説明

内圧をかけた流体用の運搬容器

【課題】既知の装置の欠点を克服し、金属製の容器に比べて内圧強度が高いだけでなく、もっと軽量の容器を提案する。
【解決手段】入物(3)と、前記入物(3)と空間(5)を形成する外側被い(4)と、前記入物(3)と前記外側被い(4)の相対的位置決手段(6)と、前記空間(5)を完全に充填する材料(7)とから成り、心出突起(21)を備えた基部(9)と頂部(10)とを有する入物(3)、前記入物(3)を収納するのに適した外側被い(4)を備え、前記入物(3)と前記外側被い(4)の相対的位置決手段(6)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内部から外に向って圧力がかかる液体および/または気体などの、内圧をかけた流体のための容器、およびその製造のために特に考案された方法を目的とする。
【0002】
主たる用途分野としては内圧をかけた流体を取扱う、および/または貯蔵することが望ましい全ての経済的分野が挙げられるだろう。
【0003】
これに該当するのは、例えば、ガス入および/または発泡性の飲料のドラム缶、ガスボンベ、消火器などの、その内部で流体が本質上内圧をかける容器類である。
【0004】
さらにこれに該当するのは、例えば、蓄積型温水器、集中暖房装置の膨張容器、プールの濾過器、砂濾過器、制動系のタンク、噴水の貯水槽、圧搾空気タンク等のそれらが組込まれた配給網の圧力に由来する流体からの内圧が内部にかかる容器類である。
【0005】
従って、用途分野の1つは、例えば、ビール製造産業における、ビールなどの食品流体の包装としての本発明の使用に関連する。ただし用途はこれに限定されるものではない。
【背景技術】
【0006】
現在、内圧がかかる流体を貯蔵および/または輸送するためにポリエチレンまたはポリプロピレンなどの熱可塑性材料製の各種の容器が知られている。これらの容器は内圧が高すぎるときに内圧に対する強度が不十分であるという欠点がある。それらの衝撃強さも低い。
【0007】
他方、ステンレス鋼やアルミニウムを母材とする主として金属製の各種の容器も知られている。この種の容器の欠点は高価で重いことである。加えて、それらの使用者は多数の努力を強いられ、とりわけリサイクルが必要であり、そのため最終原価が高くなる。
【0008】
耐圧性を付与するためにガラス繊維のライニングを備えた容器と、前記容器と外側被いの間に少なくとも2つの外部衝撃吸収部分から成るパッキンを備えた、特定のタイプの容器は特許文献1に記載されている。
【特許文献1】国際公開88/03899号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は既知の装置の欠点を克服することを可能にし、上述の主として金属製の容器に比べて内圧強度が高いだけでなく、もっと軽量の容器を提案することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、外部力学的な衝撃にも耐えられる容器を提案することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は重量と形状の特性によってその使用を容易にすることである。
本発明の別の目的は、さらに、断熱特性と含まれる流体の種類と物性に対応する気体と液体に対する非透過性を示す容器を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、付随的に、その原価を考慮に入れて、使い捨て容器を提案することである。
【0013】
本発明のその他の目的と利点は、参考のために挙げられ、全く制限的な目的を持たない以下の説明を読むことによって明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、特に、容器の内部から外に向って圧力がかかる液体および/または気体などの、内圧をかけた流体のための容器は:
流体の入物と、
前記入物と空間を形成する外側被いと、
前記入物と前記外側被いの相対的位置決手段と、
前記空間を完全に充填する材料の層とから成るサンドイッチ構造体を有し、
前記サンドイッチ構造体が前記入物と、前記層と、前記外側被いの間に応力を分散することによって内圧に耐えることに適していることを特徴とする。
【0015】
本発明は容器の内部から外に向って圧力がかかる液体および/または気体などの、内圧をかけた流体のための前記容器の製造のために特に考案された方法において、
・入物を形成する過程と、
・前記入物を含めるのに適した、外側被いを形成する過程と、
・位置決手段によって外側被いの中に入物を心出しし、それによって入物と外側被いの間に空間を形成する過程と、
・外側被いを成型機内に置く過程と、
・空間を完全に充填するために材料を挿入する過程とから成ることを特徴とする方法も目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は本書と不可分の付属の図面を参照して以下の説明を読むことによっていっそうよく理解できるだろう。
【0017】
図1は本発明による容器の実施態様の1つの斜視図である。
図2は図1の容器の上面図である。
図3は図2の線III−IIIに沿った断面図である。
図4は図1に示した容器の外側被いの基部と側面を構成するのに適したボール紙の型を示している。
図5は入物と外側被いの間の空間を完全に充填する材料の層の変型実施態様の側面の部分図を示している。
図6は図5の線VI−VIに沿った正面部分断面図である。
図7は本発明による容器の孔の実施態様の線III−IIIに沿った部分断面図である。
【0018】
本発明は容器の内部から外に向って圧力がかかる液体および/または気体などの、内圧をかけた流体のための容器を目的とする。本発明は内圧のかかった流体を使用する全ての経済的分野に適用される。
【0019】
以下に説明する特定の実施態様は、例えば、ビール製造分野などで、ビールなどの、食用流体に適用できる。しかしながら、これはその用途を全く限定するものではない。
【0020】
図1は上記の特定の実施態様の斜視図である。その構造は以下の図に詳細に示されている。
【0021】
図2と図3をもっと詳細に見ると、内圧のかかった流体を入れるための容器1はサンドイッチ構造体7を有する。
【0022】
例えば、ビール製造分野において、内圧は最大7バールになることがある。本サンドイッチ構造体7はかかる応力に耐えるのに適している。
【0023】
内圧に耐えるために、サンドイッチ構造体7は流体の入物3と外側被い4を備え、それによって両者の間に空間5を形成している。サンドイッチ構造体7はさらに入物3と外側被い4の相対的位置決手段6と空間5を完全に充填する材料8の層も備えている。
【0024】
この入物3と、この外側被い4とこの層の協同のおかげで容器は、圧力の応力の分配と分散を可能にするいわゆる「サンドイッチ効果」と呼ばれる効果によって高い内圧に耐えることができる。サンドイッチ構造体7は層が入物3の外面と外側被い4の内面に完全になじみ、隆起(hernie)が全くないときにより効果的になる。
【0025】
やはり図3において、入物3は、例えば、基部9と、例えば、頸部23を備えた頂部10を有する。この図に示した特定の実施態様において、この基部9とこの頂部10は回転半楕円体にできるだけ近い形状を有する。この外形が、突出した稜を有する他の形状に比較して、入物の内圧による応力をもっとよく分散させることができる。
【0026】
この同じ実施態様において、入物は同じく基部9と頂部10を結ぶ側面本体11によって構成されている。この本体11は、例えば、円筒に近い形状を有する。これによって入物2の内容積を大きくすることができる。このように後者は内容量と圧力の応力に対する強さとを両立させる形状を有する。少なくとも1つの孔を備えている。
【0027】
図示されていない本発明の実施態様の1つによれば、入物3は金属製の箍(タガ)その他による補強も可能である。後者は圧力に対する強度の向上を確実にすることができる。
【0028】
図1によれば、外側被い4は、例えば、平行六面体の形状である。それは、特に、入物3を入れることができる。図2と図3によれば、例えば、底部12と、蓋13と、側面43によって構成される。
【0029】
流体取扱いの際に外側被い4が劣化するのを防止するために、蓋13は例えば、非透過性の外面19を有する。
【0030】
図示されていない別の実施態様によれば、外側被い4はさらに、用途に応じた取扱いおよび/または貯蔵の応力によって円筒形、多面体、その他の形状を取ることができる。
【0031】
図3はさらに固定接点42の特定の実施例をも示している。この実施態様によれば、この相対的位置決手段6は、一方の、底部12に配置された収納部20で、例えば、構成されている。これは入物3の基部9に備えられた心出突起21と協同する。
【0032】
収納部20と突起21は例えば円筒形である。突起21は、入物3の製作の際に、例えば、吹込み押出しによって構成される。
【0033】
相対的位置決手段6も、例えば、蓋13の中に配置された孔22を有する。これは入物3の頂部10に備えられた頸部23と協同する。
【0034】
図3に示された特定の実施態様によれば、相対的位置決手段6はさらに、例えば、蓋13の孔22と入物3の頸部23の間に挟まれたワッシャージョイント25を備えている。
【0035】
他方、入物3はさらに、例えば、充填および/または抽出管24を備えている。この管24は当業者には周知で、各図に図示されていない気密に管を閉塞する手段を備えている。ワッシャージョイント25は管24の一方の端に加工されたネジ27と協同するタップ付きの孔26を備えている。
【0036】
図7において、入物3の孔の特定の実施態様を見ることができる。パッキン箱を形成する、回転部品50は内部にタップ49を、上部にタップ付き孔26を備えている。このように、回転部品50はタップ部49で入物3を、そのネジ27によって管24と一体化するのに適している。この結合は上部弾性パッキン47と下部弾性パッキン48によって気密になる。
【0037】
図2と4によれば、外側被い4はもっと正確には、例えば、「アメリカンハーフケース」という名前で周知のケース28によって構成される。このケース28は側面43を構成する平らな表面14、15、16、17の延長部を構成する折返し29、30、31、32を有する。これらの折返し29、30、31、32は結合可能な縁33、34、35、36を備えている。このようにして外側被い4の角を強化する。
【0038】
後者はさらに、例えば、収納部20が配置された底部12の補強板37も備えている。この実施態様において、平らな面14、15、16、17のいくつかは空間5を完全に充填する材料8を挿入する少なくとも1つの孔18を備えている。
【0039】
蓋13は折返し38によってこれらの平らな表面14、15、16、17と一体である。
【0040】
別の実施態様において、「アメリカンケース」という名前で周知のタイプのケース28に出会うことができる。収納部20と孔22は対応するケース28の折返しの中に直接実現することができる。
【0041】
取扱いを容易にするために、外側被い4はさらに、例えば、取手39を備えている。図示した特定の実施態様によれば、それらは空間5を完全に充填する材料8の中に配置された陥没によって延長された楕円形の孔18によって構成される。
【0042】
サンドイッチ構造体7の材料はその物性によって選択される。
【0043】
入物3は、例えば、形成を容易にし、液体または気体に対する非透過性を保証するのに特に適した熱可塑性材料から実現される。これに当るのはポリエチレンまたはポリプロピレンであるが、別の実施態様においては、金属、ガラス、その他である。
【0044】
外側被い4は例えば、ボール紙、木製、または例えば、熱可塑性および/または熱硬化性材料などを母材にした軽量積層板の型40から実現される。ボール紙の場合は、化粧板および/または波板とすることができる。
【0045】
空間5を完全に充填する材料8は機械的強度特性によって選択された、膨張しているか否かを問わず、熱硬化性および/または熱可塑性フォームで構成されている。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、その他とすることができる。
【0046】
図5と図6に示した別の実施態様において、空間5を完全に充填する材料8の層は、例えば、熱可塑性材料から成るいわゆる蜂の巣構造44の形を取る。この蜂の巣構造44は、例えば、入物3と外側被い4に対してほぼ垂直な長手方向軸46の気泡45を有する。
【0047】
第1の変型実施態様によれば、この蜂の巣構造44は、例えば、一方では入物3の外壁に、他方では外側被い4の内壁に接着された不織布でそれぞれの側面が覆われた気泡を有する。
【0048】
別の変型実施態様によれば、蜂の巣構造44は入物3の回転成型によって得られたリブの形を取る。
【0049】
別の変型実施態様によれば、この蜂の巣構造44は入物3の上に重ねて、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を成型して得られた気泡を含む。
【0050】
その上で、図3に示した本発明の特定の実施態様において、さらに、気泡構造フォームを母材とする熱可塑性材料製緩衝層41が認められる。これは蓋13と空間5を充填する材料8の層との間に置かれている。
【0051】
本発明の特定の実施態様によれば、容器に使用される材料全体がコストの面からこの容器を使い捨て製品とすることができる。
【0052】
本発明はさらに容器の内部から外に向って圧力がかかる液体および/または気体などをはじめとする、内圧をかけた流体のための前記容器の製造のために特に考案された方法も目的とする。
【0053】
本発明によれば、入物3を形成する。例えば、押出し吹込み法で行うことができる。
【0054】
特に、図4に示したようなボール紙の型40を折曲げて、前記入物3を収納するのに適した、外側被い4を形成する。この図に示された点線は、対応する特定の実施態様において、折曲げ線を形成する。
【0055】
このようにして、折返し29、30、31、32の重なりから底部12が得られる。収納部20を備えた補強板37を重ねる。
【0056】
相対的位置決手段6によって外側被い4の中に入物3を心出しする。この相対的位置決手段6は例えば、収納部20に嵌合する、例えば、突起21を備えている。さらに心出しは入物3の頸部23と協同する蓋13内に実現した孔22によって外側被い4の蓋13を形成する板を位置づけることによって完全になる。
【0057】
この入物3と外側被い4はこのようにして両者の間に空間5を形成する。
【0058】
ここで外側被い4を成型機内に置き、必要な場合は、入物3に逆圧をかけるのに適した流体を充填することができる。この流体は、例えば、水とすることができる。
【0059】
紹介した特定の実施態様において、成型機は取手39の形成に関与する突出部を含む。
【0060】
次いで、孔18から空間5を完全に充填するために材料8を挿入する。孔18は、例えば、成型機を完全に閉じる前に自由に出入りできる少なくとも1つの取手39によって構成される。
【0061】
場合によって、例えば、熱可塑性フォームなどの材料8を膨張させ、この膨張を緩衝層41によって制御することもできる。後者はこのようにして充填の遊びを実現し、膨張の際に入物3と外側被い4の損傷を防止することができる。
【0062】
外側被い4は、さらに、例えば、適切な温度によって制御することができる。
【0063】
もちろん、当業者は他の形で本発明を実施することができるが、それをもって本出願の範囲を逸脱することはできない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による容器の実施態様の1つの斜視図である。
【図2】図1の容器の上面図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿った断面図である。
【図4】図1に示した容器の外側被いの基部と側面を構成するのに適したボール紙の型を示している。
【図5】入物と外側被いの間の空間を完全に充填する材料の層の変型実施態様の側面の部分図を示している。
【図6】図5の線VI−VIに沿った正面部分断面図である。
【図7】本発明による容器の孔の実施態様の線III−IIIに沿った部分断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 運搬容器
3 入物
4 外側被い
5 空間
6 相対的位置決手段
7 サンドイッチ構造体
8 材料
9 基部
10 頂部
11 側面本体
12 底部
13 蓋
14 表面
15 表面
16 表面
17 表面
18 孔
19 外面
20 収納部
21 心出突起
22 孔
23 頸部
24 抽出管
25 ワッシャージョイント
26 タップ付き孔
27 ネジ
28 ケース
29 折返し
30 折返し
31 折返し
32 折返し
33 縁
34 縁
35 縁
36 縁
37 補強板
38 折返し
39 取手
40 型
41 熱可塑性材料製緩衝層
42 固定接点
43 側面
44 蜂の巣構造
45 気泡
46 長手方向軸
47 上部弾性パッキン
48 下部弾性パッキン
49 タップ部
50 回転部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内部から外に向って圧力がかかる運搬容器において、
前記容器が、入物と、前記入物と空間を形成する外側被いと、前記入物と前記外側被いの相対的位置決手段と、前記空間を完全に充填する材料とから成り、
前記入物と、前記材料と、前記外側被いの間に応力を分散することによって内圧に耐えることに適しているサンドイッチ構造体を有し、
前記サンドイッチ構造体が、
・心出突起を備えた基部と、頂部と、孔を備えた側面本体とによって構成された入物、
・前記入物を収納するのに適した、底部と、側面と、蓋とで構成された外側被い、
・材料の層、
・固定接点を有する、前記入物と前記外側被いの相対的位置決手段によって構成され、
前記外側被いの底部に、収納部が配置された補強板を備え、
収納部は心出突起と協同することを特徴とする運搬容器。
【請求項2】
請求項1に記載の運搬容器において、
固定接点が、
一方の、入物の基部に備えられた心出突起と協同する底部に配置された収納部と、
他方の、入物の頸部と協同する蓋の中に配置された孔で構成されることを特徴とする運搬容器。
【請求項3】
請求項2に記載の運搬容器において、
外側被いが、ケースによって構成され、
該ケースが、
・空間を完全に充填する材料を挿入する孔を側面に形成し、
・蓋を平坦な表面に一体にするのに適した折返しを備え、
・側面を構成する平坦な表面の延長部を構成する折返しを有し、
・これらの折返しは、結合可能な縁を備えることで外側被いの角を強化するのに適したものであることを特徴とする運搬容器。
【請求項4】
請求項1に記載の運搬容器において、
蓋と空間を充填する材料の層が、気泡のあるフォームを母材とする材料の緩衝層によって分離されることを特徴とする運搬容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−315608(P2007−315608A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206243(P2007−206243)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願平7−529411の分割
【原出願日】平成7年5月10日(1995.5.10)
【出願人】(505123723)
【Fターム(参考)】