説明

入室監視システム、入室監視方法及びプログラム

【課題】被写体(動体)が入室した時点から、撮影装置による当該被写体の監視を確実に開始できるようにする。
【解決手段】開閉指示装置(10)において、扉の開扉要求が発生した際に、扉の開扉を許可するか否かを判断し(S804)、S804で扉の開扉を許可する判断をした場合に、監視装置(30)に対して、撮影装置を用いた扉を介して入室する被写体の撮影指示を行い(S805)、S805の撮影指示を行った後、監視装置(30)から、当該被写体を撮影する撮影装置の撮影準備が完了した通知を受信した場合に、扉制御装置(20)に対して、扉の開扉指示を行うようにする(S810)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を介して入室した動体を監視する入室監視システム、当該入室監視システムに含まれる開閉指示装置、入室監視方法、及び、当該入室監視方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入室管理や犯罪防止を目的として、監視カメラの利用や、個人を特定するための生体の特徴量を用いた認証(生体認証)、ICカードによる認証(ICカード認証)等が提案され、実用化されてきた。
【0003】
従来、生体認証やICカード認証などを行う認証装置と入室後の行動を監視する監視カメラを合わせて用いて入室監視を行う入室監視システムとしては、例えば、次に挙げるようなものがあった。
【0004】
従来例としては、認証装置による扉の開扉制御が行われた後、カメラの作動を開始して追跡動作を行うようにしたシステムがある(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−222773号公報
【特許文献2】特開2007−208659号公報
【特許文献3】特開2001−40923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のシステムでは、扉が開いた際に、室内の監視カメラが入室してくる人を撮影できる姿勢になっているという保障は無かった。この場合、人が扉を通過した時点からの追跡を確実に行うことが困難であるため、見失いが発生するという問題がある。
【0007】
具体的に、特許文献1の技術では、開錠のタイミングで追跡用カメラを作動させるようにしているが、作動時点でのカメラの撮影範囲や姿勢によっては、入室する人を追跡するまでに時間差が生じるため、入室後の監視対象者を見失う恐れがある。
【0008】
即ち、従来の入室監視システムでは、監視対象者(被写体)が入室した時点から、監視カメラ(撮影装置)による当該監視対象者(被写体)の監視を確実に開始することが困難であり、監視対象者を見失う恐れがあるという問題があった。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、被写体が入室した時点から、撮影装置による当該被写体の監視を確実に開始できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の入室監視システムは、扉を介して入室した被写体を監視する入室監視システムであって、前記扉の開閉に係る開閉指示を行う開閉指示装置と、前記開閉指示装置からの扉の開閉指示に応じて、前記扉の開閉制御を行う扉制御装置と、前記扉を介して入室した被写体を撮影装置で撮影して監視する監視装置とを有し、前記開閉指示装置は、前記扉の開扉をする場合に、前記監視装置に対して前記撮影装置を用いた前記扉を介して入室する前記被写体の撮影指示を行う撮影指示手段と、前記撮影指示に応じて前記監視装置から当該被写体を撮影する前記撮影装置の撮影準備が完了した通知を受信した後に、前記扉制御装置に対して前記扉の開扉指示を行う開扉指示手段とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被写体が入室した時点から、撮影装置による当該被写体の監視を確実に開始することができる。これにより、入室してきた動体である被写体の見失いを防ぐことができ、当該被写体の追跡精度を高めることができるため、トータルセキュリティの向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を用いて、詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る入室監視システム1のシステム構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る入室監視システム1は、開閉指示装置10と、扉制御装置20と、監視装置30と、ネットワーク40を有して構成されている。
【0014】
開閉指示装置10は、認証装置11を具備しており、認証装置11の認証結果に基づいて入室希望者からの扉の開閉要求に対する開閉の可否を判断し、扉制御装置20に扉の開閉指示を行うものである。
【0015】
扉制御装置20は、開閉指示装置10からの扉の開閉指示に応じて、扉を開閉する制御を行うものである。ここで、扉制御装置20により開閉制御がなされる扉は、室内と室外を画定するものである。
【0016】
監視装置30は、扉を介して室内に入室した監視対象の動体を監視するものである。この監視装置30は、撮影装置群31と、カメラ制御サーバ32と、モニタ33と、入力端末34を有して構成されている。
【0017】
撮影装置群31は、複数のカメラで構成され、扉を介して室内に入室した監視対象の被写体の撮影を行うものである。当然、撮影装置は、1台のカメラで構成されてもよい。撮影装置群31を構成するカメラは、それぞれが独立してネットワーク40に接続し、外部との通信によってPTZ制御(パン・チルト・ズーム制御)等が可能なネットワークカメラである。
【0018】
カメラ制御サーバ32は、例えば、撮影装置群31のカメラとネットワーク40を経由して通信を行って、カメラの動作制御を集中して行うものである。このカメラ制御サーバ32は、ネットワークI/F部321と、入口撮影カメラ決定部322と、追跡指示部323と、カメラ制御部324のシステム構成を有して構成されている。
【0019】
ネットワークI/F部321は、撮影装置群31のカメラに対してカメラ制御部324からのPTZ制御データを送信したり、或いは、カメラからのイベントデータを受信したりする。入口撮影カメラ決定部322は、外部からの要求(例えば、入力端末34からの要求)に応じて、撮影装置群31のカメラの中から入口扉付近を撮影するカメラを決定するものである。この入口撮影カメラ決定部322によるカメラの決定により、カメラ制御部324は、当該カメラにネットワークI/F部321を介して制御データを送信する。追跡指示部323は、例えば、動体である被写体を追跡するようにカメラのPTZ制御の指示を行うものである。カメラ制御部324は、カメラ制御サーバ32全体を制御するものである。
【0020】
モニタ33は、例えば、管理者が必要に応じてカメラで撮影した映像を確認するための表示装置である。入力端末34は、例えば、管理者が必要に応じてカメラの制御を自由に行うために、カメラ制御サーバ32に対して入力指示を行うためのものである。
【0021】
また、入室監視システム1では、開閉指示装置10、扉制御装置20、撮影装置群31のカメラ、カメラ制御サーバ32、モニタ33及び入力端末34が、それぞれ、ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。具体的に、これらの装置は、例えば、パケット通信によって互いにデータのやり取りが可能となるように、ネットワーク40を介して接続されている。
【0022】
なお、本実施形態では、ネットワーク40をTCP/IPネットワークで構成したものを想定している。しかしながら、この形態に限定されるわけではなく、例えば、開閉指示装置10と扉制御装置20との間の通信に関して、セキュリティ装置間のインタフェースにおける世界標準規格であるWiegandインタフェースを用いることも可能である。
【0023】
図2は、図1に示すカメラ制御サーバ32のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図2において、CPU201は、ROM202または記憶装置であるハードディスク(HD)209に記憶されているプログラム等を実行し、システムバス204に接続される各デバイス(202、203、205〜207)を総括的に制御する。
【0025】
ROM202は、自装置の設定データや、ブートプログラム(起動プログラム:自装置動作を開始するプログラム)等を記憶している。
【0026】
RAM203は、HD209やROM202からロードされたプログラムやデータ、或いは、ネットワークI/F(インタフェース)部207を介して他の装置から受信したプログラムやデータ等を一時的に記憶するためのエリアを提供する。更に、RAM203は、CPU201が各種の処理を実行する際に用いるワークエリア等の各種のエリアを適宜提供することができる。
【0027】
システムバス204は、各デバイス(201〜203、205〜207)を通信可能に接続する。
【0028】
入力デバイスコントローラ205は、入力デバイス208から入力される信号を、システムバス204を介して各デバイスに入力する制御を行う。
【0029】
ディスクコントローラ206は、HD209に記憶(保存)されている、OS(オペレーティングシステム)や自装置が行う後述の各処理をCPU201に実行させるためのプログラムやデータ等を読み出す処理を行う。具体的に、ディスクコントローラ206は、CPU201による制御に従って、HD209に記憶(保存)されているプログラムやデータ等を、適宜RAM202にロードする。更に、ディスクコントローラ206は、必要に応じて、CPU201で処理されたデータ等をHD209に書き込む処理を行う。
【0030】
ネットワークI/F(インタフェース)部207は、ネットワーク40を介して他の装置(外部装置)とデータ通信を行う。
【0031】
ここで、図1に示すカメラ制御サーバ32において、入口撮影カメラ決定部322、追跡指示部323及びカメラ制御部324は、例えば、図2に示すCPU201及びHD209内に記憶されるプログラムから構成される。また、図1に示すカメラ制御サーバ32において、ネットワークI/F部321は、図2に示すネットワークI/F(インタフェース)部207に相当する。
【0032】
なお、図2に示すカメラ制御サーバ32では、内部に、入力デバイス208が構成されている形態を示しているが、この入力デバイス208の機能を図1に示す入力端末34として構成し、当該入力デバイス208を省略する形態であってもよい。
【0033】
以上、図2を用いて、カメラ制御サーバ32のハードウエア構成について説明を行ってきたが、本実施形態においては、図2に示す開閉指示装置10及び扉制御装置20も、図2に示すハードウエア構成を有して構成されている。この場合、図1に示す開閉指示装置10において、認証装置11は、図2に示す入力デバイス208として機能する。
【0034】
次に、本実施形態に係る入室監視システム1の実施例について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る入室監視システム1の実施例を示す全体図である。図3に示す入室監視システム1には扉301が設けられており、この扉301により、室内と室外が画定されている。
【0035】
図3に示す室内には、撮影装置群31として、カメラ311、312、313、314及び315が、それぞれ、所定の位置に設置されている。監視装置30は、既存の入室者52、53、54及び55については、それぞれ、移動状況やその他の予め設定された監視条件等に応じて、各カメラの間で撮影による追跡処理を引き継ぎながら、監視動作を行う。この際、各カメラの間で追跡処理を引き継ぐ方法に関しては、既存の技術を用いればよく、例えば、特許文献2に開示されている方法を用いることができる。
【0036】
室内と室外は、通常は、扉301で遮断されており、室外の入室希望者51が室内に入室しようとする場合、室外に設置された認証装置11で認証操作を行い、その認証の結果、開扉が許可された場合のみ、扉301が開くようになっている。
【0037】
次に、図3に示す入室監視システム1の動作について説明する。
図4〜図7は、図3に示す入室監視システム1の動作の一例を示す模式図である。以下、図4から順次説明を行う。
【0038】
まず、図4は、入室希望者51が、認証装置11を操作して開扉要求を行っている様子を示している。この開扉要求の前の状態では、室内のカメラ311及び312は、図4に示すように、共に既存の入室者52を追跡して撮影を行っている。そして、入室希望者51からの開扉要求の発生によって、カメラ311が、扉301付近を撮影するようにその姿勢の変更を開始する。
【0039】
認証装置11により扉301の開扉が許可される。そして、カメラ311が扉301付近を撮影する姿勢で撮影を開始した後、続いて、図5に示すように、扉301が開き、入室希望者51の入室が可能となる。この際、扉301が開いた時点で、カメラ311が扉301付近を撮影しているため、入室希望者51の監視動作を確実に開始することができ、室内での追跡動作の引継ぎに必要な生体の特徴量等を示す映像情報の取得も容易となる。
【0040】
図6は、入室希望者56が、認証装置11を操作して入室希望者51とともに入室するための開扉要求を行っている様子を示している。この際、複数人で同時入室を許可するような場合の認証方法としては、既存の技術を用いればよく、例えば、特許文献3に開示されている方法を用いることができる。この開扉要求の前の状態では、室内のカメラ311及び312は、図6に示すように、共に既存の入室者52を追跡して撮影を行っている。この場合、入室希望者56からの開扉要求の発生によって、カメラ311及び312が、扉301付近を撮影するようにその姿勢の変更を開始する。
【0041】
認証装置11により扉301の開扉が許可される。そして、カメラ311及び312が共に扉301付近を撮影する姿勢で撮影を開始した後、続いて、図7に示すように、扉301が開き、入室希望者51及び56の入室が可能となる。この際、扉301が開いた時点で、カメラ311及び312が扉301付近を撮影しているため、入室希望者51及び56の双方を確実に捉えることができる。これにより、入室希望者51及び56の室内での追跡動作の引継ぎに必要な生体の特徴量等を示す映像情報の取得が容易となると共に、入室希望者51及び56の入室した後の移動経路が分岐した場合でも、それぞれの追跡が容易となるという効果もある。
【0042】
なお、入室希望者56による開扉要求の前に、室内のカメラ311及び312が追跡撮影を行っていた入室者52については、図3に示す他のカメラ313〜315が、入室者52の移動状況等に応じて、追跡処理を引き継ぎながら監視動作を行うことになる。
【0043】
次に、本実施形態に係る入室監視システム1の全体に係る入室監視方法の処理手順について説明する。
【0044】
図8は、本発明の実施形態に係る入室監視システム1の入室監視方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートには、これまで説明してきた室外の入室希望者からの開扉要求を受けてから、入室扉が開くまでの一連の処理の流れが示されている。
【0045】
また、図8に示す一連の処理は、開閉指示装置10のCPU201による処理、扉制御装置20のCPU201による処理、及び、監視装置30(カメラ制御サーバ32)のCPU201による処理が連動して行われる。この際、開閉指示装置10のCPU201は、例えば、自装置のHD209内に記憶されるプログラムを実行することにより、図8に示す開閉指示装置10における処理を行う。同様に、扉制御装置20のCPU201は、例えば、自装置のHD209内に記憶されるプログラムを実行することにより、図8に示す扉制御装置20における処理を行う。また、同様に、カメラ制御サーバ32のCPU201は、自装置のHD209内に記憶されるプログラムを実行することにより、図8に示す監視装置30における処理を行う。
【0046】
また、図8には特に示していないが、開閉指示装置10、扉制御装置20及び監視装置30には、それぞれ、起動処理及び終了処理があり、図8は、全ての装置の起動処理完了後に動作を続けている間の処理の流れを示している。
【0047】
まず、図8に示す処理を開始する時点では、扉301は閉じられている状態(閉扉状態)とする。
【0048】
ステップS801において、開閉指示装置10のCPU201は、監視対象の動体である室外の入室希望者から、認証装置11を介して、開扉要求があるか否かを判断する。この開扉要求は、入室希望者が認証装置11において認証の操作を行うことで発生する。
【0049】
ステップS801の判断の結果、入室希望者から開扉要求がない場合には(S801/NO)、ステップS802に進む。ステップS802に進むと、開閉指示装置10のCPU201は、扉制御装置20に対して、扉301の閉扉指示を送信する。
【0050】
続いて、ステップS803において、扉制御装置20のCPU201は、開閉指示装置10からの扉301の閉扉指示に応じて、扉301の閉扉動作を行う。即ち、この場合、扉制御装置20のCPU201は、扉301の閉扉を維持する制御を行う。ステップS803の処理が終了すると、ステップS801の処理に戻る。
【0051】
一方、ステップS801の判断の結果、入室希望者から開扉要求がある場合には(S801/YES)、ステップS804に進む。ステップS804に進むと、開閉指示装置10のCPU201は、認証装置11による認証結果に基づいて、扉301の開扉を許可するか否かを判断する。具体的に、認証装置11による入室希望者の認証がOKである場合には、扉301の開扉を許可する判断がなされ、認証装置11による入室希望者の認証がNGである場合には、扉301の開扉を許可しない(即ち、禁止する)判断がなされる。
【0052】
この際、認証装置11による認証としては、例えば、入室希望者に対する生体認証を適用することが可能である。なお、認証装置11による認証としては、必要とされるセキュリティに応じて、ICカードによる認証や、赤外線センサ等による自動検知の結果で直接開扉の許可に用いるなどの方法(認証)を用いてもよい。
【0053】
ステップS804の判断の結果、扉301の開扉を許可しない場合には(S804/NO)、ステップS801に戻る。
【0054】
一方、ステップS804の結果、扉301の開扉を許可する場合には(S804/YES)、ステップS805に進む。ステップS805に進むと、開閉指示装置10のCPU201は、監視装置30(カメラ制御サーバ32)に対して、入室希望者の撮影指示を送信する。
【0055】
続いて、ステップS806において、カメラ制御サーバ32のCPU201は、開閉指示装置10からの入室希望者の撮影指示に基づいて、扉301の付近を撮影するカメラがあるか否かを判断する。
【0056】
具体的に、ステップS806の処理は、カメラ制御サーバ32のCPU201における図1の入口撮影カメラ決定部322及びカメラ制御部324の機能により行われる。
より詳細に、まず、入口撮影カメラ決定部322は、ステップS805の撮影指示があると、撮影装置群31を構成する複数のカメラのそれぞれの撮影状態を調べて、扉301の付近を撮影しているカメラが開扉要求数分あるかどうかを確認する。具体的には、入口撮影カメラ決定部322は、カメラの現在の撮影方向(パン,チルト角度の値)およびズーム倍率に関する情報を各カメラから取得し、これらの値が各カメラに対して予め設定された値の範囲内であるかを判断する。これによって扉301付近を撮影しているカメラであるか否かを判断し、さらに何台のカメラが撮影範囲を向いているかを判断することができる。そして、カメラ制御部324は、入口撮影カメラ決定部322において扉301付近を撮影しているカメラが既に開扉要求数分あることが確認された場合、扉301の付近を撮影するカメラがあると判断する。また、カメラ制御部324は、入口撮影カメラ決定部322において扉301付近を撮影しているカメラが開扉要求数分ないことが確認された場合、扉301の付近を撮影するカメラがないと判断する。
【0057】
ステップS806の判断の結果、扉301の付近を撮影するカメラがない場合(即ち、扉301付近を撮影しているカメラが開扉要求数分ない場合)には(S806/NO)、ステップS807に進む。
【0058】
ステップS807に進むと、カメラ制御サーバ32のCPU201は、扉301の付近を撮影するカメラを決定する処理を行う。
【0059】
具体的に、ステップS807の処理は、カメラ制御サーバ32のCPU201における図1の入口撮影カメラ決定部322の機能により行われる。
より詳細に、入口撮影カメラ決定部322は、撮影装置群31のカメラの中から、予め設定された優先度(更には、扉301に近いカメラの配置、カメラが動体である被写体を追尾していないなどの監視条件)等に基づいて、扉301付近を撮影するカメラを、開扉要求数分に対する不足分だけ決定する。
【0060】
続いて、ステップS808において、カメラ制御サーバ32のCPU201は、ステップS807で決定した扉301付近を撮影するカメラに対する制御が終了したか否かを判断する。
【0061】
具体的に、ステップS808の処理は、カメラ制御サーバ32のCPU201における図1のカメラ制御部324の機能により行われる。
より詳細に、カメラ制御部324は、ステップS807で入口撮影カメラ決定部322により決定されたカメラに対して、ネットワークI/F部321を介して、扉301付近を撮影するための姿勢をとる旨の指示に係る制御データ(制御信号)を送信する。その後、カメラ制御部324は、制御データを送信したカメラから当該制御の完了を示すイベントデータ(イベント信号)が送信されてくるのを待つ。そして、カメラ制御部324は、制御データを送信した全てのカメラからイベントデータを受信したか否かに応じて、ステップS807で決定した扉301付近を撮影するカメラに対する制御が終了したか否かを判断する。
【0062】
なお、PTZ制御(パン・チルト・ズーム制御)が可能なネットワークカメラでは、通常、複数のプリセットポジション情報(パン・チルト・ズーム値)をメモリに保持できる。このため、予めカメラの設置時に入口付近(扉301)を撮影するポジション情報をメモリから読みだすことで、カメラ制御サーバ32からの姿勢制御の指示に応じて扉付近の撮影を行うためのカメラの制御を容易に行うことができる。なお、カメラ制御サーバ32側のメモリに、各ネットワークカメラが扉付近を撮影範囲とするためのプリセットポジション情報を記憶させてもよい。また、プリセットポジションの制御指示に対するカメラ側の制御の完了は、カメラ側からイベントデータとして送信することができるようになっている。このカメラ側の制御の完了通知は、直接、開閉指示装置10に通知してもよいし、カメラ制御サーバ32を経由して開閉指示装置10に通知してもよい。
【0063】
ステップS808の判断の結果、ステップS807で決定した扉301付近を撮影するカメラに対する制御が終了していない場合には(S808/NO)、ステップS808で待機する。即ち、ステップS808の判断の結果、ステップS807で決定した全てのカメラからは未だイベントデータを受信していない場合には、ステップS808で待機することになる。
【0064】
一方、ステップS808の判断の結果、ステップS807で決定した扉301付近を撮影するカメラに対する制御が終了した場合には(S808/YES)、ステップS809に進む。即ち、ステップS808の判断の結果、ステップS807で決定した全てのカメラからイベントデータを受信した場合には、ステップS809に進むことになる。
【0065】
ステップS809に進むと、カメラ制御サーバ32のCPU201は、開閉指示装置10に対して、一又は複数のカメラによる扉301付近の撮影準備が完了した旨の通知データを送信する。
【0066】
具体的に、ステップS809の処理は、カメラ制御サーバ32のCPU201における図1のカメラ制御部324の機能により行われる。
より詳細に、カメラ制御部324は、開閉指示装置10に対して、ネットワークI/F部321を介して扉301付近の撮影準備が完了した旨の通知データを送信する。
【0067】
続いて、ステップS810において、開閉指示装置10のCPU201は、監視装置30から扉301付近の撮影準備が完了した旨の通知データを受信すると、扉制御装置20に対して、扉301の開扉指示を送信する。
【0068】
続いて、ステップS811において、扉制御装置20のCPU201は、開閉指示装置10からの扉301の開扉指示に応じて、扉301の開扉動作を行う。ステップS811の処理が終了すると、ステップS801の処理に戻る。
【0069】
なお、扉301の開扉要求が複数でも同時とみなされる場合には、開閉指示装置10から扉制御装置20への開扉指示の送信は一度しか行われない。
【0070】
以上、図8に示す手順で処理を行うことで、入室者の入室時には、室内にあるいずれかのカメラが当該入室者の撮影を行える状態になってから扉301が開くことになる。これにより、入室者の入室時からカメラの撮影による監視を確実に開始することができるため、入室時の見失いを無くして入室者の追跡精度を向上させることが可能となる。
【0071】
なお、図1の認証装置11の代替として、一般的な自動ドアに用いられる光センサ、感圧センサなどのセンサを用いて入室者(被写体)を検出するシステムにおいても適用することができる。この場合、図8のステップS801〜S804の代わりに開閉指示装置10の処理として、「センサがONとなったか?」という判断処理を設ける。即ち、開閉指示装置10のCPU201は、センサがONとなり、入室者が扉301に近接していることが検出され、開扉すると判断した場合、ステップS805の処理に進むことになる。
【0072】
また、上述したステップS808の説明では、カメラに対する制御として、主に、カメラのPTZ制御(パン・チルト・ズーム制御)について述べたが、例えば、カメラのAF制御(自動焦点制御)やAE制御(自動露出制御)も適用可能である。
このAF制御やAE制御の終了も、入室時のカメラの撮影による監視を確実に開始するための重要な条件である。即ち、カメラのAE制御が適切に調整されていないと、室内の明るさの変動によっては、監視対象が撮影できない場合があり、また、室内が極端に暗い場合には、AF制御が不安定になる等の問題も生じる。このため、撮影装置群31のカメラのAF制御やAE制御の終了をステップ808におけるカメラの制御終了の判断とすることも有効である。
【0073】
前述したように、図8に示す各ステップは、各装置のCPU201が自装置のHD209内に記憶されるプログラムを実行することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(HD209)は本発明に含まれる。
【0074】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記憶媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記憶媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体を用いることができる。また、この際の通信媒体としては、光ファイバ等の有線回線や無線回線などが挙げられる。
【0075】
また、本発明は、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより本実施形態に係る入室監視システム1の各装置の機能が実現される態様に限られない。そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して本実施形態に係る入室監視システム1の各装置の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全て、或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて本実施形態に係る入室監視システム1の各装置の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。
【0076】
また、前述した本実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る入室監視システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すカメラ制御サーバ(或いは、開閉指示装置、扉制御装置)のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る入室監視システムの実施例を示す全体図である。
【図4】図3に示す入室監視システムの動作の一例を示す模式図である。
【図5】図4に引き続き、図3に示す入室監視システムの動作の一例を示す模式図である。
【図6】図3に示す入室監視システムの動作の一例を示す模式図である。
【図7】図6に引き続き、図3に示す入室監視システムの動作の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態に係る入室監視システムの入室監視方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 入室監視システム
10 開閉指示装置
11 認証装置
20 扉制御装置
30 監視装置
31 撮影装置群
32 カメラ制御サーバ
321 ネットワークI/F部
322 入口撮影カメラ決定部
323 追跡指示部
324 カメラ制御部
33 モニタ
34 入力端末
40 ネットワーク
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 システムバス
205 入力デバイスコントローラ
206 ディスクコントローラ
207 ネットワークI/F(インタフェース)部
208 入力デバイス
209 (HD)ハードディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を介して入室した被写体を監視する入室監視システムであって、
前記扉の開閉に係る開閉指示を行う開閉指示装置と、
前記開閉指示装置からの扉の開閉指示に応じて、前記扉の開閉制御を行う扉制御装置と、
前記扉を介して入室した被写体を撮影装置で撮影して監視する監視装置と
を有し、
前記開閉指示装置は、
前記扉の開扉をする場合に、前記監視装置に対して前記撮影装置を用いた前記扉を介して入室する前記被写体の撮影指示を行う撮影指示手段と、
前記撮影指示に応じて前記監視装置から当該被写体を撮影する前記撮影装置の撮影準備が完了した通知を受信した後に、前記扉制御装置に対して前記扉の開扉指示を行う開扉指示手段と
を有することを特徴とする入室監視システム。
【請求項2】
前記撮影装置の撮影準備が完了したとは、当該撮影装置が、前記扉を介して入室する前記被写体の撮影に係るPTZ制御を完了したことであることを特徴とする請求項1に記載の入室監視システム。
【請求項3】
前記撮影装置の撮影準備が完了したとは、当該撮影装置が、前記扉を介して入室する前記被写体の撮影に係るAF制御を完了したことであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入室監視システム。
【請求項4】
前記撮影装置の撮影準備が完了したとは、当該撮影装置が、前記扉を介して入室する前記被写体の撮影に係るAE制御を完了したことであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の入室監視システム。
【請求項5】
前記撮影指示手段は、前記扉を介して入室する前記被写体が複数ある場合、前記監視装置に対して、複数の被写体の撮影指示を行い、
前記開扉指示手段は、前記監視装置から、当該複数の被写体を撮影する前記撮影装置の撮影準備が完了した通知を受信した後に、前記扉制御装置に対して前記扉の開扉指示を行うことを特徴とする請求項1に記載の入室監視システム。
【請求項6】
前記監視装置は、前記撮影指示手段から前記撮影指示を受けた場合に、前記撮影装置について予め定めた優先度に従って、前記扉を介して入室する前記被写体の撮影を行う撮影装置を決定することを特徴とする請求項1に記載の入室監視システム。
【請求項7】
扉の開閉に係る開閉指示を行う開閉指示装置と、前記開閉指示装置からの扉の開閉指示に応じて前記扉の開閉制御を行う扉制御装置と、前記扉を介して入室した被写体を撮影装置で撮影して監視する監視装置とを有する入室監視システムにおける前記開閉指示装置であって、
前記扉の開扉をする場合に、前記監視装置に対して前記撮影装置を用いた前記扉を介して入室する前記被写体の撮影指示を行う撮影指示手段と、
前記撮影指示に応じて前記監視装置から当該被写体を撮影する前記撮影装置の撮影準備が完了した通知を受信した後に、前記扉制御装置に対して前記扉の開扉指示を行う開扉指示手段と
を有することを特徴とする開閉指示装置。
【請求項8】
扉の開閉に係る開閉指示を行う開閉指示装置と、前記開閉指示装置からの扉の開閉指示に応じて前記扉の開閉制御を行う扉制御装置と、前記扉を介して入室した被写体を撮影装置で撮影して監視する監視装置とを有する入室監視システムにおける前記開閉指示装置で行われる入室監視方法であって、
前記扉の開扉をする場合に、前記監視装置に対して前記撮影装置を用いた前記扉を介して入室する前記被写体の撮影指示を行う撮影指示ステップと、
前記撮影指示に応じて前記監視装置から当該被写体を撮影する前記撮影装置の撮影準備が完了した通知を受信した後に、前記扉制御装置に対して前記扉の開扉指示を行う開扉指示ステップと
を含むことを特徴とする入室監視方法。
【請求項9】
扉の開閉に係る開閉指示を行う開閉指示装置と、前記開閉指示装置からの扉の開閉指示に応じて前記扉の開閉制御を行う扉制御装置と、前記扉を介して入室した被写体を撮影装置で撮影して監視する監視装置とを有する入室監視システムにおける前記開閉指示装置で行われる入室監視方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記扉の開扉をする場合に、前記監視装置に対して前記撮影装置を用いた前記扉を介して入室する前記被写体の撮影指示を行う撮影指示ステップと、
前記撮影指示に応じて前記監視装置から当該被写体を撮影する前記撮影装置の撮影準備が完了した通知を受信した後に、前記扉制御装置に対して前記扉の開扉指示を行う開扉指示ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−201070(P2009−201070A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43523(P2008−43523)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】