説明

入力装置

【課題】主に自動車内の、各種電子機器の制御等に用いられる入力装置に関し、誤操作がなく操作の行い易いものを提供することを目的とする。
【解決手段】操作体4Aの軽い作業によって電気的接離を行う軽スイッチ接点15Aと、これより重い操作によって電気的接離を行う重スイッチ接点15Bを設けると共に、制御手段19が操作体4Aの軽操作によって選択機能を表示手段17に表示し、操作体4Aの重操作によって機能の切換えを行うことによって、軽く操作することで、何の機器のどんな操作を行うのかが表示手段17に表示され、これを確認した後、重く操作することで、機器の機能の切換えが行われるため、誤操作がなく操作の行い易い入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車内の、各種電子機器の制御等に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車において、ステアリングホイール近傍に所謂ステアリングスイッチを装着し、ハンドルを握ったまま指でこのスイッチを操作して、エアコンやオーディオ機器等の電子機器を制御することが広く行われており、誤操作がなく操作の行い易いものが求められている。
【0003】
このような従来の入力装置について、図6〜図8を用いて説明する。
【0004】
図6はステアリングの平面図、図7は従来の入力装置のブロック回路図であり、同図において、1はステアリングホイール、2はこの中央のエアーバッグ等を内蔵したパッドで、ステアリングホイール1とパッド2は複数のスポーク3によって連結されている。
【0005】
そして、この左右のスポーク3のステアリングホイール1近傍には、絶縁樹脂製で押圧操作可能な複数の操作体4が装着されると共に、スポーク3内には、この操作体4Aや4Bの操作によって電気的接離を行う、プッシュスイッチ等の複数のスイッチ接点5Aや5Bが収納されている。
【0006】
また、6は車両のフロントパネル等に装着された液晶表示素子等の表示手段、7はマイコン等の電子部品によって形成された制御手段、8は車両の電子機器、例えば、エアコンやオーディオ機器等の駆動手段で、制御手段7にスイッチ接点5Aや5B、表示手段6、駆動手段8が接続されて入力装置が構成されている。
【0007】
以上の構成において、ステアリングホイール1を握りながら親指を伸ばし、例えば、右側の「TEMP∧」が表示された操作体4Aを押圧操作すると、この下面のスイッチ接点5Aの電気的接離が行われ、これに応じて制御手段7が表示手段6を制御して、例えば、エアコンの温度表示6Aが、図8(a)の平面図に示すような22度から、押圧操作回数に応じて、図8(b)に示すような25度の温度表示6Bに切換わる。
【0008】
また、同時に制御手段7が機器の駆動手段8の制御を行い、例えば、エアコンの温度設定が切換わって、車室内の温度が上昇する。
【0009】
つまり、ステアリングホイール1近傍に複数の操作体4を装着し、ステアリングホイール1から手を離すことなく、例えば親指のみを伸ばし、複数の操作体4のいずれかを操作して車両内の機器を制御することによって、特に運転中の機器の操作が容易に行えるように構成されているものであった。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−251557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の入力装置においては、操作体4がステアリングホイール1近傍に装着されてはいるものの、複数の操作体4を操作する際、それが何の機器のどんな操作を行う操作体4であるのかを、つまり各々の操作体の機能区分を、操作体の表示を見て、目視によって確認する必要があるため、操作しづらく、また、誤操作も生じ易いという課題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤操作がなく操作の行い易い入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、操作体の軽い操作によって電気的接離を行う軽スイッチ接点と、これより重い操作によって電気的接離を行う重スイッチ接点を設けると共に、制御手段が操作体の軽操作によって選択機能を表示手段に表示し、操作体の重操作によって機能の切換えを行うようにして入力装置を構成したものであり、操作体を軽く操作することで、何の機器のどんな操作を行うのかが表示手段に表示され、これを確認した後、重く操作することで、機器の機能の切換えが行われるため、誤操作がなく操作の行い易い入力装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、誤操作がなく、操作の容易な入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0016】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0017】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図、図6はステアリングの平面図であり、同図において、1はステアリングホイール、2はこの中央のエアーバッグ等を内蔵したパッドで、ステアリングホイール1とパッド2は複数のスポーク3によって連結されている。
【0018】
また、この左右のスポーク3のステアリングホイール1近傍には、ポリカーボネートやアクリル、ABS等の絶縁樹脂製で押圧操作可能な複数の操作体4が装着されると共に、スポーク3内には、この操作体4Aや4Bの操作によって電気的接離を行う、プッシュスイッチ等の複数のスイッチ15や16が収納されている。
【0019】
そして、これらのスイッチ15や16は、スイッチ内に軽い操作によって電気的接離を行う軽スイッチ接点15Aや16Aと、これより重い操作によって電気的接離を行う重スイッチ接点15Bや16Bの、複数のスイッチ接点が形成された、所謂二段操作型のスイッチ構成となっている。
【0020】
さらに、17は車両のフロントパネル等に装着された液晶表示素子等の表示手段、19はマイコン等の電子部品によって形成された制御手段、8は車両の電子機器、例えば、エアコンやオーディオ機器等の駆動手段で、制御手段19に軽スイッチ接点15Aや16A、重スイッチ接点15Bや16B、表示手段17、駆動手段8が接続されて入力装置が構成されている。
【0021】
以上の構成において、ステアリングホイール1を握りながら親指を伸ばし、例えば、右側の「TEMP∧」が表示された操作体4Aを軽く押圧操作すると、この下面のスイッチ15の軽スイッチ接点15Aの電気的接離が行われ、これに応じて制御手段19が表示手段17を制御して、例えば、図2(a)の平面図に示すような、エアコンの温度を表す22度の温度表示17Aから、図2(b)に示すような、逆L字状のマークが上方向を向いた選択機能表示17Bに切換わる。
【0022】
つまり、操作体4Aを軽く押圧操作すると、制御手段19がそれまでの温度表示17Aとは異なる、エアコンの温度を上昇させる操作を表す選択機能表示17Bを表示することによって、何の機器のどんな操作を行おうとしているのかが、操作者に判るようになっている。
【0023】
なお、この時、操作体4Aを操作しようとして、誤ってこの下方の「TEMP∨」が表示された操作体4Bを押圧した場合には、スイッチ15の軽スイッチ接点15Aではなく、操作体4B下面のスイッチ16の軽スイッチ接点16Aの電気的接離が行われる。
【0024】
したがって、これを制御手段19が検出して、表示手段17には、図4(c)の平面図に示すような、L字状のマークが下方向を向いた、意図したものとは異なる選択機能表示が表示されるため、誤った操作を行おうとしていることが判るようになっている。
【0025】
そして、それが意図したものである場合には、操作体4Aに指を当てたまま、さらに力を加えて押圧操作すると、この下面の重スイッチ接点15Bの電気的接離が行われ、これに応じて制御手段19が表示手段17を制御し、押圧操作回数に応じて、表示が図2(c)に示すような25度の温度表示17Cに切換わると共に、制御手段19が機器の駆動手段8の制御を行い、例えば、エアコンの温度設定が切換わって、車室内の温度が上昇する。
【0026】
つまり、操作体4Aに指を触れ軽く押圧操作すると、軽スイッチ接点15Aの電気的接離が行われて、何の機器のどんな操作を行うのかを表す選択機能表示17Bが表示手段17に表示され、これを確認した後、さらに重く操作すると、重スイッチ接点15Bの電気的接離が行われて、機器の機能の切換えが行われるようになっている。
【0027】
従って、操作の都度、その操作体4の選択機能が、車室内前方に装着された表示手段17に表示されるため、いちいち手元の操作体4の表示を目視によって確認しなくとも、視線は前方に向けたままで、操作しようとする操作体4の選択機能の確認を行うことが可能となり、特に運転中の機器の操作を、誤操作がなく容易に行うことができるように構成されている。
【0028】
なお、操作体4Aの軽操作時、表示手段17の液晶表示素子のセグメントを、例えば順次上方向へ表示することによって、選択機能の表示がより判り易くなり、さらに操作を容易に行うことができる。
【0029】
つまり、操作体4Aを軽く押圧操作した直後は、図3(a)の平面図に示すように、セグメントの下方の二つの帯のみを表示し、この後、図3(b)に示すように、中間部の二つの帯も表示した後、最後に図3(c)に示すように、上方の二つの帯も表示することによって、逆L字状のマークがあたかも上方向へ動いているように表示されるため、温度を上げようとしていることが視覚的に判るようになる。
【0030】
また、同様に、操作体4Bを軽操作した時には、図4(a)〜(c)に示すように、L字状のマークが下方向へ動いているように表示することによって、温度を下げようとしていることを判り易くすることができる。
【0031】
つまり、現状の液晶表示素子をそのまま用いても、上記のように制御手段19が表示手段17を制御して、セグメントを所定方向へ順次表示することで、動きがあり視覚的に判り易い選択機能を表示することができる。
【0032】
さらに、図5(a)の平面図に示すように、表示手段が液晶表示素子ではなく、文字パネルや押釦等が配列された表示手段20の場合には、制御手段19がこれらに装着された発光ダイオード等の発光素子の消点灯を制御することによって、選択した機能を判り易くすることができる。
【0033】
つまり、例えば、図6のステアリングホイール1左側の、空調を車内循環に切換える操作体4Cを軽く押圧操作した場合には、図5(b)に示すように、操作体4Cの機能が表示された箇所の発光素子20Aを、制御手段19が点滅させて、どんな操作を行うのかを表示する。
【0034】
そして、さらに操作体4Cが重く操作された場合には、制御手段19が機器の駆動手段8の制御を行い、例えば、空調を外気から車内循環に切換えると共に、発光素子20Aを点滅から点灯または消灯に切換えることによって、いちいち手元の操作体4Cの表示を目視によって確認しなくとも、前方の表示手段20で操作体4Cの選択機能の確認を行い、容易に操作を行うことができる。
【0035】
このように本実施の形態によれば、操作体4Aの軽い操作によって電気的接離を行う軽スイッチ接点15Aと、これより重い操作によって電気的接離を行う重スイッチ接点15Bを設けると共に、制御手段19が操作体4Aの軽操作によって選択機能を表示手段17に表示し、操作体4Aの重操作によって機能の切換えを行うことによって、軽く操作することで、何の機器のどんな操作を行うのかが表示手段17に表示され、これを確認した後、重く操作することで、機器の機能の切換えが行われるため、誤操作がなく操作の行い易い入力装置を得ることができるものである。
【0036】
なお、以上の説明では、操作体4Aや4Bの操作によって電気的接離を行うスイッチ15や16に、単品の所謂二段操作型のプッシュスイッチを用いた構成について説明したが、配線基板等に略ドーム状で導電金属製の可動接点を載置したものや、可撓性のゴム接点を用いたもの、シート状のメンブレンスイッチを用いたもの、或いは、これらを組合わせたもの等、様々なスイッチを用いても本発明の実施は可能である。
【0037】
また、制御手段19とスイッチ15や16、表示手段17、駆動手段8等の接続は、リード線やコネクタ等による電気的・機械的接続のほか、無線や光等を用いて接続を行ったものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明による入力装置は、誤操作がなく操作の行い易いものを実現でき、主に自動車の各種電子機器の制御用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図
【図2】同表示手段の平面図
【図3】同表示手段の平面図
【図4】同表示手段の平面図
【図5】同表示手段の平面図
【図6】ステアリングの平面図
【図7】従来の入力装置のブロック回路図
【図8】同表示手段の平面図
【符号の説明】
【0040】
1 ステアリングホイール
2 パッド
3 スポーク
4、4A、4B、4C 操作体
8 駆動手段
15、16 スイッチ
15A、16A 軽スイッチ接点
15B、16B 重スイッチ接点
17、20 表示手段
17A、17C 温度表示
17B 選択機能表示
19 制御手段
20A 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール近傍に装着された操作体と、この操作体の軽い操作によって電気的接離を行う軽スイッチ接点と、これより重い操作によって電気的接離を行う重スイッチ接点と、所定の機能を表示する表示手段と、これらに接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記操作体の軽操作によって選択機能を表示手段に表示すると共に、上記操作体の重操作によって機能の切換えを行う入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−257978(P2007−257978A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80279(P2006−80279)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】