説明

免疫応答修飾製剤

本発明は、泡状医薬製剤を提供する。前記製剤は概して、脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡状医薬製剤を提供する。該製剤は概して、脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む。
【背景技術】
【0002】
近年、免疫系のある重要な側面を刺激すると同時にある別の側面を抑制することにより作用する新たな薬剤化合物を発見する努力が広くなされている(例えば米国特許第6,039,969号明細書および同第6,200,592号明細書を参照)。それらの化合物は、免疫応答修飾物質(IRM)と呼ばれることもあり、トール様受容体として知られる基礎的な免疫系機構を通じて作用して選択的サイトカイン生合成を誘導すると考えられ、多種多様の疾患および病気を治療するのに使用し得る。例えば、ある種のIRMは、ウイルス性疾患(例えば、ヒトパピローマウイルス、肝炎、ヘルペス)、新形成(例えば、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線性角化症)およびTH2仲介性疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)を治療するのに有用である場合があり、またワクチンアジュバントとしても有用である。多くの通常の抗ウイルス化合物または抗腫瘍化合物とは異なり、IRMに関する作用の一次機構は間接的であり、免疫系を刺激することによって病原体を認識し病原体に対して適切な措置を講じる。
【0003】
IRM化合物の多くはイミダゾキノリンアミン誘導体である(例えば、米国特許第4,689,338号明細書を参照)が、現在他の種類の化合物のいくつかがよく知られている(例えば、米国特許第5,446,153号明細書、同第6,194,425号明細書および同第6,110,929号明細書を参照)。
IRM化合物を含有する医薬組成物は、米国特許第5,238,944号明細書、同第5,939,090号明細書および同第6,425,776号明細書、欧州特許第0 394 026号明細書ならびに米国特許出願公開第2003/0199538号明細書で開示されている。IRM化合物の1-(2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミンは、イミキモドとしても知られ、光線性角化症、基底細胞癌またはヒトパピローマウイルスに関連する肛門生殖器疣贅の治療用の局所製剤アルダラ(ALDARA)として商品化されている。
しかしながら、特定の部位でまたは特定の組織の特定の病気を治療するためにIRM化合物の局所施用により治療効果を提供することは、例えば、IRM化合物および/またはその他成分の化学分解ならびにIRM化合物の物理的な不安定性(例えば、構成要素の分離、濃厚化、有効成分の沈殿または凝集など)のような種々の要因により妨げられることがある。
従って、新たなおよび/または改良したIRM製剤が継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
イミキモドを泡状医薬製剤として調剤できることが見出された。
従って、本発明は泡状医薬製剤を提供する。該製剤は概して、脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む。
別の態様では、本発明は光線性角化症を治療する方法も提供する。その方法は概して、そのような治療を必要とする被験者の皮膚に脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む製剤を適用(apply)することを含む。
別の態様では、本発明は基底細胞癌を治療する方法も提供する。その方法は概して、そのような治療を必要とする被験者の皮膚に脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む製剤を適用することを含む。
別の態様では、本発明は肛門生殖器疣贅を治療する方法も提供する。その方法は概して、そのような治療を必要とする被験者の皮膚に脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む製剤を適用することを含む。
別の態様では、本発明はインターフェロンの生合成を誘導する方法も提供する。その方法は概して、インターフェロンの生合成を必要とする被験者の皮膚に脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む製剤を適用することを含む。
本発明のその他種々の特徴および利点は、次の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲および添付図面を参照して容易に明らかになるであろう。本明細書の至るところ方々において、実施例のリストを通じて案内が提供される。各事例において、列挙されたリストは代表的なグループとしてのみ役立ち、それを排他的なリストとして解釈すべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
(発明の実施態様の詳細な説明)
乳濁液をベースとする泡にイミキモドを調剤できることが見出された。該泡状製剤は概して、脂肪酸および治療上有効量のイミキモドを含む。
本明細書で使用するように、「(ある)」(“a”“an”)、「該」「前記」「その」(“the”)、「少なくとも1(つ)」(“at least one”)および「1以上」(“one or more”)は互換的に用いられる。よって、例えば、「ある(“a”)」脂肪酸を含む製剤は、少なくとも1の脂肪酸を含む製剤を意味すると解釈できる。
また本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
他に指示されなければ、化合物への言及は、医薬として許容されるいかなる形態の該化合物を含むことができ、そのような形態としては、任意の異性体(例えば、ジアステレオマーまたはエナンチオマー)、塩、溶媒和物および多形などが挙げられる。特に、化合物が光学的に活性であれば、該化合物への言及は、該化合物の各エナンチオマーならびにそれらエナンチオマーのラセミ混合物および非ラセミ(scalemic)混合物を含み得る。
【0006】
該製剤は、イミキモドとも呼ばれ、その合成が例えば米国特許第4,689,338号の実施例99に記載されているイミダゾキノリンアミン、1-(2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミンを含む。
本発明の組成物中に存在するイミキモドの量は、標的とする病状の治療もしくは再発の予防または該病状に対する免疫の増進に有効な量、あるいは皮膚の質を向上させるのに有効な量であろう。ある実施態様では、イミキモドの全質量が該組成物の全質量に基づき少なくとも0.5質量%であってもよく9質量%しかなくてもよい(他に表示されていないかぎり、本明細書においてパーセンテージは該組成物の全質量に関して質量/質量を規定する)が、いくつかの実施態様において該組成物は前記範囲外の量のイミキモドを含有してもよい。いくつかの実施態様において、該組成物は約1.0%〜約6.0%の量のイミキモドを含む。例えば、該組成物は1%、3%、5%または6%の濃度でイミキモドを含み得る。
本発明の泡状組成物は、例えば脂肪酸、防腐剤、増粘剤、乳化剤、可溶化剤、皮膚軟化剤または湿潤剤のような1以上の付加的な賦形剤を含んでもよい。
本発明の該製剤は、1以上の脂肪酸を含む。本明細書で使用する「脂肪酸」という用語は、飽和または不飽和であって例えば10〜22のような6〜28の炭素原子を有するカルボン酸を意味する。本明細書に記載する該製剤で使用するのに適する脂肪酸にはイミキモドを可溶化するのに役立つものが含まれる。適切な脂肪酸としては、例えばイソステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸またはそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施態様においては、該製剤は例えばイソステアリン酸、オレイン酸またはそれらの混合物を含む。一の特定の実施態様では、該製剤はステアリン酸を含む。
該脂肪酸はイミキモドを可溶化するのに充分な量で該製剤中に存在する。いくつかの実施態様では、脂肪酸の総量が該製剤の総量に基づき少なくとも0.05質量%、少なくとも1.0質量%、少なくとも3.0質量%、少なくとも5.0%、少なくとも10%、少なくとも15%または少なくとも25%である。ある実施態様では、脂肪酸の総量が該製剤の全質量に基づき最大で40質量%、最大で30質量%、最大で15質量%または最大で10質量%である。
【0007】
本発明のある実施態様について、該製剤はさらに噴霧剤を含む。ある実施態様では、噴霧剤が炭化水素噴霧剤である。適切な炭化水素噴霧剤としては、例えば低級アルカン類、例えばプロパンおよびブタンなどが挙げられる。適切な噴霧剤の組み合わせのいずれも該製剤に含まれ得る。例えば、該製剤は、プロパンおよびブタンの組み合わせを含み得る。一の実施態様は50:50のプロパンおよびブタンの組み合わせを含む。別の実施態様は10:90のプロパンおよびブタンの組み合わせを含む。
噴霧剤の総量は約2%〜約25%であってよいが、いくつかの実施態様では、該製剤は前記範囲外の総量の噴霧剤を含み得る。一の実施態様では、噴霧剤の総量が約5%である。別の実施態様では、噴霧剤の総量が約10%である。さらに別の実施態様では、噴霧剤の総量が約15%である。
本発明のある実施態様について、該製剤はさらに防腐系を含む。防腐系は、該製剤内での(例えば、製造中および使用中における)微生物増殖(例えば、真菌および細菌の増殖)を阻害する1以上の化合物を含む。防腐系は一般に、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、およびソルビン酸またはエステル類および塩類のようなソルビン酸誘導体類のような防腐効果のある化合物を少なくとも1つ含むであろう。防腐系がそれら化合物の種々の組み合わせを含んでもよい。本発明のいくつかの実施態様では、防腐系がメチルパラベン、プロピルパラベンおよびベンジルアルコールを含む。本発明の他の実施態様では、防腐系がメチルパラベンおよびベンジルアルコールを含む。
本発明のいくつかの実施態様では、防腐系が該製剤の全質量に基づき少なくとも0.01質量%の量で、例えば、少なくとも0.02質量%、少なくとも0.03質量%、少なくとも0.04質量%および少なくとも0.05質量%といった量で存在する。本発明の他の実施態様では、防腐系が該製剤の全質量に基づき最大で3質量%、例えば、最大で2.5質量%、最大で2.0質量%、最大で1.0質量%、最大で0.5質量%、最大で0.4質量%、最大で0.3質量%および最大で0.2質量%の量で存在する。
【0008】
本発明のある実施態様について、該製剤はさらに乳化剤を含む。適切な乳化剤としては、例えば、ポリソルベート60、ソルビタンモノステアレート、ポリグリセリル-4オレエート、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポロキサマー類およびソルビタントリオレエートのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。ある実施態様では、乳化剤がポリソルベート60、ソルビタンモノステアレートおよびそれらの混合物から選択される。
含まれるとすれば、乳化剤が一般に製剤全質量の0.1質量%〜10質量%の量、例えば0.5質量%〜5.0質量%、および0.75質量%〜4.0質量%で存在する。ある実施態様では、使用するならば、乳化剤が該製剤の全質量に基づき少なくとも0.1質量%、少なくとも0.5質量%、少なくとも0.75質量%、少なくとも1.0質量%、少なくとも2.5質量%、少なくとも3.5質量%、少なくとも4.0質量%または少なくとも5.0質量%の量で存在する。ある実施態様では、使用するならば、乳化剤が該製剤の全質量に基づき最大で10質量%、最大で5.0質量%または最大で3.5質量%の量で存在する。
本発明のある実施態様について、該製剤はさらに粘度増強剤を含む。適切な粘度増強剤の例としては、長鎖アルコール類、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソースおよびカルボキシメチルセルロースのようなセルロースエステル類;キタンサンガムのような多糖類樹脂類;ならびに、アリルスクロースまたはアリルペンタエリトリトール(pentaerythriol)を用いて架橋したアクリル酸のホモポリマ類およびコポリマー類(例えばこれらのポリマー類は、アメリカ合衆国薬局方でカルボマーとして表されている)が挙げられる。ある実施態様では、粘度増強剤はキタンサンガムである。
ある実施態様では、使用する場合には、粘度増強剤の量が該製剤の全質量に基づき少なくとも0.1質量%、少なくとも0.2質量%、少なくとも0.5質量%、少なくとも0.6質量%、少なくとも0.7質量%、少なくとも0.9質量%または少なくとも1.0質量%である。ある実施態様では、使用する場合には、粘度増強剤の量が該製剤の全質量に基づき最大で10質量%、最大で5.0質量%、最大で3.0質量%、最大で2.0質量%または最大で1.5質量%である。
【0009】
本発明のある実施態様について、該製剤はさらに少なくとも1の皮膚軟化剤を含む。適切な皮膚軟化剤の例としては、限定されないが、長鎖アルコール類、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール;脂肪酸エステル類、例えばイソプロピルミリステート(mysristate)、イソプロピルパルミテート、ジイソプロピルダイマージリノレアート;中鎖(例えば、炭素数8〜14)トリグリセリド類、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド;セチルエステル類;炭素数8以上の炭化水素類、例えば軽油、白色ペトロラタム;ならびにワックス類、例えばビーワックスが挙げられる。所望なら、これら皮膚軟化剤の種々の組み合わせが使用されてもよい。ある実施態様では、皮膚軟化剤がセチルアルコール、ステアリルアルコール、ペトロラタムおよびこれらの混合物から選択される。
ある実施態様では、皮膚軟化剤の量が該製剤の全質量に基づき少なくとも1.0質量%、少なくとも3.0質量%、少なくとも5.0質量%または少なくとも10質量%である。ある実施態様では、皮膚軟化剤の量が該製剤の全質量に基づき最大で30質量%、最大で15質量%または最大で10質量%である。
いくつかの実施態様では、本発明の製剤は水中油型乳剤である。それらの製剤に使用される水は典型的には精製水である。
任意で、本発明の製剤は、例えばグリセリンなどの湿潤剤;例えばエチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤;および、例えば水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムなどのpH調整剤のような医薬として許容される賦形剤を含んでもよい。ある実施態様では、該製剤はグリセリンを含む。
場合によっては、単一成分が製剤中で2以上の機能を果たし得る。例えば、セチルアルコールは皮膚軟化剤と粘度増強剤の双方として役立ち得る。
【0010】
本発明の泡状組成物中のイミキモドを投与することによって治療され得る病気としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
(a)ウイルス性疾患、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えばHSV-I、HSV-II、CMVまたはVZV)、ポックスウイルス(例えば、天然痘もしくは種痘のようなオルトポックスウイルス、または伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(例えばライノウイルスもしくはエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、はしかウイルスおよび呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えばSARS)、パポーバウイルス(例えばパピローマウイルス、例えば生殖器疣贅、尋常性疣贅または足底疣贅を引き起こすものなど)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えばC型肝炎ウイルスもしくはデングウイルス)、またはレトロウイルス(例えばHIVのようなレンチウイルス)による感染の結果生じる疾患など;
(b)細菌性疾患、例えばエシェリキア属、エンテロバクター属、サルモネラ属、スタフィロコッカス属、シゲラ属、リステリア属、アエロバクター属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、シュードモナス属、ストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属、ニューモコッカス属、ナイセリア属、クロストリジウム属、バチルス属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、カンピロバクター属、ビブリオ属、セラチア属、プロビデンシア属、クロモバクテリウム属、ブルセラ属、エルシニア属、ヘモフィルス属またはボルデテラ属の細菌による感染の結果生じる疾患など;
(c)クラミジアのような他の感染症、真菌性疾患、例えばカンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎が挙げられるがこれらに限られない、または寄生虫症、例えばマラリア、ニューモシスティス・カリニ肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染症が挙げられるがこれらに限られない;
(d)腫瘍性疾患、例えば上皮内腫瘍、子宮頚部異形成、光線性角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、腎細胞癌、カポジ肉腫、黒色腫、白血病、例えば骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、B細胞リンパ腫およびヘアリー細胞白血球が挙げられるがこれらに限られない、ならびにその他のがん;
(e)TH2仲介性アトピー性疾患、例えばアトピー性皮膚炎または湿疹、好中球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、およびオーメン症候群;
(f)ある種の自己免疫性疾患、例えば全身性エリテマトーデス、本態性血小板血症、多発性硬化症、円板状狼瘡、円形脱毛症;ならびに
(g)創傷修復に関連する疾患、例えば、ケロイド形成および他のタイプの瘢痕化の阻害(例えば、慢性創傷を含む創傷治癒の強化)。
【0011】
さらに、該泡状組成物は、例えば、BCG、コレラ、ペスト、腸チフス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、はしか、耳下腺炎、風疹、黄熱、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルスインフルエンザb型、結核、髄膜炎菌性および肺炎球菌性ワクチン、アデノウイルス、HIV、水疱瘡、サイトメガロウイルス、デング熱、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV-1およびHSV-2、ブタコレラ、日本脳炎、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、パピローマウイルス、黄熱ならびにアルツハイマー病に関連して使用するため、体液性および/または細胞性免疫応答を引き起こす物質、例えば、ウイルス性、細菌性もしくは寄生虫性の生免疫原;ウイルス性、腫瘍由来、原生動物性、生物体由来、真菌性もしくは細菌性の不活性化免疫原、トキソイド、毒素;自己抗原;多糖類;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞性ワクチン;DNAワクチン;自家ワクチン;組換えタンパク質;糖タンパク質;ペプチドなどと組み合わせて使用するための局所用ワクチンアジュバントとして、イミキモドの送達に有用であり得る。
本発明の該方法はいずれの適切な被験者にも行うことができる。適切な被験者としては、例えばヒト、非ヒト霊長類、家禽、野鳥、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはウシなどが挙げられるが、これらに限られない。
【0012】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の特徴、利点およびその他詳細をさらに説明するためだけに選択されたものである。しかしながら、その目的に本実施例が役立つ一方、使用した特定の物質、特定の量ならびにその他の条件および細目が本発明の範囲を不当に制限する事柄と解釈すべきでないことを明確に理解すべきである。
下記の表1および表2に示す製剤を、次の一般的な方法を用いて調製した。
イミキモド/イソステアリン酸/ベンジルアルコールプレミックスの調製:イミキモドをイソステアリン酸と合わせて、イミキモドの大部分が溶けるまで加熱(約55℃)しながら混合した。ベンジルアルコールを加えて、イミキモドが全て溶液状になるまで混合し続けた。
油相の調製:セチルアルコール、ステアリルアルコール、白色ペトロラタム、ポリソルベート60およびソルビタンモノオレエートを前記イミキモド/イソステアリン酸/ベンジルアルコールプレミックスに添加し、全構成成分が溶けるまで加熱(約55℃)しながら混合した。
水相の調製:メチルパラベンおよびプロピルパラベンを水および一部(約50%)のグリセリンと合わせて、パラベン類が溶けるまで加熱(約55℃)しながら混合した。それとは別に、キタンサンガムと残りの分のグリセリンを合わせてキタンサンガムが分散するまで混合して、キタンサンガムの分散液を調製した。そのキタンサンガム分散液を混合しながら、温度を約55℃に維持しつつ前記パラベン溶液にゆっくり加えた。キタンサンガムが完全に分散するまで混合を続けた。
相の組合せ:約55℃にて前記水相を前記油相に加えた。その混合液を最低15分間ホモジナイズした。結果として生じた乳濁液を周囲温度まで冷却してからガラスジャーに入れた。下記表1は、噴霧剤添加前の該製剤の組成(質量/質量百分率ベースで)を示す。
噴霧剤の添加:乳濁液をプラスチックコーティングしたガラスバイアルに入れた。そのバイアル上に連続弁または定量弁のいずれかのエーロゾル弁を圧着した。窒素ヘッドスペースを備えた圧力ビュレットを用いて、前記バイアルに噴霧剤を充填した。次に前記バイアルを攪拌して前記乳濁液を前記噴霧剤中に分散させた。下記表2は、噴霧剤添加後の該製剤の組成(質量/質量百分率ベースで)を示す。
【0013】

【0014】

【0015】
下記の表3および表4に示す製剤を以下の一般的な方法を用いて調製した。
イミキモド/イソステアリン酸/ベンジルアルコールプレミックスの調製:イミキモドをイソステアリン酸と合わせて、イミキモドの大部分が溶けるまで加熱(約55℃)しながら混合した。ベンジルアルコールを加えて、イミキモドが全て溶液状になるまで混合し続けた。
油相の調製:ポリソルベート60およびソルビタンモノオレエートを前記イミキモド/イソステアリン酸/ベンジルアルコールプレミックスに加えて、全構成成分が溶けるまで加熱(約55℃)しながら混合した。
水相の調製:メチルパラベンおよびプロピルパラベン(含めるのであれば)を水と合わせてパラベン類が溶けるまで加熱(約55℃)しながら混合した。キタンサンガムを加えて、その水相をキタンサンガムが完全に分散するまで約55℃にて混合した。
相の組合せ:前記水相を約55℃にて前記油相に加えた。その混合液を15分間ホモジナイズした。結果として生じた乳濁液を周囲温度まで冷却してから、ガラスジャーに入れた。下記表3は、噴霧剤添加前の該製剤の組成(質量/質量百分率ベースで)を示す。
噴霧剤の添加:乳濁液をプラスチックコーティングしたガラスバイアルに入れた。そのバイアル上に連続弁または定量弁のいずれかのエーロゾル弁を圧着した。窒素ヘッドスペースを備えた圧力ビュレットを用いて、前記バイアルに噴霧剤を充填した。次に前記バイアルを攪拌して前記乳濁液を前記噴霧剤中に分散させた。下記表4は、噴霧剤添加後の該製剤の組成(質量/質量百分率ベースで)を示す。
【0016】

【0017】

【0018】
[実施例1]
体重225〜250グラム(およそ8〜10週齢)のオスのCDヘアレスラット(Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を投薬に先立って連続して2日間ネックカラーに順化させた。研究の当日、ラットに、製剤の経口摂取を予防するためカラーを着けてから、右腰背部の面積およそ6 cm2に表2または表4いずれかの製剤45〜47 mgを局所的に施した。窒素グローブをはめた指を用いておよそ1〜3分間マッサージして該製剤を皮膚に入れた。コレラのラットを別々に収容し、6時間カラーを着けたままにした。
6時間後、CO2麻酔下で心穿刺によって血液を採集した。その血液を室温でおよそ20分間凝固させてから、その血餅から冷蔵下で2000 rpmにて10分間の遠心分離(Beckman Coulter Allegra 21R, S4180 horizontal rotor, Beckman Coulter, Inc. Fullerton, CA)により血清を分離した。結果として生じた血清をTNF-α濃度およびMCP-1濃度について分析するまで−20℃で保存した。
動物を屠殺して各動物の2部位の各々から3つの8 mmパンチ生検を得た:処置部位および反対側の脇腹(左腰背部)。それら生検組織の質量を量って1.8 mLの密封クライオバイアルに入れ、液体N2中で瞬間凍結させた。その凍結皮膚組織を1.0 mLのRPMI培地(Protide Pharmaceuticals, St. Paul, MN)、10%ウシ胎児血清、2 mM L-グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、5×10-5M 2-メルカプトエタノールおよび1%プロテアーゼインヒビターカクテルセットIII(Calbiochem/EMD Biosciences, San Diego, CA)中に懸濁させた。TISSUE TEAROR(Biospec Products, Inc. Bartlesville, OK)を用いて、前記皮膚組織を氷上でおよそ1分間ホモジナイズした。その皮膚組織上清を冷蔵下で4800 rpmにて10分間遠心分離(Beckman Coulter Allegra 21R, S4180 horizontal rotor)して細胞片をペレットにした。前記上清を集めて、TNF-α濃度およびMCP-1濃度について分析するまで−20℃で保存した。
製造元の仕様書に従ってELISA(TNF-α, BD Pharmingen, San Diego, CA; MCP-1, Biosource International, Camarillo, CA)によりTNF-α濃度およびMCP-1濃度を測定する。ELISAプレートをスペクトラマックス(SpectraMax)マイクロアッセイプレートリーダー(Molecular Devices Corp., Sunnyvale, CA)で読み取り、ソフトウエア“ソフトマックスプロ”(SOFTMAX PRO)を吸光度測定値のカーブフィッティングに利用する。血清のTNF-α濃度およびMCP-1濃度についての結果は、ピコグラム/血清1ミリリットル(pg/mL)で表示する。皮膚組織濃度についての結果は組織200 mgあたりのピコグラムとして表示する。
【0019】
本明細書中で引用した特許、特許書類および刊行物の全ての開示は、各々が別々に組み込まれているようにそっくりそのまま、参照により組み込まれるものとする。矛盾する場合には、定義も含めて本明細書が調整するものとする。
本発明に対する種々の修正形態および変更形態は、本発明の範囲および真意から離れることなく当業者に明らかとなるであろう。具体的な実施態様および実施例は例としてのみ提供されるものであって、本発明の範囲を限定することを意図しない。本発明の範囲は次に示す特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効量のイミキモドと脂肪酸とを含む、泡状医薬製剤。
【請求項2】
イミキモドが、前記製剤の全質量に基づき少なくとも1質量%の量で存在する、請求項1記載の泡状医薬製剤。
【請求項3】
イミキモドが、前記製剤の全質量に基づき少なくとも3質量%の量で存在する、請求項1記載の泡状医薬製剤。
【請求項4】
イミキモドが、前記製剤の全質量に基づき少なくとも5質量%の量で存在する、請求項1記載の泡状医薬製剤。
【請求項5】
イミキモドが、前記製剤の全質量に基づき最大6質量%の量で存在する、請求項1記載の泡状医薬製剤。
【請求項6】
脂肪酸が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも5質量%の量で存在する、請求項1〜5のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項7】
脂肪酸が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも20質量%の量で存在する、請求項1〜6のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項8】
脂肪酸が、前記製剤の全質量に基づき最大30質量%の量で存在する、請求項1〜7のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項9】
脂肪酸がイソステアリン酸、オレイン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項10】
脂肪酸がイソステアリン酸である、請求項9記載の泡状医薬製剤。
【請求項11】
噴霧剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項12】
噴霧剤が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも5質量%の量で存在する、請求項11記載の泡状医薬製剤。
【請求項13】
噴霧剤が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも10質量%の量で存在する、請求項11記載の泡状医薬製剤。
【請求項14】
噴霧剤が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも15質量%の量で存在する、請求項11記載の泡状医薬製剤。
【請求項15】
噴霧剤が炭化水素である、請求項11〜14のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項16】
炭化水素がプロパン、ブタンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項15記載の泡状医薬製剤。
【請求項17】
水をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項18】
防腐系をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項19】
防腐系が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも0.1質量%の量で存在する、請求項18記載の泡状医薬製剤。
【請求項20】
防腐系が、前記製剤の全質量に基づき最大3質量%の量で存在する、請求項17記載の泡状医薬製剤。
【請求項21】
防腐系がメチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコールまたはそれらの混合物を含む、請求項18〜20のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項22】
乳化剤をさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項23】
乳化剤が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも0.5質量%の量で存在する、請求項22記載の泡状医薬製剤。
【請求項24】
乳化剤が、前記製剤の全質量に基づき最大5質量%の量で存在する、請求項22記載の泡状医薬製剤。
【請求項25】
乳化剤がポリソルベート60、ソルビタンモノステアレートおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項22〜24のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項26】
粘度増強剤をさらに含む、請求項1〜25のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項27】
粘度増強剤が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも0.5質量%の量で存在する、請求項26記載の泡状医薬製剤。
【請求項28】
粘度増強剤が、前記製剤の全質量に基づき少なくとも1質量%の量で存在する、請求項26記載の泡状医薬製剤。
【請求項29】
粘度増強剤が、前記製剤の全質量に基づき最大6質量%の量で存在する、請求項26記載の泡状医薬製剤。
【請求項30】
粘度増強剤がセチルアルコール、ステアリルアルコール、キタンサンガムおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項26〜29のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項31】
皮膚軟化剤をさらに含む、請求項1〜30のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項32】
湿潤剤をさらに含む、請求項1〜31のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項33】
前記製剤が水中油型乳剤である、請求項17〜32のいずれか1項記載の泡状医薬製剤。
【請求項34】
エーロゾルバイアル内に封入された請求項1〜33のいずれか1項記載の製剤を含む、包装製剤。
【請求項35】
エーロゾルバイアルが絞り弁を備えている、請求項34記載の包装製剤。
【請求項36】
請求項1〜33のいずれか1項記載の製剤を被験者の皮膚に適用することを含む、光線性角化症を治療する方法。
【請求項37】
請求項1〜33のいずれか1項記載の製剤を被験者の皮膚に適用することを含む、基底細胞癌を治療する方法。
【請求項38】
請求項1〜33のいずれか1項記載の製剤を被験者の皮膚または粘膜の表面に適用することを含む、肛門生殖器疣贅を治療する方法。
【請求項39】
請求項1〜33のいずれか1項記載の製剤を被験者の皮膚または粘膜の表面に適用することを含む、インターフェロンの生合成を誘導する方法。

【公表番号】特表2009−543866(P2009−543866A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520778(P2009−520778)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/016029
【国際公開番号】WO2008/010963
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509018878)ウイラ アイピー プロプライエタリー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】