説明

入力装置

【課題】構造が簡単でコストを低減することができ、また大型化に適した構造の入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置10は、鉛直方向Z上側に平面22を有する基部20と、断面形状に円弧部31aを有し、円弧部31aが基部20に対して転動可能に設けられ、重心30bが円弧部の中心31cよりも鉛直方向Z下側にあり、円弧部31aの中心31cと重心30bとが同一鉛直線上にある状態がこの入力装置10の正位置である転動部30と、転動部30の正位置からの傾きの大きさを検出してゲーム機1に対して検出信号を出力する磁気センサ23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向入力に適した入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム機等に対する入力装置には、例えばレバーを傾動させて方向を入力するジョイスティック等の入力装置があった(例えば特許文献1)。
しかし、従来の入力装置は、操作者が操作していない状態で、レバーが鉛直方向を向くように、バネ等の付勢部材を使用しているため構造が複雑であり、コストがかかっていた。また、従来の入力装置は、大型の装置にする場合には、レバー等の重量が増加するために、付勢力が大きなバネ等を利用しなければならない等、大型化に適した構造ではなかった。
【特許文献1】特開平10−283051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、構造が簡単でコストを低減することができ、また大型化に適した構造の入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0005】
請求項1の発明は、接続された機器(1,201)に対する入力装置(10,210,310)であって、鉛直方向(Z)上側に平面(22,222)を有する基部(20,220,320)と、断面形状に円弧部(31a,231a)を有し、前記円弧部が前記基部に対して転動可能に設けられ、重心(30b)が前記円弧部の中心より(31c)も鉛直方向下側にあり、前記円弧部の中心と前記重心とを結ぶ軸(30a)が、鉛直方向(Z)を向く状態がこの入力装置の正位置である転動部(30,230,330)と、前記転動部の前記正位置からの傾きの大きさを検出して前記機器に対して検出信号を出力する検出部(23)とを備えること、を特徴とする入力装置。
請求項2の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記転動部(30,230)は、球面を有し、前記円弧部(31a,231a)は、前記球面の断面形状の一部であること、を特徴とする入力装置。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の入力装置において、前記円弧部(31a,231a)は、半径が0.15m以上であること、を特徴とする入力装置。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の入力装置において、前記転動部(30,230,330)は、前記正位置の状態で、軸方向が鉛直方向(Z)である操作レバー(34,234)を有すること、を特徴とする入力装置。
請求項5の発明は、請求項4に記載の入力装置において、前記正位置の状態で、前記基部(220,320)の前記平面(222)から前記操作レバー(234)の上端部(234a)までの長さ(h22)が0.3m以上であること、を特徴とする入力装置。
請求項6の発明は、請求項4に記載の入力装置において、前記正位置の状態で、前記基部(20,320)の前記平面(22)から前記操作レバー(34)の上端部(34a)までの長さが1m以上であること、を特徴とする入力装置。
請求項7の発明は、請求項4に記載の入力装置において、前記正位置の状態で、前記基部(220,320)の設置面から前記操作レバー(234)の上端部(234a)までの高さ(h23)が、この装置の操作者(P)の前腕(P6)の長さ(L1)以上であること、を特徴とする入力装置。
請求項8の発明は、請求項4に記載の入力装置において、前記正位置の状態で、前記基部(20,320)の設置面(G)から前記操作レバー(34)の上端部(34a)までの高さ(h3)が、この装置の直立した操作者(P)の腰(P5)までの高さ以上であること、を特徴とする入力装置。
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の入力装置において、前記検出部(23)は、前記転動部(30,230,330)と一体で回転可能に設けられた磁石(33)と、前記基部(20,220,320)に設けられ、前記磁石の磁界の大きさを検出する磁気センサ(23)とを備えること、を特徴とする入力装置。
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の入力装置において、前記検出部は、前記転動部の角速度を検出すること、を特徴とする入力装置。
請求項11の発明は、請求項5から請求項10までのいずれか1項に記載の入力装置において、前記検出部は、前記操作レバーの略上端部に設けられた加速度センサを備えること、を特徴とする入力装置。
請求項12の発明は、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の入力装置において、前記基部(20,220,320)と前記転動部(30,230,330)とが分離可能であること、を特徴とする入力装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、転動部の重心が円弧部の中心よりも下側にあるので、転動部が重力の作用によって正位置へと復帰する。このため、装置の構造を簡単にすることができ、またコストを低減することができる。さらに、大型にして装置の構造が複雑にならないので、大型化に適した構造にすることができる。さらにまた、起き上がり小法師のように面白い動作で、転動部を正位置へと復帰させることができる。
(2)本発明は、円弧部が球面の断面形状であるので、転動部が多方向に転動することができるため、機器に対して多様な信号を入力することができる。
【0007】
(3)本発明は、円弧部の半径が0.15m以上であるので、操作者が掌で転がして操作するような大型の入力装置を、簡単な構造にすることができる。
(4)本発明は、正位置の状態で、軸方向が鉛直方向である操作レバーを有するので、操作性を向上でき、また機器に対して方向入力をする場合に、操作者が方向を把握しやすくすることができる。
(5)本発明は、基部の平面から転動部の操作レバーの上端部までの長さが0.3m以上であるので、例えば、机上に設置して、操作者が腕全体を動かして操作する大型の装置を簡単な構造にすることができる。
【0008】
(6)本発明は、設置面から操作レバーの上端部までの長さが1m以上であるので、例えば地面に設置し、操作者が直立して全身を動かして操作する大型の装置を簡単な構造にすることができる。
(7)本発明は、基部の平面から転動部の操作レバーの上端部までの高さが、この装置の操作者の前腕の長さ以上であるので、上記(5)と同様な効果を得ることができる。
【0009】
(8)本発明は、この装置の設置面から操作レバーの上端部まで高さが、この装置の操作者の腰までの高さ以上であるので、上記(6)と同様な効果を得ることができる。
(9)本発明は、検出部が磁気センサを備えるので、転動部の傾きを簡単な構成で検出することができる。また、上記(5)〜(8)で説明したように大型の装置の場合であって、円弧部が露出した構造のときにも、他のセンサ(例えば光学センサ等)に比べて埃等の影響を低減することができる。
【0010】
(10)本発明は、検出部が、転動部の角速度を検出するので、角速度を入力することができる。
(11)本発明は、操作レバーの略上端部に設けられた加速度センサを備えるので、例えば、操作者が操作レバーの上端部に与えた衝撃等を検出することができる。
(12)本発明は、基部と転動部が分離可能であるので、メンテナンスを容易にでき、また面白い態様にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、構造が簡単でコストを低減することができ、また大型化に適した構造の入力装置を提供するという目的を、入力装置が、鉛直方向上側に平面を有する基部と、断面形状に円弧部を有し、円弧部が基部に対して転動可能に設けられ、重心が円弧部の中心よりも鉛直方向下側にあり、円弧部の中心と重心とが同一鉛直線上にある状態がこの入力装置の正位置である転動部と、転動部の正位置からの傾きの大きさを検出してゲーム機に対して検出信号を出力する磁気センサとを備えることによって実現した。
【0012】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の入力装置10と、入力装置10が接続されたゲーム機1との斜視図である。
ゲーム機1は、プレイ画面を表示するためのLCD(液晶表示装置)等のモニタ2を備えている。
なお、図1において、モニタ2は、表示内容を説明するために表示画面が図中手前側を向いた状態を示すが、実際には表示画面がプレイヤP(操作者)に対向する方向(奥行方向後側B)を向くように設置される。
【0013】
図1に示すように、ゲーム機1(機器)は、大型のモニタ2を備えた装置である。ゲーム機1は、ゲームセンタ等の遊戯施設に設置されるが、これに限定されず家庭用のゲーム機であってもよい。このゲーム機1のゲームでは、プレイヤPは、入力装置10の操作レバー34を両腕P2で左右方向X及び奥行方向Yに傾動させて、モニタ2に表示されたキャラクタ2aを左右方向X2、上下方向Z2に移動させる。そして、プレイヤPは、直立した状態でプレイを進行し、足P3で操作ボタン24を操作して、モニタ2上でミサイル2bを発射したり爆弾2cを投下したりして、モニタ2に表示された敵2dを攻撃して、プレイを進行する。
【0014】
図2は、第1実施形態の入力装置10を示す図であり、図2(a)は、基部20の上面図(平面図)、図2(b)は、縦断面図(図1のII−II部矢視断面図)である。
入力装置10は、電気ケーブル4によってゲーム機1に対して電気的に接続され、プレイヤに操作されることにより、ゲーム機1に対して信号を出力する。入力装置10は、基部20と、転動部30とを備えている。
基部20は、箱状の部材である。基部20は、鉛直方向Z上側の表面21を窪ませて設けられ、転動部30の移動範囲に応じて、左右方向X及び奥行方向Yに延在する平面部22を有している。
基部20は、4つの磁気センサ23(23L,23R,23F,23B)と、2つの操作ボタン24とを有している。
【0015】
磁気センサ23は、基部20に内蔵されており、外部には露出していない。
磁気センサ23L,23Rは、基部20を鉛直方向Z上側から見たときに、左右方向Xの同一軸線上に設けられ、磁気センサ23Lは、平面部22の中心22aよりも左側Lに配置され、一方、磁気センサ23Rは、平面部22の中心22aよりも右側Rに配置されている。磁気センサ23L,23Rは、転動部30に設けられた磁石33(後述する)の磁界の大きさを検出することにより、磁気センサ23Lは、転動部30の左側Lへの傾きを検出し、一方、磁気センサ23Rは、転動部30の右側Rへの傾きを検出する。
【0016】
一方、磁気センサ23F,23Bは、基部20を鉛直方向Z上側から見たときに、奥行方向Yの同一軸線上に配置されている。磁気センサ23F,23Bは、磁気センサ23L,23Rとは配置されている軸が異なるが、その構造は、磁気センサ23L,23Rと同様である。磁気センサ23Fは、転動部30に設けられた磁石33(後述する)の磁界の大きさを検出することにより、転動部30の前側Fへの傾きを検出し、磁気センサ23Bは、転動部30の後側Bへの傾きを検出する。
磁気センサ23は、検出した磁界の大きさの検出信号を、それぞれ制御部6(後述する)に出力する。
【0017】
操作ボタン24は、基部20の表面21の後側Bの範囲に左右方向Xに並んで配置されている。操作ボタン24は、電気的接点を有するスイッチであり、プレイヤPに操作され接点がONにされると、ON信号を制御部6(後述する)に対して出力する。
【0018】
図2(b)に示すように、転動部30は、正位置の状態で、その中心軸30aが平面部22の中心22aに一致するように配置される。転動部30は、基部20の平面部22の上に単に載置したのみの形態であり、鉛直方向Z上側に持ち上げれば、簡単に分離可能である。
これによって、入力装置10は、清掃、部品交換等のメンテナンスを容易にでき、また面白い態様にすることができる。また、転動部30は、鉛直方向Zの軸回りに自由に回転することができるので面白さを向上でき、また鉛直方向Zの軸回りに無理な力が加わることがなく故障等を防止することができる。
転動部30は、球体部31と、重り32と、磁石33と、操作レバー34とを備えている。
【0019】
球体部31は、内部が空洞の球体である。球体部31は、断面形状に円弧部31aを有し、基部20の平面部22上を転動可能である。転動部30は、円弧部31aが球面によって形成されるので多方向に傾動することができ、本実施形態では、4方向への傾きの大きさを、ゲーム機1に対して入力することができる。円弧部31aの中心31cと転動部30の重心30bとが同一鉛直線上にある状態が、転動部30の正位置である。つまり、転動部30は、正位置の状態では、その中心軸30aが鉛直方向Zに平行になる。
【0020】
重り32は、球体部31の底部に収容されている。重り32は、転動部30の重心30bが円弧部31aの中心31cよりも下側になるように、その質量が設定されている。
これによって、転動部30は、正位置よりも傾いた状態から、重力の作用によって起き上がり小法師のように正位置へと復帰する。このため、入力装置10は、バネ等の付勢部材を利用しなくても正位置へと復帰するため、構造を簡単にすることができ、またコストを低減することができる。
【0021】
磁石33は、転動部30と一体で回転移動可能に設けられた円板状の永久磁石である。磁石33は、正位置の状態で、表面の法線方向が鉛直方向になるように配置される。磁石33は、転動部30と一体で回転移動可能に、球体部31内に収容され固定されている。磁石33は、その中心が、転動部30の中心軸30aに一致するように配置されている。磁石33は、転動部30が傾くと基部20の磁気センサ23からの距離が変化する。そてて、この磁界の大きさの変化が、磁気センサ23によって検出される。磁気センサ23によって検出される磁界の大きさは、転動部30の傾きの大きさに対応しているので、入力装置10は、転動部30の傾きの大きさを検出することができる。
【0022】
このように、入力装置10の検出部は、磁石33と磁気センサ23とから構成される。このため、入力装置10は、他の構成の検出部(例えば光学センサを有する検出部)に比べて、転動部30の傾きを簡単な構成で検出することができる。また、入力装置10は、本実施形態のように大型の装置の場合であって、円弧部31aを露出した構造にしたときも、他の構成の検出部に比べて埃等の影響を低減でき、メンテナンスを容易にすることができる。
【0023】
操作レバー34は、球体部31から突出するように設けられた軸体である。操作レバー34は、入力装置10が正位置の状態で、軸方向が鉛直方向になるように設けられている。入力装置10は、操作レバー34を有するので、操作性を向上でき、またゲーム機1に対して方向入力をする場合に、プレイヤPに方向を把握しやすくすることができる。操作レバー34は、プレイヤPが両腕P2の掌P4で把持して操作しやすいように、操作レバー34の上端部34aに球体状の把持部34bを備えている。
【0024】
入力装置10の大きさは、基部20の平面部22の高さh1が設置面Gから100mm程度である。また、入力装置10が正位置の状態で、基部20の平面部22から操作レバー34の上端部34aつまり把持部34bの上端部までの高さh2が1m程度以上である。入力装置10は、このような大きさであるので、大人のプレイヤPが直立した状態で、設置面Gから操作レバー34の上端部32aまでの高さh3が、プレイヤPの腰P5までの高さ以上になる(図1参照)。
入力装置10は、このように大型の形状にすることにより、プレイヤPが全身を動かして操作する面白い態様の装置にすることができる。
【0025】
次に、入力装置10とゲーム機1とのブロック図について説明する。
図3は、第1実施形態の入力装置10とゲーム機1とのブロック図である。
入力装置10は、前述したように、磁気センサ23と、操作ボタン24とを備えている。
【0026】
ゲーム機1は、記憶部5と、制御部6と、モニタ2等とを備えている。
記憶部5は、ゲーム機1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。記憶部5は、プレイを進行させるゲームプログラム5aが記憶されている。
【0027】
制御部6は、ゲーム機1を統括的に制御するための制御部であり、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。制御部6は、記憶部5に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。制御部6は、入力制御部6aと、ゲーム進行制御部6bとを備えている。
入力制御部6aは、入力装置10からの信号を受け付けて、ゲーム進行制御部6bへと伝達する制御部である。入力制御部6aは、磁界の大きさの検出信号等を入力装置10から受け付けて、その検出信号を分析して転動部30の傾きを算出して、ゲーム進行制御部6bに伝達する。
ゲーム進行制御部6bは、入力制御部6aからの信号に基づいて、ゲームの進行を統括的に制御する制御部である。
【0028】
次に、本実施形態のゲーム機1と入力装置10との動作について説明する。
図1に示すように、プレイヤPが操作レバー34を両方の掌P4で把持して前後左右方向に力を加えると、図2(b)に示すように、円弧部31aが平面部22上を転がることによって、転動部30が力を加えられた方向に傾動する。磁石33は、球体部31に固定されているので、転動部30と一体で回転し、基部20の磁気センサ23からの距離が変化する。磁気センサ23は、磁界の大きさの検出信号を制御部6に出力すると、入力制御部6aは、磁界の大きさ検出信号に必要な処理をして、ゲーム進行制御部6bに伝達する。ゲーム進行制御部6bは、入力制御部6aから伝達された信号に基づいて、図1に示すように、モニタ2上のキャラクタ2aを上下左右に移動する。また、ゲーム進行制御部6bは、操作ボタン24が操作された場合には、ミサイル2b等を撃って、敵2dを攻撃する。
【0029】
プレイヤPが操作レバー34から両腕P2を離したりして、転動部30に力が加えられなくなると、重り32によって転動部30の重心30bが円弧部31aの中心31cよりも下側になるように設定されているので、転動部30は、傾いた状態から正位置へと復帰する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の入力装置10は、転動部30の重心30bが円弧部31aの中心31cよりも下側にあるので、重力の作用によって正位置へと復帰する。このため、大型にした場合であっても、構造を簡単にすることができ、またコストを低減することができる。
さらに、入力装置10は、従来のバネ等を利用したジョイスティック等とは異なり、起き上がり小法師のようなゆっくりとした面白い動作で、転動部30を正位置へと復帰させることができる。
【0031】
また、本実施形態の入力装置10は、磁石33と磁気センサ23とから構成される検出部が、磁界の大きさつまり転動部30の傾きを検出できるので、構造をより一層簡単にすることができる。また、検出部が、外部に露出しない構造にできるので、他の構成の検出部に比べて埃等の影響を低減でき、メンテナンスを容易にすることができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した入力装置の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図4は、第2実施形態の入力装置210とゲーム機201とを示す側面の断面図である。
ゲーム機201は、プレイヤPが椅子207に座り、モニタ202を見ながらプレイを進行するタイプの装置である。
入力装置210は、600mm程度の高さの机208の上に載置される。
転動部230は、正位置の状態で、基部220の平面部222から操作レバー234の上端部234aまでの高さh22が0.3m以上である。入力装置210は、このような大きさであるので、大人のプレイヤPの場合、基部220の設置面である机上から操作レバー234の上端部234aまでの高さh23が、プレイヤPの前腕P6の長さL1以上になる。
以上の構成にすることにより、入力装置210は、プレイヤPが椅子207に座った状態で、両腕P2全体を動かして操作する装置を、簡単な構造にすることができる。
【0033】
(第3実施形態)
次に、本発明を適用した入力装置の第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態の入力装置310を示す側面の断面図である。
入力装置310は、転動部330に、第1及び第2実施形態の球体部31の代わりとして半円板部331を設けたものである。
半円板部331は、内部が空洞であり、球体部31と同様に重り及び磁石(図示せず)が収容されている。
基部320には、半円板部331が左右方向Xに転動できるように、左右方向Xに長い溝325が設けられている。
入力装置310は、上記構成によって、操作レバー234に左右方向Xに力を加えると、転動部330が左右方向Xに傾動し、基部320の内部に設けた磁気センサが、半円板部331の磁石の磁界の大きさを検出する。
これによって、入力装置310は、左右方向Xの転動部330の傾きの大きさに対応した磁界の大きさを、ゲーム機(図示せず)に出力することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0035】
(変形形態)
(1)本実施形態において、入力装置は、磁界の大きさに基づいて転動部の傾きを検出する例を示したが、これに限定されない。例えば、入力装置は、光センサ、可変抵抗器等によって、転動部の傾きを検出してもよい。
【0036】
(2)本実施形態において、入力装置は、磁界の大きさを検出することにより、転動部の傾きのみを検出する例を示したが、これに限定されない。入力装置は、転動部の角速度を検出できるようにしてもよい。この場合、例えば、磁界の大きさの変化に基づいてこの角速度を検出しても、あるいは、操作レバーの上端の範囲等に加速度センサを設けてもよい。
これにより、入力装置は、転動部の傾きだけでなく、転動部の角速度や転動部に与えられた衝撃を検出することができる。このため、例えば、操作レバー上部にクッション体を設けて、プレイヤが殴打して衝撃を与えるボクシングゲーム等の入力装置に使用することができる。
【0037】
(3)本実施形態において、転動部は、円弧部が、球状又は半円板状の部材に設けられた例を示したが、これに限定されない。円弧部を有すればその形状は、球体に限らず、例えば、半球でもよい。
【0038】
(4)本実施形態において、転動部は、操作レバーを有する例を示したが、これに限定されない。転動部は、操作レバーを有さずに、磁石等を収容する球体部のみの構成でもよい。この場合、操作者が掌で転がして操作するような大型の入力装置を、簡単な構造にすることができる。なお、この場合には、操作性を向上するために、円弧部の半径が0.15m以上とするとよい。
【0039】
(5)本実施形態において、入力装置は、ゲーム機に対して入力する例を示したが、これに限定されない。入力装置から信号が入力される機器は、方向が入力される電気機器であれば限定されず、例えばラジオコントロールによる模型等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態の入力装置とゲーム機との斜視図である。
【図2】第1実施形態の入力装置を示す図であり、基部の上面図(平面図)及び縦断面図である。
【図3】第1実施形態の入力装置とゲーム機とのブロック図である。
【図4】第2実施形態の入力装置とゲーム機とを示す側面の断面図である。
【図5】第3実施形態の入力装置を示す側面の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1,201 ゲーム機
4 電気ケーブル
5 記憶部
6 制御部
10,210,310 入力装置
20,220,320 基部
22,222 平面部
23(23L,23R,23F,23B) 磁気センサ
30,230,330 転動部
31 球体部
31a,231a 円弧部
32 重り
33 磁石
34,234 操作レバー
331 半円板部
P6 前腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された機器に対する入力装置であって、
鉛直方向上側に平面を有する基部と、
断面形状に円弧部を有し、前記円弧部が前記基部に対して転動可能に設けられ、重心が前記円弧部の中心よりも鉛直方向下側にあり、前記円弧部の中心と前記重心とを結ぶ軸が鉛直方向を向く状態がこの入力装置の正位置である転動部と、
前記転動部の前記正位置からの傾きの大きさを検出して前記機器に対して検出信号を出力する検出部とを備えること、
を特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記転動部は、球面を有し、
前記円弧部は、前記球面の断面形状の一部であること、
を特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の入力装置において、
前記円弧部は、半径が0.15m以上であること、
を特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の入力装置において、
前記転動部は、前記正位置の状態で、軸方向が鉛直方向である操作レバーを有すること、
を特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置において、
前記正位置の状態で、前記基部の前記平面から前記操作レバーの上端部までの長さが0.3m以上であること、
を特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項4に記載の入力装置において、
前記正位置の状態で、前記基部の前記平面から前記操作レバーの上端部までの長さが1m以上であること、
を特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項4に記載の入力装置において、
前記正位置の状態で、前記基部の設置面から前記操作レバーの上端部までの高さが、この装置の操作者の前腕の長さ以上であること、
を特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項4に記載の入力装置において、
前記正位置の状態で、前記基部の設置面から前記操作レバーの上端部までの高さが、この装置の直立した操作者の腰までの高さ以上であること、
を特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の入力装置において、
前記検出部は、
前記転動部と一体で回転可能に設けられた磁石と、
前記基部に設けられ、前記磁石の磁界の大きさを検出する磁気センサとを備えること、
を特徴とする入力装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の入力装置において、
前記検出部は、前記転動部の角速度を検出すること、
を特徴とする入力装置。
【請求項11】
請求項5から請求項10までのいずれか1項に記載の入力装置において、
前記検出部は、前記操作レバーの略上端部に設けられた加速度センサを備えること、
を特徴とする入力装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の入力装置において、
前記基部と前記転動部とが分離可能であること、
を特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−276879(P2009−276879A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125557(P2008−125557)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】