0.07〜0.34bar)の領域にあるかなりの低圧であるに過ぎないことである。電解質のこのかなり低い圧力が意味することは、各装置102の前面にあるガラス板を極めて薄くでき(それにより、吸収光量が減少する)、電解質回路に簡単なプラスチック配管を用いることができる、ということである。
【0053】
水素を十分低圧で発生させて、配管を通る拡散が大きな問題にならないようにする場合、システムの水素部分の配管は廉価なプラスチックとすることができる。更に利点のある代替として、配管は、配管を通る水素の何らかの拡散を避けるために内面を金属化することができる。
【0054】
セル自体は、比較的軽量なので、プラスチック配管自体が、(例えば、建物の屋根の上に)光電気化学装置を取り付けるための構造フレームを構築できる。しかし、所望であれば、または便宜的に、別体の構造的支持フレームを設けることもできる。
【0055】
プラスチック配管を用いる場合、配管が光電気化学装置の背後に配置されるように、システムを構築するのが好適であり、それにより、紫外線光が原因となる劣化から保護される。
【0056】
極めて好適な編成では、光電気化学装置は、ワンタッチ分離型自己封止コネクタにより、水素および電解質の配管に取り付け、かつ封止する。このようなコネクタは園芸業者に広く用いられ、例えば、商標名「Hozelock」として普通に販売されている。この編成は、コネクタの自己封止の特長により、最初にシステム停止してシステムの残部を空にしなくても、光電気化学装置をシステムから取り外す(例えば、修理のため)ことができるので、特に利点がある。
【0057】
各光電気化学装置には、水素出口に流量計を含めて、装置が作動しているというユーザへの指示を提供してもよい。メーターは高価なものである必要はなく、何らかの種類の流量測定値を提供する必要もない。メーターは、水素が装置から流れているという指示を提供するだけで十分である。
【0058】
極めて好適な編成では、システムのユーザが、電解質の化学反応を制御して、システム性能を維持できるように、電解質をモニタする手段が設けられる。
【0059】
図6に概要図で示す代替の編成では、図5に示すシステムは、スターリングエンジン(または等価な装置)122により補完できる。
【0060】
スターリングエンジンは、当該技術では周知であるように、ガスを加熱、冷却してピストンを動かせる。極めて好適な編成では、スターリングエンジン122の「高温」側は、電解質容器に近接して編成でき(それにより、そこから熱が引き出される)、スターリングエンジンの「低温」側は、ヘッダータンクからの比較的低温の供給管に近接して編成できる。スターリングエンジンには、フライホイールが含まれるのが典型的であり、これは電気を発生するために発電機に結合される。
【0061】
図5に示す代替の編成では、電解質の容器は、例えば、熱交換器に、および家庭用温水、または暖房システムに結合される。このような編成では、比較的高温の電解質は、家庭システム内の水を直接加熱し、次いで、その高温の水は、例えば、洗濯または暖房用に後で使うために断熱容器に格納する。
【0062】
ヘッダータンクにより電解質を加圧するシステムの代替として、またはまさに追加の特長として、装置を通って熱交換器まで、電解質に自然な流れ(熱サイホン)をもたらすよう配管を編成し、冷却された電解質は装置に戻るようにできる。このような編成では、電解質は昼間はもとより、凍結防止のために夜間も循環するのが好ましく、そのためにポンプを用いることもできる。このような編成では、システム内の極端な高温、低温を避けて、それにより、より平坦な温度を維持でき、これにより、構成体の熱サイクルによる応力、および劣化が低減されるので有用である。
【0063】
図7および図8に概要図で示す別の編成では、アレイで発生した水素は、いわゆる熱水素化合物コンプレッサに出力され、比較的低圧のアレイ出力の圧力を、市販用途に、より適した点まで増大できる。
【0064】
熱水素化合物コンプレッサは、金属水素化合物が、所与の温度で、当該技術ではプラトー圧としても知られる平衡点を有する、という事実を利用する。所与の温度で、供給された水素の圧力が、水素が格納されるべき特定金属水素化合物の平衡圧力を超える場合、水素はその水素化合物に吸収される。他方、供給された水素の圧力が、特定金属水素化合物の平衡圧力未満の場合、水素化合物は、以前格納した水素を放出する。金属水素化合物に水素が吸収されるプロセスは、発熱を伴うものであり(すなわち、熱を放散する)、一方、金属水素化合物から水素を開放するプロセスは吸熱を伴うものである(すなわち、熱を奪う)。温度に対する感度と結合した反応の可逆的性質が意味することは、水素化合物に熱を加えたり、または熱を奪ったりすることにより、所与の水素化合物に充填、放出させることができる、ということであり、一連の水素化合物を相互に結合すれば、水素の圧力を著しく増大させることができる。図7は、水素/金属水素化合物の比の、平衡圧力に対する図式的プロットであり、とりわけ、所与の金属水素化合物に対して、平衡圧力が温度によりどのように変化するかを示す。
【0065】
図8は、2段の熱水素化合物コンプレッサについて図解し、一つの可能性のある実施形態を図示するものである。図示のように、本実施例では、コンプレッサ140は、2台の水素化合物格納キャニスタ142、144を備える。これらのキャニスタのうち第1は、第1の逆止バルブ「A」を経由して、水素源に結合され(例えば、マニホールド118)、第2の逆止バルブ「B」は、第1および第2のキャニスタ142および144の間に結合される。第2のキャニスタ144は、第4逆止バルブ「C」を経由して高圧水素出口に結合される。逆止バルブは単一のソレノイドバルブでもよい。
【0066】
多数の様々な水素化合物が、当該技術で周知であり、何れも本発明の本態様での使用に適している。基本組成に僅かな変更を加えることにより、一つの任意のハロゲン化物の特性を変更できる場合もある。好適な編成では、各キャニスタで用いられる水素化合物は互いに異なり、各段で異なる平衡圧力を提供する。
【0067】
以下説明するように、図8に示すシステムは、より高い水素の圧力パルスを出口でもたらすよう動作する。代替の構成では、2つの並列キャニスタバンクを備えてもよく、一方のバンクを加熱し(そのバンクのそれぞれのキャニスタから水素を放出するため)、他方のバンクを冷却する(そのバンクのそれぞれのキャニスタに水素を吸収するため)。このようなシステムでは、それぞれのバンクを交互に加熱および冷却することにより、高圧の水素の実質的に連続的な流れを出口で提供することが可能である。
【0068】
図示のように、キャニスタ142、144は、それぞれ冷却液回路148および加熱回路150に結合している。好適な実施の形態では、両回路は、流体、例えば水を循環させるためのものである。それぞれの回路を巡り、バルブ(例えば、ソレノイドバルブ)を通って、キャニスタに出入りする流体を圧送するためにポンプ(不図示)を設ける。当該技術に精通する者には明白であるが、バルブは、冷却液が加熱流体と混合するのを防ぐ。
【0069】
冷却液回路には、熱交換器(不図示)が含まれ、その交換器は、キャニスタから取り出した熱を電解質に移動するように、格納タンク110内に配置できる。同様に、加熱回路には、加熱した電解質が加熱回路を通過する流体を加熱できるように、電解質出口マニホールド114に近接して配置される熱交換器が含まれる。代替として、冷却液回路および加熱回路には、電気式の冷却器/加熱器を含めてもよい。
【0070】
コンプレッサは以下のように作動する。第1段階では、低温の流体がそれぞれのバルブを通ってキャニスタに供給される。水素は、入口バルブAを通って第1のキャニスタ142に供給され、そこで吸収されて熱を発生する。発生した熱は、金属水素化合物が飽和するまで吸収プロセスが連続可能となるように、冷却液によりキャニスタから搬出される。
【0071】
次に、冷却液バルブおよびバルブAが閉じられ、加熱バルブが開いて、加熱流体がキャニスタを通って循環する。加熱流体は、キャニスタを暖め、そこに閉じ込められた水素の圧力を増大させる。
【0072】
次いで、加熱バルブが閉じ、バルブBが開いて、(入口での圧力と比較して)比較的高圧の水素が、第1のキャニスタ142から、吸収されるために第2のキャニスタ144に流れる。第2のキャニスタ144内の金属水素化合物が飽和するまで吸収プロセスが連続するように、冷却液バルブを開けることによりキャニスタを冷却する。
【0073】
この時点で冷却液バルブを閉じ、加熱バルブを開いて、キャニスタを暖め、第2のキャニスタ144に格納された水素の圧力を増大させる。次いで、加熱流体が加熱回路を通る循環を継続している間に、バルブCを開いて、第1から第2のキャニスタに供給されたガスの圧力より高圧で、かつバルブAを通る供給圧力より高圧の水素ガスを出口で開放する。格納した水素ガスが第2のキャニスタから開放されたら、バルブCを閉じ、プロセスを繰り返す。
【0074】
当該技術に精通する者には分かることであるが、相互に結合した幾つかの不連続な水素化合物(および、好ましくは、各種の水素化合物材料からなる)キャニスタを設けることにより、システムからの水素出力の圧力を著しく高めることができる。
【0075】
上記より明らかなように、本発明の教示は、従来技術と関係付けられる問題を、回避または少なくとも軽減する効率的なメカニズムを提供する。
【0076】
同様に、明らかで、かつ注意すべきことは、各種の好ましい特長を上記に詳細に説明したが、本発明の範囲は、これらの特長に限定されず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、修正および変更等を本明細書で説明した編成に加えることができる。
【0077】
例えば、上記のセルは他のセルの前に設けた一つのセルという文脈で説明してきたが、当該技術に精通する者には明らかであるが、代替として、セルは並べて設けてもよい(それらの間の適切な電気接続を伴って)。このような編成では、セルの前面ガラスには、入射光の適切な波長を、2つのセルの何れかが応答できる波長に転換するよう動作可能な光装置を含めることができる。更に、3酸化タングステンおよび酸化鉄を、適切な光活性材料として本明細書では説明したが、それ以外の各種の光活性材料が当該技術では周知であり、その何れも本発明の教示に基づいて用いるのに適している。
【0078】
当該技術に精通する者には明らかであるが、例えば、電気コンプレッサをセルアレイから出力された水素を加圧すために設けることができる。
【0079】
注意すべき最後の点は、請求の範囲に記載のクレームにおいて特定の特長を重要であるとして明らかにしてきたが、本発明の範囲は、これらの特長に限定されず、または明示的に列挙した特定の特長の組合せにも当然限定されない。むしろ、本発明の範囲は、その組合せが請求の範囲に記載のクレームにおいて明示的に請求されているかどうかには関わりなく、本明細書で説明した特長の任意の組合せにまで拡張される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
本発明の様々な好適な実施の形態を、例示だけを目的として、添付図面を参照しつつ説明する。
【図1】図1は、上記PCT特許出願に開示されているようなタンデムセルの概要図である。
【図2】図2は、代替の光電気化学セルの概要図である。
【図3】図3は、光電気化学セルのアレイの(図4のB−B線に沿う)断面図の概要図である。
【図4】図4は、アレイの横方向の(図3のA−A線に沿う)断面概要図である。
【図5】図5は、光電気化学システムの図である。
【図6】図6は、別の光電気化学システムの図である。
【図7】図7は、水素/金属水素化合物の比の、平衡圧力に対する理想的プロットの概要図である。
【図8】図8は、水素化合物の圧力カスケードを利用して、水素供給圧力を増大させるシステムの概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光により電解質を水素へ開裂するための光電気化学システムであって:
電気的に接続された第1および第2のセルを備える光電気化学装置と;
前記システムを通じて電解質を循環するための手段とを備え;
前記第1のセルは、前記電解質と接触している時、光を吸収して、プロトンを発生するよう動作可能な光活性電極を含み、前記第2のセルは、光を吸収し、前記第1のセルが発生したプロトンを水素に還元するのを駆動するための電圧バイアスを発生するよう動作可能であり、前記水素は、前記電解質内に浸漬された第2の電極で発生する;
システム。
【請求項2】
前記光活性電極は、光活性半導体材料の薄膜を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光活性半導体材料は、3酸化タングステン(WO)または酸化鉄(III)を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のセルが、シリコン光起電セルのような光起電セルを備える請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記光起電セルがフレキシブルである請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記光起電セルが、第1の導電層および第2の導電層の間にカプセル化され、前記カプセル化により前記電解質との接触を回避する請求項4または請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の導電層は、少なくとも前記光起電セルが応答する光の波長に対し透明である請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記導電層は、導電エポキシから成る請求項6または請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記光活性電極が、前記第1の導電層上の薄膜として形成される請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記カソードが、前記第2の導電層の前記光起電セルと接触している側の反対側に形成した導電層を備える請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のセルが、有機酸化還元電解質と接触している色素増感メソ多孔性の2酸化チタン薄膜を備える請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記装置を配置するハウジングと、前記ハウジング内に設けられる電解質入口と、および電解質出口とを含む請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハウジングが、前記第2の電極で発生した水素のための出口を含む請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
水素が前記出口を通って前記装置から流れ出る場合、指示を提供するよう動作可能な手段を備える請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ハウジング内に配置した前記装置が、第2の電極で発生した水素のためのマニホールドとして作用して、前記水素を前記出口に導く請求項13または請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
電解質を循環するための前記手段が、入口マニホールドにより前記電解質入口に結合され、かつ出口マニホールドにより前記電解質出口に結合された電解質容器を備える請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記入口マニホールドおよび前記出口マニホールドは、ワンタッチ分離型自己封止コネクタにより前記ハウジングに結合される請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記容器の上方に配置され、前記容器と流体連通している電解質ヘッダータンクを備え、前記ヘッダータンク内の電解質は、前記容器内の電解質を加圧するとともに、前記装置を通るよう前記電解質を駆動するように働く請求項16または請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
水素出力手段に結合され、前記容器に近接して配置される水素化合物アレイを備え、前記装置から出力される水素で前記水素化合物スタックを充填するのを促進するために、前記電解質から抽出した熱を役立てる請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記水素化合物アレイが水素燃料電池システムに結合され、前記水素燃料電池システムが、前記水素燃料電池システムに入力される水素から電力を発生するよう動作可能な、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
高温側および低温側を有するスターリングエンジンを備え、前記エンジンは、前記高温側が前記容器に近接するように編成される請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記スターリングエンジンの前記低温側が、前記ヘッダータンクから前記容器への流体供給に近接している請求項18または請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記容器内の前記電解質から熱を引き出し、前記熱を家庭用温水、または暖房システムのような流体供給システムに供給するよう構成された熱交換器を備える請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記電解質が電解質溶液であり、前記光活性電極が前記電解質内の水を開裂して酸素を発生するよう動作可能な請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記光電気化学装置から出力された水素を加圧するための手段を更に備える請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記加圧手段が、少なくとも2段、好ましくは3段以上を有する熱水素化合物コンプレッサを備える請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記出力水素を圧縮するために、コンプレッサ、好ましくは電気コンプレッサを備える請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記加圧手段が、加熱回路および冷却回路を備え、前記回路のそれぞれは、前記加圧手段の段を加熱または冷却するよう動作可能である請求項25または請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
請求項1に記載のシステムの光電気化学装置であって;
電気的に接続された第1および第2のセルを備え;
前記第1のセルは、前記電解質と接触している時、光を吸収して、プロトンを発生するよう動作可能な光活性電極を含み;
前記第2のセルは、光起電デバイスを備え;
前記光起電デバイスは、光を吸収し、前記第1のセルが発生したプロトンを水素に還元するのを駆動するための電圧バイアスを発生するよう動作可能であり;
前記水素は、前記電解質内に浸漬され、前記第2のセルと電気的に接続された第2の電極で発生する;
装置。
【請求項30】
前記光活性電極が、3酸化タングステンまたは酸化鉄から成る請求項29に記載の装置。
【請求項31】
請求項1に記載のシステムの光電気化学装置であって;
電気的に接続された第1および第2のセルを備え;
前記第2のセルは、第1および第2の導電層の間にカプセル化した光起電デバイスを備え;
前記第1の導電層は、前記第1の電動層の他方の面上に堆積した光活性電極を有し;
前記第2の導電層は、前記第2の導電層の上に電極として堆積した導電薄膜を有し;
前記光活性電極は、前記電解質と接触している時、光を吸収して、プロトンを発生するよう動作可能であり;
前記光起電デバイスは、光を吸収し、前記光活性電極が発生したプロトンを水素に還元するのを駆動するための電圧バイアスを発生するよう動作可能であり;
前記水素は、前記電極を前記電解質内に浸漬した時に、前記第2の導電層上に堆積した前記電極で発生する;
装置。
【請求項32】
前記光活性電極が、3酸化タングステンまたは酸化鉄から成る請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記第1の導電層は、少なくとも前記光起電デバイスが応答する光の波長に対し透明である請求項31または請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記光起電デバイスが、フレキシブルな光起電パネルを備える請求項31乃至請求項33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記第1および第2の導電層が導電エポキシから成る請求項31乃至請求項34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記装置全体に構造的剛性を与えるために提供される一つ以上の導電層を備える請求項31乃至請求項35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
請求項31に記載の装置のためのリールツーリール生産方法であって;
フレキシブル光起電デバイスを、透明かつフレキシブルな導電材料内へカプセル化するステップと;
前記デバイス前面の材料の一面を、光起電半導体薄膜で被覆し、第1の電極を形成するステップと;
前記デバイス背面の材料の他面を導電体で被覆して、第2の電極を形成するステップを備える;
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−507464(P2008−507464A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517412(P2007−517412)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001919
【国際公開番号】WO2005/113859
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506387720)ハイドロジェン ソーラー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】HYDROGEN SOLAR LIMITED
【住所又は居所原語表記】Bride House,Bride Lane,London EC4Y 8JT,United Kingdom
【Fターム(参考)】