説明

共鳴誘導性負荷に電気エネルギーを結合する回路及び方法

切替回路(Q11,Q12,D11,D12,D13,L11,L12)は、電源(V11)からエネルギー伝達コンデンサ(C11)を充電し、次に、前記コンデンサを放電することにより共鳴負荷回路内へ離散パルスのエネルギーを注入するように繰り返し設定される。負荷回路は、共鳴コンデンサ(C12)及び例えばモータのような誘導性負荷装置(T11,R11)若しくは誘導加熱装置或いは電力伝達装置により形成される。エネルギーは、負荷回路内をその自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで循環する。伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが電源から切替回路へ配送されている間、負荷回路へのエネルギーの注入はない。注入中は、2つのコンデンサ及び誘導性負荷装置が、互いに並列に又は直列に接続され得るか、又は、伝達コンデンサが、共鳴コンデンサではなく誘導性負荷装置と直列に接続され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導性負荷に電力を供給する電気回路に関連する。より具体的には、本発明は、コンデンサと共鳴する誘導性負荷装置に電気エネルギー源を結合する回路に関する。本発明の特定用途の実施例は、低中周波誘導加熱装置及び誘導電力伝達装置、又は、共鳴モード、誘導又は同期磁気抵抗で駆動される交流電流モータを含む。
【背景技術】
【0002】
共鳴回路は、空隙を通じてエネルギーを誘導的に伝達することが望まれる多くの電気装置に、例えば、誘導式加熱器又は誘導式調理台、誘導式加熱治療、誘導式熱炉、並びに、電気自動車、携帯電話、携帯コンピュータ又は他の再充電可能な機器内の電池若しくは他のエネルギー蓄積装置を充電するのに利用される装置のような、誘導性電力伝達装置に利用される。
【0003】
この「加負荷共鳴回路」と呼ばれるものの利用は、回路の誘導部品内のエネルギーを共鳴で増強し、このエネルギーの一部分を、磁束により空隙を横切るように伝達する、負荷回路の誘導部品に誘導結合又は連結される回路を特徴とする。設計の優れたシステムでは、共鳴回路内で振動する大きな反応エネルギーと比較して、共鳴エネルギーの消費は少量のみであるので、高いエネルギー伝達効率を得ることができる。しかしながら、誘導結合又は連結された誘導部品間の距離が増加するにつれて、回路エネルギー伝達効率は減少する。
【0004】
従来の誘導加熱駆動回路は、複数の反転構成を含み、最も一般的な構成は、準共鳴反転駆動、半ブリッジ反転駆動、及び全ブリッジ反転駆動である。これらは、半サイクル毎の半分にわたって、又は、第2番目毎の半サイクルの間に、負荷回路内へエネルギーを直接的に入力することを特徴とする。これらの標準的反転形態は、通常、他の誘導性電力伝達装置にも利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コンデンサと共鳴する誘導性負荷回路に電気エネルギー源を結合する結合回路を含む。結合回路は、最初に、電気エネルギー源からエネルギー伝達コンデンサを充電し、次に、充電されたエネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路へ少なくとも部分的に又は全て放電することにより共鳴負荷回路内へ電気エネルギーを注入するように、切替回路を繰り返し設定することにより、電気エネルギー源から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達する。
【0006】
本発明の目的は、電気エネルギー源からのエネルギーを制御し、誘導性負荷装置へ効率的に伝達することができる回路を提供すること、又は、電気エネルギー源からのエネルギーを制御し、誘導性負荷装置へ効率的に伝達することができる回路を操作する方法を提供すること、又は、公衆に有用な選択肢を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
大まかに、第1の態様では、本発明は、誘導性負荷装置に電気エネルギー源を結合する結合回路を含み、
結合回路は、切替回路、エネルギー伝達コンデンサ及び共鳴コンデンサを含み、
共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、共鳴負荷回路を一体的に形成し、
共鳴負荷回路は、自然共鳴周波数を有し、
切替回路は、電気エネルギー源からエネルギー伝達コンデンサを充電する、充電構成に設定可能であり、
切替回路は、エネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより共鳴負荷回路内へ離散パルスのエネルギーを注入する、注入構成に設定可能であり、
切替回路は、電気エネルギー源から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達し、誘導性負荷装置に伝達されたエネルギーが振動周波数で共鳴負荷回路内を循環するように、充電構成に続いて注入構成に、繰り返し設定可能であり、
振動周波数が、自然共鳴周波数の近くか又はその周波数に等しく、
エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが電源から切替回路に配送されている間、エネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない。
【0008】
振動周波数は、自然共鳴周波数の±20%、±10%、±5%、又は±2.5%内であり得る。
【0009】
エネルギーは、振動周波数に等しい又は振動周波数の整数の約数に等しい既定の切替周波数で、切替回路を繰り返し設定することにより、電気エネルギー源から誘導性負荷装置へ伝達され得る。
【0010】
任意選択的に、切替回路が充電構成にあるとき、エネルギー伝達コンデンサは、共鳴負荷回路内へ放電されない。
【0011】
任意選択的に、切替回路が注入構成にあるとき、エネルギー伝達コンデンサは、電源から充電されない。
【0012】
共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、互いに並列に連続的に接続され得る。エネルギー伝達コンデンサは、切替回路が注入構成に設定される場合、共鳴コンデンサと誘導性負荷装置の両端に並列に有効に接続され得る。
【0013】
エネルギー伝達コンデンサ、共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、切替回路が注入構成に設定される場合、直列回路内に有効に接続され得る。
【0014】
エネルギー伝達コンデンサ及び誘導性負荷装置は、切替回路が注入構成に設定される場合、共鳴コンデンサを除外した直列回路内に有効に接続され得る。
【0015】
任意選択的に、注入構成は、エネルギー伝達コンデンサを放電して共鳴負荷回路内へ第1方向に電流を注入する、第1注入構成であり、
切替回路が、エネルギー伝達コンデンサを放電して共鳴負荷回路内へ第1方向とは反対の第2方向に電流を注入する、第2注入構成に設定可能であり、
電気エネルギー源から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、切替回路が、充電構成に、続いて、第1注入構成に、続いて、充電構成に、続いて、第2注入構成に繰り返し設定可能である。
【0016】
任意選択的に、エネルギー伝達コンデンサは、第1エネルギー伝達コンデンサであり、結合回路が、第2エネルギー伝達コンデンサも含み、
充電構成が第1充電構成であり、切替回路が、電気エネルギー源から第2エネルギー伝達コンデンサを充電する、第2充電構成に設定可能であり、
注入構成が第1注入構成であり、切替回路が、第2エネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより共鳴負荷回路内へ離散パルスのエネルギーを注入する、第2注入構成に設定可能であり、
電気エネルギー源から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、切替回路が、第1充電構成、第2注入構成、第2充電構成、及び第1注入構成に繰り返し設定可能であり、
第2エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが、電源から切替回路に配送されている間、第2エネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない。
【0017】
この選択では、切替回路は、第1充電構成、第2注入構成、第2充電構成、及び第1注入構成に逐次的に繰り返し設定されてもよい。代わりに、この選択では、切替回路は、同期的に第1充電構成及び第2注入構成に設定されもよく、切替回路は、同期的に第2充電構成及び第1注入構成に設定されてもよい。
【0018】
大まかに、第2の態様では、本発明は、誘導性負荷装置に電気エネルギー源を結合する結合回路を操作する方法を含み、
結合回路は、切替回路、エネルギー伝達コンデンサ及び共鳴コンデンサを含み、
共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、共鳴負荷回路を一体的に形成し、
共鳴負荷回路は、自然共鳴周波数を有し、
前記方法は、以下の工程:
1.エネルギー伝達コンデンサが電気エネルギー源に接続される充電構成に、切替回路を設定することと、
2.電気エネルギー源からエネルギー電圧容量を充電することと、
3.エネルギー伝達コンデンサが共鳴負荷回路に接続される注入構成に、切替回路を設定することと、
4.エネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより、共鳴負荷回路内へ離散パルスのエネルギーを注入することと、
5.電気エネルギー源から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、工程1、工程2、工程3及び工程4を繰り返して実行することと
を含み、
誘導性負荷回路へ伝達されるエネルギーが、振動周波数で共鳴負荷回路内を循環し、
振動周波数が、自然共鳴周波数に近いか又はその周波数に等しく、
エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが電源から切替回路に配送されている間、エネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない。
【0019】
振動周波数は、自然共鳴周波数の±20%、±10%、±5%、又は±2.5%内であり得る。
【0020】
工程5では、切替回路は、振動周波数に等しい又は振動周波数の整数の約数に等しい既定の切替周波数で、繰り返し設定され得る。
【0021】
任意選択的に、工程1及び工程2を実行する間、エネルギー伝達コンデンサは、共鳴負荷回路内に放電されない。
【0022】
任意選択的に、工程3及び工程4を実行する間、エネルギー伝達コンデンサは、電源から充電されない。
【0023】
工程3及び工程4を実行する間、エネルギー伝達コンデンサ、共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、互いに並列に、有効に接続され得る。
【0024】
工程3及び工程4を実行する間、エネルギー伝達コンデンサ、共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、互いに直列回路に、有効に接続され得る。
【0025】
工程3及び工程4を実行する間、エネルギー伝達コンデンサ及び誘導性負荷装置は、互いに、共鳴コンデンサを除く直列回路に、有効に接続され得る。
【0026】
任意選択的に、工程3の注入構成は、第1注入構成であり、工程4でのエネルギー伝達コンデンサの放電が、共鳴負荷回路内へ第1方向に電流を注入することにより実行され、前記方法が、以下の追加の工程:
6.エネルギー伝達コンデンサが共鳴負荷回路に接続される第2注入構成に、切替回路を設定する工程と、
7.共鳴負荷回路内へ第1方向とは反対の第2方向に電流を注入することによりエネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電し、それにより、共鳴負荷回路内へ離散パルスのエネルギーを注入する工程と、
8.電気エネルギー源から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、工程5での工程1、工程2、工程3及び工程4の各繰り返しに続いて、工程1、工程2、工程6及び工程7を繰り返し実行する工程と
を含む。
【0027】
大まかに、第3の態様では、本発明は、誘導性負荷装置に電気エネルギー源を結合するための結合回路を操作する方法を含み、
結合回路は、切替回路、第1エネルギー伝達コンデンサ、第2エネルギー伝達コンデンサ、及び共鳴コンデンサを含み、
共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、自然共鳴周波数を有する共鳴負荷回路を一体的に形成し、
前記方法は、以下の工程:
A.第1エネルギー伝達コンデンサが共鳴負荷回路に接続される第1注入構成に、切替回路を設定することと、
B.第1エネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより、共鳴負荷回路内へ離散パルスのエネルギーを注入することと、
C.第1エネルギー伝達コンデンサが電気エネルギー源に接続される第1充電構成に、切替回路を設定することと、
D.電気エネルギー源から第1伝達コンデンサを設定することと、
E.第2エネルギー伝達コンデンサが共鳴負荷回路に接続される第2注入構成に、切替回路を設定することと、
F.第2エネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより、共鳴負荷回路内へ離散パルスのエネルギーを注入することと、
G.第2エネルギー伝達コンデンサが電気エネルギー源に接続される第2充電構成に、切替回路を設定する工程と、
H.電気エネルギー源から第2エネルギー伝達コンデンサを充電することと、
I.電気エネルギー源から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、工程A〜工程Hの全てを含めて繰り返し実行することと
を含み、
誘導性負荷装置へ伝達されたエネルギーが、自然共鳴周波数に近いか又はその周波数に等しい振動周波数で、共鳴回路内を循環し、
第1エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが、電気エネルギー源から配送されている間、第1エネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がなく、第2エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが電源から切替回路へ配送されている間、第2エネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない。
【0028】
本明細書に使用される用語の定義
【0029】
本明細書で用いられる用語「を含んでいる」は、「から少なくとも部分的に成り立っている」意味する。つまり、「を含んでいる」を含む本明細書内の説明を解釈する際に、各記述の中でこの用語により始められる特徴は、全て存在することを必要とするが、他の特徴も存在し得る。「を含む(複数)」、「を含む(単数)」、「含められた」等の関連用語は、同様に解釈されるべきである。
【0030】
本明細書で用いられるように、用語「及び/又は」は、「及び」又は「又は」、若しくはその両方を意味する。
【0031】
本明細書で用いられるように、名詞に続く「(s)」は、名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0032】
本明細書で用いられる用語「インダクタ」は、回路内に主にそのインダクタンス特性のために組み込まれる受動部品を意味する。
【0033】
本明細書で用いられる用語「誘導性負荷装置」は、インダクタンスを有するが、例えば、駆動作用、変換作用又は誘導作用により、若しくは、磁気的引力又は斥力により作業機能を実行するように、磁界を主に設定する回路内に組み込まれる、あらゆる装置を含んでいると理解されるべきである。誘導性負荷装置は、誘導性電力伝達コイル、変圧器、電磁モータ、線形アクチュエータコイル、電磁石、ソレノイドコイル及び誘導コイルを含むが、これらに限定されず、前記誘導コイルは、誘導加熱に利用されるコイル、巻線等を含む。
【0034】
磁界の増大又は崩落中に誘導装置内に誘導される電流についての、本明細書内での参照値は、磁界の増大又は下落により誘導装置の巻線インダクタンスを通じて誘導装置内に誘導される電圧により駆動される電流を指していると理解することができる。
【0035】
本発明は、更に、限定することを意図するものではない単なる例として、以下の図面を参照しながら記載される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】並列に接続された誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路内へ一方向の電流パルスを注入する本発明の第1実施形態を図示する回路を示す図である。
【図1B】自然共鳴よりも下で動作する図1Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図1C】自然共鳴よりも上で動作する図1Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図2A】直列に接続された誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路内へ一方向の電流パルスを注入する本発明の第2の実施形態を図示する回路を示す図である。
【図2B】自然共鳴よりも下で動作する図2Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図3A】誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路の誘導装置内へ一方向の電流パルスを注入する本発明の第3の実施形態を図示する回路を示す図である。
【図3B】自然共鳴よりも下で動作する図3Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図4A】並列に接続される誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路内へ双方向の電流パルスを注入する本発明の第4の実施形態を図示する回路を示す図である。
【図4B】自然共鳴よりも上で動作する図4Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図5A】並列に接続される誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路内へ双方向の電流パルスを注入する本発明の第5の実施形態を図示する回路を示す図である。
【図5B】自然共鳴よりも上で動作する図5Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図5C】自然共鳴よりも下で動作する図5Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図6A】直列に接続された誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路内へ双方向電流パルスを注入する本発明の第6の実施形態を図示する回路を示す図である。
【図6B】自然共鳴よりも上で動作する図6Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図7A】誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路の誘導装置内へ双方向の電流パルスを注入する本発明の第7の実施形態を図示する回路を示す図である。
【図7B】自然共鳴よりも下で動作する図7Aの回路の電流、電圧及び電力波形を示す図である。
【図8A】直列に接続される誘導装置及び共鳴コンデンサにより与えられる共鳴負荷回路内へ一方向の電流パルスを注入する本発明の第8の実施形態を図示する回路を示す図である。
【図8B】2つのエネルギー伝達コンデンサが交互に動作し、どちらかのコンデンサの再充電が共鳴負荷内への電流パルスの注入と重複しない、図8Aの回路の電流及び電圧波形を示す図である。
【図8C】2つのエネルギー伝達コンデンサが交互に動作し、共鳴負荷内への電流パルスを注入するために、各コンデンサを再充電が他のコンデンサの放電と重複する、図8Aの回路の電流及び電圧波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面では、一回路の実施形態の部品は、別の回路の実施形態の部品に機能面で対応し、図に示される対応する成分は、それぞれ、x1、x2、x3等と標識され、xは、実施形態及び図の番号である。例えば、各々の回路の実施形態は、エネルギー伝達コンデンサと共鳴コンデンサとを含む。エネルギー伝達コンデンサは、図1AではC11、図2AではC21、図3AではC31等と標識され、対応する共鳴コンデンサは、図1AではC12、図2AではC22、図3AではC32等と標識される。
【0038】
付属の図面では、配線間の接続が点で示されていることに留意するべきである。交差するが点のない配線は、接続されていない。
【0039】
付属の図面に見られるような本発明の記載される各々の実施形態は、誘導性負荷装置に電気エネルギー源を結合する結合回路を含む。特定の実施形態での誘導性負荷装置は、誘導加熱コイルであり、変圧器の1次巻線として本明細書に付属の図面に表されている。しかしながら、誘導性負荷装置は、例えば、誘導モータ回転子、又は、変圧器若しくは他の誘導性電力伝達装置であり得る。
【0040】
変圧器の疎結合2次巻線は、低抵抗回路に接続され、誘導加熱コイルにより囲まれる製品内の渦電流回路を表す。渦電流は、その製品の渦電流回路内に誘導される。
【0041】
共鳴コンデンサは、変換器の1次巻線に接続される。第2巻線の共鳴コンデンサ、変換器1次巻線及び疎結合抵抗負荷(渦電流回路又は他の負荷回路を表す)は、共鳴負荷回路を一体的に形成する。エネルギーは、電源から共鳴負荷回路の誘導性負荷装置へ、1つのエネルギー伝達コンデンサ又は複数のエネルギー伝達コンデンサを介して伝達される。本明細書内でのエネルギー伝達コンデンサの参照値は、複数のコンデンサにより与えられるエネルギー伝達コンデンサを含んでいると理解されるべきである。
【0042】
結合回路は、制御された切替回路を含む。エネルギー伝達コンデンサは、直流(DC)電源又はフィルタをかけられた交流(AC)主電源、例えば、110ボルト又は240ボルトの主電源のような電源から、適切なパルス成形インダクタ、共鳴インダクタ又は降圧インダクタを通じた制御された切り替えにより、周期的に充電される。本発明の範囲を変更することなく、伝達コンデンサを充電する他の手段を利用することができる。エネルギー伝達コンデンサ上に蓄積されたエネルギーは、制御された切り替えによっても、共鳴負荷回路内に周期的に注入される。
【0043】
切替回路は、電気エネルギー源がエネルギー伝達コンデンサに接続される充電構成に設定され、充電電流が電気エネルギー源からエネルギー伝達コンデンサ内へ流れるように仕向けることにより、エネルギー伝達コンデンサを充電する。回路形態により及び/又は切替回路内で用いられる方法により、エネルギー伝達コンデンサへの充電量を制御することができる。
【0044】
次に、切替回路は、放電構成に設定される。この構成では、エネルギー伝達コンデンサは、共鳴負荷回路に接続され、放電電流がエネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へ流れるように仕向けることにより、エネルギー伝達コンデンサを部分的に又は全て放電する。これにより、離散パルスの電流及びエネルギーは、共鳴負荷回路内に注入される。
【0045】
電気エネルギー源からエネルギー伝達コンデンサへ、エネルギー伝達コンデンサから誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、切替回路は、充電構成に、続いて、放電構成に繰り返し設定される。誘導性負荷装置内へのエネルギー注入の時期及び振幅は、切替回路により制御される。
【0046】
エネルギー伝達コンデンサは、好ましくは、各々のエネルギー注入期間中に電源又は電力源から接続を有効に外され、注入期間の間に、電源又は電力源から再充電される。入力電力は、電力制御が降圧コンバータを介して得られる絶縁型主電源、パルス形成インダクタ又は共鳴インダクタ、若しくは降圧昇圧コンバータの様々な構成を介して与えられ得る。
【0047】
本発明を利用して、制御された量の離散的エネルギーが、正確な時間間隔にわたり、共鳴サイクル内の有利な点で共鳴負荷回路内に注入されるので、エネルギーは、電源から負荷回路へ高伝達効率で伝達される。
【0048】
エネルギーは、好ましくは、共鳴負荷回路にかかる電圧が低い場合、共鳴負荷回路の振動サイクル内の最適な点で注入される。これは、エネルギー注入が突破のための最少量の回路電圧を有するように、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数サイクルに対して各エネルギー注入パルスの時期を進ませるか又は遅らせることにより、自動的に達成される。これにより、回路内へエネルギーを注入する効率は、改善される。
【0049】
各サイクル内での注入点の時期は、エネルギー伝達コンデンサの電圧にも依存している。共鳴サイクル内の注入点の時期の制御に影響を与えるために、エネルギー伝達コンデンサが充電される電圧は、単独で又は注入周波数の変化と組み合わせて利用される。
【0050】
本発明は、以下の特徴を提供し得る。
・あまり部品を利用しない簡素な回路
・全波共鳴モード動作
・正弦波状のワークコイル電流波形
・複素時間調節回路を用いない、自然共鳴周波数での又はその周波数の近くでのワークコイルの動作
・共鳴負荷回路内へエネルギーを交互に注入してエネルギー伝達コンデンサを充電すること
・ワークコイルの性質因子(Q)が高いことで達成される高い効率
・正弦波ワークコイル及び高い結合効果で達成される高い効率
・標準的な半ブリッジ誘導加熱回路又は準共鳴誘導加熱回路の改善された動作効率
・単一の極性、即ち、一方向のパルス(例えば、1サイクル毎に一度)により、又は、交互の極性、即ち、双方向のパルス(例えば、1サイクル毎に二度)により注入すること
・共鳴負荷回路と直列に、又は、前記共鳴負荷回路の両端に並列に注入すること
・エネルギーを高効率で伝達するために、共鳴負荷回路の電圧波形のゼロ交差で、又は、前記ゼロ交差の近くで注入すること
・適切に容量を定めたエネルギー伝達コンデンサから、好ましくは、共鳴回路のエネルギーの減分に合わせるのに十分な大きさの電流パルスを注入することにより、最小限の入力電力で必要なワークコイル電流を維持するのに僅かに大きく容量を定めたエネルギー伝達コンデンサから注入すること
・幅広い電力制御範囲に対する、短い継続時間から1/4周期までの注入期間
・以下のうちの1つ以上による負荷回路電力制御:
・エネルギー伝達コンデンサの容量値を選択すること
・注入電圧(即ち、充電エネルギー伝達コンデンサの電圧)を変えること
・離散的注入パルスの継続時間を変えること
・注入周波数を変えること(例えば、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数から上に又は下に変化させる)
・サイクル当たりの又は単位時間当たりのエネルギー注入数を変えること
【0051】
動作周波数
【0052】
本明細書に記載される本発明による切替回路は、(電気エネルギー源からエネルギー伝達コンデンサへエネルギーを伝達するための)充電構成に、及び、(エネルギー伝達コンデンサを放電することにより、共鳴負荷回路内にエネルギーを注入するための)放電及び注入構成に回路を設定するように繰り返し切り替えられる。
【0053】
各回路は、基本周波数を有する様々な周期的電流及び電圧で動作する。これらの周波数は、充電周波数、注入周波数、振動周波数及び共鳴周波数を含む。本明細書内のこれらの周波数の参照値は、文脈が明らかに代わりの意味を必要としない限り、以下の定義により定義されると理解されるべきである。
【0054】
充電周波数は、エネルギー蓄積コンデンサを充電するために電源から誘導される周期的な充電電流の基本周波数である。
【0055】
注入周波数は、共鳴負荷回路内への注入のためのエネルギー伝達コンデンサの制御された放電により誘導される周期的な放電及び注入電流の基本周波数である。
【0056】
振動周波数は、周期的電流注入により励起した共鳴負荷回路内で振動する周期的な電流及び電圧の基本的周波数である。更に以下に説明されるように、振動サイクルの一部分にわたる瞬時振動周波数は、1つ以上の完全な振動サイクルにわたり平均された平均振動周波数に必ずしも等しくない。
【0057】
共鳴周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数である。
【0058】
図1A、図2A又は図3Aに示される実施形態では、エネルギー伝達コンデンサは、電源から誘導される電流パルスで交互に充電され、次に、共鳴負荷回路内に注入される電流パルスにより放電される。これらの回路では、共鳴負荷回路内へのエネルギー注入は、同じ極性を有する一連の一方向電流パルスによるものである。注入電流パルスのパルス繰り返し周波数は、エネルギー伝達コンデンサを充電する電流パルスのパルス繰り返し周波数に等しい。
【0059】
図4A、図5A、図6A及び図7に示される実施形態では、エネルギー伝達コンデンサは、電源から誘導されるパルスで交互に充電され、次に、共鳴負荷回路内に注入されるパルスにより放電される。これらの回路では、エネルギー注入は、交互に変わる極性を有する一連の双方向電流パルスによるものである。注入周波数は、充電周波数の半分に等しく、エネルギー伝達コンデンサは、双方向注入サイクル毎に二度、再充電される。エネルギー伝達コンデンサを充電する切替コンバータは、更に高い周波数で実行され得るので、エネルギー伝達コンデンサは、放電されて共鳴負荷回路内へエネルギーを注入する前に、複数の電流パルスで充電される。この場合、注入周波数は、充電周波数の約数(例えば、1/3、1/4、1/5等)である。
【0060】
共鳴周波数は、共鳴負荷回路の容量及びインダクタンスに左右される。エネルギーは、負荷回路内に電気的振動を励起する一連の離散パルスとして共鳴負荷回路内へ注入される。連続した注入パルスの間では、共鳴負荷回路が、共鳴負荷回路の共鳴周波数に等しい瞬時振動周波数で自由に振動する。しかし、1つ以上の完全な振動サイクルにわたり平均化される場合の平均振動周波数は、注入周波数、即ち、エネルギー注入パルスの繰り返し周波数に左右される。
【0061】
注入パルス間の自然共鳴振動の周期性に対する各注入パルスの時期は、次の振動の時期に影響を与える。例えば、注入パルス間の自然共鳴振動の周期性に対して注入パルスが進むか又は遅れる場合、平均振動周波数は、それぞれ、共鳴負荷回路の共鳴周波数よりも上に又は下に相殺される。負荷回路への各注入は、注入期間の間に共鳴振動を有効に再設定し、負荷回路内の振動の平均周波数を注入周波数に固定する。
【0062】
共鳴負荷回路の共鳴利得及び性質因子Qは、本特許に記載される方法でのエネルギーの注入により影響を受けない。実際に、共鳴回路内で振動する比較的大きな反応エネルギーのうちの僅かな量のみが、負荷で消費される。例えば、誘導式調理台では、共鳴回路内で8kVARであり得、1〜2kWのみが、空間を横切り、90%の結合効率で調理容器内へ伝達される。
【0063】
振動周波数が自然共鳴周波数に近い場合、本発明は十分に機能するけれども、回路動作は、不安定であり得る、及び/又は、注入回路の効率及び/又は全回路の効率は、減少し得る。回路動作は、平均振動周波数が共鳴周波数よりも上に又は下に相殺されるように注入周波数を選択することにより、安定にされ得る。相殺の大きさにより、エネルギーが負荷回路内に注入される振動サイクル内の点が、制御される。
【0064】
例えば、自然共鳴周波数よりも約2%〜5%下方に振動周波数が低減するように、注入周波数を下げてもよい。この相殺は、共鳴負荷回路にかかる正弦波電圧の第2四分円のゼロ交差の前に(即ち、降下しているが、まだ正である1/4サイクル上に)、注入点を設置する。この点で注入すれば、放電エネルギー伝達コンデンサの電圧及び共鳴負荷回路の電圧は、互いに調和して降下するので、注入効率は高い。ゼロ交差点で又はその点よりも下で注入することにより、極めて効率的な結果を尚も得ることができるが、その結果、動作が不安定になり得る、及び/又は、電圧振動が崩壊し得る。
【0065】
代わりに、自然共鳴周波数よりも上に振動周波数を増加させるように、注入周波数を上げてもよい。この相殺は、共鳴負荷回路にかかる正弦波電圧の第1四分円内に(即ち、正の上昇1/4サイクル上に)注入点を移動させる。一般に、放電しているエネルギー伝達コンデンサの低下電圧からの注入は、負荷回路の上昇電圧とは反対であるので、振動周波数のこの上方移動は、前の段落に記載された下方移動の選択肢ほど効率的ではない。しかしながら、回路は、このモードで尚も機能することができる。
【0066】
図1A、図2A及び図3Aに示される特定の実施形態では、注入周波数は、平均振動周波数に等しく、切替回路は、共鳴負荷回路内の完全振動サイクル毎に1つの注入パルスを与える。
【0067】
任意選択的に、注入周波数は、平均振動周波数の整数倍に等しくされてもよい。図4A、図5A、図6A及び図7に示される切替回路は、この場合の実施例である。これらの回路では、(反対の極性の)2つのパルスが、共鳴負荷回路内の完全振動サイクル毎に注入される。
【0068】
別の選択では、平均振動周波数は、注入周波数の整数倍に等しい。この場合、切替回路は、共鳴負荷回路内の2つ以上の完全振動サイクル毎に1つの注入パルスを与える。幾つかの振動サイクルにわたり注入パルスをこのように省略することは、負荷回路に伝達されるエネルギーを削減する電力制御技術として有用であり得る。
【0069】
1つ以上の注入パルスは、共鳴負荷回路内の1つ以上の振動サイクルにわたり注入され、続いて、1つ以上の振動サイクルにわたり注入されなくてもよい。幾つかの振動サイクル上でのエネルギー注入の省略を利用して、誘導性負荷装置に配送されるエネルギーの量を制御し得る。
【0070】
本発明を実行する際に、注入周波数を設定することができ、次に、共鳴回路の性質因子若しくはQ、及び全効率を最適にするように、共鳴コンデンサを「調節」することができる。目的は、最小限のエネルギー入力で共鳴負荷回路の共鳴振動を維持することである。入力エネルギーは、回路の減分に合わせるのに丁度十分に保持されなければならない。
【0071】
共鳴コンデンサの最適な「調節」を維持するために、エネルギー注入の電圧又は周期性が、マイクロプロセッサ又は他のプログラム可能な論理制御装置により自動的に制御され得る。例えば、異なる負荷条件のもとで全回路の効率を維持するために、回路の動作特性が監視され、共鳴コンデンサが調節され得る。
【0072】
回路効率
【0073】
本発明による回路の効率は、入力エネルギーが半サイクル毎に又は2番目毎の半サイクルで回路動作の周期の半分又は4分の1にわたり回路内に供給されることを特徴とする準共鳴反転駆動、半ブリッジ反転駆動及び完全ブリッジ反転駆動等の従来の誘導加熱インバータの設計と比較して高い。
【0074】
高い効率は、エネルギー伝達コンデンサを共鳴負荷回路内へ放電しているときに、エネルギー伝達コンデンサから電源を絶縁することにより得られる。特に、エネルギー伝達コンデンサを放電するためのエネルギーが電源から切替回路に配送されている間、エネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない場合に、高い効率を得ることができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、注入制御トランジスタが「オン」にされる間、又は、注入電流パルスが共鳴負荷回路内へ注入されている間、再充電は、エネルギー伝達コンデンサ内へ尚も流れている場合がある。例えば、図2Aの実施形態は、降下コンバータ形態を利用して、エネルギー伝達コンデンサC21に電源V21を接続する。この実施形態では、注入制御トランジスタQ22が「オン」にされる間、且つ、注入電流パルスが共鳴負荷回路内に注入されている間、慣性インダクタL21からの電流は、エネルギー伝達コンデンサC21内へ尚も流れている場合がある。
【0076】
効率利得は、共鳴負荷回路の「減分」、即ち、サイクル当たりのエネルギー損失に合わせる必要がある分のみから導かれ、エネルギーの量の効率的な制御が、エネルギー伝達コンデンサを介して注入することによりこの減分を相殺するのに必要とされる。比較すると、従来の半ブリッジ駆動回路又は全ブリッジ駆動回路は、電流で「過度に駆動され」、入力エネルギーを最小限に注入することは達成されない。
【0077】
本発明では、注入周波数は、有利には、自然共鳴周波数よりも下の振動周波数を与えるように設定される。その上、エネルギー伝達コンデンサは、有利には、回路の減分に合わせるのに十分であるが、注入期間中のエネルギー伝達コンデンサの電圧降下が共鳴負荷回路にかかる電圧のゼロ交差付近の電圧降下に整合するか又は同じであり得る程十分に小さいエネルギーを保持するような容量が定められる。注入中に放電される際の、最適な容量のエネルギー伝達コンデンサの低下電圧は、従来のインバータに利用されるような比較的大きな容量の蓄積コンデンサから利用可能であるより不変な電圧を利用するよりも、効率的である。
【0078】
本発明は、共鳴ワークコイル回路に供給するのに通常必要とされるエネルギーよりも少ないエネルギーを必要とする。例えば、ワークコイルに電力を供給する本発明を利用することにより、ワークコイル内に平均二乗偏差(rms)電流を得ることができ、入力電力は、普通に15%〜30%節約される。一実施例では、平坦に螺旋状に巻かれた90μHで0.1オームの、見積もられる負荷への結合効率が90%である市場で入手可能な誘導調理台中の加負荷ワークコイル内で、1800Wが、22Armsの電流を得るために必要とされる。本発明を利用して、同じワークコイル内で、約1550Wの電力入力で、22Armsの電流が得られる。
【0079】
しかしながら、ワークコイルが、より重いリッツ線を利用してより高いQ値に設定され、パンケーキ型の形状とは異なる形状でソレノイドに作製される場合、本発明による双方向エネルギー注入技術を利用して、同じ90%の結合効率の加負荷ワークコイル内で、900Wのみの入力電力で、22Aの電流を得ることができる。これは、共鳴回路、特に、誘導加熱システム又は誘導性電力伝達装置を駆動する極めて効率的な方法である。
【0080】
本発明を利用することにより得られうる効率利得を示すために、以下に更に記載される図6の結合回路及び典型的な従来技術の4つのトランジスタから成る完全ブリッジ反転回路が、回路シミュレーションソフトウェアプログラム上で模擬的に試験され、比較された。典型的な従来技術の完全ブリッジインバータでは、104μHの誘導加熱ワークコイルが、0.605μF共鳴コンデンサに結合され、全波ブリッジインバータ回路内の4つの切替トランジスタにより20kHzで駆動された。この回路は、電源から1.055kWを引き出し、ワークコイル内に62アンペアの電流を生成する。比較として、同一の104μHの誘導加熱ワークコイルが、変圧器T61の代わりに接続され、20kHzで駆動される図6Aの回路内で0.605μFのコンデンサC62と共に共鳴された場合、この回路は、電源から759ワットのみを引き出し、ワークコイルに62アンペアを通す。これは、同じワークコイル電流を得るために従来技術の回路により必要とされる電力入力を28%削減し、誘導加熱目的に本発明を実際に適用する際に見出される結果に適合する。
【0081】
電力制御
【0082】
本発明による共鳴負荷回路又はワークコイルに配送される電力は、エネルギー伝達コンデンサ内に蓄積されるエネルギーの量を制御又は変更することにより容易に制御され得る。これは、適切に容量が定めら得たエネルギー伝達コンデンサを選択することにより、及び/又は、共鳴負荷回路内へエネルギーを注入する前にエネルギー伝達コンデンサが充電される電圧を制御することにより行われ得る。エネルギー伝達コンデンサを再充電するエネルギー供給のパルス幅変調を利用することにより、この電圧制御を得ることができる。注入周波数又は注入期間の時期若しくは継続時間を変えても、共鳴負荷回路に供給されるエネルギーを調節又は限定することができる。共鳴負荷サイクル毎に注入される電流パルスの数、又は、注入電流パルスの繰り返し周波数を調節しても、供給負荷回路に供給されるエネルギーの量を変えることができる。
【0083】
高電力が必要とされる場合、各注入期間を全四分円に拡張することができ、この拡張により、注入方法、注入点及び注入周波数を制御して、ワークコイル内の電流波形の幅を、実質的なエネルギーを搬送する「2重こぶ」パルスに広げ、それにより、高電力動作モードを与えることができる。この注入方法は、高い効率を尚も維持しており、高電力で、高い程度の誘導加熱電力制御を与える。
【0084】
並列負荷回路の両端へのエネルギー注入
【0085】
共鳴負荷回路内へのエネルギー注入は、直列注入又は並列注入であり得る。並列注入は、一般に、直列注入で行うような、共鳴負荷回路の閉ループを注入可能なように開く必要がないので、実装するのにより容易である。
【0086】
図1A、図4A及び図5Aに示される実施形態では、共鳴コンデンサ及び誘導性負荷装置は、並列に連続的に接続されたままである。切替回路は、エネルギー注入構成の場合、並列接続で組み合わせた共鳴コンデンサと誘導性負荷装置の両端に並列に、エネルギー伝達コンデンサを有効に接続するように配置される。並列注入の1つの利点は、循環共鳴電流が注入回路内よりも通常更に高い並列接続の負荷回路内で、高位の作動状態の切替装置を無効にすることである。切替装置は、循環電流が注入回路内よりも更に極めて高い共鳴負荷回路内部で利用される場合、速度及び電流定格値が更に高くなければならない。
【0087】
エネルギー伝達コンデンサからの放電電流は、図1A、図4A及び図5Aの回路のように、並列に接続された負荷回路内に注入される場合、注入効率は、特に、低動作周波数で、例えば、50〜500Hzで共鳴負荷回路の容量性脚部内に流される比較的高い電流により下がり得る。この状況を克服するために、以下に記載されるように、実施形態3A及び7Aが設計される。
【0088】
直列負荷回路内へのエネルギー注入
【0089】
図2A、図6A及び8Aに示される実施形態では、切替回路は、エネルギー注入構成にある場合に、共鳴負荷回路を開き、エネルギー伝達コンデンサ、共鳴コンデンサ及び誘導性負荷措置を有効に接続するように配列される。この直列注入方法は、共鳴負荷回路のコンデンサと誘導性負荷装置の両方による注入あるので、高い効率を与えることができる。注入回路は、正確に制御され、共鳴回路内の最も効率的な点に配置され得る。しかしながら、直列注入方法は、注入時期と共鳴回路の開口時期との間の交差又は重複により生じ得る棘波及び短絡回路経路を避けるように、切替時期の精度をより高めて制御することを必要とする。
【0090】
誘導性負荷装置内へのエネルギー注入
【0091】
図3A及び図7Aに示される実施形態では、切替回路は、放電構成にある場合に、共鳴負荷回路を開き、共鳴コンデンサを用いることなく、エネルギー伝達コンデンサ及び誘導性負荷装置の巻線を直列に有効に接続するように配置される。上述のように、並列方法による共鳴負荷回路内への電流パルスの注入により、負荷回路内の共鳴コンデンサは、エネルギー伝達コンデンサから不必要に大きな注入電流を吸収する。これは、全回路の効率を下げる。例えば、図3A及び図7Aのように、共鳴コンデンサの後に「阻止」スイッチを有することにより、注入電流は、負荷回路の誘導部品に流され、それにより、注入電流パルスの振幅を限定する。これは、注入効率を増すために用いられる。なぜなら、注入電流は、誘導部品のみを通じて循環電流を「持ち上げ」、サイクル毎の電流の減分を直接補充するからである。
【0092】
注入の極性
【0093】
図1A、図2A、図3A及び図8Aに示される実施形態では、切替回路は、エネルギー伝達コンデンサ(単数)又は図8Aの場合ではエネルギー伝達コンデンサ(複数)から共鳴負荷回路内へ、一連の一方向電流パルスとして、即ち、全て同じ極性を有する一連のパルスとしてエネルギーを注入するように配置される。
【0094】
図4A、図5A、図6A及び図7Aの実施形態では、切替回路は、エネルギー伝達コンデンサから共鳴負荷回路内へ、一連の双方向の電流パルスとして、つまり、極性を交互に変える一連のパルスとしてエネルギーを注入するように配置される。
【0095】
注入制御インダクタ
【0096】
共鳴負荷回路へのエネルギー伝達コンデンサの接続は、図1A、図2A、図3A、図5A、図7A及び図8Aに示される実施形態では、一連のインダクタL12,L22,L32,L52,L72及びL82を通じて、図4Aに示される実施形態では、一対の直列インダクタL42A及びL42Bを通じて行われる。これらの注入制御インダクタを利用して、共鳴負荷回路内に注入される電流パルスを制御する。直列注入制御インダクタは、エネルギー伝達コンデンサからの初期放電電流の過渡現象を低減する。前記インダクタがなければ、例えば、図1A、図4A及び図5Aに示される実施形態では、エネルギー伝達コンデンサが共鳴コンデンサの両端に並列に直接接続される場合、前記初期放電電流の過渡現象が起こり得る。
【0097】
これらの注入制御インダクタは、共鳴負荷回路が、注入回路内に、特に、低周波数で動作する並列負荷回路の両端へのエネルギーの注入を利用する回路内にエネルギーを戻すのを阻止することもできる。回路内に直列注入制御インダクタを含むことは、任意選択であり、動作周波数、エネルギー伝達コンデンサの容量、及び、エネルギー伝達コンデンサが充電される電圧等の複数の因子に依存し得る。いずれの注入制御インダクタも用いずに、伝達コンデンサから直接注入することにより、幾つかの回路構成では、注入効率が高くなり得る。
【0098】
注入共鳴
【0099】
注入回路部品の値は、共鳴負荷回路内にエネルギーを注入する間の寄生振動性の切替過渡現象を削減するように、好ましくは回避するように、しかし、注入の間に、負荷回路がその自然共鳴で又はその近くで振動することができるように選択される。例えば、注入回路ループ内の誘導性部品及び容量性部品の値は、回路が適切な電圧で必要なエネルギーを蓄積するように、且つ、注入回路ループの自然共鳴周波数が、負荷回路内の振動の瞬間周波数又は平均周波数に等しくないように選択される。部品の値をこのように選択することで、寄生的又は過渡的注入共鳴が抑制される。そのように選択しなければ、前記共鳴により、回路動作が不安定になり得る。
【0100】
電源
【0101】
電気エネルギー源V11,V21,V31等は、各々が、DC電源として図に示される。しかしながら、本明細書に記載される回路に、いずれかの適切な電源、例えば、整流された50Hz又は60Hz交流主電源又は切替モード電源から、好ましくは、1つ以上のフィルタインダクタ及びフィルタコンデンサ若しくは蓄積コンデンサを介して電力が供給され得る。好ましくは、電源は、パルス電流を供給する駆動回路の近くの電源のDC出力の両端に位置する大容量の蓄積コンデンサを有する。
【0102】
適切な電源として、昇圧変圧器、降圧変圧器又は1:1巻線比の変圧器と、絶縁型ACからDCを与える全波ブリッジ整流器が挙げられ得る。
【0103】
代わりに、直接結合絶縁型電源からの出力は、絶縁型ACからDCを与えるために、全波ブリッジ整流器により整流され得る。
【0104】
本発明の回路は、電池により供給され得、任意選択的に、適切なインダクタ/コンデンサフィルタ回路、及び/又は、駆動回路のための電圧を得るためにバッテリー電圧を昇圧又は降圧するDC−DCコンバータを通じて供給され得る。
【0105】
切替結合器
【0106】
本発明で利用される切替装置は、好ましくは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)又は絶縁型ゲート双極トランジスタ(IGBT)である。本発明の実施形態に示されるFETスイッチのゲートは、パルス発生器から、光学的絶縁光カプラ、例えば、ヒューレート・パッカード社からのHCPL−3120を通じて駆動され得る。光カプラは、電気的に絶縁されたDC対DCコンバータから導出された15ボルトの電源から電力を供給され得る。1つの適切なコンバータは、2kVの絶縁を与え、12ボルト入力に対して15ボルト出力で1ワットを供給する、C&Dテクノロジー社からのNMEI 215Sである。
【0107】
電気的に絶縁されたコンバータに対する12ボルト電源は、AC又はDC電源から導出され得る。TRECO社は、50Hz、240ボルトACを、電気的に絶縁されたコンバータに電力を供給するための12ボルトDCに変換する1つの適切なコンバータを供給する。
【0108】
供給コンバータ
【0109】
各々の電源V11〜V81からのエネルギーは、電源切替トランジスタQ11〜Q71、Q81A及びQ81Bを主に含む電源切替回路を通じて、エネルギー伝達コンデンサC11〜C71、C81A及びC81Bへ配送される。
【0110】
供給切替回路は、図1A〜6A及び図8Aに示される回路内の降圧コンバータとして、及び、図7Aに示される回路内の昇圧コンバータとして設定される。電源コンバータの種類の選択とその制御システムは、電源電圧が、エネルギー伝達コンデンサが充電されるべき電圧よりも高いか又は低いかに部分的に依存する。電源切替トランジスは、エネルギー伝達コンデンサの充電を制御し、電源V11〜V81から導出される充電電流パルスは、直列インダクタL11〜L71、L81A又はL81Bにより制御又は形成される。インダクタL11〜L71、L81A及びL81Bの値は、電流パルスの形状と、利用可能な時間内にエネルギー伝達コンデンサに伝達される電力レベルとを最適化するように選択される。
【0111】
切替コントローラ
【0112】
付属の図面に示される制御された切替回路の切替装置、例えば、MOSFET及びIGBTは、いずれかの適切な制御器(各切替装置に対する個別のゲート駆動装置として単に概略的に図示される)により制御される。例えば、制御器は、必要とされる振幅及び時期の制御パルス又は制御信号を切替装置に与えることできる、個別のロジック制御器、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又は他の適切なデジタル論理装置又はプログラム可能論理装置であり得る。幾つかの用途で検討されるのは、制御器により切替装置に与えられる制御信号が、誘導性負荷装置に関連する1つ以上の動作条件に応答することである。例えば、誘導性負荷装置が、誘導加熱コイルである場合、スイッチに与えられる制御信号の時期は、回路上で加熱される物体又は負荷の温度に応答し得る。代わりに、切替装置の切替時間を制御する制御装置に情報を与えるために、共鳴負荷装置内を循環する電流が検出され得る。
【0113】
制御スイッチ
【0114】
制御切替回路の切替装置は、発生する電流及び電圧に適切であり、切替速度、低位の「オン」又は閉じた抵抗、及び高位の「オフ」又は開いた抵抗等の適切な切替特性を有する、いずれかのスイッチであり得る。
【0115】
誘導加熱用途に対して、絶縁ゲート双極トランジスタ(IGBT)、インターナショナル社の整流器IRGBH50F、又はIRGPC40U、IRGPC50F若しくはIRGPC50U、又はモトローラ社のMGY40N60、又はフィリップスセミコンダクタ社のECG3322、及び金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、インターナショナル社の整流器IRFPG50、IRFK4HC50、IRFK4HE50、IRFK4JE50、IRFK4J450、IRFK4HE450、IRFK6J350又はIRFK6H350が、付属の図面の回路に示される半導体切替装置に適切であるとわかっている。
【0116】
スイッチは、いずれかの適切な手段により制御器に結合される。しかしながら、制御器、スイッチの種類、及び制御器とスイッチとの間の結合は、本発明の一部を成していない。幾つかの特定の実施形態では、FETスイッチ又はIGBTスイッチは、絶縁された駆動器、例えば、絶縁コンバータ電源、例えば、C&Dテクノロジー社からの1215Sにより電力を供給されるゲート駆動を有する、ヒューレットパッカード社からのHVPL−3120ゲート駆動光カプラにより、切替制御器に結合される。この絶縁結合配置は、コンデンサ充電又はエネルギー注入回路内の制御スイッチのいかなる破壊でも、切替制御器が故障しないことを保証する。
【0117】
「オフ」に切り替えられる又は「非導電性」にされるトランジスタ又はスイッチについての本明細書内の参照は、1次経路内で、例えば、電源とドレインとの間で比較的導電性ではない状態を提示するトランジスタ又はスイッチを指していると理解されるべきである。前記トランジスタ又はスイッチを通じて、電流は一方向に流れるが、導電性の状態を排除するものではなく、1次経路を通じて、電流は反対方向に流れる。例えば、MOSFETは、電流が一方向にMOSFETを流れるのを実質的に防止するように「オフ」に切り替えられ得るが、電流が反対方向にMOSFETを流れる導電経路を尚も与える。この反転導電経路は、通常、あるMOSFETを製造するのに利用される製造プロセスから生じる固有の半導体ダイオードにより与えられる。その上留意されるべきことは、付属の図面に示されるMOSFETが、個別の部品としての固有の寄生ダイオードを示していないことである。固有の寄生ダイオードにより与えられる電流搬送容量を増加させるために、個別の追加のダイオード(例えば、図3AのダイオードD34)が、トランジスタスイッチの1次経路の両端に並列に接続され得る。
【0118】
ダイオード
【0119】
本発明の幾つかの切替装置は、電流を一方向に流すために導電性の又は閉じた状態(即ち、比較的低い抵抗性の経路)を本質的に与えるが、電流を反対方向に流すために導電性ではない又は開いた状態(即ち、比較的高い抵抗性の経路)を与える半導体ダイオードである。ダイオードは、単独で又は制御された切替装置と組み合わせて利用され得る。組み合わせる場合、ダイオードは、必要とされる切り替えに応じて、制御スイッチと並列に又は直列に利用され得る。
【0120】
個別の半導体対オードを利用する場合、インターシル社の1200V、超高速ダイオードRHRG30120(30A)及びRHRG75120(75A)が適切であるとわかっている。
【0121】
半導体ダイオードは、導電性になるには、小さな順バイアス電圧を必要とする。この必要性は、回路動作の説明を簡略にするために、一般に、以下の記載では無視されている。
【0122】
コンデンサ
【0123】
本発明の各々記載される実施形態は、少なくとも2つのコンデンサを含む。
【0124】
少なくとも1つのコンデンサは、次に共鳴負荷回路にエネルギーを伝達する前に、エネルギー源から導出されるエネルギーを一時的に格納する。これらのコンデンサは、1つ以上の個別のコンデンサにより与えられ得、便宜上、一般に、用語「エネルギー伝達コンデンサ」と呼ばれる。
【0125】
別のコンデンサは、誘導性負荷装置に接続され、誘導性負荷装置と共鳴し、共鳴負荷回路を形成する。このコンデンサは、1つ以上の個別のコンデンサにより与えられ得、便宜上、一般に、用度「共鳴コンデンサ」と呼ばれる。
【0126】
用語「エネルギー伝達コンデンサ」及び「共鳴コンデンサ」は、本明細書で利用され、これらのコンデンサの機能を互いに区別し、記載される実施形態の幾つかの変態で利用され得る他のコンデンサ(図面に示されず)、例えば、電源貯蔵又はフィルタコンデンサと区別するのに役立つ。
【0127】
以下の実施形態に記載されるエネルギー伝達コンデンサ及び共鳴コンデンサは、好ましくは、低い等価な直列抵抗とインダクタンスとを有する低損失コンデンサである。適切なコンデンサは、金属被膜ポリプロピレンパルスコンデンサ、又は、コンデンサが高い切替速度及び周波数で高電圧及び高電流に耐えなければならない用途のための、金属被膜ポリプロピレン薄膜層コンデンサである。
【0128】
好ましいエネルギー伝達コンデンサは、コーネルダブラー社、エヴォックス・リファ社又はEPCOS社からの金属被膜ポリエステル又はポリプロピレン層パルスコンデンサである。
【0129】
好ましい共鳴コンデンサは、LCRキャパシタ(EU)社からの型番PC/HV/S/WFコンデンサ、又はコーネルダブラー社からの型番942Cポリプロピレン層金属薄膜・金属被膜ポリプロピレン絶縁ハイブリッドコンデンサ等のポリプロピレン層薄膜直列巻きコンデンサである。各々の場合では、所望の容量値を得るために、複数のコンデンサが並列に接続され、等価な直列抵抗(ESR)を実質的に削減し、適切な電流容量を与え得る。例えば、以下に記載される幾つかの回路に共鳴コンデンサを与えるために、14個の0.047μFのコンデンサ又は7個の0.1μFコンデンサの並列組合せが利用されている。
【0130】
エネルギー伝達コンデンサの適切な値は、適切な回路シミュレーションソフトウェアパッケージで回路を模擬的に試験し、最大の効率にコンデンサの値を定めることにより定められ得る。
【0131】
大量のエネルギーが共鳴回路内に供給される必要がある高電力用途のために、2つの伝達コンデンサを交互に利用することができる、又は2つ以上のエネルギー伝達コンデンサを連続的に逐次的に利用することができる。
【0132】
2つのコンデンサが交互に利用される配置では、第1エネルギー伝達コンデンサを放電して、共鳴負荷回路内へ電流パルスを注入する。次に、電源から第1エネルギー伝達コンデンサを再充電する。次に、第2エネルギー伝達コンデンサを放電して、共鳴負荷回路内へ第2電流パルスを注入し、最終的に、電源から第2エネルギー伝達コンデンサを再充電する。その循環は繰り返される。2つの充電期及び2つの放電期は、重複することなく逐次的に起こる。
【0133】
別の2つのコンデンサの交互の配置では、第2コンデンサが電源からを再充電されている間に、第1エネルギー伝達コンデンサを放電して、共鳴負荷回路内へ電流パルスを注入する。次に、第1エネルギー伝達コンデンサが電源からを再充電されている間に、第2エネルギー伝達コンデンサを放電し、共鳴負荷回路内へ第2電流パルスを注入する。各充電期は、放電期と重複する。
【0134】
例えば、ダイオードにより固定されなければ、エネルギー伝達コンデンサの電圧は、コンデンサの値があまりにも小さい場合、ゼロよりも下に降下し得る。この状況により、効率が減少し、エネルギー伝達コンデンサを再び充電するために、電源から比較的高いエネルギーレベルを要求することになる。エネルギー伝達コンデンサの電圧は、ゼロを下回るのを回避するために、例えば、ダイオードにより、例えば、図5A及び図6Aに示される実施形態では、ダイオードD45又はD65により固定され得る。
【0135】
共鳴コンデンサは、単一のコンデンサにより与えられ得るか、又は、所望の電流定格値及び電圧定格値を与えるために、並列に及び/又は直列に結合された複数のコンデンサにより与えられ得る。共鳴コンデンサの値は、例えば、マイクロプロセッサ又は他のプログラム可能論理制御装置の制御下で、回路内及び回路外のコンデンサを切り替えることにより制御され、適切な「調整」状態に、即ち、既定の最良の動作範囲内に共鳴負荷回路を保持し得る。
【0136】
共鳴コンデンサは、図内でコンデンサC12〜C82により示されるように、回路内の1つの場所で与えられ得る。代わりに、共鳴コンデンサは、誘導性負荷装置の両側で、離れた場所での2つのコンデンサに分割され、与えられ得る。例えば、図2A及び図6A内の共鳴コンデンサC22及びC62は、それぞれの変圧器巻線の1次巻線の各末端T21又はT61で、直列に接続されるコンデンサに入れ替えられ得る。
【0137】
誘導性負荷装置
【0138】
以下に記載される特定の実施形態での誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであるが、別の誘導性電力装置、例えば、共鳴モードで実行される巻線、結合インダクタの1次巻線、誘導性電力伝達装置又は変換装置の1次巻線を備えたAC誘導又は同期磁気抵抗モータであり得る。
【0139】
回路を模擬試験する目的のために、誘導性負荷装置は、本明細書に付属の図面に、疎結合変圧器の1次巻線として表される誘導加熱ワークコイルである。以下に記載される回路の実施形態では、変圧器の結合は、通常、50%である。変圧器の第2巻線、及び、2次巻線に接続される低抵抗負荷は、誘導加熱コイルにより囲まれて誘導渦電流が流れる製品内の渦電流回路を表す。単一のコンデンサにより、又は、複数のコンデンサにより与えられる共鳴コンデンサは、変圧器の1次巻線に接続される。共鳴コンデンサ、変圧器の1次巻線、及び疎結合2次巻線の抵抗負荷は、共鳴負荷回路を一体的に形成する。
【0140】
第1実施形態
【0141】
図1Aは、本発明の第1実施形態の2つの特定の異型に対する回路を、図1B及び図1Cは、2組の波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置に接続される共鳴コンデンサC12により形成される並列共鳴負荷回路内へ一方向の電流パルスを注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図1Aで疎結合変圧器T11の1次巻線により表される。共鳴コンデンサC12は、変圧器の1次巻線と並列に連続的に接続される。低抵抗の負荷抵抗R11は、変圧器の2次巻線の両端に接続され、誘導加熱システムの製品を表す。電気エネルギーV11のDC電源は、切替結合回路により、共鳴負荷回路に結合される。
【0142】
図1Aに示されるように、切替結合回路は、充電制御トランジスタQ11、直列阻止ダイオードD11、還流ダイオードD12、直列インダクタD11、エネルギー伝達コンデンサC11、エネルギー注入制御トランジスタQ12、直列阻止ダイオードD13及び直列注入制御インダクタL12を含む。
【0143】
電源から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達するために、切替結合回路は、以下の構成の序列で繰り返し設置される。
1.コンデンサ充電構成
2.第1選択的絶縁構成
3.コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、及び
4.第2選択的絶縁構成。
【0144】
コンデンサ充電構成では、充電制御トランジスタQ11は、「オン」であり、即ち、実質的に導電性にされ、エネルギー注入制御トランジスタQ12は、「オフ」であり、即ち、実質的に非導電性にされる。この充電構成では、電気エネルギーV11の電源は、充電制御トランジスタQ11、ダイオードD11及びインダクタL11の直列回路を通じて、エネルギー伝達コンデンサC11に接続される。同期的に、「オフ」状態である注入制御トランジスタQ12は、エネルギー伝達コンデンサC11が共鳴負荷回路から接続を外されることを確保する。エネルギー伝達コンデンサC11は、電気エネルギー源V11から、トランジスタQ11、ダイオードD11及び直列インダクタL11を通じて充電される。
【0145】
インダクタL11は、充電制御トランジスタQ11の初期のオンで電源V11から引かれる電流の上昇率を制御する。エネルギー伝達コンデンサへの充電量は、電源V11の電圧、エネルギー伝達コンデンサC11のコンデンサ、インダクタL11のインダクタンス、及び、トランジスタQ11が「オン」に保持される期間の継続時間を選択することにより制御される。
【0146】
充電構成の終端では、充電制御トランジスタQ11は、「オフ」にされる。結合回路は、次に、充電制御トランジスタQ11と注入制御トランジスタQ12の両方が短期間にわたり「オフ」に切り替えられたままである、選択的絶縁構成に設定され得る。
【0147】
このとき、インダクタL11は、ある残留磁界を有し得る。この場合、エネルギー伝達コンデンサC11は、その残留磁界が下落するによりインダクタL11内で誘導される電流から充電され続けることになる。還流ダイオードD12(慣性ダイオードとしても知られている)は、次に、磁界が完全に下落するまで、インダクタLH、エネルギー伝達コンデンサC11及びダイオードD12により与えられる直列回路の周りをこの充電電流が流れることができるように導通され、伝達コンデンサC11内に更なる電荷が加えられる。
【0148】
幾つかの実施形態では、エネルギー伝達コンデンサC11は、コンデンサC11が直接インダクタL11と過渡共鳴することにより、又は、「ムーアクロフト効果」として知られている誘導容量性のオーバーシュートにより、電源の電圧よりも大きな電圧に充電され得る。
【0149】
充電正誤トランジスタQ11が、そのトランジスタが「オフ」にされるときにさえソースからドレインへの反転導電経路を与える固有の寄生ダイオードを備えた、MOSFET又は類似の装置である場合、阻止ダイオードD11が含まれる。阻止ダイオードD11は、エネルギー伝達コンデンサC11からの放電電流がこの固有のMOSFET寄生ダイオードを通じて電源V11内に流れ戻るのを防止する。阻止ダイオードD11を用いなければ、トランジスタQ11が「オフ」にされたときにさえ、この放電電流が流れ得る。
【0150】
伝達コンデンサ充電サイクルが完了した後に、結合回路は、次に、注入構成に設定され、放電制御トランジスタQ11は、「オフ」に切り替えられ、電気エネルギー源V11からエネルギー伝達コンデンサC11の接続を外し、エネルギー注入制御トランジスタQ12は、「オン」に切り替えられ、阻止ダイオードD13と直列パルス制御インダクタL12を通じて、共鳴負荷回路の両端にエネルギー伝達コンデンサC11を接続する。エネルギー伝達コンデンサC11は、共鳴コンデンサと、図1Aで変圧器T11及び負荷抵抗R11により表される誘導性負荷装置との並列組合せの両側に有効に接続される。
【0151】
注入構成では、エネルギー伝達コンデンサC12は、トランジスタQ12、順バイアス阻止ダイオードD13及び注入制御インダクタL12を通じて放電され、並列共鳴負荷回路内にエネルギーを注入する。この注入は、トランジスタQ12が「オン」である場合に起こり、エネルギー伝達コンデンサC11上の電圧は、共鳴負荷回路にかかる、即ち、共鳴コンデンサC12にかかる瞬時電圧よりも大きい。注入は、トランジスタQ12が注入構成の停止で「オフ」にされるか、又は、阻止ダイオードD13が逆バイアスになる場合に続く。ダイオードD13は、放電エネルギー伝達コンデンサC11が、共鳴負荷回路にかかる、即ち、共鳴コンデンサC12にかかる瞬時電圧よりも下に降下する場合、電圧反転バイアスになる。
【0152】
エネルギー注入制御トランジスタQ12が、そのトランジスタが「オフ」にされるときにさえソースからドレインへの反転導電経路を与える固有の寄生ダイオードを備えた、MOSFET又は類似の装置である場合、阻止ダイオードD13が含まれる。阻止ダイオードD13は、反転電流が、固有のMOSFET寄生ダイオードを通じて共鳴負荷回路からエネルギー伝達コンデンサC11に流れ戻るのを防止する。阻止ダイオードD13を用いなければ、トランジスタQ12が「オフ」にされたときにさえ、この反転電流が流れ得る。
【0153】
本実施形態でのエネルギー伝達コンデンサC11からの放電電流は、同じ極性で共鳴負荷回路内に常に注入される。つまり、放電電流は、全て同じ極性を有する一連のパルスとして共鳴負荷回路内に注入される。図1Aに示される回路では、電流パルスは、共鳴負荷回路内に注入され、コンデンサC11、トランジスタQ12、阻止ダイオードD13、インダクタL12、及び共鳴コンデンサC12と変圧器T11の1次巻線との並列接続により形成されるループの周りで時計回りに流れる。
【0154】
注入構成の後、結合回路は、絶縁構成に設定される。絶縁構成では、トランジスタQ11とQ12の両方は、「オフ」であり(即ち、実質的に非伝導性にされ)、従って、電気エネルギー源V11から、及び、共鳴コンデンサC12と、変圧器T11及び負荷抵抗R11により表される誘導性負荷装置とから形成される共鳴負荷回路から、エネルギー伝達コンデンサC11の接続を外して絶縁する。
【0155】
エネルギー注入制御トランジスタQ12が、絶縁構成の開始で「オフ」にされる場合、共鳴負荷回路内を流れる循環電流は、次にエネルギーが注入されるまで、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで実質的に循環し続ける。
【0156】
切替回路は、充電構成、任意選択で絶縁構成、注入構成及び絶縁構成の序列で、エネルギー伝達コンデンサC11を介して電気エネルギー源V11から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するように、繰り返し設定される。
【0157】
充電及び注入構成は、絶縁構成段階の一方又は両方を省くことにより重複し得る。例えば、注入制御トランジスタQ12は、充電制御トランジスタQ11が充電構成の停止で「オフ」にされる前に、注入構成に回路を設定するように「オン」にされ得る。しかし、エネルギー伝達コンデンサC11の放電と共鳴負荷回路内へのエネルギーの同時注入は、注入制御トランジスタQ12がオンされた直後に、必ずしも開始されない。
【0158】
図1Bは、以下の詳細を有する図1Aに示される第1実施形態の回路の第1特定形の電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V11 300ボルト
トランジスタQ11 MOSFET IRFK4HC50
トランジスタQ12 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ11及びQ12の切替周波数 9.52kHz
トランジスタQ11及びQ12の切替期間 105μS
インダクタL11 195μH
エネルギー伝達コンデンサC11 1.50μF
インダクタL12 4μH
共鳴コンデンサC12 1.36μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(変圧器T11の1次巻線)195μH
負荷回路の自然共鳴周波数 9.77kHz
エネルギー注入(即ち、切替)周波数 9.52kHz
【0159】
MOSFETトランジスタQ11及びQ12の切替周期を105μSで各々繰り返す間に、充電制御トランジスタQ11は、0〜52μSで「オン」、即ち、導電性であり、次に、52〜105μSでオフである。注入制御トランジスタQ12は、0〜50μSで「オフ」、即ち、非伝導性であり、50〜76μSで「オン」、即ち、導電性であり、76〜105μDで「オフ」である。
【0160】
図1Bは、1.05〜1.3mSで、図1Aの回路の第1特定形の開始から以下の波形を示す。
D11 5A/分割で示される、ダイオードD11内の電流
C11 100V/分割で示される、エネルギー伝達コンデンサC11にかかる電圧
L12 50A/分割で示される、インダクタL12内の電流
C12 1000V/分割で示される、コンデンサC12にかかる電圧
T11P 100A/分割で示される変圧器T11の1次巻線内の電流
R11 500W/分割で示される、負荷抵抗R11内の電力
【0161】
充電制御トランジスタQ11の切替がオンである間(例えば、図1Bで1.050〜1.102mS)、エネルギー伝達コンデンサC11は、ダイオードD11を流れる電流ID11により充電される。この電流は、ゼロに下げ戻る前に、ゼロから約3.75Aのピーク値へ上昇し、共鳴するように直列に組み合わせたインダクタL11とエネルギー伝達コンデンサC11のパルス形状効果に左右されるほぼ半分の正弦波形を有する。この充電の間、エネルギー伝達コンデンサにかかる電圧VC11は、約255Vから約345Vへ上昇する。
【0162】
注入制御トランジスタQ12は、(例えば、図1Bの1.100mSで)「オン」に切り替えられるが、エネルギー伝達コンデンサC11から共鳴負荷回路への電流及びエネルギーの注入は、共鳴コンデンサC12にかかる電圧VC12により示される共鳴負荷回路にかかる電圧が、エネルギー伝達コンデンサにかかる345Vに降下するまで起こらず、それにより、阻止ダイオードD13に順バイアスがかかる。例えば、図1Bは、注入制御トランジスタQ12がオフに切り替えられる場合に、この注入が、約1.120mSで始まり、1.126mSまで続くことを示す。
【0163】
図1Bに示される注入電流は、約34Aで尖鋭するパルスである。この注入電流が、エネルギー伝達コンデンサC11から、注入制御トランジスタQ12、阻止ダイオードD13、インダクタL12を通じて、共鳴コンデンサC12と、図1Aで変圧器T11の1次巻線により表される誘導性負荷装置との並列接続内へ流れる。エネルギー伝達コンデンサC11からの注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電し、エネルギー伝達コンデンサの電圧は、約345Vから約255Vに降下する。
【0164】
電流パルスが共鳴負荷回路内に周期的に注入される繰り返し周波数は、注入制御トランジスタQ12の切り替え周波数に左右される。図1Aの実施形態のこの第1特定形では、トランジスタ切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数9.77kHzを約2.6%下回る9.52kHzである。
【0165】
共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入により、図1BでVC12として示される、共鳴コンデンサC12にかかる約1000Vのピーク間の振動電圧、図1BでIT11Pとして示される、変圧器T11の1次巻線内の約82Aのピーク間の振動電流が設定される。
【0166】
9.52kHzの注入周波数が、負荷回路の自然共鳴周波数9.77kHzによりも約2.6%下方に移動される場合、エネルギー注入は、共鳴負荷回路にかかる正弦波電圧の波形の、下降しているがまだ正である第2四分円の間に起こる。この電圧は、図1Bで波形VC12として示される。図1Bで波形IL12として示される注入電流パルスの影響は、その影響がなければほぼ正弦波状である波形の下り傾斜上の、小さな同期的攪乱又は上昇として見出され得る。
【0167】
図1Cは、以下の詳細を有する図1Aに示される第1実施形態回路の第2特定形に対する電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V11 300ボルト
トランジスタQ11 MOSFET IRFK4HE50又はIRFKJE50
トランジスタQ12 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ11及びQ12 切替周波数 10kHz
トランジスタQ11及びQ12 切替周波数 100μS
インダクタL11 195μH
エネルギー伝達コンデンサC11 1.50μF
インダクタL12 5μH
共鳴コンデンサC12 1.36μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(変圧器T11 1次巻線)195μH
負荷回路の自然共鳴周波数 9.77kHz
エネルギー注入(即ち、切替)周波数 10kHz
【0168】
MOSFETトランジスタQ11及びQ12の切替サイクルを100μSで各々繰り返す間に、充電制御トランジスタQ11は、0〜50μSで「オン」、即ち、導電性であり、次に、50〜100μSで「オフ」である。注入制御トランジスタQ12は、0〜55μSで「オフ」、即ち、導電性ではなく、55〜81μSで「オン」、即ち、導電性であり、81〜100μSで「オフ」である。
【0169】
図1Cは、図1Aの回路の第2特定形の開始から5.300〜5.550mSでの、以下の波形を示す。
D11 5A/分割で示される、ダイオード電流D11内の電流
C11 100V/分割で示される、エネルギー伝達コンデンサC11にかかる電圧
L12 50A/分割で示される、インダクタL12内の電流
C12 1000V/分割で示される、共鳴コンデンサC12にかかる電圧
T11P 100A/分割で示される、変圧器T11の1次巻線内の電流
R11 500W/分割で示される、負荷抵抗R11内の電力
【0170】
充電制御トランジスタQ11が切替オンである間(例えば、図1Cで5.300〜5.350mS)、エネルギー伝達コンデンサC11は、ダイオードD11を流れる電流ID11により充電される。この電流は、ゼロに戻って降下する前に、ゼロから約3.7Aのピーク値へ上昇し、共鳴するように直列に組み合わせたインダクタL11とエネルギー伝達コンデンサC11のパルス形状効果に左右されるほぼ半分の正弦波形を有する。この充電の間、エネルギー伝達コンデンサにかかる電圧VC11は、約258Vから約340Vへ上昇する。
【0171】
注入制御トランジスタQ12は、(例えば、図1Cの5.355mSで)「オン」に切り替えられ、従って、エネルギーは、エネルギー伝達コンデンサC11から共鳴負荷回路へ注入される。上述の第1特定形とは対照的に、注入は、第2特定形では、注入制御トランジスタQ12の切替オンで即座に起こる。この時、エネルギー伝達コンデンサの電圧は、340Vであり、共鳴コンデンサC12にかかる電圧VC12により示される共鳴負荷回路にかかる200Vの電圧よりも大きい。この電圧差は、阻止ダイオードD13を順バイアスにし、前記阻止ダイオードは、導通され、注入電流IL12を流す。
【0172】
インダクタL12は、図1Cに見出される、約5.355mSで始まり、3.560mSまで続く注入電流パルスの上昇率を制御する。図1CにIL12として示される注入電流は、約43Aで尖鋭されるパルスである。注入電流は、エネルギー伝達コンデンサC11から、注入制御トランジスタQ12、阻止ダイオードD13、インダクタL12を通じて、共鳴コンデンサC12と、図1Aで変圧器T11の1次巻線により表される誘導性負荷装置との並列接続内に流れる。エネルギー伝達コンデンサC11からの注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電する。エネルギー伝達コンデンサの電圧は、注入の間、約340Vから約257Vへ降下する。
【0173】
電流パルスが共鳴負荷回路内に周期的に注入される繰り返し周波数は、注入制御トランジスタの切替周波数に左右される。図1Aの実施形態のこの第2特性形では、トランジスタ切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数9.77kHzを約2.4%上回る10kHzである。
【0174】
共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入は、図1CにVC12として示される、共鳴コンデンサC12にかかる約1037Vのピーク間の振動電圧、図1CでIT11Pとして示される、変圧器T11の1次巻線内の約85Aのピーク間の振動電流を設定する。
【0175】
10kHzの注入周波数が、負荷回路の自然共鳴周波数9.77kHzよりも約2.4%上方に移動する場合、エネルギー注入は、共鳴負荷回路にかかる正弦波電圧の波形のサイクルの、上昇するが正の第1四分円の間に起こる。この電圧は、図1Cでは波形VC12として示される。図1Cで波形IL12として示される注入パルスの影響は、その影響がなければほぼ正弦波状である電圧波形VC12の第1四分円の上り傾斜の上に、同期的な小さな攪乱又は上昇として見られ得る。
【0176】
図1B及び図1Cに示され、上に記載される2つの形により実証されるように、負荷回路は、エネルギー注入周波数、即ち、注入制御トランジスタQ12の切替周波数に対応する平均周波数で必然的に振動する。注入周波数及び振動周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数よりも上又は下に相殺され得る。
【0177】
図1Aに示される回路では、負荷回路内に注入される電流パルスは、一方向であり、即ち、1つの極性のみであり、負荷回路内の電圧及び電流振動のサイクル毎に一度のみ起こる。共鳴負荷回路は、注入パルスの間で自己共鳴し、注入パルスの間で負荷回路内の振動を維持する。しかしながら、電流振動は、抵抗性負荷が変圧器の一次側に反射して戻るために減少し、結果として、回路は、エネルギーの減分を被る。振動電圧及び電流の各第2半期サイクルは、従って、注入に直ぐ後に来る電圧及び電流よりも振幅が僅かに低い。この影響は、交互にピークが高低する電力振幅を有する電力波形PR11を示す図1B及び図1Cに見られ得る。
【0178】
第2の実施形態
【0179】
図2A及び図2Bは、本発明の第2の実施形態に対する回路及び波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置に直列に接続される共鳴キャパシタC22により形成される直列共鳴負荷回路内へ一方向の電流パルスを注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図2Aで疎結合変圧器T21の1次巻線により表される。共鳴コンデンサC22は、変圧器の1次巻線と直列に連続的に接続される。低抵抗性負荷抵抗R21は、変圧器の2次巻線の両端で接続され、誘導加熱システムの製品を表す。DC電気エネルギー源V21は、切替結合回路により共鳴負荷回路に結合される。
【0180】
負荷回路制御トランジスタQ23は、直列共鳴負荷回路の開閉を制御する。振動負荷回路電流は、負荷回路制御トランジスタQ23を通じて、そのトランジスタが「オン」にされる場合、一方向に(図2Aでは反時計方向に)循環し得る。前記振動負荷回路電流は、トランジスタQ23の両端に並列に接続されたダイオードD24を通じて、そのトランジスタQ23が「オフ」にされる場合でさえ、反対方向に(図2Aでは時計方向に)循環し得る。
【0181】
並列ダイオードD24は、負荷回路内で電流が時計回りに流れる経路を与える。トランジスタQ23が固有のダイオードを有する場合、例えば、トランジスタQ23がMOSFETである場合、個別の並列ダイオード24は、任意であるが、追加の電流搬送容量を与えるように含まれ得る。
【0182】
図2Aに示されるように、切替結合回路は、充電制御トランジスタQ21、直列阻止ダイオードD21、還流ダイオードD22、直列インダクタL21、エネルギー伝達コンデンサC21、エネルギー注入制御トランジスタQ22、2つの直列阻止ダイオードD23A及びD23B、及び直列注入制御インダクタL22を含む。
【0183】
電源から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達するために、切替結合回路は、以下の構成の序列に繰り返し設置される:
1.コンデンサ充電構成、
2.第1選択的絶縁構成、
3.コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、及び
4.第2選択的絶縁構成。
【0184】
コンデンサ充電構成では、充電制御トランジスタQ21、直列阻止ダイオードD21、還流ダイオードD22、直列インダクタL21は、上記のように、図1Aの回路内の対応する部品と同様に動作し、電気エネルギー源V21からエネルギー伝達コンデンサC21を充電する。
【0185】
負荷回路制御トランジスタQ23は、充電構成の間、「オン」に切り替えられ、即ち、導電性にされ、次に、第1絶縁構成のほとんどを通して「オン」に保持され、共鳴負荷回路電流が、一方向に(図2Aでは反時計回りに)循環するのを可能にする。並列ダイオードD24により、共鳴負荷回路電流は、反対方向に(図2Aでは時計方向に)循環することができる。
【0186】
切替結合回路が絶縁構成に設定される場合は、充電制御トランジスタQ21とエネルギー制御トランジスタQ22の両方が「オフ」である(即ち、実質的に非導電性にされる)ことにより、電気エネルギー源V21から、及び、共鳴コンデンサC22と、変圧器T21及び負荷抵抗R21により表される誘導性負荷装置とから形成される共鳴負荷回路から、エネルギー伝達コンデンサC21の接続を有効に外して絶縁する。
【0187】
切替結合回路が絶縁構成に設定される場合に、共鳴負荷回路内を循環する電流は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで、負荷回路制御トランジスタQ23を通じて一方向に、並列ダイオードD24を通じて反対方向に実質的に循環し続ける。
【0188】
注入構成では、充電制御トランジスタQ21は、「オフ」であり、電気エネルギー源V21からエネルギー伝達コンデンサC21の接続を外し、注入制御トランジスタQ22は、「オン」であり、阻止ダイオードD23A及びD23B並びに直列注入制御インダクタL22を通じて、直列に接続された共鳴負荷回路の両端にエネルギー伝達コンデンサC21を接続する。
【0189】
注入構成段階の間、電流パルスは、エネルギー伝達コンデンサC21から注入され、順バイアス阻止ダイオードD23A、注入制御トランジスタQ22、インダクタL22、順バイアス阻止ダイオードD23Bを通じて、直列接続の共鳴コンデンサC22と(図2Aでは、疎結合2次巻線の両端に接続される負荷抵抗R21を有する変圧器T21の1次巻線により表される)誘導性負荷装置により形成される共鳴負荷回路内に(図2Aでは時計回りの方向に)流れる。共鳴負荷回路内に注入される注入電流パルスは、エネルギー伝達コンデンサC21からの初期の過渡放電電流を限定する、直列注入制御インダクタL22により平滑される。この電流の注入により、エネルギー伝達コンデンサC21は実質的に放電され、このコンデンサの電圧は、ゼロに降下する。
【0190】
共鳴負荷回路内への注入電流パルスが拡大される場合、又は、エネルギー伝達コンデンサの容量の大きさが十分ではない場合、エネルギー伝達コンデンサC21上の電圧は、ゼロよりも下に降下する場合があり、共鳴負荷回路により電流がコンデンサC21から引かれるので、一時的に負になり得る。この条件は、次の再充電サイクルまで、単に一時的に起こり、最良の効率を損ね得るが、それ以外は、回路の通常の動作を妨げない。
【0191】
注入電流パルスが停止した後、電流は、自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで、初期に零列ダイオードD24を通る時計回りの共鳴負荷回路電流として、共鳴負荷回路内を循環し続ける。共鳴負荷回路電流が時計回りに流れる間、負荷回路制御トランジスタQ23は、「オン」にされる、即ち、導電性にされる。極性を裏返すと、共鳴負荷回路電流は、負荷回路電流トランジスタQ23を通る反時計回りの電流として流れる。このように、電流は、中断されることなく、共鳴負荷回路内を振動し続ける。
【0192】
電流パルスによるエネルギー注入の繰り返し率は、切替結合回路の切替周波数により制御される。エネルギー伝達コンデンサC21から共鳴負荷回路内への電流の各々の注入が、並列ダイオードD24を通り時計方向に流れる共鳴負荷回路電流の半サイクルの間に起こるように、この切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数に近いように選択される。
【0193】
このように、ダイオードD23A、D23B及びD24により、共鳴負荷回路内の時計回りの電流が循環してダイオードD24に戻る場合の自然共鳴モードから、時計回りの電流が、エネルギー伝達コンデンサC21の放電から、ダイオードD23A、注入制御インダクタL22及びダイオードD23Bを通じて流れ、共鳴負荷回路内にエネルギーを注入する場合の注入モードへ円滑に切り替えることができる。
【0194】
エネルギー注入制御トランジスタQ22が、トランジスタが「オフ」にされるときにさえソースからドレインへの反転導電性経路を与える固有の寄生ダイオードを備えた、MOSFET又は類似の装置である場合、阻止ダイオードD23A及びD23Bが含まれる。阻止ダイオードD23A及びD23Bは、反転電流が、固有のMOSFET寄生ダイオードを通じて共鳴負荷回路からエネルギー伝達コンデンサC21へ流れ戻るのを防止する。阻止ダイオードD23A及びD23Bを用いなければ、トランジスタQ22が「オフ」にされた場合にさえ、この反転電流が流れ得る。
【0195】
2つの阻止ダイオードD23A及びD23Bのうちのいずれか1つが表面上は阻止作用を与えるが、エネルギー伝達コンデンサと共鳴負荷回路との間のエネルギー注入経路の各末端に阻止ダイオードをそれぞれ利用することにより、注入制御トランジスタQ22又は直列インダクタL22と接地又はアース又は他の部品との間の寄生インダクタンス又は寄生容量の潜在的に不利な影響を隔離することで、阻止作用が改善される。阻止ダイオードが導電性ではない場合、逆バイアスダイオードの接合容量がより小さいので、これらの寄生容量及び寄生インダクタンスは、残りの結合回路から隔離される。隔離されない場合、これらの寄生により、回路内に望まれない過渡振動が生じる。
【0196】
エネルギー伝達コンデンサC21からの放電電流は、常に、同じ極性で共鳴負荷回路内に注入される。つまり、充電電流は、全て同じ極性を有する一連のパルスとして共鳴負荷回路内に注入される。図2Aに示される回路では、電流パルスは、共鳴負荷回路内に注入され、エネルギー伝達コンデンサC21、第1阻止ダイオードD23A、トランジスタQ22、注入制御インダクタL22、第2阻止ダイオードD23A、及び直列接続の共鳴コンデンサC22と変圧器T21の1次巻線により形成されるループの周りで、時計回りに流れる。
【0197】
切り替え回路は、エネルギー伝達コンデンサC21を介して電気エネルギーV21から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するように、一連の充電構成、第1絶縁構成、注入構成、及び第2絶縁構成に、繰り返し設定される。
【0198】
共鳴負荷回路に伝達されるエネルギーの量は、充電構成と注入構成が重複する場合、増加され得る。絶縁構成段階の一方又は両方を省くことによりこの重複を得ることができる。しかしながら、絶縁構成段階は、重複しないことが好ましい。例えば、充電制御トランジスタQ21は、好ましくは、注入制御トランジスタQ22が注入構成の停止で「オフ」にされた後に、充電構成の開始で「オン」にされる。
【0199】
エネルギー伝達コンデンサC21の放電と共鳴負荷回路内へのエネルギーの同時注入は、注入制御トランジスタQ22がオンされた直後に、必ずしも開始されないことに留意するべきである。例えば、エネルギー制御トランジスタQ22が、「オン」にされ得る、即ち、導電性にされるけれども、エネルギー伝達コンデンサC21から、ダイオードD23A、エネルギー制御トランジスタQ22、注入制御インダクタL22及びダイオードD23Bを通じて、共鳴負荷回路への注入経路は、共鳴負荷回路にかかる電圧が、充電されたエネルギー伝達コンデンサの電圧よりも下に降下するまで、導電性にならない。これは、充電されたエネルギー伝達コンデンサの電圧に整合する、共鳴負荷回路にかかる振動電圧の波形上の点でエネルギーを注入することに有効に同期する。この自動的な同期化、及び、共鳴負荷にかかる低下電圧と次に放電するエネルギー伝達コンデンサの降下電圧の近似的な整合は、「柔軟な」且つエネルギー効率の良いエネルギー注入を与える。
【0200】
図2Bは、以下の詳細を有する、図2Aに示される第2実施形態の回路の特定形の電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V21 200ボルト
トランジスタQ21 MOSFET IRFK6J350
トランジスタQ22 MOSFET IRFK4H350
トランジスタQ23 IGBT ECG3322
トランジスタQ21、Q22及びQ23の切替周波数 9.34kHz
トランジスタQ21、Q22及びQ23の切替周期 107μS
インダクタL21 1mH
インダクタL22 8μH
エネルギー伝達コンデンサC21 1.50μF
共鳴コンデンサC22 1.36μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(変圧器T21の1次巻線) 205μH
負荷回路の自然共鳴周波数 9.53kHz
エネルギー注入(即ち、切替)周波数 9.34kHz
【0201】
トランジスタQ23は、上述の特性形のような、図2Bに示される波形に関連するようなIGBTであり得る。代わりに、Q23は、MOSFETであり得る。
【0202】
切替周期を107μSで各々繰り返す間に、充電制御トランジスタQ21は、0〜40μSで「オン」、即ち、導電性であり、次に、40〜107μSで「オフ」である。注入制御トランジスタQ22は、0〜82μSで「オフ」、即ち、導電性ではなく、82〜94μSで「オン」、即ち、導電性であり、94〜107μSで「オフ」である。負荷回路制御トランジスタQ23は、0〜3μSで「オフ」であり、3〜78μSで「オン」であり、78〜107μSで「オフ」である。
【0203】
図2Bは、図2Aの回路の特定形の開始から3.0〜3.35mSでの、以下の波形を示す。
D21 10A/分割で示されるダイオードD21内の電流
D22 10A/分割で示されるダイオードD22内の電流
L21 10A/分割で示されるインダクタL21内の電流
C21 250V/分割で示されるエネルギー伝達コンデンサC21にかかる電圧
L22 50A/分割で示されるインダクタL22内の電流
T21P 50A/分割で示される変圧器T21の1次巻線内の電流
R21 500W/分割で示される負荷抵抗R21内の電力
【0204】
エネルギー伝達コンデンサC21は、インダクタL21を流れる電流IL21により充電される。この電流は、ゼロに滑らかに降下する前に、ゼロから約8.2Aのピーク値へ滑らかに上昇し、形状は、共鳴するように直列に組み合わせたインダクタL21とエネルギー伝達コンデンサC21に左右される。この充電の間、エネルギー伝達コンデンサC21にかかる電圧VC21は、約270ボルトだけ、負の約40Vから正の約230Vへ上昇する。
【0205】
充電電流IL21は、充電制御トランジスタQ21が「オン」にされる間に、ダイオードD21を通じて電源V21から引かれる電流ID21と、トランジスタQ21が「オフ」にされた後に、慣性ダイオードD22を通じて引かれる電流ID22との合計である。
【0206】
注入制御トランジスタQ22は、(例えば、図2Bでは3.103mSで)切替「オン」にされ、エネルギー伝達コンデンサC21から共鳴負荷回路内へ電流及びエネルギーを注入する。例えば、図2Bでの波形IL22において約3.103mSで開始される示される注入電流パルスは、約36Aで尖鋭になる。エネルギー伝達コンデンサC21からの注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電し、エネルギー伝達コンデンサの電圧は、約270ボルトだけ、正の約230ボルトから負の約40ボルトへ降下する。
【0207】
エネルギー伝達コンデンサC21上の電圧がゼロよりも下に降下する場合、電流は、図2Bの波形ID22に見られるように、ダイオードD22を流れる。この電流は、充電制御トランジスタQ21がオンになるまで継続し、電流は、電源V21から、波形IL21に見られるように、トランジスタQ21、ダイオードD21及びL21を通じて、コンデンサC21内に流れる。充電制御トランジスタQ21が「オフ」にされる場合、インダクタL21内に、前記インダクタに関連する磁界の降下により誘導される電流は、ダイオードD22を流れ、電流IL21がゼロに降下するまで、コンデンサC21を充電し続ける。
【0208】
電流波形IT21Pは、ほぼ正弦波状の波形の正のピーク上で、エネルギー伝達コンデンサから注入されるときに起こる小さな上昇を示す。
【0209】
共鳴負荷回路内に電流パルスを周期的に注入する繰り返し周波数は、充電制御トランジスタQ21、注入制御トランジスタQ22、及び負荷回路制御トランジスタQ23の切替周波数に左右される。図2Aの実施形態のこの特定形では、トランジスタ切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数9.53kHzを約2%下回る9.34kHzである。
【0210】
共鳴負荷回路内へ電流パルスを周期的に注入することにより、図2BにIT21Pとして示される、共鳴コンデンサC22と変圧器T21の1次巻き内の、約71Aのピーク間の振動電流が設定される。
【0211】
図2Aに示される回路では、負荷回路内に注入される電流パルスは、一方向である。第1実施形態に対する上述のものと同じ理由で、図2Bに見られる電力波形PR21は、交互にピークが高低する電力振幅を示す。
【0212】
共鳴コンデンサは、図2Aに示されるように、単一のコンデンサC22により与えられ得るか、又は、所望の電流及び電圧定格値を得るように、並列に及び/又は直列に組み合わせられる複数のコンデンサにより与えられ得る。個別のコンデンサの容量値は、全てを組み合わせたコンデンサの容量値を維持するように選択されるので、共鳴負荷回路の共鳴周波数は、変化しない。一配置(図示されず)では、図2Aの1.36μFの共鳴コンデンサC22は、各々が2.72μFの、変圧器T21の1次巻線に直列に、しかし前記1次巻線のそれぞれ対向する末端に接続される2つのコンデンサに入れ替えられる。
【0213】
第3の実施形態
【0214】
図3A及び図3Bは、本発明の第3の実施形態に対する回路及び波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置に接続される共鳴コンデンサC32により形成される共鳴負荷回路の誘導性脚部内に一方向の電流パルスを注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図3Aで疎結合変圧器T31の1次巻線により表される。共鳴コンデンサC32の一末端は、変圧器T31の1次巻線の一末端に連続的に接続される。低抵抗の負荷抵抗R11は、変圧器の2次巻線の両端に接続され、誘導加熱システムの製品を表す。電気エネルギーのDC電源V31は、切替結合回路により共鳴負荷回路に結合される。
【0215】
図3Aのこの第3の実施形態の回路は、電流及びエネルギーが共鳴負荷回路内に注入され、2つの阻止ダイオードD23A及びD23Bが単一の阻止ダイオードD33に入れ替えられること以外は、上述のような図2Aの第2の実施形態の回路と同様に動作する。
【0216】
図3Aの回路では、図3Aで変圧器T31及び負荷抵抗R31により表される誘導性負荷装置内への注入である。共鳴コンデンサC32に直列の負荷回路制御トランジスタQ33は、共鳴負荷回路の閉鎖を制御する。バイパスダイオードD34は、トランジスタQ33の周囲に並列経路を与える。更に、この実施形態では、単一のダイオードD33のみで、逆電流が阻止される。前記ダイオードがなければ、電流は、固有のMOSFET寄生ダイオードを通じて、共鳴負荷回路からエネルギー伝達コンデンサへ流れ戻り得る。他の点では、図3Aに示される回路及び回路要素は、図2Aに示される回路及び対応する要素と同様に動作する。
【0217】
図3Aの回路では、負荷回路トランジスタQ33は、切替「オン」にされ、即ち、充電構成の間に導電性にされ、次に、大部分の第1絶縁構成を通して「オン」に保持され、共鳴負荷回路電流は、一方向に(図3Aでは反時計回りに)循環することができる。並列バイパスダイオードD34により、共鳴負荷回路電流は、トランジスタQ33を迂回し、反対方向に(図3Aでは時計回りに)循環することができる。
【0218】
負荷回路トランジスタQ33が、固有の寄生ダイオードを含む場合、即ち、トランジスタQ33がMOSFETである場合、固有の寄生ダイオードは、共鳴負荷回路内の時計回りの電流に、ソースからドレインへの導電性経路を与える。負荷回路内を循環する時計回りの電流に、追加の電流搬送容量を与えるために、並列バイパスダイオードD34が回路内に含まれる。
【0219】
切替結合回路が絶縁構成に設定される場合に共鳴負荷回路内を循環する電流は、実質的に共鳴負荷回路の自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで、負荷回路制御トランジスタQ33を通じて一方向に、並列バイパスダイオードD34を通じて反対方向に循環し続ける。
【0220】
注入構成段階の間、電流パルスは、(図3Aでは、時計回りの方向に)エネルギー伝達コンデンサC31から注入され、注入制御トランジスタQ32、順バイアス阻止ダイオードD33、注入制御インダクタL32を通じて、(図3Aでは、変圧器T31及び負荷抵抗R31により表される)誘導性負荷装置内に流れる。注入電流パルスは、直列注入制御インダクタL32により平滑される。この注入は、エネルギー伝達コンデンサC31を実質的に放電する。
【0221】
図2Aの回路と同様に、共鳴負荷回路内への注入電流パルスが拡張されるか、又は、エネルギー伝達コンデンサの容量の大きさが十分ではない場合、エネルギー伝達コンデンサC31上の電圧は、ゼロよりも下に降下し得る。電流は、次に、充電制御トランジスタQ31が「オン」にされ、トランジスタQ31、ダイオードD31及びインダクタL31を通じて電源V31から電流を配送し、エネルギー伝達コンデンサC31を充電する前に、ダイオードD32及びインダクタL31を通じて引かれる。この条件は、最良の動作効率を損ねるが、回路通常の動作を妨げず、エネルギー伝達コンデンサC31上の電圧が次の再充電サイクルで正にされるまで、単に一時的に起こる。
【0222】
エネルギー伝達コンデンサC31の容量値は、通常、エネルギー伝達コンデンサの負の電圧を回避又は少なくとも削減するように増加される。例えば、以下に記載される部品の値を利用する回路では、エネルギー伝達コンデンサC31上の電圧は、エネルギー伝達コンデンサC31の値が0.5μFから0.75μFへ増加される場合、負の向きに揺れる。容量値は、好ましくは、負電圧への揺れの尤度を削減することにより、回路効率を最適にするように選択される。
【0223】
図3Aに図示されないが、以下に記載され、図4Aのエネルギー伝達コンデンサC41の両端に見られるダイオードD45に類似する保護ダイオードは、エネルギー伝達コンデンサC31の両端に並列に位置し、他の回路動作に全く抵触することなく、コンデンサの電圧が負になるのを実質的に防止する。
【0224】
注入電流パルスが停止された後、電流は、自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで、初期では、並列バイパスダイオードD34、共鳴コンデンサC32及び(負荷抵抗R31に疎結合され、前記負荷抵抗により負荷を加えられる)変圧器T31の1次巻線を含む回路ループを通る時計回りの共鳴負荷回路電流として、共鳴回路内を循環し続ける。共鳴負荷電流は、バイパスダイオードD34を通じて共鳴回路ループ内を時計回りに流れる間、共鳴回路制御トランジスタQ33は、「オン」、即ち、導電性にされる。反対の極性では、共鳴負荷電流は、反時計回りの電流として、共鳴コンデンサC32と共鳴回路制御トランジスタQ33を流れる。このように、電流は、共鳴負荷回路内を、中断することなく振動し続ける。
【0225】
図2Aの回路と同様に、電流パルスによるエネルギー注入の繰り返し率は、図3Aの回路内では、切替結合回路の切替周波数により制御される。この切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数の近くに選択されるので、エネルギー伝達コンデンサC31から共鳴負荷回路内への各々の電流注入は、並列ダイオードD34と共鳴コンデンサC32を通じて、時計回りに流れる共鳴負荷回路電流の半サイクルの間に起こる。
【0226】
図3Aの回路に関して特定して考察されていない他の点では、図3Aの回路及び対応する部品は、図2Aの回路と同様に実質的に動作し、一連の充電構成、絶縁構成、及び注入構成に切替回路を繰り返し設定し、エネルギー伝達コンデンサC31を介して、電気エネルギー源V31から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達する。
【0227】
図3Bは、以下の詳細を有する図3Aに示される第3の実施形態の回路の特定形の電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V31 100ボルト
トランジスタQ31 MOSFET IRFPG50
トランジスタQ32 MOSFET IRFK4J450
トランジスタQ33 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4J450
トランジスタQ31、Q32及びQ33の切替周波数 9.52kHz
トランジスタQ31、Q32及びQ33の切替周期 105μS
インダクタL31 500μH
インダクタL32 45μH
エネルギー伝達コンデンサC31 0.5μF
共鳴コンデンサC32 1.36μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(変圧器T31の1次巻線) 180μH
負荷回路の自然共鳴周波数 10.17kHz
エネルギー注入(即ち、切替)周波数 0.952kHz
【0228】
切替周期を105μSで各々繰り返す間に、充電制御トランジスタQ31は、0〜48μSで「オン」、即ち、導電性であり、次に、48〜105μSで「オフ」である。注入制御トランジスタQ32は、0〜80μSで「オフ」、即ち、導電性ではなく、80〜101μSで「オン」、即ち、導電性であり、101〜105μDで「オフ」である。共鳴回路制御トランジスタQ33は、0〜3μSで「オフ」であり、3〜76μSで「オン」であり、76〜105μSで「オフ」である。
【0229】
図3Bは、図3Aの回路特定形の開始からの10.5mSからの、以下の波形を示す。
D31 10A/分割で示される、ダイオードD31内の電流
D32 10A/分割で示される、ダイオードD32内の電流
L31 10A/分割で示される、ダイオードL31内の電流
C31 250V/分割で示される、エネルギー伝達コンデンサC31にかかる電圧
L32 20A/分割で示される、インダクタL32内の電流
T31P 50A/分割で示される、変圧器T31の1次巻線内の電流
R31 250W/分割で示される、負荷抵抗R31内の電力
【0230】
エネルギー伝達コンデンサC31は、インダクタL31を流れる電流IL31により充電される。この電流は、ゼロに滑らかに降下する前に、ゼロから約6.1Aのピーク値へ滑らかに上昇し、形状は、共鳴するように直列に組み合わされたインダクタL31とエネルギー伝達コンデンサC31に左右される。この充電期の間、エネルギー伝達コンデンサC31にわたる電圧VC31は、負の約100Vから正の約290Vへ上昇する。
【0231】
充電電流IL31は、充電制御トランジスタQ31が「オン」にされる間にダイオードD31を通じて電源V31から引かれる電流ID31と、トランジスタQ31が「オフ」にされた後に、慣性インダクタID32を通じて引かれる電流ID32との合計である。
【0232】
注入制御トランジスタQ32は、(例えば、図3Bでは10.605mSで)「オン」に切り替えされ、エネルギー伝達コンデンサC31から共鳴負荷回路へ電流及びエネルギーを注入する。図3Bの波形IL32で示される、例えば、約10.605mSで始まり、約10.626mSまで継続する注入電流パルスは、約14.5Aで尖鋭する。エネルギー伝達コンデンサC31からの注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電し、エネルギー伝達コンデンサの電圧は、正の約290Vから負の約100Vへ約390ボルトだけ降下する。
【0233】
共鳴負荷回路内に電流パルスを周期的に注入する繰り返し周波数は、充電制御トランジスタQ31、注入制御トランジスタQ32、及び共鳴負荷回路制御トランジスタQ33の切替周波数により左右される。図3Aの実施形態のこの特定形では、トランジスタ切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数、10.17kHzよりも約6.8%下の9.52kHzである。
【0234】
共鳴負荷回路内に電流パルスを周期的に注入することにより、図3BにIT31Pとして示される約69Aのピーク間の振動電流が、変圧器T31の1次巻線内に設定される。
【0235】
図3Aに示される回路では、共鳴負荷回路内に注入される電流パルスは、一方向である。第1実施形態に対する上述のような同じ理由で、図3Bに見られる電力波形IT31Pは、交互にピークが高低する電力振幅を示す。
【0236】
第4の実施形態
【0237】
図4A及び4Bは、本発明の第4の実施形態に対する電流及び波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置に接続される共鳴コンデンサC42により形成される並列共鳴負荷回路内に、双方向の電流を注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図4Aで疎結合変圧器T41により表される。共鳴コンデンサC42は、変圧器T41の1次巻線と並列に連続的に接続される。低抵抗の負荷抵抗R41は、変圧器の2次巻線の両端に接続され、誘導加熱システムの製品を表す。DC電気エネルギー源V41は、切替結合回路により共鳴負荷回路に接続される。
【0238】
電源から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達するために、切替結合回路は、以下の構成の序列で繰り返し設置される:
1.第1コンデンサ充電構成
2.第1選択的絶縁構成
3.第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成
4.第2コンデンサ充電構成
5.第2選択的絶縁構成、及び
6.第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成。
【0239】
2つのコンデンサ充電構成段階の各々の間に、充電制御トランジスタQ41は、「オン」に、即ち、導電性にされ、電源V41からエネルギー伝達コンデンサC41を充電する。充電制御トランジスタQ41、直列阻止ダイオードD41、還流ダイオードD42及び直列インダクタL41は、上記のように、図1Aの回路内の対応する部品と同様に動作し、電気エネルギー源V41からエネルギー伝達コンデンサC41を充電する。
【0240】
保護ダイオードD45は、エネルギー伝達コンデンサC42の両端に並列に接続される。このダイオードは、通常、逆バイアスのままであるが、電流の注入周期がコンデンサの容量を超えて、コンデンサが完全に放電状態になる場合に、注入電流がそのコンデンサを迂回できることにより、エネルギー伝達コンデンサC41の逆極性の充電を防止するように含まれる。
【0241】
切替結合回路は、4つのトランジスタQ44、Q45、Q46及びQ47を含む。並列共鳴負荷回路内に電流パルスを、極性を交互に変えて注入するために、Hブリッジ内のトランジスタの対角状の組みは、交互に導電性にされる。Hブリッジトランジスタの一方の対角状の組みQ44及びQ47は、結合回路が操作序列の第3段階に、即ち、第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。Hブリッジトランジスタの他方の対角状の組みQ45及びQ46は、結合回路が操作序列の第6段階に、即ち、第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。
【0242】
各操作序列の第3及び第6段階のコンデンサ放電及びエネルギー注入構成の間、エネルギー伝達コンデンサC41は、Hブリッジトランジスタの各々の対角状の組み、各々の阻止ダイオードD44A又はD44B、及び直列注入パルス制御インダクタL42A及びL42Bにより有効に接続され、充電制御トランジスタQ41が「オフ」であり、電気エネルギー源V41からエネルギー伝達コンデンサC41の接続を外し、絶縁している間に、並列に組み合わされた共鳴コンデンサC42と、図4Aで変圧器T41及び負荷抵抗R41により表される誘導性負荷装置との両端で放電する。
【0243】
エネルギー伝達コンデンサC41からの放電電流は、極性を交互に変えるパルスとして、共鳴負荷回路内に注入される。第3段階の間、パルスは、コンデンサC41、HブリッジトランジスタQ44、導電性順バイアス阻止ダイオードD44A、インダクタL42A、共鳴コンデンサC42と変圧器T41の1次巻線との並列接続、インダクタL42B、及びHブリッジトランジスタQ47により形成されるループの周りで時計周りに流れる。この第6段階の間、パルスは、コンデンサC41、HブリッジトランジスタQ45、導電性順バイアス阻止ダイオードD44B、インダクタL42B、共鳴コンデンサC42と変圧器T41の1次巻線との並列接続、インダクタL42A、及びHブリッジトランジスタQ46により形成されるループの周りに反時計回りに流れる。
【0244】
図4Aの回路の異形(図示されず)では、インダクタL42A及びL42Bは、省かれ、その代わりに、エネルギー伝達コンデンサC41と、切替トランジスタのドレインQ44とQ45との間の共通接合との間に接続される単一の直列注入パルス制御インダクタに入れ替えられる。この配置では、各操作序列の第3及び第6段階のコンデンサ放電及びエネルギー注入構成の間、エネルギー伝達コンデンサC41は、共鳴コンデンサC42と誘導性負荷装置との並列接続の両端で放電するように、単一の注入パルス制御インダクタにより、Hブリッジの各々の対角状の組み、各々の阻止ダイオードD44A及びD44Bに有効に接続される。
【0245】
この異形では、エネルギー伝達コンデンサC41からの放電電流は、極性を交互に変えるパルスとして、共鳴負荷回路内に注入される。第3段階の間、パルスは、コンデンサC41、単一の注入パルス制御インダクタ、HブリッジトランジスタQ44、導電性順バイアス阻止ダイオードD44A、共鳴コンデンサC42と誘導性負荷装置との並列接続、HブリッジトランジスタQ47により形成されるループの周りで時計回りに流れる。第6段階の間、パルスは、コンデンサC41、単一の注入パルス制御インダクタ、HブリッジトランジスタQ45、導電性順バイアス阻止ダイオードD44B、共鳴コンデンサC42と誘導性負荷装置との並列接続、HブリッジトランジスタQ46により形成されるループの周りで反時計回りに流れる。
【0246】
絶縁構成では、全てのトランジスタQ41、Q44、Q45、Q46及びQ47が、「オフ」である(即ち、実質的に非導電性にされる)ことにより、電気エネルギー源V41から、及び、共鳴コンデンサC42と、変圧器T41及び負荷抵抗R41により表される誘導性負荷装置とにより形成される共鳴負荷回路から共鳴負荷回路から、エネルギー伝達コンデンサC41の接続を有効に外し、絶縁する。
【0247】
HブリッジトランジスタQ44及びQ47、又は、Q45及びQ46が、絶縁構成の始めに「オフ」にされる場合、共鳴負荷回路内を流れる循環電流は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで実質的に循環し続ける。
【0248】
切替回路は、第6段階の序列に繰り返し設定され、エネルギー伝達コンデンサC41を介して電気エネルギー源V41から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達する。
【0249】
充電及び注入構成は、重複してもよい。例えば、充電制御トランジスタQ41が、第1又は第4段階の充電構成の始めに「オン」にされる場合、Hブリッジトランジスタの各組みは、短い重複周期にわたり「オン」のままであり得る。
【0250】
図4Bは、以下の詳細を有する図4Aに示される第4実施形態の回路の特定形の電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V41 300ボルト
トランジスタQ41 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ44 MOSFET IRFK4J450
トランジスタQ45 MOSFET IRFK4J450
トランジスタQ46 IGBT IRGPC50U
トランジスタQ47 IGBT IRGPC50U
トランジスタQ41の切替周波数 40kHz
トランジスタQ44〜Q47の切替周波数 20kHz
トランジスタQ44〜Q47の切替周波数 50μS
インダクタL41 10μH
インダクタL42A 40μH
インダクタL42B 40μH
エネルギー伝達コンデンサC41 4.0μF
共鳴コンデンサC42 0.7μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(変換器T41の1次巻線)95μH
負荷回路の自然共鳴周波数 19.5kHz
エネルギー注入(即ち、切替)周波数 20kHz
【0251】
HブリッジトランジスタQ44、Q45、Q46及びQ47の切替周期を50μSで各々繰り返す間に、充電制御トランジスタQ41は、0〜12.5μSで「オン」、即ち、導電性であり、12.5〜25μSで「オフ」、即ち、導電性ではなく、25〜37.5%μSで「オン」であり、37.5〜50μSで「オフ」である。Hブリッジ注入制御トランジスタQ44及びQ47は、0〜12.5μSで「オフ」であり、12.5〜25μSで「オン」であり、25〜50μSで「オフ」である。Hブリッジ注入制御トランジスタQ45及びQ46は、0〜37.5μSで「オフ」であり、37.5〜50μSで「オン」である。
【0252】
図4Bは、図4Aの回路の特定形の開始から1.0〜1.1mSで以下の波形を示す。
D41 5A/分割で示されるダイオードD41内の電流
C41 10V/分割で示されるエネルギー伝達コンデンサC41にかかる電圧
C41 5A/分割で示されるコンデンサC41からの放電電流
L42A 5A/分割で示されるインダクタL42A内の電流
T41P 50A/分割で示される変圧器T41の第1巻線内の電流
T41P 500V/分割で示される変圧器T41の1次巻線にかかる電圧
R41 500W/分割で示される負荷抵抗R41内の電力
【0253】
充電制御トランジスタQ41は、50μSサイクル毎に二度(例えば、図4Bでは、1.0125〜1.025mS及び1.0375〜1.050mSで)「オン」に切り替えられ、トランジスタQ41及びD41を流れる電流ID41によりエネルギー伝達コンデンサC41を充電する。この充電電流は、ゼロから約3.75Aのピーク値へ上昇し、共鳴するように直列に組み合わされたインダクタL41とエネルギー伝達コンデンサC41に左右される正弦波を有する。充電制御トランジスタQ41がオフにされる場合、充電パルスの正弦波形の後方端は遮断される。充電制御トランジスタQ41の切り替えは、エネルギー伝達コンデンサC41内に配送される電荷の量を制御する役割をする。充電制御トランジスタQ41をオフに切り替えた後、降下する充電電流は、インダクタL41からエネルギー伝達コンデンサC41へ流れ続け、還流ダイオードD42を通じて戻る。各々の充電周期の間、エネルギー伝達コンデンサC41にかかる電圧VC41は、約293Vから約302Vへ上昇する。
【0254】
Hブリッジ注入制御トランジスタの第1対角状の組みのトランジスタQ44及びQ47は、50μSサイクル毎に一度12.5μSにわたり(例えば、図4Bでは、1.024〜1.0375mSで)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC41から共鳴負荷回路内へ電流及びエネルギーを注入する。図4Aの回路では、この電流は、Hブリッジから、並列共鳴負荷回路を通じて、主に、共鳴コンデンサC41を通じて、時計回りに流れる。
【0255】
Hブリッジ注入制御トランジスタの第2対角状の組みのトランジスタQ45及びQ46は、50μSサイクル毎に一度12.5μSにわたり(例えば、図4Bでは、1.050〜1.0625mSで)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC41から共鳴負荷回路内へ電流及びエネルギーを注入する。図4Aの回路では、この電流は、Hブリッジから並列共鳴負荷回路を通じて、反時計回りに流れる。
【0256】
エネルギー伝達コンデンサC41からの放電電流パルスは、Hブリッジ切替トランジスタにより共鳴負荷回路内に注入され、図4Bの波形IC41で示される。電流波形IL42Aは、同じパルスを示すが、インダクタL42Aを通じて並列共鳴負荷回路内に注入される。図4Bで理解され得るように、共鳴負荷回路内に注入されるIL42Aの電流パルスは、極性が交互に変わる。
【0257】
共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入の繰り返し周波数は、4つのHブリッジ注入制御トランジスタQ44、Q45、Q46及びQ47の切替周波数に左右される。図4Aの実施形態の特定形では、これらの4つのトランジスタの切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数、19.5kHzよりも約2.5%上の20kHzである。
【0258】
共鳴負荷回路内へ電流パルスを周期的に注入することにより、変圧器T41の1次巻線の両端で約750Vのピーク間の振動電圧が、図4BでVT41Pとして設定され、変圧器T41の1次巻線での約62Aのピーク間の振動電流が、図4BでIT41Pとして設定される。
【0259】
図4Aに示される回路では、負荷回路内に注入される電流パルスは、双方向であり、即ち、極性が交互に変わり、負荷回路内の電圧振動及び電流振動のサイクル毎に二度、発生する。共鳴負荷回路は、注入パルス間で自己共鳴し、注入パルス間で負荷回路内の振動を維持する。
【0260】
注入は、サイクル毎に二度であるので、振動電圧及び振動電流の各半サイクルは、振幅が同じである。この影響は、電力波形PR41を示す図4Bに見ることができ、前記波形は、変化しないピーク電力振幅を有する。
【0261】
第5の実施形態
【0262】
図5A、5B及び5Cは、本発明の第5の実施形態の回路及び波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置に接続される共鳴コンデンサC52により形成される並列共鳴負荷回路内へ双方向の電流パルスを注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図5Aで疎結合変圧器T51の1次巻線により表される。共鳴コンデンサC52は、変圧器の1次巻線と並列に連続的に接続される。低抵抗の負荷抵抗R51は、変圧器の2次巻線の両端に接続され、誘導加熱システムの製品を表す。DC電気エネルギー源V51は、切替結合回路により、共鳴負荷回路に結合される。
【0263】
一操作モードでは、電源から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達するために、切替結合回路は、以下の構成の序列で繰り返し設置される:
1.第1コンデンサ充電構成、
2.第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、
3.第1選択的絶縁構成、
4.第2コンデンサ充電構成、
5.第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、及び
6.第2選択的絶縁構成。
【0264】
コンデンサ充電構成の各段階の間、充電制御トランジスタQ51は、「オン」にされ、即ち、導電性にされ、電源V51からエネルギー伝達コンデンサC51を充電する。充電制御トランジスタQ51、直列阻止ダイオードD51、還流ダイオードD52及び直列インダクタL51は、上述のように、図1Aの回路内の対応する部品と同様に動作し、電気エネルギー源V51からエネルギー伝達コンデンサC51を充電する。
【0265】
切替結合回路は、4つのトランジスタQ54、Q55、Q56及びQ57を含むHブリッジ切替回路も含む。並列共鳴負荷回路内に電流パルスを、極性を交互に変えて注入するために、Hブリッジ内のトランジスタの対角状の組みは、交互に導電性にされる。
【0266】
4つのHブリッジの対角状の組みであるトランジスタQ54及びQ57は、結合回路が、第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。この構成では、注入電流パルスは、コンデンサC51、エネルギー注入制御トランジスタQ52、直列阻止ダイオードD53、直列インダクタL52、HブリッジトランジスタQ54、共鳴コンデンサC52と変圧器T51の第1巻線との並列接続、及びHブリッジトランジスタQ57により形成されるループの周りで時計回りに流れる。
【0267】
4つのHブリッジトランジスタの他の対角状の組みであるトランジスタQ55及びQ56は、結合回路が、第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。この構成では、注入電流パルスは、コンデンサC51、エネルギー注入制御トランジスタQ52、直列阻止ダイオードD53、直列インダクタL52、HブリッジトランジスタQ55、共鳴コンデンサC52と変圧器T51の第1巻線との並列接続、及びHブリッジトランジスタQ56により形成されるループの周りで反時計回りに流れる。
【0268】
エネルギー注入制御トランジスタQ52は、エネルギー伝達コンデンサC51を、Hブリッジを通じて並列共鳴負荷回路内に放電するのを制御する。コンデンサC51からの放電電流パルスは、トランジスタQ52、阻止ダイオードD53及び直列インダクタL52を通じて、代わりに、4つのHブリッジトランジスタの各々の対角状の組みを通じて、共鳴負荷回路に流れる。注入は、充電制御トランジスタQ51が「オフ」である間に起こり、電気エネルギー源V51からエネルギー伝達コンデンサC51の接続を有効に外す。
【0269】
エネルギー注入制御トランジスタQ52が「オフ」にされる時点で直列インダクタL52を流れる電流は、インダクタL52に関連する磁界が崩落するまで、還流ダイオードD56を通る電流の流れにより維持される。この電流は、エネルギー制御トランジスタQ52が「オフ」にされた後に一周期にわたって導電性「オン」状態に維持されるHブリッジの各々の対角状の組みを通じて、共鳴負荷回路内に注入される。
【0270】
第1及び第2絶縁構成では、充電制御トランジスタQ51及びエネルギー注入トランジスタQ52が「オフ」である(即ち、実質的に非導電性である)ことにより、電気エネルギー源V51から、及び、共鳴コンデンサC52と、変圧器T51及び負荷抵抗R51により表される誘導性負荷装置とから形成される共鳴負荷回路から、エネルギー伝達コンデンサC51の接続を有効に外し、絶縁する。
【0271】
回路が絶縁構成に設定される場合、並列共鳴負荷回路内を流れる循環電流は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで実質的に循環し続ける。
【0272】
切替回路は、上述の序列で繰り返し設定され、エネルギー伝達コンデンサC51を介して電気エネルギー源V51から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達する。
【0273】
図5Bは、以下の詳細を有する図5Aに示される第5実施形態の回路の第1形の電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V51 300ボルト
トランジスタQ51 MOSFET IRFK4J450
トランジスタQ52 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4J450
トランジスタQ54 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ55 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ56 IGBT IRGPC50U
トランジスタQ57 IGBT IRGPC50U
トランジスタQ51及びQ52の切替周波数 40kHz
トランジスタQ54〜Q57の切替周波数 20kHz
トランジスタQ54〜Q57の切替周波数 50μS
インダクタL51 10μH
インダクタL52 80μH
エネルギー伝達コンデンサC51 5.0μF
共鳴コンデンサC52 0.7μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(トランジスタT51の第1巻線)95μH
負荷回路の自然共鳴周波数 19.5kHz
エネルギー注入(即ち、切替)周波数 20kHz
【0274】
HブリッジトランジスタQ54、Q55、Q56及びQ57の切替周期を50μSで各々繰り返す間に、充電制御トランジスタQ51は、0〜12.5μSで「オン」、即ち、導電性であり、12.5〜25μSで「オフ」、即ち、導電性ではなく、25〜37.5μSで「オン」であり、37.5〜50μSで「オフ」である。エネルギー注入制御トランジスタQ52は、0〜12.5μSで「オフ」であり、12.5〜20.5μSで「オン」であり、20.5〜37.5μSで「オフ」であり、37.5〜45.5μSで「オン」であり、45.5〜50μSで「オフ」である。HブリッジトランジスタQ54及びQ57は、0〜12.5μSで「オフ」であり、12.5〜25μSで「オン」であり、5〜50μSで「オフ」である。HブリッジトランジスタQ55及びQ56は、0〜37.5μSで「オフ」であり、37.5〜50μSで「オン」である。
【0275】
図5Bは、以下の波形を、図5Aの回路の第1形の開始から1.0〜1.1mSで示す。
D51 5A/分割で示されるダイオードD51内の電流
C51 10V/分割で示されるエネルギー伝達コンデンサC51にかかる電圧
L52 5A/分割で示されるインダクタL52を通る電流
5A/分割で示される、共鳴負荷回路内に注入される双極電流
T51P 25A/分割で示される、変圧器T51の第1巻線内の電流
T51P 250V/分割で示される、電圧T51の1次巻線にかかる電圧
R51 250W/分割で示される、負荷抵抗R51内の電力
【0276】
充電制御トランジスタQ51は、50μSサイクル毎に二度(例えば、図5Bでは、1.0375〜1/050mS及び1.0625〜1.075mSで)「オン」に切り替えられ、トランジスタQ51及びダイオードD51を流れる電流ID51によりエネルギー伝達コンデンサC51を充電する。この充電電流は、ゼロから約3.6Aのピーク値へ滑らかに上昇し、共鳴するように直列に組み合わされたインダクタL51とエネルギー伝達コンデンサC51に左右される正弦波形を有する。充電パルスの正弦波形の後方端は、充電制御トランジスタQ51がオフにされる場合に遮断される。充電制御トランジスタQ51の切り替えは、エネルギー伝達コンデンサC51内に配送される電荷の量を制御する役割をする。エネルギー伝達コンデンサQ51がオフに切り替えられた後、降下する充電電流は、インダクタL51からエネルギー伝達コンデンサC51へ流れ続け、還流ダイオードD52を通じて戻る。各充電期間中に、エネルギー伝達コンデンサC51にかかる電圧VC51は、約294Vから約300Vへ上昇する。
【0277】
エネルギー注入制御トランジスタQ52は、50μSサイクル毎に二度(例えば、図5Bでは、1.025〜1.033mS及び1.050〜1.058mSで)「オン」に切り替えられ、図5Bに波形IL52で示される電流パルスによりエネルギー伝達コンデンサC51を放電し、電気電流パルスは、トランジスタQ52、ダイオードD53及びインダクタL52並びにHブリッジの各々の対角状トランジスタの組みを通じて、並列共鳴負荷回路内に流れる。
【0278】
Hブリッジ注入制御トランジスタの第1対角状の組みのトランジスタQ54及びQ57は、50μSサイクル毎に一度12.5μSにわたり(例えば、図5Bでは、1.050〜1.0625mSで)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC51からの注入電流及びエネルギーを共鳴負荷回路内へ向ける。図5Aの回路では、この電流は、Hブリッジから並列共鳴負荷回路を通じて、主に、共鳴コンデンサC52を通じて、時計回りに流れる。
【0279】
Hブリッジの対角線の第2組のトランジスタQ55及びQ56は、50μSサイクル毎に一度12.5Sにわたり(例えば、図5Bでは、1.025〜1.0375mSで)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC51からの電流及びエネルギーを共鳴負荷回路内へ向ける。図5Aの回路では、この電流は、Hブリッジから並列共鳴負荷回路を通じて反時計回りに流れる。
【0280】
エネルギー伝達コンデンサC51からの放電電流パルスは、Hブリッジ切替トランジスタにより、共鳴負荷回路内に交互の方向に向けられ、図5Bでは波形Ixで示される。電流Iは、図5Aに示されるように、Hブリッジ切替トランジスタと並列接続共鳴負荷回路との間を流れる。
【0281】
エネルギー伝達コンデンサC51の注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電する。エネルギー伝達コンデンサにかかる電圧は、約300Vから約294Vへ降下する。
【0282】
共鳴負荷回路内へ電流パルスを周期に注入する繰り返し周波数は、4つのHブリッジ注入制御トランジスタQ54、Q55、Q56及びQ57の切替周波数により左右される。図5Aの第1の特定形では、これらの4つのトランジスタの切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数、19.5kHzよりも約2.5%上の20kHzである。
【0283】
共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入により、変圧器T51の1次巻線の両端の、図5BでVT51Pとして示される約720Vのピーク間の振動電圧と、変圧器T51の1次巻線内の、図5BでIT51Pとして示される約60Aのピーク間の振動電流が設定される。
【0284】
図5Cは、図5Aに示される第5実施形態の回路の第2形の電流、電圧及び波形を示す。図5Aの回路のこの形では、変圧器T51のインダクタンスは、上記の最初の形のような95μHの代わりに、85μHであり、第2特定形に、20.6kHzの共鳴負荷回路の自然共鳴周波数を与える。全ての他の点では、トランジスタの部品、部品値及び切替時間は、図5Aの第1形に対して上に記載されたようなものである。
【0285】
図5Cは、以下の波形を、図5Aの回路の第2形の開始から1.0〜1.1mSで示す。
D51 2.5A/分割で示されるダイオードD51内の電流
C51 5V/分割で示される、エネルギー伝達コンデンサC51にかかる電圧
L52 5A/分割で示される、インダクタL52を通る電流
5A/分割で示される、共鳴負荷回路内への双極電流
T51P 25A/分割で示される、変圧器T51の1次巻線内の電流
T51P 250V/分割で示される、変圧器T51の1次巻線にかかる電圧
R51 250W/分割で示される、負荷抵抗R51内の電力
【0286】
ダイオードD51を通じてエネルギー伝達コンデンサC51に配送される充電電流は、ゼロから約2.3Aのピーク値へ上昇し、共鳴するように直列に組み合わされたインダクタL51とエネルギー伝達コンデンサC51により左右される形状を有する。各充電周期の間、エネルギー伝達コンデンサC51にかかる電圧VC51は、約296Vから約300Vへ上昇する。
【0287】
エネルギー伝達コンデンサC51からの注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電する。エネルギー伝達コンデンサの電圧は、約300Vから約296Vに戻って降下する。
【0288】
共鳴負荷回路内に電流パルスを周期的に注入する繰り返し周波数は、4つのHブリッジ注入制御トランジスタQ54、Q55、Q56及びQ57の切替周波数により左右される。図5Aの実施形態の第2の特定形では、これらの4つのトランジスタの切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数、20.6kHzよりも約3%下の20kHzである。
【0289】
共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入により、変圧器T51の1次巻線の両端の、図5CにVT51Pとして示される、約520Vのピーク間の振動電圧VT51Pが、変圧器T51の1次巻線内の、図5CにIT51Pとして示される、約51Aのピーク間の電流IT51Pが、設定される。
【0290】
図5Aに示される回路では、負荷回路内に注入される電流パルスは、双方向である。第4実施形態に対する上記のものと同じ理由で、図5B及び5Cに見られる電力波形PR51は、ピーク電力の振幅が変化しない。
【0291】
第6の実施形態
【0292】
図6A及び6Bは、本発明の第6の実施形態に対する回路及び波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置に接続される共鳴コンデンサC62により形成される直列共鳴負荷回路内へ双方向の電流パルスを注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図6Aで疎結合変圧器T61の1次巻線により表される。共鳴コンデンサC62は、変圧器T61の1次巻線と直列に連続的に接続される。低抵抗の負荷抵抗R61は、変圧器の2次巻線の両端に接続され、誘導加熱システムの製品を表す。DC電気エネルギー源V61は、切替結合回路により共鳴負荷回路に結合される。
【0293】
電源から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達するために、切替結合回路は、以下の構成の序列で繰り返し設置される:
1.第1コンデンサ充電構成、
2.第1絶縁構成、
3.第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成
4.第2絶縁構成
5.第2コンデンサ充電構成
6.第3絶縁構成
7.第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、及び、
8.第4絶縁構成。
【0294】
2つのコンデンサ充電構成段階の個々の段階の間に、充電制御トランジスタQ61は、「オン」にされ、即ち、導電性にされ、電源V61からエネルギー伝達コンデンサC1を充電する。充電制御トランジスタQ61、直列阻止ダイオードD61、還流ダイオードD62及び直列インダクタL61は、上述にように、図1Aの回路内の対応する部品と同様に動作し、電気エネルギー源V61からエネルギー伝達コンデンサC61を充電する。
【0295】
ダイオードD65は、エネルギー伝達コンデンサC61の両端で並列に接続される。このダイオードは、通常、逆バイアスのままであるが、電流の注入期間がエネルギー伝達コンデンサC61の容量を超えて、そのコンデンサが完全に放電状態になる場合に、回路が機能し続けるように含まれる。
【0296】
切替結合回路は、4つのトランジスタQ64、Q65、Q66及びQ67も含む。直列共鳴負荷回路内に電流パルスを、極性を交互に変えて注入するために、Hブリッジ内のトランジスタの対角状の組みは、交互に導電性にされる。Hブリッジトランジスタの一方の対角状の組みである2つのトランジスタQ64及びQ67は、結合回路が、操作序列の第3段階に、即ち、第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。Hブリッジの他方の対角状の組みの2つのトランジスタQ65及びQ66は、結合回路が、操作序列の第7段階に、即ち、第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。
【0297】
各操作序列の第3段階及び第6段階のコンデンサ放電及びエネルギー注入構成の間に、エネルギー伝達コンデンサC61は、Hブリッジトランジスタの各々の対角状の組みにより有効に接続され、充電制御トランジスタQ61が「オフ」であり、電気エネルギー源V61からエネルギー伝達コンデンサC61の接続を外している間に、直列に組み合わされた共鳴コンデンサC62と、図6Aで変圧器T61及び負荷抵抗R61により表される誘導性負荷装置の両端で放電する。
【0298】
エネルギー伝達コンデンサC61からの放電電流は、極性が交互に変わるパルスとして、共鳴負荷回路内に注入される。第3段階の間、パルスは、コンデンサC61、HブリッジトランジスタQ64、共鳴コンデンサC62、トランジスタT61の1次巻線、及びHブリッジトランジスタQ67により形成されるループの周りで時計回りに流れる。第7段階の間、パルスは、コンデンサC61、HブリッジトランジスタQ65、変圧器T61の1次巻線、共鳴コンデンサC62及びHブリッジトランジスタQ66により形成されるループの周りで反時計回りに流れる。
【0299】
操作序列の第2、第4、第6及び第8段階の絶縁構成では、トランジスタQ61が「オフ」である(即ち、実質的に非導電性にされる)ことにより、電気エネルギー源V61からエネルギー伝達コンデンサC61の接続を外し、絶縁する。
【0300】
操作序列の第2及び第4段階の絶縁構成では、トランジスタQ66及びQ67は、「オフ」である(即ち、実質的に非導電性にされる)。操作序列の第6及び第8段階の絶縁構成では、トランジスタQ66及びQ67が「オフ」である(即ち、実質的に非導電性にされる)ことにより、直列共鳴負荷回路からエネルギー伝達コンデンサC61の接続を外し、絶縁する。
【0301】
回路が、2つのコンデンサ放電及びエネルギー注入構成段階のどちらでもない場合、トランジスタQ63又はトランジスタQ65は、「オン」に切り替えられる。これらの2つのトランジスタの各々は、これらの2つのトランジスタのうちの他方の固有のダイオードと組み合わせて、直列共鳴負荷回路ループを閉じ、電流は、前記ループ内を各々の方向に流れる。例えば、トランジスタQ64が「オン」である場合、このトランジスタは、トランジスタQ65の固有の寄生ダイオードと直列に、電流が、図6Aの共鳴負荷回路内を時計回りに循環することができるように働く。代わりに、トランジスタQ65が「オン」である場合、このトランジスタは、トランジスタQ64の固有の寄生ダイオードと直列に、電流が図6Aの共鳴負荷回路内を反時計回りに循環すうことができるように働く。
【0302】
切替回路は、エネルギー伝達コンデンサC61を介して電気エネルギー源V61から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するように、第8段階序列に繰り返し設定される。
【0303】
図6Bは、以下の詳細を有する図6Aに示される第6実施形態の回路の特定形の電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V61 300ボルト
トランジスタQ61 MOSFET IRFK6H350
トランジスタQ64 MOSFET IRFK6H350
トランジスタQ65 MOSFET IRFK6H350
トランジスタQ66 IGBT IRGPC50F
トランジスタQ67 IGBT IRGPC50F
トランジスタQ61の切替周波数 40kHz
トランジスタQ64〜Q67の切替周波数 20kHz
トランジスタQ64〜Q67の切替周期 50μS
インダクタL61 75μH
エネルギー伝達コンデンサC61 2.0μF
共鳴コンデンサC62 0.68μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(トランジスタT61の1次巻線) 104μH
負荷回路の自然共鳴周波数 18.9kHz
エネルギー注入(即ち、切替)周波数20kHz
【0304】
HブリッジトランジスタQ64、Q65、Q66及びQ67の切替周期を50μSで各々繰り返す間に、充電制御トランジスタQ61は、0〜1μSで「オフ」、即ち、非導電性であり1〜15μSで「オン」、即ち、導電性であり、15〜26μSで「オフ」、即ち、非導電性であり、26〜40μSで「オン」であり、40〜50μSで「オフ」である。HブリッジトランジスタQ64は、0〜40.5μSで「オン」であり、40.5〜50μSで「オフ」である。HブリッジトランジスタQ65は、0〜15.5μSで「オン」、15.5〜25μSで「オフ」、25〜50μSで「オン」である。HブリッジトランジスタQ66は、0〜41μSで「オフ」、41〜49.5μSで「オン」、49.5〜50μSで「オフ」である。HブリッジトランジスタQ67は、0〜16μSで「オフ」、16〜24.5μSで「オン」、24.5〜50μSで「オフ」である。
【0305】
図6Bは、以下の波形を、図6Aの回路の特定形の開始から1.0〜1.12mSで示す。
D61 50A/分割で示される、ダイオードD61内の電流
D62 50A/分割で示される、ダイオードD62内の電流
L61 50A/分割で示される、インダクタL61内の電流
C61 200V/分割に示される、エネルギー伝達コンデンサC61にかかる電圧
γ 100A/分割で示される、コンデンサC61からの放電電流
T61P 100A/分割で示されるトランジスタT61の1次巻線内の電流
R61 2.5kW/分割で示される、負荷抵抗R61内の電力
【0306】
充電制御トランジスタQ61は、50μSサイクル毎に二度(例えば、図6Bでは、1.01〜1.024mS及び1/035〜1.049mSで)「オン」に切り替えられ、トランジスタQ61、ダイオードD61及びインダクタL61を流れる電流ID61によりエネルギー伝達コンデンサC61を充電する。この充電電流は、ゼロから約28.5Aのピーク値へ上昇し、直列に組み合わされたインダクタL61とエネルギー伝達コンデンサC61に左右される形状を有する。トランジスタQ61は、オフに切り替えられ、インダクタL61内に設けられた電流は、関連する磁界が崩壊する間、流れ続ける。還流ダイオードD62とインダクタL61を流れるこの電流は、図6Bに波形ID62として示される。このように、インダクタL61内の電流IL61は、2つの電流ID61とID62との組合せである。伝達コンデンサが電源よりも低い電圧に充電されるこの操作は、バルク誘導源に適合する。各充電期間中に、エネルギー伝達コンデンサC61にかかる電圧VC61は、約110Vから約243Vへ上昇する。
【0307】
Hブリッジ入力制御トランジスタの第1対角状の組みのトランジスタQ64及びQ67は、50μSサイクル毎に一度8.5μSにわたり(例えば、図6Bでは、1.025〜1.0335mSで)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC61から共鳴負荷回路内へ電流及びエネルギーを注入する。図6Aの回路では、この電流は、Hブリッジから並列共鳴負荷回路を通じて時計回りに流れる。
【0308】
Hブリッジ入力制御トランジスタの第2対角状の組みのトランジスタQ65及びQ66は、50μSサイクル毎に一度8.5μSにわたり(例えば、図6Bでは、1.050〜1.0585mSで)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC61から共鳴負荷回路内へ電流及びエネルギーを注入する。図6Aの回路では、この電流は、Hブリッジから並列共鳴負荷回路を通じて反時計回りに流れる。
【0309】
エネルギー伝達コンデンサC61からの放電電流パルスは、ピーク電流が72Aであり、図6Bでは電流波形Iγで示される。この放電電流Iγは、図6Aに示されるように、エネルギー伝達コンデンサC61からHブリッジ切替トランジスタへ流れる。これらの放電パルスは、共鳴コンデンサC62と、図6Aで変圧器T61及び抵抗R61により表される誘導性負荷装置との並列接続により形成される共鳴負荷回路内に、極性が交互に変わるパルスとして注入される前に、Hブリッジ切替トランジスタQ64、Q65、Q66及びQ67により交互に反転される。
【0310】
エネルギー伝達コンデンサC61からの注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電する。エネルギー伝達コンデンサの電圧は、約243Vから約110Vへ降下する。
【0311】
共鳴負荷回路内へ電流パルスを周期的に注入する繰り返し周波数は、4つのHブリッジ注入制御トランジスタQ64、Q65、Q66及びQ67の切替周波数により左右される。図6Aの実施形態の特定形では、これらの4つのトランジスタの切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数、1.89kHzよりも約5.8%上の20kHzである。
【0312】
共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入により、図6BでIT61Pとして示される約148Aのピーク間の振動電流が、変圧器T61の1次巻線内に設けられ、約2.4kWの平均電力が、負荷抵抗R61内に設けられ、製品を加熱する渦電流を表す。
【0313】
図6Aに示される回路では、負荷回路内に注入される電流パルスは、双方向である。第4実施形態に対する上記のものと同じ理由で、図6Bに見られる電力波形PR61は、ピーク電力振幅が変化しない。
【0314】
共鳴コンデンサは、図6Aに示される単一のコンデンサC62により与えられ得る、又は、所望の電流定格値及び電圧定格値を得るために並列に又は直列に組み合わされた複数のコンデンサにより与えられ得る。個別のコンデンサの容量値を選択して、共鳴負荷回路の共鳴周波数が変化しないように、コンデンサの全ての組合せの容量値を維持する。マイクロプロセッサ又は他のプログラム可能論理制御装置の制御下で、複数の並列なコンデンサを回路の内外に切り替えることにより、共鳴コンデンサの値を制御し、「調整」の適切な状態に、即ち、共鳴点に又はその付近に共鳴負荷回路を維持することができる。
【0315】
図6Aに示される回路の異形(図示されず)では、図6Aの0.68μFの共鳴コンデンサC62は、各々が1.36μFの2つのコンデンサに入れ替えられる。前記2つのコンデンサは、変圧器T61の1次巻線に直列に、しかし、それぞれが反対の末端に接続される。
【0316】
第7の実施形態
【0317】
図7A及び図7Bは、本発明の第7実施形態に対する回路及び波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置に接続される共鳴コンデンサC72により形成される共鳴負荷回路の誘導性脚部内に双方向の電流パルスを注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図7Aで疎結合変圧器T71の1次巻線により表される。共鳴コンデンサC72は、共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73A及びQ73Bにより変圧器T71の1次巻線の両端に接続される。低抵抗の負荷抵抗R71は、変圧器2次巻線の両端に接続され、誘導加熱システムの製品を表す。DC電気エネルギー源V71は、切替結合回路により共鳴負荷回路に結合される。
【0318】
電源から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達するために、切替結合回路は、以下の構成の序列で繰り返し配置される。
1.第1事前充電構成、
2.第1コンデンサ充電構成、
3.第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、
4.第1絶縁構成、
5.第2事前充電構成、
6.第2コンデンサ充電構成、
7.第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、及び
8.第2絶縁構成。
【0319】
事前充電構成段階の各々の段階の間に、昇圧コンバータ配置内の充電制御トランジスタQ78は、「オン」に切り替えられ、即ち、導電性にされ、電源V71から直列阻止ダイオードD71、インダクタL71及び阻止ダイオードD77を通じて電流を引く。この電流は、インダクタL71と関連する磁界を作り上げる。阻止ダイオードD78は、逆に偏倚され、エネルギー伝達コンデンサC71がダイオードD77及びD78を通じて放電するのを防止する。
【0320】
コンデンサ充電構成段階の始めに、充電制御トランジスタQ78は、「オフ」に切り替えられるが、随伴する磁界が崩壊する間、電流は、電源からインダクタL71を通じて流れ続ける。トランジスタQ78が非導電性の場合、電流は、代わりに、ここでは順バイアスで、阻止ダイオードD78を流れ、エネルギー伝達コンデンサC71を充電し続ける。
【0321】
切替結合回路は、4つのトランジスタQ74、Q75、Q76及びQ77も含む。Hブリッジ内のトランジスタの対角状の組みは、交互に導電性にされ、直列共鳴負荷回路内に電流パルスを、極性を交互に変えて注入する。Hブリッジトランジスタの一方の対角状の組みの2つのトランジスタQ74及びQ77は、結合回路が、操作序列の第3段階に、即ち、第1コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。Hブリッジトランジスタの他方の対角状の組みの2つのトランジスタQ75及びQ76は、結合回路が、操作序列の第7段階に、即ち、第2コンデンサ放電及びエネルギー注入構成に設定される場合に導電性にされる。
【0322】
各操作序列の第3及び第7段階のコンデンサ放電及びエネルギー注入構成の間に、エネルギー伝達コンデンサC71は、Hブリッジトランジスタの各々の対角状の組みにより、図7Aに変圧器T71及び負荷抵抗R71により表される誘導性負荷装置の両端で放電するように有効に接続される。エネルギー伝達コンデンサC71からの放電電流は、極性が交互に変わるパルスとして共鳴負荷回路内に注入される。
【0323】
第3段階の間に、注入パルスは、コンデンサC71、インダクタL72、HブリッジトランジスタQ74、ダイオードD74A、トランジスタT71の1次巻線、及びHブリッジトランジスタQ77により形成されるループの周りで時計回りに流れる。この第3段階の間に、共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73Bは、「オフ」に切り替えられ、変圧器T71の1次巻線の両端で共鳴コンデンサC72の並列接続を外し、電流が、共鳴コンデンサC72を通じて、図7Aに見られるように左から右へ流れるのを防止する。
【0324】
理解されるべきことは、共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73Bが、「オフ」に切り替えられる間に、トランジスタQ73Aが「オン」に切り替えられる場合、電流が逆方向に流れることができることである。これにより、変圧器T71の1次巻線と共鳴コンデンサC72により形成される並列共鳴回路内で時計回りに循環する電流は、図7Aに見られるように右から左へ、固有の寄生ダイオードQ73B、共鳴コンデンサC72、及び「オン」状態のトランジスタQ73Aを通じて流れることができる。
【0325】
第7段階の間に、注入パルスは、コンデンサC71、インダクタL72、HブリッジトランジスタQ75、ダイオードD74B、変圧器T71の1次巻線、及びHブリッジトランジスタQ76により形成されるループの周りで反時計回りに流れる。この第7段階の間に、共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73Aは、「オフ」に切り替えられ、変圧器T71の1次巻線の両端で共鳴コンデンサC72の並列接続を外し、電流が、共鳴コンデンサC72を通じて、図7Aに見られるように右から左へ流れるのを防止する。理解されるべきことは、共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73Aが、「オフ」に切り替えられる間に、トランジスタQ73Bが「オン」に切り替えられる場合、電流が逆方向に流れることができることである。これにより、変圧器T71の1次巻線と共鳴コンデンサC72により形成される並列共鳴回路内で時計回りに循環する電流は、図7Aに見られるように左から右へ、固有の寄生ダイオードQ73A、共鳴コンデンサC72、及び「オン」状態のトランジスタQ73B通じて流れることができる。
【0326】
共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73A及びQ73Bは、「オフ」に切り替えられ、共鳴コンデンサC72の接続を外し、他方では、HブリッジトランジスタQ75及びQ76並びにQ74及びQ77の各々の組みは、「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC71から共鳴負荷回路の誘導性脚部、即ち、変圧器T71の1次巻線内へ電流を注入する。
【0327】
阻止ダイオードD74A及びD74Bは、電流が、各々のHブリッジトランジスタQ74及びQ75を通じて、特に、これらのトランジスタが「オフ」に切り替えられる際に、これらのトランジスタに固有の寄生ダイオードを通じて流れるのを防止する。
【0328】
操作序列の第4及び第8段階の絶縁構成では、トランジスタQ78は、「オン」に切り替えられ(即ち、実施的に導電性にされ)、電源V71から引かれた電流を接地に流し、電気エネルギー源V71からエネルギー伝達コンデンサC71の接続を有効に外す。
【0329】
操作序列の第4及び第8段階の絶縁構成では、4つのHブリッジトランジスタQ74、Q75、Q76及びQ77は、「オフ」である(即ち、実質的に非導電性にされる)ことにより、直列共鳴負荷回路からエネルギー伝達コンデンサC71の接続を有効に外す。
【0330】
回路は、2つのコンデンサ放電及びエネルギー注入構成段階のどちらでもない場合、トランジスタQ73A及びトランジスタQ73Bは、「オン」に切り替えられる。これらの2つのトランジスタの各々は、これらの2つのダイオードのうちの他方のものの固有のダイオードと組み合わせて、共鳴負荷回路ループの誘導性脚部の両端に共鳴コンデンサC72を接続し、電流は、前記ループ内を各々の方向に流れる。例えば、トランジスタQ73Aが「オン」である場合、このトランジスタは、トランジスタQ73Bの固有の寄生ダイオードと直列に働き、電流は、図7Aの共鳴負荷回路内を時計回りに循環することができる。代わりに、トランジスタQ73Bが「オン」である場合、このトランジスタは、トランジスタQ73Aの固有の寄生ダイオードと直列に働き、電流は、図7Aの共鳴負荷回路内を反時計回りに循環することができる。
【0331】
エネルギー伝達コンデンサC71を介して電気エネルギー源V71から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、切替回路は、第8段階序列に繰り返し設置される。
【0332】
図7Bは、以下の詳細を有する図7Aに示される第8実施形態の回路の特定形の電流、電圧及び電力波形を示す。
電源V71 300ボルト
トランジスタQ73A MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ73B MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ74 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ75 MOSFET IRFK4HE50又はIRFK4JE50
トランジスタQ76 IGBT IRGBH50F
トランジスタQ77 IGBT IRGBH50F
トランジスタQ78 MOSFET IRFK4JE50
トランジスタQ78の切替周波数 40kHz
トランジスタQ73A〜Q77の切替周波数 20kHz
トランジスタQ73A〜Q77の切替周期 50μS
インダクタL71 75μH
インダクタL72 10μH
エネルギー伝達コンデンサC71 0.68μF
共鳴コンデンサC72 0.68μF
共鳴負荷回路のインダクタンス
(変圧器T71の1次巻線)82μH
負荷回路の自然共鳴周波数 21.3kHz
エネルギー注入周波数 20kHz
【0333】
トランジスタQ73A、Q73B、Q74、Q75、Q76及びQ77の切替周期を50μSで各々の繰り返しの間に、充電制御トランジスタQ78は、0〜4.72μSで「オン」、即ち、導電性であり、4.72〜25μSで「オフ」、即ち、非導電性であり、25〜29.72μSで「オン」、即ち、導電性であり、29.72〜50μSで「オフ」である。Hブリッジ注入制御トランジスタQ74及びQ77は、0〜15μSで「オフ」であり、15〜18μSで「オン」であり、18〜50μSで「オフ」である。Hブリッジ注入制御トランジスタQ75及びQ76は、0〜40μSで「オフ」であり、40〜43μSで「オン」であり、43〜50μSで「オフ」である。共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73Aは、0〜39.5μSで「オン」であり、39.5〜43.5μSで「オフ」であり、43.5〜50μSで「オン」である。共鳴コンデンサ切替トランジスタQ73Bは、0〜14.5μSで「オン」であり、14.5〜18.5μSで「オフ」であり、18.5〜50μSで「オン」である。
【0334】
図7Bは、以下の波形を、図7Aの回路の特定形の開始から1.50〜1.58mSで示す。
D71 50A/分割で示される、ダイオードD71内の電流
D77 50A/分割で示される、ダイオードD77内の電流
D78 50A/分割で示される、ダイオードD78内の電流
C71 250V/分割で示される、エネルギー伝達コンデンサC71にかかる電圧
L72 100A/分割で示される、インダクタL72内の電流
T71P 50A/分割で示される、トランジスタT71の1次巻線内の電流
R71 1kW/分割で示される、負荷抵抗R71内の電力
【0335】
充電制御トランジスタQ78は、50μSサイクル毎に二度4.72μSにわたり(例えば、図7Bでは、約1.51〜1.515mS及び1.535〜1.54mSで)「オン」に切り替えられ、電源V71から電流を引き、インダクタL71に関連する磁界内にエネルギーを蓄積する。図7Aの回路では、トランジスタQ78を流れる電流は、ダイオードD77も流れ、図7Bで波形ID78として示される。この電流は、約19Aのピーク値に上昇し、トランジスタQ78がオフに切り替えられる際に急峻に終える。その時点では、ダイオードD71及びインダクタL71を通じて電源から流れる電流は、ダイオードD78を流れるように、エネルギー伝達コンデンサC71へ送られる。ダイオードD78を通るこの電流は、図7Bに波形ID78として示される。電源からダイオードD71及びインダクタL71を通じて流れる電流は、図7Bに波形ID71として示され、電流ID77及びID78の和である。
【0336】
エネルギー伝達コンデンサC71は、そのように、50μSサイクル毎に二度充電され、エネルギー伝達コンデンサC71にかかる電圧VC71は、その度に、約350Vから約507Vへ上昇する。
【0337】
Hブリッジ注入制御トランジスタの第1対角状の組みのトランジスタQ74及びQ77は、50μSサイクル毎に一度3μSにわたり(例えば、図7Bでは、1.525〜1.528mS)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC71から共鳴負荷回路内へ電流及びエネルギーを注入する。図7Aの回路では、この電流は、Hブリッジから並列共鳴負荷回路を通じて時計回りに流れる。
【0338】
Hブリッジ注入制御トランジスタの第2対角状の組みのトランジスタQ75及びQ76は、50μSサイクル毎に一度3μSにわたり(例えば、図7Bでは、1.550〜1.553mS)「オン」に切り替えられ、エネルギー伝達コンデンサC71から共鳴負荷回路内へ電流及びエネルギーを注入する。図7Aの回路では、この電流は、Hブリッジから並列共鳴負荷回路を通じて反時計回りに流れる。
【0339】
エネルギー伝達コンデンサC71からの放電電流パルスは、ピーク電流が52Aである。これらのパルスは、インダクタL72を通じて配送され、図7Bに波形IL72で示される。これらのパルスは、極性が交互に変わるパルスとして共鳴負荷回路の誘導性脚部内に注入される前に、Hブリッジ切替トランジスタQ74、Q75、Q76及びQ77により交互に反転される。
【0340】
エネルギー伝達コンデンサC71からの注入電流の流れは、エネルギー伝達コンデンサを放電し、エネルギー伝達コンデンサにかかる電圧は、約507Vから約350Vへ降下する。
【0341】
共鳴負荷回路内に電流パルスを周期的に注入する繰り返し周波数は、4つのHブリッジ注入制御トランジスタQ74、Q75、Q76及びQ77の切替周波数に左右される。図7Aの実施形態の特定形では、これらの4つのトランジスタの切替周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数、21.3kHzよりも約6.5%下の20kHzである。
【0342】
共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入により、図7BでIT71Pとして示される約108Aのピーク間の振動電流が、変圧器T71の1次巻線に設けられ、負荷抵抗R71内の約900Wの平均電力は、製品内を加熱する渦電流を表す。
【0343】
図7Aに示される回路では、負荷回路内に注入される電流パルスは、双方向である。第4実施形態についての上記のものと同じ理由で、図7Bに見られる電力波形PR71は、ピーク電力振幅が変化しない。
【0344】
第8の実施形態
【0345】
図8A、8B及び8Cは、本発明の第8実施形態に対する回路及び波形を示す。この回路は、誘導性負荷装置と直列に接続される共鳴コンデンサC82により形成される直列共鳴負荷回路内へ一方向の電流パルスを注入する。誘導性負荷装置は、誘導加熱システムのワークコイルであり、図8Aで、疎結合変圧器T81の1次巻線により表される。共鳴コンデンサC82は、変圧器の1次巻線と直列に連続的に接続される。低抵抗の負荷抵抗R81は、変圧器第2巻線の両端に接続され、誘導加熱システムの製品を表す。DC電気エネルギー源V81は、2つの切替結合回路により共鳴負荷回路に結合される。
【0346】
負荷回路制御トランジスタQ83は、直列共鳴負荷回路の開閉を制御する。振動負荷回路電流は、負荷回路制御トランジスタQ83を通じて、そのトランジスタが「オン」にされる場合、一方向に(図8Aでは、反時計回りに)循環することができ、トランジスタQ83の両端に並列に接続されるダイオードD84を通じて、トランジスタQ83が「オフ」にされる場合でも、反対方向に(図8Aでは、時計回りに)循環することができる。
【0347】
並列ダイオードD84は、負荷回路内を循環する時計回りの電流のための経路を与える。トランジスタQ83が固有のダイオードを有する場合、例えば、トランジスタQ93がMOSFETである場合、個別の並列ダイオードD84は、任意選択であるが、追加の電流搬送容量を与えるように含み得る。
【0348】
図8Aに示されるように、切替結合回路は、2つの切替結合回路を含む。各結合回路は、直列阻止ダイオードD81A、D81B、充電制御トランジスタQ81A、Q81B、乾留ダイオードD82A、D82B、直列インダクタL81A、L81B、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81B、エネルギー注入制御トランジスタQ82A、Q82B、及び直列阻止ダイオードD83A、D83Bを含む。
【0349】
2つの結合回路は、共通の直列注入制御インダクタL82を介して、負荷回路内に電流パルスを注入する。
【0350】
電源V81から共鳴負荷回路へエネルギーを伝達するために、各切替結合回路は、以下の構成の序列に繰り返し設置される。
1.コンデンサ充電構成、
2.第1選択的絶縁構成
3.コンデンサ放電及びエネルギー注入構成、及び
4.題意選択的絶縁構成。
【0351】
各それぞれの切替結合回路のコンデンサ充電構成では、充電制御トランジスタQ81A、Q81B、直列阻止ダイオードD81A、D81B、還流ダイオードD82、D82B、及び直列インダクタL81A、L81Bは、上述のように、図1Aの回路内の対応する部品と同様に働き、共通の電気エネルギー源V81から、各々エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bを充電する。
【0352】
各それぞれの切替結合回路のコンデンサ放電及びエネルギー注入構成では、充電制御トランジスタQ81A、Q81Bは、「オフ」であり、電気エネルギー源V81からエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bの接続を外す。エネルギー注入制御トランジスタQ82A、Q82Bは、「オン」であり、阻止ダイオードD83A、D83B及び共通の直列注入制御インダクタL82を通じて、直列接続共鳴負荷回路の両端にエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bを接続する。
【0353】
図8Aの回路の一実施形態は、以下に、図8Bの波形を参照して記載される。この実施形態では、2つの充電及び注入回路は、交互に働き、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bのどちらかの再充電が、共鳴負荷回路内の電流パルスの注入に重複することはない。この実施形態では、電源から共鳴負荷回路へエネルギーを有効に伝達するために、以下の操作の序列が繰り返される。最初に、第1注入制御トランジスタQ82Aは、導電性にされ、第1エネルギー伝達コンデンサC81Aを放電することにより、共鳴負荷回路内に電流パルスを注入する。第2に、第1充電制御トランジスタQ81Aは、導電性にされ、電源V81から第1エネルギー伝達コンデンサC81Aを再充電する。第3に、第2注入制御トランジスタQ82は、導電性にされ、第2エネルギー伝達コンデンサC81Bを放電することにより、共鳴負荷回路内に電流パルスを注入する。第4に、第2充電制御トランジスタQ81Bは、導電性にされ、電源V81から第2エネルギー伝達コンデンサC81Bを再充電する。
【0354】
図8Aの回路の別の実施形態は、以下に、図8BCの波形を参照して記載される。この実施形態では、2つの充電及び注入回路は、交互に働き、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bのどちらかの再充電が、共鳴負荷回路内の電流パルスの注入に重複することはない。この実施形態では、電源から共鳴負荷回路へエネルギーを有効に伝達するために、以下の操作の序列が繰り返される。最初に、第1注入制御トランジスタQ81Aは、電源V81から充電される。エネルギー伝達コンデンサが充電されている少なくとも一部分の期間中に、第2エネルギー伝達コンデンサC81Bを放電して、共鳴負荷回路内へ電流パルスを注入する。第2に、第2エネルギー伝達コンデンサC81Bは、電源V81から充電される。この第2エネルギー伝達コンデンサが充電されている少なくとも一部の期間中に、第1エネルギー伝達コンデンサC81Aを放電し、共鳴負荷回路内に電流パルスを注入する。2つのエネルギー伝達コンデンサの充電は、互いに重複し得る。
【0355】
これらの2つの実施形態の各々では、負荷回路制御トランジスタQ83は、電流パルスが共鳴負荷回路内に注入される間、「オフ」に切り替えられる、即ち、非導電性にされる。負荷回路制御トランジスタQ83は、「オン」に切り替えられ、即ち、導電性にされ、共鳴負荷回路電流は、一方向に(図8Aでは、反時計回りに)循環することができる。負荷回路制御トランジスタQ83の両端に並列に接続されるダイオードD84により、負荷回路電流は、反対方向に(図8Aでは、時計回りに)循環することができる。
【0356】
各切替結合回路が選択的絶縁構成に設定される場合、各々の充電制御トランジスタQ81A、Q81B及び各々のエネルギー注入トランジスタQ82A、Q82Bは、「オフ」である(即ち、非導電性にされる)ことにより、共通の電気エネルギー源V81から、及び、共鳴コンデンサC82と、図8AでトランジスタT81及び負荷抵抗R81により表される誘導性負荷装置とにより与えられる共鳴負荷回路から、各々のエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bの接続を有効に外す。
【0357】
エネルギー注入制御トランジスタQ82A、Q82Bのどちらも、「オン」に切り替えられない場合に共鳴負荷回路内を循環する電流は、実質的に、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで、負荷回路制御トランジスタQ83を通じて一方の方向に、及び、並列ダイオードD84を通じて反対の方向に循環し続ける。
【0358】
各結合回路が注入構成に設定される場合、電流パルスは、各々のエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bから注入され、各々の順バイアス阻止ダイオードD83A、D83B、各々の注入制御トランジスタQ82A、Q82B、共通直列注入制御インダクタL82を通じて、共鳴コンデンサC82と(図8Aで、疎結合第2巻線の両端に接続される負荷抵抗R81を有する変圧器T81の1次巻線により表される)誘導性負荷装置との直列接続により形成される共鳴負荷回路の上部脚内を流れる。共鳴負荷回路内に注入される注入電流パルスは、各々のエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bからの初期過渡放電電流を限定する直列注入制御インダクタL82により平滑される。注入電流は、各々のエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bから引かれ、コンデンサを放電し、任意選択的に、コンデンサにかかる電圧をゼロに降下させる。
【0359】
共鳴負荷回路内への注入電流パルスが延長される場合、又は、エネルギー伝達コンデンサの容量が十分な容量ではない場合、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81B上の電圧は、ゼロよりも下に降下する場合があり、共鳴負荷回路により電流がコンデンサから引かれるために、一時的に負になり得る。この条件は、一時的にのみ、次の再充電サイクルまで起こり、最良の効率を損ねる場合があるが、それ以外は、通常の回路動作を妨げない。
【0360】
各注入電流パルスが停止した後に、電流は、自然共鳴周波数で又はその周波数の近くで、初期に時計回りの共鳴負荷回路電流として、並列ダイオードD84を通じて共鳴負荷回路内を循環し続ける。共鳴負荷回路電流が時計回りに流れる間、負荷回路制御トランジスタQ83は、「オン」にされる、即ち、導電性にされる。極性が反転されると、共鳴負荷回路電流は、反時計回りの電流として、負荷回路制御トランジスタQ83として流れる。このように、電流は、共鳴負荷回路内を、中断することなく振動し続ける。
【0361】
電流パルスによるエネルギー注入の繰り返し率は、切替結合回路の切替周波数により制御される。この切替周波数又はこの切替周波数の整数倍は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数に近いように選択され、そのため、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bから共鳴負荷回路内への電流の各々の注入は、並列ダイオードD84を通じて時計回りに流れる共鳴負荷回路電流の半サイクルの間に起こる。
【0362】
このように、ダイオードD83A、D83B及びD84により、共鳴負荷回路内の時計回りの電流がダイオードD84を通り戻るように循環する場合の自然共鳴モードから、電流が、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bの放電から、各々のダイオードD83A、D83B及び注入制御インダクタL82を通じて、共鳴負荷回路の上部脚内で左から右へ、流れる場合の注入モードへ滑らかに切り替えられ、共鳴負荷回路内にエネルギーを注入することができる。
【0363】
エネルギー注入制御トランジスタQ82A、Q82Bが、固有の寄生ダイオードを有するMOSFET又は類似の装置であり、前記トランジスタが「オフ」にされるときにさえ、前記寄生ダイオードがソースからドレインへ反転導電性経路を与える場合、阻止ダイオードD83A、D83Bが含まれる。阻止ダイオードD83A、D83Bは、共鳴負荷回路から各々のエネルギー伝達コンデンサC81A、C81B内へ、固有のMOSFET寄生ダイオードを通じて流れ戻る反転電流を防止する。阻止ダイオードD83A、D83Bを用いなければ、各々のトランジスタQ82A、Q82Bが「オフ」であるときにさえ、この反転電流が流れ得る。
【0364】
エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bからの放電電流パルスは、常に、共鳴負荷回路内へ、全てが同じ極性を有する一連のパルスとして注入される。図8Aに示される回路では、電流パルスは、共鳴負荷回路内に注入され、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81B、阻止ダイオードD83A、D83B、トランジスタQ82A、Q82B、共通の注入制御インダクタL82、及び直列に接続された共鳴コンデンサC82と変圧器T81の第1巻線により形成される各々のループの周りで時計回りに流れる。
【0365】
図8Aの切替回路は、上述の序列に繰り返し設定され、2つのエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bを介して経路を交互に変えることにより、電気エネルギー源V81から誘導性負荷装置へエネルギーを伝達する。
【0366】
共鳴負荷回路へ伝達され得るエネルギーの量は、図8Aの回路内で、2つのエネルギー伝達コンデンサを交互に利用することにより増加する。図示されない別の実施形態では、関連する電荷及び注入切替回路を有する2つ以上のエネルギー伝達コンデンサが、それぞれ、共鳴負荷回路内へ連続する電流パルスを注入し、負荷へ配送されるエネルギーの量を更に増加させる。
【0367】
エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bの放電、及び、共鳴負荷回路内へのエネルギーの同時注入が、各々の注入制御トランジスタQ82A、Q82Bがオンになった後に必ずしも始まらないことに留意するべきである。例えば、エネルギー制御トランジスタQ82Aが「オン」になり得る、即ち、導電性にされ得る場合、エネルギー伝達コンデンサC81Aから共鳴負荷回路への注入経路は、共鳴負荷回路にかかる電圧が、充電されたエネルギー伝達コンデンサの電圧よりも下に降下する場合、ダイオードD83Aが導電性になるまで完了しないことになる。これは、充電されたエネルギー伝達コンデンサの電圧に接合する共鳴負荷回路にかかる振動電圧の波形上の点でのエネルギーの注入を有効に同期させる。この自動的な同期、及び、共鳴負荷にかかる低下電圧と次に放電するエネルギー伝達コンデンサの降下電圧の近似的な整合は、「柔軟な」且つエネルギー効率の良いエネルギー注入を与える。
【0368】
図8Bは、以下の詳細を有する図8Aに示される第8実施形態の回路の第1特定形の電流及び電圧波形を示す。
電源V81 100V
トランジスタQ81A及び81B MOSFET IRFK6J350
トランジスタQ82A及び82B MOSFET IRFK4J450
トランジスタQ83 IGBT MGY40N60
トランジスタQ81A及びQ81B、Q82A及びQ82Bの切替周波数 4.76kHz
トランジスタQ81A及びQ81B、Q82A及びQ82Bの切替周期 210μS
トランジスタQ83の切替周波数 9.52kHz
トランジスタQ83の切替周期 105μS
インダクタL81A及びL81B 1.7mH
インダクタL82 30μH
インダクタL83 1μH
エネルギー伝達コンデンサC81A及びC81B 1.0μF
共鳴コンデンサC82 1.36μF
共鳴負荷回路インダクタンス
(変圧器T21の1次巻線) 205μH
負荷回路の自然共鳴周波数 9.65kHz
エネルギー注入周波数 9.52kHz
【0369】
交互に変化する注入サイクルの各組みの210μSの切替周期の間、第1注入制御トランジスタQ82Aは、0〜22μSで22μSにわたり「オン」、即ち、導電性であり、22〜210μSで「オフ」、即ち、非導電性にされる。第1充電制御トランジスタQ81Aは、0〜24μSで「オフ」、即ち、非導電性にされ、24〜94μSで70μSにわたり「オン」であり、次に、94〜210μSで「オフ」にされる。第2注入制御トランジスタQ82Bは、0〜105μSで「オフ」、即ち、非導電性にされ、105〜127μSで22μSにわたり「オン」、即ち、導電性にされ、次に、127〜210μSで「オフ」にされる。第2充電制御トランジスタQ81Bは、0〜129μSで「オフ」、即ち、非導電性にされ、129〜199μSで70μSにわたり「オン」にされ、次に、199〜210μSで「オフ」にされる。負荷電流制御トランジスタQ83は、0〜28μSで「オフ」にされ、28〜101μSで73μSにわたり「オン」にされ、101〜133μSで「オフ」にされ、133〜206μSで73μSにわたり「オン」にされる。
【0370】
図8Bは、以下の波形を、図8Aの回路の形の開始から3.1〜3.55mSで、直前の2つの段落で記載されるような成分値及び切替時期を利用して示す。
D81A 10A/分割で示される、ダイオードD81A内の電流
C81A 500V/分割で示される、第1エネルギー伝達コンデンサC81A上の電圧
D83A 50A/分割で示される、ダイオードD83A内の電流
D81B 10A/分割で示される、ダイオードD81B内の電流
C81B 500V/分割で第2エネルギー伝達コンデンサC81B上の電圧
D83B 50A/分割で示される、ダイオードD83B内の電流
L82 50A/分割で示される、インダクタL82内の電流
T81P 50A/分割で示される、変圧器T81の1次巻線内の電流
【0371】
この実施形態では、共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入により、約72Aのピーク間の振動電流が、共鳴コンデンサC82及び変圧器T81の第1巻線内に設けられ、図8BにIT81Pとして示される。
【0372】
図8Cは、以下の詳細を有する図8Aに示される第8実施形態の回路の第2特定形の電流及び電圧波形を示す。この回路は、図8Bの波形に関して記載されるものと同一の形態を有するが、インダクタL81A、L81Bのインダクタンス値が、1.7mHから3.4mGへ2倍になり、エネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bの充電時間の継続が、70μSから140μDへ2倍になる点で異なる。この変化により、一方のエネルギー伝達コンデンサの充電は、他方のエネルギー伝達コンデンサの放電と重複し、負荷回路内へ電流パルスを注入し、その結果、負荷回路内の電流が増す。
電源V81 100ボルト
トランジスタ Q81A及びQ81B MOSFET IRFK6J350
トランジスタ Q82A及びQ82B MOSFET IRFK4J450
トランジスタQ83 IGBT MGY40N60
トランジスタQ81A及びQ81B、Q82A及びQ82Bの切替周波数 4.76kHz
トランジスタQ81A及びQ81B、Q82A及びQ82Bの切替周期 210μS
トランジスタQ83の切替周波数 9,52kHz
トランジスタQ83の切替周期 105μS
インダクタL81A及びL81B 3.4mH
インダクタL82 30μH
インダクタL83 1μH
エネルギー伝達コンデンサC81A及びC81B 1.0μF
共鳴コンデンサC82 1.36μF
共鳴負荷回路のインダクタンス
(変圧器T21の第1巻線)205μH
負荷回路の自然共鳴周波数 9.65kHz
エネルギー注入周波数 9.52kHz
【0373】
交互に変化する注入サイクルの各組みの210μSの切替周期の間、第1注入制御トランジスタQ82Aは、0〜22μSで22μSにわたり「オン」、即ち、導電性であり、22〜210μSで「オフ」、即ち、非導電性にされる。第1充電制御トランジスタQ81Aは、0〜24μSで「オフ」、即ち、非導電性にされ、24〜164μSで140μSにわたり「オン」であり、次に、164〜210μSで「オフ」にされる。第2注入制御トランジスタQ82Bは、0〜105μSで「オフ」、即ち、非導電性にされ、105〜127μSで22μSにわたり「オン」、即ち、導電性にされ、次に、127〜210μSで「オフ」にされる。第2充電制御トランジスタQ81Bは、0〜59μSで「オン」、即ち、導電性にされ、59〜129μSで「オフ」、即ち、非導電性にされ、129〜210μSで「オン」にされる。負荷電流制御トランジスタQ83は、0〜28μSで「オフ」にされ、28〜101μSで73μSにわたり「オン」にされ、101〜133μSで「オフ」にされ、133〜206μSで73μSにわたり「オン」にされる。
【0374】
図8Cは、以下の波形を、図8Aの回路の形の開始から3.1〜3.55mSで、直前の2つの段落内で記載されるような成分値及び切替時期を利用して示す。
D81A 10A/分割で示される、ダイオードD81A内の電流
C81A 500V/分割で示される、第1エネルギー伝達コンデンサC81A上の電圧
D83A 50A/分割で示される、ダイオードD83A内の電流
D81B 10A/分割で示される、ダイオードD81B内の電流
C81B 500V/分割に示される、第2エネルギー伝達コンデンサC81B上の電圧
D83B 50A/分割で示される、ダイオードD83B内の電流
L82 50A/分割で示される、インダクタL82内の電流
T81P 50A/分割で示される、変圧器T81の1次巻線内の電流
【0375】
この実施形態では、共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入により、約100Aのピーク間の振動電流が、共鳴コンデンサC82及び変圧器T81の1次巻線内に設けられ、図8CにIT81Pとして示される。
【0376】
図8Aの回路の両方の実施形態について、共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入は、2つのエネルギー伝達コンデンサC81A、C81Bから導出される、交互に変わる注入の組合せである。共鳴負荷回路内への電流パルスの周期的注入の繰り返し周波数は、充電制御トランジスタQ81A、Q81B及び注入制御トランジスタQ82A、Q82Bの切替周波数(4.76kHz)の2倍であり、負荷回路制御トランジスタQ83の切替周波数(9.52kHz)に等しい。図8Aの実施形態のこの特定形では、9.52kHzの注入周波数は、共鳴負荷回路の自然共鳴周波数、9.65kHzよりも約1.5%下である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性負荷装置に電気エネルギー源を結合する結合回路であって、前記結合回路が、切替回路、エネルギー伝達コンデンサ及び共鳴コンデンサを含み、前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、自然共鳴周波数を有する共鳴負荷回路を一体的に形成し、前記切替回路が、前記エネルギー伝達コンデンサが前記電気エネルギー源から充電される、充電構成に設定可能であり、前記切替回路は、前記エネルギー伝達コンデンサを前記共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより前記共鳴負荷回路内へ離散的エネルギーパルスを注入する、注入構成に設定可能であり、前記電気エネルギー源から前記誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、前記切替回路が、前記充電構成に、続いて、前記注入構成に繰り返し設定可能であり、前記誘導性負荷装置へ伝達される前記エネルギーは、前記自然共鳴周波数に近い又は前記周波数に等しい振動周波数で前記共鳴負荷回路内を循環し、前記エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが前記電源から前記切替回路へ配送されている間、前記エネルギー伝達コンデンサから前記共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない、結合回路。
【請求項2】
前記振動周波数が、前記自然共鳴周波数の±20%以内である、請求項1に記載の結合回路。
【請求項3】
前記振動周波数に等しい又は前記振動周波数の整数の約数に等しい既定の切替周波数に、前記切替回路を繰り返し設定することにより、エネルギーが前記電気エネルギー源から前記誘導性負荷装置へ伝達される、請求項1に記載の結合回路。
【請求項4】
前記切替回路が前記充電構成にあるときに、前記エネルギー伝達コンデンサが前記共鳴負荷回路内へ放電されない、請求項1に記載の結合回路。
【請求項5】
前記切替回路が前記注入構成にあるときに、前記電源から前記エネルギー伝達コンデンサへ充電されない、請求項1に記載の結合回路。
【請求項6】
前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が互いに並列に連続的に接続され、前記切替回路が前記注入構成設定されるときに、前記エネルギー伝達コンデンサが、前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置の両端に並列に有効に接続される、請求項1に記載の結合回路。
【請求項7】
前記切替回路が前記注入構成に設定されるときに、前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、直列回路に有効に接続される、請求項1に記載の結合回路。
【請求項8】
前記切替回路が前記注入構成に設定されるときに、前記エネルギー伝達コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、前記共鳴コンデンサを除いた直列回路に有効に接続される、請求項1に記載の結合回路。
【請求項9】
前記注入構成が、前記エネルギー伝達コンデンサを放電して前記共鳴負荷回路内へ第1方向に電流を注入する、第1注入構成であり、前記切替回路が、前記エネルギー伝達コンデンサを放電して前記共鳴回路内へ前記第1方向とは反対の第2方向に電流を注入する、第2注入構成に設定可能であり、前記電気エネルギー源から前記誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、前記切替回路が、前記充電構成に、続いて、前記第1注入構成に、続いて、前記充電構成に、続いて、前記第2注入構成に繰り返し設定可能である、請求項1に記載の結合回路。
【請求項10】
前記エネルギー伝達コンデンサが、第1エネルギー伝達コンデンサであり、前記結合回路が、第2エネルギー伝達コンデンサも含み、前記充電構成が、第1充電構成であり、前記切替回路が、前記第2エネルギー伝達コンデンサが前記電気エネルギー源から充電される、第2充電構成に設定可能であり、前記注入構成が、第1注入構成であり、前記切替回路が、第2エネルギー伝達コンデンサを前記共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより前記共鳴負荷回路内へ離散的エネルギーパルスを注入する、第2注入構成に設定可能であり、前記電気エネルギー源から前記誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、前記切替回路が、前記第1充電構成に、前記第2注入構成、前記第2充電構成及び第1注入構成に繰り返し設定可能であり、前記第2エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが前記電源から前記切替回路へ配送されているときに、前記第2エネルギー伝達コンデンサから前記共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない、請求項1に記載の結合回路。
【請求項11】
前記切替回路が、前記第1充電構成、前記第2注入構成、前記第2充電構成、及び前記第1注入構成に、逐次的に繰り返し設定される、請求項10に記載の結合回路。
【請求項12】
前記切替回路が、前記第1充電構成及び前記第2注入構成に同時に設定され、前記切替回路が、前記第2充電構成及び前記第1注入構成に同時に設定される、請求項10に記載の結合回路。
【請求項13】
誘導性負荷回路に電気エネルギー源を結合するために結合回路を操作する方法であって、前記結合回路が、切替回路、エネルギー伝達コンデンサ及び共鳴コンデンサを含み、前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、自然共鳴周波数を有する共鳴負荷回路を一体的に形成し、前記方法が、以下の工程:
1.前記エネルギー伝達コンデンサが前記電気エネルギー源に接続される充電構成に、前記切替回路を設定すること、
2.前記電気エネルギー源から前記エネルギー伝達コンデンサを充電すること、
3.前記エネルギー伝達コンデンサが前記共鳴負荷回路に接続される注入構成に、前記切替回路を設定すること、
4.前記エネルギー伝達コンデンサを前記共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより、前記共鳴負荷回路内へ離散的エネルギーパルスを注入すること、
5.前記電気エネルギー源から前記誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、工程1、工程2、工程3及び工程4を繰り返し実行すること
を含み、
誘導性負荷装置へ伝達される前記エネルギーが、前記自然共鳴周波数に近い又は前記周波数に等しい振動周波数で前記共鳴負荷回路内を循環し、
前記エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが、前記電源から前記切替回路へ配送されている間、前記エネルギー伝達コンデンサから前記共鳴負荷回路内へのエネルギーの注入がない、方法。
【請求項14】
前記振動周波数が、好ましくは、前記自然共鳴周波数の±20%内である、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項15】
工程5において、前記切替回路が、前記振動周波数に等しい又は前記振動周波数の整数の約数に等しい既定の切替周波数に繰り返し設定される、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項16】
工程1及び工程2を実行する間、前記エネルギー伝達コンデンサを前記共鳴負荷回路内へ放電されない、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項17】
工程3及び工程4を実行する間に、前記電源から前記エネルギー伝達コンデンサへ充電されない、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項18】
工程3及び工程4を実行する間に、前記エネルギー伝達コンデンサ、前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、互いに並列に有効に接続される、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項19】
工程3及び工程4を実行する間に、前記エネルギー伝達コンデンサ、前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、互いに直列回路に有効に接続される、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項20】
工程3及び工程4を実行する間に、前記エネルギー伝達コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、互いに、前記共鳴コンデンサを除いた直列回路に、有効に接続される、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項21】
工程3の前記注入構成が、第1注入構成であり、工程4での前記エネルギー伝達コンデンサの前記放電が、前記共鳴負荷回路内へ第1方向に電流を注入することにより実行され、前記方法が、以下の追加の工程:
6.前記エネルギー伝達コンデンサが前記共鳴負荷回路に接続される第2注入構成に、前記切替回路を設定すること、
7.前記共鳴負荷回路内へ前記第1方向とは反対の第2方向に電流を注入することにより前記エネルギー伝達コンデンサを前記共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電し、それにより、前記共鳴負荷回路内へ離散的エネルギーパルスを注入すること、
8.前記電気エネルギー源から前記誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために、工程1、工程2、工程3及び工程4の各々の繰り返しに続いて、工程1、工程2、工程6及び工程7を実行すること
を更に含む、請求項13に記載の結合回路を操作する方法。
【請求項22】
誘導性負荷装置に電気エネルギー源を結合するために結合回路を操作する方法であって、
結合回路が、切替回路、第1エネルギー伝達コンデンサ、第2エネルギー伝達コンデンサ、及び共鳴コンデンサを含み、
前記共鳴コンデンサ及び前記誘導性負荷装置が、自然共鳴周波数を有する共鳴負荷回路を一体的に形成し、
前記方法が、以下の工程:
A.前記第1エネルギー伝達コンデンサが前記共鳴負荷回路に接続される第1注入構成に、前記切替回路を設定すること、
B.前記エネルギー伝達コンデンサを前記共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより、前記共鳴負荷回路内へ離散的エネルギーパルスを注入すること、
C.前記エネルギー伝達コンデンサが前記電気エネルギー源に接続される第1充電構成に、前記切替回路を設定すること、
D.前記電気エネルギー源から前記第1伝達コンデンサを充電すること、
E.前記第2エネルギー伝達コンデンサが前記共鳴負荷回路に接続される第2注入構成に、前記切替回路を設定すること、
F.前記第2エネルギー伝達コンデンサを前記共鳴負荷回路内へ少なくとも部分的に放電することにより、前記共鳴負荷回路内へ離散的エネルギーパルスを注入すること、
G.前記第2エネルギー伝達コンデンサが前記電気エネルギー源に接続される第2充電構成に、切替回路を設定すること、
H.前記電気エネルギー源から前記第2エネルギー伝達コンデンサを充電すること、
I.前記電気エネルギー源から前記誘導性負荷装置へエネルギーを伝達するために工程A〜工程Hを包括的に繰り返し実行すること
を含み、
前記誘導性負荷装置へ伝達される前記エネルギーが、前記自然共鳴周波数の近くで又は前記周波数に等しい振動周波数で、前記共鳴負荷回路内を循環し、
前記第1エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが、前記電源から前記切替回路へ配送されている間、前記第1エネルギー伝達コンデンサから前記共鳴負荷回路内への電流の注入がなく、前記第2エネルギー伝達コンデンサを充電するためのエネルギーが、前記電源から前記切替回路へ配送されている間、前記第2エネルギー伝達コンデンサから前記共鳴負荷回路内への電流の注入がない、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2012−509045(P2012−509045A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530014(P2011−530014)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/NZ2009/000205
【国際公開番号】WO2010/039046
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511082562)レステック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】