説明

円筒研削加工方法、および円筒研削加工装置

【課題】ワークに形状不良および砥石焼けが発生することを抑制でき、ワークの加工精度を安定させることが可能な円筒研削加工方法、および円筒研削加工装置を提供する。
【解決手段】円筒研削加工装置10を用いて行われる、ワーク1を研削加工する方法であって、ワーク1の研削加工を行っている場合で、クーラント量測定手段14の測定値が所定の下限クーラント閾値Q1より小さい値になるときには、クーラント量変更手段13によりクーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、クーラント量測定手段14の測定値が所定の上限クーラント閾値Q2より大きい値になるときには、クーラント量変更手段13により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、たわみ量測定手段16の測定値が所定のたわみ閾値x1より大きい値になるときには、砥石送り手段により砥石11の送り速度を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを研削加工する円筒研削加工方法、および円筒研削加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを研削加工する円筒研削加工装置の技術は公知となっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の円筒研削加工装置は、ワークの外周面におけるワークを挟んで砥石と対向する部位に添接させた押圧子と、この押圧子をワークに添接した状態でワークの径方向において前進後退の変位を可能とする押圧手段と、砥石により研削加工される前記ワークの研削点におけるワークのたわみ量を算出するたわみ量算出手段と、算出されるたわみ量が所定値以下になるように前記押圧手段をフィードバック制御する制御手段と、を備えている。
【0004】
一般的に、ワークの研削加工時には、ワークの砥石焼けを防止することやワークの加工後の形状精度を安定してだすために、砥石とワークとの間にクーラントが供給される。しかし、クーラントの供給量によっては、ワークに形状不良や砥石焼けが発生し、品質不具合が発生する可能性がある。また、研削加工時において、ワークのたわみ量が多い場合、ワークに形状不良が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−120147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ワークに形状不良および砥石焼けが発生することを抑制でき、ワークの加工精度を安定させることが可能な円筒研削加工方法、および円筒研削加工装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の円筒研削加工方法は、
砥石と、
ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を測定するクーラント量測定手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
を備えた円筒研削加工装置を用いて行われる、前記ワークを研削加工する方法であって、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の下限クーラント閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の上限クーラント閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる。
【0008】
請求項2に記載の円筒研削加工方法においては、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記砥石送り手段による前記砥石の送り速度を所定の速度閾値以下まで減少させなければ、前記クーラント量測定手段の測定値が、前記下限クーラント閾値以上、上限クーラント閾値以下の値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が、前記たわみ閾値以下の値になる状態を実現できないときには、当該ワークの研削加工の終了後に、前記砥石のドレスを行う。
【0009】
請求項3に記載の円筒研削加工方法においては、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記クーラント量測定手段の測定値が前記上限クーラント閾値より大きい値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定の停止閾値以下の値になるときには、前記円筒研削加工装置を停止する。
【0010】
請求項4に記載の円筒研削加工装置は、
砥石でワークを研削加工する円筒研削加工装置であって、
前記砥石と、
前記ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を測定するクーラント量測定手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
を備え、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の下限クーラント閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の上限クーラント閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる。
【0011】
請求項5に記載の円筒研削加工方法は、
砥石と、
ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
前記研削点でクーラントに発生する動圧を算出する演算手段と、
を備えた円筒研削加工装置を用いて行われる、前記ワークを研削加工する方法であって、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記演算手段の算出値が所定の下限動圧閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記演算手段の算出値が所定の上限動圧閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる。
【0012】
請求項6に記載の円筒研削加工方法においては、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記砥石送り手段による前記砥石の送り速度を所定の速度閾値以下まで減少させなければ、前記演算手段の算出値が、前記下限動圧閾値以上、上限動圧閾値以下の値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が、前記たわみ閾値以下の値になる状態を実現できないときには、当該ワークの研削加工の終了後に、前記砥石のドレスを行う。
【0013】
請求項7に記載の円筒研削加工方法においては、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記演算手段の算出値が前記上限動圧閾値より大きい値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定の停止閾値以下の値になるときには、前記円筒研削加工装置を停止する。
【0014】
請求項8に記載の円筒研削加工装置は、
砥石でワークを研削加工する円筒研削加工装置であって、
前記砥石と、
前記ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
前記研削点でクーラントに発生する動圧を算出する演算手段と、
を備え、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記演算手段の算出値が所定の下限動圧閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記演算手段の算出値が所定の上限動圧閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワークに形状不良および砥石焼けが発生することを抑制でき、ワークの加工精度を安定させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る円筒研削加工装置の実施の一形態である円筒研削加工装置の概略構成図である。
【図2】クーラント供給量(クーラント動圧)とワークのたわみ量との関係を示す図である。
【図3】制御態様を示すフローチャートである。
【図4】クーラント供給量とワークのたわみ量との関係を示す図である。
【図5】制御態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施形態]
以下に、本発明に係る円筒研削加工装置の第一実施形態である円筒研削加工装置10について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、円筒研削加工装置10は、砥石11でワーク1を研削加工するための装置である。ワーク1は、例えばクランクシャフトの軸部である。ワーク1および砥石11は、それぞれの外周面が円環形状を有しており、それぞれが周方向に回転可能に支持されている。また、ワーク1および砥石11は、それぞれの回転軸が互いに平行になるように対向配置されている。円筒研削加工装置10は、ワーク1および砥石11をそれぞれ同一方向に回転させた状態で、砥石11をワーク1に向けて送り(近接させて)、砥石11をワーク1に接触させることによってワーク1を研削加工する。なお、ワーク1の外周面のうち、砥石11が接触して研削加工される部分を研削点と称する。
【0019】
円筒研削加工装置10は、砥石11と、ワーク回転手段(不図示)と、砥石回転手段(不図示)と、砥石送り手段(不図示)と、クーラント供給手段(クーラント供給部12a、クーラントノルズ12b、および配管12c)と、クーラント量変更手段13と、クーラント量測定手段14と、ワーク径測定手段15と、たわみ量測定手段16と、レスト17と、制御手段(不図示)と、を備えている。
【0020】
前記ワーク回転手段は、ワーク1を周方向に回転させるためのものである。前記ワーク回転手段(例えば、モータ)は、ワーク1に接続されており、前記ワーク回転手段の駆動力により、ワーク1が周方向に回転するように構成されている。
前記砥石回転手段は、砥石11を周方向に回転させるためのものである。前記砥石回転手段(例えば、モータ)は、砥石11に接続されており、前記砥石回転手段の駆動力により、砥石11が周方向に回転するように構成されている。
前記砥石送り手段は、砥石11をワーク1に向けて送る(移動する)ためのものである。前記砥石送り手段(例えば、モータ、シリンダ等)は、砥石11に接続されており、前記砥石送り手段の駆動力により、砥石11がワーク1に対して近接・離間するように構成されている。ワーク1を挟んで砥石11と対向する位置には、レスト17が配置されている。レスト17は、ワーク1の研削加工時において、ワーク1を定位置で支持する。
【0021】
前記クーラント供給手段は、砥石11により研削加工されるワーク1の研削点にクーラントを供給するためのものである。前記クーラント供給手段は、クーラントを供給するクーラント供給部(クーラント貯留槽、およびポンプ)12aと、定位置に配置されるクーラントノルズ12bと、一端がクーラント供給部12aのクーラント貯留槽に接続され、他端がクーラントノルズ12bに接続される配管12cと、を有している。クーラント供給部12aは、前記ポンプの駆動力により前記クーラント貯留槽内のクーラントを、配管12cを通じて圧送する。配管12cに圧送されたクーラントはクーラントノルズ12bから吐出される。クーラントノルズ12bは、ワーク1の研削点にクーラントを供給可能な位置に固定配置されており、クーラントノルズ12bから吐出られるクーラントがワーク1の研削点に供給されるように構成されている。クーラントが供給されることによって、ワーク1や砥石11が冷却される。
クーラント量変更手段13は、前記クーラント供給手段(クーラントノルズ12b)からのクーラント供給量を変更するためのものである。クーラント量変更手段(コントロールバルブ)13は、配管12cの中途部に設けられており、配管12cを開放・閉塞可能に構成されている。また、クーラント量変更手段13は、配管12cの開放量を変更可能に構成されており、これによりクーラントノルズ12bからのクーラント供給量を変更可能に構成されている。クーラントノルズ12bには、前記クーラント供給手段(クーラントノルズ12b)からのクーラント供給量を測定するクーラント量測定手段14が接続されている。
【0022】
ワーク径測定手段15は、前記研削点におけるワーク1の外径を測定するものであり、ワーク1に接続されている。たわみ量測定手段16は、前記研削点におけるワーク1のたわみ量を測定するものである。たわみ量測定手段16は、例えば、ワーク1のたわみ量を非接触で測定可能なギャップセンサで構成されている。
【0023】
前記制御手段(PC)は、前記ワーク回転手段に接続されており、前記ワーク回転手段によりワーク1の回転を制御することが可能である。前記制御手段は、前記砥石回転手段に接続されており、前記砥石回転手段により砥石11の回転を制御することが可能である。前記制御手段は、前記砥石送り手段に接続されており、前記砥石送り手段により砥石11をワーク1に向けて送ることが可能である。前記制御手段は、単位時間当たりの前記砥石送り手段の駆動量の変更を行うことが可能であり、これにより砥石11の送り速度の増減を行うことが可能である。前記制御手段は、単位時間当たりの前記砥石送り手段の駆動量の変化に基づいて、砥石11の送り速度を算出することが可能である。前記制御手段は、クーラント量変更手段13に接続されており、クーラント量変更手段13により前記クーラント供給手段(クーラントノルズ12b)からのクーラント供給量を変更させることが可能ある。前記制御手段は、クーラント量測定手段14に接続されており、クーラント量測定手段14からクーラント量測定手段14の計測値に係る情報を受信可能である。前記制御手段は、ワーク径測定手段15に接続されており、ワーク径測定手段15からワーク径測定手段15の計測値に係る情報を受信可能である。前記制御手段は、たわみ量測定手段16に接続されており、たわみ量測定手段16からたわみ量測定手段16の計測値に係る情報を受信可能である。
前記制御手段には、所定の下限クーラント閾値Q1に係る情報、所定の上限クーラント閾値Q2に係る情報、および所定のたわみ閾値x1が記憶されている。
【0024】
以下では、前記下限クーラント閾値Q1、上限クーラント閾値Q2、およびたわみ閾値x1について説明する。
図2に示すように、ワーク1の研削加工時において、前記研削点に供給されるクーラント供給量が増加するとクーラント動圧が上昇し、これによりワーク1が上昇したクーラント動圧に負けて、ワーク1のたわみ量が増加し、その結果ワーク1に形状不良が発生しやすくなる。
これに対し、ワーク1の研削加工時において、前記研削点に供給されるクーラント供給量が減少するとクーラント動圧が低下し、これによりワーク1のたわみ量が減少するが、クーラントによる冷却能力が低下するためにワーク1が高熱を持ち、その結果ワーク1に砥石焼けが発生しやすくなる。上限クーラント閾値Q2は、ワーク1に形状不良が発生することを防止可能な、ワーク1の研削加工時における、クーラント供給量の最大値であり、実験等によって求められる。下限クーラント閾値Q1は、ワーク1に砥石焼けが発生することを防止可能な、ワーク1の研削加工時における、クーラント供給量の最小値であり、実験等によって求められる。
また、ワーク1の研削加工時において、ワーク1のたわみ量が増加すると、ワーク1に形状不良が発生しやすくなる。たわみ閾値x1は、ワーク1の研削加工時において、ワーク1に形状不良が発生することを防止可能な、ワーク1のたわみ量の最大値であり、実験等によって求められる。なお、ワーク1のたわみ量が増加する原因としては、上記したクーラント供給量の増加によるものの他に、砥石11の切れ味が悪化しているにもかかわらず、砥石11の送り速度が速すぎるために、砥石11によるワーク1の研削加工が円滑に行われていない場合等が挙げられる。
【0025】
前記制御手段は、前記ワーク回転手段によりワーク1を回転させるとともに、前記砥石回転手段により砥石11を回転させた状態で、前記クーラント供給手段により前記研削点にクーラントを供給しながら、前記砥石送り手段により砥石11をワーク1に向けて送ることによってワーク1の研削加工を行う。そして、前記制御手段は、ワーク径測定手段15から受信するワーク1の外径の値が、所定の目標外径の値に到達した時点で、前記砥石送り手段による砥石11の送り作業を停止し、ワーク1の研削加工を終了する。
【0026】
以下では、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合において、クーラント供給量および砥石11の送り速度の制御を行うときの手順について、図3を参照して説明する。
【0027】
まず、クーラント量測定手段14が前記クーラント供給手段からのクーラント供給量Qを測定し、前記制御手段がクーラント量測定手段14の測定値Qに係る情報を受信し(S101)、ワーク径測定手段15がワーク1の外径を測定し、前記制御手段がワーク径測定手段15の測定値に係る情報を受信し(S102)、たわみ量測定手段16がワーク1のたわみ量xを測定し、前記制御手段がたわみ量測定手段16の測定値xに係る情報を受信する(S103)。
【0028】
次に、前記制御手段は、ステップS101におけるクーラント量測定手段14の測定値Qが、下限クーラント閾値Q1以上、上限クーラント閾値Q2以下の値であり(Q1≦Q≦Q2)、かつ、ステップS103におけるたわみ量測定手段16の測定値xが、たわみ閾値x1以下の値(x≦x1)であるか否かを判定する(S104)。
Q1≦Q≦Q2、かつ、x≦x1、となる場合は、前記制御手段はステップS101に移行する。
Q1≦Q≦Q2、かつ、x≦x1、とならない場合で、クーラント量測定手段14の測定値Qが下限クーラント閾値Q1より小さい値になるときには(Q<Q1)(S105)、前記制御手段は、クーラント量変更手段13により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させる(S106)。
Q1≦Q≦Q2、かつ、x≦x1、とならない場合で、クーラント量測定手段14の測定値Qが上限クーラント閾値Q2より大きい値になるときには(Q>Q2)(S107)、前記制御手段は、クーラント量変更手段13により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させる(S108)。
Q1≦Q≦Q2、かつ、x≦x1、とならない場合で、たわみ量測定手段16の測定値xがたわみ閾値x1より大きい値になるときには(x>x1)(S109)、前記制御手段は、前記砥石送り手段により砥石11の送り速度を減少させる(S110)。これにより、ワーク1のたわみ量が減少し、たわみ量測定手段16の測定値xが減少する。
ステップS106、108、110が終了したら、前記制御手段はステップS101に移行する。
【0029】
以上のように、前記制御手段は、ワーク1の研削加工を行っている場合において、前記クーラント供給手段からのクーラント供給量(クーラント量測定手段14の測定値Q)が、下限クーラント閾値Q1以上、上限クーラント閾値Q2以下の値になるように制御するとともに(Q1≦Q≦Q2)、砥石11の送り速度を制御することによって、ワーク1のたわみ量(たわみ量測定手段16の測定値x)が、たわみ閾値x1以下の値になるように制御する(x≦x1)(図4参照)。これにより、ワーク1に形状不良および砥石焼けが発生することを抑制でき、ワーク1の加工精度を安定させることが可能である。
【0030】
なお、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合で、前記砥石送り手段による砥石11の送り速度を所定の速度閾値以下まで減少させなければ、上記した、Q1≦Q≦Q2、かつ、x≦x1、となる状態を実現できないとき(規定値外れ)には、ワーク1の研削加工の終了後に、装置の停止を行うように構成してもよい。前記速度閾値は、前記制御手段がワーク1の研削加工を行っている場合で、Q1≦Q≦Q2、かつ、x≦x1、となるときにおいて、砥石11の送り速度が許容範囲を超えて低下しており、砥石11の切れ味が許容範囲を超えて悪化していると、作業者が判断するときの、砥石11の送り速度の最大値である。装置の停止後の次のサイクルでは、ドレス装置(不図示)により砥石11のドレスが行われる。そして、装置が起動され、前記制御手段により、次のワーク1の研削加工が行われる。これにより、砥石性状の安定化を図ることが可能となり、複数のワーク1を円滑に研削加工することが可能となる。
【0031】
また、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合で、クーラント量測定手段14の測定値が上限クーラント閾値Q2より大きい値になり、かつ、たわみ量測定手段16の測定値が所定の停止閾値x2以下の値になるときには、装置の停止を行うように構成してもよい(図4参照)。前記停止閾値x2は、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合で、クーラント量測定手段14の測定値(クーラント供給量)が上限クーラント閾値Q2より大きい値になるときにおいて、作業者が、クーラント供給量が多いにもかかわらず、ワーク1のたわみ量が少ないので、装置(クーラントノルズ12b等)に異常が発生していると判断するときの、ワーク1のたわみ量の最大値である。装置の停止後、装置の点検、メンテナンス等が行われる。これにより、ワーク1を安定して研削加工することが可能となる。
【0032】
また、ワーク1のたわみ量に関しては、加工開始時の砥石11の位置、およびワーク1の外径から演算して求めることが可能である。
【0033】
[第二実施形態]
以下に、本発明に係る円筒研削加工装置の第二実施形態について、図面を参照して説明する。なお、円筒研削加工装置10と同様の部材に対しては同一符号を付し、詳細な説明およびそれに付随する効果等の記載は省略する。
【0034】
本発明の第二実施形態は、砥石11と、前記ワーク回転手段と、前記砥石回転手段と、前記砥石送り手段と、前記クーラント供給手段と、クーラント量変更手段13と、クーラント量測定手段14と、ワーク径測定手段15と、たわみ量測定手段16と、レスト17と、演算手段(不図示)と、前記制御手段と、を備えている。
【0035】
前記演算手段(PC)は、前記研削点でクーラントに発生する動圧(クーラント動圧)を算出するものである。クーラント動圧は、例えば、前記研削点へのクーラント供給量、砥石11の送り速度、クーラントの粘性、クーラントの温度、クーラントノルズ12bの位置等に基づいて算出することが可能である。
前記制御手段は、前記演算手段に接続されており、前記演算手段から前記演算手段の算出値に係る情報を受信可能である。
【0036】
前記制御手段には、所定の下限動圧閾値P1に係る情報、所定の上限動圧閾値P2に係る情報、および所定のたわみ閾値x1が記憶されている。
以下では、前記下限動圧閾値P1、および上限動圧閾値P2について説明する。なお、たわみ閾値x1の説明は、第一実施形態で記載しているので省略する。
上述のように、ワーク1の研削加工時において、前記研削点に供給されるクーラント供給量が増加すると、クーラント動圧が上昇し、これによりワーク1が上昇したクーラント動圧に負けて、ワーク1のたわみ量が増加し、その結果ワーク1に形状不良が発生しやすくなる。これに対し、ワーク1の研削加工時において、前記研削点に供給されるクーラント供給量が減少するとクーラント動圧が低下し、これによりワーク1のたわみ量が減少するが、クーラントによる冷却能力が低下するためにワーク1が高熱を持ち、その結果ワーク1に砥石焼けが発生しやすくなる(図2参照)。上限動圧閾値P2は、ワーク1に形状不良が発生することを防止可能な、ワーク1の研削加工時における、クーラント動圧の最大値であり、実験等によって求められる。下限動圧閾値P1は、ワーク1に砥石焼けが発生することを防止可能な、ワーク1の研削加工時における、クーラント動圧の最小値であり、実験等によって求められる。
【0037】
前記制御手段は、前記ワーク回転手段によりワーク1を回転させるとともに、前記砥石回転手段により砥石11を回転させた状態で、前記クーラント供給手段により前記研削点にクーラントを供給しながら、前記砥石送り手段により砥石11をワーク1に向けて送ることによってワーク1の研削加工を行う。そして、前記制御手段は、ワーク径測定手段15から受信するワーク1の外径の値が、所定の目標外径の値に到達した時点で、前記砥石送り手段による砥石11の送り作業を停止し、ワーク1の研削加工を終了する。
【0038】
以下では、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合において、クーラント供給量および砥石11の送り速度の制御を行うときの手順について、図5を参照して説明する。
【0039】
まず、クーラント量測定手段14が前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を測定し、前記制御手段がクーラント量測定手段14の測定値に係る情報を受信し(S201)、ワーク径測定手段15がワーク1の外径を測定し、前記制御手段がワーク径測定手段15の測定値に係る情報を受信し(S202)、たわみ量測定手段16がワーク1のたわみ量xを測定し、前記制御手段がたわみ量測定手段16の測定値xに係る情報を受信し(S203)、前記演算手段がクーラント動圧Pを算出し、前記制御手段が前記演算手段の算出値Pに係る情報を受信する(S204)。
【0040】
次に、前記制御手段は、ステップS204における前記演算手段の算出値Pが、下限動圧閾値P1以上、上限動圧閾値P2以下の値であり(P1≦P≦P2)、かつ、ステップS203におけるたわみ量測定手段16の測定値xが、たわみ閾値x1以下の値(x≦x1)であるか否かを判定する(S205)。
P1≦P≦P2、かつ、x≦x1、となる場合は、前記制御手段はステップS201に移行する。
P1≦P≦P2、かつ、x≦x1、とならない場合で、前記演算手段の算出値Pが下限動圧閾値P1より小さい値になるときには(P<P1)(S206)、前記制御手段は、クーラント量変更手段13により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させる(S207)。これにより、クーラント動圧が上昇し、前記演算手段の算出値Pが大きくなる。
P1≦P≦P2、かつ、x≦x1、とならない場合で、前記演算手段の算出値Pが上限動圧閾値P2より大きい値になるときには(P>P2)(S208)、前記制御手段は、クーラント量変更手段13により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させる(S209)。これにより、クーラント動圧が下降し、前記演算手段の算出値Pが小さくなる。
P1≦P≦P2、かつ、x≦x1、とならない場合で、たわみ量測定手段16の測定値xがたわみ閾値x1より大きい値になるときには(x>x1)(S210)、前記制御手段は、前記砥石送り手段により砥石11の送り速度を減少させる(S211)。これにより、ワーク1のたわみ量が減少し、たわみ量測定手段16の測定値xが減少する。
ステップS207、209、211が終了したら、前記制御手段はステップS201に移行する。
【0041】
以上のように、前記制御手段は、ワーク1の研削加工を行っている場合において、クーラント量変更手段13からのクーラント供給量を制御することによって、クーラント動圧(前記演算手段の算出値P)が、下限動圧閾値P1以上、上限動圧閾値P2以下の値になるように制御するとともに(P1≦P≦P2)、砥石11の送り速度を制御することによって、ワーク1のたわみ量(たわみ量測定手段16の測定値x)が、たわみ閾値x1以下の値になるように制御する(x≦x1)。これにより、ワーク1に形状不良および砥石焼けが発生することを抑制でき、ワーク1の加工精度を安定させることが可能である。
【0042】
なお、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合で、前記砥石送り手段による砥石11の送り速度を所定の速度閾値以下まで減少させなければ、上記した、P1≦P≦P2、かつ、x≦x1、となる状態を実現できないとき(規定値外れ)には、ワーク1の研削加工の終了後に、装置の停止を行うように構成してもよい。前記速度閾値は、前記制御手段がワーク1の研削加工を行っている場合で、P1≦P≦P2、かつ、x≦x1、となるときにおいて、砥石11の送り速度が許容範囲を超えて低下しており、砥石11の切れ味が許容範囲を超えて悪化していると、作業者が判断するときの、砥石11の送り速度の最大値である。装置の停止後の次のサイクルでは、ドレス装置(不図示)により砥石11のドレスが行われる。そして、装置が起動され、前記制御手段により、次のワーク1の研削加工が行われる。これにより、砥石性状の安定化を図ることが可能となり、複数のワーク1を円滑に研削加工することが可能となる。
【0043】
また、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合で、クーラント量測定手段14の測定値が上限動圧閾値P2より大きい値になり、かつ、たわみ量測定手段16の測定値が所定の停止閾値x2以下の値になるときには、装置の停止を行うように構成してもよい。前記停止閾値x2は、前記制御手段が、ワーク1の研削加工を行っている場合で、前記演算手段の算出値(クーラント動圧)が上限動圧閾値P2以上になるときにおいて、作業者が、クーラント動圧が高いにもかかわらず、ワーク1のたわみ量が少ないので、装置(クーラントノルズ12b等)に異常が発生していると判断するときの、ワーク1のたわみ量の最大値である。装置の停止後、装置の点検、メンテナンス等が行われる。これにより、ワーク1を安定して研削加工することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 ワーク
10 円筒研削加工装置
11 砥石
12a クーラント供給部
12b クーラントノルズ
12c 配管
13 クーラント量変更手段
14 クーラント量測定手段
15 ワーク径測定手段
16 たわみ量測定手段
17 レスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石と、
ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を測定するクーラント量測定手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
を備えた円筒研削加工装置を用いて行われる、前記ワークを研削加工する方法であって、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の下限クーラント閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の上限クーラント閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる、
円筒研削加工方法。
【請求項2】
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記砥石送り手段による前記砥石の送り速度を所定の速度閾値以下まで減少させなければ、前記クーラント量測定手段の測定値が、前記下限クーラント閾値以上、上限クーラント閾値以下の値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が、前記たわみ閾値以下の値になる状態を実現できないときには、当該ワークの研削加工の終了後に、前記砥石のドレスを行う、
請求項1に記載の円筒研削加工方法。
【請求項3】
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記クーラント量測定手段の測定値が前記上限クーラント閾値より大きい値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定の停止閾値以下の値になるときには、前記円筒研削加工装置を停止する、
請求項1または請求項2に記載の円筒研削加工方法。
【請求項4】
砥石でワークを研削加工する円筒研削加工装置であって、
前記砥石と、
前記ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を測定するクーラント量測定手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
を備え、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の下限クーラント閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記クーラント量測定手段の測定値が所定の上限クーラント閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる、
円筒研削加工装置。
【請求項5】
砥石と、
ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
前記研削点でクーラントに発生する動圧を算出する演算手段と、
を備えた円筒研削加工装置を用いて行われる、前記ワークを研削加工する方法であって、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記演算手段の算出値が所定の下限動圧閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記演算手段の算出値が所定の上限動圧閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる、
円筒研削加工方法。
【請求項6】
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記砥石送り手段による前記砥石の送り速度を所定の速度閾値以下まで減少させなければ、前記演算手段の算出値が、前記下限動圧閾値以上、上限動圧閾値以下の値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が、前記たわみ閾値以下の値になる状態を実現できないときには、当該ワークの研削加工の終了後に、前記砥石のドレスを行う、
請求項5に記載の円筒研削加工方法。
【請求項7】
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記演算手段の算出値が前記上限動圧閾値より大きい値になり、かつ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定の停止閾値以下の値になるときには、前記円筒研削加工装置を停止する、
請求項5または請求項6に記載の円筒研削加工方法。
【請求項8】
砥石でワークを研削加工する円筒研削加工装置であって、
前記砥石と、
前記ワークを周方向に回転させるワーク回転手段と、
前記砥石を周方向に回転させる砥石回転手段と、
前記砥石を前記ワークに向けて送る砥石送り手段と、
前記砥石により研削加工される前記ワークの研削点にクーラントを供給するクーラント供給手段と、
前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を変更するクーラント量変更手段と、
前記研削点におけるワークのたわみ量を測定するたわみ量測定手段と、
前記研削点でクーラントに発生する動圧を算出する演算手段と、
を備え、
前記ワーク回転手段により前記ワークを回転させるとともに、前記砥石回転手段により前記砥石を回転させた状態で、前記クーラント供給手段によりクーラントを前記研削点に供給しながら、前記砥石送り手段により前記砥石を前記ワークに向けて送ることによって前記ワークの研削加工を行い、
前記ワークの研削加工を行っている場合で、前記演算手段の算出値が所定の下限動圧閾値より小さい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を増加させ、前記演算手段の算出値が所定の上限動圧閾値より大きい値になるときには、前記クーラント量変更手段により前記クーラント供給手段からのクーラント供給量を減少させ、前記たわみ量測定手段の測定値が所定のたわみ閾値より大きい値になるときには、前記砥石送り手段により前記砥石の送り速度を減少させる、
円筒研削加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−206203(P2012−206203A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73182(P2011−73182)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】