説明

内燃機関システム

【課題】炭化水素とアルコールとの混合燃料を用い、広範囲の要求負荷に対し効率よく運転できる内燃機関システムを提供する。
【解決手段】内燃機関1と、混合燃料をアルコール−水混合液21と液体炭化水素22とに分離する第1の分離手段2と、アルコール−水混合液をエーテル−水混合液に改質する改質手段13と、該エーテル−水混合液を該エーテルと該水とに分離する第2の分離手段14と、液体炭化水素22と、アルコール−水混合液21と、該エーテルとの割合を制御する制御手段16とを備える。内燃機関1は圧縮着火内燃機関である。液体炭化水素21を供給する第1のインジェクター12aと、アルコール−水混合液21を供給する第2のインジェクター12bと、前記エーテルを供給する第3のインジェクター12cとを備える。制御手段16は、要求負荷が高くなるほどアルコール−水混合液21を増加させ、低くなるほど前記エーテルを増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素とアルコールとの混合燃料を用いる内燃機関システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関の燃費を向上し、排出物を低減するために、予混合圧縮着火内燃機関に代表される圧縮着火内燃機関が検討されている。圧縮着火内燃機関は、酸素含有気体と圧縮自着火可能な燃料とをシリンダ内に導入し、圧縮して自着火させるものである。
【0003】
しかし、圧縮着火内燃機関は、火花点火方式の内燃機関と異なり着火のタイミングを制御することが難しく、安定に運転することができる運転領域が狭いという問題がある。前記問題は、さらに詳しくは、着火性の高い燃料を用いると該機関の要求負荷が高くなったときにノッキングを起こしやすく、着火性の低い燃料を用いると該機関の要求負荷が低くなったときに失火しやすいということである。
【0004】
前記問題を解決するために、従来、着火性の高い燃料と、着火性の低い燃料とを備え、両燃料を混合して該機関に供給する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。前記技術によれば、前記圧縮着火内燃機関の要求負荷に対応して、両燃料の混合比を調整することにより、広い範囲の要求負荷に対して安定して運転することができる。しかし、前記技術では、着火性の高い燃料と、着火性の低い燃料とをそれぞれ別に準備し収容しておく必要がある。
【0005】
これに対して、単一の燃料を用い、前記圧縮着火内燃機関の要求負荷が高くなったときには、該燃料の一部を部分酸化して着火性抑制物質を生成させる技術も知られている(例えば特許文献2参照)。前記技術は、具体的には、軽油等の炭化水素系燃料の一部を部分酸化してホルムアルデヒド等の着火性抑制物質を生成させるものである。しかしながら、前記軽油等の炭化水素を部分酸化してホルムアルデヒドを生成させるには、高温で長時間の反応が必要になるという不都合がある。
【0006】
ところで、内燃機関の燃料として、炭化水素とアルコールとの混合燃料を用いることが検討されている。前記混合燃料は前記アルコールとしてエタノールを用いる場合、エタノールによる所謂カーボンニュートラル効果を得ることができるので、二酸化炭素排出量の削減に寄与することができる。尚、前記カーボンニュートラル効果とは、エタノールの原料となる植物は、その成育過程で光合成を行うことにより二酸化炭素を吸収しているので、エタノールを燃焼させて二酸化炭素を発生しても、全体としては新たな二酸化炭素を排出したことにならない、というものである。
【0007】
しかしながら、前記混合燃料は、ガソリンと同様の単一燃料としてシリンダーに供給し、火花点火により着火するときには、十分に高い効率を得ることができないという不都合がある。
【特許文献1】特開2001−355471号公報
【特許文献2】特開2000−213444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる不都合を解消して、炭化水素とアルコールとの混合燃料を用い、広い範囲の要求負荷に対して、効率よく運転することができる内燃機関システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の内燃機関システムは、内燃機関と、液体炭化水素とアルコールとからなる混合燃料に水を混合して該水と該アルコールとが混合されたアルコール−水混合液と該液体炭化水素とに分離する第1の分離手段と、該アルコール−水混合液の少なくとも一部に触媒を作用させて該アルコール−水混合液をエーテル−水混合液に改質する改質手段と、該エーテル−水混合液を該エーテルと該水とに分離する第2の分離手段と、該液体炭化水素と該アルコール−水混合液と該エーテルとを燃料として該内燃機関に供給するときに該内燃機関の要求負荷に応じて該燃料全体に対する該液体炭化水素と該アルコール−水混合液と該エーテルとの割合を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の内燃機関システムでは、まず、前記第1の分離手段により、前記液体炭化水素とアルコールとからなる混合燃料に水が混合される。前記混合燃料を構成する前記液体炭化水素とアルコールとの内、アルコールは水との相溶性を備えているが、液体炭化水素は水に不溶である。このため、前記混合燃料に水を混合すると、前記アルコールが水と混合してアルコール−水混合液を形成する一方、前記液体炭化水素が該アルコール−水混合液から容易に分離する。
【0011】
次に、前記アルコール−水混合液の少なくとも一部が、前記改質手段に供給される。前記改質手段では、前記アルコール−水混合液に触媒を作用させることによりアルコールが脱水縮合せしめられ、該アルコールに対応するジアルキルエーテルが生成される。この結果、前記改質手段によれば、供給された前記アルコール−水混合液がエーテル−水混合液に改質される。
【0012】
次に、前記エーテル−水混合液は、前記第2の分離手段に供給される。前記エーテルは、水と不溶であるので、前記エーテル−水混合液は前記第2の分離手段で容易にエーテルと水とに分離される。従って、前記混合燃料という単一の燃料から、前記液体炭化水素と、前記アルコール−水混合液と、前記エーテルとの3種類の燃料が容易に分離されることになる。
【0013】
前記液体炭化水素と、前記アルコール−水混合液と、前記エーテルとは、燃料として前記内燃機関に供給されるが、本発明の内燃機関システムでは、このとき、前記制御手段により、該内燃機関の要求負荷に応じて、燃料全体に対する各燃料の割合が制御される。ここで、前記アルコール−水混合液は前記液体炭化水素に比較して着火性が低く、前記エーテルは前記液体炭化水素に比較して着火性が高い。
【0014】
従って、本発明の内燃機関システムによれば、前記内燃機関の要求負荷に応じて、燃料全体に対する各燃料の割合を制御することにより、広い範囲の要求負荷に対して、効率よく運転することができる。
【0015】
本発明の内燃機関システムでは、前記内燃機関は、シリンダー内に供給された燃料に火花を供給して着火する火花点火式内燃機関であってもよいが、シリンダー内に供給された燃料を圧縮して自己着火させる圧縮着火内燃機関であることが好ましい。本発明の内燃機関システムによれば、前記制御手段により、前記内燃機関に供給される燃料を、前記液体炭化水素と、前記アルコール−水混合液と、前記エーテルとの3種類の燃料について任意の組成とすることができる。従って、前記圧縮着火内燃機関の要求負荷に対して、常に好適な組成の燃料を供給することができ、該圧縮着火内燃機関を優れた効率で運転することができる。
【0016】
また、本発明の内燃機関システムは、前記液体炭化水素を噴射して前記内燃機関に供給する第1のインジェクターと、前記アルコール−水混合液を噴射して該内燃機関に供給する第2のインジェクターと、前記エーテルを噴射して該内燃機関に供給する第3のインジェクターとを備え、各インジェクターの噴射量は前記制御手段により制御されることが好ましい。前記構成を備える本発明の内燃機関システムによれば、前記制御手段により燃料全体に対する各燃料の割合を容易に制御することができる。
【0017】
本発明の内燃機関システムにおいて、前記制御手段による燃料全体に対する各燃料の割合の制御は、具体的には、要求負荷が高くなるほど前記燃料全体に対する前記アルコール−水混合液の割合を増加させ、要求負荷が低くなるほど該燃料全体に対する前記エーテルの割合を増加させるように行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態の内燃機関システムの構成を示すシステム構成図であり、図2は図1に示す第1分離器の構成を示す説明的断面図、図3は図1に示す改質器の構成を示す説明的断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の内燃機関システムは、内燃機関1と、液体炭化水素とアルコールとからなる混合燃料に水を混合して、アルコール−水混合液と、該液体炭化水素とに分離する第1分離器2とを備えている。第1分離器2は、図示しない燃料タンクから前記混合燃料を導入する第1導管3と、該混合燃料に混合する水を導入する第1水導管4とを備えると共に、分離されたアルコール−水混合液を取り出す第2導管5と、分離された液体炭化水素を取り出す第3導管6とを備えている。
【0020】
第2導管5は、ポンプ7を介して分配装置8に接続されており、分配装置8から第4導管9と第5導管10とが分岐している。第3導管6は、ポンプ11を介して、内燃機関1に設けられた第1インジェクタ12aに接続されており、第1分離器2で分離された前記液体炭化水素は、第3導管6を介して第1インジェクター12aに供給される。
【0021】
分配装置8から分岐する第4導管9は、内燃機関1に設けられた第2インジェクター12bに接続されており、第1分離器2で分離された前記アルコール−水混合液は、第2導管5、第4導管9を介して第2インジェクター12bに供給される。
【0022】
また、第5導管10は途中に設けられた改質器13、第2分離器14を介して、内燃機関1に設けられた第3インジェクター12cに接続されている。改質器13は第5導管10を介して供給されるアルコール−水混合液に触媒を作用させてエーテル−水混合液に改質するものであり、第2分離器14は改質器13から供給されるエーテル−水混合液をエーテルと水に分離するものである。第2分離器14で分離されたエーテルは、第5導管10を介して第3インジェクター12cに供給される。一方、第2分離器13は、第1分離器2に接続される第2水導管15を備えており、第2分離器14で分離された水は、第2水導管15を介して第1分離器2に還流される。
【0023】
さらに、本実施形態の内燃機関システムは、各インジェクター12a,12b,12cの噴射量を制御する制御装置16を備え、制御装置16は内燃機関1の運転状態に係る各種の量を検知する運転状態量センサ17a,17b,・・・,17nに接続されている。
【0024】
次に、本実施形態の内燃機関システムの作動について説明する。
【0025】
本実施形態の内燃機関システムでは、まず、図示しない燃料タンクから、液体炭化水素とアルコールとからなる混合燃料が第1導管3を介して第1分離器2に導入される。前記液化炭化水素としては例えばガソリン、ナフサ等を挙げることができ、前記アルコールとしては例えばエタノール等を挙げることができる。前記混合燃料は、第1分離器2内で、第1水導管4、第2水導管15から導入される水と混合される。
【0026】
ここで、エタノール等の前記アルコールは水との相溶性を備えているが、ガソリン、ナフサ等の液体炭化水素は水に不溶である。このため、前記混合燃料に水を混合すると、前記アルコールが水と混合してアルコール−水混合液を形成する一方、前記液体炭化水素が該アルコール−水混合液から容易に分離する。
【0027】
前記アルコール−水混合液と、前記液体炭化水素とでは、比重が異なり、例えば該炭化水素がガソリン、ナフサ等である場合には、水を含む該アルコール−水混合液の方が比重が大である。従って、図2に示すように、アルコール−水混合液21と液体炭化水素22とは、第1分離器2内で、重力の作用により上下2層に分離する。尚、図2では、アルコール−水混合液21が下層となり、液体炭化水素22が上層となるものとして示している。
【0028】
そこで、第1分離器2では、底部にアルコール−水混合液取出装置23を設けてアルコール−水混合液取出装置23に第2導管5を接続すると共に、上層の液体炭化水素22の液面に浮上するように液体炭化水素取出装置24を設けて液体炭化水素取出装置24に第3導管6を接続している。また、第1分離器2は、底部と液体炭化水素取出装置24とに、アルコール濃度センサ25a,25bを設け、アルコール濃度センサ25a,25bの検知信号によりアルコール−水混合液21と液体炭化水素22との分離完了を検知するようになっている。そして、アルコール−水混合液取出装置23、液体炭化水素取出装置24は、アルコール−水混合液21と液体炭化水素22との分離完了が検知された後に、それぞれアルコール−水混合液21と液体炭化水素22との取り出しを開始する。
【0029】
尚、第1分離器2では、上部に第1導管3と、第1水導管4、第2水導管15とが接続されており、第1水導管4、第2水導管15は制御弁26により所要量の水を第1分離器2に供給するようになっている。
【0030】
次に、第1分離器2で分離された液体炭化水素22は、図1に示すように第3導管6を介して第1インジェクター12aに供給される。
【0031】
また、第1分離器2で分離されたアルコール−水混合液21は、第2導管5を介して分配装置8に送られる。分配装置8は、第2導管5を介して供給されたアルコール−水混合液21を所定量ずつ、第4導管9と第5導管10に分配する。分配装置8により、第4導管9に分配されたアルコール−水混合液21は、第4導管9を介して第2インジェクター12bに供給される。
【0032】
一方、分配装置8により、第5導管10に分配されたアルコール−水混合液21は、次いで改質器13に供給される。改質器13は、例えば図3に示すように、第5導管10の途中に設けられアルコール−水混合液21が導入される触媒装置31と、触媒装置31を加熱する加熱装置32とからなる。
【0033】
図3に示す加熱装置32は、隔壁33を介して内燃機関1の排気管34に隣接する排気通路35を触媒装置31の周囲に設けることにより構成され、触媒装置31に導入されるアルコール−水混合液21と対向するように排気通路35に流通される排気により触媒装置31を加熱するようになっている。排気通路35は、隔壁33に設けられた排気流入口33aと排気流出口33bとを介して排気管34に連通しており、排気管34に設けられた制御弁36の開度により、流通する排気量を調整することができる。触媒装置31は、例えば、活性アルミナ、ヘテロポリ酸、ゼオライト、シリカアルミナ、硫酸化ジルコニア等の酸触媒が充填されており、温度センサ37により検知される温度に従って、制御弁36の開度を調整することにより、適温に加熱される。
【0034】
そこで、改質器13に供給されたアルコール−水混合液21は、触媒装置31に充填された前記酸触媒に所定の温度で接触せしめられ、該酸触媒の作用により、アルコールが脱水縮合を起こして該アルコールに対応するエーテルを生成する。前記アルコールがエタノールである場合、前記エーテルはジエチルエーテルとなる。この結果、アルコール−水混合液21は、改質器13でエーテル−水混合液に改質される。
【0035】
次に、前記エーテル−水混合液は、図1に示すように、第5導管10を介して第2分離器14に送られる。ここで、前記エーテルと水とは互いに不溶であり、比重が異なっている。このため、前記エーテルと水とは、第2分離器14内で、重力の作用により容易に上下2層に分離する。
【0036】
次に、第2分離器14で分離された前記エーテルは、第5導管10を介して第3インジェクター12cに供給される。また、第2分離器14で分離された水は、第2水導管15を介して第1分離器2に還流される。
【0037】
本実施形態の内燃機関システムでは、前述のようにして分離された液体炭化水素22、アルコール−水混合液21、前記エタノールを燃料として、各インジェクター12a,12b,12cから内燃機関1に供給する。このとき、制御装置16は運転状態量センサ17a,17b,・・・,17nの検知信号により内燃機関1の運転状態を把握し、各インジェクター12a,12b,12cから噴射される液体炭化水素22、アルコール−水混合液21、前記エタノールの量を制御する。運転状態量センサ17a,17b,・・・,17nは、例えば、内燃機関1の温度、圧力、トルク、回転数等の運転状態量を検知する。
【0038】
前述のようにすることにより、制御装置16は、燃料全体に対する液体炭化水素22、アルコール−水混合液21、前記エタノールの各燃料の割合を容易に変更することができる。制御装置16は、燃料全体に対する液体炭化水素22、アルコール−水混合液21、前記エタノールの各燃料の割合の制御を、具体的には、要求負荷が高くなるほど前記燃料全体に対するアルコール−水混合液21の割合を増加させ、要求負荷が低くなるほど該燃料全体に対する前記エーテルの割合を増加させるように行う。
【0039】
この結果、本実施形態の内燃機関システムでは、内燃機関1の要求負荷に応じて適切な組成の燃料を供給して、内燃機関1を効率よく運転することができる。
【0040】
次に、液体炭化水素とアルコールとからなる前記混合燃料の分離に関する実施例を示す。
【実施例1】
【0041】
本実施例では、まず、30体積%のエタノールを含むガソリン(E30ガソリン)を混合燃料として、第1導管3から第1分離器2に供給すると共に、第1水導管4から該混合燃料の3.5重量%の水を供給し、該該混合燃料と水とを混合した。この結果、第1分離器2内で、アルコール−水混合液21としてのエタノール−水混合液と、液体炭化水素22としてのガソリンとが分離し、上層にガソリン、下層にエタノール−水混合液が得られた。ガソリンは全量の約63重量%、エタノール−水混合液は全量の約37重量%であった。
【0042】
次に、第1分離器2から取り出したエタノール−水混合液の一部を、10kg/時の流量で、第5導管10を介して改質器13に供給した。改質器13の触媒装置31には、酸触媒として約1kgのヘテロポリ酸を充填し、制御弁36の開度を調整して触媒装置31内の該酸触媒が約210℃に加熱されるようにした。この結果、前記エタノール−水混合液中のエタノールが脱水縮合してジエチルエーテルを生成し、該エタノール−水混合液がエーテル−水混合液に改質された。
【0043】
次に、前記エーテル−水混合液を第2分離器14に供給して、エーテルと水とに分離した。この結果、改質器13に供給されたエタノール−水混合液の全量に対して、7:3(重量比)の割合でジエチルエーテルと水とが得られた。
【実施例2】
【0044】
本実施例では、まず、50体積%のエタノールを含むナフサ(E50ナフサ)を混合燃料として、第1導管3から第1分離器2に供給すると共に、第1水導管4から該混合燃料の9重量%の水を供給し、該該混合燃料と水とを混合した。この結果、第1分離器2内で、アルコール−水混合液21としてのエタノール−水混合液と、液体炭化水素22としてのナフサとが分離し、上層にナフサ、下層にエタノール−水混合液が得られた。ナフサは全量の約37重量%、エタノール−水混合液は全量の約63重量%であった。
【0045】
次に、第1分離器2から取り出したエタノール−水混合液の一部を、実施例1と全く同一にして改質器13に供給してエーテル−水混合液に改質し、該エーテル−水混合液を第2分離器14に供給して、エーテルと水とに分離した。この結果、改質器13に供給されたエタノール−水混合液の全量に対して、約80重量%のジエチルエーテルと、約20重量%の水とが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の内燃機関システムの構成例を示すシステム構成図。
【図2】図1に示す第1分離器の構成を示す説明的断面図。
【図3】図1に示す改質器の構成を示す説明的断面図。
【符号の説明】
【0047】
1…内燃機関、 2…第1の分離手段、 12a…第1のインジェクター、 12b…第2のインジェクター、 12c…第3のインジェクター、 13…改質手段、 14…第2の分離手段、 16…制御手段、 21…アルコール−水混合液、 22…液体炭化水素、 31…触媒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
液体炭化水素とアルコールとからなる混合燃料に水を混合して、該水と該アルコールとが混合されたアルコール−水混合液と、該液体炭化水素とに分離する第1の分離手段と、
該アルコール−水混合液の少なくとも一部に触媒を作用させて該アルコール−水混合液をエーテル−水混合液に改質する改質手段と、
該エーテル−水混合液を該エーテルと該水とに分離する第2の分離手段と、
該液体炭化水素と、該アルコール−水混合液と、該エーテルとを燃料として該内燃機関に供給するときに、該内燃機関の要求負荷に応じて該燃料全体に対する該液体炭化水素と、該アルコール−水混合液と、該エーテルとの割合を制御する制御手段とを備えることを特徴とする内燃機関システム。
【請求項2】
前記内燃機関は、シリンダー内に供給された燃料を圧縮して自己着火させる圧縮着火内燃機関であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関システム。
【請求項3】
前記液体炭化水素を噴射して前記内燃機関に供給する第1のインジェクターと、前記アルコール−水混合液を噴射して該内燃機関に供給する第2のインジェクターと、前記エーテルを噴射して該内燃機関に供給する第3のインジェクターとを備え、各インジェクターの噴射量は前記制御手段により制御されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関システム。
【請求項4】
前記制御手段は、要求負荷が高くなるほど前記燃料全体に対する前記アルコール−水混合液の割合を増加させ、要求負荷が低くなるほど該燃料全体に対する前記エーテルの割合を増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の内燃機関システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−40231(P2007−40231A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226889(P2005−226889)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】