説明

内部観察可能化転がり軸受およびその保持器

【課題】 使用中の軸受でも、その内部を視覚的に観察することができ、保全管理が適正になし得る内部観察可能化転がり軸受およびこれに用いられる保持器を提供する。
【解決手段】 対向する一対の軌道輪2,3の軌道面2a,3aの間に、環状の保持器4に保持された複数の転動体5を介在させた転がり軸受1である。前記軌道輪2,3または保持器4に、両軌道輪2,3間の軸受空間S内の軌道面2a,3aおよび潤滑剤の少なくとも一方を軸受1の外面から透して観察可能とする観察用窓4cを設ける。この観察用窓4cは、例えば保持器4に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受、特に、アプリケーションに組込まれたころ軸受における軌道面、および潤滑剤等を視覚的に確認することができる内部観察可能化転がり軸受およびこれに用いられる保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
アプリケーションに組込まれた使用中の軸受は、取外して分解しなければ軸受内部の状態、例えば、軌道輪の軌道面の状態や潤滑剤の状態などを視覚的に観察することができない。このような軸受において、軌道面に損耗部分があったり、潤滑剤が少なくなっていたりすると、あるいは潤滑剤の動き(流れ)が円滑でなかったりすると、アプリケーションにおける回転体の正常な回転が保たれない。特に、分解しにくい環境下にあるアプリケーション(たとえば、風車など高所にある場合など)、使用期間が長いもの(たとえば、風車用の場合20年)、さらには、分解しにくいアプリケーション(たとえば、部品点数が多い場合、試験中で分解できない場合など)の場合、実質上その視覚的な観察ができないため、保全管理上問題となっていた。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、ハウジングに軸受を介して軸を回転自在に支持し、前記ハウジングの振動および温度を検出し、さらには、前記軸の回転速度を検出するセンサを取付け、前記軸受の状態を観察してその保全管理がなし得る軸受装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−57078号公報
【特許文献2】特開2003−83774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1,2に開示された軸受装置の場合、ハウジングもしくは軸受の外輪にセンサを取付け、前記検出を行うものであるが、得られる情報はあくまでも電気的情報であり、異常個所や異常状態を直接的に判定し得るものではない。特に、直接軸受の内部(軸受空間)を視覚的に観察するものではないため、軌道面や転動面の損耗状態(摩耗度合、亀裂の発生状況など)や潤滑剤の状態(動き、滞留量、性状など)などの的確な特定情報は得られず、そのため、前記のようなアプリケーションに適用した場合、正確な異常の検知や破損の早期発見がなされず、その保全管理が適正になされるには至らないことが予想されるところであった。
【0006】
この発明の目的は、使用中の軸受でも、その内部を視覚的に観察することができ、保全管理が適正になし得る内部観察可能化転がり軸受およびこれに用いられる保持器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る内部観察可能化転がり軸受は、対向する一対の軌道輪の軌道面の間に、環状の保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受において、前記軌道輪または保持器に、両軌道輪間の軸受空間内の軌道面および潤滑剤の少なくとも一方を軸受外面から透して観察可能とする観察用窓を設けたことを特徴とする。
この構成の内部観察可能化転がり軸受によると、軌道輪または保持器に設けられた観察用窓を透して、軸受外面から軸受空間内の軌道面および潤滑剤の少なくとも一方が直接的に視認観察可能とされる。従って、軌道面の摩耗度合、亀裂の発生状況などや、潤滑剤の動き(流れなど)、滞留量、性状などが的確に把握され、軸受の異常や、破損などの早期発見が可能となり、この転がり軸受を用いた前記のようなアプリケーションの保全維持管理を効率的かつ適正に行うことができる。
【0008】
この発明の内部観察可能化転がり軸受において、前記観察用窓を、軸受外面から軸受空間内に貫通し観察器具の先端部を挿通可能な孔とし、あるいは、軸受外面から軸受空間内に貫通し観察器具の先端部を挿通可能な溝または切欠としても良い。
この構成によれば、軸受外面から軸受空間内に貫通する孔、あるいは、溝または切欠に、観察器具の先端部を挿通して、軸受空間内に挿通することができるから、軌道面の損耗状態や、潤滑剤の状態を至近位置で視覚的に観察することができ、また、潤滑剤を採取してその性状分析も可能とされる。そのため、軸受の異常や破損などの早期発見がより的確になされる。
【0009】
この発明の内部観察可能化転がり軸受において、前記観察用窓を、前記保持器に、あるいは、前記軌道輪に設けても良い。
観察用窓を保持器または軌道輪に設けた場合、いずれの前記観察用窓においても、軸受外面から透して軸受空間内を視覚的に観察することができる。そのため、軸受空間における軌道面の状態や潤滑剤の状態が的確に観察把握される。保持器に観察用窓を設ける場合は、保持器は鉄や樹脂の成型体からなるから、その加工がし易く、特に、近年多用されている樹脂製の保持器の場合は、加工性の良さによる利点が大きい。
【0010】
この発明の内部観察可能化転がり軸受において、この転がり軸受が、複列転がり軸受であって、前記一対の軌道輪のうち、外輪となる軌道輪が、各列毎に設けられた軌道輪本体、および両軌道輪本体間に介在した間座からなり、この間座に前記観察用窓を設けても良い。
間座に前記観察用窓が設けられていると、各列間の軸受空間内を観察用窓から視覚的に観察することができ、特に、軸受空間に滞留する潤滑剤の状態がより的確に観察把握される。間座は外輪を構成するが、軌道面を形成しないので、観察用窓の形成によっても、転動体の転動性に影響を及ぼすことがない。
【0011】
前記観察用窓が保持器に設けられる場合において、前記転がり軸受がころ軸受であり、前記観察用窓を、保持器の側面からこの保持器の内周面における内輪軌道面との対面範囲へ貫通して形成されて観察器具の先端部を挿通可能な孔とし、あるいは、保持器の内周面に、保持器の側面から内周面における内輪軌道面との対面範囲に渡って形成されて観察器具の先端部を挿通可能な溝または切欠としても良い。
ころ軸受の場合、転動体の転動面と接する軌道輪の軌道面の幅が広いので、軌道輪に、孔や、溝または切欠を設けると、転動体の転動性に影響を及ぼす懸念があるが、保持器に形成することによりこのような懸念が生じる恐れがない。また、保持器に、前記孔や、溝または切欠を形成することは比較的容易であり、実用的でもある。
【0012】
この発明に係る内部観察可能化転がり軸受用保持器は、ころ軸受におけるころをそれぞれ保持する複数のポケットが設けられた環状の保持器であって、観察器具の先端部を挿通可能な孔からなる観察用窓が、保持器の側面からこの保持器の内周面における内輪軌道面との対面範囲へ貫通して形成されたことを特徴とする。
また、この発明に係る他の内部観察可能化転がり軸受用保持器は、ころ軸受におけるころをそれぞれ保持する複数のポケットが設けられた環状の保持器であって、観察器具の先端部を挿通可能な溝または切欠からなる観察用窓が、保持器の内周面に、この保持器の側面から内周面における内輪軌道面との対面範囲に渡って形成されたことを特徴とする。
これらの構成の内部観察可能化転がり軸受用保持器によると、複数のポケットに複数のころがそれぞれ保持される。この保持器を組付け、ころ軸受を構成した場合、保持器に形成された孔、あるいは、溝または切欠からなる観察用窓に観察器具の先端部を挿通することによって、ころ軸受の内部を視覚的に直接観察することができる。また、保持器は鉄や樹脂の成型体からなるから、観察用窓の加工形成を容易に行うことができる。加えて、ころ軸受に用いられるものであって、軌道輪自体には観察用窓のための加工を何ら要しないから、前述と同様に転動体の転動性に影響を及ぼす懸念も生じない。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る内部観察可能化転がり軸受は、対向する一対の軌道輪の軌道面の間に、環状の保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受において、前記軌道輪または保持器に、両軌道輪間の軸受空間内の軌道面および潤滑剤の少なくとも一方を軸受外面から透して観察可能とする観察用窓を設けたため、この観察用窓を透して、軸受空間内の軌道面、あるいは潤滑剤を視覚的に観察することができる。したがって、軌道面の損耗状態や潤滑剤の状態などの的確な特定情報を得ることができ、前記のようなアプリケーションに適用した場合、正確な異常の検知や破損の早期発見が可能となり、その保全管理の適正化に大きく寄与する。
【0014】
この発明に係る内部観察可能化転がり軸受用保持器は、ころ軸受におけるころをそれぞれ保持する複数のポケットが設けられた環状の保持器であって、観察器具の先端部を挿通可能な孔からなる観察用窓が、保持器の側面からこの保持器の内周面における内輪軌道面との対面範囲へ貫通して形成されたものとし、また、この発明に係る他の内部観察可能化転がり軸受用保持器は、ころ軸受におけるころをそれぞれ保持する複数のポケットが設けられた環状の保持器であって、観察器具の先端部を挿通可能な溝または切欠からなる観察用窓が、保持器の内周面に、この保持器の側面から内周面における内輪軌道面との対面範囲に渡って形成されたものとしたため、いずれも、観察用窓の形成が容易であり、また、ころ軸受に組込んだ場合において、軸受内部の的確な観察情報が得られることはもとより、転動体の転動性に対する影響が生じる懸念もない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の内部観察可能化転がり軸受の一実施形態の断面図である。
【図2】同内部観察可能化転がり軸受の部分破断側面図である。
【図3】この発明の内部観察可能化転がり軸受の他の実施形態の断面図である。
【図4】同内部観察可能化転がり軸受の部分破断側面図である。
【図5】この発明の内部観察可能化転がり軸受のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図6】この発明の内部観察可能化転がり軸受のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の内部観察可能化転がり軸受の一実施形態を図1および図2と共に説明する。この軸受1は、単列の円筒ころ軸受であって、対向する一対の軌道輪を構成する内輪2および外輪3と、両軌道輪2,3の軌道面2a,3aの間に環状の保持器4を介して保持された複数の転動体としての円筒ころ5とより構成されている。外輪3は、外輪本体3Aと、外輪つば輪3Bとよりなる。両軌道面2a,3a間の軸受空間Sには、図示しない潤滑剤(たとえば、グリスなど)が封入される。このころ軸受1を、前記のようなアプリケーションに適用する場合、内輪2の内径面が回転軸または固定支軸(いずれも図示せず)の外周に嵌合一体とされ、固定側または回転側(いずれも図示せず)の内径面に外輪3の外径面が嵌合一体とされる。これによって、固定側に対して回転側が回転自在に支持される。なお、図2では外輪3の図示を省略している。
【0017】
図示の保持器4は、合成樹脂の成型体であることを示しているが、鋼板製等の鉄製のものであっても良い。図示の保持器4は、内輪2の外周部を取り囲むように環状に形成され、その周方向に沿って、前記複数のころ5を各個別に保持する方形のポケット4aを等間隔に備えている。保持器4の周方向90°毎の4箇所には、両側面より柱部分を斜めに貫通して、保持器4の内周面4bにおける軸受空間S内の内輪2の軌道面2aとの対面範囲に渡る計8個の孔(観察用窓)4cが形成されている。この孔4cの内径は、観察器具であるファイバースコープ6が挿入し得る大きさとされ、図1に示すように、このファイバースコープ6の先端部を、保持器4の外側面よりこの孔4cに挿入し、先端部を軸受空間S内における内輪2の軌道面2aの至近位置にまで臨ませることができる。
【0018】
したがって、ファイバースコープ6を介して、内輪2の軌道面2aの状態(例えば、摩耗の有無、亀裂の有無など)や潤滑剤の状態(例えば、滞留量、動きなど)を視覚的に観察することができる。また、この孔4cに採取器具(図示せず)を挿入し、潤滑剤を採取して、その劣化度合いなどの性状を分析することもできる。このように、内輪2の軌道面2aの状態や潤滑剤の状態を視覚的に観察し、あるいは、潤滑剤の性状を分析することによって、ころ軸受1の異常の検知や破損の有無などの早期発見が可能となり、前記のようなアプリケーションに適用した場合の保全維持管理が効率的かつ適正になされる。前記孔4cの口部には取外し自在な栓(図示せず)を取付け、潤滑剤の漏出を防止するようにしても良い。
【0019】
図3および図4はこの発明の転がり軸受の他の実施形態を示す。この実施形態の転がり軸受は、前記と同様に単列の円筒ころ軸受1Aであるが、保持器4に形成される観察用窓が切欠4dからなる点で、図1および図2に示すころ軸受1と異なる。この切欠4dは、保持器4の周方向90°毎の4箇所に、両側面と内周面4bとの角部を斜めに切欠いた溝形状であり、保持器4の側面から、保持器4の内周面4bにおける軸受空間S内の内輪2の軌道面2aとの対面範囲に渡るように、計8個形成されている。この切欠4dの切欠深さは、図3に示すように、その底部と、内輪2のつば部の内側角部との間隔Dが、ファイバースコープ6の径よりやや大となるよう設定されている。これにより、ファイバースコープ6の先端部を、保持器4の外側面よりこの切欠4dに挿入し、先端部を軸受空間S内における内輪2の軌道面2aの至近位置にまで臨ませることができる。なお、上記各切欠4dに代えて、観察用窓となる溝(図示せず)を設けても良い。
【0020】
したがって、前記と同様に、ファイバースコープ6を介して、内輪2の軌道面2aの状態(摩耗の有無、亀裂の有無など)や潤滑剤の状態(滞留量、動きなど)を視覚的に観察することができる。また、この孔4dに採取器具(図示せず)を挿入し、潤滑剤を採取して、その劣化度合いなどの性状を分析することもできる。
なお、図4においても外輪3の図示を省略している。その他の構成は、図1および図2に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0021】
図5はこの発明の転がり軸受のさらに別の実施形態を示す。この実施形態の転がり軸受は、前記と同様に単列の円筒ころ軸受1Bであるが、観察用窓を外輪3に設けた点で、図1,図2に示す円筒ころ軸受1、および、図3,図4に示す円筒ころ軸受1Aのいずれとも異なる。すなわち、外輪本体3Aにおけるつば部3Aaの形成基部に、外周部より軌道面3aの端部に貫通する孔3bが観察用窓として形成されている。この孔3bは、つば部3Aaの形成基部であって、軌道面3aとつば部3Aaとの境界部における入隅部に形成された研磨ぬすみ部に開口するよう形成されており、これにより、軌道面3aにおけるころ5の転動性への影響を少なくすることができる。この孔3bの内径も、ファイバースコープ6の外径よりやや大とされ、ファイバースコープ6の先端部を、外輪本体3Aの外径面よりこの孔3bに挿入し、先端部を軸受空間S内に臨ませることができる。
【0022】
したがって、前記と同様に、ファイバースコープ6を介して、軸受空間S内の軌道面2aの状態(摩耗の有無、亀裂の有無など)や潤滑剤の状態(滞留量、動きなど)を視覚的に観察することができる。また、この孔3bに採取器具(図示せず)を挿入し、潤滑剤を採取して、その劣化度合いなどの性状を分析することもできる。
なお、前記孔3bに代え、外輪本体3Aにおける外輪つば輪3Bとの界面に、溝または切欠を形成して同様の機能を持たせるよう構成することも可能である。その他の構成は、図1ないし図4に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、ここでもその説明を省略する。
【0023】
図6はこの発明の転がり軸受のさらに別の実施形態を示す。この実施形態の転がり軸受は、前記と同様に円筒ころ軸受1Cであるが、2列の円筒ころ軸受であって、観察用窓が外輪の間座に設けられている点で、前記いずれの例とも異なる。すなわち、この実施形態の円筒ころ軸受1Cは、一対の軌道輪を構成する外輪3が、各列毎に設けられた2個の外輪本体(軌道輪本体)3C、およびこの両外輪本体3C間に介在した間座3Dからなり、この間座3Dに、その外周面から軸受空間Sに渡る孔3cが観察用窓として形成されている。内輪2は、2列の円筒ころ5が転動し得る幅の軌道面2aを備えた内輪本体2Aと、内輪つば輪2Bとより構成される。また、合成樹脂の成型体からなる保持器4が、各列毎に設けられている。この2列の保持器4は、一体の保持器であっても良い。
【0024】
前記孔3cの口部には、透光性の板状蓋3dが取外し自在に装着されており、この板状蓋3dを装着したままでも、軸受空間S内の状態が視覚的に観察可能とされている。そして、この板状蓋3dを取外し、孔3c内に図示しないファイバースコープや採取器具を挿入すれば、軸受空間S内の軌道面2aの状態や潤滑剤の状態を、前記と同様に視覚的に観察でき、あるいは、採取した潤滑剤の性状分析なども行うことができる。したがって、このような複列の円筒ころ軸受であっても、これを用いたアプリケーションの保全維持管理が効率的かつ適正になされる。
【0025】
なお、上記実施形態では、転がり軸受が円筒ころ軸受である例について述べたが、玉軸受であっても良い。また、円筒ころ軸受に限らず、針状ころ軸受、円すいころ軸受であっても良く、自動調心ころ軸受であっても良い。さらに、例示のようなラジアル軸受に限らずスラスト軸受であっても良い。加えて、観察器具としてはファイバースコープに限らず他の適宜の観察器具を用いることも可能である。さらには、このような観察器具を用いずに、直接に目視で軸受空間内を観察し得るよう構成しても良い。その場合、観察窓は、開放された孔や溝,切欠に限らず、透明樹脂等の透明体で構成されていても良い。
【符号の説明】
【0026】
1…内部観察可能化転がり軸受
1A…内部観察可能化転がり軸受
1B…内部観察可能化転がり軸受
1C…内部観察可能化転がり軸受
2…内輪(軌道輪)
2a…軌道面
3…外輪(軌道輪)
3C…外輪本体(軌道輪本体)
3D…間座
3a…軌道面
3b…孔(観察用窓)
3c…孔(観察用窓)
4…保持器
4b…保持器の内周面
4c…孔(観察用窓)
4d…溝または切欠(観察用窓)
5…円筒ころ(転動体)
6…ファイバースコープ(観察器具)
S…軸受空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の軌道輪の軌道面の間に、環状の保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受において、前記軌道輪または保持器に、両軌道輪間の軸受空間内の軌道面および潤滑剤の少なくとも一方を軸受外面から透して観察可能とする観察用窓を設けたことを特徴とする内部観察可能化転がり軸受。
【請求項2】
請求項1において、前記観察用窓が、軸受外面から軸受空間内に貫通し観察器具の先端部を挿通可能な孔である内部観察可能化転がり軸受。
【請求項3】
請求項1において、前記観察用窓が、軸受外面から軸受空間内に貫通し観察器具の先端部を挿通可能な溝または切欠である内部観察可能化転がり軸受。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記観察用窓を前記保持器に設けた内部観察可能化転がり軸受。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記観察用窓を前記軌道輪に設けた内部観察可能化転がり軸受。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、複列転がり軸受であって、前記一対の軌道輪のうち、外輪となる軌道輪が、各列毎に設けられた軌道輪本体、および両軌道輪本体間に介在した間座からなり、この間座に前記観察用窓を設けた内部観察可能化転がり軸受。
【請求項7】
請求項4において、前記転がり軸受がころ軸受であり、前記観察用窓が、保持器の側面からこの保持器の内周面における内輪軌道面との対面範囲へ貫通して形成されて観察器具の先端部を挿通可能な孔である内部観察可能化転がり軸受。
【請求項8】
請求項4において、前記転がり軸受がころ軸受であり、前記観察用窓が、保持器の内周面に、保持器の側面から内周面における内輪軌道面との対面範囲に渡って形成されて観察器具の先端部を挿通可能な溝または切欠である内部観察可能化転がり軸受。
【請求項9】
ころ軸受におけるころをそれぞれ保持する複数のポケットが設けられた環状の保持器であって、観察器具の先端部を挿通可能な孔からなる観察用窓が、保持器の側面からこの保持器の内周面における内輪軌道面との対面範囲へ貫通して形成されたことを特徴とする内部観察可能化転がり軸受用保持器。
【請求項10】
ころ軸受におけるころをそれぞれ保持する複数のポケットが設けられた環状の保持器であって、観察器具の先端部を挿通可能な溝または切欠からなる観察用窓が、保持器の内周面に、この保持器の側面から内周面における内輪軌道面との対面範囲に渡って形成されたことを特徴とする内部観察可能化転がり軸受用保持器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−7255(P2011−7255A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150866(P2009−150866)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】