説明

内燃機関の補機駆動装置

【課題】補機駆動装置からクランクプーリに加わるベルト荷重の向きをシリンダ軸線と異ならせて打音の発生を抑制する。
【解決手段】クランクプーリ10を起点として張り側へ順に、コンプレッサプーリ11、オルタネータプーリ12、テンションプーリ14、ポンププーリ13の順にVベルト15を巻き掛け、コンプレッサプーリ11をクランクプーリ10の側方に配置し、ポンププーリ13をVベルト15の外側に配置する。ポンププーリ13の中心13xが、クランクプーリ10、コンプレッサプーリ11およびオルタネータプーリ12の各中心を結んだ三角形30の中に位置し、第1仮想点35が第1仮想線31と第2仮想線32との間に位置し、第2仮想点36が第3仮想線33と第4仮想線34との間に位置するように、各プーリ10〜14を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクプーリによって3つの補機を駆動する内燃機関の補機駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の気筒を備えた内燃機関においては、気筒列方向に沿うクランクシャフトの一端に伝動ベルトを用いた補機駆動装置が配置される。この補機駆動装置は、クランクシャフトの一端に固定されたクランクプーリと、各補機を駆動するための補機プーリとに伝動ベルトを巻き掛けて構成され、伝動ベルトを介して内燃機関の出力を補機プーリに伝達し、各補機を駆動する。
【0003】
近年では、エンジンのコンパクト化を図るために1本の伝動ベルトで複数の補機を駆動する形態が多く採用されている。この場合には、平ベルトと比較してより大きな伝達能力を有するVベルトが伝動ベルトに用いられることが多い。また、伝動ベルトが伸びや磨耗を起こした場合にも摩擦力を確保するために、伝動ベルトの張力を一定に維持するオートテンショナが一般的に用いられている。オートテンショナは通常、クランクプーリに対して伝動ベルトの緩み側に配置されたテンションプーリを、伝動ベルトに接する側に付勢することで伝動ベルトに張力を付与する。
【0004】
このような補機駆動装置では、補機を含めてできるだけコンパクトな配置とすることが望まれる。一方、伝動ベルトとの摩擦力を確保するためには、各補機プーリの径をある程度大きくするとともに、各補機プーリに対する伝動ベルトの巻き掛け角を確保する必要があり、補機および補機プーリのコンパクト配置と各補機プーリに対する伝動力確保との両立が求められる。
【0005】
例えば、特許文献1に開示された補機駆動装置では、後方に大きく傾斜した自動車用エンジンにおいて、内燃機関におけるシリンダ列方向の沿う一面(前面)側に複数の補機を集約して配置するとともに、伝動ベルトを、クランクプーリから張り側へ順に、クランクプーリの前方に位置するエアコン用のコンプレッサプーリ、アイドラプーリ、クランクプーリの上方に位置するオルタネータプーリ、オルタネータプーリの下方に位置するウォータポンププーリ、ウォータポンププーリおよびクランクプーリの前方に位置するテンショナプーリに巻き掛け、テンショナプーリのみを伝動ベルトの外面に転接させ、その他の補機プーリを伝動ベルトの内面に転接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第452008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記したような補機駆動装置では、各プーリに伝動ベルトの巻き掛け方向への荷重(以下、ベルト荷重と称する。)が加わる。ベルト荷重は、伝動ベルトの張り側の引張力と弛み側の引張力との合力であり、巻き掛け角が180度以下の範囲ではプーリに対する巻き掛け角が大きくなるほど大きくなる。そして、ベルト荷重はプーリの回転軸線に直交する向きに作用するため、特許文献1のようにクランクプーリに対するベルト荷重の向きがシリンダ軸線方向(ピストン摺動方向)に近い場合には、内燃機関の駆動中に打音が発生することがある。また、特許文献1の補機駆動装置では、コンプレッサプーリとオルタネータプーリとの距離が大きくなるため、両者の間にアイドラプーリを設ける必要が生じ、装置の大型化を招いている。
【0008】
本発明は、このような従来技術に含まれる課題を解消するべく案出されたものであり、クランクプーリに加わるベルト荷重の向きをシリンダ軸線方向と異ならせて打音の発生を抑制するとともに、伝動力を確保しつつ必要最小限の構成によってコンパクト化することができる補機駆動装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、クランクシャフト(7)の一端に設けられたクランクプーリ(10)と、前記クランクプーリに対してシリンダ軸線に略直交する方向に配置された第1補機(21)を駆動する第1補機プーリ(11)と、前記第1補機プーリよりもシリンダ軸線方向において上昇側に配置された第2補機(22)を駆動する第2補機プーリ(12)と、シリンダ軸線方向において前記第1補機プーリと前記第2補機プーリとの間に配置された第3補機(23)を駆動する第3補機プーリ(13)と、シリンダ軸線方向において前記第2補機プーリと前記第3補機プーリとの間に配置され、オートテンショナ(17)によって付勢されたテンションプーリ(14)と、前記クランクプーリから張り側へ順に、前記第1補機プーリ、前記第2補機プーリ、前記テンションプーリおよび前記第3補機プーリに巻きかけられ、前記クランクプーリ、前記第1補機プーリ、前記第2補機プーリおよび前記テンションプーリにその内面(15i)を当接させるとともに、前記第3補機プーリにその外面(15o)を当接させる無端状の伝動ベルト(15)とを備えた補機駆動装置(1)に係る。
【0010】
本発明に係る補機駆動装置は、前記第3補機プーリの中心(13x)が、前記クランクプーリ、前記第1補機プーリおよび前記第2補機プーリの各中心(10x、11x、12x)を結んだ三角形(30)の中に配置され、前記クランクプーリと前記第1補機プーリとの間の前記伝動ベルトにより画定される直線を第1仮想線(31)とし、前記クランクプーリの、前記第1仮想線と反対側の外周縁上の部位における前記第1仮想線と平行な接線を第2仮想線(32)とし、前記第3補機プーリの外周縁上の前記第1仮想線に最も近い点を第1仮想点(35)としたときに、前記第1仮想点が前記第1仮想線と前記第2仮想線との間に位置し、前記第1補機プーリと前記第2補機プーリとの間の前記伝動ベルトにより画定される直線を第3仮想線(33)とし、前記テンションプーリの、前記クランクプーリに近い側の外周縁上の部位における前記第3仮想線と平行な接線を第4仮想線(34)とし、前記第3補機プーリの外周縁上の前記第3仮想線に最も近い点を第2仮想点(36)としたときに、前記第2仮想点が前記第3仮想線と前記第4仮想線との間に位置する構成とする。
【0011】
このように構成したことにより、第1補機プーリがクランクプーリに対してシリンダ軸線に略直交する方向に配置され、第1仮想点が第1仮想線と前記第2仮想線との間に位置することにより、クランクプーリに対するベルト荷重の向きをシリンダ軸線に略直交させることができるため、内燃機関の駆動中に発生する打音を抑制することができる。また、クランクプーリに対する巻き掛け角度を大きくとって伝動力を確保することもできる。一方、第3補機プーリの中心が三角形の中に配置されることにより、第1補機プーリおよび第2補機プーリ間の伝動ベルトに干渉させることなく第3補機プーリの径を大きくすることができるため、第1補機プーリおよび第2補機プーリ間にベルトの軌道を変更するためのアイドラプーリを設ける必要がない。
【0012】
また、テンションプーリが、クランクプーリのベルト弛み側に連設されるのではなく、第2補機プーリのベルト入側且つ第3補機プーリのベルト出側に配置されることにより、第2補機と第3補機とのシリンダ軸線方向の間隔が確保され、第1補機プーリから第2補機プーリまでのシリンダ軸線方向の間隔を短縮することができる。したがって、装置を小型化できる。また、第2仮想点が第3仮想線と第4仮想線との間に位置することにより、第3補機プーリに対する巻き掛け角を確保することができる。加えて、テンションプーリに対する巻き掛け角も大きくできるため、所定の張力を付与するために必要なオートテンショナのストロークを小さくでき、オートテンショナを小型化できる。
【0013】
また、本発明の一側面によれば、前記伝動ベルトは外面が平坦面をなすVベルト(15)であり、前記第3補機がウォータポンプ(23)である構成とすることができる。この構成によれば、第1から第3補機を駆動するのに必要な摩擦力を幅の狭い1本の伝動ベルトで確保することができる。また、第3補機プーリにはVベルトの外面が巻き掛けられるが、第3補機プーリを比較的駆動力の小さなポンププーリとすることで、第3補機プーリと伝動ベルトとのスリップを抑制できる。
【0014】
また、本発明の一側面によれば、オートテンショナが、クランクシャフトの軸方向視において伝動ベルトの内側に配置された構成とすることができる。この構成によれば、装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、クランクプーリに加わるベルト荷重の向きをシリンダ軸線方向と異ならせて打音の発生を抑制するとともに、伝動力を確保しつつ必要最小限の構成によってコンパクト化が可能な補機駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る補機駆動装置の正面図
【図2】図1中のII−II断面図
【図3】図1に示す補機駆動装置の配置説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る補機駆動装置1の一実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように、補機駆動装置1は、車両用の内燃機関(以下、エンジンEと称する。)に付設される。エンジンEは、シリンダおよびクランクルームを画成するシリンダブロックとシリンダヘッドとからなるエンジン本体2、エンジン本体2の側面に締結されてタイミングチェーンを覆うチェーンカバー3、エンジン本体2の下端に締結されたオイルパン4、エンジン本体2の上端に締結されたシリンダヘッドカバー5などを備える4サイクル直列多気筒ガソリンエンジンであり、一点鎖線で示すシリンダ軸線6を車両後方に向けて若干傾斜させた状態で車両に搭載される。なお、図1では、紙面の上下方向を鉛直方向として、車両に搭載された状態のエンジンEを示している。以下、シリンダ軸線6方向のうち、下死点側から上死点側へ向かうピストン摺動方向を上昇方向Aとし、シリンダ軸線6方向のうちピストンの上死点側から下死点側へ向かうピストン摺動方向を下降方向Bとして説明する。
【0019】
エンジンEの下部には、シリンダ列方向に延在するクランクシャフト7が設けられており、チェーンカバー3から突出するクランクシャフト7の一端には、クランクプーリ10が設けられている。シリンダ列方向に沿うエンジンEの前面には、上から順にオルタネータ22(第2補機)、ウォータポンプ23(第3補機)およびエアコンディショナ用のコンプレッサ21(第1補機)が取付ブラケットを介してエンジン本体2に取り付けられている。クランクプーリ10の回転平面上には、これらの補機21〜23を駆動するためのオルタネータプーリ12(第2補機プーリ)、ポンププーリ13(第3補機プーリ)およびコンプレッサプーリ11(第1補機プーリ)がそれぞれ配置される。
【0020】
クランクプーリ10には、無端状のVベルト15が巻き掛けられている。Vベルト15は、図2に示すように、その内面15i側に7つのV字状のリブ15aが連設され、外面15oが平坦面とされたVリブドベルトであり、その内面15iがクランクプーリ10の外周面に接するようにクランクプーリ10に巻き掛けられる。クランクプーリ10の外周面には、この7つのリブ15aと相補的な形状の7つの溝10aが形成されており、Vベルト15に張力が加わることでリブ15aが溝10aに食い込んでクランクプーリ10とVベルト15との摩擦力が増大する。
【0021】
クランクプーリ10は、エンジンEの駆動によって図1中に矢印で示すように時計回りに回転する。クランクプーリ10に巻き掛けられたVベルト15は、クランクプーリ10の下側からベルトを進入させるいわゆる張り側と、クランクプーリ10の上側からベルトを退出させるいわゆる弛み側との2方向に延び、互いに繋がって環状をなしている。Vベルト15は、クランクプーリ10を起点としてベルト入側(張り側)へ順に、コンプレッサプーリ11、オルタネータプーリ12、ポンププーリ13に巻き掛けられている。これらクランクプーリ10、コンプレッサプーリ11、オルタネータプーリ12、ポンププーリ13およびVベルト15により、クランクシャフト7の回転によって各補機21〜23を駆動する補機駆動装置1が構成される。
【0022】
コンプレッサプーリ11は、クランクプーリ10に対してシリンダ軸線6に略直交する方向に配置されるとともに、Vベルト15におけるクランクプーリ10のベルト入側の内面15iに転接する。ここで、コンプレッサプーリ11がクランクプーリ10に対してシリンダ軸線6に略直交する方向に配置されるとは、後述する打音抑制効果が奏されるように、Vベルト15におけるクランクプーリ10とコンプレッサプーリ11とに掛け渡された部位が、シリンダ軸線6に略直交する方向に延在することを意味するものである。Vベルト15の延在方向はクランクプーリ10およびコンプレッサプーリ11の径や両者間の距離によって変化するが、一般的な自動車用エンジンの寸法およびこれに用いられるクランクプーリおよび補機プーリの大きさを考慮すると、概ねコンプレッサプーリ11の中心11xがシリンダ軸線6方向においてクランクプーリ10の外周縁上の上昇方向A側端部と下降方向B側端部との間に位置すればよい。
【0023】
オルタネータプーリ12は、シリンダ軸線6方向においてコンプレッサプーリ11よりも上昇方向A側に配置されるとともに、Vベルト15におけるコンプレッサプーリ11のベルト入側の内面15iに転接する。
【0024】
ポンププーリ13は、シリンダ軸線6方向においてコンプレッサプーリ11とオルタネータプーリ12との間に配置されるとともに、Vベルト15におけるオルタネータプーリ12のベルト入側且つクランクプーリ10のベルト出側の外面15oに転接する。
【0025】
補機駆動装置1は、更に、Vベルト15におけるオルタネータプーリ12のベルト入側且つポンププーリ13のベルト出側の内面15iに転接するテンションプーリ14を備えている。テンションプーリ14は、取付ブラケットによってその中央部が揺動自在に保持されたベルクランク16の一端に回転自在に支持される。ベルクランク16の他端には、油圧式のダンパ機構を備え、一端が取付ブラケットに取り付けられたオートテンショナ17の他端が連結されている。オートテンショナ17がベルクランク16の他端を押す方向に付勢することにより、テンションプーリ14がVベルト15を外側に膨らませる向きに付勢し、Vベルト15に張力を付与する。なお、ベルクランク16およびオートテンショナ17も、テンションプーリ14と同様に、補機駆動装置1の正面視(図1)においてVベルト15の内側に配置される。
【0026】
各プーリ10〜14の配置について、図3を参照して更に詳細に説明する。ポンププーリ13の中心13xは、クランクプーリ10の中心10x、コンプレッサプーリ11の中心11xおよびオルタネータプーリ12の中心12xを結んだ三角形30の中に配置される。
【0027】
Vベルト15におけるクランクプーリ10とコンプレッサプーリ11とに掛け渡された部位が画定する直線、すなわち、クランクプーリ10の外周縁とコンプレッサプーリ11の外周縁との下降方向B側の各部位に接する共通接線を、第1仮想線31とし、第1仮想線31と平行であり、且つクランクプーリ10の外周縁上の下降方向B側の部位に接する接線を第2仮想線32とし、ポンププーリ13の外周縁上の第1仮想線31に最も近い点を第1仮想点35とすると、第1仮想点35が第1仮想線31と第2仮想線32との間に位置するように、クランクプーリ10、コンプレッサプーリ11およびポンププーリ13が配置される。
【0028】
一方、Vベルト15におけるコンプレッサプーリ11とオルタネータプーリ12とに掛け渡された部位が画定する直線、すなわち、コンプレッサプーリ11の外周縁とオルタネータプーリ12の外周縁とのクランクプーリ10から遠い側の各部位に接する共通接線を第3仮想線33とし、第3仮想線33と平行であり、且つテンションプーリ14の外周縁上のクランクプーリ10に近い側の部位に接する接線を第4仮想線34とし、ポンププーリ13の外周縁上の第3仮想線33に最も近い点を第2仮想点36とすると、第2仮想点36が第3仮想線33と第4仮想線34との間に位置するように、コンプレッサプーリ11、オルタネータプーリ12、ポンププーリ13およびテンションプーリ14が配置される。
【0029】
このように、コンプレッサプーリ11がクランクプーリ10に対してシリンダ軸線6に略直交する方向に配置され、第1仮想点35が第1仮想線31と第2仮想線32との間に位置することにより、クランクプーリ10に対する巻き掛け角度を大きくとって伝動力を確保することが可能となるとともに、クランクプーリ10に対するベルト荷重の向きをシリンダ軸線6に略直交させることができるため、内燃機関の駆動中に発生する打音を抑制することができる。また、ポンププーリ13の中心13xが三角形30の中に配置されることにより、コンプレッサプーリ11およびオルタネータプーリ12間のVベルト15に干渉させることなくポンププーリ13の径を大きくすることができるため、コンプレッサプーリ11およびオルタネータプーリ12間にVベルト15の軌道を変更するためにアイドラプーリを設ける必要がない。
【0030】
また、テンションプーリ14が、クランクプーリ10のベルト弛み側に連設されるのではなく、オルタネータプーリ12のベルト入側且つポンププーリ13のベルト出側に配置されたことにより、オルタネータ22とウォータポンプ23とのシリンダ軸線方向の間隔が確保され、コンプレッサプーリ11からオルタネータプーリ12までのシリンダ軸線方向の間隔が短縮可能となる。したがって、補機駆動装置1の小型化が実現される。また、第2仮想点36が第3仮想線33と第4仮想線34との間に位置することにより、ポンププーリ13に対する巻き掛け角が確保される。加えて、テンションプーリ14に対する巻き掛け角も大きくなるため、所定の張力を付与するために必要なオートテンショナ17のストロークが小さくなり、オートテンショナ17の小型化が実現される。
【0031】
一方、補機駆動装置1を構成する伝動ベルトがVベルト15とされたことにより、幅の狭い1本のVベルト15によって3つの補機21〜23を駆動するのに必要な摩擦力を確保でき、Vベルト15の外面15o側が巻き掛けられる補機プーリを比較的駆動力の小さなポンププーリ13としたことにより、Vベルト15の外面15oとポンププーリ13の外周面とのスリップも抑制される。さらに、オートテンショナ17が、クランクシャフト7の軸方向視においてVベルト15の内側に配置されたため、補機駆動装置1が小型化される。
【0032】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、本発明を直列多気筒ガソリンエンジンに適用したが、その他の内燃機関に適用することも可能である。また、上記実施形態では、補機駆動装置1が、クランクプーリ10から張り側に順に配置されたコンプレッサ21、オルタネータ22およびウォータポンプ23の3つの補機を駆動しているが、補機の順序を入れ替えたり、他の補機を駆動したりしてもよい。また、上記実施形態では、オートテンショナ17として油圧式のダンパ機構を備えたものを用いたが、油圧式に限らず、摩擦式など他の形式のオートテンショナを用いてもよい。この他、各装置や部材の具体的構成や配置、数量など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した本発明に係る補機駆動装置1の各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 補機駆動装置
6 シリンダ軸線
7 クランクシャフト
10 クランクプーリ
11 コンプレッサプーリ(第1補機プーリ)
12 オルタネータプーリ(第2補機プーリ)
13 ポンププーリ(第3補機プーリ)
10x、11x、12x、13x 各プーリ10〜13の中心
14 テンションプーリ
15 Vベルト(伝動ベルト)
15i 内面
15o 外面
17 オートテンショナ
21 コンプレッサ(第1補機)
22 オルタネータ(第2補機)
23 ウォータポンプ(第3補機)
30 三角形
31 第1仮想線
32 第2仮想線
33 第3仮想線
34 第4仮想線
35 第1仮想点
36 第2仮想点
A 上昇方向
B 下降方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトの一端に設けられたクランクプーリと、
前記クランクプーリに対してシリンダ軸線に略直交する方向に配置された第1補機を駆動する第1補機プーリと、
前記第1補機プーリよりもシリンダ軸線方向において上昇側に配置された第2補機を駆動する第2補機プーリと、
シリンダ軸線方向において前記第1補機プーリと前記第2補機プーリとの間に配置された第3補機を駆動する第3補機プーリと、
シリンダ軸線方向において前記第2補機プーリと前記第3補機プーリとの間に配置され、オートテンショナによって付勢されたテンションプーリと、
前記クランクプーリから張り側へ順に、前記第1補機プーリ、前記第2補機プーリ、前記テンションプーリおよび前記第3補機プーリに巻きかけられ、前記クランクプーリ、前記第1補機プーリ、前記第2補機プーリおよび前記テンションプーリにその内面を当接させるとともに、前記第3補機プーリにその外面を当接させる無端状の伝動ベルトと
を備えた内燃機関の補機駆動装置であって、
前記第3補機プーリの中心が、前記クランクプーリ、前記第1補機プーリおよび前記第2補機プーリの各中心を結んだ三角形の中に配置され、
前記クランクプーリと前記第1補機プーリとの間の前記伝動ベルトにより画定される直線を第1仮想線とし、前記クランクプーリの、前記第1仮想線と反対側の外周縁上の部位における前記第1仮想線と平行な接線を第2仮想線とし、前記第3補機プーリの外周縁上の前記第1仮想線に最も近い点を第1仮想点としたときに、前記第1仮想点が前記第1仮想線と前記第2仮想線との間に位置し、
前記第1補機プーリと前記第2補機プーリとの間の前記伝動ベルトにより画定される直線を第3仮想線とし、前記テンションプーリの、前記クランクプーリに近い側の外周縁上の部位における前記第3仮想線と平行な接線を第4仮想線とし、前記第3補機プーリの外周縁上の前記第3仮想線に最も近い点を第2仮想点としたときに、前記第2仮想点が前記第3仮想線と前記第4仮想線との間に位置することを特徴とする内燃機関の補機駆動装置。
【請求項2】
前記伝動ベルトは外面が平坦面をなすVベルトであり、
前記第3補機がウォータポンプであることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の補機駆動装置。
【請求項3】
前記オートテンショナが、前記クランクシャフトの軸方向視において前記伝動ベルトの内側に配置されたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の内燃機関の補機駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−108377(P2013−108377A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252284(P2011−252284)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】