説明

内燃機関用の排ガス浄化装置

【課題】ミキサ構造体を設けることなく、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCRに対して均一に供給する。
【解決手段】内燃機関用の排ガス浄化装置100は、閉塞された端部101aを有し、当該端部端部101aから離れた状態でSCR10が内部に収納されており、端部101aとSCR10の上流側端部10aとの間に空間101bが形成されている筒状ケース101と、筒状ケース101の側筒部の領域のうち端部101aと上流側端部10aとの間の領域において、当該側筒部に対して接線方向に連結され、内部に内燃機関から排出された排ガスが流れる筒状パイプ102と、筒状パイプ102内を流れる排ガスに還元剤を供給する還元剤供給手段103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用の排ガス浄化装置は、内燃機関(例えば、ディーゼルエンジンなど)から排出された排ガスを浄化するための装置である(例えば、下記特許文献1,2参照)。この種の装置として、SCR(Selective Catalytic Reduction)が内部に収納された筒状ケースと、SCRの上流側から排ガスに還元剤(尿素など)を供給する還元剤供給手段(尿素水噴射ノズルなど)と、を備えたものが知られている。さらに近年では、筒状ケース内に、排ガス流入口から順に、DOC(Diesel Oxidation Catalyst)、DPF(Diesel Particulate Filter) 、SCR(Selective Catalytic Reduction) 及びアンモニアスリップ(例えば、DOC等)が直列に収納されており、DPFとSCRとの間に、還元剤供給手段が設けられているものも知られている。
【特許文献1】特表2002−502927号公報
【特許文献2】EP0758713A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような装置において、SCRによる排ガスの浄化効率を向上させるためには、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCRに対して均一に供給することが望ましい。そこで、上記のような装置においては、従来より、SCRの上流側にミキサ構造体が設けられている。なお、還元剤を供給する箇所とSCRとの距離を長く確保することによっても、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCRに対して均一に供給することは可能である。しかし、上記のような装置のうち、とりわけ、DOC、DPF、SCR及びアンモニアスリップが収納された装置にあっては、装置が長尺化して搭載性が悪化しやすいため、還元剤を供給する箇所とSCRとの距離を長く確保することは困難である。従って、かかる装置にあっては、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCRに対して均一に供給するためには、ミキサ構造体を設けざるを得なかったのである。ところが、上記の装置にミキサ構造体を設けた場合には、装置の重量化及び高コスト化などの問題を招いてしまう。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ミキサ構造体を設けることなく、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCRに対して均一に供給することが可能な内燃機関用の排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る内燃機関用の排ガス浄化装置は、閉塞された端部を有し、当該端部から離れた状態でSCRが内部に収納されており、前記端部と前記SCRの上流側端部との間に空間が形成されている筒状ケースと、前記筒状ケースの側筒部の領域のうち前記端部と前記上流側端部との間の領域において、当該側筒部に対して接線方向に連結され、内部に内燃機関から排出された排ガスが流れる筒状パイプと、前記筒状パイプ内を流れる前記排ガスに還元剤を供給する還元剤供給手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ミキサ構造体を設けることなく、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCRに対して均一に供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の各実施形態について説明する。
【0008】
===第1実施形態===
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る内燃機関用の排ガス浄化装置100を示す概略図、図2は図1のA−A線矢視図である。
【0009】
図1に示すように、内燃機関用の排ガス浄化装置100は、筒状ケース101、筒状パイプ102、及び還元剤供給手段(具体的には尿素水噴射ノズル)103を備えるとともに、DOC及びDPF20が収納された筒状ケース104を備えている。
【0010】
筒状ケース101は、閉塞された端部101aを有し、端部101aから離れた状態でSCR10が内部に収納されており、さらに、SCR10の下流側には、アンモニアスリップが収納されている。端部101aとSCR10の上流側端部10aとの間には、排ガスを旋回させるための空間101bが形成されている。
【0011】
また、筒状パイプ102の一端側は、図2に示すように、筒状ケース101の側筒部の領域のうち端部101aと上流側端部10aとの間の領域において、当該側筒部に対して接線方向に連結されている。さらに、筒状パイプ102の他端側は、閉塞した端部102aを有するとともに、筒状ケース104内に挿入されており、具体的には、筒状ケース104の端部104aとDPF20の下流側端部20aとの間に形成された空間104b内に挿入されている。この筒状パイプ102の他端側のうち、筒状ケース104内に挿入された領域には、複数の通気孔102bが設けられている。また、筒状パイプ102の端部102aには、還元剤供給手段103が設けられている。なお、筒状ケース101と筒状ケース104とは、相互に略平行となるように配置されている。
【0012】
このような内燃機関用の排ガス浄化装置100において、内燃機関から排出された排ガスは、筒状ケース104内に導入されてDOC及びDPF20を通過し、空間104b内に到達する。空間104bに到達した排ガスは、通気孔102bを介して筒状パイプ102内に導入される。その際、排ガスは、通気孔102bによって、均一に分散した状態で筒状パイプ102内に導入されるとともに、還元剤供給手段103から供給された還元剤と攪拌される。さらに、この排ガスは、筒状パイプ102と筒状ケース101との連結部を介して、筒状ケース101内に導入され、その空間101b内において旋回される。このときに生じる旋回流(図2参照)により、排ガスは、さらに攪拌されることとなり、還元剤との混合が促進され、これらの混合物がSCR10に対して均一に供給されることとなる。その結果、SCR10による排ガスの浄化効率が向上する。このようにして、DOC、DPF、SCR及びアンモニアスリップが収納された装置であっても、ミキサ構造体を設けることなく、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCR10に対して均一に供給することが可能となるのである。
【0013】
===第2実施形態===
次に、図3及び図4を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。図3は本発明の第2実施形態に係る内燃機関用の排ガス浄化装置を示す概略図、図4は図3のB−B線矢視図である。なお、各図において、図1及び図2と同一若しくは類似の箇所には、同一の符号を付している。
【0014】
図3に示すように、内燃機関用の排ガス浄化装置200は、筒状ケース101、筒状パイプ202、及び還元剤供給手段(具体的には尿素水噴射ノズル)203を備えるとともに、DOC及びDPF20が収納された筒状ケース104を備えている。
【0015】
図4に示すように、筒状パイプ202の一端側は、図2に示した筒状パイプ102の一端側と同様の構成を有しており、筒状ケース101の側筒部の領域のうち端部101aと上流側端部10aとの間の領域において、当該側筒部に対して接線方向に連結されている。
【0016】
但し、筒状パイプ202の他端側は、図2に示した筒状パイプ102の一端側と異なった構成を有しており、筒状ケース104の端部104aに接続されている。筒状ケース101と筒状ケース104とは、相互に略直交するように配置されている。
【0017】
このような内燃機関用の排ガス浄化装置200においても、内燃機関から排出された排ガスは、筒状ケース104内に導入されてDOC及びDPF20を通過し、空間104b内に到達する。空間104bに到達した排ガスは、その下流側の端部104aに接続された筒状パイプ202内に導入され、この筒状パイプ202内を通過する際に、排ガスには還元剤供給手段203から還元剤が供給される。還元剤が供給された排ガスは、筒状ケース101内に導入され、その空間101b内において旋回される。このときに生じる旋回流により、排ガスは、攪拌されることとなり、還元剤と十分に混合され、これらの混合物がSCR10に対して均一に供給されることとなる。その結果、SCR10による排ガスの浄化効率が向上する。このようにして、DOC、DPF、SCR及びアンモニアスリップが収納された装置であっても、ミキサ構造体を設けることなく、排ガスに還元剤を十分に混合させ、これらの混合物をSCR10に対して均一に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内燃機関用の排ガス浄化装置を示す概略図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る内燃機関用の排ガス浄化装置を示す概略図である。
【図4】図3のB−B線矢視図である。
【符号の説明】
【0019】
10 SCR
100,200 内燃機関用の排ガス浄化装置
101 筒状ケース
101b 空間
102,202 筒状パイプ
102a 通気孔
103,203 還元剤供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞された端部を有し、当該端部から離れた状態でSCRが内部に収納されており、前記端部と前記SCRの上流側端部との間に空間が形成されている筒状ケースと、
前記筒状ケースの側筒部の領域のうち前記端部と前記上流側端部との間の領域において、当該側筒部に対して接線方向に連結され、内部に内燃機関から排出された排ガスが流れる筒状パイプと、
前記筒状パイプ内を流れる前記排ガスに還元剤を供給する還元剤供給手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関用の排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−228484(P2009−228484A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72135(P2008−72135)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000220804)東京濾器株式会社 (84)
【Fターム(参考)】