説明

内燃機関蓄圧システム

【課題】背圧回収後の排気管内の排気を好適に放出させ得る内燃機関蓄圧システムを提供する。
【解決手段】排気管5に設けられる排気遮断弁10を閉弁することで排気圧を蓄圧するとともに、所定の供給先7aへと供給可能な蓄圧タンク21を備える内燃機関蓄圧システム20は、排気管5と蓄圧タンク21と所定の排気先4a、5とを連通し、圧力制御弁13が設けられるガス通路11、15と、制御手段30とを備え、制御手段30は、蓄圧が終了したときに、圧力制御弁13の開弁を開始し、排気管5内の排気圧が所定の排気圧以下となった後に、排気遮断弁10の開弁を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気圧を蓄圧し、該排気圧を所定の供給先へと供給可能な蓄圧タンクを備える内燃機関蓄圧システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの出力向上を目的として、エンジンにターボチャージャー(過給器)を搭載する技術が知られている。更に、このような過給のために、排気管内の排気圧を蓄圧させて、背圧エネルギを回収及び利用する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、車両の減速時に、排気管に設けられる排気遮断弁を閉弁して、蓄圧タンクに圧力エネルギを蓄え、より大きなトルクが必要とされる場合に過給を行う蓄圧タンクシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、車両の減速時に蓄圧タンクに圧力エネルギを蓄えるエネルギ回収装置において、車両の減速度が大きくなりすぎないように吸排気弁の開度を制御する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−2276号公報
【特許文献2】特開2007−315194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排気管に設けられる排気遮断弁を閉弁し、高まった排気圧を蓄圧タンクに回収する構成において、一般的に、排気管と蓄圧タンクとは流量制御弁を介して連通されている。また、排気遮断弁の開弁時に、排気管内の排気圧が高いままだと、排気遮断弁の前後で差圧が大きくなってしまい、開弁が困難になるということが知られている。このため、蓄圧タンク内に目標のタンク圧を回収した後には、EGR(Exhaust Gas Recirculation)弁やバイパス弁などを介して高まった排気圧が抜かれた後、排気遮断弁が開弁される技術が知られている。
【0007】
このとき、EGR弁やバイパス弁が急激に大きく開弁されることなどによって、排気圧が急激に減少した場合、このような排気管内の排気圧を用いる排気ブレーキの制動力が急激に減少し、ドライバの運転に違和感が生じる虞がある。
【0008】
他方、蓄圧中に、ドライバがアクセルを踏むことによって加速操作を行う場合、排気管内の排気圧が高いままではエンジントルク性能が低下し、加速性が悪化するなどの技術的な問題がある。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑みて為されたものであり、蓄圧タンクを用いる内燃機関蓄圧システムにおいて、蓄圧中及び蓄圧終了後に排気管内に残留する排気圧を好適に放出することを可能とならしめる内燃機関蓄圧システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の内燃機関蓄圧システムは、車両に搭載される内燃機関に連通する排気管に設けられる排気遮断弁を閉弁することで排気圧を蓄圧し、該排気圧を所定の供給先へと供給可能な蓄圧タンクを備える内燃機関蓄圧システムであって、前記排気遮断弁の上流において、前記排気管と前記蓄圧タンクと所定の排気先とを連通するガス通路と、前記ガス通路における前記排気管と前記所定の排気先との間に設けられ、全開する全開開度と全閉する全閉開度との間で開度を調整可能な圧力制御弁と、前記排気遮断弁及び前記圧力制御弁の開度を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧が終了したと判断された後、前記排気遮断弁の開弁を開始する前に、前記圧力制御弁の開弁を開始する。
【0011】
本発明の内燃機関蓄圧システムによれば、典型的には、内燃機関における各気筒に連通する排気マニホールドである排気管が、該排気管の下流側に設けられる排気遮断弁を閉弁することで密閉され、管内に排気圧が蓄圧されるよう構成されている。そして、該排気管と蓄圧タンクとを連通するガス通路が設けられており、該ガス通路に設けられる流量制御弁を開弁することで、蓄圧された排気が蓄圧タンクへと流入する。このとき、排気管内の排気圧が蓄圧により十分高まっているため、蓄圧タンク内に排気圧を蓄圧することが可能となる。このように蓄圧タンクに蓄圧された排気圧は、所定の供給先へと供給され、内燃機関に過給効果をもたらすよう用いられる。このとき、所定の供給先とは、例えば、排気管において排気遮断弁の上流側に設けられるターボ過給機のタービンなど、少なくとも、車両の加速時など、より大きなトルクが必要となる場合に、過給効果によってトルクの向上を実現可能である各種装置を示す趣旨である。
【0012】
その後、蓄圧タンクへの蓄圧が所定の目標タンク圧へと到達した場合など、該蓄圧タンクのタンク圧、排気管内の排気圧、また車両のアクセル開度に応じて、排気遮断弁及び圧力調整弁が開弁され、排気管内の排気が放出されて、排気圧が低下する。
【0013】
本発明では特に、排気遮断弁と圧力制御弁の開閉を制御する制御手段が設けられる。制御手段は、典型的には、当該蓄圧システムが搭載される車両に搭載されるECU(Engine Control Unit)であり、後述する種々のセンサから各種データの入力を受け、該データに基づき排気遮断弁及び圧力制御弁の開閉を制御する。
【0014】
具体的には、先ず制御手段は、車両の減速中などにおいて、排気遮断弁及び圧力制御弁を閉弁し、排気管内に排気圧を蓄圧させる。続いて、排気遮断弁の閉弁後に排気管内に蓄圧された排気圧が蓄圧タンク内のタンク圧よりも高い場合に流量制御弁を開弁する。このため、排気管内に蓄圧された排気が蓄圧タンクへと流入し、蓄圧タンクへの蓄圧が実施される。
【0015】
このとき、典型的にはECUである制御手段は、蓄圧タンクに設けられるタンク圧センサ、ガス通路内の排気圧を計測可能な排気圧センサ及び内燃機関に設けられるアクセル開度センサなどの種々のセンサ類に接続され、各種計測データの入力を随時受けている。
【0016】
そして、排気管内の排気圧、蓄圧タンク内のタンク圧、及び後述する車両のアクセル開度に基づいて、排気遮断弁と圧力制御弁の開度を調整するよう制御する。このとき、制御手段は、排気圧、タンク圧及びアクセル開度(ひいては、車速)に応じた排気遮断弁及び圧力制御弁の夫々の開度が予め設定されたマップを備え、該マップに沿って排気遮断弁及び圧力制御弁の夫々の開度を制御しても良い。
【0017】
このようなマップに示される制御手段の動作によれば、蓄圧タンクへの蓄圧が終了したと判断されたタイミング以降、排気遮断弁の開弁を開始する前に、圧力制御弁の開弁を開始する。尚、上述のマップにおける上述の動作を示す部位をマップAと便宜上記載する。
【0018】
このように蓄圧終了後の排気遮断弁の開弁による蓄圧された排気の解放前に、圧力制御弁か開弁されるため、排気管内に残存する高圧の排気は徐々に放出され、その排気圧が次第に低下していく。この後、好適には、後述するように排気管内に蓄圧されていた排気圧が所定の排気圧まで低下した時点以降に、排気遮断弁が開弁され排気の放出が実施される。尚、圧力制御弁の開弁後に排気遮断弁の開弁を開始するまでの時間間隔については、圧力制御弁の開弁に伴って排気管内に蓄圧される排気が放出され、少なくとも蓄圧終了後に排気遮断弁をそのまま開弁する場合と比較して、幾らかなりと排気管内の排気圧が低下していれば任意に設定可能である。このように設定されたマップAによれば、上述したように、排気管内に残留する高圧の排気圧のために排気遮断弁の前後の圧力差が大きくなることに起因する排気遮断弁の開弁に係る技術的な問題を好適に抑制することが可能となる。
【0019】
また、この態様においては、圧力制御弁は少なくとも、比較的低速に設定された所定の開速度を上回らない開速度において開弁するよう制御されていることが好ましい。このような所定の開速度とは、例えば、急激な排気の放出によって排気ブレーキの制動力に不具合の生じない程度の開速度であれば良く、これも実験やシミュレーション、その他何らかの手段によってあらかじめ設定されていることが好ましい。
【0020】
尚、この態様における排気遮断弁は、例えば、負圧式のアクチュエータなどである。
【0021】
制御手段は、上述した排気遮断弁及び圧力制御弁の開弁に関する各種パラメータ(例えば、タンク圧、排気圧、排気遮断弁の開度並びに圧力制御弁の開度及び開速度)があらかじめ設定されたマップが格納される記録装置などを備え、該マップを参照することで排気遮断弁及び圧力制御弁の開度を調整するよう構成されていても良い。
【0022】
このようにマップAに示される制御手段の動作によれば、蓄圧タンクへの蓄圧終了後に、排気管内に残留する排気を徐々に減少させた上で、排気遮断弁を開弁して排気の放出を行うため、急激な排気圧の低下に起因する排気ブレーキの制動力の悪化などの不具合を好適に抑制することが可能となる。このため、排気遮断弁の上流側に高圧の排気が残留することに起因して生じる種々の不具合を好適に抑制することが可能となる。
【0023】
尚、本発明の内燃機関蓄圧システムにおける所定の排気先とは、圧力制御弁の開弁によって、排気管内に蓄圧された排気を好適に放出可能な排気先を示す趣旨であり、典型的には、後に詳述するように吸気管(吸気マニホールド)や、排気管の下流側などである。
【0024】
本発明の内燃機関蓄圧システムの一の態様は、前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧中に前記車両のアクセル開度が上昇したと判断された後、前記蓄圧タンクへの蓄圧が終了したと判断された後の前記圧力制御弁の開弁における開速度と比較して高い開速度で前記圧力制御弁の開弁を開始するとともに、前記排気遮断弁の開弁を開始する。
【0025】
この態様によれば、制御手段は、上述のマップに示される動作に加えて、蓄圧タンクへの蓄圧中に、車両のアクセル開度が上昇したと判断された後、圧力制御弁の開弁を開始するとともに、排気遮断弁の開弁を開始するよう各部の動作の制御を実施する。
【0026】
このような圧力制御弁及び排気遮断弁の動作によれば、蓄圧タンクへの蓄圧中に、ドライバの操作などによって車両のアクセル開度が上昇した場合、排気遮断弁及び圧力制御弁が開弁され、典型的には、排気管内に残留する排気の放出が実施される。尚、該マップにおける上述の動作を示す部位をマップBと便宜上記載する。
【0027】
尚、この動作における排気遮断弁及び圧力制御弁の開弁速度は、比較的高速度に設定されており、少なくとも上述のマップAに示される排気遮断弁及び圧力制御弁の夫々の開弁速度より高く設定されている。また、このときの圧力制御弁の開弁位置(言い換えれば、開度)は、排気の放出流量を比較的多く確保出来る開度に設定されることが好ましい。
【0028】
また、この態様における制御手段は、排気遮断弁及び圧力制御弁の開弁後、所定のタイミングにおいて、圧力制御弁の閉弁を行うよう、圧力制御弁の動作を制御するよう構成されていても良い。このとき、所定のタイミングとは、例えば、排気圧がある程度減少するまでに要する時間であって、比較的短時間に設定されることが好ましい。
【0029】
このようにマップBに示される制御手段の動作によれば、排気圧の回収中に車両の加速が実施される場合に、迅速に排気管内の排気の放出を行うことで、排気管内の排気圧の上昇を抑制することが出来る。このため、排気管内の排気圧が上昇することに起因する、エンジントルク性能の悪化などを好適に抑制することが可能となる。
【0030】
以上説明したように、設定されたマップを用いて排気遮断弁及び圧力制御弁の夫々の開弁動作を制御することで、蓄圧タンクへの蓄圧中にアクセル開度が上昇した場合に排気管内に残留する排気圧によって生じる種々の不具合を好適に抑制することが可能となる。
【0031】
本発明の内燃機関蓄圧システムの他の態様は、前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧が終了したと判断された後の前記圧力制御弁の開弁時に、前記圧力制御弁の開度が前記全開開度より閉側の第一開度まで達した際に前記圧力制御弁の開弁を停止するとともに、前記排気管内における前記排気遮断弁の上流側の排気圧が少なくとも前記圧力制御弁の開弁時の排気圧より低い所定の排気圧以上である場合、前記排気遮断弁の開弁を禁止する。
【0032】
この態様によれば、上述のように設定されたマップAにおける圧力制御弁の開度が決定される。具体的には、マップAに示される制御手段の動作、蓄圧タンクへの蓄圧が終了したときに、圧力制御弁の開度を第一開度まで変更するように所定の開速度以下で圧力制御弁の開弁が開始される。
【0033】
ここに、圧力制御弁の第一開度とは、急激な排気の放出によって排気ブレーキの制動力に不具合の生じない程度の開度を示す趣旨であって、圧力制御弁の全開開度と比較して小さい(つまり、閉側である)。尚、このような第一開度を示す具体的なパラメータは、実験やシミュレーション、その他何らかの手段によってあらかじめ設定されていることが好ましい。
【0034】
また、この態様の制御手段は、蓄圧タンクへの蓄圧終了後に、排気管内の排気圧が上述の所定の排気圧以上である間は、排気遮断弁の開弁を禁止している。言い換えれば、蓄圧タンクの終了後であって、典型的には、圧力制御弁の開弁に伴って排気管内の排気圧が減少し、所定の排気圧を下回るなるまで、排気遮断弁は全閉位置を維持するよう制御されている。
【0035】
このため、排気遮断弁の前後の圧力差(つまり、上流側の排気管内の排気圧と、下流側の典型的には大気圧に近い圧力)がある程度緩和されるまで、排気遮断弁の開弁が行われない。従って、排気遮断弁の前後の圧力に大きな差がある状態で排気遮断弁が開弁されることに起因して、急激な排気圧の低下による排気ブレーキの制動力低下や、排気遮断弁のアクチュエータ系に大きな負荷がかかることを好適に抑制することが出来る。
【0036】
尚、制御手段が排気遮断弁の開弁を解禁するための所定の排気圧は、少なくとも蓄圧終了後の圧力制御弁の開弁開始時の排気管内の排気圧よりも低く設定されている。また、該排気圧とは、好適には、圧力制御弁の開弁などに伴って低減した排気管内の排気圧が排気遮断弁の開弁を行ったとしても、排気ブレーキなどに不具合が生じない程度の排気圧を示す趣旨である。このような所定の排気圧は、実験やシミュレーション、その他何らかの手段によってあらかじめ設定されていることが好ましい。
【0037】
以上、説明したように、このように圧力制御弁の開度が設定されるマップAを用いることで、急激な排気圧の低下をより好適に抑制出来、ひいては排気ブレーキの制動力の悪化をより好適に抑制することが出来るようになる。
【0038】
本発明の内燃機関蓄圧システムの他の態様は、前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧中に、前記車両のアクセル開度が上昇したと判断された後の前記圧力制御弁の開弁時に、前記圧力制御弁の開度が前記第一開度より開側の第二開度まで達した際に前記圧力制御弁の開弁を停止する。
【0039】
この態様によれば、上述のように設定されたマップBにおける圧力制御弁の開度が決定される。具体的には、マップBに示される制御手段の動作において、蓄圧タンクへの蓄圧中に、車両のアクセル開度が上昇した場合、圧力制御弁の開弁を開始する。また、制御手段は、該圧力制御弁の開度が前記第一開度より閉側の第二開度に達したときに、開弁動作を停止する。従って、圧力制御弁は、該圧力制御弁の開度が最大で第二開度となるまで開弁を行うよう設定されている。
【0040】
このときの圧力制御弁の第二開度は、排気の放出流量を比較的多く確保出来る開度に設定されるものであり、例えば、上述した圧力制御弁の第一開度より大きく(つまり、開側に)設定されている。
【0041】
このため、排気圧の回収中に車両の加速が実施される場合に、より迅速に排気管内の排気の放出を行うことが可能となり、好適に排気管内の排気圧の上昇を抑制すること出来る。従って、排気管内の排気圧が上昇することに起因する、エンジントルク性能の悪化などをより好適に抑制することが可能となる。
【0042】
本発明の内燃機関蓄圧システムの他の態様は、前記所定の排気先は、前記内燃機関に連通する吸気管である。
【0043】
この態様によれば、排気管内の排気が内燃機関における吸気側へと再導入される。つまり、この態様における内燃機関は所謂EGRシステムを搭載しており、圧力制御弁は公知のEGR弁としての機能を同時に有することとなる。このとき、ガス通路において、排気管から所定の排気先である吸気管を連通する部位は、所謂公知のEGR管であるよう構成されていることが好ましい。
【0044】
一般的に、EGR管と比較して排気管の方が径が大きく構成されている。このため、蓄圧終了後など、急激な排気の放出を行うことが出来ない場合には、EGR管及びEGR弁(つまり、圧力制御弁)を用いて排気の放出を行うことで、排気の放出量や放出速度の厳密な制御を行うことが容易となる。
【0045】
このように構成することで、排気管内の排気圧を好適に低減させるとともに、排気を吸気管へと再導入することで燃費の向上などの効果をも実現させることが可能となる。
【0046】
本発明の内燃機関蓄圧システムの他の態様は、前記所定の排気先は、前記排気管における前記排気遮断弁の下流側である。
【0047】
この態様によれば、排気管内の排気が排気遮断弁をバイパスして、下流側へと導入される。従って、排気遮断弁を開弁することなく、好適に排気を放出することが可能となる。
【0048】
このように構成することで、排気管内の排気圧をより好適に低減させることが可能となる。
【0049】
本発明の内燃機関蓄圧システムの他の態様は、前記圧力制御弁は、開度に応じて前記ガス通路の開口面積を可変とする弁装置である。
【0050】
この態様によれば、圧力制御弁は、制御手段による制御用のパルス信号などに基づいて、開度の増減が制御され、また該開度に応じてガス通路の開口面積が増減される。圧力制御弁は、例えば、ステッピングモータ式の弁装置であって良い。このように構成すれば、比較的高精度に開度及び開速度を調整することが可能となる。従って、排気の放出量及び排出速度の厳密な調整が可能となるため、排気の急激な放出に起因する排気ブレーキの制動力の低下などをより好適に抑制することが可能となる。
【0051】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る内燃機関蓄圧システムの構成を概念的に表す模式図である。
【図2】本発明に係る内燃機関蓄圧システム係る制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る内燃機関蓄圧システムにおける車速、排気圧並びに排気遮断弁及びEGR弁の開度の夫々の関係(マップ)を示す図である。
【図4】本発明に係る内燃機関蓄圧システムにおける車速、排気圧並びに排気遮断弁及びEGR弁の開度の夫々の関係(マップ)を示す図である。
【図5】本発明に係る内燃機関蓄圧システムの変形例の構成を概念的に表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
【0054】
(1)基本構成
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関蓄圧システムが組み込まれた内燃機関(以下、エンジンと称する)1を概略的に示す模式図である。
【0055】
図1に示されるように、本実施形態に係る蓄圧システム20は、例えば、エンジン1に設けられ、排気遮断弁10、EGR通路11、EGR弁13、排気圧センサ14、蓄圧タンク21、ガス通路22、流量制御弁23、タンク圧センサ24、ECU30及びアクセル開度センサ32等を含んで構成される。
【0056】
エンジン1は、車両に走行用動力源として搭載されるディーゼルエンジンであり、複数(図1の例では4つ)のシリンダ2を有する機関本体3と、各シリンダ2にそれぞれ接続される吸気通路4及び排気通路5とを備えている。吸気通路4には、吸気を濾過するエアクリーナ6と、ターボ過給機7のコンプレッサ7aと、吸気を冷却するためのインタークーラ8とが設けられている。排気通路5には、ターボ過給機7のタービン7bと、排気を浄化するための触媒コンバータ9と、排気通路5を全閉する全閉開度と排気通路5を全開する全開開度との間で開度を調整可能な排気遮断弁10とが設けられている。
【0057】
排気通路5と吸気通路4とは、本発明における「ガス通路」の一部を形成するEGR通路11にて連通されている。図1に示したようにEGR通路11は、排気通路5の一部を形成する排気マニホールド5aと吸気通路4の一部を形成する吸気マニホールド4aとを接続している。EGR通路11には、排気通路5から吸気通路4に導かれる排気(以下、EGRガスと称することがある)を冷却するためのEGRクーラ12、EGRガスの流量を調整するためのEGR弁13と、EGRガスの圧力(言い換えれば排気圧)に対応する信号を出力するための排気圧センサ14とが設けられている。
【0058】
本実施形態のエンジン1においては、本発明の「所定の排気先」の一具体例である吸気通路4(より詳細には、吸気マニホールド4a)が設定されており、EGR弁13は、EGR通路11と吸気マニホールド4aとの間に設けられている。
【0059】
EGR弁13は、本発明における「圧力制御弁」の一具体例であって、ECU30からの制御パルス信号に応じて、好適には、開度並びに開弁及び閉弁時の速度を比較的高精度で制御可能に構成される、例えばステッピングモータ式の弁装置である。このようなEGR弁13の開閉弁動作によれば、EGR通路11と吸気マニホールド4aとの間の連通状態を、遮断された状態から開通状態までの間で段階的、或いは無段階的に調節可能である。尚、その他、特に記載されること以外は、EGR通路11、EGRクーラ12及びEGR弁13などは、公知のEGRシステムの一部として動作するよう構成されていても良い。
【0060】
各シリンダ2には、シリンダ2内に燃料を噴射するための不図示のインジェクタ夫々設けられ、各インジェクタは、インジェクタに供給される高圧の燃料が蓄えられる不図示のコモンレールに接続されている。
【0061】
蓄圧タンク21は、加圧されたガスを溜めることが可能な圧力容器として構成されている。蓄圧タンク21には、ガスとして空気及び排気の少なくともいずれか一方が貯留される。また、蓄圧タンク21の内部には、例えば、ガスを吸着可能であると共に、吸着したガスを放出可能な物質より構成される不図示の吸着材が収容されており、好適なガスの蓄圧が可能となるよう構成されている。尚、このような吸着材の一例として、例えば活性炭が用いられるが、この他、ゼオライト、アルミナ、カーボンモレキュラーシーブなどが用いられてもよく、また、これらのうち複数の物質が混合されたものでも良い。蓄圧タンク21内には、このような吸着材がガスとともに外部に排出されることを防止するための仕切り板が設けられている。
【0062】
蓄圧タンク21は、ガス通路22にてEGR通路11と接続されている。ガス通路22は、本発明における「ガス通路」の一部を構成する部位であり、また、中には流量制御弁23が設けられている。流量制御弁23は、蓄圧タンク21の内部とEGR通路11とが接続されるようにガス通路22を全開する接続開度(以下、全開開度と称する)と蓄圧タンク21の内部とEGR通路11との接続が遮断されるようにガス通路22を全閉する遮断開度(以下、全閉開度と称する)との間で開度を段階的または連続的に調整可能であり、このため、ガス通路22を流れるガスの流量を制御することが出来る。蓄圧タンク21には、蓄圧タンク21内部の圧力(以下、タンク圧と称する)に対応する信号を出力するタンク圧センサ24とが設けられている。
【0063】
本実施形態における流量制御弁23の動作は、エンジンコントロールユニット(ECU)30にて制御される。ECU30は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータとして構成され、エンジン1に設けられた各種センサからの出力信号に基づいて排気遮断弁10、EGR弁13、及びインジェクタなどの動作をそれぞれ制御し、これによりエンジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータユニットである。ECU30は、例えばエンジン1の回転数が予め設定した所定の燃料カット回転数以上であり、かつアクセル開度が0%すなわちアクセルペダルが踏まれていない場合、各シリンダ2への燃料供給が停止されるように各インジェクタの動作を制御する。以下、この制御を燃料カット制御と称することがある。
【0064】
また、ECU30は、エンジン1の運転状態に応じて適正な量のEGRガスが吸気通路4に導入されるようにEGR弁13の開度を調整する。この他、ECU30はエンジン1の運転状態に応じて排気遮断弁10の開度を調整する。このような制御を行う際に参照するセンサとしてECU30には、例えばエンジン1のクランク軸の回転速度(回転数)に対応する信号を出力するクランク角センサ31及びアクセル開度に対応する信号を出力するアクセル開度センサ32などが接続される。また、ECU30には、排気圧センサ14及びタンク圧センサ24も接続される。尚、これらの他にもECU30には種々の不図示のセンサが接続されていても良い。
【0065】
ECU30は、燃料カット制御が実行されているときに蓄圧タンク21内に加圧されたガスを溜め、ターボ過給機7の動作をアシストする必要がある場合にそのガスがタービン7bに供給されるように蓄圧システム20を制御する。具体的には、蓄圧タンク21内に加圧されたガスを溜める場合、先ずECU30は、排気遮断弁10及びEGR弁13をそれぞれ全閉開度に切り替える。次に、ECU30は流量制御弁23を例えば、全開開度など、好適な排気の流入が可能となる開度に切り替える。これにより、蓄圧タンク21内に、EGR通路11及びガス通路22を介して排気通路5のガスを充填することが出来る。尚、燃料カット制御の実行中、シリンダ2から排気通路5には空気が排出されるので、蓄圧タンク21には主に空気が充填される。その後、ECU30は、タンク圧が典型的には予め設定される目標タンク圧となった時点で、蓄圧タンク21への蓄圧が終了したと判断し、流量制御弁23を閉弁する。
【0066】
これにより蓄圧タンク21内に目標タンク圧まで加圧されたガスを溜めることが出来る。尚、このような目標タンク圧は、少なくとも、幾らかなりとターボ7の動作をアシストすることが可能な圧力が設定される。
【0067】
蓄圧タンク21への蓄圧の終了後、排気通路5及びEGR通路11内には、まだある程度蓄圧された排気が残留している(例えば、目標タンク圧と同程度の排気圧)。ここで、本実施形態のECU30は、排気遮断弁10及びEGR弁13とを開弁させて、蓄圧された排気の放出を行う。このとき、本実施形態のECU30は特に、車両のアクセル開度(ひいては、車速)、排気通路5内の排気圧、蓄圧タンク21内のタンク圧など、種々のセンサより入力されるパラメータに応じて、排気遮断弁10及びEGR弁13の開閉を制御する。このようなECU30による、排気遮断弁10及びEGR弁13の開閉は、好適にはあらかじめ設定されるマップに従って、実施されるよう構成されることが好ましい。このようなECU30による排気遮断弁10及びEGR弁13の開閉制御動作については後に詳述する。
【0068】
ターボ過給機7の動作をアシストする必要がある場合、ECU30は先ずEGR弁13を全閉にする。次に、ECU30は流量制御弁23を全開開度に切り替える。これにより、蓄圧タンク21内のガスをガス通路22、EGR通路11、及び排気マニホールド5aを介してタービン7bに供給することが出来る。そのため、ターボ過給機7の動作をこのガスでアシストすることが出来る。その後、ECU30は、タンク圧が予め設定した供給終了圧力に達すると流量制御弁23を全閉開度に切り替える。また、ECU30は、EGR弁14の制御をエンジン1の運転状態に応じて開度を制御する通常制御に切り替える。尚、このように蓄圧タンク21内のガスをタービン7bに供給するため、タービン7bが本発明の所定の供給先に相当する。
【0069】
(2)基本動作
次に図2から図4を参照して、本実施形態に係る内燃機関蓄圧システムの基本的な動作の流れについて説明する。図2は、本実施形態に係る内燃機関蓄圧システムの基本的な動作の流れを示すフローチャートであり、図3及び図4は本実施形態に係る内燃機関蓄圧システムの動作における、車速、排気圧及びタンク圧に基づく、排気遮断弁10及びEGR弁13の夫々の開度を示すマップである。本実施形態においては、ECU30は、図3及び図4に示されるマップに基づいて、排気遮断弁10及びEGR弁13の開閉を制御する。
【0070】
本実施形態においては、燃料カット制御中に、主にECU30の制御のもと、図2のフローチャートに示されるよう各部の動作が実施される。
【0071】
先ず、ECU30は、上述した燃料カット制御が実施されている間に、蓄圧タンク21への蓄圧(言い換えれば、背圧回収)を開始する(ステップS101:Yes)。具体的には、排気遮断弁10及びEGR弁13を夫々全閉開度に切り替え(図3及び図4の「背圧回収制御開始」参照)、排気通路5及びEGR通路11内に排気圧を蓄圧する。そして、排気通路5及びEGR通路11内に蓄圧される排気圧が少なくとも蓄圧タンク21の内圧より高まった時点で、流量制御弁23を開弁する。これによって、蓄圧タンク21内に排気の充填が開始される。
【0072】
このとき、車両のアクセル開度に上昇が生じない場合(ステップS102:No)、次にタンク圧の判定が行われる(ステップS103)。そして、タンク圧が目標タンク圧に達している場合(ステップS103:Yes)、ECU30は、図3に示されるマップAに基づいて排気遮断弁10及びEGR弁13の開度の調整を開始する(ステップS104乃至ステップS106)。具体的には、EGR弁13を徐々に所定の第一開度まで開弁し、排気の放出が行われる。その後、排気圧が所定圧まで減少した時点で、EGR弁13の閉弁を開始するとともに、排気遮断弁10を全開開度まで開弁する。
【0073】
ここに、図2と併せて図3を参照して、このようなECU30によるマップAに基づく排気遮断弁10及びEGR弁13の開度の調整について詳細に説明する。図3に示されるように、先ずECU30は、背圧回収制御の開始とともに、排気遮断弁10及びEGR弁13を全閉開度まで切り替える。そして、タンク圧が目標タンク圧に達したことで、背圧回収が終了したと判断し、EGR弁13をあらかじめ設定される第一開度までを開弁させ、吸気通路4へと排気の放出を行う。このとき、ECU30は、EGR弁13の開速度が所定の開速度以下となるよう、EGR弁13の動作を制御する。このときのEGR弁の開速度及び第一開度とは、少なくとも排気の放出が十分に行える程度の開弁量を実現し得るものであって、また、急激な排気の放出に伴う排気通路5内の排気圧の低下に起因して、車両における排気ブレーキの制動量の低下が生じない程度に設定されている。
【0074】
そして、ECU30は、EGR弁13の開弁後、排気通路5内の排気圧が所定の排気圧まで低下したのちに(ステップS105:Yes)、EGR弁13の閉弁を開始するとともに、排気遮断弁10を全開開度まで開弁させる(ステップS106)。
【0075】
他方、背圧回収制御中に車両のアクセル開度に上昇が生じたこと(例えば、車両の加速が行われたこと)が検出された場合(ステップS102:Yes)、ECU30は、図4に示されるマップBに基づいて排気遮断弁10及びEGR弁13の開度の調整を開始する(ステップS107及びステップS108)。具体的には、排気遮断弁10を直ちに全開開度まで開弁するとともに、EGR弁13を直ちに所定の第二開度まで開弁する。
【0076】
ここに、図2と併せて図4を参照して、このようなECU30によるマップBに基づく排気遮断弁10及びEGR弁13の開度の調整について詳細に説明する。図4に示されるように、背圧回収制御中にアクセル開度が上昇し、車両の加速が行われた場合、ECU30は、EGR弁13を所定の第二開度まで素早く開弁させるとともに、排気遮断弁10を全開開度まで開弁させる。このとき、EGR弁13の第二開度とは、排気の放出流量が比較的多くなるよう適宜設定可能な開度であって、例えば上述の第一開度と比較してより大きい開度であることが好ましい。また、ECU30は、このときEGR弁13を比較的速い開速度で開弁するよう制御する。このときのEGR弁13の開速度は、例えば、上述のマップAにおけるEGR弁の開速度より速い開速度に設定されることが好ましい。また、ECU30は、排気遮断弁10及びEGR弁13の全開後に、所定のタイミングにおいて、EGR弁13の閉弁を実施しても良い(図4のマップ参照)。ここに、所定のタイミングとは、例えば、排気圧がある程度減少するまでに要する時間であって、典型的には、短時間に設定されることが好ましい。
【0077】
以上、説明したように図1に示される本発明の蓄圧システム20によれば、背圧回収の際に排気通路5内に残留する排気を好適に放出することが可能となる。
【0078】
例えば、図3のマップAに示されるように、ECU30は、背圧回収の終了とともに比較的低速度でEGR弁13を所定の第一開度まで開弁することで、排気通路5内に残留する排気を比較的緩やかに放出することが出来る。このため、典型的には減速中に行われる背圧回収の際に、排気通路5内に残留する排気を急激に放出することで、排気ブレーキの制動力が低減する事態を好適に抑制することが可能となる。そして、残留する排気の圧力が、排気ブレーキの制動力に影響の生じない程度の所定圧まで低下した時点で排気遮断弁10を全開開度まで開弁することで、残留する排気をより効率的に放出することが可能となる。また、排気遮断弁10の開弁前にEGR弁13を介して排気通路5内の排気圧を低減させるため、排気遮断弁10の上流及び下流における圧力差が減少し、高い圧力差に起因する排気遮断弁10の開き渋りなども好適に回避出来る。
【0079】
また、図4のマップBに示されるように、背圧回収時にドライバの操作などによってアクセル開度が上昇した場合、排気遮断弁10及びEGR弁13が開弁されることで排気通路5内に残留する排気を速やかに排出することが出来る。このときのEGR弁13の開度及び開弁速度は、典型的には上述のマップAに示されるEGR弁13の開弁速度より早く、且つ第一開度より大きく、少なくともマップAに示される排気の緩やかな放出と比較してより迅速な排気の放出を可能とする開度及び開弁速度が好ましい。このような構成によれば、アクセル開度の上昇によって排気通路5内の排気圧が高まる状況においても、排気の放出を好適に実施出来、エンジン1のトルク性能が低下するような事態を好適に抑制できる。
【0080】
結果、本発明の蓄圧システム20によれば、背圧の回収に伴ってドライバの運転に違和感を生じさせないよう排気の放出を実施することが可能となり、またアクセル開度の上昇によって背圧回収が中断された場合には、すみやかに排気の放出を行うことでエンジントルク性能の低下などが生じることが抑制される。
【0081】
(3)変形構成例
図5を参照して、本発明の実施形態に係る内燃機関蓄圧システムが組み込まれたエンジン1’の変形構成例について説明する。尚、図5において図1に示される基本構成と相違のない部分については、図1と同一の番号を付して図示されている。
【0082】
本変形構成例のエンジン1’に組み込まれる蓄圧システム20’においては、EGR通路11の代わりに排気バイパス通路15を介して、排気通路5とガス通路22とが連通される。また、排気バイパス通路15は、排気バイパス弁16を介して排気通路5(より厳密には、排気マニホールド5a)と、排気通路5における排気遮断弁10の下流側とを連通する。その他の構成については、図1に示される基本構成のエンジン1と同等であって良い。
【0083】
つまり、本変形構成例のエンジン1’は、「ガス通路」の一部としてのEGR通路11の代わりに排気バイパス通路15を備え、「圧力制御弁」としてのEGR弁13の代わりに排気バイパス弁16を備えて構成される。その他、特に記載しない点については、基本構成におけるEGR通路11及びEGR弁13と同等の構成であって良く、例えば、本変形構成例においては、ECU30は、EGR弁13の代わりに排気バイパス弁16の開度の制御を行う。
【0084】
従って、このような蓄圧システム20’においては、背圧回収後に排気通路5内に残留する排気は、排気バイパス通路15を通り、排気バイパス弁16を介して排気遮断弁10の下流側へと放出される。
【0085】
以上、説明したように図5に示される本発明の蓄圧システム20’の変形構成例によれば、排気遮断弁10をバイパスする排気バイパス通路15及び排気バイパス弁16によって、背圧回収の際に排気通路5内に残留する排気を好適に放出することが可能となる。このため、例えば何らかの事情によりEGRを可能とする設備を搭載していない車両であっても、上述した本発明の基本構成及び基本動作に係る作用及び利得を享受することが可能となる。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関用過給システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。例えば、本発明の内燃機関蓄圧システムはディーゼルエンジンに限らず、ガソリンその他の燃料を利用する各種の内燃機関に適用しても良い。また、蓄圧タンクに貯留されているガスの供給先はターボ過給機のタービンに限定されない。蓄圧タンクのガスは、内燃機関に設けられて加圧されたガスを使用する種々の機器に供給するよう構成されていても良い。
【0087】
また、図1に示されるEGR通路11及びEGR弁13を備える基本構成と、図5に示される排気バイパス通路15及び排気バイパス弁16を備える変形構成例とを組み合わせて適用しても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 エンジン、
4 吸気通路、
4a 吸気マニホールド、
5 排気通路、
5a 排気マニホールド、
7b タービン、
10 廃棄遮断弁、
11 EGR通路、
13 EGR弁、
14 排気圧センサ、
15 排気バイパス通路、
16 排気バイパス弁、
20 蓄圧システム、
21 蓄圧タンク、
22 ガス通路、
23 流量制御弁、
24 タンク圧センサ、
30 エンジンコントロールユニット(ECU)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される内燃機関に連通する排気管に設けられる排気遮断弁を閉弁することで排気圧を蓄圧し、該排気圧を所定の供給先へと供給可能な蓄圧タンクを備える内燃機関蓄圧システムであって、
前記排気遮断弁の上流において、前記排気管と前記蓄圧タンクと所定の排気先とを連通するガス通路と、
前記ガス通路における前記排気管と前記所定の排気先との間に設けられ、全開する全開開度と全閉する全閉開度との間で開度を調整可能な圧力制御弁と、
前記排気遮断弁及び前記圧力制御弁の開度を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧が終了したと判断された後、前記排気遮断弁の開弁を開始する前に、前記圧力制御弁の開弁を開始することを特徴とする内燃機関蓄圧システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧中に前記車両のアクセル開度が上昇したと判断された後、前記蓄圧タンクへの蓄圧が終了したと判断された後の前記圧力制御弁の開弁における開速度と比較して高い開速度で前記圧力制御弁の開弁を開始するとともに、前記排気遮断弁の開弁を開始することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関蓄圧システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧が終了したと判断された後の前記圧力制御弁の開弁時に、前記圧力制御弁の開度が前記全開開度より閉側の第一開度まで達した際に前記圧力制御弁の開弁を停止するとともに、前記排気管内における前記排気遮断弁の上流側の排気圧が少なくとも前記圧力制御弁の開弁時の排気圧より低い所定の排気圧以上である場合、前記排気遮断弁の開弁を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関蓄圧システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記蓄圧タンクへの蓄圧中に、前記車両のアクセル開度が上昇したと判断された後の前記圧力制御弁の開弁時に、前記圧力制御弁の開度が前記第一開度より開側の第二開度まで達した際に前記圧力制御弁の開弁を停止することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関蓄圧システム。
【請求項5】
前記所定の排気先は、前記内燃機関に連通する吸気管であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関蓄圧システム。
【請求項6】
前記所定の排気先は、前記排気管における前記排気遮断弁の下流側であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関蓄圧システム。
【請求項7】
前記圧力制御弁は、開度に応じて前記ガス通路の開口面積を可変とする弁装置であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関蓄圧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−7066(P2011−7066A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148756(P2009−148756)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】