説明

内面検査装置

【課題】小さな直径の孔であっても深い孔であっても検査が可能な内面検査装置を提供する。
【解決手段】円柱体11基端を平面状に研磨して平面部21を形成し、先端を円錐状に刳り貫いて研磨して円錐部22を設ける。照明12を円形リング状に形成し、円柱体11の平面部21へ向けて照明光41を照射する。照明光41を、平面部21から円柱体11内部へ入力し、周面51で反射しながら先端側へ導く。そして、円錐部22の斜面23で反射して円柱体11の外側へ出力し、検査対象孔3の内面4を照明する。照明光41で照らされた内面4は円錐部22の斜面23に映り、この像は円柱体11の平面部21及び照明12の中央開口部31を介してCCDカメラ13で撮像される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔の内面の状態を検査する内面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、孔の内面を検査する際には、内面検査装置が用いられていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
この内面検査装置は、検査対象孔に挿入される内視鏡を備えており、該内視鏡は、円筒状のスコープ本体と、スコープ本体に設けられたライトガイドと、スコープ本体先端にガラスパイプを介して固定された円錐状のコーンミラーとによって構成されている。
【0004】
これにより、この内視鏡のコーンミラーに投影された映像をCCDカメラで撮像することで、検査を行えるように構成されている。
【特許文献1】特開平9−089788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の内面検査装置にあっては、コーンミラーを支持する為の円筒状のガラスパイプを前記コーンミラーを外周部に設ける必要があった。
【0006】
また、照明を照射する為に、前記ガラスパイプのさらに外側にライトガイドが必要であり、外形寸法が大径化されてしまう。
【0007】
このため、直径の小さな孔の検査には、不向きであった。
【0008】
また、小径化に対応する為に、前記コーンミラーを小径化する方法が考えられるが、この場合、コーンミラーに投影された映像をレンズで拡大する必要がある。しかし、レンズを前記コーンミラーに近付けると、深い孔を検査することができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、小さな直径の孔であっても深い孔であっても検査が可能な内面検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の内面検査装置にあっては、孔の内面の状態を検査する内面検査装置において、前記孔へ先端部より挿入される透明な円柱状であって基端が平面状に研磨されてなる平面部及び先端が円錐状に刳り貫かれて研磨された円錐部が設けられた円柱体と、前記平面部から前記円柱体内部へ光を入力し当該円柱体で導かれた光を前記円錐部で反射して前記内面を照明する照明照射手段と、前記円錐部に映った前記内面の状態を前記平面部を介して撮像する撮像手段と、を備えている。
【0011】
すなわち、照明照射手段からの照明光は、円柱体基端の平面部から当該円柱体内部へ入力され、該円柱体の側面に全反射しながら当該円柱部内部を進む。そして、該円柱体先端の円錐部で反射して、検査対象孔の内面に照射される。
【0012】
前記照明光が照射された前記内面からの反射光は、前記円錐部で反射して当該円柱体の基端側へ進み、基端が構成する平面部を直進して撮像手段に入力される。
【0013】
これにより、前記照明光で照らされた前記内面は、その状態が撮像手段で撮像され、欠損の有無等が検査される。
【0014】
このとき、前記内面を映す前記円錐部は、中実の円柱体の先端面が刳り貫かれ研磨されることによって、当該円柱体に一体形成されている。このため、孔内に挿入される円柱体の直径と同径の円錐部が形成される。
【0015】
また、前記照明光は、前記内面に対してほぼ直角に照射される。このため、正反射に近い光を画像化することができる。
【0016】
さらに、前記円錐部に映った像は、中実の円柱体で導かれて撮像手段に達するため、当該円柱体の屈折率により浮き上がって見える。このため、撮像手段のレンズを遠い位置設置でき、深い孔の検査が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の内面検査装置にあっては、中実の円柱体の先端面を刳り貫き研磨して検査対象孔の内面を映す円錐部を形成したので、検査対象孔に挿入される円柱体の直径と同径の円錐部を当該円柱体に一体形成することができる。
【0018】
このため、円錐状のコーンミラーの外周部に円筒状のガラスパイプを設けてコーンミラーを支持しなければならなかった従来と比較して、小径化を図ることができる。
【0019】
また、照明光を中実の円柱体で導いて検査対象孔の内面に当てることができるため、前記コーンミラーを支持した前記ガラスパイプの外側にライトガイドを設けて照明を照射する従来と比較して、照明の為の大径化も防止することができる。
【0020】
これにより、前記内面を映す前記円錐部を小径化すること無く、円柱体の小径化を実現できるため、直径の小さな孔であっても検査が可能となる。
【0021】
このとき、前記照明光は、前記内面に対してほぼ直角に照射される。このため、正反射に近い光を画像化することができるので、前記内面に形成された巣や欠け等の欠損の検査に適する。
【0022】
そして、前記円錐部に映った像は、中実の円柱体で導かれて撮像手段に達する構造上、当該円柱体の屈折率により浮き上がって見え、当該像とカメラのレンズとの見かけ上の距離を近づけることができる。
【0023】
これにより、コーンミラーに映った像を中空体を通して撮像する場合と比較して、カメラレンズの焦点距離が同じであっても、前記円錐部を離れた位置に設定することができ、より深い孔の検査が可能となる。
【0024】
したがって、直径が小さく、深い孔であっても検査が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる内面検査装置1を示す図であり、該内面検査装置1は、筒体等も含む被検査ワーク2に設けられた検査対象孔3の内面4の状態を検査する装置である。
【0026】
この内面検査装置1は、前記検査対象孔3に挿入される円柱体11と、該円柱体11の基端側に配置された照明照射手段としての照明12と、前記円柱体11の基端側に配置された撮像手段としてのCCDカメラ13とを備えている。
【0027】
前記円柱体11は、透明なガラスやアクリルによって中実の円柱状に形成されており、当該円柱体11は、その先端部より前記検査対象孔3に挿入されるように構成されている。
【0028】
この円柱体11の基端面は、平面状に研磨されており、当該円柱体11の基端には、平坦な平面部21が形成されている。また、前記円柱体11の先端面は、円錐状に刳り貫かれた後、研磨されており、当該円柱体11の先端部には、内側へ円錐状に後退した円錐部22が設けられている。
【0029】
この円錐部22の斜面23は、研磨後にコーティングしても良く、ミラーコーティングすることが望ましい。そして、この斜面23は、当該円柱体11の中心軸24に対して約45度傾斜するように設定されている。
【0030】
前記照明12は、円形リング状に形成されており、中央部には、中央開口部31が設けられている。この照明12は、前記円柱体11の基端よりやや上方へ離れた位置に配置されており、その中心が前記円柱体11の中心軸24上に配置されるように設定されている。これにより、前記照明12の前記中央開口部31の真下に、前記円柱体11が配置されるように構成されている。
【0031】
この照明12からは、前記円柱体11基端の前記平面部21の外周部斜め上方から該平面部21へ向けて照明光41を照射するように構成されており、該照明光41を前記平面部21から前記円柱体11内部へ入力するように構成されている。
【0032】
この照明光41は、前記平面部21で屈折し前記円柱体11の周面51を反射しながら当該円柱体11に沿って先端側へ導かれるように構成されており、該円柱体11の先端部では、前記円錐部22の前記斜面23で反射して当該円柱体11の外側へ出力されるように構成されている。
【0033】
これにより、前記照明12からの前記照明光41によって前記検査対象孔3の内面4を照明できるように構成されており、この照明光41で照らされた前記内面4の部位が前記円錐部22の斜面23に映るように構成されている。
【0034】
前記CCDカメラ13は、前記照明12の上部に配設されており、当該CCDカメラ13のレンズ61が前記照明12の前記中央開口部31の真上に配置されている。
【0035】
これにより、当該CCDカメラ13は、そのレンズ61が前記照明12の前記中央開口部31を介して前記円柱体11の前記平面部21に対向するように構成されており、前記円柱体11の円錐部22に映った前記内面4の状態を、前記平面部21及び前記照明12の中央開口部31を介して前記CCDカメラ13で撮像できるように構成されている。
【0036】
そして、このCCDカメラ13は、図外のパソコン等で構成された制御装置に接続されており、取得した内面画像を解析することで、前記内面4の状態を検査できるように構成されている。
【0037】
以上の構成において、被検査ワーク2の検査対象孔3を検査する際には、前記円柱体11を先端から前記検査対象孔3に挿入し、前記照明12及び前記CCDカメラ13並びに前記円柱体11を前記検査対象孔3に対して移動しながら、あるいは前記照明12及び前記CCDカメラ13並びに前記円柱体11に対して前記検査ワーク2を移動しながら検査を行う。
【0038】
このとき、前記照明12からの照明光41は、前記円柱体11基端の平面部21から当該円柱体11内部へ入力され、該円柱体11の周面51に全反射しながら当該円柱部11内部を進む。そして、該円柱体11先端の円錐部22の斜面23で反射して、検査対象孔3の内面4に照射される。
【0039】
この照明光41が照射された前記内面4からの反射光71は、前記円錐部22の斜面23で反射して当該円柱体11の基端側へ進み、基端が構成する平面部21を直進し、レンズ61を介してCCDカメラ13で撮像される。
【0040】
これにより、前記照明光41で照らされた前記内面4の状態を、前記CCDカメラ13で撮像し、その内面画像から欠損の有無等を制御装置によって検査することができる。
【0041】
このとき、前記内面4を映す前記円錐部22は、中実の円柱体11の先端面が刳り貫かれ研磨されることによって、当該円柱体11に一体形成されている。このため、前記検査対象孔3内に挿入される円柱体11の直径と同径の円錐部22を当該円柱体11に一体形成することができる。
【0042】
このため、円錐状のコーンミラーの外周部に円筒状のガラスパイプを設けてコーンミラーを支持しなければならなかった従来と比較して、小径化を図ることができる。
【0043】
また、前記照明光41を中実の円柱体11で導いて前記検査対象孔3の内面4に当てることができる。このため、前記コーンミラーを支持した前記ガラスパイプの外側にライトガイドを設けて照明を照射する従来と比較して、照明するの為の大径化も防止することができる。
【0044】
これにより、前記内面4を映す前記円錐部22を小径化すること無く、円柱体11の小径化を実現できるので、直径の小さな検査対象孔3であっても検査が可能となる。
【0045】
また、前記照明光41は、前記内面4に対してほぼ直角に照射され、正反射に近い光を画像化することができる。このため、前記内面4に形成された巣や欠け等の欠損の画像化に適し、これらの検査に適用することができる。
【0046】
そして、前記CCDカメラ13及び前記照明12を前記円柱体11の基端側に配置するとともに、前記照明12からの照明光41を前記内面4に対してほぼ直角に照射することができる。このため、図2に示すように、中途部で内径寸法が変化する段付き穴101や、底面102を備えた非貫通穴103であっても隅々まで検査を行うことができる。
【0047】
さらに、前記円錐部22に映った像は、中実の円柱体11で導かれて前記CCDカメラ13のレンズ61に達する構造上、当該円柱体11の屈折率により浮き上がって見え、当該像への見かけ上の焦点位置を近づけることができる。
【0048】
このため、図3に示すように、コーンミラー201に映った像を中空体202を通してCCDカメラ203で撮像する場合と比較して、焦点距離が同じであっても、前記CCDカメラ13から前記円錐部22を離れた位置に設定することができ、より深い検査対象孔3の検査が可能となる。
【0049】
したがって、直径が小さく、深い検査対象孔3であっても検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図である。
【図2】同実施の形態の使用例を示す説明図である。
【図3】同実施の形態の効果を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 内面検査装置
2 被検査ワーク
3 検査対象孔
4 内面
11 円柱体
12 照明
13 CCDカメラ
21 平面部
22 円錐部
61 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔の内面の状態を検査する内面検査装置において、
前記孔へ先端部より挿入される透明な円柱状であって基端が平面状に研磨されてなる平面部及び先端が円錐状に刳り貫かれて研磨された円錐部が設けられた円柱体と、
前記平面部から前記円柱体内部へ光を入力し当該円柱体で導かれた光を前記円錐部で反射して前記内面を照明する照明照射手段と、
前記円錐部に映った前記内面の状態を前記平面部を介して撮像する撮像手段と、
を備えたことを特徴とする内面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−69374(P2009−69374A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236535(P2007−236535)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】