説明

入出庫装置

【課題】 収納効率の改善を図るとともに、装置各部構造を簡略化して物品の出し入れを行うことができる入出庫装置を提供すること。
【解決手段】 ロール状の物品Wを支持するラック装置11と、物品の出し入れを行うローダ12を備えて入出庫装置10が構成されている。物品Wの芯材29又はその内側に配置されたスリーブ100は物品Wの両端部から突出する前部延長部29A,100Aと後部延長部29B,100Bを備えており、これらの延長部がラック装置11に支持されるようになっている。ローダ12は、芯材29又はスリーブ100の内部に進退可能に設けられた移載アーム34と、前部延長部29A,100Aが載る前部支持体27を支持可能な補助アーム72とを含み、移載アーム34を芯材29又はスリーブに挿入して物品Wを支持したときに、補助アームが前部支持体27を支持してラック装置の収納位置に対して物品Wの出し入れを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入出庫装置に係り、更に詳しくは、ロール状に巻回された物品の効率的な収納と出し入れを行うことができる入出庫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルム等の工業用フィルムや、上質紙、加工紙等の紙などの原反は、略円筒状の芯材を用いてロール状に巻回されて倉庫内に収納されている。このようなロール状に巻回された原反は、例えば、フィルムの片面に粘着剤等の塗布形成を行い、剥離シートを貼着し、その後にスリッター等を用いて複数の巻体に分割するなどの二次的な加工が一般的に採用されている。また、粘着加工を施されて、スリッター等の二次加工を行う前には、原反と同様にロール状に巻回されて倉庫内に収納されているものもある。
【0003】
従って、原反状態におけるロール状の物品は、そのロール幅と巻き径が大きく、重量も非常に重い状態となっている。そのため、このような物品を在庫として保有する場合には、工場内に設けられた立体的なフレーム構造体からなる大型のラック装置を含む入出庫装置を利用することが通常となっている。
【0004】
前記入出庫装置としては、例えば、特許文献1に記載されている。同文献に示された入出庫装置は、芯材の外周側にロール状に巻回された物品を支持するラック装置と、前記物品をラック装置に対して出し入れするクレーンとを備えて構成されている。前記物品は、芯材の両端部がロールの幅方向両端から突出する延長部を両端に備えた長さに設けられており、前記ラック装置は、前記延長部をそれぞれ支持する一対の支承部材を備えた構成となっている。この一方、クレーンは、支承部材に支持された物品に対して側方から進退可能に設けられたスライドと、このスライドに設けられた一対の物品受け具とを備え、前記スライドを前進させて物品受け具を延長部位置まで前進させるとともに、前記支承部材と干渉を生ずることがないように物品受け具を上昇させることで、物品を支持して取り出しできる一方、反対の動作を行うことで物品を収納できるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−118404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された入出庫装置にあっては、芯材の延長部を物品受け具によってそれぞれ支持することで、当該物品がラック装置に出し入れされるものであるため、クレーンが物品の両側を支持できる一対の物品受け具を備えた構造でなければならず、当該クレーンの構造を複雑化させるという不都合がある。
また、特許文献1のラック装置は、物品の軸線方向が前記スライダの進退方向に対して略直交する方向となる姿勢を物品の収納位置とするものであり、スライダの進退方向に物品の軸線方向が沿う姿勢での収納を困難にする、という不都合がある。これは、物品の出し入れを行うときに、前記支承部材と物品受け具との位置的な干渉を避けなければならないためである。従って、特許文献1の構成では、スライダの進退方向に沿って物品を収納することが構造的に採用し得ないものとなり、これに起因してラック装置における物品の収納効率を非常に悪くする、という不都合を招来する。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、収納効率の改善を図るとともに、装置各部構造を簡略化して物品の出し入れを行うことができる入出庫装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、ロール状の物品を収納したときに、当該物品の一端側が収納位置の前部に位置する一方、他端側が収納位置の後部に位置するように物品を収納するラック装置と、このラック装置に並設されるとともに、前記収納位置に対して物品の出し入れを行うローダとを備えた入出庫装置において、
前記物品は芯材に巻回されているとともに、当該芯材又は芯材の内側にスリーブを配置して前記物品の両端部から突出する前部延長部及び後部延長部を設け、
前記ラック装置は、前部延長部を支持する着脱自在な前部支持体と、後部延長部を支持する後部支持体とを含むフレーム構造体により構成され、
前記ローダは、前記芯材又は前記スリーブの内部に進退可能に設けられた移載アームと、前部支持体を支持する補助アームとを含み、
前記移載アームを芯材又はスリーブに挿入して当該移載アームが物品を支持したときに、前記補助アームが前部支持体を支持することにより前記物品が収納位置に対して出し入れ可能に設けられる、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記物品は相互に略平行となる姿勢で前記ラックの上下及び横方向に多数収納される、という構成を採っている。
【0010】
また、前記ローダは、ラック装置の側方床面上に敷設されたガイドレールに沿って移動可能に設けられている。
【0011】
更に、前記ローダは前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられたローダ本体と、当該ローダ本体に昇降可能に設けられた昇降体と、この昇降体に支持されるとともに前記収納位置に対して進退可能なスライダとを備え、このスライダに前記移載アームと補助アームが設けられる、という構成を採っている。
【0012】
また、前記ローダにより取り出された物品を受け取り可能な入出庫リフタを更に含み、当該入出庫リフタは、前記ローダとの間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置と、所定の走行体との間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置との間で昇降可能に設けられる、という構成を採ることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、物品の一端側が収納位置の前部に位置する一方、他端側が収納位置の後部に位置するようにラック装置に収納される構成であるため、一つの物品の出し入れを行うための出し入れ側の面積は、ロールの直径よりも僅かに大きくすれば足りることになり、スペースの効率的な利用を図って多数の物品を収納することができる。
また、前部延長部を支持する前部支持体がフレーム構造体に対して着脱自在であり、移載アームが芯材又はスリーブ内に挿入されて物品を支持したときに、補助アームが前部支持体を同時に支持する構成であるため、つまり、前部支持体と物品とを一体として出し入れする構成であるから、収納位置から物品を取り出す際の物品上昇量を低く抑制することができ、多数の物品がラック装置に収納されている場合において、上下方向に隣り合う物品との間に確保すべき隙間を小さくすることでデッドスペースを最小限にすることが可能となる。
【0014】
また、移載アームが芯材又はスリーブに挿入されて物品を支持する構成であるため、ローダ側と後部支持体との位置的な干渉が生じ難いものとなり、ローダの構造をシンプルなものとすることができる。
【0015】
更に、入出庫リフタを含む構成とした場合には、ローダからの物品の受け取りや、ローダへの物品受け渡し作業を行う際に、ローダから離れた比較的安全な場所で行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1には、本実施形態に係る入出庫装置の概略平面図が示され、図2には、その正面図が示されている。また、図3には、図1の左側面図が示されている。これらの図において、入出庫装置10は、帯状のフィルム若しくは紙等をロール状に巻回した多数の物品Wを収納するラック装置11と、このラック装置11に対して物品Wを出し入れするローダ12と、前記ラック装置11の側方床面上に敷設されるとともに、前記ローダ12をラック装置11に沿って移動可能に支持して物品Wの搬入、搬出路を構成するガイドレール13,13と、前記ローダ12からの物品Wの受け取りと、ローダ12への物品Wの受け渡しを行う入出庫リフタ14とを備えて構成されている。
【0018】
前記ラック装置11は、前記物品Wの一端側を収納位置の前部に位置させる一方、他端側を収納位置の後部に位置させる状態で、これら物品Wを相互に略平行となる姿勢で上下及び横方向に多数収納するものである。このラック装置11は、H型鋼、I型鋼若しくは金属角パイプ等を縦横に組み合わせたフレーム構造体により構成されている。具体的には、物品Wの出し入れ側(図3中右側)を前記収納位置の前部として物品Wを支持する内側フレーム構造体20と、前記出し入れ側の反対側(図3中左側)を収納位置の後部として物品Wを支持する外側フレーム構造体21と、これら内側フレーム構造体20と外側フレーム構造体21を相互に連結する連結フレーム22と、図示しないクロスフレーム等により構成されている。内側フレーム構造体20と外側フレーム構造体21は、上下方向に立設されるとともに相互に略平行に配置された複数の縦フレーム23と、これら縦フレーム23を相互に連結する方向(図2中左右方向)に延びる横フレーム25とにより構成されている。
【0019】
図4及び図5に示されるように、前記内側フレーム構造体20における各縦フレーム23の相対面には、略L型のブラケット26が上下方向に沿う所定間隔毎に取り付けられ、これらのブラケット26によって物品Wの前部を支持する角柱状の前部支持体27が着脱自在に支持されている。この一方、外側フレーム21における各縦フレーム23間には、物品Wの後部側を支持する角柱状の後部支持体28が溶接等の手段を介して固定されている。
【0020】
本実施形態に係るロール状の物品Wは、図5に示されるように、鋼管、樹脂管等からなる芯材29の外周側に帯状のフィルム等が巻回されたものが対象とされている。この芯材29の軸方向長さは、フィルム幅よりも長いものが採用され、当該芯材29にフィルムが巻回された物品Wを収納位置(図5位置)に収納した際に、前方(図5中左方)に突出する前部延長部29Aと、後方(図5中右方)に突出する後部延長部29Bを備えるようになっている。物品Wは、前部延長部29Aが前部支持体27に支持される一方、後部延長部29Bが後部支持体28に支持され、これにより、収納位置にある物品Wは、その軸線方向が後述する移載アームの進退方向に一致することとなる。ここで、前部支持体27及び後部支持体28の各上面には、各一対をなすアングル状の金具30,30が所定間隔をおいて固定されており、これら金具30間に前部延長部29A及び後部延長部29Bが位置することで、芯材29ひいては物品Wが前後の支持部材27,28上で不用意に回転移動してしまうことが防止される。
【0021】
前記ローダ12は、図3,図4及び図6に示されるように、前記ガイドレール13,13に沿って移動可能に支持されたローダ本体31と、当該ローダ本体31に昇降可能に設けられた昇降体32と、この昇降体32に支持されるとともに、図3中左右方向に沿って移動可能に支持されたスライダ33と、当該スライダ33に支持されて収納位置にある物品Wの芯材29に対して進退可能に設けられた軸状をなす移載アーム34とを備えて構成されている。
【0022】
前記ローダ本体31は、前記ガイドレール13,13上にそれぞれ位置する一対のベースブロック36,36と、これらベースブロック36,36間を相互に連結する連結ブロック37,37と、前記ベースブロック36,36に立設された一対の昇降ガイド38,38と、これら昇降ガイド38,38間を相互に連結する横桟39を備えて構成されている。前記ベースブロック36で囲まれる内側領域には、図示しないブラケットを介してモータMが配置されており、その出力軸はベースブロック36よりも下方に突出し、当該出力軸の下端部(先端部)には水平面内で回転可能に設けられたピニオンP(図3参照)が固定されている。このピニオンPは、前記ガイドレール13,13間で、当該ガイドレール13,13と平行に敷設されたラックRに噛み合い可能に設けられている。従って、ローダ本体31は、モータMの駆動によって回転するピニオンPがラックR上を転動することで前記ガイドレール13,13上で走行可能となる。
【0023】
前記昇降ガイド38,38は、ラック装置11の上端部位置に略対応する高さを備えているとともに、図3中手前側に見える端面に上下方向に延びるレール41,41が取り付けられ、これらレール41,41に沿って前記昇降体32の昇降をガイドするようになっている。また昇降ガイド38の上端部には、モータM1と減速装置42が配置されているとともに、当該モータM1の側方に一対の軸受43,43を介して回転軸44が支持されている。モータM1の出力軸には主動ギヤ45が固定されているともに、前記回転軸44には主動ギヤ45に噛み合う従動ギヤ46が固定され、モータM1の正逆回転によって回転軸44が正転方向及び逆転方向に回転可能とされている。
【0024】
図3及び図6に示されるように、前記回転軸44において、その両端部近傍には、上部スプロケット48,48が固定されている一方、昇降ガイド38,38の下部内側には上部スプロケット48,48と対をなす下部スプロケット49,49が回転可能に支持され、これら上下の各スプロケット48,49間にチェーン50,50が巻回されている。従って、前記モータM1が回転することにより、回転軸44の回転がチェーン50,50に伝達されて当該チェーン50,50が回行可能となる。
【0025】
前記昇降体32は、図3、図7及び図8に示されるように、左右方向(図8中紙面直交方向)に沿って延びる上部桟53と、当該上部桟53と略平行に延びる下部桟54と、これら上部桟53及び下部桟54を相互に連結する連結桟55とを備えたブロック本体56と、このブロック本体56の背面側に固定されるとともに、前記昇降ガイド38,38のレール41上を摺動するスライドブロック58,58と、前記チェーン50,50に連結される連結ブロック60とにより構成されている。この昇降体32は、前記チェーン50が回行したときに、スライドブロック58がレール41上を上下方向に摺動することで昇降可能となっている。ここで、上部桟53及び下部桟54には、図7中手前側の面に左右方向に沿う上下一対のスライドレール61,61が固定されているとともに、上部桟53の直近下方位置には、当該上部桟53と略平行に延びるラックR1が固定されている。
【0026】
前記スライダ33は、前記上下のスライドレール61,61に跨るように位置するスライドプレート63と、このスライドプレート63に取り付けられたボックス64と、当該ボックス64内に配置されたモータM2とを含んで構成されている。スライドプレート63の背面側には、前記スライドレール61に係合する複数の摺動ブロック66が固定されている。また、モータM2の出力軸は、スライドプレート63を貫通して延び、その先端側にピニオンP1が固定されている。このピニオンP1は、前記上部桟53の直下に設けられたラックR1に噛み合い可能に設けられ、これにより、モータM2が回転してピニオンP1がラックR1上を転動することで、スライダ33がスライドレール61に沿って移動可能となっている。
【0027】
また、スライダ33において、前記ボックス64の側面に移載アーム34が固定されている。この移載アーム34は、先端側が曲面形状を備えた軸状をなし、略水平方向に延びて先端が自由端とされている。従って、移載アーム34は、片持ち姿勢でスライダ33に支持されていることになる。また、移載アーム34の下方位置において、前記ボックス64の下面側には一対の補助アーム72,72が固定されている。これら補助アーム72,72は、先端に凹状皿部72A,72Aを備えた形状に設けられて前述した前部支持体27を下面側から支持するようになっている。
【0028】
前記入出庫リフタ14,14は、ラック装置11の図1中右端側において、内側フレーム構造体20と外側フレーム構造体21の下部間を跨ぐ位置に配置されている。この入出庫リフタ14は、図9ないし図11に示されるように、門型フレーム75と、この門型フレーム75の下部に連結されるとともに、前記芯材29の前部延長部29Aが載る前部支持体27を支持する略コ字状の前部受け腕77と、芯材29の後部延長部29Bを支持するとともに、当該後部延長部29Bの受け溝79Aが形成された受けブロック79(図11参照)を有する略コ字状の後部受け腕78と、前記門型フレーム75を昇降させる昇降シリンダ80と、門型フレーム75を昇降可能にガイドするガイド機構81とを含んで構成されている。
【0029】
前記門型フレーム75は、上部水平ブロック75Aと、当該上部水平ブロック75Aの両端から下方に向けられた一対の垂下ブロック75B,75Bとからなり、上部水平ブロック75Aの中央部に固定されたブラケット83に昇降シリンダ80のシリンダロッド82の下端が連結されている。
【0030】
前記ガイド機構81は、内側フレーム構造体20及び外側フレーム構造体21の各縦フレーム23,23に固定されたレールブロック85,85と、前記垂下ブロック75B,75Bに固定された昇降ブロック86,86とからなり、前記昇降シリンダ80が作動することにより、門型フレーム75がガイド機構81を介して昇降可能とされている。
【0031】
なお、前記ローダ12及び入出庫リフタ14は、図示しない制御装置を介して所定動作可能に設けられており、当該制御装置には、ラック装置11における各物品Wの収納位置(アドレス)と、物品Wの種別等を記憶、更新可能なプログラムが格納されている。
【0032】
次に、本実施形態に係る入出庫装置10による出庫動作について説明する。
【0033】
ここでは、説明の便宜上、ローダ12は、図1に示される位置を初期位置として待機しているものとし、ローダ12の昇降体32は下降限にあるものとする。また、入出庫リフタ14は前部受け腕77と後部受け腕78がローダ12から物品Wを受け取ることができる高さ位置にあるものとする。
【0034】
出庫すべき物品Wを制御装置を介して指示すると、当該制御装置が物品Wのアドレスを特定し、当該アドレスに対応する駆動信号がローダ12に付与される。すると、ローダ12は、モータMを介してピニオンPが回転してラックRに沿って転動し、物品Wの位置に対応する側方位置までローダ12がガイドレール13,13に沿って移動して停止することとなる。この際、昇降体32は、物品Wを受け取る高さ位置まで同時に上昇して停止する(図3参照)。
【0035】
次いで、前記スライダ33が作動し、移載アーム34が物品Wの芯材29に向かって前進して当該芯材29内に入り込むこととなる。このようにして芯材29内に移載アーム34が入り込んだ状態では、補助アーム72の皿状凹部72Aが前部支持体27の直下に位置するようになり、そこで、前記昇降体32を所定量上昇させることで、物品Wが移載アーム34で支持されるとともに、前部支持体27が補助アーム72によって支持されることとなる(図5参照)。
【0036】
そして、前記スライダ33を後退させてラック装置11から物品Wを完全に抜き出した後に、ローダ12が初期位置に復帰することとなる。
【0037】
ローダ12が初期位置に復帰すると、スライダ33が再び作動して入出庫リフタ14側に移動し、芯材29の後部延長部29Bが後部受け腕78の上方に位置するとともに、前部支持体27が前部支持腕77の上方に位置したときに、昇降体33が下降して物品Wを入出庫リフタ14に載せ替え、その後にスライダ33が後退してローダ12が再び初期位置に復帰することとなる(図6参照)。
【0038】
次いで、物品Wを受け取った入出庫リフタ14は、昇降シリンダ80を作動させて門型フレーム75を下降させ、当該門型フレーム75の下方に予め待機させている図示しない走行体に物品を載せ替えることで、当該走行体上の物品の搬送を行うことができる。なお、物品Wの入庫は、前述した動作を反対に行うことによって達成される。
【0039】
従って、このような実施形態によれば、芯材29に移載アーム34を挿入し、且つ、前部支持体27を補助アーム72で支持する構成としたから、物品Wの一端側をラック装置11の前部に位置させる一方、他端側をラック装置11の後部に位置させた収納形態を採用することができる。そのため、移載アーム34の進退方向を横切るような向きに物品を収納した場合に比べて収納効率を飛躍的に向上させることが可能となる。しかも、物品Wの出し入れに際して部材の相互干渉を防止し易い設計が可能となる。また、移載アーム34の上昇量をロールの直径よりも相当に小さい範囲内として物品Wを抜き出すことができるため、上下各段に物品Wが収納されている場合の各段における物品相互間のスペースも最小化でき、この点からも収納効率の改善を図ることができる。
【0040】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、材料、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それら形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0041】
例えば、前記実施形態では、ガイドレール13,13を中間として、ラック装置11を相互に向き合う配置としてもよい。この場合には、昇降体32を水平面内で回転可能な構成を採用すれば足りる。
【0042】
また、前記実施形態では、芯材29の長さが物品Wの幅よりも長く設けられることで前部延長部29A及び後部延長部29Bが形成される場合を図示、説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図12及び図13に示されるように、芯材29の長さを物品Wの幅と略同じ長さのものとし、芯材29の内側に、当該芯材29の長さよりも相対的に長い鋼製、アルミ製パイプ等のスリーブ100を配置し、このスリーブ100によって前部延長部100A及び後部延長部100Bを形成するようにしてもよい。このような構成を採用した場合には、スリーブ100がラック装置11に対応した長さである限り、物品Wの幅が多種多様であっても適用可能な汎用性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態に係る入出庫装置の概略平面図。
【図2】前記入出庫装置の概略正面図。
【図3】図1の拡大左側面図。
【図4】ローダの拡大正面図。
【図5】ラック装置に収納された物品の芯材に移載アームが挿入された状態を示す概略斜視図。
【図6】前記ローダ及び入出庫リフタ領域の拡大平面図。
【図7】昇降体及びスライダの拡大左側面図。
【図8】昇降体及びスライダの拡大正面図。
【図9】入出庫リフタの拡大正面図。
【図10】入出庫リフタの右側面図。
【図11】入出庫リフタの後部受け腕領域を示す概略斜視図。
【図12】芯材の内側にスリーブを配置して前部延長部及び後部延長部が形成される状態を示す物品の概略斜視図。
【図13】図12のA−A線に沿う矢視断面図。
【符号の説明】
【0044】
10 入出庫装置
11 ラック装置
12 ローダ
13 ガイドレール
14 入出庫リフタ
29 芯材
29A 前部延長部
29B 後部延長部
31 ローダ本体
32 昇降体
33 スライダ
34 移載アーム
72 保持アーム
100 スリーブ
100A 前部延長部
100B 後部延長部
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の物品を収納したときに、当該物品の一端側が収納位置の前部に位置する一方、他端側が収納位置の後部に位置するように物品を収納するラック装置と、このラック装置に並設されるとともに、前記収納位置に対して物品の出し入れを行うローダとを備えた入出庫装置において、
前記物品は芯材に巻回されているとともに、当該芯材又は芯材の内側にスリーブを配置して前記物品の両端部から突出する前部延長部及び後部延長部を設け、
前記ラック装置は、前部延長部を支持する着脱自在な前部支持体と、後部延長部を支持する後部支持体とを含むフレーム構造体により構成され、
前記ローダは、前記芯材又は前記スリーブの内部に進退可能に設けられた移載アームと、前部支持体を支持する補助アームとを含み、
前記移載アームを芯材又はスリーブに挿入して当該移載アームが物品を支持したときに、前記補助アームが前部支持体を支持することにより前記物品が収納位置に対して出し入れ可能に設けられていることを特徴とする入出庫装置。
【請求項2】
前記物品は相互に略平行となる姿勢で前記ラックの上下及び横方向に多数収納されることを特徴とする請求項1記載の入出庫装置。
【請求項3】
前記ローダは、ラック装置の側方床面上に敷設されたガイドレールに沿って移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の入出庫装置。
【請求項4】
前記ローダは、前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられたローダ本体と、当該ローダ本体に昇降可能に設けられた昇降体と、この昇降体に支持されるとともに前記収納位置に対して進退可能なスライダとを備え、このスライダに前記移載アームと前記補助アームが設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の入出庫装置。
【請求項5】
前記ローダにより取り出された物品を受け取り可能な入出庫リフタを更に含み、当該入出庫リフタは、前記ローダとの間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置と、所定の走行体との間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置との間で昇降可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の入出庫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−168980(P2006−168980A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367848(P2004−367848)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(000217583)株式会社タナベ (11)
【Fターム(参考)】