説明

内燃機関の排気浄化装置

【課題】内燃機関の排気浄化装置において、パティキュレートフィルタの再生をより適正な時期に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】少なくともバイオ燃料を含む複数の燃料を混合して用いることが可能な内燃機関の排気浄化装置において、バイオ燃料の濃度を検出する燃料濃度検出手段7と、パティキュレートフィルタ9と、少なくとも内燃機関1の運転状態に基づいてパティキュレートフィルタ9に捕集されている粒子状物質の量を推定する捕集量推定手段12と、パティキュレートフィルタ9に捕集されている粒子状物質の量が規定量以上のときにパティキュレートフィルタ9の再生を行なうフィルタ再生手段12と、捕集量推定手段12により推定される粒子状物質の量をバイオ燃料の濃度に応じて補正する捕集量補正手段12と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」という。)に捕集されている粒子状物質を、該パティキュレートフィルタの温度を上昇させることにより酸化させてフィルタの再生を行なうことができる。例えばフィルタに捕集されているPM量が規定値以上となったときにフィルタの再生が行なわれる。
【0003】
ここで、燃焼室に水素ガスを供給することにより粒子状物質(以下、「PM」という。)の排出量を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−323823号公報
【特許文献2】特開2006−177311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、菜種またはパーム等を原料とするバイオ燃料を使用可能な内燃機関が知られている。このバイオ燃料は他の燃料(例えば軽油)に混合して使用することもできる。
【0005】
ここで、バイオ燃料は酸素を含んだ燃料なので、その濃度が高いほど燃焼が促進されるためSOOTの排出量が少なくなる。これにより、パティキュレートフィルタに捕集される粒子状物質の量が少なくなる。また、バイオ燃料は軽油等と比較して高沸点成分の割合が高いため、バイオ燃料の濃度が高くなるほど燃料が蒸発し難くなりSOFの排出量が多くなる。つまり、バイオ燃料の濃度が高くなるほど、パティキュレートフィルタにおける粒子状物質の堆積量が少なくなり、その堆積している粒子状物質中のSOFの割合が高くなる。
【0006】
そして、SOFは主に未燃燃料であるため、主に煤であるSOOTと比較して、酸化する温度が低い。そのため、内燃機関の運転状態によってはフィルタの再生制御を行わなくてもPMが酸化されるので、フィルタに捕集されているPMの量が減少する。つまり、バイオ燃料の濃度が高いときに内燃機関の運転状態に基づいて、フィルタに捕集されているPMの量を推定すると、誤った推定がなされる虞がある。これにより、必要以上にフィルタの再生制御が行なわれると、燃費が悪化したりフィルタの熱劣化を進行させたりする。
【0007】
ここで、バイオ燃料の濃度毎にマップを持たせたり、推定ロジックを変えたりしてPMの捕集量を推定することも考えられるが、ECUに大容量のメモリを搭載する必要があるため困難である。また、開発過程においても実験等を多く行なわなくてはならなくなり開発費用が膨大になる。
【0008】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の排気浄化装置において、パティキュレートフィルタの再生をより適正な時期に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために本発明による内燃機関の排気浄化装置は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明による内燃機関の排気浄化装置は、
少なくともバイオ燃料を含む複数の燃料を混合して用いることが可能な内燃機関の排気
浄化装置において、
前記バイオ燃料の濃度を検出する燃料濃度検出手段と、
前記内燃機関の排気通路に設けられ排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタと、
少なくとも前記内燃機関の運転状態に基づいて前記パティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量を推定する捕集量推定手段と、
前記パティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量が規定量以上のときに前記パティキュレートフィルタの再生を行なうフィルタ再生手段と、
前記捕集量推定手段により推定される粒子状物質の量を前記燃料濃度検出手段により検出されるバイオ燃料の濃度に応じて補正する捕集量補正手段と、
を具備することを特徴とする。
【0010】
前記内燃機関は、バイオ燃料のみであっても、また他の燃料(例えば軽油)のみであっても使用することができる。またバイオ燃料は、酸素を含み且つ所定の高沸点成分の割合が所定値以上の燃料としてもよい。
【0011】
捕集量推定手段は、例えば燃料供給量や機関回転数等に基づいて内燃機関からの粒子状物質の排出量を推定し、これを積算することによりパティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量を推定する。なお燃料供給量は、燃料供給量と関連する値であってもよく、例えば内燃機関の負荷、またはスロットル開度、機関発生トルク、としてもよい。つまり、捕集量推定手段は、少なくとも燃料供給量と関連する値に基づいて、パティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量を推定してもよい。
【0012】
フィルタ再生手段は、粒子状物質の量が規定量以上のときにパティキュレートフィルタの再生を行なうが、この粒子状物質の量は、捕集量推定手段以外により得られる値も用いることができる。つまり、捕集量推定手段の他に、内燃機関の運転状態を用いずにパティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物資の量を推定する手段を備えていてもよい。また前記規定量は、パティキュレートフィルタが粒子状物質を捕集する能力の低下または内燃機関の機能低下等を考慮して決定することができる。
【0013】
ここで、内燃機関の運転状態に基づいて粒子状物質の捕集量を推定する場合には、燃料中のバイオ燃料の濃度に応じて粒子状物質の排出量や酸化量が変化する。しかし、捕集量推定手段は内燃機関の運転状態に基づいてパティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量の推定を行なうため、バイオ燃料の濃度が変化したとしても、捕集量推定手段による推定値は変化しない。
【0014】
そのため、パティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量の推定値と実際の値とに差を生じるので、この差が小さくなるように捕集量補正手段は補正を行う。ここで、パティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量はバイオ燃料の濃度と相関関係にあるため、バイオ燃料の濃度に基づいて該粒子状物質の量を補正することができる。これにより、パティキュレートフィルタの再生が必要以上に行なわれることを抑制できる。
【0015】
なお、粒子状物質の捕集量を補正するのに代えて、規定量を補正してもよい。
【0016】
本発明においては、前記捕集量補正手段は、バイオ燃料の濃度が高いほど、粒子状物質の量がより少なくなるように補正することができる。
【0017】
バイオ燃料の濃度が高くなるほどSOFの割合が高くなるため、粒子状物質がより低温で酸化される。また、バイオ燃料の濃度が高くなるほど酸素を含んだ燃料の割合が高くな
るため粒子状物質の排出量が減少する。つまり、バイオ燃料の濃度が高くなるほど、パティキュレートフィルタにおける粒子状物質の堆積量が少なくなる。この関係にしたがって補正を行うことにより、パティキュレートフィルーに捕集されている粒子状物質の推定値と実際の値との差を小さくすることができる。
【0018】
なお、バイオ燃料の濃度が高いほど、規定量がより多くなるように補正してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パティキュレートフィルタの再生をより適正な時期に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本実施例に係る内燃機関の排気浄化装置を適用する内燃機関1、およびその排気系の概略構成を示す図である。内燃機関1は、ディーゼル機関であり、軽油およびバイオ燃料を混合した混合燃料を用いることができる。混合燃料中のバイオ燃料の濃度は、0から100%まで如何なる値であっても構わない。
【0022】
また、内燃機関1には、気筒2内に燃料を噴射する燃料噴射弁3が取り付けられている。燃料噴射弁3は、燃料を貯留するための燃料タンク4と燃料パイプ5を介して接続されている。燃料パイプ5の途中には、燃料の圧力を上昇させる燃料ポンプ6が設けられている。
【0023】
そして燃料タンク4には、該燃料タンク4内に貯留されている燃料中のバイオ燃料の濃度を検出するバイオ燃料濃度センサ7が取り付けられている。なお、本実施例ではバイオ燃料濃度センサ7が、本発明における燃料濃度検出手段に相当する。
【0024】
一方、内燃機関1には、気筒2へ通じる排気通路8が接続されている。排気通路8の途中には、吸蔵還元型NOx触媒(以下、NOx触媒という。)を担持したパティキュレートフィルタ9(以下、フィルタ9という。)が備えられている。NOx触媒は、流入する排
気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の酸素濃度が低下し且
つ還元剤が存在するときは吸蔵していたNOxを還元する機能を有する。また、フィルタ
9は、排気中に含まれるPMを捕集する。
【0025】
さらに、本実施例では、フィルタ9よりも上流の排気通路8を流通する排気中に還元剤たる燃料を添加する燃料添加弁10を備えている。この燃料添加弁10は、前記燃料ポンプ6に接続されている。そして、燃料添加弁10は、後述するECU12からの信号により開弁して燃料を噴射する。この燃料はNOx触媒にて反応し、フィルタ9の温度を上昇
させる。
【0026】
そして、フィルタ9の温度をPMの酸化に必要となる温度まで上昇させることにより該フィルタ9に捕集されているPMが酸化される。つまり、フィルタ9の再生を行なうことができる。このようにフィルタ9の温度を上昇させるときには、該フィルタ9の温度が目標温度となるように、燃料添加弁10から噴射する燃料量が決定される。なお、本実施例ではフィルタ9の再生を行なうECU12が、本発明におけるフィルタ再生手段に相当する。このフィルタ9の再生は、ヒータ等を用いてフィルタ9の温度を上昇させて行なってもよい。
【0027】
また、フィルタ9よりも下流の排気通路8には、該排気通路8を流通する排気の空燃比を測定する空燃比センサ11が取り付けられている。さらに、排気通路8には、フィルタ9の上流側と下流側との圧力の差を検出する差圧センサ13が取り付けられている。
【0028】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU12が併設されている。このECU12は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御する。
【0029】
ECU12には上記センサの出力信号が入力されるようになっている。また、ECU12には、燃料噴射弁3及び燃料添加弁10が電気配線を介して接続され、これらはECU12により制御される。
【0030】
ECU12は、内燃機関1の回転数及び燃料供給量に基づいて該内燃機関1から排出されるPM量を推定し、この排出されるPM量を積算することによりフィルタ9に捕集されているPM量を推定している。なお、燃料供給量は、内燃機関1の負荷またはトルクに代えてもよい。このようにしてPM量を推定することを以下、「運転状態によるPM量の推定」という。なお、本実施例においては運転状態によるPM量の推定を行なうECU12が、本発明における捕集量推定手段に相当する。
【0031】
一方、ECU12は、差圧センサ13により得られる差圧に基づいて、フィルタ9に捕集されているPM量を推定している。このようにしてPM量を推定することを以下、「差圧によるPM量の推定」という。
【0032】
つまり、本実施例では2通りの手段によりPM量の推定を行なっている。そして、運転状態によるPM量の推定の結果得られた値が第1規定値以上となったとき、または差圧によるPM量の推定の結果得られた値が第2規定値以上となったときにフィルタ9の再生が行なわれる。なお、本実施例ではフィルタ9の再生を行なうECU12が、本発明におけるフィルタ再生手段に相当する。
【0033】
ここで、第1規定値は第2規定値よりも小さい値であり、通常は運転状態によるPM量の推定値のほうが早く第1規定値に達する。仮に運転状態によるPM量の推定に誤りがあったとしても、差圧によるPM量の推定によりフィルタ9の再生時期を判断することができる。このようにして、一方が仮に故障しても他方によりフィルタ9の再生時期を判断することができるため、フィルタ9の目詰まりによる内燃機関1の機能低下等を抑制することができる。
【0034】
ここで、図2は、バイオ燃料の濃度とPM及びSOFの排出量との関係を示した図である。実線はPMを示し、破線はSOFを示している。バイオ燃料を軽油に混合して使用する場合には、バイオ燃料の濃度が高いほど含酸素燃料の割合が高くなるため、内燃機関1からのPM排出量が減る。また、バイオ燃料の濃度が高いほど、高沸点成分の割合が高くなるため、PM中のSOFの割合が高くなる。そして、SOFはSOOTと比較して低い温度で酸化されるので、PM中のSOFの割合が高くなると、フィルタ9に捕集されているPM量が少なくなる。
【0035】
このようにバイオ燃料の濃度が高くなると、フィルタ9に捕集されているPM量が少なくなる。そのため、運転状態によるPM量の推定の結果得られる値が実際のPM量よりも多くなってしまう。これにより、フィルタ9の再生が必要でない時期に行なわれることになり、燃費が悪化したり熱劣化が進行したりする。
【0036】
そこで本実施例では、バイオ燃料の濃度に基づいて運転状態によるPM量の推定値を補正する。
【0037】
ここで、図3はバイオ燃料の濃度とPM量の補正値との関係を示した図である。この関係は予め実験等により求めることができる。この補正値を、運転状態によるPM量の推定値に乗じることによりPM量の補正が行われる。そして、バイオ燃料の濃度が高いほど、内燃機関1からのPM排出量が減り且つSOF成分の割合が高くなるため、PM量がより少なくなるように補正される。つまり、補正値は1以下の値であり、バイオ燃料の濃度が高くなるほど補正値は小さくなる。
【0038】
なお、本実施例では、補正値は1以下の値であるが、補正値が1を超える場合であっても同様に適用することができる。
【0039】
次に図4は、フィルタ9の再生フローを示したフローチャートである。本ルーチンはイグニッションスイッチがONとなったときに実行される。
【0040】
ステップS101では、バイオ燃料の濃度Lがバイオ燃料濃度センサ7により測定される。なお、給油されるバイオ燃料の種類は限定されているものとする。ここでは、空燃比センサ11により得られる空燃比からバイオ燃料の濃度Lを推定してもよい。また、燃料の濃度または温度を測定することによりバイオ燃料の濃度Lを推定してもよい。
【0041】
ステップS102では、PM量の補正係数Kが算出される。つまり、ステップS101で得られるバイオ燃料の濃度Lと図3とから補正値Kが算出される。
【0042】
ステップS103では、燃料に軽油のみを使用していたと仮定したときに、フィルタ9に捕集されているPM量Aが算出される。つまり、運転状態によるPM量の推定が行なわれる。これは、フィルタ9に捕集されているPM量の補正前の値である。前述のように、内燃機関1の回転数及び燃料供給量に基づいて該内燃機関1から排出されるPM量を推定し、この排出されるPM量を積算することによりフィルタ9に捕集されているPM量Aを推定する。
【0043】
ステップS104では、ステップS103で得られるPM量Aに、ステップS102で得られる補正値Kを乗じた値が、新たなPM量Aとされる。つまり、PM量Aが補正される。以後、本ステップで得られるPM量Aを用いてフィルタ9の再生時期が判定される。なお、本実施例ではステップS103およびステップS104を実行するECU12が、本発明における捕集量補正手段に相当する。
【0044】
ステップS105では、イグニッションスイッチがOFFとなっているか否か判定される。イグニッションスイッチがOFFとなった場合には、次にONとなるまでフィルタ9の再生を行なうことができないため、本ルーチンを終了させる。なお、イグニッションスイッチがOFFとなっても、PM量AはECU12に記憶されている。
【0045】
ステップS105で否定判定がなされた場合にはステップS106へ進み、一方肯定判定がなされた場合には本ルーチンを一旦終了させる。
【0046】
ステップS106では、ステップS104で得られるPM量Aが規定量B以上であるか否か判定される。規定量Bは、フィルタ9の再生を開始するか否か判定するために設定される値であり、フィルタ9がPMを捕集する能力の低下または内燃機関1の機能低下等を考慮して予め実験等により求めておく。
【0047】
ステップS106で肯定判定がなされた場合にはステップS107へ進み、一方否定判定がなされた場合にはステップS103へ戻る。
【0048】
ステップS107では、フィルタ9の再生が開始される。つまり、燃料添加弁10からの燃料添加によりフィルタ9の温度を上昇させてPMを酸化させることにより除去する。
【0049】
ステップS108では、フィルタ9の再生が完了したか否か判定される。例えばフィルタ9の再生を所定時間以上行なった場合にフィルタ9の再生が完了したと判定される。また、フィルタ9よりも上流側と下流側との排気の差圧が規定値以下となったときにフィルタ9の再生が完了したと判定してもよい。
【0050】
ステップS108で肯定判定がなされた場合にはステップS109へ進み、一方否定判定がなされた場合にはステップS108へ戻る。
【0051】
ステップS109では、PM量Aが0とされる。つまり、フィルタ9の再生の完了により、フィルタ9に堆積しているPM量が0とされる。なお、フィルタ9の再生が途中で中止された場合には、そのときにフィルタ9に捕集されているPM量が代入される。
【0052】
ステップS110では、イグニッションスイッチがOFFとなっているか否か判定される。ここでは、ステップS105と同様の判定がなされる。
【0053】
このようにしてバイオ燃料の濃度に応じてPM量の推定が行なわれ、この推定値に基づいてフィルタ9の再生が行なわれる。
【0054】
以上説明したように本実施例では、バイオ燃料の濃度が高いほどフィルタ9に捕集されているPM量を少なく推定することにより、必要以上にフィルタ9の再生が行なわれることを抑制できる。これにより、燃費の悪化を抑制したり、フィルタ9の熱劣化(白金等の貴金属のシンタリング等)の進行を抑制したりできる。
【0055】
また、PM量を推定するためのマップまたはロジックをバイオ燃料の濃度毎に変える必要が無いため、開発時の負担を軽減することができる。さらに、ECU12のメモリ容量も少なくて済む。
【0056】
なお、本実施例では簡易的にPM量を補正しているため、推定されるPM量と実際のPM量とに差が生じることも考えられるが、差圧によるPM量の推定を併せて行なうことにより、フィルタ9の再生時期を判断することができる。そして、本実施例に係るPM量の補正を行うことにより、フィルタ9の再生を行なう回数を減少させ得るので、燃費の悪化を抑制したり、フィルタ9の熱劣化の進行を抑制したりできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例に係る内燃機関の排気浄化装置を適用する内燃機関、およびその排気系の概略構成を示す図である。
【図2】バイオ燃料の濃度とPM及びSOFの排出量との関係を示した図である。
【図3】バイオ燃料の濃度とPM量の補正値との関係を示した図である。
【図4】フィルタの再生フローを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 内燃機関
2 気筒
3 燃料噴射弁
4 燃料タンク
5 燃料パイプ
6 燃料ポンプ
7 バイオ燃料濃度センサ
8 排気通路
9 パティキュレートフィルタ
10 燃料添加弁
11 空燃比センサ
12 ECU
13 差圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバイオ燃料を含む複数の燃料を混合して用いることが可能な内燃機関の排気浄化装置において、
前記バイオ燃料の濃度を検出する燃料濃度検出手段と、
前記内燃機関の排気通路に設けられ排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタと、
少なくとも前記内燃機関の運転状態に基づいて前記パティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量を推定する捕集量推定手段と、
前記パティキュレートフィルタに捕集されている粒子状物質の量が規定量以上のときに前記パティキュレートフィルタの再生を行なうフィルタ再生手段と、
前記捕集量推定手段により推定される粒子状物質の量を前記燃料濃度検出手段により検出されるバイオ燃料の濃度に応じて補正する捕集量補正手段と、
を具備することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記捕集量補正手段は、バイオ燃料の濃度が高いほど、粒子状物質の量がより少なくなるように補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−274892(P2008−274892A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121701(P2007−121701)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】