説明

内容物貯留槽

【課題】 ホッパ内の内容物がブリッジを形成することなく、スムーズに移送ピットに落下することができる内容物貯留槽10を提供する。
【解決手段】 内容物貯留槽10は、紙粉Wを収納するホッパ11と、ホッパ11の下端に接続された搬送ピット13と、搬送ピット13内に配置された移送コンベア15とを備えている。ホッパ11内であって移送ピット13上にはブリッジ防止板20が設けられている。ブリッジ防止板20は水平方向に往復動して、紙粉Wによるホッパ11内におけるブリッジ形成を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本工程等から発生する紙粉等の内容物を一時的に貯留し外方へ排出する内容物貯留槽に係り、とりわけ内部で内容物のブリッジを生じさせることなくスムーズに外方へ排出することができる内容物貯留槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より製本工程等から発生する紙扮等の内容物を一時的に貯留し、外方へ排出する内容物貯留槽として、ホッパと、ホッパの下端に接続された移送ピットと、移送ピット内に配置された移送コンベアとを有するものが知られている。
【0003】
このような内容物貯留槽において、ホッパ内に上部から内容物が投入される。ホッパ内の内容物は、その後ホッパの下端に接続された移送ピット内まで導かれ、次に移送ピット内の内容物は移送コンベアによって移送ピット内で移送された後、外方へ排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホッパ内へ投入される紙粉等の内容物は、上述のように移送ピット側へ落下しながら導かれるが、この場合ホッパ内の内容物が移送ピット上で固り(ブリッジ)を形成し、内容物がスムーズに移送ピット側へ落下しないことがある。このようにホッパ内で内容物がブリッジを形成すると、移送ピット内の移送コンベアによって内容物がスムーズに外方へ排出されなくなってしまう。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ホッパ内において内容物がブリッジを形成することを防止し、ホッパ内の内容物をスムーズに移送ピット内に導いた後、外方へ排出することができる内容物貯留槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を収納するホッパと、ホッパ下端に接続され、水平方向に延びて設けられた排出部と、ホッパ内であって、排出部上にこの排出部と平行して配置されたブリッジ防止板とを備え、ブリッジ防止板は垂直方向に配置されるとともに排出部と平行する方向に往復動することを特徴とする内容物貯留槽である。
【0007】
本発明は、排出部は水平方向に延びる移送ピットからなり、移送ピット内に内容物を移送ピットに沿って移送する移送コンベアが設けられていることを特徴とする内容物貯留槽である。
【0008】
本発明は、ブリッジ防止板は排出部と平行する垂直方向に往復動することを特徴とする内容物貯留槽である。
【0009】
本発明は、ブリッジ防止板は排出部と平行する水平方向に往復動することを特徴とする内容物貯留槽である。
【0010】
本発明は、ブリッジ防止板は板本体と、板本体から移送コンベアの移送方向と逆方向に突出する複数の突出フィンとを有することを特徴とする内容物貯留槽である。
【0011】
本発明は、ブリッジ防止板は板本体の下部に取付けられた複数の掻出し棒を有することを特徴とする内容物貯留槽である。
【0012】
本発明は、移送コンベアは、シャフトレススクリュコンベアからなることを特徴とする内容物貯留槽である。
【0013】
本発明は、ブリッジ防止板の板本体は、ホッパを貫通して外方へ突出し、ホッパ外方に、板本体に連結されブリッジ防止板を移動させる駆動装置が設けられていることを特徴とする内容物貯留槽である。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、ホッパ内にブリッジ防止板を設けるとともに、このブリッジ防止板を水平方向に往復動させることにより、移送ピット上方で内容物のブリッジ形成を確実に防止することができる。このためホッパ内の内容物をスムーズに移送ピット内に導いて、移送コンベアによって移送して外方へ排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1乃至図8は本発明による内容物貯留槽の一実施の形態を示す図である。
【0017】
図1乃至図8に示すように、内容物貯留槽10は製本工程等から発生する紙粉(内容物)Wを一時的に貯留し、外方へ排出するものである。この場合、製本工程等から発生する紙粉Wは、圧縮されてブロック状に固められ、ブロック状の紙粉Wはこの内容物貯留槽10内で細かく分割された後、外方へ排出されるようになっている。
【0018】
また、内容物貯留槽10には、内容物貯留槽10から細かく分解されて排出された紙粉Wを受け入れて計量する計量槽17が接続されている。さらに計量槽17には、紙粉Wを水に溶かす溶解槽18が接続され、溶解槽18内で水に溶解された紙粉Wは、その後汚泥槽19内の汚泥中に投入される。
【0019】
紙粉Wが混入された汚泥槽19内の汚泥は、その後、図示しない脱水機により脱水されるが、汚泥は紙粉Wを含むことによりその後の脱水効率が向上する。
【0020】
次に内容物貯留槽10について詳述する。図1に示すように、内容物貯留槽10は内部に投入されたブロック状の紙粉Wを収納するホッパ11(図6参照)と、ホッパ11の下端部に接続され水平方向に延びて設けられた移送ピット13と、この移送ピット13内に配置されブロック状の紙粉Wを移送ピット13に沿って移送する一対の移送コンベア15とを備えている。
【0021】
このうち移送ピット13は、ホッパ11内のブロック状の紙粉Wが排出される排出部として機能する。またブロック状紙粉Wは、1辺が数cm〜数十cmのブロック状をなし、紙粉を圧縮することにより得られる。
【0022】
またホッパ11は側板11aと、底板11bと、上板11cとを有している。上板11cには開口11dが形成され、この開口11dには蓋体12が開閉自在に設けられている。
【0023】
また底板11bは、水平方向に対して角度θ(例えば35°)だけ傾斜しており、また底板11b内面にはブロック状紙粉Wを円滑に滑らせるため合成樹脂シートが張られている。
【0024】
また、移送ピット13はホッパ11の下端に連通し、この移送ピット13内には上述のように紙粉Wを移送ピット13に沿って移送する一対の移送コンベア15,15が設けられている。この移送コンベア15,15はシャフトレススクリューコンベアからなっている。
【0025】
またホッパ11内であって、移送ピット13上に、この移送ピット13と平行してブリッジ防止板20が設けられている。このブリッジ防止板20は垂直方向に配置され、移送ピット13と平行する方向に沿って往復動し、ホッパ11内に貯留された紙粉Wがブリッジを形成することを防止するようになっている。
【0026】
また、ホッパ11内であってブリッジ防止板20の上方には、開口11dから投入されたブロック状紙粉Wをホッパ11内で2方向に導いて落下させる案内板11eが設けられている。
【0027】
次にブリッジ防止板20について、以下詳述する。図2に示すように、ブリッジ防止板20はホッパ11内において、移送ピット13と平行して配置され、ブリッジ防止板20の両端部はホッパ11の側板11aを貫通して外方へ突出している。
【0028】
このようなブリッジ防止板20は、ホッパ11内で水平方向に延びるとともに上下に配置された一対の四角柱からなる角材23,23と、この角材23,23に固着されるとともに角材23,23間に延びる板本体21とを有している。このうち角材23,23は鋼製角材からなり、板本体21は鋼板からなっている。
【0029】
また板本体21の両側面には、多数のフィン22が固着されている。これらのフィン22は板本体21の両側面に垂直方向に延びて固着され、あるいは板本体21の両側面に垂直方向に対して45°傾斜するように延びて固着されている。図2に示す右端のフィン22aおよび中間に位置する軸受装置30の左側のフィン22bを除くすべてのフィン22は、板本体21の両側面に、移送コンベア15の移送方向(矢印L方向)と反対の方向に向って突出し、フィン22a,22bは移送コンベアの移送方向に突出している。
【0030】
このようにブリッジ防止板20のフィン22が移送コンベア15の移送方向と反対の方向に向って突出しているため、ブリッジ防止板20を水平方向に往復動させた場合、フィン22と板本体21との間で紙粉Wを移送コンベア15の上流側へ向って押し出すことができ、これによって紙粉Wによるブリッジの形成を防止することができる。
【0031】
またブリッジ防止板20は、板本体21の下端側の角材23に設けられた複数の掻出し棒25を有している。各掻出し棒25は、L形鋼からなり、板本体21の下端側の角材23に固着されている。各掻出し棒25はホッパ11内の紙粉Wを移送コンベア15の上流側へ向って押し出すとともに、紙粉Wを掻き回して紙粉Wによるブリッジの形成を防止している。
【0032】
なお、掻出し棒25の下端はホッパ11と移送ピット13との境界にあり、ホッパ11内の紙粉Wは掻出し棒25間のスペースを通って移送ピット13側へ落下するようになっている。
【0033】
ブリッジ防止板20は、上述のように角材23,23と板本体21の両端部がホッパ11の側板11aを貫通して外方へ突出しており、角材23,23を支持する軸受装置30がホッパ11内に一箇所、側板11aの外面に2箇所、合計3個設けられている。
【0034】
各軸受装置30は、ブリッジ防止板20の角材23,23を摺動自在に支持するブッシュ31,31と、ブッシュ31,31を支持するとともにホッパ11に固着されたブラケット32とを有している。このように軸受装置30のブッシュ31,31により、ブリッジ防止板20の角材23,23を摺動自在に支持することができる。
【0035】
また図8に示すように、ホッパ11の側板11aのうち、ブリッジ防止板20が突出する部分には、ブリッジ防止板20の端部に連結された駆動シリンダ40が設けられ、この駆動シリンダ40はホッパ11の側板11aに固着された支持フレーム41により支持されている。
【0036】
なお、ブリッジ防止板20のうち、板本体21と一対の角材23,23のみがホッパ11の側板11aの外方へ突出しており、ブリッジ防止板20のフィン22はブリッジ防止板20の往復動の間、常時ホッパ11内にある。
【0037】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まずホッパ11の蓋体12が移動して上板11cの開口11dを開く。次にレール44上を走行する投入装置45(図6)から上板11cの開口11dを介してブロック状紙粉(内容物)Wがホッパ11内に投入される。ホッパ11内に投入された紙粉Wは案内板11eによってホッパ11内で2方向に案内されて落下する。
【0038】
更に紙粉Wは底板11bの合成樹脂板上を滑り、ホッパ11の底板11b下方から移送ピット13へ導かれる。この場合、移送ピット13上には、ブリッジ防止板20が設けられているので、ホッパ11内においてとりわけ移送ピット13上方に紙粉Wのブリッジが形成することはない。
【0039】
すなわち、図1においてホッパ11は移送ピット13を中心として左右対象形状となっている。この場合、ブリッジ防止板20が設けられていないと、ホッパ11の左右方向から移送ピット13に向う紙粉W同士が互いに力を及ぼして力のつり合いが生じ、移送ピット13上方で紙粉W同士が支え合う形でブリッジを形成することも考えられる。しかしながら、本発明によれば、移送ピット13上方にブリッジ防止板20が設けられているため、ホッパ11の左右方向から移送ピット13に向う紙粉Wはブリッジ防止板20に当接しそのまま下方へ落下するため、移送ピット13上方において紙粉Wのブリッジが形成されることはない。
【0040】
ホッパ11の下端部から移送ピット13に導かれた紙粉Wは、その後一対の移送コンベア15によって破砕されながら移送ピット13に沿って搬送され、移送ピット13から外方へ排出される。
【0041】
この間、ブリッジ防止板20は、駆動シリンダ40によって水平方向に往復動している。このブリッジ防止板20の往復動によって、フィン20が紙粉Wを移送コンベア15の上流側へ押し出し、かつ掻出し棒25が紙粉Wを搬送コンベア15の上流側へ押し出す。
【0042】
このようなブリッジ防止板20の往復動により、ホッパ11内における紙粉Wによるブリッジの形成をより確実に防止することができる。
【0043】
移送ピット13内で移送コンベア15によって破砕され、搬送されて外方へ排出された紙粉Wは、その後計量槽17において計量され、所定量ずつ溶解槽18へ送られて水に溶解される。溶解槽18内で溶解された紙粉Wは、その後汚泥槽19内の汚泥中に投入される。紙粉Wが投入された汚泥は、その後脱水機により脱水され、混入した紙粉Wのために脱水効率が向上する。
【0044】
このように本実施の形態によれば、ブリッジ防止板20をホッパ11内で往復動させることにより、ホッパ11内に投入された紙粉Wがホッパ11内でブリッジを形成することを確実に防止することができる。このため、ホッパ11内の紙粉Wを移送ピット13側へ導いて、迅速かつ確実に移送コンベア15によって外方へ排出することができる。
【0045】
なお、上記実施の形態において、ホッパ11の下端に水平方向に延びる移送ピット13を設けた例を示したが、ホッパ11の下端に開閉バルブを有する排出部を設けてもよい。
【0046】
また、ブリッジ防止板20を移送ピット13に平行する水平方向に往復動させた例を示したが、これに限らず移送ピット13に平行する垂直方向に往復動させてもよく、また旋回運動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による内容物貯留槽の一実施の形態を示す概略図。
【図2】ホッパ内に配置されたブリッジ防止板を示す側面図。
【図3】ホッパ内に配置されたブリッジ防止板を示す平面図。
【図4】ホッパ内に配置されたブリッジ防止板を示す正面図。
【図5】ブリッジ防止板の掻出し棒を示す底面図。
【図6】ホッパの外観図。
【図7】ブリッジ防止板の軸受装置を示す図。
【図8】ブリッジ防止板の駆動シリンダを示す図。
【符号の説明】
【0048】
10 内容物貯留槽
11 ホッパ
11a 側板
11b 底板
11c 上板
11d 開口
12 蓋体
13 搬送ピット
15 搬送コンベア
20 ブリッジ防止板
21 板本体
22 フィン
23 角材
25 掻出し棒
30 軸受装置
31 ブッシュ
40 駆動シリンダ
W 紙粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納するホッパと、
ホッパ下端に接続され、水平方向に延びて設けられた排出部と、
ホッパ内であって、排出部上にこの排出部と平行して配置されたブリッジ防止板とを備え、
ブリッジ防止板は垂直方向に配置されるとともに排出部と平行する方向に移動することを特徴とする内容物貯留槽。
【請求項2】
排出部は水平方向に延びる移送ピットからなり、移送ピット内に内容物を移送ピットに沿って移送する移送コンベアが設けられていることを特徴とする請求項1記載の内容物貯留槽。
【請求項3】
ブリッジ防止板は排出部と平行する垂直方向に往復動することを特徴とする請求項1記載の内容物貯留槽。
【請求項4】
ブリッジ防止板は排出部と平行する水平方向に往復動することを特徴とする請求項1記載の内容物貯留槽。
【請求項5】
ブリッジ防止板は板本体と、板本体から移送コンベアの移送方向と逆方向に突出する複数の突出フィンとを有することを特徴とする請求項2記載の内容物貯留槽。
【請求項6】
ブリッジ防止板は板本体の下部に取付けられた複数の掻出し棒を有することを特徴とする請求項5記載の内容物貯留槽。
【請求項7】
移送コンベアは、シャフトレススクリュコンベアからなることを特徴とする請求項2記載の内容物貯留槽。
【請求項8】
ブリッジ防止板の板本体は、ホッパを貫通して外方へ突出し、
ホッパ外方に、板本体に連結されブリッジ防止板を移動させる駆動装置が設けられていることを特徴とする請求項5記載の内容物貯留槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−256684(P2006−256684A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80082(P2005−80082)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【出願人】(597080517)三立工事株式会社 (3)
【Fターム(参考)】