説明

再撮用モニタ装置および再撮システム

【課題】 画面の輝度を落とすことなく色温度を補正することができるようにした液晶ディスプレイ等の非自発光型ディスプレイを用いた再撮用モニタ装置およびこの再撮用モニタ装置を用いた再撮システムを提供する。
【解決手段】 スタジオ内の再撮用モニタとして使用される液晶ディスプレイ10のバックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4の色温度を周囲の色温度に対応して設定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液晶ディスプレイ等の非自発光型ディスプレイを用いた再撮用モニタ装置およびこの再撮用モニタ装置を用いた再撮システムに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、テレビ番組のセット内でモニタを含む場面をテレビカメラで収録する手法が採用される場合が多くなっている。このモニタを含む場面をテレビカメラで収録する撮影手法は、再撮と呼ばれている。
【0003】ところで、一般に市販されているモニタをテレビ番組のセットのスタジオ内に配置してテレビカメラで再撮すると、人の目で見たモニタの画面は正常であっても、テレビカメラで撮影したモニタの画面は青白くなり、不自然な画像となることが知られている。
【0004】これは、モニタの色温度がスタジオ内の色温度より高いことにより発生する現象である。
【0005】すなわち、人の目でモニタを見た場合は、人の網膜から入った映像刺激に対して、脳内で自然と色補正が行われるため、モニタの色温度がスタジオ内の色温度と異なる場合でも、不自然な感じを受けることなく異なる色温度でも溶け込んでいるように認識される。
【0006】しかし、テレビカメラの場合は、このような色補正が自動的に行われないので、モニタの色温度がスタジオ内の色温度より高いと、テレビカメラで撮影したモニタの画面は青白くなる。
【0007】そこで、従来、スタジオ内で使用される再撮用モニタは、スタジオ内の色温度に合わせて、その色温度を3000K(ケルビン)から3400Kに再調整されて使用されていた。
【0008】従来、再撮用モニタとしてはCRTの使用が一般的であり、この再撮用モニタがCRTの場合の色温度の調整手法は、CRT管の前段にあるドライブ回路のRGBゲインを再調整して、CRTの色温度を下げ、これによりCRTの色温度をスタジオ内の色温度に合わせる手法が通常用いられてきた。
【0009】また、最近市販のCRTの場合、色温度が9000K付近から時には10000Kを越える調整がなされているものがあり、このようなCRTを再撮用モニタを用いる場合、色温度の補正幅が大きくなり、画面の明るさを犠牲にしないと色温度の補正ができなかったが、CRTの蛍光体やCRT自体の構造の進化により、このような色温度補正幅が大きい場合でも画面の十分な明るさが得られるようになったので、CRT管の前段のRGBゲインを調整する手法を採用せずに、CRTの外部に簡易型のカラーコレクタを取りつけて、このカラーコレクタを用いて色温度補正を行う手法も採用されている。
【0010】ところで、最近、スタジオ内で使用される再撮用モニタとして、従来から使用されてきたCRTに代わって、液晶ディスプレイの採用が検討されている。
【0011】液晶ディスプレイは、その特徴として、1)形状が薄い2)解像度が高い3)コンピュータ映像を表示した場合、その残像特性のためにフリッカが少ない4)消費電力が少ない等が挙げられる。
【0012】一方、その欠点としては、1)大画面の製造が困難2)明るさが取れない3)コントラストが取れない4)視野角が狭い5)CRTに比較して残像が多い6)寿命が短い7)CRTに比較して高価等がある。
【0013】そして、従来、主に上記1)大画面の製造が困難2)明るさが取れない3)コントラストが取れない4)視野角が狭いという理由により、液晶ディスプレイは再撮用モニタとして適さないとされていた。
【0014】ところが、最近の液晶ディスプレイの進歩は目覚しく、上記欠点も大幅に改善されている。これに伴って、スタジオ内の再撮用モニタとして液晶ディスプレイを使用する試みもなされている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、再撮用モニタとして液晶ディスプレイを使用する場合の色温度補正の手法としては、1)RGBゲインを映像信号レベルで制御する(RGB調整法)
2)液晶ディスプレイの画面に光学フィルタを装着して色温度補正を行う(フィルタ調整法)等の手法が考えられている。
【0016】しかし、上述したRGBゲインを映像信号レベルで制御するRGB調整法若しくは液晶ディスプレイの画面に光学フィルタを装着して色温度補正を行うフィルタ調整法のいずれを採用した場合でも、色温度補正後に十分な画面の輝度が得られなくなるという問題が生じた。
【0017】すなわち、液晶ディスプレイにおいても、CRTと同様にRGBゲインを映像信号レベルで制御することにより色温度補正を行うことは可能であるが、色温度を下げるために、基本的には、G成分、B成分の輝度を落とすことになり、そのため全体の輝度が落ちる。
【0018】そこで、CRTの場合は、色温度補正後に全体の輝度を上げてバランスを取っているが、液晶ディスプレイは、CRTと比較して輝度の飽和点が低いため、CRTの場合のように、色温度補正後に全体の輝度を上げてバランスを取るという手法は採用できない。
【0019】また、光学フィルタを装着して色温度補正を行う手法の場合も、色温度を下げるために、基本的には、G成分、B成分の輝度を落とすことになり、そのため全体の輝度が落ちてしまう。
【0020】そこで、この発明は、画面の輝度を落とすことなく色温度を補正することができるようにした液晶ディスプレイ等の非自発光型ディスプレイを用いた再撮用モニタ装置およびこの再撮用モニタ装置を用いた再撮システムを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、周囲の色温度に対応して色温度が設定された光源からなるバックライトと、このバックライトからの光を制御して映像信号を表示する非自発型表示パネルと、この非自発型表示パネルで表示される映像信号に応じて上記非自発型表示パネルを駆動するドライブ回路とで構成されたことを特徴とする再撮用モニタ装置にある。
【0022】また、請求項2に記載の発明は、液晶パネルで形成された上記非自発型表示パネルで構成されたことを特徴とする請求項1記載の再撮用モニタ装置にある。
【0023】また、請求項3に記載の発明は、冷陰極蛍光ランプで形成された上記バックライトで構成されたことを特徴とする請求項2記載の再撮用モニタ装置にある。
【0024】また、請求項4に記載の発明は、反射型偏光性フィルムを上記バックライトの前面に配設したことを特徴とする請求項3記載の再撮用モニタ装置にある。
【0025】さらに、請求項5に記載の発明は、周囲の色温度に対応して色温度が設定された光源からなるバックライトと、このバックライトからの光を制御して映像信号を表示する非自発型表示パネルと、この非自発型表示パネルで表示される映像信号に応じて上記非自発型表示パネルを駆動するドライブ回路とを有する再撮用モニタ装置と、この再撮用モニタ装置に表示された映像信号の画像を含んで該再撮用モニタ装置の周囲の画像を撮影するテレビカメラと、で構成されたことを特徴とする再撮システムにある。
【0026】このような構成によれば、画面の輝度を落とすことなく色温度を補正することができるようにした液晶ディスプレイ等の非自発光型ディスプレイを用いた再撮用モニタ装置およびこの再撮用モニタ装置を用いた再撮システムを提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係わる再撮用モニタ装置および再撮システムの実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】図1は、この発明に係わる再撮用モニタ装置の一実施の形態を示す側面図である。
【0029】図1において、この再撮用モニタ装置は、液晶ディスプレイ10から構成される。ここで、この液晶ディスプレイ10は、バックライトと呼ばれる冷陰極管11−1〜11−4からの光を液晶デバイス13で開閉することにより所望の画像の表示を行うものである。
【0030】さて、この実施の形態の再撮用モニタ装置によればスタジオ内の再撮用モニタとして使用される液晶ディスプレイ10のバックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4の色温度を周囲の色温度に対応して設定する。
【0031】すなわち、図1に示した液晶ディスプレイ10は、スタジオ内の再撮用モニタとして使用されるもので、この場合、スタジオ内の色温度は、通常3000Kから3400Kに設定されているのに対して、液晶ディスプレイ10の色温度は、スタジオ内の色温度3000Kから3400Kより高い。
【0032】そこで、この液晶ディスプレイ10をそのままスタジオ内の再撮用モニタとして使用した場合は、この液晶ディスプレイ10の画面が青白くなり、不自然な画像となる。
【0033】そこで、この実施の形態においては、この液晶ディスプレイ10のバックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4として、その色温度が周囲、すなわちスタジオ内の色温度対応して設定されたもの(この例では、赤みがかったもの)を使用する。
【0034】ここで、冷陰極管11−1〜11−4は、適量の水銀と不活性ガス(アルゴン、ネオン、混合ガス等)が封入されたガラス管内壁に蛍光体を塗布し、ガラス管の両端に柱状の電極を取り付けることにより構成される。
【0035】そして、この冷陰極管11−1〜11−4の発光のメカニズムは、以下のようになる。すなわち、この電極管に高電圧が印加されると管内にわずかに存在する電子が電極へ高速に引かれて衝突する。
【0036】この時に二次電子が放出され放電が始まる。そして、この放電により陽極に引かれる電子と管内の水銀分子とが衝突して、紫外線(253.7nm)が放出される。この紫外線が蛍光体を励起し可視光線を発光させる。
【0037】ここで、この冷陰極管11−1〜11−4の色温度は、ガラス管内壁に塗布する蛍光体の選択により設定することができる。
【0038】すなわち、この実施の形態においては、液晶ディスプレイ10のバックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4のガラス管内壁に塗布する蛍光体を選択することにより、冷陰極管11−1〜11−4の色温度をスタジオ内の色温度に対応して設定する。
【0039】このような構成によると、この液晶ディスプレイ10の輝度を落とすことなく、この液晶ディスプレイ10の色温度を周囲の色温度に対応して設定することができる。
【0040】また、この実施の形態の液晶ディスプレイ10においては、この液晶ディスプレイ10の輝度を増大させるために、バックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4の前面、すなわち液晶デバイス13と図示しない拡散シートとの間に輝度調整手段である反射型偏光フィルム12を配置する。
【0041】この反射型偏光フィルム12は、この液晶ディスプレイ10の視野角を保持したままでこの液晶ディスプレイ10の輝度を上昇させることができるもので、この反射型偏光フィルム12としては、例えば、住友スリーエム株式会社製の商品名「オプティカルフィルムDBEF」等を用いることができる。
【0042】この反射型偏光フィルム12を用いることで、この液晶ディスプレイ10の輝度が60%増大することが確認されている。
【0043】すなわち、図1に示した再撮用モニタ装置を構成する液晶ディスプレイ10は、1)バックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4のガラス管内壁に塗布する蛍光体を選択することにより、冷陰極管11−1〜11−4の色温度をスタジオ内の色温度に対応して設定する2)バックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4の前面に輝度調整手段である反射型偏光フィルム12を配置するという二つの手法を採用することで、この液晶ディスプレイ10の輝度を落とすことなく、この液晶ディスプレイ10の色温度を周囲の色温度に対応して設定するように構成されている。
【0044】なお、上記実施の形態においては、バックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4の前面に反射型偏光フィルム12を配置するように構成したが、この反射型偏光フィルム12はこの発明においては必須のものではなく、この反射型偏光フィルム12を用いなくても十分に輝度が得られるように液晶ディスプレイ10の特性が改善された場合は、この反射型偏光フィルム12の配置は省略してもよい。
【0045】図2は、図1に示した再撮用モニタ装置を用いて構成した再撮システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【0046】図2において、液晶ディスプレイ10は、図1に示した液晶ディスプレイ10と同様の構成を有するもので、例えば、テレビ番組のセットのスタジオ内に配置され、この液晶ディスプレイ10には、液晶ドライブ回路20を経由して所望の映像信号が印加される。これにより、液晶ディスプレイ10には液晶ドライブ回路20に加えられた所望の映像信号に対応する画像が表示される。
【0047】この液晶ディスプレイ10に表示された画像は、この液晶ディスプレイ10も含めてテレビカメラ30で撮影するという再撮のために使用される。また、テレビジョン40は、テレビカメラ30に接続され、テレビカメラ30で再撮された画像を表示するものである。
【0048】ここで、このこの液晶ディスプレイ10の色温度は、上述したように、この液晶ディスプレイ10が配置されるスタジオ内の色温度に合わせて設定する色温度補正がなされている。
【0049】そのため、液晶ディスプレイ10に表示された画像を再撮するテレビカメラ30から得られる画像信号のうちの液晶ディスプレイ10の画面に対応する部分の色が青白くなることなく、また、液晶ディスプレイ10の色温度補正によって液晶ディスプレイ10の輝度の低下も生じないので、テレビジョン40の液晶ディスプレイ10の画面を含む表示画像を明るく、かつ自然な画像として表示することができる。
【0050】図3は、図2に示したこの発明の再撮システムにおける輝度劣化を伴わない色温度補正の原理を説明する図である。
【0051】液晶ディスプレイ10から発生される光は、一般に、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色から構成されている。ここで、この発明に係わる色温度を補正する前の液晶ディスプレイ10から発生される光は、図3に「通常」と示されているように、R、G、Bのいずれの成分の色も100%である。
【0052】この液晶ディスプレイ10の色温度を、例えば、スタジオ内の色温度に合わせるために下げる場合を考える。
【0053】この場合の従来の色温度補正手法としては、前述したように、1)RGB調整法(RGBゲインを液晶ドライブ回路20に加えられる映像信号レベルで制御する2)フィルタ調整法(液晶ディスプレイ10の画面の前面に光学フィルタを装着して色温度補正を行う)が知られている。
【0054】ここで、RGB調整法による液晶ディスプレイ10の色温度を下げる色温度補正は、基本的には、液晶ディスプレイ10から発生される光のG成分およびB成分を落とすことになる。
【0055】ここで、液晶ディスプレイ10から発生される光のR成分を基準としてG成分およびB成分を落とす構成を考えると、液晶ディスプレイ10から発生される光の成分は、図3で「RGB調整法」と示すように、R成分に関しては100%を保持できるが、G成分およびB成分はいずれも小さくなる。そして、この場合、液晶ディスプレイ10は、CRTと比較して輝度の飽和点が低いため、CRTの場合のように、色温度補正後に全体の輝度を上げてバランスを取るという手法は採用できない。
【0056】その結果、このRGB調整法を採用した場合、液晶ディスプレイ10から発生される光の全体の輝度は小さくなることになる。
【0057】また、フィルタ調整法による液晶ディスプレイ10の色温度を下げる色温度補正も、基本的には、液晶ディスプレイ10から発生される光のG成分およびB成分を落とすことにより行われる。
【0058】しかし、フィルタ調整法の場合は、液晶ディスプレイ10の画面の前面に光学フィルタを装着することで色温度補正が行われるので、本来落とす必要のないR成分も、図3で「フィルタ調整法」と示すように、小さくなり、この結果、液晶ディスプレイ10から発生される光の全体の輝度は更に小さくなる。
【0059】これに対して、この発明による色温度補正手法においては、液晶ディスプレイ10のバックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4の段階で色温度補正を行うもので、液晶ディスプレイ10の輝度飽和点は色温度補正前の100%のままで駆動できるものである。
【0060】この発明による色温度補正手法を採用した場合の液晶ディスプレイ10から発生される光のRGB成分の割合を、図3で「この発明の手法」として示す。
【0061】図3から明らかなように、「この発明の手法」においては、色温度補正がバックライトの段階で行われ、液晶ディスプレイ10の輝度飽和点は100%の状態で保持できるので、R、G、Bのいずれの成分の色も100%となり、この結果、液晶ディスプレイ10の輝度を落とすことなくこの液晶ディスプレイ10の色温度補正が可能になり、この結果、この液晶ディスプレイ10を再撮用モニタ装置として用いた場合は、この再撮用モニタ装置の画面が青白くなくこともなく、また、明るさが十分に確保され、自然な再撮画像を得ることができる。
【0062】図4は、図2に示したこの発明の再撮システムにおける具体的使用例を示す図である。
【0063】図4は、例えば、ニュース番組の中で、ニュースキャスタ50が液晶ディスプレイ10を使用してニュースの解説を行う場面を想定している。この場合。この場面を撮影するテレビカメラ30は、ニュースキャスタ50とともに、液晶ディスプレイ10の表示画面を撮影することになるので、この発明で問題にしている再撮が行われる。
【0064】ここで、液晶ディスプレイ10としては、1)バックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4のガラス管内壁に塗布する蛍光体を選択することにより、冷陰極管11−1〜11−4の色温度をスタジオ内の色温度に対応して設定する2)バックライトを構成する冷陰極管11−1〜11−4の前面に輝度調整手段である反射型偏光フィルム12を配置する構成が採用されているものを用いる。
【0065】図5は、図4に示した使用例においてテレビカメラ30で撮影された撮影画像の一例を示す図である。
【0066】図4に示した使用例においてテレビカメラ30で撮影された画像は、このテレビカメラ30に接続されている、例えば図2に示したテレビジョン40に表示される。図5の表示画面40aは、このテレビジョン40の表示画面の一例を示している。
【0067】この場合、この表示画面40aは、ニュースキャスタ50に対応する画像50aとともに、液晶ディスプレイ10の表示画面を再撮した画像10aが表示される。
【0068】ここで、液晶ディスプレイ10の表示画面を再撮した画像10aは、液晶ディスプレイ10の色温度がスタジオ内の色温度に色温度補正されているので、青白くなることのない、自然な画像として表示される。
【0069】また、この液晶ディスプレイ10は、色温度補正がバックライトの段階で行われており、更に、バックライトの前面に輝度調整手段である反射型偏光フィルムが設けられているので、色温度補正が行われたのにも係わらず、液晶ディスプレイ10の表示画面として十分な輝度が確保することができ、液晶ディスプレイ10の表示画面を再撮した画像10aもテレビジョン40の表示画面40a上で十分な明るさで表示することが可能になる。
【0070】なお、スタジオ内色温度3050K、照度約1200LUXで、従来の液晶ディスプレイとこの発明の液晶ディスプレイとに同一の信号(カラーバー)を入力して、白ピークをスタジオカメラで撮影し、そのカメラの映像信号をウエーブフォームモニタで測定すると、従来の液晶ディスプレイは55%の輝度となったが、この発明の液晶ディスプレイにおいては90%の輝度が得られ、その結果、この発明によると、従来比約160%の改善が得られることが確認された。
【0071】なお、上記実施の形態においては、この発明の再撮用モニタ装置を液晶ディスプレイに適用した場合を示したが、この発明の再撮用モニタ装置は、液晶ディスプレイに限定されず、液晶プロジェクタやその他非自発光型ディスプレイには同様に適用可能である。
【0072】図6は、この発明に係わる再撮用モニタ装置の他の実施の形態を示す側面図である。
【0073】この図6に示す再撮用モニタ装置は、この発明を液晶プロジェクタ100に適用したものである。
【0074】図6において、この液晶プロジェクタ100は、光源101、液晶シャッタ102、拡大光学系103、スクリーン104を具備して構成される。
【0075】ここで、液晶シャッタ102は、外部から入力された所望の映像信号により開閉制御され、これにより、光源101から発生された光を用いてスクリーン104上に外部から入力された所望の映像信号に対応する画像を投射する。
【0076】このような構成の液晶プロジェクタ100において、光源101は、その色温度が周囲の色温度に合わせて補正されている。
【0077】このような構成によると、色温度補正を行っても、この液晶プロジェクタの輝度飽和点は100%の状態で保持できるので、R、G、Bのいずれの成分の色も100%で制御でき、この結果、この液晶プロジェクタ100の輝度を落とすことなくこの液晶プロジェクタの色温度補正が可能になる。
【0078】そして、この結果、この液晶プロジェクタ100を再撮用モニタ装置として用いた場合は、この再撮用モニタ装置の画面が青白くなることもなく、また、明るさが十分に確保され、自然な再撮画像を得ることが可能になる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、光源から発生される光を制御することにより画像表示を行う液晶ディスプレイ等の非自発光型ディスプレイを用いた再撮用モニタ装置において、上記光源の色温度を周囲の色温度に対応して設定して構成したので、この再撮用モニタ装置の画面が青白くなることもなく、かつ明るさが十分に確保された自然な再撮画像を得ることが可能になり、これにより液晶ディスプレイ等の非自発光型ディスプレイの再撮用モニタ装置としての使用範囲を大幅に拡大することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる再撮用モニタ装置の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】図1に示した再撮用モニタ装置を用いて構成した再撮システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図3】図2に示したこの発明の再撮システムにおける輝度劣化を伴わない色温度補正の原理を説明する図である。
【図4】図2に示したこの発明の再撮システムにおける具体的使用例を示す図である。
【図5】図4に示した使用例においてテレビカメラ30で撮影された撮影画像の一例を示す図である。
【図6】この発明に係わる再撮用モニタ装置の他の実施の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
10 液晶ディスプレイ(再撮用モニタ装置)
11−1〜11−4 冷陰極管(バックライト)
12 反射型偏光フィルム(輝度調整手段)
13 液晶デバイス
20 液晶ドライブ回路
30 テレビカメラ
40 テレビジョン
50 ニュースキャスタ
100 液晶プロジェクタ
101 光源
102 液晶シャッタ
103 拡大光学系
104 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 周囲の色温度に対応して色温度が設定された光源からなるバックライトと、このバックライトからの光を制御して映像信号を表示する非自発型表示パネルと、この非自発型表示パネルで表示される映像信号に応じて上記非自発型表示パネルを駆動するドライブ回路とで構成されたことを特徴とする再撮用モニタ装置。
【請求項2】 液晶パネルで形成された上記非自発型表示パネルで構成されたことを特徴とする請求項1記載の再撮用モニタ装置。
【請求項3】 冷陰極蛍光ランプで形成された上記バックライトで構成されたことを特徴とする請求項2記載の再撮用モニタ装置。
【請求項4】 反射型偏光性フィルムを上記バックライトの前面に配設したことを特徴とする請求項3記載の再撮用モニタ装置。
【請求項5】 周囲の色温度に対応して色温度が設定された光源からなるバックライトと、このバックライトからの光を制御して映像信号を表示する非自発型表示パネルと、この非自発型表示パネルで表示される映像信号に応じて上記非自発型表示パネルを駆動するドライブ回路とを有する再撮用モニタ装置と、この再撮用モニタ装置に表示された映像信号の画像を含んで該再撮用モニタ装置の周囲の画像を撮影するテレビカメラとで構成されたことを特徴とする再撮システム。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【公開番号】特開2001−100178(P2001−100178A)
【公開日】平成13年4月13日(2001.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−278826
【出願日】平成11年9月30日(1999.9.30)
【出願人】(591084850)株式会社東京放送 (8)
【出願人】(500104233)エヌイーシー三菱電機ビジュアルシステムズ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】