説明

内燃機関

【課題】 構成部品点数の削減やコンパクト化等を実現した内燃機関を提供する。
【解決手段】 ブリーザチャンバカバー10には、上面にターボチャージャ21が取り付けられる一方、下面にエンジンオイル冷却用のオイルクーラ22が取り付けられる。ブリーザチャンバカバー10には、シリンダブロック1のメインギャラリに連結するオイルパイプ31の他、ラジエータホースおよびターボチャージャ冷却用のホースが接続されるコネクタ32、EGRクーラに冷却水を供給するためのホースが接続されるコネクタ33等が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用等に搭載される内燃機関に係り、詳しくは、構成部品点数の削減やコンパクト化等を実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の多気筒レシプロエンジンとしては、各気筒のシリンダ軸線を直線上に配置した直列型とともに、クランクケースの上部に複数のシリンダバンク(シリンダ列)を所定の角度間隔で形成したV型が古くから存在する。V型エンジンでは、一対のシリンダバンク間に、デッドスペースとしてV型断面の空間(以下、Vバンクと記す)が生じてしまう。そこで、Vバンクを有効に利用すべく、Vバンクの上部をブリーザチャンバカバー(蓋体)で覆うことによってブリーザチャンバを画成するもの(特許文献1参照)や、Vバンク内にターボチャージャ(過給装置)を遮蔽部材とともに設置することによってエンジンユニットのコンパクト化等を図るもの(特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】実公昭64−7209号公報
【特許文献2】特許3740935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のブリーザチャンバカバーは、比較的複雑な形状を有する板材であるが、ブリーザチャンバの画成だけに用いられており、エンジン構成部品点数の削減には寄与していない。また、特許文献2のターボチャージャは、オイル漏れ等に対処すべく遮蔽部材とともにVバンクの上部に締結される構成が採られているが、遮蔽部材が存在するによってエンジン構成部品点数が増大することが否めなかった。また、エンジンやターボチャージャには種々のオイル通路と冷却水通路とが設けられるが、これらオイル通路および冷却水通路を配管類(ホースやパイプ)で形成した場合、部品点数や組立作業工数が増大する問題があった。
【0004】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、構成部品点数の削減やコンパクト化等を実現した内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に係る内燃機関は、クランクケースの上部に所定の角度間隔をもって一対のシリンダバンクが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックの上面に締結されて前記一対のシリンダバンクとともにブリーザチャンバを画成するブリーザチャンバカバーとを備え、前記ブリーザチャンバカバーには、前記ブリーザチャンバ側の面にオイルクーラが取り付けられたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明に係る内燃機関は、請求項1に記載された内燃機関において、前記ブリーザチャンバカバーには、前記ブリーザチャンバとは反対側の面に過給装置が取り付けられたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載された内燃機関において、前記ブリーザチャンバカバーには、エンジンオイルが流通するオイル通路が形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関において、前記ブリーザチャンバカバーには、エンジンオイルの冷却に供される冷却水が流通する冷却水通路が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、ブリーザチャンバカバーがオイルクーラの支持部材を兼用するために構成部品点数が減少するとともに、オイルクーラがブリーザチャンバ内に収容されるためにエンジンユニットのコンパクト化も実現される。また、請求項2の発明によれば、ブリーザチャンバカバーがターボチャージャの支持部材を兼用するために構成部品点数が減少するとともに、ターボチャージャがVバンク内に収容されるためにエンジンユニットのコンパクト化も実現される。また、請求項3の発明によれば、エンジンまわりのオイルホースやオイルパイプの本数が少なくなり、部品点数や組立作業工数を削減できる。また、請求項4の発明によれば、エンジンまわりのウォータホースやウォータパイプの本数が少なくなり、部品点数や組立作業工数を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明をV型6気筒エンジンに適用した一実施形態を詳細に説明する。
図1は実施形態に係るエンジンの要部を示す斜視図であり、図2は実施形態に係るエンジンの要部を示す分解斜視図であり、図3は実施形態に係るエンジンの要部縦断面図であり、図4は実施形態に係るブリーザチャンバカバーを斜め上方から視た斜視図であり、図5は実施形態に係るブリーザチャンバカバーを斜め下方から視た斜視図である。
【0011】
図1〜図3に示すように、エンジンEのシリンダブロック1は、クランクケース2の上部に各3気筒の左右シリンダバンク3,4を所定の角度間隔をもってV型に配置したものであり、図2に示すように、その上部には左右シリンダバンク3,4と前後壁部5,6とによって囲まれた凹部7が形成されている。シリンダブロック1の上面にはブリーザチャンバカバー10が締結され、図3に示すように、このブリーザチャンバカバー10と凹部7とによってブリーザチャンバ11が画成される。なお、図3に示すように、シリンダブロック1には、クランク室16とブリーザチャンバ11とを連通する下部連通孔12と、ブリーザチャンバ11と左右シリンダヘッド(図示せず)とを連通する上部連通孔13,14とが穿設されており、クランク室16内のブローバイガスがこれら連通孔12〜14を介してシリンダヘッドに導かれる。また、シリンダブロック1の前後壁部5,6にはバランサシャフト15が回動自在に保持されている。
【0012】
図2に示すように、ブリーザチャンバカバー10には、上面にターボチャージャ21が取り付けられる一方、下面にエンジンオイル冷却用のオイルクーラ22が取り付けられる。ブリーザチャンバカバー10には、シリンダブロック1のメインギャラリ(図示せず)に連結するオイルパイプ31の他、ラジエータホースおよびターボチャージャ冷却用のホース(図示せず)が接続されるコネクタ32、EGRクーラ(図示せず)に冷却水を供給するためのホースが接続されるコネクタ33等が取り付けられている。
【0013】
図4,図5に示すように、ブリーザチャンバカバー10には、その上面にターボチャージャ21が締結されるターボチャージャ締結座41が形成され、その下面にオイルクーラ22が締結されるオイルクーラ締結座42が形成されている。ターボチャージャ締結座41には、ターボチャージャ21にエンジンオイルを供給するためにオイル供給孔43と、ターボチャージャ21からのエンジンオイルが排出されるオイル排出孔44とが穿設されている。また、オイルクーラ締結座42には、オイルクーラ22に冷却水を導入する冷却水導入孔45、オイルクーラ22からの冷却水が排出される冷却水排出孔46、オイルクーラ22にエンジンオイルを導入するオイル導入孔47、オイルクーラ22からのエンジンオイルが排出されるオイル排出孔48が穿設されている。
【0014】
ブリーザチャンバカバー10の下面には、シリンダブロック1からのエンジンオイルが供給されるオイル供給孔49、シリンダブロック1からの冷却水が供給される2つの冷却水供給孔50,51、オイルクーラ22で冷却されたエンジンオイルをバランサシャフト15のジャーナルに供給するオイル供給孔52,シリンダブロック1にエンジンオイルを還流させるオイル排出孔53等が穿設されている。なお、図4,図5中において、黒塗りの矢印はエンジンオイルの流れを示し、白抜きの矢印は冷却水の流れを示している。
【0015】
上述したように、本実施形態では、ブリーザチャンバカバー10が、ターボチャージャ21やオイルクーラ22の支持部材を兼ねるとともに、エンジンオイルや冷却水の通路を備えるようにしたため、エンジンEの構成部品点数や組立作業工数を大幅に削減することができる。
【0016】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態ではブリーザチャンバカバーにターボチャージャとオイルクーラとを支持させるようにしたが、他の補器類等を支持させるようにしてもよい。また、ブリーザチャンバカバーの具体的形状やエンジンオイルや冷却水の具体的通路構成等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るエンジンの要部を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るエンジンの要部を示す分解斜視図である。
【図3】実施形態に係るエンジンの要部縦断面図である。
【図4】実施形態に係るブリーザチャンバカバーを斜め上方から視た斜視図である。
【図5】実施形態に係るブリーザチャンバカバーを斜め下方から視た斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 シリンダブロック
3 左シリンダバンク
4 左シリンダバンク
7 凹部
10 ブリーザチャンバカバー
11 ブリーザチャンバ
21 ターボチャージャ
22 オイルクーラ
32 コネクタ
33 コネクタ
41 ターボチャージャ締結座
42 オイルクーラ締結座
43 オイル供給孔
44 オイル排出孔
45 冷却水導入孔
46 冷却水排出孔
47 オイル導入孔
48 オイル排出孔
49 オイル供給孔
50 冷却水供給孔
52 オイル供給孔
53 オイル排出孔
E エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケースの上部に所定の角度間隔をもって一対のシリンダバンクが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックの上面に締結されて前記一対のシリンダバンクとともにブリーザチャンバを画成するブリーザチャンバカバーとを備え、
前記ブリーザチャンバカバーには、前記ブリーザチャンバ側の面にオイルクーラが取り付けられたことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記ブリーザチャンバカバーには、前記ブリーザチャンバとは反対側の面に過給装置が取り付けられたことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記ブリーザチャンバカバーには、エンジンオイルが流通するオイル通路が形成されたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記ブリーザチャンバカバーには、エンジンオイルの冷却に供される冷却水が流通する冷却水通路が形成されたことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−47110(P2009−47110A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215373(P2007−215373)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】