内装トリム部品を製造する方法
本発明は、特殊な射出成形プロセス及び選択的な裏打ち発泡プロセスを特徴とする内装トリム部品を製造する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両の内装用の内装トリム部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形品を製造するための射出法及び圧縮成形法が(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1995034号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れた外観品質の設計を有する内装トリム部品の製造費用を低減することができる方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴を有する方法によって実現される。その他の実施形態は、これらの独立請求項を参照する従属請求項に規定されている。
内装トリム部品を製造する本発明の方法は、具体的には、
・任意選択によって膜を第1成形型部材内に配置するステップであって、膜は、少なくとも第1成形型部材の対象エリアにわたって延在している、ステップと、
・膜を第1成形型部材内において固定するステップと、
・少なくとも1つの第2成形型部材によって鋳型を閉鎖するステップと、
・第1トリム部品セクションを製造するために、膜と少なくとも1つの第2成形型部材との間の容積内への射出成形プロセスを実行するステップと、
・第1トリム部品セクションを取り外し、且つ、第2トリム部品セクションと組み合わせるステップと、
・第2トリム部品セクションを選択的に裏打ち発泡するステップと、
を特徴とする。
【0006】
本発明の方法によれば、内装トリム部品を製造するために、具体的には、
・膜(20)を第1成形型部材(32)の第1外形表面(36)上に配置し、且つ、膜(20)を第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
・膜(20)を第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
・互いに対して閉鎖位置を実現するために、第2外形表面(37)を有する第2成形型部材(34)を第1成形型部材(32)上に配置するステップであって、第2外形表面が第1成形型部材(32)の第1外形表面(36)の上方において平らな広がりとして少なくとも局部的に延在すると共に第1及び第2外形表面(36、37)が成形型部材(32、34)の閉鎖位置において協働して空洞(39)を形成するように、第2外形表面(37)は実現されており、且つ、前記空洞は、前記外形表面の間に位置しており、且つ、膜(20)からなる少なくとも部分的な鋳型内積層のために、注入される材料を収容するように機能する、ステップと、
・膜の第1トリム部品セクション(12)を生成するために、膜(20)と少なくとも1つの第2成形型部材(32)との間の空洞(39)内への射出成形プロセスを実行するステップと、
・支持構造を硬化させ、且つ、膜(20)が接続された支持構造を第1トリム部品セクション(12)として取り外すステップと、
・トリム部品セクション(14)が、第1露出可視面部(15)と、外側面(14a)上の膜(29)の接続部(26)と接触状態にある接続部(16)と、を形成し、且つ、第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を少なくとも部分的に裏打ち発泡及び接続するための空洞(H2)が、第2トリム部品セクション(14)の裏面(14b)と第1トリム部品セクション(12)との間に部分的に形成されるように、可視面の形態において部分的に実現された外側面(14a)と、外側面の反対側に位置する裏面(14b)と、を有する第2トリム部品セクション(14)を配置するステップと、
・第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を部分的に裏打ち発泡及び接続するステップと、
を実行することが提案されている。
【0007】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜の挿入は実行されない。この場合には、膜を伴うことなしに、但し、同一の手段を伴って、追加のステップが実行される。
本発明の方法の一実施形態によれば、膜には、切抜き、少なくとも1つの弱化ライン、又はその両方が設けられ、この弱化ラインは、膜が鋳型内に配置された際に、成形型部材の少なくとも一方の外形表面内の少なくとも1つの隆起部又は凹入部に対応しており、且つ、この隆起部又は凹入部の少なくとも一部が形成される領域は、製造対象の内装トリム部品内に開口部を形成するために、除去されることが更に提案される。
【0008】
内装トリム部品を製造するために、射出成形プロセスの第1ステップにおいて、全体的に射出成形品の形態を有する第1トリム部品セクションが製造され、且つ、第2ステップにおいて、この第1トリム部品セクションが第2トリム部品セクションと組み合わせられる。射出成形品は、ポリプロピレン材料から製造してもよい。この方法を自動車のインストルメントパネルに使用する場合には、射出成形品は、ある意味において、インストルメントパネル用の支持部材として使用され、第2トリム部品セクションは、光学的に且つ更には触感的にも魅力的な材料を特徴とすると共に第1トリム部品セクションの形態を有するこの支持部材の少なくとも一部を覆っている。例えば、第2トリム部品セクションは、回転数、速度、又は消費量の表示要素の境界を形成してもよい。第1内装トリム部品セクションは、支持構造と膜とを特徴とし、この膜は、この支持構造を少なくとも部分的に被覆又はラミネートし、且つ、車両内への内装トリム部品の設置の際に内装内の乗員エリア又は着座エリアから遠くに位置する領域内に、即ち、第1内装トリム部品セクションと、自動車本体へのフロントガラスの接続点、即ち、インストルメントパネルの場合には、第2内装トリム部品セクションとの間に、位置しており、第2内装トリム部品セクションは、少なくとも乗員に多少近接して位置する領域内に位置している。これらの手段に起因し、支持要素は、必要とされる安定性との関係において適切な材料から製造することが可能であり、且つ、膜の使用を必要とするのは、設置後に自動車の運転者にとって部分的に可視状態に留まる領域のみである。それにも拘わらず、この結果、完全に魅力的な内装トリム部品が得られ、この内装トリム部品は、乗員の乗降エリア内における触感の観点においても、快適である。自動車の運転者の視野が反射によって制限されないように膜が相応して選択されている場合には、特に、膜を有する第1内装トリム部品の外側面は、わずかな反射性のみを有すると共に艶消しの方式によって実現してもよい。特に、内装トリム部品の粒状の領域は、従来の費用効率に優れた製造法に起因し、艶を有しており、且つ、反射性を有する。膜は、フロントガラスに位置すると共に可視ハードエリア内において後退させて、即ち、「隠れる」ように、配置してもよいため、支持構造の安定性を改善すると共に費用を更に低減するべく、PP GF材料タイプ又はLGF材料タイプを利用することができる。
【0009】
従って、本発明の方法は、基本的に、2つの主要なステップを特徴としている。第1ステップにおいては、特殊な射出成形プロセスが実行され、第2ステップにおいては、選択的な裏打ち発泡が実行される。この射出成形プロセスは、既知の方法のように単純な射出成形品を製造するのではなく、むしろ、射出成形プロセスに先立って膜を射出鋳型内において固定しているという事実との関係において、特殊である。この膜は、剥き出しの射出成形材料との比較において艶消し表面を有すると共に、特に、少なくとも後で自動車の乗員から直接見える状態となる面上において反射防止性を有するように、最適化されている。又、この膜は、その触感との関係において改善された接触特性をも有する。この改善された接触特性とは、例えば、接触抵抗、接触温度、又は表面テクスチャを意味している。
【0010】
従って、要すれば、この挿入された膜は、例えば、インストルメントパネルとしてのその後続の設置後の可視面上における射出成形プロセスによって製造された第1トリム部品セクションの光学的及び触感的特性を改善していると表現することができる。この観点においては、膜が第1成形型部材内に配置される際に、後で可視面に位置する膜の面が予め規定されるように、この射出成形プロセスを実行することが重要である。これは、膜に対して鋳型内積層のみが適用されるという事実、即ち、膜と第2成形型部材との間の容積のみが射出成形材料によって充填されるという事実に起因し、保証されている。
【0011】
射出成形プロセスの完了後に、第1トリム部品セクションは、半完成品の形態において、又は換言すれば、中間製品の形態において、得られ、この中間製品は、射出成形材料の支持構造と、少なくともいくつかの部分に存在する膜の形態のカバー部材と、を特徴としている。この場合に、その上部に膜が延在している部分、即ち、対象エリアは、具体的には、例えば、インストルメントパネルなどのように、自動車内への設置の後に第2トリム部品セクションとの組合せにおいて自動車の乗員から直接見える状態となるエリアを有する。
【0012】
第2トリム部品セクションの選択的な裏打ち発泡は、本発明の方法の第2ステップにおいて実行される。このプロセスにおいて、有利には、第1トリム部品セクションと第2トリム部品セクションは、第2トリム部品セクションが、膜によってカバーされていないまさにそのエリアをカバーするように、組み合わせられる。特にきれいな遷移部を得るためには、膜を有するエリアと第2トリム部品セクションによってカバーされる第1トリム部品セクションのエリアが、射出成形品の基礎をなす材料が交差地点において直接見えないように、交差することが有利であろう。
【0013】
この場合に、第2トリム部品セクションの選択的な裏打ち発泡は、有利には、第1トリム部品セクションを通じて実行される。例えば、第1トリム部品セクションには、開口部が設けられ、この開口部を通じて選択的な裏打ち発泡を実行することができる。選択的な裏打ち発泡は、ユーザにとっての第2トリム部品セクションの触感を改善するという目的を有する。裏打ち発泡によれば、非常に柔らかい触感を第2トリム部品セクションに提供することができる。従って、これら2つの本発明のステップの組合せの結果として、その触感的特性のみならず、その光学的特性との関係においても最適化された内装トリム部品が得られ、この場合には、最適化が、第1トリム部品セクション上において、且つ、第2トリム部品セクション上において、実現されている。これら2つの改善された個別のステップを利用することにより、ユーザのための完全に改善された、即ち、内装トリム部品の可視面上における2つの個別のステップの痕跡を伴わない内装トリム部品が製造される。むしろ、この内装トリム部品の全体は、自動車の乗員にとっては、光学的且つ触感的な観点において高品質を有するように見える。
【0014】
更には、本発明の方法は、第1成形型部材に面する少なくとも第1面上に触感的及び光学的の少なくとも何れかに最適化された表面を膜が有するように拡張することができる。この文脈においては、触感的最適化とは、ユーザが表面に触れた際に高品質の感じ又は印象が生成されることを意味している。この本質的な価値は、具体的には、従来の滑らかなプラスチックとは明瞭に区別可能な材料品質を意味している。これは、例えば、改善された接触温度によって、低減又は増大された表面粗度によって、或いは、表面抵抗特性によっても、実現してもよい。この文脈において、「光学的最適化」とは、例えば、艶消しの又は反射防止性の光学的な外観を有する表面を意味している。又、ユーザのためのその高品質の外観に加えて、このような艶消し表面は、運転者のエリア内に入射する日光の反射を防止し、且つ、これにより、自動車の運転中の安全性を改善するという利点をも提供する。
【0015】
本発明の方法の選択的な裏打ち発泡ステップを第1トリム部品セクションを通じて第1トリム部品セクションと第2トリム部品セクションとの間の中間の空間内に実行することが更に有利であろう。この結果、第1トリム部品セクションによって選択的な裏打ち発泡用の境界が同時に形成される。裏打ち発泡材料が第1トリム部品セクション上において十分な接着性をも有することを保証するために、裏打ち発泡プロセスに先立って、特に膜によってカバーされていないエリアに対して火炎処理を施すことが有利であろう。この結果、火炎処理に起因し、第1トリム部品セクションの表面は、裏打ち発泡材料が優れた接着性を有するように、変化する。この場所においては、膜の表面に対する火炎処理の効果は無意味であり、その理由は、相応して製造されたインストルメントパネルがその内部に設置されるこの場所は、第2トリム部品セクションとの交差に起因し、自動車の乗員から直接見えないためである。但し、車両内において後から可視状態となるエリアを火炎処理の影響から保護するために火炎処理用のマスク又はステンシルを使用する必要がある。中間の空間内への選択的な裏打ち発泡は、使用する必要のある裏打ち発泡の材料が相対的にわずかであるという更なる利点を有する。この観点において、望ましい触感を実現するために、且つ、圧力がユーザによってその上部に印加された際に第2トリム部品セクションとの関係において第1トリム部品セクションを支持するために、必要とされる最少量の裏打ち発泡材料を利用することで十分である。第1及び第2トリム部品セクションの間のこの中間の空間と、これに対応した裏打ち発泡プロセスと、が伴わない場合には、裏打ち発泡材料を格段に大きな容積に対して注入することが必要となり、その結果、裏打ち発泡プロセスに所要する時間量が増大するのみならず、必要とされる追加の材料に起因して費用も増大することになろう。
【0016】
少なくとも第1成形型部材に面する膜の第1面の表面が可塑性変形するように、膜が射出成形プロセスに起因して第1成形型部材に対して押圧されることが更に有利であろう。この結果、本発明の方法は、射出成形ステップとの関係において更に最適化される。これは、可視面上における膜の最終表面が射出成形プロセスの時点まで形成されないことを意味している。この表面形成は、射出成形ステップの不可欠の部分である。膜の裏面、即ち、第2面上において射出成形プロセスによって生成される圧力に起因し、この膜は、膜の第1面の表面に第1成形型部材のネガティブ表面パターンを刻印するために、十分強力に第1成形型部材内に押圧される。この表面は、別の方法によって設計してもよい。例えば、膜が艶消しの且つ反射防止性を有する光学的な外観を有するのみならず、高品質を有しているように見えるように、粒状の皮革に対して表面構造を適合させることもできる。この場合には、例えば、ブラシをかけた金属、炭素構造、又はその他の技巧的な構造などのように、高品質な効果を有するその他の表面構造を実現してもよい。
【0017】
可能な限り容易に膜を鋳型から取り外すことが可能であると共に、射出成形プロセスにおいて可能な限りきれいに、即ち、膜に発生可能な皺を最小限に維持しつつ下部成形型部材内に膜を押圧することができることを保証するために、そのネガティブ表面構造の深さが第1トリム部品セクション上に生成されるポジティブ表面構造の深さを10%〜30%上回っている第1成形型部材により、可塑性変形を生成することが有利であろう。0.2mm〜0.7mmの厚さのフォイルを使用する際には、高品質を有する望ましい表面構造が射出成形プロセスによって第1トリム部品セクションの可視面上に生成されない可能性がある。特に、例えば、粒状化の深さなどの表面構造の深さとの関係において表面構造が望ましい品質及び鮮明度を有することを保証するためには、相応して粗くなるように、ネガティブ表面構造を選択する必要がある。驚いたことに、この場合には、0.2mm〜0.7mmの厚さを有する膜は、10%〜30%だけの第1成形型部材のネガティブ表面構造の増大を補償し、且つ、高品質表面の外観を提供することが判明した。換言すれば、本発明によれば、第1成形型部材のネガティブ表面構造の深さとして、第1トリム部品セクションの望ましいポジティブ表面構造の深さの110%〜130%が使用される。
【0018】
この結果、射出成形品の、即ち、第1部品トリムセクションの不合格率が極小化され、且つ、実現可能な膜表面の光学的な外観も更に改善される。
本発明の方法における射出成形プロセスには、PP−GF材料又はPP−LGF材料を利用することが有利であろう。この場合に、PPGFとは、通常の又は短い繊維(≦5mm)を有するグラスファイバ強化ポリプロピレンを意味しており、PP LGFとは、長いグラスファイバ(>5mm)を有するポリプロピレンを意味している。第1トリム部品セクションの射出成形プロセスにおけるグラフファイバ強化ポリプロピレンの利用を可能にするのは、本発明の方法のみである。このタイプの材料は、その光学的な外観との関係において非常に見苦しく、従って、ユーザは、粗悪品質の材料として感じることになる。しかしながら、これらの材料によれば、同時に、相対的にわずかな材料の使用により、機械的負荷との関係において高い安定性を実現することができる。しかしながら、特に自動車の構造に使用される材料の光学的な劣等性は、ユーザによるその自動車の評価及び品質の査定に対して大きな影響を及ぼし、その結果、このタイプの材料は、いままで使用することができなかった。本発明の方法を利用することによってのみ、このタイプの相対的に安定した材料の利用が可能となり、且つ、これにより、相対的に少ない材料を使用して相対的に大きな安定性を実現すると共に自動車の乗員のための高品質材料の外観を実現することが可能となる。
【0019】
第1成形型部材に面する少なくとも第1面上のTPOの層を膜が特徴としていることが更に有利であろう。この文脈において、TPOとは、熱可塑性物質、特に、オレフィンに基づいた熱可塑性物質を意味している。熱可塑性物質の利用は、射出成形プロセスに必要とされる射出成形材料によって射出成形プロセスが実行される間に、熱の形態のエネルギーが成形型部材内に供給されるという利点を有する。射出成形材料が、容積を占有し、且つ、これにより、膜を下部成形型部材に対して押圧するという事実に加えて、膜は、供給されるエネルギー及び膜の熱可塑性の設計に起因し、少なくとも特定のエリア内において部分的に溶解又は軟化する可能性がある。この軟化により、膜の可視面上に構造化表面を生成するための膜表面の弾性変形が容易になる。射出成形プロセスの完了後に、具体的には射出成形材料の冷却後に、鋳型及び膜表面も冷却される。ある意味においては、射出成形プロセスに起因して間接的に生成された膜の表面構造も冷却され、且つ、この表面構造は、その利用の際に発生する温度範囲においては、剛性の状態に、且つ、少なくとも可塑性変形不能な状態に、留まる。
【0020】
膜が射出成形プロセスにおいて規定の位置に留まることを保証するために、鋳型を閉鎖する前に膜を第1成形型部材内において固定することが有利であろう。このような固定プロセスにおいては、膜が最終的な位置に移動するための十分な自由空間を残しつつ、膜が場所に対して十分強力に接着することが重要である。この最終的な位置は、下部成形型部材によって規定され、挿入された膜は、特に、射出成形材料の注入に起因し、射出成形プロセスにおいて、この位置に移動すると共にこの位置に押圧される。膜が過剰に強力に固定された場合には、膜が膨張し、これにより、異なる膜厚さが生じる場合があり、或いは、場合によっては、膜が断裂し、これにより、製造中の第1トリム部品セクションを不合格としなければならない場合がある。
【0021】
本発明の方法においては、膜の固定は、様々な方法によって実現してもよい。例えば、接着剤又は粘性接着剤の形態を有する固定装置の支援により、膜を固定することも可能であろう。このような接着剤の利用は、膜が複雑な形状を有すると共に膜を複数の場所において固定する必要がある場合には、特に好適である。接着剤による固定は、好ましくは、射出成形プロセスの完了後に、第1トリム部品セクションから、具体的には、膜から、接着剤を容易に除去することができるように、実現される。接着剤は、射出成形プロセスにおける膜表面構造の形成を損なうことのないように、配置されることが更に有利である。
【0022】
接着剤の利用の代わりに又はこれに加えて、クランプ装置の形態の固定装置を提供することも有利であろう。このタイプのクランプ装置は、例えば、膜の位置を固定するための機械的なピン、或いは、場合によっては、クランプを有してもよい。この場合には、機械的なピンは、例えば、膜内の凹部又は孔に対応したものであってよく、クランプは、そのエッジにおいて膜を定位置にクランプすることができる。この場合には、孔も、そして、クランプも、第1トリム部品セクションの最終的な形状及び膜の表面構造に対して影響を及ぼさないことが必要である。その製造後に可視状態となる内装トリム部品のエリア外にクランプ装置の形態の固定装置を配置することが有利であろう。特に、膜のオーバーラップを実現することが可能であろう。この場合には、クランプ装置は、クランプ装置によって発生可能な損傷をこれらのエリアと共に後から除去することができるように、オーバーラップしたエリア内に配置される。又、負圧によって膜を固定することも想定されよう。この場合には、固定装置は、規定の位置に膜を固定するための膜用の吸入孔の形態において実現される。
【0023】
更に良好に膜を適合させるために、膜を鋳型内に配置する際に成形型部材の少なくとも一方の隆起部又は凹入部に対応した切抜きを膜に設けることが有利であろう。例えば、これらの切抜きは、多くの場合に、ラウドスピーカ又は換気ダクト用の自動車のインストルメントパネル上の取付具又は開口部を生成するために内装トリム部品を使用することができる膜のエリア内に設けられる。特に、フロントガラス用の換気システムは、通常、ちょうどこのエリア内に開口部を必要としている。これらの開口部は、有利には、既定の破壊点の形態を有する非常に薄い材料橋絡部のみがこれらのエリア内に留まるか又はこれらのエリアに射出成形材料が注入されないように、凹入部又は隆起部の形態において2つの成形型部材内に実現される。有利には、これらのエリア内において、膜にも、同様の切抜きが設けられ、これは、隆起部が成形型部材内に設けられると共に対応する切抜きが膜内に設けられた場合には、これらの隆起部も、膜用の固定装置の機能を果たすことができるという更なる利点と関連している。
【0024】
射出成形プロセスを更に最適化するためには、膜と第1成形型部材との間の空間内に負圧を生成するために第1成形型部材内に空気流路を設けることが有利であろう。これは、第1トリム部品セクションの製造の際に、皺が、更に極小化され、又は場合によっては、完全に防止されるという利点を有する。この場合には、射出成形プロセスにおいて、即ち、液体射出成形材料が膜と第2成形型部材との間の容積に流入している間に、第1成形型部材と膜との間の容積が空気流路を介してゆっくりと排気される。この排気に起因して印加される負圧により、この第1成形型部材の方向への膜の移動が促進される。この結果、第1膜は、一方においては、負圧に起因して第1成形型部材に対して引っ張られ、且つ、他方においては、流入する射出成形材料によって背後から第1面が押圧される。これらの手段に起因し、相対的に低い射出成形圧力によって動作し、これにより、相対的に高品質の製品を得ることも可能となる。又、この結果、膜と第1成形型部材との間に相対的に高い変形圧力を生成し、且つ、これにより、膜の上部面の優れた且つ相対的に正確な弾性変形を実現することも可能となる。
【0025】
本発明の別の目的は、本発明の方法を実行する装置である。この装置は、必要とされるステップのための対応する要素を特徴としている。特に、少なくとも2つの成形型部材を有する射出鋳型と、選択的な裏打ち発泡ステップを実行するための第2装置と、が必要とされる。
【0026】
本発明の装置においては、具体的には、第1成形型部材は、0.5mm以上の半径のみが提供されるように実現されている。このサイズの半径のみが提供されるため、第1成形型部材からの第1トリム部品セクションの取り外しが容易になり、且つ、射出成形プロセスにおける膜内の皺の形成のリスクが低減される。
【0027】
本発明の更に別の目的は、本発明の方法によって製造された内装トリム部品である。
以下、添付の図面を参照し、本発明について更に詳細に説明する。この観点において、「下部」、「上部」、「左」、及び「右」という用語は、通常の読みやすい参照符号を有するこれらの図面の向きを意味している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1及び第2成形型部材を有する本発明の製造装置の一実施形態の斜視図を示す。
【図2】本発明の製造装置の第1成形型部材の別の実施形態の断面図と、本発明の方法の第1ステップの図と、を示しており、この場合に、類似の製造装置が図1のライン2−2に沿った断面の形態において示されている。
【図3】図2の実施形態の第1成形型部材の及び図1のライン2−2に沿った本発明による製造装置の第2成形型部材の一実施形態の類似の断面図と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図4】図3の断面図の形態における本発明の製造装置の第1及び第2成形型部材と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図5】図3の断面図の形態における本発明の製造装置の第1及び第2成形型部材と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図6】図1のライン2−2に沿った本発明の製造装置の第1及び第2成形型部材の類似の断面図と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図7】鋳型部材から取り外された半完成品のトリム部品セクションを示す。
【図8】更に処理された第1トリム部品セクションを示す。
【図9】内装トリム部品の一実施形態を示す。
【図10】本発明の内装トリム部品の一実施形態を示す。
【図11】本発明のプロセスステップの代替実施形態を示す。
【図12】図11の方法の別のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の製造装置50の第1実施形態の一部を示している。方法の第1ステップにおいて、この装置50は、鋳型又は成形型30を特徴としており、この鋳型又は成型型30は、2つの部分的な鋳型又は成形型部材32及び34を有する。この場合には、第2成形型部材34は、例示を目的として、上部成形型部材として示されており、且つ、第1成形型部材32は、例示を目的として、下部成形型部材として示されている。下部成形型部材32は、具体的には、型取付装置上に取り付けてもよく、且つ、これにより、静止状態において配置してもよい。
【0030】
更に詳しくは、下部成形型部材32は、具体的には、その形状がその平らな広がりとして3次元的に表現されるように実現された第1外形表面36を特徴としている。下部成形型部材32の外形表面36は、任意選択により、具体的には、少なくとも1つの隆起部、凹入部、又はその両方を特徴としており、これにより、製造対象の部品の対応する相補的な部分的形状が形成される。本発明を更に説明するために、図1には、局所座標系が示されており、この局所座標系は、全体的に湾曲した長手方向L又は成形型の主要な方向に沿ってシフトすることが可能であり、且つ、座標軸として横方向TR及び長手方向LRを有する。この座標軸としての横方向TR及び長手方向LRは、製造対象の内装トリム部品にも使用することが可能であり、その理由は、図面に示されている少なくともそれぞれの全体的な形状が製造装置に対応しているためである。図2〜図5は、横断方向に、且つ、具体的には、それぞれ、横方向L又はLRに対して垂直に、延在する個別の成形型部材32、34を通じた断面を示している。
【0031】
図1に示されている実施形態による鋳型30の成形型部材32及び34は、自動車用のインストルメントパネルを製造するように機能する。この場合に、鋳型30は、インストルメントパネル用に製造されるトリム部品セクション又は内装トリム部品の一部のみを示している。この部分は、具体的には、インストルメントパネルとフロントガラスとの間の当接エッジに後から位置することになるエリアを表している。このエリアは、ちょうど、膜によってカバーされるべきエリアである。
【0032】
下部第1成形型部材32は、基本的に楕円の断面を有する2つの隆起部40を有するように実現されている。図2に示されている第1成形型部材32は、図1に示されている凹入部に対応する2つの凹入部40を有するが、断面図であることに起因し、この図には、1つの凹入部40のみが示されている。射出成形プロセスにおいては、これらの凹入部40は、それぞれ、製造対象の射出成形品又は製造対象の内装トリム部品内において相補的な形状の隆起部を形成する。この代わりに、又はこれに加えて、第1成形型部材32の第1外形表面36は、それぞれ、具体的には、製造対象の射出成形品又は製造対象の内装トリム部品内において相補的な形状の凹入部を形成する少なくとも1つの隆起部を特徴としてもよい。後から、ラウドスピーカがこれらの孔に挿入される。図1は、鋳型30を分解図において示している。第2成形型部材34は、射出成形プロセスを実行するために鋳型30が閉鎖されるように、第1成形型部材32に対して装着される。
【0033】
以下、後続の図面を参照し、本発明の方法の1つの可能な変形の第1射出成形ステップについて説明する。
図2は、依然として開放状態にある、即ち、第2成形型部材34が装着されていない第1成形型部材32を示している。この第1成形型部材32内には、膜20が配置されている。この場合に、第1成形型部材32は、製造対象の射出成形品上の隆起部にそれぞれ対応すると共にこれらの隆起部を生成する凹入部40を特徴としている。第1成形型部材32内に膜20を配置する際には、膜20が対象エリア36のすべてをカバーしていることに注意する必要がある。又、膜20がすべてのエリア内において第1成形型部材32上において突出していることにも注意する必要もある。尚、これは、有利であるが、すべての方法において必要とされるわけではない。この後に、もはや基本的に第1成形型部材32に対して移動することができないように、膜20は第1成形型部材32内において固定される。残っている唯一の移動の自由は、成形型部材32の方向における膜20の移動、即ち、第1成形型部材32に対する膜20の配置である。
【0034】
図3は、この方法の次のステップを示している。膜20が配置された後には、その内部に配置された膜20を有する第1成形型部材32に対して装着するために、第2成形型部材34を準備する。図3は、この装着の際に、第2成形型部材34は、膜20の鋳型内積層のための材料流路35を特徴としていることを既に示している。第1成形型部材32と第2成形型部材34が閉鎖され、且つ、これにより、これらの成形型部材は、協働して完成した鋳型30を形成する。
【0035】
図4には、鋳型30が、その閉鎖された状態において示されている。第1成形型部材32と第2成形型部材34は、閉鎖位置にあり、且つ、基本的に、それぞれのエッジ領域において相互に当接している。但し、これらの接触表面は、その間に配置された膜20により、対象エリア36内において相互に分離されている。鋳型30の閉鎖状態は、鋳型30の両側部において鋳型30を超えて突出する突起24を膜20が形成することを非常に明瞭に示している。又、これは、鋳型30内の必要とされる対象エリアを膜が完全にカバーしていることをも視覚的に示している。膜20は、鋳型30内において依然として固定されているが、第1成形型部材32に向かって自由に移動することができる。
【0036】
図5は、射出成形プロセスの開始時点を示している。材料60が材料流路35を介して第2射出成形型34を通じて注入されている。材料60は、膜20と第2成形型部材34との間の容積内の2つの開口部から排出される。この場合に、排出されている材料60には、特定の射出成形圧力が印加されており、この強度は、方法及び望ましい処理速度、処理温度、及び材料の選択に応じて異なってもよい。図5に示されている状況の後に、液体材料60は、第2成形型部材34の材料流路35の開口部から継続的に流出し、且つ、膜20と成形型部材34との間の空間を継続的に充填する。
【0037】
この射出成形プロセスの終了時点が図6に示されている。この場合には、膜20と成形型部材34との間の容積が材料によって完全に充填されている。又、材料流路35も、材料60によって依然として充填されている。又、この図は、特に凹入部40をも充填した流入材料60の圧力に起因し、膜20の全体が、下部成形型部材32に対して圧接した状態において配置されていることをも示している。膜20を有する対象エリア内において、第1成形型部材32は、可塑性変形に起因して膜20上に表面構造を形成する表面構造を有する。システム全体が冷却された後に、2つの成形型部材32及び34を分離することが可能であり、これにより、ある意味において、トリム部品セクション12を鋳型から取り外すことができる。
【0038】
図7は、鋳型から取り外された後の第1トリム部品セクション12を示している。これは、図7において裏面を表している可視面が膜20によって完全にカバーされている冷却後の射出成形材料60を有する。膜20は、図6に示されている鋳型30を超えて突出する突起24を依然として特徴としている。この時点において、任意選択の後処理ステップを実行してもよい。この任意選択の後処理ステップは、例えば、前記突起を切断するために、図7に示されている破線に沿って突起24を除去するように機能する。この任意選択の後処理ステップの結果として、図8に示されているタイプのトリム部品セクション12が得られる。
【0039】
図9及び図10は、それぞれ、内装トリム部品10を示しており、図9は、膜20を伴わない本発明の内装トリム部品の一実施形態を示しており、且つ、図10は、膜20を伴う本発明の内装トリム部品の別の実施形態を示している。この場合に、図10は、図9に示されているものに類似した設計を基本的に有する内装トリム部品10を示しているが、図10においては、第1トリム部品セクション12の膜20のみが可視状態にある。この場合には、第1トリム部品セクション12の構造及び材料は、可視面Sにおいて、ユーザにとって非可視状態にある。この非可視性を更に改善するために、膜20が、ある意味において、第2トリム部品セクション14と交差するように、第2トリム部品セクション14を第1トリム部品セクション12に対して押し付ける。この交差の結果として、可視面Sにおいて、第2トリム部品セクション14と、膜20と、のみが、自動車の乗員にとって可視状態となる。図9に示されているタイプの従来の内装トリム部品10の場合には、第2トリム部品セクション14と、第1トリム部品セクション12の未加工の材料と、が、可視面Sにおいて、自動車の乗員から直接見える状態になっていた。
【0040】
図10は、本発明の方法の第2ステップ、即ち、第2トリム部品セクション14の選択的な裏打ち発泡を示している。この場合に、裏打ち発泡材料は、第1トリム部品セクションと第2トリム部品セクション14との間のエリアに注入される。この裏打ち発泡材料は、容積を充填するように機能し、且つ、圧力が第2トリム部品セクション14に印加された際に、心地よく、且つ、具体的には、柔らかで高品質の触感を生成するために特定の弾力性を維持するように機能する。これらの触感は、動作条件下における弾性発泡体を製造する裏打ち発泡材料によって実現される。
【0041】
第2トリム部品セクション14は、可視面として部分的に機能する外側面14aと、この外側面の反対側に位置する裏面14bと、を有する。同様に、第1トリム部品セクション12も、可視面として部分的に機能する外側面12aと、この外側面の反対側に位置する裏面12bと、を有する。型30及びその外形表面が相応して実現された場合に、トリム部品セクション12、14は、第2トリム部品セクション14が、第1露出可視面部15と、外側面14a上における膜20の接続部26と接触状態にある接続部16と、を形成するように、実現及び配置され、第1及び第2トリム部品セクション12、14を少なくとも部分的に裏打ち発泡及び接続するための空洞H2が、第1トリム部品セクション14の裏面14bと第1トリム部品セクション12との間に部分的に形成される。好適な裏打ち発泡方向HRは、トリム部品セクション12、14の接続エリア16、26に向かう方向に延在している。
【0042】
図10の実施形態においては、第1トリム部品セクション12は、長手方向L、横方向TR、又はその両方を横断する方向に延在する断面において段差を有する形状を有し、この段差形状は、それぞれ、横方向に又はこの逆に延在している。この場合に、段差の深さは、膜と第1トリム部品セクション12の対応する基礎をなす部分の接続エリア26によって形成される。これにより、第1トリム部品セクション12の可視面部25と第2トリム部品セクション14の可視面部15との間における特定の又は小さな段差(即ち、2mm未満)を伴うことのない概ね均一な外形の実現が可能となる。更には、遷移ライン27が膜上に規定され、且つ、遷移ライン17が第2トリム部品セクション14上に規定されている。
【0043】
図11及び図12は、射出成形ステップとの関係における代替方法を示している。この場合には、第1成形型部材32は、膜20と第1成形型部材32との間の空間内に延在する空気流路33を更に特徴としている。この場合に、膜20は、実際には、内装トリム部品10の可視面Sに後から対向するその第1面22に対する吸引により、第1成形型部材に対して圧接した状態において配置される。この観点において、図12は、膜20と第2成形型部材34との間の空間を完全に充填する前に、膜20を吸引によって第1成形型部材32に対して圧接した状態に事前に配置する方法を明瞭に示している。この結果、膜20が皺を伴うことなしに第1成形型部材32に対して圧接された状態に配置されると共に、格段に低速で、且つ、特に、低減された圧力により、材料60を第2成形型部材34の材料流路35を通じて同時に導入可能であることが保証される。
【符号の説明】
【0044】
10 内装トリム部品
12 第1トリム部品セクション
14 第2トリム部品セクション
20 膜
22 第1面
24 突起
30 鋳型
32 第1成形型部材
33 空気流路
34 第2成形型部材
35 材料流路
36 対象エリア
38 固定装置
40 隆起部/凹入部
50 装置
60 射出成形材料
H 裏打ち発泡方向
S 可視面
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両の内装用の内装トリム部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形品を製造するための射出法及び圧縮成形法が(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1995034号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れた外観品質の設計を有する内装トリム部品の製造費用を低減することができる方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴を有する方法によって実現される。その他の実施形態は、これらの独立請求項を参照する従属請求項に規定されている。
内装トリム部品を製造する本発明の方法は、具体的には、
・任意選択によって膜を第1成形型部材内に配置するステップであって、膜は、少なくとも第1成形型部材の対象エリアにわたって延在している、ステップと、
・膜を第1成形型部材内において固定するステップと、
・少なくとも1つの第2成形型部材によって鋳型を閉鎖するステップと、
・第1トリム部品セクションを製造するために、膜と少なくとも1つの第2成形型部材との間の容積内への射出成形プロセスを実行するステップと、
・第1トリム部品セクションを取り外し、且つ、第2トリム部品セクションと組み合わせるステップと、
・第2トリム部品セクションを選択的に裏打ち発泡するステップと、
を特徴とする。
【0006】
本発明の方法によれば、内装トリム部品を製造するために、具体的には、
・膜(20)を第1成形型部材(32)の第1外形表面(36)上に配置し、且つ、膜(20)を第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
・膜(20)を第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
・互いに対して閉鎖位置を実現するために、第2外形表面(37)を有する第2成形型部材(34)を第1成形型部材(32)上に配置するステップであって、第2外形表面が第1成形型部材(32)の第1外形表面(36)の上方において平らな広がりとして少なくとも局部的に延在すると共に第1及び第2外形表面(36、37)が成形型部材(32、34)の閉鎖位置において協働して空洞(39)を形成するように、第2外形表面(37)は実現されており、且つ、前記空洞は、前記外形表面の間に位置しており、且つ、膜(20)からなる少なくとも部分的な鋳型内積層のために、注入される材料を収容するように機能する、ステップと、
・膜の第1トリム部品セクション(12)を生成するために、膜(20)と少なくとも1つの第2成形型部材(32)との間の空洞(39)内への射出成形プロセスを実行するステップと、
・支持構造を硬化させ、且つ、膜(20)が接続された支持構造を第1トリム部品セクション(12)として取り外すステップと、
・トリム部品セクション(14)が、第1露出可視面部(15)と、外側面(14a)上の膜(29)の接続部(26)と接触状態にある接続部(16)と、を形成し、且つ、第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を少なくとも部分的に裏打ち発泡及び接続するための空洞(H2)が、第2トリム部品セクション(14)の裏面(14b)と第1トリム部品セクション(12)との間に部分的に形成されるように、可視面の形態において部分的に実現された外側面(14a)と、外側面の反対側に位置する裏面(14b)と、を有する第2トリム部品セクション(14)を配置するステップと、
・第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を部分的に裏打ち発泡及び接続するステップと、
を実行することが提案されている。
【0007】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜の挿入は実行されない。この場合には、膜を伴うことなしに、但し、同一の手段を伴って、追加のステップが実行される。
本発明の方法の一実施形態によれば、膜には、切抜き、少なくとも1つの弱化ライン、又はその両方が設けられ、この弱化ラインは、膜が鋳型内に配置された際に、成形型部材の少なくとも一方の外形表面内の少なくとも1つの隆起部又は凹入部に対応しており、且つ、この隆起部又は凹入部の少なくとも一部が形成される領域は、製造対象の内装トリム部品内に開口部を形成するために、除去されることが更に提案される。
【0008】
内装トリム部品を製造するために、射出成形プロセスの第1ステップにおいて、全体的に射出成形品の形態を有する第1トリム部品セクションが製造され、且つ、第2ステップにおいて、この第1トリム部品セクションが第2トリム部品セクションと組み合わせられる。射出成形品は、ポリプロピレン材料から製造してもよい。この方法を自動車のインストルメントパネルに使用する場合には、射出成形品は、ある意味において、インストルメントパネル用の支持部材として使用され、第2トリム部品セクションは、光学的に且つ更には触感的にも魅力的な材料を特徴とすると共に第1トリム部品セクションの形態を有するこの支持部材の少なくとも一部を覆っている。例えば、第2トリム部品セクションは、回転数、速度、又は消費量の表示要素の境界を形成してもよい。第1内装トリム部品セクションは、支持構造と膜とを特徴とし、この膜は、この支持構造を少なくとも部分的に被覆又はラミネートし、且つ、車両内への内装トリム部品の設置の際に内装内の乗員エリア又は着座エリアから遠くに位置する領域内に、即ち、第1内装トリム部品セクションと、自動車本体へのフロントガラスの接続点、即ち、インストルメントパネルの場合には、第2内装トリム部品セクションとの間に、位置しており、第2内装トリム部品セクションは、少なくとも乗員に多少近接して位置する領域内に位置している。これらの手段に起因し、支持要素は、必要とされる安定性との関係において適切な材料から製造することが可能であり、且つ、膜の使用を必要とするのは、設置後に自動車の運転者にとって部分的に可視状態に留まる領域のみである。それにも拘わらず、この結果、完全に魅力的な内装トリム部品が得られ、この内装トリム部品は、乗員の乗降エリア内における触感の観点においても、快適である。自動車の運転者の視野が反射によって制限されないように膜が相応して選択されている場合には、特に、膜を有する第1内装トリム部品の外側面は、わずかな反射性のみを有すると共に艶消しの方式によって実現してもよい。特に、内装トリム部品の粒状の領域は、従来の費用効率に優れた製造法に起因し、艶を有しており、且つ、反射性を有する。膜は、フロントガラスに位置すると共に可視ハードエリア内において後退させて、即ち、「隠れる」ように、配置してもよいため、支持構造の安定性を改善すると共に費用を更に低減するべく、PP GF材料タイプ又はLGF材料タイプを利用することができる。
【0009】
従って、本発明の方法は、基本的に、2つの主要なステップを特徴としている。第1ステップにおいては、特殊な射出成形プロセスが実行され、第2ステップにおいては、選択的な裏打ち発泡が実行される。この射出成形プロセスは、既知の方法のように単純な射出成形品を製造するのではなく、むしろ、射出成形プロセスに先立って膜を射出鋳型内において固定しているという事実との関係において、特殊である。この膜は、剥き出しの射出成形材料との比較において艶消し表面を有すると共に、特に、少なくとも後で自動車の乗員から直接見える状態となる面上において反射防止性を有するように、最適化されている。又、この膜は、その触感との関係において改善された接触特性をも有する。この改善された接触特性とは、例えば、接触抵抗、接触温度、又は表面テクスチャを意味している。
【0010】
従って、要すれば、この挿入された膜は、例えば、インストルメントパネルとしてのその後続の設置後の可視面上における射出成形プロセスによって製造された第1トリム部品セクションの光学的及び触感的特性を改善していると表現することができる。この観点においては、膜が第1成形型部材内に配置される際に、後で可視面に位置する膜の面が予め規定されるように、この射出成形プロセスを実行することが重要である。これは、膜に対して鋳型内積層のみが適用されるという事実、即ち、膜と第2成形型部材との間の容積のみが射出成形材料によって充填されるという事実に起因し、保証されている。
【0011】
射出成形プロセスの完了後に、第1トリム部品セクションは、半完成品の形態において、又は換言すれば、中間製品の形態において、得られ、この中間製品は、射出成形材料の支持構造と、少なくともいくつかの部分に存在する膜の形態のカバー部材と、を特徴としている。この場合に、その上部に膜が延在している部分、即ち、対象エリアは、具体的には、例えば、インストルメントパネルなどのように、自動車内への設置の後に第2トリム部品セクションとの組合せにおいて自動車の乗員から直接見える状態となるエリアを有する。
【0012】
第2トリム部品セクションの選択的な裏打ち発泡は、本発明の方法の第2ステップにおいて実行される。このプロセスにおいて、有利には、第1トリム部品セクションと第2トリム部品セクションは、第2トリム部品セクションが、膜によってカバーされていないまさにそのエリアをカバーするように、組み合わせられる。特にきれいな遷移部を得るためには、膜を有するエリアと第2トリム部品セクションによってカバーされる第1トリム部品セクションのエリアが、射出成形品の基礎をなす材料が交差地点において直接見えないように、交差することが有利であろう。
【0013】
この場合に、第2トリム部品セクションの選択的な裏打ち発泡は、有利には、第1トリム部品セクションを通じて実行される。例えば、第1トリム部品セクションには、開口部が設けられ、この開口部を通じて選択的な裏打ち発泡を実行することができる。選択的な裏打ち発泡は、ユーザにとっての第2トリム部品セクションの触感を改善するという目的を有する。裏打ち発泡によれば、非常に柔らかい触感を第2トリム部品セクションに提供することができる。従って、これら2つの本発明のステップの組合せの結果として、その触感的特性のみならず、その光学的特性との関係においても最適化された内装トリム部品が得られ、この場合には、最適化が、第1トリム部品セクション上において、且つ、第2トリム部品セクション上において、実現されている。これら2つの改善された個別のステップを利用することにより、ユーザのための完全に改善された、即ち、内装トリム部品の可視面上における2つの個別のステップの痕跡を伴わない内装トリム部品が製造される。むしろ、この内装トリム部品の全体は、自動車の乗員にとっては、光学的且つ触感的な観点において高品質を有するように見える。
【0014】
更には、本発明の方法は、第1成形型部材に面する少なくとも第1面上に触感的及び光学的の少なくとも何れかに最適化された表面を膜が有するように拡張することができる。この文脈においては、触感的最適化とは、ユーザが表面に触れた際に高品質の感じ又は印象が生成されることを意味している。この本質的な価値は、具体的には、従来の滑らかなプラスチックとは明瞭に区別可能な材料品質を意味している。これは、例えば、改善された接触温度によって、低減又は増大された表面粗度によって、或いは、表面抵抗特性によっても、実現してもよい。この文脈において、「光学的最適化」とは、例えば、艶消しの又は反射防止性の光学的な外観を有する表面を意味している。又、ユーザのためのその高品質の外観に加えて、このような艶消し表面は、運転者のエリア内に入射する日光の反射を防止し、且つ、これにより、自動車の運転中の安全性を改善するという利点をも提供する。
【0015】
本発明の方法の選択的な裏打ち発泡ステップを第1トリム部品セクションを通じて第1トリム部品セクションと第2トリム部品セクションとの間の中間の空間内に実行することが更に有利であろう。この結果、第1トリム部品セクションによって選択的な裏打ち発泡用の境界が同時に形成される。裏打ち発泡材料が第1トリム部品セクション上において十分な接着性をも有することを保証するために、裏打ち発泡プロセスに先立って、特に膜によってカバーされていないエリアに対して火炎処理を施すことが有利であろう。この結果、火炎処理に起因し、第1トリム部品セクションの表面は、裏打ち発泡材料が優れた接着性を有するように、変化する。この場所においては、膜の表面に対する火炎処理の効果は無意味であり、その理由は、相応して製造されたインストルメントパネルがその内部に設置されるこの場所は、第2トリム部品セクションとの交差に起因し、自動車の乗員から直接見えないためである。但し、車両内において後から可視状態となるエリアを火炎処理の影響から保護するために火炎処理用のマスク又はステンシルを使用する必要がある。中間の空間内への選択的な裏打ち発泡は、使用する必要のある裏打ち発泡の材料が相対的にわずかであるという更なる利点を有する。この観点において、望ましい触感を実現するために、且つ、圧力がユーザによってその上部に印加された際に第2トリム部品セクションとの関係において第1トリム部品セクションを支持するために、必要とされる最少量の裏打ち発泡材料を利用することで十分である。第1及び第2トリム部品セクションの間のこの中間の空間と、これに対応した裏打ち発泡プロセスと、が伴わない場合には、裏打ち発泡材料を格段に大きな容積に対して注入することが必要となり、その結果、裏打ち発泡プロセスに所要する時間量が増大するのみならず、必要とされる追加の材料に起因して費用も増大することになろう。
【0016】
少なくとも第1成形型部材に面する膜の第1面の表面が可塑性変形するように、膜が射出成形プロセスに起因して第1成形型部材に対して押圧されることが更に有利であろう。この結果、本発明の方法は、射出成形ステップとの関係において更に最適化される。これは、可視面上における膜の最終表面が射出成形プロセスの時点まで形成されないことを意味している。この表面形成は、射出成形ステップの不可欠の部分である。膜の裏面、即ち、第2面上において射出成形プロセスによって生成される圧力に起因し、この膜は、膜の第1面の表面に第1成形型部材のネガティブ表面パターンを刻印するために、十分強力に第1成形型部材内に押圧される。この表面は、別の方法によって設計してもよい。例えば、膜が艶消しの且つ反射防止性を有する光学的な外観を有するのみならず、高品質を有しているように見えるように、粒状の皮革に対して表面構造を適合させることもできる。この場合には、例えば、ブラシをかけた金属、炭素構造、又はその他の技巧的な構造などのように、高品質な効果を有するその他の表面構造を実現してもよい。
【0017】
可能な限り容易に膜を鋳型から取り外すことが可能であると共に、射出成形プロセスにおいて可能な限りきれいに、即ち、膜に発生可能な皺を最小限に維持しつつ下部成形型部材内に膜を押圧することができることを保証するために、そのネガティブ表面構造の深さが第1トリム部品セクション上に生成されるポジティブ表面構造の深さを10%〜30%上回っている第1成形型部材により、可塑性変形を生成することが有利であろう。0.2mm〜0.7mmの厚さのフォイルを使用する際には、高品質を有する望ましい表面構造が射出成形プロセスによって第1トリム部品セクションの可視面上に生成されない可能性がある。特に、例えば、粒状化の深さなどの表面構造の深さとの関係において表面構造が望ましい品質及び鮮明度を有することを保証するためには、相応して粗くなるように、ネガティブ表面構造を選択する必要がある。驚いたことに、この場合には、0.2mm〜0.7mmの厚さを有する膜は、10%〜30%だけの第1成形型部材のネガティブ表面構造の増大を補償し、且つ、高品質表面の外観を提供することが判明した。換言すれば、本発明によれば、第1成形型部材のネガティブ表面構造の深さとして、第1トリム部品セクションの望ましいポジティブ表面構造の深さの110%〜130%が使用される。
【0018】
この結果、射出成形品の、即ち、第1部品トリムセクションの不合格率が極小化され、且つ、実現可能な膜表面の光学的な外観も更に改善される。
本発明の方法における射出成形プロセスには、PP−GF材料又はPP−LGF材料を利用することが有利であろう。この場合に、PPGFとは、通常の又は短い繊維(≦5mm)を有するグラスファイバ強化ポリプロピレンを意味しており、PP LGFとは、長いグラスファイバ(>5mm)を有するポリプロピレンを意味している。第1トリム部品セクションの射出成形プロセスにおけるグラフファイバ強化ポリプロピレンの利用を可能にするのは、本発明の方法のみである。このタイプの材料は、その光学的な外観との関係において非常に見苦しく、従って、ユーザは、粗悪品質の材料として感じることになる。しかしながら、これらの材料によれば、同時に、相対的にわずかな材料の使用により、機械的負荷との関係において高い安定性を実現することができる。しかしながら、特に自動車の構造に使用される材料の光学的な劣等性は、ユーザによるその自動車の評価及び品質の査定に対して大きな影響を及ぼし、その結果、このタイプの材料は、いままで使用することができなかった。本発明の方法を利用することによってのみ、このタイプの相対的に安定した材料の利用が可能となり、且つ、これにより、相対的に少ない材料を使用して相対的に大きな安定性を実現すると共に自動車の乗員のための高品質材料の外観を実現することが可能となる。
【0019】
第1成形型部材に面する少なくとも第1面上のTPOの層を膜が特徴としていることが更に有利であろう。この文脈において、TPOとは、熱可塑性物質、特に、オレフィンに基づいた熱可塑性物質を意味している。熱可塑性物質の利用は、射出成形プロセスに必要とされる射出成形材料によって射出成形プロセスが実行される間に、熱の形態のエネルギーが成形型部材内に供給されるという利点を有する。射出成形材料が、容積を占有し、且つ、これにより、膜を下部成形型部材に対して押圧するという事実に加えて、膜は、供給されるエネルギー及び膜の熱可塑性の設計に起因し、少なくとも特定のエリア内において部分的に溶解又は軟化する可能性がある。この軟化により、膜の可視面上に構造化表面を生成するための膜表面の弾性変形が容易になる。射出成形プロセスの完了後に、具体的には射出成形材料の冷却後に、鋳型及び膜表面も冷却される。ある意味においては、射出成形プロセスに起因して間接的に生成された膜の表面構造も冷却され、且つ、この表面構造は、その利用の際に発生する温度範囲においては、剛性の状態に、且つ、少なくとも可塑性変形不能な状態に、留まる。
【0020】
膜が射出成形プロセスにおいて規定の位置に留まることを保証するために、鋳型を閉鎖する前に膜を第1成形型部材内において固定することが有利であろう。このような固定プロセスにおいては、膜が最終的な位置に移動するための十分な自由空間を残しつつ、膜が場所に対して十分強力に接着することが重要である。この最終的な位置は、下部成形型部材によって規定され、挿入された膜は、特に、射出成形材料の注入に起因し、射出成形プロセスにおいて、この位置に移動すると共にこの位置に押圧される。膜が過剰に強力に固定された場合には、膜が膨張し、これにより、異なる膜厚さが生じる場合があり、或いは、場合によっては、膜が断裂し、これにより、製造中の第1トリム部品セクションを不合格としなければならない場合がある。
【0021】
本発明の方法においては、膜の固定は、様々な方法によって実現してもよい。例えば、接着剤又は粘性接着剤の形態を有する固定装置の支援により、膜を固定することも可能であろう。このような接着剤の利用は、膜が複雑な形状を有すると共に膜を複数の場所において固定する必要がある場合には、特に好適である。接着剤による固定は、好ましくは、射出成形プロセスの完了後に、第1トリム部品セクションから、具体的には、膜から、接着剤を容易に除去することができるように、実現される。接着剤は、射出成形プロセスにおける膜表面構造の形成を損なうことのないように、配置されることが更に有利である。
【0022】
接着剤の利用の代わりに又はこれに加えて、クランプ装置の形態の固定装置を提供することも有利であろう。このタイプのクランプ装置は、例えば、膜の位置を固定するための機械的なピン、或いは、場合によっては、クランプを有してもよい。この場合には、機械的なピンは、例えば、膜内の凹部又は孔に対応したものであってよく、クランプは、そのエッジにおいて膜を定位置にクランプすることができる。この場合には、孔も、そして、クランプも、第1トリム部品セクションの最終的な形状及び膜の表面構造に対して影響を及ぼさないことが必要である。その製造後に可視状態となる内装トリム部品のエリア外にクランプ装置の形態の固定装置を配置することが有利であろう。特に、膜のオーバーラップを実現することが可能であろう。この場合には、クランプ装置は、クランプ装置によって発生可能な損傷をこれらのエリアと共に後から除去することができるように、オーバーラップしたエリア内に配置される。又、負圧によって膜を固定することも想定されよう。この場合には、固定装置は、規定の位置に膜を固定するための膜用の吸入孔の形態において実現される。
【0023】
更に良好に膜を適合させるために、膜を鋳型内に配置する際に成形型部材の少なくとも一方の隆起部又は凹入部に対応した切抜きを膜に設けることが有利であろう。例えば、これらの切抜きは、多くの場合に、ラウドスピーカ又は換気ダクト用の自動車のインストルメントパネル上の取付具又は開口部を生成するために内装トリム部品を使用することができる膜のエリア内に設けられる。特に、フロントガラス用の換気システムは、通常、ちょうどこのエリア内に開口部を必要としている。これらの開口部は、有利には、既定の破壊点の形態を有する非常に薄い材料橋絡部のみがこれらのエリア内に留まるか又はこれらのエリアに射出成形材料が注入されないように、凹入部又は隆起部の形態において2つの成形型部材内に実現される。有利には、これらのエリア内において、膜にも、同様の切抜きが設けられ、これは、隆起部が成形型部材内に設けられると共に対応する切抜きが膜内に設けられた場合には、これらの隆起部も、膜用の固定装置の機能を果たすことができるという更なる利点と関連している。
【0024】
射出成形プロセスを更に最適化するためには、膜と第1成形型部材との間の空間内に負圧を生成するために第1成形型部材内に空気流路を設けることが有利であろう。これは、第1トリム部品セクションの製造の際に、皺が、更に極小化され、又は場合によっては、完全に防止されるという利点を有する。この場合には、射出成形プロセスにおいて、即ち、液体射出成形材料が膜と第2成形型部材との間の容積に流入している間に、第1成形型部材と膜との間の容積が空気流路を介してゆっくりと排気される。この排気に起因して印加される負圧により、この第1成形型部材の方向への膜の移動が促進される。この結果、第1膜は、一方においては、負圧に起因して第1成形型部材に対して引っ張られ、且つ、他方においては、流入する射出成形材料によって背後から第1面が押圧される。これらの手段に起因し、相対的に低い射出成形圧力によって動作し、これにより、相対的に高品質の製品を得ることも可能となる。又、この結果、膜と第1成形型部材との間に相対的に高い変形圧力を生成し、且つ、これにより、膜の上部面の優れた且つ相対的に正確な弾性変形を実現することも可能となる。
【0025】
本発明の別の目的は、本発明の方法を実行する装置である。この装置は、必要とされるステップのための対応する要素を特徴としている。特に、少なくとも2つの成形型部材を有する射出鋳型と、選択的な裏打ち発泡ステップを実行するための第2装置と、が必要とされる。
【0026】
本発明の装置においては、具体的には、第1成形型部材は、0.5mm以上の半径のみが提供されるように実現されている。このサイズの半径のみが提供されるため、第1成形型部材からの第1トリム部品セクションの取り外しが容易になり、且つ、射出成形プロセスにおける膜内の皺の形成のリスクが低減される。
【0027】
本発明の更に別の目的は、本発明の方法によって製造された内装トリム部品である。
以下、添付の図面を参照し、本発明について更に詳細に説明する。この観点において、「下部」、「上部」、「左」、及び「右」という用語は、通常の読みやすい参照符号を有するこれらの図面の向きを意味している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1及び第2成形型部材を有する本発明の製造装置の一実施形態の斜視図を示す。
【図2】本発明の製造装置の第1成形型部材の別の実施形態の断面図と、本発明の方法の第1ステップの図と、を示しており、この場合に、類似の製造装置が図1のライン2−2に沿った断面の形態において示されている。
【図3】図2の実施形態の第1成形型部材の及び図1のライン2−2に沿った本発明による製造装置の第2成形型部材の一実施形態の類似の断面図と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図4】図3の断面図の形態における本発明の製造装置の第1及び第2成形型部材と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図5】図3の断面図の形態における本発明の製造装置の第1及び第2成形型部材と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図6】図1のライン2−2に沿った本発明の製造装置の第1及び第2成形型部材の類似の断面図と、本発明の方法の別のステップの図と、を示す。
【図7】鋳型部材から取り外された半完成品のトリム部品セクションを示す。
【図8】更に処理された第1トリム部品セクションを示す。
【図9】内装トリム部品の一実施形態を示す。
【図10】本発明の内装トリム部品の一実施形態を示す。
【図11】本発明のプロセスステップの代替実施形態を示す。
【図12】図11の方法の別のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の製造装置50の第1実施形態の一部を示している。方法の第1ステップにおいて、この装置50は、鋳型又は成形型30を特徴としており、この鋳型又は成型型30は、2つの部分的な鋳型又は成形型部材32及び34を有する。この場合には、第2成形型部材34は、例示を目的として、上部成形型部材として示されており、且つ、第1成形型部材32は、例示を目的として、下部成形型部材として示されている。下部成形型部材32は、具体的には、型取付装置上に取り付けてもよく、且つ、これにより、静止状態において配置してもよい。
【0030】
更に詳しくは、下部成形型部材32は、具体的には、その形状がその平らな広がりとして3次元的に表現されるように実現された第1外形表面36を特徴としている。下部成形型部材32の外形表面36は、任意選択により、具体的には、少なくとも1つの隆起部、凹入部、又はその両方を特徴としており、これにより、製造対象の部品の対応する相補的な部分的形状が形成される。本発明を更に説明するために、図1には、局所座標系が示されており、この局所座標系は、全体的に湾曲した長手方向L又は成形型の主要な方向に沿ってシフトすることが可能であり、且つ、座標軸として横方向TR及び長手方向LRを有する。この座標軸としての横方向TR及び長手方向LRは、製造対象の内装トリム部品にも使用することが可能であり、その理由は、図面に示されている少なくともそれぞれの全体的な形状が製造装置に対応しているためである。図2〜図5は、横断方向に、且つ、具体的には、それぞれ、横方向L又はLRに対して垂直に、延在する個別の成形型部材32、34を通じた断面を示している。
【0031】
図1に示されている実施形態による鋳型30の成形型部材32及び34は、自動車用のインストルメントパネルを製造するように機能する。この場合に、鋳型30は、インストルメントパネル用に製造されるトリム部品セクション又は内装トリム部品の一部のみを示している。この部分は、具体的には、インストルメントパネルとフロントガラスとの間の当接エッジに後から位置することになるエリアを表している。このエリアは、ちょうど、膜によってカバーされるべきエリアである。
【0032】
下部第1成形型部材32は、基本的に楕円の断面を有する2つの隆起部40を有するように実現されている。図2に示されている第1成形型部材32は、図1に示されている凹入部に対応する2つの凹入部40を有するが、断面図であることに起因し、この図には、1つの凹入部40のみが示されている。射出成形プロセスにおいては、これらの凹入部40は、それぞれ、製造対象の射出成形品又は製造対象の内装トリム部品内において相補的な形状の隆起部を形成する。この代わりに、又はこれに加えて、第1成形型部材32の第1外形表面36は、それぞれ、具体的には、製造対象の射出成形品又は製造対象の内装トリム部品内において相補的な形状の凹入部を形成する少なくとも1つの隆起部を特徴としてもよい。後から、ラウドスピーカがこれらの孔に挿入される。図1は、鋳型30を分解図において示している。第2成形型部材34は、射出成形プロセスを実行するために鋳型30が閉鎖されるように、第1成形型部材32に対して装着される。
【0033】
以下、後続の図面を参照し、本発明の方法の1つの可能な変形の第1射出成形ステップについて説明する。
図2は、依然として開放状態にある、即ち、第2成形型部材34が装着されていない第1成形型部材32を示している。この第1成形型部材32内には、膜20が配置されている。この場合に、第1成形型部材32は、製造対象の射出成形品上の隆起部にそれぞれ対応すると共にこれらの隆起部を生成する凹入部40を特徴としている。第1成形型部材32内に膜20を配置する際には、膜20が対象エリア36のすべてをカバーしていることに注意する必要がある。又、膜20がすべてのエリア内において第1成形型部材32上において突出していることにも注意する必要もある。尚、これは、有利であるが、すべての方法において必要とされるわけではない。この後に、もはや基本的に第1成形型部材32に対して移動することができないように、膜20は第1成形型部材32内において固定される。残っている唯一の移動の自由は、成形型部材32の方向における膜20の移動、即ち、第1成形型部材32に対する膜20の配置である。
【0034】
図3は、この方法の次のステップを示している。膜20が配置された後には、その内部に配置された膜20を有する第1成形型部材32に対して装着するために、第2成形型部材34を準備する。図3は、この装着の際に、第2成形型部材34は、膜20の鋳型内積層のための材料流路35を特徴としていることを既に示している。第1成形型部材32と第2成形型部材34が閉鎖され、且つ、これにより、これらの成形型部材は、協働して完成した鋳型30を形成する。
【0035】
図4には、鋳型30が、その閉鎖された状態において示されている。第1成形型部材32と第2成形型部材34は、閉鎖位置にあり、且つ、基本的に、それぞれのエッジ領域において相互に当接している。但し、これらの接触表面は、その間に配置された膜20により、対象エリア36内において相互に分離されている。鋳型30の閉鎖状態は、鋳型30の両側部において鋳型30を超えて突出する突起24を膜20が形成することを非常に明瞭に示している。又、これは、鋳型30内の必要とされる対象エリアを膜が完全にカバーしていることをも視覚的に示している。膜20は、鋳型30内において依然として固定されているが、第1成形型部材32に向かって自由に移動することができる。
【0036】
図5は、射出成形プロセスの開始時点を示している。材料60が材料流路35を介して第2射出成形型34を通じて注入されている。材料60は、膜20と第2成形型部材34との間の容積内の2つの開口部から排出される。この場合に、排出されている材料60には、特定の射出成形圧力が印加されており、この強度は、方法及び望ましい処理速度、処理温度、及び材料の選択に応じて異なってもよい。図5に示されている状況の後に、液体材料60は、第2成形型部材34の材料流路35の開口部から継続的に流出し、且つ、膜20と成形型部材34との間の空間を継続的に充填する。
【0037】
この射出成形プロセスの終了時点が図6に示されている。この場合には、膜20と成形型部材34との間の容積が材料によって完全に充填されている。又、材料流路35も、材料60によって依然として充填されている。又、この図は、特に凹入部40をも充填した流入材料60の圧力に起因し、膜20の全体が、下部成形型部材32に対して圧接した状態において配置されていることをも示している。膜20を有する対象エリア内において、第1成形型部材32は、可塑性変形に起因して膜20上に表面構造を形成する表面構造を有する。システム全体が冷却された後に、2つの成形型部材32及び34を分離することが可能であり、これにより、ある意味において、トリム部品セクション12を鋳型から取り外すことができる。
【0038】
図7は、鋳型から取り外された後の第1トリム部品セクション12を示している。これは、図7において裏面を表している可視面が膜20によって完全にカバーされている冷却後の射出成形材料60を有する。膜20は、図6に示されている鋳型30を超えて突出する突起24を依然として特徴としている。この時点において、任意選択の後処理ステップを実行してもよい。この任意選択の後処理ステップは、例えば、前記突起を切断するために、図7に示されている破線に沿って突起24を除去するように機能する。この任意選択の後処理ステップの結果として、図8に示されているタイプのトリム部品セクション12が得られる。
【0039】
図9及び図10は、それぞれ、内装トリム部品10を示しており、図9は、膜20を伴わない本発明の内装トリム部品の一実施形態を示しており、且つ、図10は、膜20を伴う本発明の内装トリム部品の別の実施形態を示している。この場合に、図10は、図9に示されているものに類似した設計を基本的に有する内装トリム部品10を示しているが、図10においては、第1トリム部品セクション12の膜20のみが可視状態にある。この場合には、第1トリム部品セクション12の構造及び材料は、可視面Sにおいて、ユーザにとって非可視状態にある。この非可視性を更に改善するために、膜20が、ある意味において、第2トリム部品セクション14と交差するように、第2トリム部品セクション14を第1トリム部品セクション12に対して押し付ける。この交差の結果として、可視面Sにおいて、第2トリム部品セクション14と、膜20と、のみが、自動車の乗員にとって可視状態となる。図9に示されているタイプの従来の内装トリム部品10の場合には、第2トリム部品セクション14と、第1トリム部品セクション12の未加工の材料と、が、可視面Sにおいて、自動車の乗員から直接見える状態になっていた。
【0040】
図10は、本発明の方法の第2ステップ、即ち、第2トリム部品セクション14の選択的な裏打ち発泡を示している。この場合に、裏打ち発泡材料は、第1トリム部品セクションと第2トリム部品セクション14との間のエリアに注入される。この裏打ち発泡材料は、容積を充填するように機能し、且つ、圧力が第2トリム部品セクション14に印加された際に、心地よく、且つ、具体的には、柔らかで高品質の触感を生成するために特定の弾力性を維持するように機能する。これらの触感は、動作条件下における弾性発泡体を製造する裏打ち発泡材料によって実現される。
【0041】
第2トリム部品セクション14は、可視面として部分的に機能する外側面14aと、この外側面の反対側に位置する裏面14bと、を有する。同様に、第1トリム部品セクション12も、可視面として部分的に機能する外側面12aと、この外側面の反対側に位置する裏面12bと、を有する。型30及びその外形表面が相応して実現された場合に、トリム部品セクション12、14は、第2トリム部品セクション14が、第1露出可視面部15と、外側面14a上における膜20の接続部26と接触状態にある接続部16と、を形成するように、実現及び配置され、第1及び第2トリム部品セクション12、14を少なくとも部分的に裏打ち発泡及び接続するための空洞H2が、第1トリム部品セクション14の裏面14bと第1トリム部品セクション12との間に部分的に形成される。好適な裏打ち発泡方向HRは、トリム部品セクション12、14の接続エリア16、26に向かう方向に延在している。
【0042】
図10の実施形態においては、第1トリム部品セクション12は、長手方向L、横方向TR、又はその両方を横断する方向に延在する断面において段差を有する形状を有し、この段差形状は、それぞれ、横方向に又はこの逆に延在している。この場合に、段差の深さは、膜と第1トリム部品セクション12の対応する基礎をなす部分の接続エリア26によって形成される。これにより、第1トリム部品セクション12の可視面部25と第2トリム部品セクション14の可視面部15との間における特定の又は小さな段差(即ち、2mm未満)を伴うことのない概ね均一な外形の実現が可能となる。更には、遷移ライン27が膜上に規定され、且つ、遷移ライン17が第2トリム部品セクション14上に規定されている。
【0043】
図11及び図12は、射出成形ステップとの関係における代替方法を示している。この場合には、第1成形型部材32は、膜20と第1成形型部材32との間の空間内に延在する空気流路33を更に特徴としている。この場合に、膜20は、実際には、内装トリム部品10の可視面Sに後から対向するその第1面22に対する吸引により、第1成形型部材に対して圧接した状態において配置される。この観点において、図12は、膜20と第2成形型部材34との間の空間を完全に充填する前に、膜20を吸引によって第1成形型部材32に対して圧接した状態に事前に配置する方法を明瞭に示している。この結果、膜20が皺を伴うことなしに第1成形型部材32に対して圧接された状態に配置されると共に、格段に低速で、且つ、特に、低減された圧力により、材料60を第2成形型部材34の材料流路35を通じて同時に導入可能であることが保証される。
【符号の説明】
【0044】
10 内装トリム部品
12 第1トリム部品セクション
14 第2トリム部品セクション
20 膜
22 第1面
24 突起
30 鋳型
32 第1成形型部材
33 空気流路
34 第2成形型部材
35 材料流路
36 対象エリア
38 固定装置
40 隆起部/凹入部
50 装置
60 射出成形材料
H 裏打ち発泡方向
S 可視面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装トリム部品(10)を製造する方法であって、
第1成形型部材(32)の第1外形表面(36)上に膜(20)を配置し、且つ、前記膜(20)を前記第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
前記膜(20)を前記第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
互いに対して閉鎖位置を実現するために、第2外形表面(37)を有する第2成形型部材(34)を前記第1成形型部材(32)上に配置するステップであって、前記第2外形表面(37)が前記第1成形型部材(32)の前記第1外形表面(36)の上方において平らな広がりとして少なくとも局部的に延在すると共に前記第1及び第2外形表面(36、37)が前記成形型部材(32、34)の前記閉鎖位置において協働して空洞(39)を形成するように、前記第2外形表面(37)が実現されており、前記空洞は、前記両外形表面の間に位置しており、且つ、前記膜(20)からなる少なくとも部分的な鋳型内積層のために、注入される材料を収容するように機能する、ステップと、
膜の第1トリム部品セクション(12)を生成するために、前記膜(20)と前記少なくとも1つの第2成形型部材(32)との間の前記空洞(39)内への射出成形プロセスを実行するステップと、
支持構造を硬化させ、且つ、前記膜(20)が接続された前記支持構造を第1トリム部品セクション(12)として取り外すステップと、
可視面の形態において部分的に実現された外側面(14a)と、前記外側面の反対側に位置する裏面(14b)と、を有する第2トリム部品セクション(14)を配置するステップであって、前記トリム部品セクション(14)が、第1露出可視面部(15)と、前記外側面(14a)上の前記膜(20d)の接続部(26)と接触状態にある接続部(16)と、を形成し、且つ、前記第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を少なくとも部分的に裏打ち発泡及び接続するための空洞(H2)が前記第2トリム部品セクション(14)の前記裏面(14b)と前記第1トリム部品セクション(12)との間に部分的に形成されるように、前記第2トリム部品セクション(14)を配置する、ステップと、
前記第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を部分的に裏打ち発泡及び接続するステップと
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記膜(20)は、前記第1成形型部材(32)に面する少なくとも第1面(22)上に触感的及び光学的の少なくとも何れかで最適化された表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
裏打ち発泡材料は、選択的な前記裏打ち発泡ステップ中に前記第1トリム部品セクション(12)を通じて前記第1トリム部品セクション(12)と前記第2トリム部品セクション(13)との間の中間の空間に注入される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1成形型部材(32)に面する前記第1面(22)の少なくとも表面が可塑性変形するように、前記膜(20)は、前記射出成形プロセスに起因して前記第1成形型部材(32)に対して押圧される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記可塑性変形は、第1成形型部材(32)によって実現され、前記第1成形型部材のネガティブ表面構造の深さは、前記第1トリム部品セクション(12)上に生成されるポジティブ表面構造の深さを10%〜30%上回る、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
PP GF又はPP LGFが前記射出成形プロセスのために使用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記膜(20)は、前記第1成形型部材(32)に面する少なくとも前記第1面(22)上のTPOの層を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記鋳型(30)が閉鎖される前に、前記膜(20)が前記第1成形型部材(32)内において固定される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記固定は、接着剤、粘性接着剤、又はその両方の形態にある固定装置(38)の支援によって実現される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固定は、クランプ装置の形態にある固定装置(38)の支援によって実現される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記膜(20)には、切抜き、少なくとも1つの弱化ライン、又はその両方が設けられ、前記弱化ラインは、前記膜(20)が前記鋳型(30)内に配置された際に、前記成形型部材(32、34)の少なくとも一方の前記外形表面(39)内の少なくとも1つの隆起部又は凹入部に対応しており、且つ、前記隆起部又は前記凹入部の少なくとも一部分が形成される領域は、製造対象の前記内装トリム部品内に開口部を形成するために、プロセスステップにおいて除去される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記膜(20)と前記第1成形型部材(32)との間の容積内に負圧を生成するために、空気流路(33)が前記第1成形型部材(32)内に設けられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の特徴を有する方法を実行するための装置(50)。
【請求項14】
少なくとも前記第1成形型部材(32)は、0.5mm以上の半径を有する、請求項13に記載の装置(50)。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の特徴を有する方法によって製造された内装トリム部品(10)。
【請求項1】
内装トリム部品(10)を製造する方法であって、
第1成形型部材(32)の第1外形表面(36)上に膜(20)を配置し、且つ、前記膜(20)を前記第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
前記膜(20)を前記第1成形型部材(32)上において固定するステップと、
互いに対して閉鎖位置を実現するために、第2外形表面(37)を有する第2成形型部材(34)を前記第1成形型部材(32)上に配置するステップであって、前記第2外形表面(37)が前記第1成形型部材(32)の前記第1外形表面(36)の上方において平らな広がりとして少なくとも局部的に延在すると共に前記第1及び第2外形表面(36、37)が前記成形型部材(32、34)の前記閉鎖位置において協働して空洞(39)を形成するように、前記第2外形表面(37)が実現されており、前記空洞は、前記両外形表面の間に位置しており、且つ、前記膜(20)からなる少なくとも部分的な鋳型内積層のために、注入される材料を収容するように機能する、ステップと、
膜の第1トリム部品セクション(12)を生成するために、前記膜(20)と前記少なくとも1つの第2成形型部材(32)との間の前記空洞(39)内への射出成形プロセスを実行するステップと、
支持構造を硬化させ、且つ、前記膜(20)が接続された前記支持構造を第1トリム部品セクション(12)として取り外すステップと、
可視面の形態において部分的に実現された外側面(14a)と、前記外側面の反対側に位置する裏面(14b)と、を有する第2トリム部品セクション(14)を配置するステップであって、前記トリム部品セクション(14)が、第1露出可視面部(15)と、前記外側面(14a)上の前記膜(20d)の接続部(26)と接触状態にある接続部(16)と、を形成し、且つ、前記第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を少なくとも部分的に裏打ち発泡及び接続するための空洞(H2)が前記第2トリム部品セクション(14)の前記裏面(14b)と前記第1トリム部品セクション(12)との間に部分的に形成されるように、前記第2トリム部品セクション(14)を配置する、ステップと、
前記第1及び第2トリム部品セクション(12、14)を部分的に裏打ち発泡及び接続するステップと
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記膜(20)は、前記第1成形型部材(32)に面する少なくとも第1面(22)上に触感的及び光学的の少なくとも何れかで最適化された表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
裏打ち発泡材料は、選択的な前記裏打ち発泡ステップ中に前記第1トリム部品セクション(12)を通じて前記第1トリム部品セクション(12)と前記第2トリム部品セクション(13)との間の中間の空間に注入される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1成形型部材(32)に面する前記第1面(22)の少なくとも表面が可塑性変形するように、前記膜(20)は、前記射出成形プロセスに起因して前記第1成形型部材(32)に対して押圧される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記可塑性変形は、第1成形型部材(32)によって実現され、前記第1成形型部材のネガティブ表面構造の深さは、前記第1トリム部品セクション(12)上に生成されるポジティブ表面構造の深さを10%〜30%上回る、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
PP GF又はPP LGFが前記射出成形プロセスのために使用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記膜(20)は、前記第1成形型部材(32)に面する少なくとも前記第1面(22)上のTPOの層を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記鋳型(30)が閉鎖される前に、前記膜(20)が前記第1成形型部材(32)内において固定される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記固定は、接着剤、粘性接着剤、又はその両方の形態にある固定装置(38)の支援によって実現される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固定は、クランプ装置の形態にある固定装置(38)の支援によって実現される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記膜(20)には、切抜き、少なくとも1つの弱化ライン、又はその両方が設けられ、前記弱化ラインは、前記膜(20)が前記鋳型(30)内に配置された際に、前記成形型部材(32、34)の少なくとも一方の前記外形表面(39)内の少なくとも1つの隆起部又は凹入部に対応しており、且つ、前記隆起部又は前記凹入部の少なくとも一部分が形成される領域は、製造対象の前記内装トリム部品内に開口部を形成するために、プロセスステップにおいて除去される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記膜(20)と前記第1成形型部材(32)との間の容積内に負圧を生成するために、空気流路(33)が前記第1成形型部材(32)内に設けられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の特徴を有する方法を実行するための装置(50)。
【請求項14】
少なくとも前記第1成形型部材(32)は、0.5mm以上の半径を有する、請求項13に記載の装置(50)。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の特徴を有する方法によって製造された内装トリム部品(10)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−517163(P2013−517163A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549289(P2012−549289)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000206
【国際公開番号】WO2011/088995
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(504474725)ファウレシア イネンラウム システム ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000206
【国際公開番号】WO2011/088995
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(504474725)ファウレシア イネンラウム システム ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]