説明

共重合性メチンおよびアントラキノン化合物およびそれらを含有する物品

本発明は、重合性紫外線吸収剤および黄色着色剤ならびに眼用レンズにおけるそれらの使用に関する。本発明は、特に、重合性紫外線吸収メチン化合物、ならびに紫外線および/または紫-青色光の眼用レンズ透過をブロックするメチンおよびアントラキノン種の黄色化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、U.S.C. §119(e)に基づき2004年11月22日出願の米国仮特許出願第60/629556号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、重合性紫外線吸収剤、黄色着色剤および眼用レンズにおけるそれらの使用に関する。本発明は、特に、重合性紫外線吸収メチン化合物、ならびに紫外線および/または紫-青色光の眼用レンズ透過をブロックするメチンおよびアントラキノン種の重合性黄色化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽は、紫外線(UV)、可視光線および赤外線(IR)を自由に放射し、その大部分は大気によって吸収される。大気を透過し、地表に到達する太陽放射線は、UA-A(A波紫外線)(320〜400nm)、UV-B(B波紫外線)(290〜320nm)、可視光線(400〜700nm)および近赤外線(700〜1400nm)を包含する。正常な健康状態のヒトの眼の水晶体は、近赤外線および大部分の可視光スペクトルを網膜に自由に透過させるが、水晶体は紫外線を吸収する作用をして、網膜への損傷を防止する。近紫外線および可視光スペクトルの紫-青色部分を吸収する能力は、生涯にわたって変化する。乳児期において、ヒト水晶体は、近紫外線および300nmより長い可視光線を自由に透過させるが、年齢が高くなるに伴って、環境からの紫外線の作用によって、水晶体内に、黄色色素、発蛍光団(fluorogens)を産生する。いくつかの研究は、54才までに、水晶体は400nm未満の光を透過させず、400〜450nmの光の透過が顕著に減少することを示している。水晶体の老化と共に、水晶体は、継続的に黄色に着色し、近紫外線および紫-青色光を濾去する能力を増加する。従って、白内障除去後に、高齢のヒトの水晶体によって付与される自然保護も失われる。白内障は、一般に、眼内レンズ(IOL)によって置き換えられる。長年にわたって透過されなかった可視光線によって生じる信号によって脳が刺激された場合、不快感が生じうる。高齢ヒト水晶体に類似した吸収性を有するIOL材料の開発が当分野で求められている。
【0004】
黄色着色剤が存在するが、多くのそのような着色剤は、眼への装入後またはレンズ製造に関連した溶剤抽出の際に、IOLから浸出する傾向により、人工レンズ材料における使用に適していない。従って、レンズ材料に共有結合される黄色着色剤は、人工レンズ材料の製造において所望される改善であると考えられる。そのようなレンズ材料を開発する努力がなされている。そのような努力における1つの問題は、特に、可視光スペクトルにおいて、高齢ヒト水晶体の吸収特性に緻密に一致する吸収特性を有するIOLを生じる重合性化合物を見出すことである。可視光スペクトルの部分において、IOLが水晶体より多く吸収する場合、視力(visible acuity)が減少し得る。可視光スペクトルにおいて、IOLがより少なく吸収する場合、前記の不快感が生じうる。そのような努力が直面する他の問題は、ヒト水晶体との緻密な適合を達成するために、多種の化合物の組合せを使用する必要があることである。多種の化合物の使用は、製造および材料コストを増加させると共に、製造工程をより複雑にし得る。ヒト水晶体の吸収スペクトルに適合し、IOLにおける多種の着色剤の必要性を減少させる重合性黄色着色剤は、当分野で求められている改善であると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より一般的には、種々の高分子物質に共有結合できる黄色着色剤および紫外線吸収剤の開発は、人工レンズにおける用途の他に多くの用途を有し得る。例えば、そのような着色剤を、適切な吸収スペクトルが所望される種々の高分子用途に使用し得る。即ち、当分野で必要とされるのは、より経済的、かつ目的とする用途により適した分光特性を有する新規黄色着色剤および紫外線吸収剤である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メチン発色団および/またはアントラキノン発色団およびエチレン性不飽和重合性基を含有する分子を提供することによって、先駆技術における問題を解決する。これらの発色団は、下記成分の少なくとも1つを含有する構造として存在する:
【化1】

[式中、Xは、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基から選択される]。
本発明の分子は、これらの成分、ならびに該成分を分解せずにラジカル重合することができる少なくとも1つのエチレン性不飽和重合性基を含有する。エチレン性不飽和重合性基は、前記の式に示されているそのような基に加えて存在する。従って、構造1aの場合、得られる分子は、示されているエチレン性不飽和基に加えて、少なくとも1つの重合性エチレン性不飽和基を含有する。これらの成分は、分子の一部にすぎず、分子は他の成分も含有するものと理解される。従って、例えば、いくつかの実施形態において、本発明の分子は、下記式II〜VIで示される化合物の1つである:
【化2】

[式中、
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造、例えば、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、チオモルホリノ-S,S-ジオキシド等を形成することができ;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R2は、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニルおよび-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-QおよびQから選択され;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-、-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2、-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、エチレン性不飽和重合性基を含む基であり;
該化合物は、それに結合した少なくとも1つのQ基を含んで成るかまたは有する]。
【0007】
理解されるように、式IIは、成分1cを含有する分子を示す。式IIIは、成分1bを含有する分子を示す。式IVは、成分1aを含有する分子を示す。式VおよびVIは成分1dを含有する分子を示す。
【0008】
式II、IIIおよびIV中、エテン二重結合における炭素に結合している原子の位置は、限定されないものと理解すべきであり、式II、IIIおよびIVは、請求の範囲を含む本出願において、シスおよびトランス立体異性体を包含するものと理解すべきである。
【0009】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、重合可能な他の分子と重合して、該化合物を主鎖の一部とするポリマーを形成する。いくつかの実施形態において、化合物を有機モノマーと重合させて、可視光線に透過性であるか、または所定年齢の哺乳類の眼の水晶体のような所望物質に似た、種々の光波長に対する所定程度の吸収性または透過性を有する物質を形成する。しかし、本発明は、任意のタイプの放射線に対する透過性、半透過性または不透過性の程度に関係なく全てのタイプのポリマーを包含する。
【0010】
化合物をポリマーに結合させることによって、化合物が物質から浸出する可能性を減少させるかまたはなくす。結果として、いくつかの実施形態において、これらの化合物を透明性物質に使用して、それらを透過する紫-青色光の強度を減少させる。1つまたはそれ以上の結合可能黄色化合物および/または結合可能UVAを組み込まれたこれらの透明性物質を、有機溶媒で抽出して、未反応モノマー、低分子量オリゴマーおよび低分子量ポリマーならびに他の不純物を除去し、次に、眼用レンズ、例えば、眼内レンズ(IOL)、コンタクトレンズ、眼鏡および他の窓を作製するのに使用し得る。黄色化合物を含有するこれらの透明性物質は、レンズ被覆物質を作製するのにも使用し得る。意外にも、本発明のメチン発色団は、ラジカル重合の際に、それらの吸収特性を失わない。発色単位はエチレン性不飽和成分であり、従って、発色単位を含む重合反応は吸収特性の損失を生じると考えられるため、これは意外である。
【0011】
従って、本発明は、本明細書に開示される化合物を包含する。
【0012】
さらに、本発明は、本発明の化合物を含んで成る組成物も包含する。いくつかの実施形態において、組成物は重合性組成物である。
【0013】
さらに、本発明は、一群のモノマー、プレポリマー、連鎖延長剤またはそれらの組合せ(それらの1つまたはそれ以上が、本発明化合物または本発明化合物の残基を含有する)を重合させることを含んで成るポリマーの製造法も包含する。
【0014】
さらに、本発明は、本発明化合物の重合の残基を含有するポリマーも包含する。
【0015】
さらに、本発明は、本発明ポリマーを含有する物品も包含する。いくつかの実施形態において、物品は透明である。いくつかの実施形態において、物品は光学物品である。いくつかの実施形態において、物品はIOLである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
メチンおよびアントラキノン発色団に基づき、重合性のエチレン性不飽和成分を含有する重合性黄色化合物および紫外線吸収化合物を提供する。さらに、本発明は、本発明化合物を含んで成る組成物も包含する。いくつかの実施形態において、組成物は重合性組成物である。さらに、本発明は、一群のモノマー、プレポリマー、連鎖延長剤またはそれらの組合せ(それらの1つまたはそれ以上が、本発明化合物または本発明化合物の残基を含有する)を重合させることを含んで成るポリマーの製造法も包含する。さらに、本発明は、本発明化合物の重合の残基を含有するポリマーも包含する。さらに、本発明は、本発明ポリマーを含有する物品も包含する。いくつかの実施形態において、物品は透明である。いくつかの実施形態において、物品は光学物品である。いくつかの実施形態において、物品はIOLである。
【0017】
定義:
下記の定義は、本出願全体にわたって使用される用語に適用される。
【0018】
「発色単位」という用語は、極大吸収波長における放射線の吸収を生じることに主に関与している分子の部分を意味する。
【0019】
「C1〜C6アルキル」および「C1〜C6アルコキシ」という用語によって記述されるアルキル基は、ヒドロキシ、シアノ、アリール、-OC1〜C4-アルキル、-OCOC1〜C4-アルキルおよび-CO2C1〜C4-アルキル(それらの基のC1〜C4-アルキル部分は、1〜4個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐鎖炭化水素基を表す)によって任意に置換された1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。
【0020】
「C1〜C12アルキル」という用語によって記述されるアルキル基は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。
【0021】
「C1〜C12アシル」および「置換C1〜C12アシル」という用語は、それぞれ、-CO-(C1〜C12アルキル)および-CO-(置換C1〜C12アルキル)を表す。
【0022】
「C3〜C8シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を有する環状炭化水素基を意味する。
【0023】
「アリール」という用語は、フェニルおよびナフチル、ならびに、1〜3個の、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-CN、-NO2、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルカノイルオキシ、C1〜C6アルキルスルホニル、ヒドロキシル、カルボキシまたはハロゲン基で置換されたフェニルおよびナフチルを包含する。
【0024】
「ヘテロアリール」という用語は、1個の酸素原子および/または1個の硫黄原子および3個までの窒素原子を有する5または6員複素環式アリール環を包含し、該複素環式アリール環は1個または2個のフェニル環に縮合していてもよい。そのような系の例は、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、チアジニル、オキサジニル、トリアジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、テトラジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、テトラゾロ-[1,5-b]ピリダジニルおよびプリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリル等であり;これらは、1〜3個の、C1〜C6アルキル、アリール、C1〜C6アルコキシ、-CN、-NO2、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルカノイルオキシ、C1〜C6アルキルスルホニルまたはハロゲン基で置換されていてもよい。
【0025】
「置換C1〜C12アルキル」という用語は、本明細書において、1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基を意味し、これらの基は、下記から成る群から選択される1〜3個の基で置換されていてもよい:ヒドロキシ;ハロゲン;シアノ;スクシンイミド;グルタルイミド;フタルイミド;2-ピロリジノ;アリール;ヘテロアリール;ヘテロアリールチオ;アリールオキシ;アリールチオ;C1〜C6アルコキシ;C1〜C6アルキルチオ;C1〜C6アルキルスルホニル;アリールスルホニル;スルファミル;ベンゾイルスルホンイミド;C1〜C6アルキルスルホンアミド;アリールスルホンアミド;C3〜C8アルケニルカルボニルアミノ;-NR'-L-Q;-N-(L-Q)2;-O-L-Q;下記の式で示される基:
【化3】

[式中、
Y2は、-NH-、-N(C1〜C12アルキル)-、-O-、-S-、-CH2O-、-OX3R12、-NHX3R12、-CONR13R'13または-SO2NR13R'13であり;
R12は、ハロゲン、フェノキシ、アリール、シアノ、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、C1〜C6アルキルチオまたはC1〜C6アルコキシで置換された、C1〜C12アルキルおよびC16アルキルから選択され;
R13およびR'13は、水素;アリール;ハロゲン、フェノキシ、アリール、-CN、シクロアルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、C1〜C6アルキルチオまたはC1〜C6アルコキシで置換された、C1〜C12アルキルおよびC16アルキル;から独立に選択され;
X3は、-CO-、-COO-、-CONH-、-SO2-、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C6アルカノイルオキシ、C1〜C6アルコキシカルボニルおよび-(O-C2〜C4アルキレン)nR14から選択され;
R14は、水素、C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1〜C6アルカノイルオキシ、C1〜C6アルコキシカルボニル、アリール、C3〜C8シクロアルキルおよび-OQから選択され;
nは、先に定義した通りである]。
【0026】
「C1〜C6アルキレン」という用語は、1〜6個の炭素原子を有し、ヒドロキシ、ハロゲン、アリール、C1〜C6アルカノイルオキシまたは-OQで置換されていてもよい、直鎖または分岐鎖二価炭化水素基を意味する。
【0027】
「ハロゲン」という用語は、下記の原子のいずれかを意味する:弗素、塩素、臭素およびヨウ素。
【0028】
「C1〜C6アルコキシカルボニル」および「C1〜C6アルカノイルオキシ」という用語は、それぞれ、-CO2C1〜C6アルキル基および-O-COC1〜C6アルキル基を意味する。
【0029】
「C3〜C8アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。
【0030】
「アリールスルホニル」および「アロイル」という用語において、該基のアリール基またはアリール部分は、フェニルおよびナフチルから選択され、これらは、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびC1〜C6アルコキシカルボニルで置換されていてもよい。
【0031】
「カルバモイル」という用語は、式:-CON(R15)R16で示される基を意味し、ここでR15およびR16は、水素、C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニルおよびアリールから選択される。
【0032】
「C1〜C6アルキルスルホニル」という用語は、-SO2-C1〜C6アルキルを意味し、ここで、「C1〜C6アルキル」という用語は前記のように定義される。
【0033】
前記の炭素原子範囲を有する基または成分、例えば「C1〜C6アルキル」は、本明細書において、C1基(メチル)およびC6基(ヘキシル)端点を意味するだけでなく、対応する個々のC2、C3、C4およびC5基も意味する。さらに、前記の炭素原子範囲内の個々の点を組み合わせて、本質的に前記の全範囲内の部分範囲も記述し得るものと理解される。例えば、「C3〜C8シクロアルキル」という用語は、C3〜C8の個々の環状成分だけでなく、「C4〜C6シクロアルキル」のような部分範囲も包含する。
【0034】
「エチレン性不飽和重合性基」および/または「ラジカル開始重合性基」という語句は、ラジカル重合に反応性のC=C二重結合を有する成分を意味し、ビニル基を有する成分を包含するがそれに限定されない。いくつかの実施形態において、反応性二重結合は、アリール基または電子求引基、例えばカルボニル、に結合している二重結合炭素の1つによって活性化される。芳香環および複素芳香環は、本出願およびその他において、そのような環における電子の芳香族パイ電子雲(pi cloud)を交互二重結合として描いて示されることが多い(例えば、ベンゼンは、3つの交互二重および一重結合を有する6員環として表わされることが多い)が、そのような環は実際には二重結合を含有せず、その代わりに、完全非局在化電子の芳香族パイ電子雲を含有し、それ自体は、ラジカル重合に非反応性であることを当業者は理解する。従って、「反応性C=C二重結合」、「エチレン性不飽和重合性基」および「ラジカル開始重合性基」といういずれの用語も、電子のそのような芳香族パイ電子雲が任意の図において交互二重結合を示しているかどうかに関係なく、芳香環または複素芳香環における電子の芳香族パイ電子雲を包含しない。
【0035】
化合物:
化合物は、下記成分の少なくとも1つを含有する分子である:
【化4】

[式中、Xは、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択される]。
本発明の分子は、これらの成分、ならびに該成分を分解せずにラジカル重合することができる少なくとも1つのエチレン性不飽和重合性基を含有する。エチレン性不飽和重合性基は、前記の式に示されている任意のそのような基に加えて存在する。従って、構造1aの場合、得られる分子は、示されているエチレン性不飽和基に加えて、少なくとも1つの重合性エチレン性不飽和基を含有する。これらの成分は、分子の一部にすぎず、分子は他の成分も含有するものと理解される。従って、例えば、いくつかの実施形態において、本発明の分子は下記式II〜VIで示される化合物の1つである:
【化5】

[式中、
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造、例えば、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、チオモルホリノ-S,S-ジオキシド等を形成することができ;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R2は、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニルおよび-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-QおよびQから選択され;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-、-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2、-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、エチレン性不飽和重合性基を含む基であり;
該化合物は、少なくとも1つのQ基を含む]。
【0036】
理解されるように、式IIは、成分1cを含有する分子の例を示す。式IIIは、成分1bを含有する分子の例を示す。式IVは、成分1aを含有する分子の例を示す。式VおよびVIは成分1dを含有する分子の例を示す。
【0037】
式II、IIIおよびIV中、エテン二重結合における炭素に結合している原子の位置は、限定されないものと理解すべきであり、式II、IIIおよびIVは、請求の範囲を含む本出願において、シスおよびトランス立体異性体を包含するものと理解すべきである。
【0038】
いくつかの実施形態において、R、R1、R3およびLのアルコキシル化成分は、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物を含み、nが1〜約100である式で示される鎖長を有する。いくつかの実施形態において、nが50未満である式によって鎖長が示される。いくつかの実施形態において、nが約8未満である式によって鎖長が示される。
【0039】
Q基の例は、下記の有機基1〜9であるがそれらに限定されない:
【化6】

または、複数の化合物上の2つの構造の組合せ:
[式中、
R6は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
R7は、水素;C1〜C6アルキル;フェニル;C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-N(C1〜C6アルキル)2、ニトロ、シアノ、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルカノイルオキシおよびハロゲンから選択される1個またはそれ以上の基で置換されたフェニル;1-または2-ナフチル;C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシで置換された1-または2-ナフチル;2-または3-チエニル;C1〜C6アルキルまたはハロゲンで置換された2-または3-チエニル;2-または3-フリル;またはC1〜C6アルキルで置換された2-または3-フリルであり;
R8およびR9は、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールであるか、またはR8およびR9が一緒になって−(CH2)3~5−基を形成し;
R10は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C8アルケニル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
R11は、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールである]。
【0040】
いくつかの実施形態において、Qが、
【化7】

[式中、R6は水素またはメチルであり、R8およびR9はメチルである]
である式II、III、IV、VまたはVIの化合物を使用する。
【0041】
いくつかの実施形態において、Qが、
-C(O)C(R6)=CHR7
[式中、R6は水素またはメチルであり、R7は水素である]
である式II、III、IV、VまたはVIの化合物を使用する。
【0042】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記のように定義される式IIと一致する構造式を有する:
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造、例えば、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、チオモルホリノ-S,S-ジオキシド等を形成することができ;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R2は、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-、-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2、-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、エチレン性不飽和重合性基を含む基であり;
該化合物は、少なくとも1つのQ基を含んで成るかまたは有する]。
【0043】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記のように定義される式IIの化合物である:
RおよびR1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2-OCO-C1〜C4アルキル、-CH2CH2OCO-アリール、-CH2CH2-OC(O)NH-アリール、-C1〜C4アルキル、-CH2C6H4CO2-C1〜C4アルキル、
【化8】

から独立に選択されるか;または一緒になって、環状構造チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-、-(CH2)6O-、-CH2C(CH3)2CH2O-、-CH2-C6H10-CH2O-、-C6H4-CH2CH2O-、-C6H4-OCH2CH2O-、-CH2CH2(OCH2CH2)1~3O-であり;
Qは、
【化9】

[式中、R6はメチルであり、R8およびR9はメチルである]
である。
【0044】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記のように定義される式IIの化合物である:
RおよびR1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2-OCO-C1〜C4アルキル、-CH2CH2OCO-アリール、-CH2CH2-OC(O)NH-アリール、-C1〜C4アルキル、-CH2C6H4CO2-C1〜C4アルキル、
【化10】

から独立に選択されるか;または一緒になって、環状構造チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-、-(CH2)6O-、-CH2C(CH3)2CH2O-、-CH2-C6H10-CH2O-、-C6H4-CH2CH2O-、-C6H4-OCH2CH2O-、-CH2CH2(OCH2CH2)1~3O-であり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7[式中、R6はメチルであり、R7は水素である]である。
【0045】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記のように定義される式IIの化合物である:
Rは、-CH2CH2CNであり;
R1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2OCO-C1〜C4アルキル、
【化11】

から選択され;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-であり;
Qは、
【化12】

[式中、R6はメチルであり、R8およびR9はメチルである]
である。
【0046】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記のように定義される式IIの化合物である:
Rは、-CH2CH2CNであり;
R1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2OCO-C1〜C4アルキル、
【化13】

から選択され;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-であり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7[式中、R6はメチルであり、R7は水素である]である。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、本発明に好適な濃度において、420nm未満において極大吸収を有し、約450nmより長い波長においてほとんど吸収を有さない。いくつかの実施形態において、極大吸収が生じる波長は約300nm〜約420nmである。いくつかの実施形態において、450nmにおいて極小吸収が存在する。いくつかの実施形態において、極大吸収波長は約350nm〜約390nmである。いくつかの実施形態において、極大吸収波長は、約370nm〜約380nmである。いくつかの実施形態において、紫外線吸収剤の極大吸収波長は、約310nm〜約375nmである。いくつかの実施形態において、400nmより長い波長における発色単位の吸収は、約330nm〜450nmにおける全吸収の20%以下である。
【0048】
本発明化合物を含んで成る組成物:
本発明化合物を含んで成る組成物も提供する。特定の所望される色または所望される波長吸収を達成することが望ましい種々の用途において、本発明化合物を種々の物質に組み込みうる。
【0049】
いくつかの実施形態において、組成物は、本発明化合物を含有する重合性組成物である。いくつかの実施形態において、重合性組成物は、紫外線吸収メチン重合性化合物を、黄色メチン重合性化合物および/またはアントラキノン重合性化合物と組み合わせて含有して、適正な黄色色調を与え、それと共に300nm〜400nmの波長帯における紫外線を吸収する。黄色化合物の量は、化合物の用途およびスペクトル分光特性によって決まる。黄色重合性化合物の量は、フィルム(またはレンズ)の厚さによっておよび当業者によって、決めうる。いくつかの実施形態において、黄色重合性化合物の量は、得られるポリマーの総重量に基づいて約4wt%未満である。いくつかの実施形態において、黄色重合性化合物の量は、得られるポリマーの総重量に基づいて約2wt%未満である。いくつかの実施形態において、黄色重合性化合物の量は、得られるポリマーの総重量に基づいて約1.5wt%未満である。いくつかの実施形態において、黄色重合性化合物の量は、得られるポリマーの総重量に基づいて約1wt%未満である。紫外線吸収メチン重合性化合物は、ポリマーを透過する紫外線の所望量をブロックするのに充分な量で添加され、その量はフィルムの厚さおよび当業者によって決められる。いくつかの実施形態において、紫外線吸収重合性メチン化合物の量は、得られるポリマーの総量に基づいて約4wt%未満である。いくつかの実施形態において、紫外線吸収重合性メチン化合物の量は、得られるポリマーの総量に基づいて約2wt%未満である。いくつかの実施形態において、紫外線吸収重合性メチン化合物の量は、得られるポリマーの総量に基づいて約1.5wt%未満である。いくつかの実施形態において、紫外線吸収重合性メチン化合物の量は、得られるポリマーの総量に基づいて約1wt%未満である。この段落におけるwt%は、重合に使用した化合物の重量を、得られたポリマーの総重量で割る(100%を掛ける)ことによって求められる。
【0050】
いくつかの実施形態において、重合性組成物は、本発明の化合物に加えて、他の紫外線吸収化合物を含有する。紫外線吸収物質は、約400nmより短い波長を有する光を吸収するが、実質量の可視光線を吸収しない任意化合物であってよい。いくつかの実施形態において、紫外線吸収化合物を、モノマー混合物に組み込み、モノマー混合物が重合する際にポリマーマトリックスに捕捉する。好適な紫外線吸収化合物は、置換ベンゾフェノン、例えば2-ヒドロキシベンンゾフェノンおよび2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールである。いくつかの実施形態において、モノマーと共重合性であり、それによってポリマーマトリックスに共有結合する紫外線吸収化合物を使用する。このようにして、レンズからのおよび眼の内部への、紫外線吸収化合物の浸出のリスクが減少される。好適な共重合性紫外線吸収化合物は、米国特許第4304895号に開示されている置換2-ヒドロキシベンゾフェノンおよび米国特許第4528311号に開示されている2-ヒドロキシ-5-アクリルオキシフェニル-2H-ベンゾトリアゾールである。いくつかの実施形態において、紫外線吸収化合物2-(3'-メタリル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(オルト-メタリルTinuvin P(「oMTP」)としても既知)を、重合性組成物に含有させる。重合性組成物における他の成分のあらゆる組合せを使用し得る。
【0051】
いくつかの紫外線吸収化合物は、重合を阻害することが既知のフェノール置換基または残基をそれらの構造中に有するため、重合性組成物における紫外線吸収化合物の量を最小限にすることが好都合な場合がある。そのような紫外線吸収化合物の濃度を減少させることは、レンズ形成工程にとって有利である。oMTPを含むいくつかの実施形態において、該化合物は約1.8wt%の濃度で存在する。しかし、選択された特定の黄色化合物および所定波長における所望の透過に依存して、1.8wt%よりかなり少ないoMTPを使用してもよい。いくつかの実施形態において、紫外線吸収重合性化合物は、下記のように定義される式IIIによって表される:
R3は、置換C1〜C12アルキルおよび-LQから選択され;
R2は、水素、C1〜C6アルキルおよびC1〜C6アルコキシから選択され;
X1は、シアノであり;
X2は、-CO2-C1〜C6アルキル、-CONH-C1〜C6アルキル、-CN、-CONH-L-Qから選択され;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)6-、-CH2C(CH3)2CH2-、-CH2-C6H10-CH2-、-C6H4-CH2CH2-、-C6H4-OCH2CH2-、-CH2CH2(OCH2CH2)1~3-であり;
Qは、
【化14】

[式中、R'は水素およびメチルから選択され;R6はメチルであり;R7は水素であり;R8およびR9はメチルである]
である。
いくつかの実施形態において、紫外線吸収重合性化合物はその構造中にフェノール成分を含有せず、従って、oMTPまたは他のフェノール紫外線吸収化合物と比較して、重合速度に対して不利な影響が少ない。
【0052】
いくつかの実施形態において、重合性組成物は、350nm〜400nmの波長を有する紫外線を吸収し、かつ約425nm未満の波長を有する青-紫色光も吸収する単一成分の重合性メチンまたは重合性アントラキノン化合物を含有するかまたは約380nm未満の極大吸収波長を有する共重合性メチン紫外線吸収剤および380nm〜425nmの極大吸収波長を有する共重合性黄色化合物を混合することによって、所望の吸収を達成する。
【0053】
いくつかの実施形態において、重合性組成物は、エチレン性不飽和重合性基を含有する他のモノマーを含有する。本発明化合物と重合する任意のモノマーを使用することができ、該モノマーは、ヒドロゲル形成ポリマーならびにビニル含有モノマー、例えば、アクリル、アクリレートおよび/またはメタクリレートに基づくモノマーを包含するが、それらに限定されない。いくつかの実施形態に使用されるモノマーの例は、下記物質を包含するが、それらに限定されない:アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの無水物;クロトン酸;クロン酸エステル;イタコン酸およびその無水物;シアノアクリル酸およびそのエステル;アクリル酸およびメタクリル酸のエステル、例えば、アリル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、テトラヒドロフルフリル、シクロヘキシル、イソボルニル、n-ヘキシル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、ラウリル、ステアリルおよびベンジルアクリレートおよびメタクリレート;ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリレート;エチレンおよびプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレンおよびジプロピレングリコール、トリエチレンおよびトリプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、エトキシル化ビスフェノールA、エトキシル化およびプロポキシル化ネオペンチルグリコールの、ジアクリルおよびジメタクリル酸エステル;トリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレート、トリメチロールプロパン、エトキシル化およびプロポキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グリセロール、エトキシル化およびプロポキシル化グリセロールのトリアクリルおよびトリメタクリル酸エステル;ペンタエリトリトールならびにエトキシル化およびプロポキシル化ペンタエリトリトールのテトラアクリルおよびテトラメタクリル酸エステル;アクリロニトリル;ビニルアセテート;ビニルトルエン;スチレン:N-ビニルピロリジノン;α-メチルスチレン;マレイン酸/フマル酸エステル;マレイン酸/フマル酸;1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;メタクリレート;ビニルエーテル;ジビニルエーテル、例えば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテルおよびネオペンチルグリコールジビニルエーテル;ビニルエステル;ジビニルエステル、例えば、ジビニルアジペート、ジビニルスクシネート、ジビニルグルタレート、ジビニル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジビニル1,3-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジビニルイソフタレートおよびジビニルテレフタレート;N-ビニルピロリドン;テトラエチレングリコールジメタクリレート;アリルアクリレート;アリルメタクリレート;三官能価アクリレート;三官能価メタクリレート;四官能価アクリレート;四官能価メタクリレート;ベンジルアクリレート;ベンジルメタクリレート;フェニルアクリレート;フェニルメタクリレート;フェノキシアルキルアクリレート;フェノキシアルキルメタクリレート;フェニルアルキルアクリレート;フェニルアルキルメタクリレート;カルバゾールアクリレート;カルバゾールメタクリレート;ビフェニルアクリレート;ビフェニルメタクリレート;ナフチルアクリレート;ナフチルメタクリレート;ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレート、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート等;アクリルアミド;N-アルキルアクリルアミド、例えば、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド等;アクリル酸;メタクリル酸;ヒドロキシエチルメタクリレート;2-フェニルプロピルアクリレート;2-フェニルプロピルメタクリレート;N-ヘキシルアクリレート;エチレングリコールジメタクリレート;エチルメタクリレート;N,N-ジメチルアクリルアミド;ならびに前記の任意物質の2つまたはそれ以上の組合せ。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の付加的染料化合物モノマーも反応に含まれる。「組合せ」という用語によって、2つ、3つ、4つまたは他の任意数のモノマーの組合せが、本発明の範囲に含まれることを意味する。いくつかの実施形態において、化合物を、1つまたはそれ以上のモノマーから形成されたプレポリマーと合わせ、連鎖延長反応において合わす。いくつかの実施形態において、染料化合物を、単独でまたは1つまたはそれ以上の他のモノマーと共に、プレポリマーに形成し、次に、連鎖延長させる。いくつかの実施形態において、全てのモノマーを単一反応のために合わす。反応物の全ての組合せ、ならびに重合および連鎖延長工程は、本発明の範囲に含まれる。
【0054】
いくつかの実施形態において、他のモノマーは下記物質を包含する:メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、n-ビニルピロリドン、スチレン、オイゲノール(4-ヒドロキシビニルベンゼン)、α-メチルスチレン。さらに、高屈折率折り畳み可能レンズ用途に関して、好適なモノマーは、下記物質を包含するが、それらに限定されない:2-エチルフェノキシメタクリレート、2-エチルフェノキシアクリレート、2-エチルチオフェニルメタクリレート、2-エチルチオフェニルアクリレート、2-エチルアミノフェニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、3-フェニルプロピルメタクリレート、4-フェニルブチルメタクリレート、4-メチルフェニルメタクリレート、4-メチルベンジルメタクリレート、2-2-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-3-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-4-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニルエチルメタクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチルメタクリレート等(対応するそれらのメタクリレート、アクリレートまたは組合せを包含する)。いくつかの実施形態において、N-ビニルピロリドン、スチレン、オイゲノールおよびG-メチルスチレンも、高屈折率折り畳み可能レンズ用途に使用される。いくつかの実施形態において、モノマーは、2-フェニルエチルメタクリレート(PEMA)および2-フェニルエチルアクリレート(PEA)の組合せである。
【0055】
いくつかの実施形態において、重合性組成物は、共重合性架橋剤、例えば、1個より多いエチレン性不飽和重合性基を有する末端エチレン性不飽和化合物を含有する。好適な架橋剤は下記物質を包含するが、それらに限定されない:エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレートおよび1,4-ブタンジオールジアクリレート(BDDA)。好適な架橋剤は、下記のような高分子架橋剤も包含する:ポリエチレングリコール1000ジアクリレート、ポリエチレングリコール1000ジメタクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリブタンジオール2000ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール1000ジアクリレート、ポリプロピレングリコール1000ジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコール2000ジメタクリレートおよびポリテトラメチレングリコール2000ジアクリレート。
【0056】
いくつかの実施形態において、重合性組成物は、1つまたはそれ以上の熱ラジカル開始剤を含有する。そのような開始剤の例は、ペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシド、ペルオキシカーボネート、例えばビス-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(PERK)、アゾニトリル、例えばアゾ-ビス-(イソブチロニトリル)(AIBN)等を包含するが、それらに限定されない。
【0057】
いくつかの実施形態において、エチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団は、ヒドロシリル基を有するシリコーンへの付加反応を行う場合があり、白金のような触媒を使用する付加反応は、シリコーンに直接結合した染料の溶出の恐れが極めて少ないシリコーン化合物を生じることができる。ヒドロシリル基を有する前記シリコーン化合物の例は、ジメチルシロキサン-メチルヒドロシロキサンコポリマー、ジフェニルシロキサン-ジフェニルヒドロシロキサンコポリマー、ポリエチルヒドロシロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-オクチルメチルシロキサンコポリマー、ヒドロシリル基を含有するメチルシリコーン樹脂、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン等であるが、これらに限定されない。エチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団のシリコーン化合物への付加反応に使用される触媒は、望ましくは、白金化合物、例えば、クロロ白金酸水素、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサンおよび白金-テトラメチルテトラビニルシクロシロキサンである。さらに、前記の方法によって得られるエチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団に結合したシリコーンは、ビニル基を有するシリコーンとの架橋によって、メチン発色団および/またはアントラキノン発色団に化学的に結合したシリコーンエラストマーを与える。さらに、前記のメチン発色団および/またはアントラキノン発色団に結合したシリコーンは、ビニル基を有するシリコーンおよびシリカの混合物との架橋によって、メチン発色団および/またはアントラキノン発色団に化学的に結合したシリコーンエラストマーを与える。前記のエラストマーを形成するために、触媒、例えば白金化合物、例えば、クロロ白金酸水素、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金-テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン錯体および白金-アルミナ担持触媒を使用することができ、そのような触媒は円滑な架橋反応を生じる。本発明のエチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団を、ヒドロシリル基を有するシリコーンに化学的に結合させることができ、次に、ビニル基を有するシリコーンと架橋させることができる。他の方法によれば、本発明のエチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団を、ヒドロシリル基を有するシリコーンまたはビニル基を有するシリコーンと混合し、混合物を、ヒドロシリル基を有するシリコーンおよびビニル基を有するシリコーンと混合し、次に、エチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団をヒドロシリル基に反応させると同時に、混合物を架橋させる。前記のシリコーンとの混合の際に、適切な溶媒を使用することによって、エチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団を均一に分散させるのが好ましい。そのような溶媒の例として、アセトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンが挙げられる。エチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団を、溶媒に溶解させ、シリコーンと混合する。次に、溶媒を蒸発器によって留去し、エチレン性不飽和重合性基を有するメチン発色団および/またはアントラキノン発色団を、シリコーンに均一に分散させることができる。
【0058】
前記は、本発明の重合性組成物および他の組成物に存在し得る成分の例にすぎない。前記成分の2つまたはそれ以上のあらゆる有効な組合せが、本発明に含まれる。さらに、前記の例は、限定するものではなく、任意の望ましいまたは許容される成分を、本発明組成物に含有させることができる。
【0059】
ポリマーおよび重合法:
本発明は、さらに、本発明のポリマーを含んで成る組成物も提供する。そのような組成物は、他の任意好適成分を含有してよい。いくつかの実施形態において、組成物は、1つまたはそれ以上の本発明のポリマーおよび1つまたはそれ以上の本発明の吸光化合物の両方を含有する。いくつかの実施形態において、化合物を、本質的に単独で重合させて、モノマー化合物から形成されたポリマーを形成する。いくつかの実施形態においては、化合物を他のモノマーと共に重合させる。
【0060】
ポリマーは、化合物および他のモノマーのラジカル重合反応の残基を含有する。どのようなラジカル重合反応法も本発明に含まれる。さらに、前記の各組合せを含有する本発明の任意重合性組成物の重合から得られた生成物も含まれる。本発明化合物のラジカル重合の残基を含有するどのようなポリマーも本発明に含まれる。
【0061】
本発明の重合法は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合およびリビング重合を包含するが、それらに限定されないあらゆる有効な重合法を包含する。
【0062】
所望の割合の、レンズ形成モノマー、紫外線吸収メチン化合物および/または紫-青色光遮断(黄色)メチンおよび/または紫-青色光遮断(黄色)アントラキノンモノマー、ならびに従来の熱ラジカル開始剤から、混合物を調製する。次に、レンズを形成するのに好適な形の型に混合物を導入し、緩やかに加熱して開始剤を活性化することによって、重合を開始させる。熱ラジカル開始剤の例は、ペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシド、ペルオキシカーボネート、例えばビス-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(PERK)、アゾニトリル、例えばアゾ-ビス-(イソブチロニトリル)(AIBN)等を包含するが、限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態において、アクリルモノマー自体の重合を開始し得る波長の化学線を透過する型を使用することによって、モノマーを光重合させる。一般的な光開始剤化合物、例えば、ベンゾフェノン型光開始剤を、任意に導入して、重合を促進する。光増感剤も導入して、より長い波長の使用を可能にし得る。眼内での長い滞留を意図したポリマーのいくつかの実施形態において、ポリマーにおける成分の数を最小限にして、物質がレンズから浸出して眼の内部に入るリスクを減少させる。
【0064】
いくつかの実施形態において、これらのモノマーを、ポリプロピレン鋳型において直接的に硬化させて、完成光学部品を形成する。硬化の時間および温度は、選択された特定のレンズ形成材料によって変化する。光学部品を、多くの既知の方法で、種々の既知の光学部品と組み合わして、IOLを製造し得る。
【0065】
物品:
本発明は、本発明化合物、本発明ポリマー、本発明組成物または本発明のそれらの組合せを含有する物品も提供する。いくつかの実施形態において、物品全体を、1つまたはそれ以上の本発明の化合物、ポリマーまたは組成物から作製する。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の本発明の化合物、ポリマーまたは組成物を含有する混合物、溶液または他の組合せから、物品全体を作製する。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の本発明の化合物、ポリマーまたは組成物から、物品の部品を作製する。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の本発明の化合物、ポリマーまたは組成物を含有する混合物、溶液または他の組合せから、物品の部品を作製する。2つ以上の本発明の化合物、ポリマー、組成物またはそれらの組合せを含有する物品も本発明に含まれる。
【0066】
いくつかの実施形態において、物品は、可視光線のある波長に透明性(transparent)、あるいは透過性(permeable)の部品であるか、または該部品を含む。いくつかの実施形態において、物品は、光学レンズ、例えば、窓、コンタクトレンズ、望遠鏡、眼鏡またはサングラスに有用なレンズである。いくつかの実施形態において、物品は、IOLとして使用される眼用レンズである。
【0067】
いくつかの実施形態において、物品は、本発明の化合物を含有する被膜を含有する。そのような被膜は、キャスティング、スピンキャスティング、ディッピング、浸漬および噴霧(吹付け)を包含するが、それらに限定されない任意の方法によって形成される。
【0068】
いくつかの実施形態において、化合物またはポリマーを、溶媒のような液体担体において適用する。被覆後、担体を除去し(例えば、溶媒の蒸発によって)、被覆される支持体上に化合物またはポリマーを残す。いくつかの実施形態において、被膜が、黄色フィルムおよび/または紫外線吸収フィルムとして、支持体上に存在する。
【0069】
本発明の物品の製造法も本発明に含まれる。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の本発明の重合性化合物を、好適なモノマー配合物に溶解させ、支持体(例えば、透明材料)にキャストし、好適なラジカル開始法、例えば熱または紫外線への暴露によって、硬化させる。
【0070】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物を、好適な溶媒またはモノマー配合物に溶解させ、次に、該化合物を含有する溶液に、物品または材料を浸漬する。溶液がポリマーに入り(例えば、吸収によって)、次に、ポリマーを乾燥させる。その結果、ポリマーのマトリックスへの組み込みが生じる。次に、重合性化合物を、例えば、熱、放射線またはポリマー中に化合物を結合させるのに好適な他の手段によって、硬化させる。
【0071】
下記の実施例によって本発明をさらに説明するが、これらの実施例は例示目的にすぎず、本発明の範囲を限定するものではないと理解される。
【実施例】
【0072】
実施例1〜103は、本発明の範囲内のいくつかの化合物の予測的な例である。これらの実施例は、式II〜VIを使用して、式II〜VIにおける種々の基を同定することによって化合物を記述する。実施例1〜94はそれぞれ1つの化合物を同定する。実施例1〜52は式IIを使用して化合物を同定する。実施例53〜78は式IIIを使用して化合物を同定する。実施例1〜78に関しては、表において、R2基の同定と共に数字が示されている場合、それらの数字は、適用される式IIまたは式IVにおける環上の位置を示す。実施例79〜94は、式IIIを使用して化合物を同定する。実施例95〜103は、式Vおよび式VIの両方に示されている分子上(種々の位置)に存在する基(LおよびQ)をそれぞれ同定するので、2つの化合物をそれぞれ同定する。式が適用される実施例群の初めにそれぞれ参照として示す式と共に、これらの実施例を以下に示す。
【0073】
【化15】

【0074】
【表1−1】

【0075】
【表1−2】

【0076】
【表1−3】

【0077】
【表1−4】

【0078】
【表1−5】

【0079】
【化16】

【0080】
【表2−1】

【0081】
【表2−2】

【0082】
【表2−3】

【0083】
【表2−4】

【0084】
【化17】

【0085】
【表3−1】

【0086】
【表3−2】

【0087】
【化18】

【0088】
【表4】

【0089】
実施例104〜132は、いくつかの本発明化合物およびそれらの先駆物質の製造において行われた実際の手順を記載する。実施例104〜132はそれぞれ、反応を示す式およびその生成物を含む。これらの反応の生成物の立体化学を決定しなかったため、実施例104〜132に示す式は、シスまたはトランス立体異性体を区別するものと理解すべきでない。
【0090】
実施例133〜136は、ポリマー製造および化合物重合の手順のいくつかの例を記載する。
【0091】
実施例104:
【化19】

機械攪拌機、加熱マントル、熱電対、滴下漏斗およびDean-Starkトラップを備えた清浄な乾燥した1Lの4つ口フラスコに、メチルシアノアセテ−ト99g(1.0mol)を添加した。反応器を乾燥窒素の雰囲気下に撹拌し、95℃に加熱した。反応器にエタノールアミン61.1g(1.0mol)を滴下速度で添加し、その間に、Dean-Starkトラップによって低沸点溶剤を除去した。添加中、早期に発熱が起こり、温度が105℃に上昇した。添加を約45分間で終了し、反応器温度を150℃に上昇させた。約1時間後、低沸点溶剤がDean-Starkトラップに収集されなくなった。反応溶液を約85℃に冷却し、シクロヘキサン125mLを速い滴下速度で添加した。シクロヘキサンをデカントした。新しいシクロヘキサン75mLを添加し、温かい混合物を600mLのビーカーに移した。生成物が凝固し始めて、蝋状固形物を生じた。固形物をヘラでできる限り砕き、シクロヘキサンをデカントした。固形物をCoors皿に移し、ケミカルフード(chemical hood)に入れて、一晩乾燥させた。乾燥後、固形物は120.8gの質量を有していた。
【0092】
実施例105
【化20】

加熱マントルおよび滴下漏斗を備えた清浄な乾燥した500mLのフラスコに、DMF 200mLおよびN-フェニルチオモルホリン-S,S-ジオキシド50.7g(0.2mol、Eastman Chemical Companyから入手可能)を添加した。反応器を窒素でパージし、温度を35℃を超えないように保つ速度でオキシ塩化燐20.5mL(0.2mol)を添加した。反応器を80〜90℃に加熱し、約4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、濃水酸化アンモニウム100mLを含有する機械撹拌氷水混合物(1L)に注いだ。形成された白色沈殿物を、吸引濾過によって収集し、水で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、生成物54.4gを得た。
【0093】
実施例106
【化21】

機械攪拌機、還流冷却器および加熱マントルを備えた500mLの丸底フラスコに、メタノール(175mL)、実施例105の生成物18.0g(75.0mmol)および実施例104の生成物10.4g(80.0mmol)を添加した。混合物を加熱還流し、3時間撹拌し、次に、室温に冷却すると、沈殿物が形成された。沈殿物を吸引濾過によって収集し、冷メタノールで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、淡黄色化合物19.75gを得た。
【0094】
実施例107
【化22】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した50mLの丸底フラスコに、アセトン20mL、実施例106の生成物4.0g(11.4mmol)、無水メタクリル酸4.3mL(28.6mmol)、トリエチルアミン4.0mL(28.6mmol)、4-ジメチルアミノピリジン70mg(DMAP、0.6mmol)およびヒドロキノン40mgを添加した。反応混合物を撹拌しながら50℃で約30分間加熱し、その際に、TLC分析によれば、出発物質が消費された(TLC;1:1テトラヒドロフラン/シクロヘキサン;Rf(実施例106からの生成物)=0.06;Rf(実施例107からの生成物)=0.32)。反応の終了時に、沈殿物が形成された。反応混合物を約30℃に冷却させ、メタノール20mLを滴下速度で添加した。固体沈殿物を吸引濾過によって収集し、メタノール20mLで2回洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、さらさらした黄色粉末2.58gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約98%と評定された。N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、374.19nmに極大吸収波長(λmax)および25,900のモル吸光係数(ε)を示した。
【0095】
実施例108
【化23】

機械攪拌機、加熱マントル、熱電対およびDean-Starkトラップを備えた清浄な乾燥した500mLの4つ口フラスコに、メチルシアノアセテ−ト75g(0.75mol)を添加した。反応器を乾燥窒素の雰囲気下に撹拌し、95℃に加熱した。反応器に、1-アミノ-2-プロパノール58mLを滴下速度で添加し、その間、Dean-Starkトラップによって低沸点溶剤を除去した。添加が終了したら、反応器温度を150℃に上昇させた。約1時間後、低沸点溶剤がDean-Starkトラップに収集されなくなった。反応溶液を約50℃に冷却し、保存容器に移し、静置して、凝固した油状物103.1gを得た。
【0096】
実施例109
【化24】

機械攪拌機、還流冷却器および加熱マントルを備えた500mLの丸底フラスコに、メタノール(100mL)、実施例105の生成物9.0g(37.5mmol)および実施例108の生成物5.7g(40.0mol)を添加した。混合物を加熱還流し、3時間撹拌し、次に、氷水浴を使用して約10℃に冷却して、化合物を結晶化させた。結晶を吸引濾過によって収集し、冷水で洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、淡黄色化合物8.72gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約88%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、370.88nmに極大吸収波長(λmax)および24,600のモル吸光係数(ε)を示した。
【0097】
実施例110
【化25】

磁気撹拌器および加熱マントルを備えた100mLの丸底フラスコに、DMF 20mL、3-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアネート1.28g(6mmol)、実施例109の生成物2.18g(6mmol)およびジブチル錫ジラウレート3滴を添加した。反応混合物を90℃に加熱した。約2時間後、反応が終了していないことをTLC分析が示したので、さらに10滴の3-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアネートを添加した。反応混合物を90℃でさらに2時間撹拌し、次に、室温に冷却した。反応混合物を、撹拌しながら、メタノールおよび塩化ナトリウム水溶液(10wt%)の50vol%溶液60mLに浸すことによって、生成化合物を沈殿させた。固形物を吸引濾過によって収集し、メタノールおよび塩化ナトリウム水溶液(10wt%)の50vol%溶液で洗浄した。フィルター上で一晩乾燥した後、沈殿物は0.66gの質量を有していた。HPLC-MSによって、生成物が固形物の成分であることを確認し、純度は約40%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、388nmに極大吸収波長(λmax)を示した。
【0098】
実施例111
【化26】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した100mLの丸底フラスコに、無水エタノール25mL、実施例104の生成物4.0g(31.2mmol)、4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド4.43g(29.7mmol)およびメタノール中のナトリウムメトキシドの25wt%溶液4滴を添加した。TLC分析により4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒドが消費されるまで、反応混合物を撹拌しながら加熱還流した(TLC;1:1 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン;Rf(実施例111からの生成物)=0.20)。反応の終了時に、反応溶液を室温に冷却し、一晩撹拌した。沈殿物が形成された。沈殿物を吸引濾過によって収集し、メタノール約25mLで洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、さらさらした黄色粉末2.87gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約96%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、422nmに極大吸収波長(λmax)を示した。
【0099】
実施例112
【化27】

電磁撹拌機および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した50mLの丸底フラスコに、アセトン10mL、実施例111の生成物1.0g(3.86mmol)、無水メタクリル酸0.72mL(4.82mmol)、トリエチルアミン0.67mL(4.82mmol)、4-ジメチルアミノピリジン23.6mg(DMAP、0.19mmol)およびヒドロキノン10mgを添加した。反応混合物を撹拌しながら50℃で約35分間加熱し、その際に、TLC分析によれば、出発物質が消費された(TLC;1:1 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン;Rf(実施例111からの生成物)=0.19;Rf(実施例112からの生成物)=0.50)。反応混合物を室温に冷却し、メタノール中の水の5:1溶液12mLを撹拌しながら滴下速度で添加することによって、実施例112の生成物を沈殿させた。固体沈殿物を吸引濾過によって収集し、メタノール中の水の5:1溶液6.0mLで洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、さらさらした黄色粉末1.26gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約93%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、392.08nmに極大吸収波長(λmax)および28,800のモル吸光係数(ε)を示した。
【0100】
実施例113
【化28】

パートI: 加熱マントルおよび滴下漏斗を備えた清浄な乾燥した500mLのフラスコに、DMF 50mLおよびN-メチル-N-2-シアノエチルアニリン16.0g(0.1mol)を添加した。反応器を窒素でパージし、温度を35℃を超えないように保つ速度で、オキシ塩化燐10.0mL(0.2mol)を添加した。氷水浴を使用して、温度を調節した。反応器を80〜90℃に加熱し、約2時間撹拌した。反応混合物を約40℃に冷却した。
【0101】
パートII: 実施例104の生成物の一部(12.8g、0.1mol)を、1Lのビーカー中のイソプロピルアルコール200mLに溶解させた。このビーカーに、無水酢酸ナトリウム(40.0g)を添加し、混合物を撹拌し、ビーカーを75℃に加熱した。この混合物に、パートIの反応混合物(Vilsmeier complex)をかなり速い速度で添加した。添加が終了した後、反応混合物をさらに1時間撹拌し、室温に冷却した。反応混合物を、氷水溶液400mLに速い滴下速度で添加した。機械撹拌機を備えた4Lのビーカーに暗色混合物を移し、撹拌した。水(350mL)を滴下速度で添加すると、溶液が曇った。さらに400mLの水を撹拌しながら添加すると、化合物が沈殿し始めた。沈殿物を吸引濾過によって収集し、冷水、次に温水で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、化合物17.5gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約95%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、381.8nmに極大吸収波長(λmax)および27,000のモル吸光係数(ε)を示した。
【0102】
実施例114
【化29】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した50mLの丸底フラスコに、アセトン50mL、実施例113の生成物3.5g(11.7mmol)、無水メタクリル酸2.5mL(16.8mmol)、トリエチルアミン2.0mL(16.8mmol)、4-ジメチルアミノピリジン70mg(DMAP、0.6mmol)およびヒドロキノン30mgを添加した。反応混合物を撹拌しながら50〜55℃で約45分間加熱し、その際に、TLC分析によれば、出発物質が消費されていなかった(TLC;1:1 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン)。さらに10滴の無水メタクリル酸を反応混合物に添加した。反応混合物をさらに30分間撹拌し、次に、室温に冷却し、メタノール中の水の5:1溶液(約50mL)を撹拌しながら滴下速度で添加することによって、生成物を沈殿させた。固体沈殿物を吸引濾過によって収集し、水で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、黄色粉末3.43gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約92%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、381.8nmに極大吸収波長(λmax)および28,300のモル吸光係数(ε)を示した。
【0103】
実施例115
【化30】

磁気撹拌器、熱電対および加熱マントルを備えた500mLの丸底フラスコに、1,8-ジヒドロキシアントラキノン24g(0.1mol)、エチレンカーボネート88g(1.0mol)、テトラメチルアンモニウムクロリド0.5gおよびエチレングリコール75mLを添加した。反応混合物を150℃で20時間加熱した。TLC分析は、出発物質が消費されたことを示した。反応混合物を約80℃に冷却し、温水500mLを撹拌しながら添加することによって、生成物を沈殿させた。固形物を吸引濾過によって収集し、温水で洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、粘着性固形物21.0gを得た。固形物を砕き、トルエンを含有する2Lのビーカーに添加した。混合物を、絶え間なく撹拌しながら加熱して沸騰させた。混合物を約80℃に冷却し、濾過した。固形物を収集し、トルエンで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、生成物16.8gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約85%と評定された。エチレン性不飽和重合性基を、任意の有効な手段、例えば、実施例114における無水メタクリル酸のような適切な無水物との反応によって、生成物上のヒドロキシエチル基に容易に結合させることができる。
【0104】
実施例116
【化31】

磁気撹拌器を備えた清浄な乾燥した100mLの丸底フラスコに、DMF 20mL、エチル2-シアノ-3-(ヒドロキシフェニル)プロペノエート10.0g(46.1mmol、製造については、米国特許第4617374号の実施例A参照)、無水メタクリル酸13.7mL(92.2mmol)、トリエチルアミン12.9mL(92.2mmol)、4-ジメチルアミノピリジン563mg(DMAP、4.6mmol)およびヒドロキノン100mgを添加した。反応混合物を室温で約18時間撹拌した。反応混合物を水50mLに浸すことによって、生成物を沈殿させた。固体沈殿物を吸引濾過によって収集し、水で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、灰色がかった白色の粉末10.60gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約96%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、312nmに極大吸収波長(λmax)を示した。
【0105】
実施例117
【化32】

磁気撹拌器および加熱マントルを備えた1Lのフラスコに、50wt%水酸化ナトリウム水溶液53g(0.66mol)および温水375mLを撹拌しながら添加した。バニリン(68.4g、0.45mol)を添加し、次に、2-クロロエタノール53mL(0.54mol)を約1時間にわたって滴下した。2-クロロエタノールの添加の間に、反応混合物を100℃に徐々に加熱した。反応混合物を100℃でさらに16時間撹拌し、室温に冷却した。反応混合物は、pH試験紙により酸性であった2相から成っていた。混合物を撹拌し、濃水酸化アンモニウム約5mLの添加により塩基性にして溶液を得た。溶液を氷約400gに注ぎ、それによって、所望生成物が沈殿した。沈殿物を吸引濾過によって収集し、冷水で洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、生成物70.6gを得た。固体生成物は94〜96℃の融点範囲を有していた。HPLC-MS分析を使用して生成物を同定し、純度は94%と評定された。
【0106】
実施例118
【化33】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した500mLの丸底フラスコに、メタノール150mL、実施例117の生成物39.2g(0.2mol)、メチルシアノアセテート19.8g(0.2mol)およびピペリジン5滴を添加した。反応混合物を、撹拌しながら1.5時間にわたって加熱還流した。反応の終了時に、反応溶液を室温に冷却すると、物質が沈殿し始めた。さらに50mLの冷却メタノールを添加し、沈殿物を吸引濾過によって収集した。ケークを少量の冷却メタノールで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、さらさらした黄色粉末49.6gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約97%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、366.8nmに極大吸収波長(λmax)および22,400のモル吸光係数(ε)を示した。
【0107】
実施例119
【化34】

磁気撹拌器および加熱マントルを備えた100mLの丸底フラスコに、トルエン25mL、3-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアネート0.8g(4.0mmol)、メチル2-シアノ-3-(4-ヒドロキシエトキシ-3-メトキシフェニル)プロペノエート1.04g(3.75mmol、実施例118)およびジブチル錫ジラウレート3滴を添加した。反応混合物を90℃に加熱した。約45分後、TLC分析(1:1 THF/シクロヘキサン)によれば、反応は終了した。反応混合物を室温に冷却した。反応混合物を撹拌しながらヘプタン200mLに浸すことによって、生成物を沈殿させた。黄色固形物を吸引濾過によって収集し、ヘプタンで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、生成物1.5gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約94%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、362.0nmに極大吸収波長(λmax)を示した。
【0108】
実施例120
【化35】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した1Lの丸底フラスコに、アセトン200mL、実施例118の生成物33.2g(0.12mol)、無水メタクリル酸23.0mL(0.15mmol)、トリエチルアミン20.0mL(0.14mol)、4-ジメチルアミノピリジン0.7g(DMAP、5.7mmol)およびヒドロキノン400mgを添加した。反応混合物を、撹拌しながら50〜55℃で約45分間加熱し、その際、TLC分析によれば、出発物質が消費されていなかった(TLC; 1:1 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン)。さらに2〜3mLの無水メタクリル酸を反応混合物に添加した。反応混合物をさらに30分間撹拌し、次に、室温に冷却し、冷水約350mLを撹拌しながら迅速に添加することによって、生成物を沈殿させた。固体沈殿物を吸引濾過によって収集し、水で洗浄し、少量の冷メタノールで洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、黄色粉末37.1gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約95%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、362.8nmに極大吸収波長(λmax)および21,800のモル吸光係数(ε)を示した。
【0109】
実施例121
【化36】

パートI: 加熱マントルおよび滴下漏斗を備えた清浄な乾燥した300mLのフラスコに、DMF 40mLおよび3,3'-(フェニルイミノ)ジプロピオニトリル12.5g(0.06mol)を添加した。反応器を窒素でパージし、温度を35℃を超えないように保つ速度で、オキシ塩化燐6.5mL(0.042mol)を添加した。氷水浴を使用して、温度を調節した。反応器を80〜90℃に加熱し、約1時間撹拌した。反応混合物を約40℃に冷却した。
【0110】
パートII: 実施例104の生成物の一部(7.7g、0.6mol)を、1Lのビーカー中の無水エタノール90mLに溶解させた。このビーカーに、無水炭酸ナトリウム(24g)を添加し、混合物を撹拌し、ビーカーを75℃に加熱した。この混合物に、パートIの混合物(Vilsmeier complex)をかなり速い速度で添加した。添加が終了した後、反応混合物を75℃でさらに1時間撹拌し、室温に冷却した。反応混合物を、氷水400mLに速い滴下速度で添加して、生成物を沈殿させた。沈殿物を吸引濾過によって収集し、温水で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、生成物13.9gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約97%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、369.91nmに極大吸収波長(λmax)および28,400のモル吸光係数(ε)を示した。
【0111】
実施例122
【化37】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した100mLの丸底フラスコに、アセトン50mL、実施例121の生成物3.95g(11.7mmol)、無水メタクリル酸2.5mL(16.8mmol)、トリエチルアミン2.0mL(14.3mmol)、4-ジメチルアミノピリジン0.07g(DMAP、0.6mmol)およびヒドロキノン40mgを添加した。反応混合物を、撹拌しながら50℃で約45分間加熱し、その際に、TLC分析によれば、出発物質が消費された(TLC; 75:25 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン)。反応混合物をさらに20分間撹拌し、次に、室温に冷却し、冷水約50mLを撹拌しながら適度な速度で添加することによって、生成物を沈殿させた。固体沈殿物を吸引濾過によって収集し、水で洗浄し、少量の水およびメタノール4:1溶液で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、淡黄色粉末3.77gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約94%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、370.9nmに極大吸収波長(λmax)および30,100のモル吸光係数(ε)を示した。
【0112】
実施例123
【化38】

磁気撹拌器および加熱マントルを備えた100mLの丸底フラスコに、トルエン35mL、3-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアネート2.5g(12.4mmol)、実施例121の生成物3.4g(10mmol)およびジブチル錫ジラウレート4滴を添加した。反応混合物を90〜95℃に加熱した。約2時間後、TLC分析(75:25 THF/シクロヘキサン)によれば、反応は終了した。反応混合物を約65℃に冷却し、ヘプタン50mLを含有する適度に撹拌したビーカーにゆっくり添加して、生成物を沈殿させた。得られたスラリーを、氷水浴によって15〜20℃にさらに冷却した。淡黄色固形物を吸引濾過によって収集し、ヘプタンで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、生成物4.27gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約79%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、371.26nmに極大吸収波長(λmax)および24,600のモル吸光係数(ε)を示した。
【0113】
実施例124
【化39】

パートI: 加熱マントルおよび滴下漏斗を備えた清浄な乾燥した300mLのフラスコに、DMF 40mLおよび3,3'-(フェニルイミノ)ジプロピオニトリル12.5g(0.06mol)を添加した。反応器を窒素でパージし、温度を35℃を超えないように保つ速度で、オキシ塩化燐6.5mLを添加した。氷水浴を使用して、温度を調節した。反応器を80〜90℃に加熱し、約2時間撹拌した。反応混合物を約40℃に冷却した。
【0114】
パートII: 実施例108の生成物の一部(8.5g、0.6mol)を、1Lのビーカー中の無水エタノール75mLに溶解させた。このビーカーに、無水酢酸ナトリウム(24g)を添加し、混合物を撹拌し、ビーカーを75℃に加熱した。この混合物に、パートIの混合物(Vilsmeier complex)をかなり速い速度で添加した。添加が終了した後、反応混合物を75℃でさらに1時間撹拌し、室温に冷却した。反応混合物を、氷水400mLに速い滴下速度で添加して、生成物を沈殿させた。沈殿物を吸引濾過によって収集し、冷水、次に温水で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、生成物17.5gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約84%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、371.25nmに極大吸収波長(λmax)および30,700のモル吸光係数(ε)を示した。
【0115】
実施例125
【化40】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した100mLの丸底フラスコに、アセトン40mL、実施例124の生成物3.15g(9.0mmol)、無水メタクリル酸1.8mL(12.6mmol)、トリエチルアミン1.5mL(10.8mmol)、4-ジメチルアミノピリジン0.05g(DMAP、0.4mmol)およびヒドロキノン30mgを添加した。反応混合物を撹拌しながら50℃で約1時間加熱した。TLC分析によれば、少量の実施例124の生成物が残留していた(TLC; 75:25 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン)。さらに25滴の無水メタクリル酸を添加した。反応混合物をさらに2時間撹拌した。TLC分析は、微量の実施例124の生成物が残留していることを示したので、さらに10滴の無水メタクリル酸を添加した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、次に、室温に冷却し、一晩撹拌した。冷水約50mLを撹拌しながら滴下速度で添加することによって、生成物を沈殿させた。固体沈殿物を吸引濾過によって収集し、水で洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、淡黄色粉末3.15gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約89%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、371.71nmに極大吸収波長(λmax)および30,500のモル吸光係数(ε)を示した。
【0116】
実施例126
【化41】

磁気撹拌器および加熱マントルを備えた100mLの丸底フラスコに、トルエン50mL、3-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアネート2.5g(12.4mmol)、実施例124の生成物3.15g(9mmol)およびジブチル錫ジラウレート3滴を添加した。反応混合物を90〜95℃に加熱した。約5時間後、TLC分析は、いくらかの実施例124の生成物が残留していることを示した(75:25 THF/シクロヘキサン)。さらに15滴の3-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアネート、トルエン10mLおよびジブチル錫ジラウレート3滴を添加した。反応混合物を90〜95℃でさらに4時間撹拌した。反応混合物を約40℃にし、ヘプタン125mLを含有する適度に撹拌したビーカーにゆっくり添加して、生成物を沈殿させた。淡黄色固形物を吸引濾過によって収集し、ヘプタンで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、生成物5.49gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約73%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、372.72nmに極大吸収波長(λmax)および23,900のモル吸光係数(ε)を示した。
【0117】
実施例127
【化42】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した100mLの丸底フラスコに、メタノール40mL、実施例117の生成物5.88g(30.0mmol)、マロノニトリル2.0g(30.0mml)およびピペリジン5滴を添加した。反応混合物を約1.5時間にわたって撹拌しながら加熱還流した。反応が還流に達するまでに、固体生成物が形成し始めた。反応の終了時に、反応溶液を室温に冷却すると、生成物が沈殿し始めた。沈殿物を吸引濾過によって収集した。ケークを少量の冷却メタノールで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、さらさらした黄色粉末6.25gを得た。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、375.5nmに極大吸収波長(λmax)および22,300のモル吸光係数(ε)を示した。
【0118】
実施例128
【化43】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した100mLの丸底フラスコに、アセトン40mL、実施例128の生成物2.93g(12.0mmol)、無水メタクリル酸2.5mL(16.8mmol)、トリエチルアミン2.0mL(14.4mmol)、4-ジメチルアミノピリジン0.07g(DMAP、0.6mmol)およびヒドロキノン40mgを添加した。反応混合物を撹拌しながら50℃で約30分間加熱し、その際に、TLC分析は、全ての出発物質(実施例127)が消費されたことを示した(TLC;1:1 テトラヒドロフラン/シクロヘキサン)。反応混合物を室温に冷却し、機械攪拌機を備えた300mLのフラスコに移した。メタノールおよび水の3:1(容量比)溶液(90mL)を、撹拌しながら滴下速度で添加し、次に、氷冷水60mLを滴下した。生成物が沈殿して、粘着性であるが濾過性の物質を得た。沈殿物を吸引濾過によって収集し、少量の冷メタノールで洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、黄色固形物2.56gを得た。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、372.7nmに極大吸収波長(λmax)および14,400のモル吸光係数(ε)を示した。
【0119】
実施例129
【化44】

磁気撹拌器を備えた清浄な乾燥した2Lのフラスコに、アニリン100g(1.07mol)、ベンジルクロリド248mL(2.16mol)、酢酸ナトリウム176.2gおよび粉砕沃化カリウム1.0gを添加した。反応混合物を撹拌しながら蒸気浴で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次に、氷水1Lおよび濃水酸化アンモニウム200mLを含有する4Lのビーカーに注いだ。油状生成物が溶液から生じ、静置時に凝固した。固形物を吸引濾過によって収集し、水で洗浄した。固形物を砕き、メタノールに懸濁させた。少量の水酸化アンモニウムを添加し、次に、濾過した。得られたケークをメタノール、水、再びメタノールで洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、実施例129の生成物266.3gを得た。生成物をイソプロピルアルコール800mLから再結晶して、実施例129の生成物243.8gを灰色がかった白色の固形物として得た。電界脱離質量分析法を使用して生成物を同定した。
【0120】
実施例130
【化45】

加熱マントルおよび滴下漏斗を備えた清浄な乾燥した500mLのフラスコに、DMF 150mLおよび実施例129の生成物41.0g(0.15mol)を添加した。反応器を窒素でパージし、温度を35℃を超えないように保つ速度で、オキシ塩化燐15.4mL(0.15mol)を添加した。反応器を80〜90℃に加熱し、約2.5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、濃水酸化アンモニウム75mLを含有する氷水混合物(1.2L)を含有する機械撹拌4Lビーカーに注いだ。形成された淡黄褐色沈殿物を吸引濾過によって収集し、水で洗浄した。ケークをフィルター上で一晩乾燥させて、生成物44.8gを得た。
【0121】
実施例131
【化46】

磁気撹拌器および還流冷却器を備えた清浄な乾燥した500mLの丸底フラスコに、メタノール85mL、実施例104の生成物4.26g(30.0mmol)、実施例130の生成物7.53g(25.0mmol)および酢酸ピペリジンの少しの結晶を添加した。反応混合物を3時間にわたって加熱還流し、室温に冷却した。冷却時に生成物が沈殿しなかった。反応溶液をCoors皿に移し、溶媒を蒸発させた。静置時に残留物が凝固して、実施例131の生成物10.7gを生じた。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約91%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、380.7nmに極大吸収波長(λmax)および24,600のモル吸光係数(ε)を示した。
【0122】
実施例132
【化47】

磁気撹拌器および加熱マントルを備えた100mLの丸底フラスコに、トルエン30mL、3-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアネート1.2g(6.0mmol)、実施例131の生成物2.06g(5mmol)およびジブチル錫ジラウレート3滴を添加した。反応混合物を90〜95℃に加熱した。約1時間後、TLC分析は、いくらかの実施例131の生成物が残留し(1:1 THF/シクロヘキサン)、出発物質と考えられるいくらかの不溶性物質が残留していることを示した。さらに10mLのトルエンを添加し、撹拌を90〜95℃でさらに1時間継続した。反応混合物を室温に冷却し、ヘプタン40mLを含有する500mLのビーカーに撹拌しながら滴下して、生成物を沈殿させた。油状物が分離した。氷冷ヘプタン100mLを含有する500mLのビーカーに、母液を入れた。形成された軟質固体沈殿物を新しい氷冷ヘプタンに添加し、それによって、硬質濾過性固形物が形成された。淡黄色固形物を吸引濾過によって収集し、冷ヘプタンで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、生成物0.57gを得た。HPLC-MSによって、生成物が目的化合物であることを確認し、純度は約87%と評定された。DMF溶媒中で紫外-可視分光計(UV-Vis)によって測定したところ、化合物は、382.07nmに極大吸収波長(λmax)および29,300のモル吸光係数(ε)を示した。
【0123】
レンズ材料の製造
実施例133(原料モノマー混合物の製造)
2-フェニルエチルアクリレート(66wt%、PEA、CAS# 3530-36-7)、2-フェニルエチルメタクリレート(30.5wt%、PEMA、CAS# 3683-12-3)および1,4-ブタンジオールジアクリレート(3.5wt%、BDDA、CAS# 1070-70-8)を充分に混合することによって、眼内レンズ材料の製造に好適なモノマーの原料混合物(50g)を製造した。
【0124】
実施例134(対照)
20mLのガラス瓶に、原料混合物10gおよび2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(52.3mg、CAS#78-67-1、熱開始剤)を添加し、次に、溶液が得られるまで混合した。得られた溶液約2gを18mm x 150mmの試験管にシリンジで添加した。試験管を、真空炉中、窒素雰囲気下に65℃で17時間、次に、100℃でさらに3時間加熱することによって、重合を開始させた。試験管を炉から出し、室温に冷却した。得られたポリマーをヘラで取った。アセトン約25mLを含有するガラス瓶にポリマーを入れ、ヘラで小片に砕いた。ポリマー片をソックスレー抽出器に入れ、還流アセトンで4〜5時間抽出した。ポリマーを取り、時計皿で一晩乾燥させ、次に、真空炉中、約15mmHgの圧力下に50℃で1時間乾燥させた。
【0125】
実施例135
20mLのガラス瓶に、実施例107の黄色重合性生成物10.7mgおよび原料混合物10gを添加して、最終濃度約0.1wt%とした。溶液が得られるまで混合物を緩やかに加熱(約50℃)しながら撹拌し、室温に冷却した。熱重合開始剤2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(52.3mg、CAS#78-67-1)を添加し、溶液が得られるまで混合した。得られた溶液約2gを、18mm x 150mmの試験管にシリンジで添加した。試験管を、真空炉中、窒素雰囲気下に、65℃で17時間、次に、100℃でさらに3時間加熱することによって、重合を開始させた。試験管を炉から出し、室温に冷却した。得られたポリマーをヘラで取った。アセトン約25mLを含有するガラス瓶にポリマーを入れ、ヘラで小片に砕いた。ポリマー片をソックスレー抽出器に入れ、還流アセトンで4〜5時間抽出した。ソックスレー器において色が観察されず、これは、重合中に黄色化合物がモノマーと重合したことを示した。ポリマーを取り、時計皿で一晩乾燥させ、次に、真空炉において、約15mmHgの圧力下に、50℃で1時間乾燥させた。
【0126】
実施例136
20mLのガラス瓶に、実施例120の紫外線吸収重合性生成物10.7mgおよび原料混合物10gを添加して、最終濃度約0.1wt%とした。溶液が得られるまで混合物を緩やかに加熱(約50℃)しながら撹拌し、室温に冷却した。熱重合開始剤2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(53.1mg、CAS#78-67-1)を添加し、溶液が得られるまで混合した。得られた溶液約2gを、18mm x 150mmの試験管にシリンジで添加した。試験管を、真空炉中、窒素雰囲気下に、65℃で17時間、次に、100℃でさらに3時間加熱することによって、重合を開始させた。試験管を炉から出し、室温に冷却した。得られたポリマーをヘラで取った。アセトン約25mLを含有するガラス瓶にポリマーを入れ、ヘラで小片に砕いた。ポリマー片をソックスレー抽出器に入れ、還流アセトンで4〜5時間抽出した。ソックスレー器において色が観察されず、これは、重合中に化合物がモノマーと重合したことを示した。ポリマーを取り、時計皿で一晩乾燥させ、次に、真空炉において、約15mmHgの圧力下に、50℃で1時間乾燥させた。
【0127】
先に引用した全ての特許、刊行物およびアブストラクトは、全体として、参照により本明細書に組み入れられ、但し、そのような特許、刊行物およびアブストラクトにおける任意の定義が本出願における定義と矛楯する場合、本明細書における定義は、本明細書の内容に関して規定し、かつ、特許、刊行物またはアブストラクトにおける矛楯する各定義は、そのような矛楯する定義を含有する文献の内容に関して規定する。先の記載は、本発明の好ましい実施形態を説明するものにすぎず、請求の範囲において規定されている本発明の意図および範囲を逸脱せずに、それに多くの改変または変更を加えうるものと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含んでなる眼内レンズであって、該ポリマーは、式Ia、式Ib、式Icまたは式Id:
【化1】

[式中、Xは、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基である]
で示される分子構造を含む分子の少なくとも1個の残基を含み、
分子は、該分子に結合された、式Ia、式Ib、式Icまたは式Idで示されないエチレン性不飽和重合性基少なくとも1個を有し、
残基は、エチレン性不飽和重合性基の反応生成物であり、
該分子は、1個またはそれ以上の、付加的原子または式Ia、式Ib、式Icまたは式Idで示されない基を任意に含む、眼内レンズ。
【請求項2】
該分子構造は式Iaで示される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項3】
該分子構造は式Ibで示される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項4】
該分子構造は式Icで示される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項5】
該分子構造は式Idで示される、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項6】
ポリマーを含んでなる眼内レンズであって、該ポリマーは、式II、式III、式IV、式Vまたは式VI:
【化2】

[式中、RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたはチオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R2は、水素またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニルおよび-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-QおよびQから選択され;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-および-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2および-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、エチレン性不飽和重合性基を含む基であり;
該分子は、少なくとも1つのQ基を含む]
で示される分子構造を含む分子の少なくとも1個の残基を含む、眼内レンズ。
【請求項7】
分子構造が、
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状のフタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたはチオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R2は、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-および-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2および-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、式IIで実際に示される炭素原子のいずれも含んでいないエチレン性不飽和重合性基を含む基である、式IIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項8】
分子構造が、
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキルおよびアリールから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたはチオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
R'は、水素およびC1〜C12アルキルから選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-であり;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
X1は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
X2は、COYであり;
Qは、
【化3】

[式中、
R6は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
R7は、水素;C1〜C6アルキル;フェニル;C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-N(C1〜C6アルキル)2、ニトロ、シアノ、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルカノイルオキシおよびハロゲンから選択される1個またはそれ以上の基で置換されたフェニル;1-または2-ナフチル;C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシで置換された1-または2-ナフチル;2-または3-チエニル;C1〜C6アルキルまたはハロゲンで置換された2-または3-チエニル;2-または3-フリル;またはC1〜C6アルキルで置換された2-または3-フリルであり;
R8およびR9は、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールであるか、またはR8およびR9が一緒になって−(CH2)3~5−基を表し;
R10は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C8アルケニル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
R11は、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールである]
である、式IIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項9】
分子構造が、
RおよびR1は、メチル、エチル、-CH2CH2CN、-CH2CH2OCOCH3および-CH2CH(CH3)OCOCH3から選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素であり;
R'は、水素であり;
Lは、-CH2CH2O-および-CH2CH(CH3)O-から選択され;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
X1は、シアノであり;
X2は、COYであり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7である、
式IIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項10】
分子構造が、式II:
【化4】

[式中,RおよびR1は、一緒になって、チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素であり;
R'は、水素であり;
Lは、-CH2CH2O-および-CH2CH(CH3)O-から選択され;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
X1は、シアノであり;
X2は、COYであり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
(ここで、R6はメチルであり、R7は水素である)
である]
で示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項11】
分子構造が、式II:
【化5】

[式中,RおよびR1は、それぞれ、-CH2CH2-CNであり;
R2は、水素であり;
R'は、水素であり;
Lは、-CH2CH2O-および-CH2CH(CH3)O-から選択され;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
X1は、シアノであり;
X2は、COYであり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
(ここで、R6はメチルであり、R7は水素である)
である]
で示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項12】
ポリマーを含んでなる眼内レンズであって、該ポリマーは、式VII:
【化6】

で示される分子構造を含む分子の少なくとも1個の残基を含み、残基は、式VIIの末端エチレン基として示されている位置でポリマーに結合されている、眼内レンズ。
【請求項13】
分子構造が、
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
R2は、水素またはC1〜C6アルコキシであり;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキルまたは-L-Qである、
式IIIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項14】
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
(ここで、R6はメチルであり、R7は水素である)
である、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項15】
分子構造が、
RおよびR1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2-OCO-C1〜C4アルキル、-CH2CH2OCO-アリール、-CH2CH2-OC(O)NH-アリール、
【化7】

-C1〜C4アルキルおよび-CH2C6H4CO2-C1〜C4アルキルから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-、-(CH2)6O-、-CH2C(CH3)2CH2O-、-CH2-C6H10-CH2O-、-C6H4-CH2CH2O-、-C6H4-OCH2CH2O-または-CH2CH2(OCH2CH2)1~3O-であり;
Qは、
【化8】

[式中、R6はメチルであり、R8およびR9はメチルである]
である、式IIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項16】
分子構造が、
RおよびR1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2-OCO-C1〜C4アルキル、-CH2CH2OCO-アリール、-CH2CH2-OC(O)NH-アリール、
【化9】

-C1〜C4アルキルおよび-CH2C6H4CO2-C1〜C4アルキルから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-、-(CH2)6O-、-CH2C(CH3)2CH2O-、-CH2-C6H10-CH2O-、-C6H4-CH2CH2O-、-C6H4-OCH2CH2O-または-CH2CH2(OCH2CH2)1~3O-であり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
[式中、R6はメチルであり、R7は水素である]
である、式IIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項17】
分子構造が、
Rは、-CH2CH2CNであり;
R1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2OCO-C1〜C4アルキル、
【化10】

から選択され;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-または-CH2CH(CH3)O-であり;
Qは、
【化11】

[式中、R6、R8およびR9はメチルである]
である、式IIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項18】
分子構造が、
Rは、-CH2CH2CNであり;
R1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2OCO-C1〜C4アルキル、
【化12】

であり;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-または-CH2CH(CH3)O-であり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
[式中、R6はメチルであり、R7は水素である]
である、式IIで示される、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項19】
式Ia:
【化13】

の分子構造を有する少なくとも1個の基を含んでなる化合物であり、
該化合物は、該化合物に結合された、式Iaで示されないエチレン性不飽和重合性基少なくとも1個を有し、
該化合物は、1個またはそれ以上の、付加的原子または式Iaで示されない基を任意に含む、化合物。
【請求項20】
式Id:
【化14】

の分子構造を有する少なくとも1個の基を含んでなる化合物であり、
該化合物は、該化合物に結合された、エチレン性不飽和重合性基少なくとも1個を有し、
該化合物は、1個またはそれ以上の、付加的原子または式Iaで示されない基を任意に含む、化合物。
【請求項21】
式III、式IV、式Vまたは式VI:
【化15】

[式中、
R2は、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニルおよび-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシルおよび-L-Qから選択され;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-および-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2および-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、エチレン性不飽和重合性基を含む基であり;
該化合物は、少なくとも1つのQ基を含む]
で示される分子構造を含んでなる化合物。
【請求項22】
式III、式IV、式Vまたは式VI:
【化16】

[式中、
R2は、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニルおよび-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシルおよび-L-Qから選択され;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-および-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2および-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、
【化17】

(ここで、
R6は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
R7は、水素;C1〜C6アルキル;フェニル;C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-N(C1〜C6アルキル)2、ニトロ、シアノ、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルカノイルオキシおよびハロゲンから選択される1個またはそれ以上の基で置換されたフェニル;1-または2-ナフチル;C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシで置換された1-または2-ナフチル;2-または3-チエニル;C1〜C6アルキルまたはハロゲンで置換された2-または3-チエニル;2-または3-フリル;またはC1〜C6アルキルで置換された2-または3-フリルであり;
R8およびR9は、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールであるか、またはR8およびR9が一緒になって−(CH2)3~5−基を形成し;
R10は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C8アルケニル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
R11は、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールである)
である]
で示される分子構造を含んでなる化合物。
【請求項23】
式II:
【化18】

[式中、
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたはチオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素またはヒドロキシ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-および-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
nは、1〜約1000の整数であり;
X1は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
X2は、-COYまたはカルバモイルであり:
Qは、
【化19】

(ここで、
R6は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
R7は、水素;C1〜C6アルキル;フェニル;C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-N(C1〜C6アルキル)2、ニトロ、シアノ、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルカノイルオキシおよびハロゲンから選択される1個またはそれ以上の基で置換されたフェニル;1-または2-ナフチル;C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシで置換された1-または2-ナフチル;2-または3-チエニル;C1〜C6アルキルまたはハロゲンで置換された2-または3-チエニル;2-または3-フリル;またはC1〜C6アルキルで置換された2-または3-フリルであり;
R8およびR9は、独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールであるか、またはR8およびR9が一緒になって−(CH2)3~5−基を表し;
R10は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C8アルケニル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
R11は、水素、C1〜C6アルキルまたはアリールである)
であり、
化合物は、少なくとも1個のQ基を含む]
で示される分子構造をを含んでなる化合物。
【請求項24】
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキルおよびアリールから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造、例えば、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたはチオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素、C1〜C6アルキルおよびハロゲンから選択され;
R'は、水素およびC1〜C12アルキルから選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-であり;
Yは、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
X1は、シアノであり;
X2は、COYであり;
Qは、
【化20】

(ここで、R6は水素またはメチルであり、R7は水素であり、R8およびR9はメチルである)
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたはチオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素であり;
R'は、水素であり;
Lは、-CH2CH2O-および-CH2CH(CH3)O-から選択され;
Yは、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
X1は、シアノであり;
X2は、COYであり;
nは、1〜3から選択される整数であり、
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
(ここで、R6はメチルであり、R7は水素である)
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
RおよびR1は、メチル、エチル、-CH2CH2CN、-CH2CH2OCOCH3および-CH2CH(CH3)OCOCH3から選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素であり;
R'は、水素であり;
Lは、-CH2CH2O-および-CH2CH(CH3)O-から選択され;
Yは、-NR'-L-Qおよび-N-(L-Q)2から選択され;
X1は、シアノであり;
X2は、COYであり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
(ここで、R6はメチルであり、R7は水素である)
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項27】
RおよびR1は、一緒になって、チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
R2は、水素であり;
R'は、水素であり;
Lは、-CH2CH(CH3)O-から選択され;
Yは、-NR'-L-Qであり;
X1は、シアノであり;
X2は、COYであり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
(ここで、R6はメチルであり、R7は水素である)
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項28】
式VII:
【化21】

で示される分子構造を含む化合物。
【請求項29】
分子構造が、
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
R2は、水素またはC1〜C6アルコキシであり;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキルまたは-L-Qである、
式IIIで示される、請求項21に記載の化合物。
【請求項30】
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
(ここで、R6はメチルであり、R7は水素である)
である、請求項24に記載の眼内レンズ。
【請求項31】
RおよびR1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2-OCO-C1〜C4アルキル、-CH2CH2OCO-アリール、-CH2CH2-OC(O)NH-アリール、
【化22】

-C1〜C4アルキルおよび-CH2C6H4CO2-C1〜C4アルキルから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-、-(CH2)6O-、-CH2C(CH3)2CH2O-、-CH2-C6H10-CH2O-、-C6H4-CH2CH2O-、-C6H4-OCH2CH2O-または-CH2CH2(OCH2CH2)1~3O-であり;
Qは、
【化23】

[式中、R6、R8およびR9はメチルである]
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項32】
RおよびR1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2-OCO-C1〜C4アルキル、-CH2CH2OCO-アリール、-CH2CH2-OC(O)NH-アリール、
【化24】

-C1〜C4アルキルおよび-CH2C6H4CO2-C1〜C4アルキルから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、環状構造チオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-、-(CH2)6O-、-CH2C(CH3)2CH2O-、-CH2-C6H10-CH2O-、-C6H4-CH2CH2O-、-C6H4-OCH2CH2O-、-CH2CH2(OCH2CH2)1~3O-であり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7
[式中、R6はメチルであり、R7は水素である]
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項33】
Rは、-CH2CH2CNであり;
R1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2OCO-C1〜C4アルキル、
【化25】

から選択され;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-または-CH2CH(CH3)O-であり;
Qは、
【化26】

[式中、R6、R8およびR9はメチルである]
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項34】
Rは、-CH2CH2CNであり;
R1は、-CH2CH2CN、-CH2CH2Cl、-CH2CH2OCO-C1〜C4アルキル、
【化27】

であり;
Yは、-NH-L-Qであり;
Lは、-CH2CH2O-または-CH2CH(CH3)O-であり;
Qは、-C(O)C(R6)=CHR7[式中、R6はメチルであり、R7は水素である]
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項35】
請求項19〜34のいずれかに記載の化合物を含む組成物。
【請求項36】
式Ia、式Ib、式Icまたは式Id:
【化28】

[式中、Xは、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基である]
で示される分子構造を含む分子の少なくとも1個の残基を含むポリマーであって、
分子は、該分子に結合された、式Ia、式Ib、式Icまたは式Idで示されないエチレン性不飽和重合性基少なくとも1個を有し、
残基は、エチレン性不飽和重合性基の反応生成物であり、
該分子は、1個またはそれ以上の、付加的原子または式Ia、式Ib、式Icまたは式Idで示されない基を任意に含む、ポリマー
【請求項37】
式II、式III、式IV、式Vまたは式VI:
【化29】

[式中、RおよびR1は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニル、-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-Qおよび-Qから独立に選択されるか;またはRおよびR1は、一緒になって、フタルイミド、スクシンイミド、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたはチオモルホリノ-S,S-ジオキシドを形成し;
nは、1〜約1000から選択される整数であり;
R2は、水素またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択される1個または2個の基、から選択され;
R3は、水素、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、アリール、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8アルケニルおよび-(CHR'CHR''O-)n-R4、C1〜C12アシル、置換C1〜C12アシル、-L-QおよびQから選択され;
R4は、水素、C1〜C12アルキル、C1〜C6アルカノイルおよびアリールから選択され;
R'およびR''は、水素およびC1〜C12アルキルから独立に選択され;
Lは、C1〜C6-アルキレン-O-、C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-O-、アリーレン-C1〜C6-アルキレン-NR'-、アリーレン-O(CHR'CHR''O-)n-、C1〜C6-アルキレン-Y1-(CHR'CHR''O-)n-および-(CHR'CHR''O-)n-から選択される二価有機基であり;
Yは、-O-L-Q、-NR'-L-Q、-N-(L-Q)2および-R5から選択され;
Y1は、-O-、-S-、-SO2-、-N(SO2R5)-および-N(COR5)-から選択され;
R5は、C1〜C12アルキル、置換C1〜C12アルキル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
X1およびX2は、シアノ、-CO2C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、C1〜C6アルカノイル、アロイル、アリール、ヘテロアリールおよび-COYから独立に選択され;
Qは、エチレン性不飽和重合性基を含む基であり;
該分子は、重合前に、少なくとも1つのQ基を含む]
で示される分子構造を含む分子の少なくとも1個の残基を含むポリマーであって、
残基は、基Qの飽和の反応生成物であり、
該分子は、1個またはそれ以上の、付加的原子または式II、式III、式IV、式Vまたは式VIで示されない基を任意に含む、ポリマー。
【請求項38】
請求項36または37に記載のポリマーを含んでなる組成物。
【請求項39】
請求項36または37に記載のポリマーを含んでなる物品。
【請求項40】
請求項19〜34のいずれかに記載の化合物を含むモノマーを共重合することを含む、ポリマーの製造方法。

【公表番号】特表2008−520352(P2008−520352A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543134(P2007−543134)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/040897
【国際公開番号】WO2006/057824
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(502049837)アドバンスト メディカル オプティクス, インコーポレーテッド (50)
【Fターム(参考)】