説明

再生ブチルアイオノマー及び再生方法

本発明はブチルアイオノマーから作った物品の再生方法及び再生ブチルアイオノマーの製造方法に関する。更に本発明は再生ブチルアイオノマー及び充填剤を含有する複合材、並びに再生ブチルアイオノマーから作った物品に関する。また本発明は特定の物性を有するブチルアイオノマーから作った未硬化充填剤入り物品に関する。充填剤の例としてはシリカ、カーボンブラック、タルク及びクレー、特にオニウム置換高アスペクト比のナノクレーがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ブチルアイオノマーから作った物品の再生(recycling)方法及び再生(recycled)ブチルアイオノマーの製造方法に関する。更に本発明は、再生ブチルアイオノマー及び充填剤を含有する複合材、並びに再生ブチルアイオノマーから作った物品に関する。また本発明は、特定の物性を有するブチルアイオノマーから作った未硬化充填剤入り物品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ポリ(イソブチレン−コ(co)−イソプレン)又はIIRは、1940年代からイソブチレンと少量(1〜5モル%)のイソプレンとのランダムカチオン重合により製造されている、一般にブチルゴムとして公知の合成エラストマーである。IIRは、その分子構造のため、優れた空気不透過性、高い損失弾性率、酸化安定性及び長期の耐疲労性を有する。
【0003】
ブチルゴムは、イソオレフィンと、コモノマーとして1種以上の、好ましくは共役した、マルチオレフィンとの共重合体であると理解されている。市販のブチルは、多量のイソオレフィンと、少量の、通常2.5モル%以下の共役マルチオレフィンとを含有する。ブチルゴム又はブチル重合体は、一般に、ビヒクルとして塩化メチル、重合開始剤の一部としてフリーデル−クラフト触媒を用いるスラリー法で製造される。この方法は、米国特許第2,356,128号及びUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,A23巻,1993年,288〜295頁に記載されている。
【0004】
ブチルゴムをハロゲン化すると、エラストマー内に反応性のハロゲン化アリル官能基(allylic halide functionality)を生成する。従来のブチルゴムハロゲン化法は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5完全改定版,A231巻、Elvers等編)及び/又はMaurice Mortonによる“Rubber Technology”(第3版),第10章(Van Nostrand Reinhold Company版権1987),特に297〜300頁に記載されている。
【0005】
ハロゲン化アリル官能価が存在すると、求核性アルキル化反応が可能となる。最近、臭素化ブチルゴム(BIIR)を窒素系及び/又は燐系求核剤により固体状態で処理すると、興味のある物理的化学的特性を有するIIR系アイオノマーを生成することが示された(Parent,J.S.;Liskova,A.;Whitney,R.A.;Resendes,R.,Journal of Polymer Science,Part A:Polymer Chemistry 43,5671−5679,2005;Parent,J.S.;Liskova,A.;Resendes,R.,Polymer 45,8091−8096,2004;Parent,J.S.;Penciu A.;Guillen−Castellanos,S.A.;Liskova,A.;Whitney,R.A.Macromolecules 37,7477−7483,2004参照)。アイオノマー官能基は、それぞれアンモニウムイオン基又はホスホニウムイオン基を生成する、窒素系又は燐系求核剤とハロゲン化ブチルゴム中のハロゲン化アリル部位との反応で生じる。これらハロゲン化ブチル系アイオノマーの物性、例えば生の強度、弾性率、充填剤との相互作用等は、非アイオノマー対応物よりも優れている。
【0006】
ブチル重合の混合原料(MeCl、IB及びIPの混合原料を開始剤としてAlCl/HOと一緒に)にp−メチルスチレンを添加すると、重合体鎖沿いにスチレン基10モル%以下をランダムに混入した高分子量重合体が得られることが発見された(米国特許第6,960,632号;Kaszas等,Rubber Chemistry and Technology,2001年,75,155参照)。イソブチレンとの反応性が類似することから、分子量分布は均一であることが判る。ブチル三元系重合体内のイソプレン部分は、現在のLANXESSハロブチルグレードとして同様なII型及びIII型のハロゲン化アリル構造に導く従来法によりハロゲン化できる。
【0007】
或いはブチル共重合体は、イソブチレンのようなC〜 Cイソモノオレフィン及びp−アルキルスチレン、好ましくはp−メチルスチレンのようなコモノマーを含有してよい。ハロゲン化すると、スチレンモノマー単位中に存在するアルキル置換基の幾つかはベンジル性ハロゲンを含有する。米国特許第5,162,445号に記載されるように、ベンジル性ハロゲンの各種求核剤による求核的置換により別の官能基を混入できる。第三アミン及びホスフィンを使用すると、物性が向上した共重合体をベースとするブチルアイオノマーが形成される。
【0008】
ハロブチルを含む従来のブチル重合体は、その特性を十分に利用するため、硬化又は加硫により架橋しなければならないという欠点がある。しかし、従来法(即ち、加硫)により共有架橋が形成されると、重合体コンパウンドはもはや再処理又は再成形できず、製造時に形成される残り物は、メーカーにとって役に立たず、処分しなければならないし、またメーカーにとって重大なコストとなり得る。
【0009】
室温では共有架橋した重合体と同様に行動するが、高温では容易に成形できる重合体、即ち、イオン重合体を製造する種々の研究が開始された。イオン重合体は、普通の加硫ゴムと同様、共有結合に対するイオン結合を経て架橋されるので達成できる。イオン結合、又はイオン結合によって生じる原子団(cluster)は、剪断又は熱の作用により崩壊し、一方、従来の多くの硬化系(加硫)の共有結合は、重合体鎖間の本質的に永久の結合であることが知られている。
【0010】
米国特許第3,646,166号にはブチルゴムの主鎖にカルボン酸基を導入する方法が記載されている。この方法は、ハロブチルの脱ハロゲン化の多段溶液反応で達成でき、この反応で共役ジエンを形成した後、無水マレイン酸と反応させ、次いで加水分解し、金属塩又はアミンと反応させて、イオン重合体を形成する。このイオン重合体は良好な物性により再成形可能である。
【0011】
米国特許第3,898,253号には、まず加温ミル上でハロブチルゴムを選択された充填剤(シリカ、タルク又は炭酸カルシウム)と結合させた後、冷却ミル上でアルキル第三アミンを添加し、次いでプレス中、175℃で成形して、アミンと前記ゴムとを反応させて、再成形可能のブチルゴム組成物を形成することが記載されている。次に、得られたコンパウンドはミル上で175℃に加熱し、再成形して、幾つかの物性を保持したコンパウンドを得ているが、殆どの場合、これらの物性は半分以上低下した。
【0012】
米国特許第4,102,876号及び同4,173,695号には、EPDM、及び重合体のスルホン化が起こり、続いてホスホニウム又はアンモニウム化合物により四級化する多段法により形成された低分子量ブチルをベースとしたアイオノマーの形成法が記載されている。得られたアイオノマーは、主鎖に結着したアニオン基及び対向イオンとしてカチオン基を有する。
【0013】
以上、概説した例は、再成形可能特性を示しながら、再成形可能の重合体を形成するのに製造時間が長いという欠点(米国特許第3,898,253号)、或いは多段合成を含む欠点(米国特許第3,646,166号及び米国特許第4,173,695号)を有する。更に、殆どの場合、本来の物性の保持性能が劣っていた。
【0014】
重合体ナノ複合材は、従来の充填重合体又は重合体ブレンドに代る残基を表す、急速に拡大する多くの学問に亘る分野である。重合体ナノ複合材は、重合体毋材にナノサイズの無機充填剤を混入して形成される。生の及び/又は有機的に改質した高アスペクト比の板状充填剤により強化されたハイブリッド材料は、最も広範に研究された部類のナノ複合材を表す。分散層と重合体毋材間界面の強力な相互作用により、従来の複合材に対する機械的特性及び遮断特性は強化される。高アスペクト比の充填剤を最高のポテンシャルまで最大化するには正しい形態学を必要とし、重合体及び充填剤の両方の選択が重要である。血小板ギャラリーへの重合体の内位添加、血小板の離層及び剥脱、並びにゴム毋材中のプレートの異方性整列(alignment)は達成しなければならない。どんなに少なくとも内位添加及び離層を達成するには、重合体毋材と充填剤表面との間に化学インクを定着させるのが有利である。
【0015】
米国特許出願第11/88,172号は、無水マレイン酸グラフト化ブチル重合体及び驚異的な接着特性を有するモンモリロナイトを含む重合体、重合体コンパウンド及びこれらから複合材物品を開示している。またPCT/CA/200700425は、重合開始前に有機重合化流体中に四級オニウムイオン置換ナノクレーを分散したシリカ充填ブチルゴム重合体を製造するための重合方法を開示している。
【発明の概要】
【0016】
発明の概要
本発明は、少なくとも1種のイソオレフィンモノマーから誘導された繰返し単位、少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーから誘導された繰返し単位、任意に前記イソオレフィンモノマー又はマルチオレフィンモノマーと共重合可能な少なくとも1種のモノマーの繰返し単位、及び少なくとも1種の窒素系又は燐系求核剤を含むブチルアイオノマーと、該ブチルアイオノマーに混入した充填剤とを含む再生可能な未硬化重合体複合材を提供する。一実施態様では充填剤は高アスペクト比の充填剤、例えばアスペクト比が少なくとも1:3のナノクレー、好ましくはオニウム置換ナノクレーを含有する。他の一実施態様では、充填剤はシリカを含有する。複合材は熱可逆性であってよく、125℃でのムーニー粘度ML(1+8)が25ムーニー単位以上であってよく、また極限引張り強度が2MPa以上であってよい。このブチルアイオノマーは部分的にハロゲン化されていてよい。
【0017】
更に本発明は、未硬化ブチルアイオノマー材料を含む成型品を平均サイズが50mm以上の粒子に変換する工程;該粒子を70〜190℃の温度に加熱する工程;該粒子を剪断混合条件に10秒以上暴露する工程;及び得られた混合物を周囲温度に冷却する工程;を含む未硬化ブチルアイオノマー材料含有成型品の再生方法を提供する。剪断混合条件は密閉式混合器又は押出機により供給できる。温度は好ましくは110〜170℃の範囲である。
【0018】
更に本発明は、周囲温度で極限引張り強度を有する非再生未硬化ブチルアイオノマー材料を供給する工程;該ブチルアイオノマーを70〜190℃の温度に加熱する工程;該ブチルアイオノマーを剪断混合条件に10秒以上暴露する工程;及び該ブチルアイオノマーを周囲温度に冷却して再生ブチルアイオノマーを形成する工程;を含む再生ブチルアイオノマー材料の製造方法を提供する。
【0019】
更に本発明は再生ブチルアイオノマーを含有する造形品を提供する。この造形品は、再生ブチルアイオノマーと同じ組成の非再生ブチルアイオノマーから作った同じ造形品に比べて20%未満低い極限引張り強度を示すことができる。この造形品は、部分ハロゲン化された再生ブチルアイオノマーから作ってよい。
【0020】
更に本発明は、再生ブチルアイオノマー及び充填剤を含有する複合材を提供する。この複合材は再生ブチルアイオノマーと同じ組成の非再生ブチルアイオノマーから作った複合材に比べて20%未満低い極限引張り強度を示すことができる。この複合材は硬化されなくてよい。この複合材は非再生ブチルアイオノマーを50重量%未満、好ましくは10重量%未満含有してよい。再生ブチルアイオノマーは部分ハロゲン化されてよい。充填剤は、高アスペクト比の充填剤、例えばアスペクト比が少なくとも1:3のナノクレー、好ましくはオニウム置換ナノクレーを含有してよい。他の一実施態様では充填剤はシリカを含有してよい。
【0021】
本発明のブチルアイオノマー複合材は、慣用の未硬化ブチルゴム複合材に比べて優れた引張り強度、及び硫黄硬化ブチルゴム複合材に少なくとも匹敵する特性を有する。アイオノマーは再生すると、選択した再生プロセス条件の少なくとも一部のため、引張り強度及び分子量の増大が非常に少ない。本発明の複合材は、物品、例えば造形品又は成型品、遮断用、タンクのライニング、衝撃吸収材、シール及び生物医学用に特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
ブチルアイオノマーはハロゲン化ブチル重合体から製造される。ブチル重合体は、一般に少なくとも1種のイソオレフィンモノマー、少なくとも1種のマルチオレフィンモノマー及び任意に更に共重合性モノマーから誘導される。
【0023】
ブチル重合体は特定のイソオレフィンに限定されない。しかし、炭素原子数4〜16、好ましくは4〜7の範囲のイソオレフィン、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン及びそれらの混合物が好ましい。更に好ましくはイソブテン(イソブチレン)である。
【0024】
ブチルゴム重合体は特定のマルチオレフィンに限定されない。イソオレフィンと共重合可能な、当業者に公知のいずれのマルチオレフィンも使用できる。しかし、炭素原子数4〜14の範囲のマルチオレフィン、例えばイソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリリン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロヘキサジエン及びそれらの混合物、好ましくは共役ジエンが使用される。イソプレンが更に好ましく使用される。本発明に有用なブチル重合体としては、限定されるものではないが、C〜Cアルキル置換スチレン、例えばp−メチルスチレンを含むアルキル置換芳香族コモノマーのような、前述のマルチオレフィン以外のコモノマーが含まれてもよい。
【0025】
任意のモノマーとして、イソオレフィン及び/又はジエンと共重合可能な、当業者に公知のいずれのモノマーも使用できる。α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、シクロペンタジエン及びメチルシクロペンタジエンが好ましく使用される。インデン及びその他のスチレン誘導体も使用してよい。β−ピネンもイソオレフィン用のコモノマーとして使用できる。ブチル重合体としては、例えばイソブチレン、イソプレン及びp−メチルスチレンのランダム共重合体を含むことができる。
【0026】
好ましくはモノマー混合物は、少なくとも1種のイソオレフィンモノマーを約80〜約99重量%の範囲及び少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーを約1〜20重量%の範囲含有する。更に好ましくはモノマー混合物は、イソオレフィンモノマーを約85〜約99重量%の範囲及びマルチオレフィンモノマーを約1〜15重量%の範囲含有する。モノマー混合物がイソオレフィン及び/又はジエンと共重合可能の任意のモノマーを含有する場合、好ましくはモノマー混合物は、モノマーを約80〜約99重量%の範囲、マルチオレフィンモノマーを約0.5〜約5重量%の範囲及び任意のモノマーを約0.5〜約15重量%の範囲含有する。更に好ましくはモノマー混合物は、イソオレフィンモノマーを約85〜約99重量%の範囲、マルチオレフィンモノマーを約0.5〜約5重量%の範囲及び任意のモノマーを約0.5〜約10重量%の範囲含有する。
【0027】
次に、ブチル重合体は、ハロブチル重合体を製造するため、ハロゲン化処理できる。塩素化又は臭素化は、当業者に公知の方法、例えばMaurice Mortonによる“Rubber Technology”第3版,297〜300頁(Kluwer Academic Publishers)及びそこで引用された文献に記載されている。
【0028】
ブチルアイオノマーは、マルチオレフィンモノマーを1.2〜2.2モル%有するハロゲン化ブチル重合体から製造できる。更にこのアイオノマーは高マルチオレフィン含有量、例えば2.5モル%を超え、好ましくは3.5モル%を超え、更に好ましくは4.0モル%を超えるハロゲン化ブチル重合体から製造できる。好適な高マルチオレフィンブチル重合体は、ここに援用する同時係属出願CA 2,418,884に記載されている。
【0029】
イソプレンのような共役ジエンを含有するブチル重合体のハロゲン化中、ブチル重合体のマルチオレフィン含有量の若干又は全部はハロゲン化アリルに転化される。ハロブチル重合体中の合計ハロゲン化アリル含有量は、親ブチル重合体の出発マルチオレフィン含有量を超えられない。ハロゲン化アリル部位ではハロブチル重合体と反応して求核剤を結着できる。ハロゲン化アリルを含有しないハロブチル重合体、例えばイソブチレン及びスチレン系(styrenic)モノマーから誘導されたハロブチル重合体については、該スチレン系モノマーのハロゲン化により形成されたハロゲン化ベンジル(benzylic halide)が反応して、ハロゲン化アリルよりもむしろアイオノマーを形成できる。したがって、同じ論法はハロゲン化アリルとしてハロゲン化ベンジルに適用し、アイオノマー部分の合計量はハロゲン化ベンジルの入手量を超えられない。
【0030】
本発明の一実施態様では、ハロブチル重合体のハロゲン化アリル部位又はハロゲン化ベンジル部位は下記式:
【化1】


で示される少なくとも1つの窒素又は燐を含有する求核剤と反応させる。式中、Aは窒素又は燐であり、R、R、Rは、直鎖又は分岐鎖のC〜C18アルキル置換基、単環式か又はC〜C縮合環で構成されるアリール置換基、及び/又は例えばB、N、O、Si、P及びSから選ばれたヘテロ原子よりなる群から選ばれる。
【0031】
一般に適切な求核剤は、求核置換反応に関与するのに電子的にも立体的にも適用可能な孤立電子対を持った少なくとも1つの中性の窒素又は燐センターを有する。好適な求核剤としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン 2−ジメチルアミノエタノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、2−(イソプロピルアミノ)エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、4−(ジメチルアミノ)−1−ブタノール、N−エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、3−(ジエチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、2−{[2−ジエチルアミノ]エチル}メチルアミノ}エタノール、4−ジエチルアミノー2-ブチンー1-オール、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、N−ブチルジエタノールアミン、N−tert-ブチルジエタノールアミン、2−(メチルフェニルアミノ)エタノール、3-(ジメチルアミノ)ベンジルアルコール、2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エタノール、2−(N−エチルアミノ)エタノール、N−ベンジル−N−メチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、2-(ジブチルアミノ)エタノール、2−(N−エチル−N−m−トルイジノ)エタノール、2,2’− (4−メチルフェニルアミノ)ジエタノール、トリス[2−[2−(メトキシエトキシ)エチル]アミン、3−(ジベンジルアミノ)−1−プロパノール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0032】
ブチル重合体と反応させる求核剤の量は、ハロブチル重合体中に存在するハロゲン化アリル又はハロゲン化ベンジルの合計モル量を基準として、0.05〜5モル当量、更に好ましくは0.5〜4モル当量、なお更に好ましくは1〜3モル当量の範囲であってよい。
【0033】
ハロブチル重合体と求核剤は約0.5〜90分間反応できる。反応が押出機中で起こる場合、反応時間は好ましくは10〜120秒、更に好ましくは20〜60秒である。反応が密閉式混合器中で起こる場合、反応時間は好ましくは1〜15分、更に好ましくは1〜4分である。その他の場合、反応時間はかなり長く、例えば15分を超え90分以下、好ましくは20〜60分である。温度は80〜200℃が望ましい。
【0034】
前述のように、求核剤はハロブチル重合体のハロゲン化アリル又はハロゲン化ベンジル官能価と反応し、ハロブチル重合体上のハロゲン化アリル又はハロゲン化ベンジル官能価の存在する所にアイオノマー部分の単位が生じる。ブチルアイオノマー中のアイオノマー部分の合計含有量は、ハロブチル重合体中のハロゲン化アリル又はハロゲン化ベンジルの出発量を超えることはできないが、残留ハロゲン化アリル及び/又は残留マルチオレフィンは存在してよい。ほぼ全てのハロゲン化アリル又はハロゲン化ベンジル部位が求核剤と反応する本発明の実施態様では、ブチルアイオノマーが形成される。合計よりも少ないハロゲン化アリル又はハロゲン化ベンジル部位が求核剤と反応する実施態様では、部分ハロゲン化ブチルアイオノマーが形成される。
【0035】
得られるアイオノマーは、アイオノマー部分を0.5モル%以上、好ましくは0.75モル%以上、更に好ましくは1.0モル%以上、なお更に好ましくは1.5モル%以上有することが好ましい。残留ハロゲン化アリルは、0.1モル%から、ブチルアイオノマーの製造に用いたハロブチル重合体中の元のハロゲン化アリル含有量を超えない量以下の量で存在してよい。残留マルチオレフィンは、0.1モル%から、ハロブチル重合体の製造に用いたブチル重合体中の元のマルチオレフィン含有量を超えない量以下の量で存在してよい。通常、アイオノマー中の残留マルチオレフィンの含有量は、0.4モル%以上、好ましくは0.6モル%以上、更に好ましくは1.0モル%以上、なお更に好ましくは2.0モル%以上、なお更にまた好ましくは3.0モル%以上、なお更に好ましくは4.0モル%以上である。
【0036】
次に部分ハロゲン化ブチルアイオノマーは従来の硫黄又は酸化亜鉛のような硬化系を用いて硬化されてよい。残留マルチオレフィンも存在する場合、パーオキシド硬化系を使用してよい。しかし、ここに示すように、アイオノマー網構造は有用な物性、例えば極限引張り強度、極限伸び及び/又はムーニー粘度を有する未硬化物品を有利に提供できる。このような未硬化(又は僅かに硬化した)物品は剪断混合条件下、高温で再生可能であるという別の利点を有する。ここに記載した再生方法及び再生アイオノマーは、意外にも多重再生反復(multiple recycling iterations)でさえ物性の低下を殆ど示さない。したがって、この再生方法及び再生アイオノマーは環境上及び経済上の観点から非常に有利である。
【0037】
ここに記載した未硬化ブチルアイオノマーを再生するため、未硬化ブチルアイオノマーは、該アイオノマーを80〜200℃、更に好ましくは100〜190℃、なお更に好ましくは110〜180℃、なお更に好ましくは120〜170℃に昇温できる剪断混合装置に供給される。この高温は、外部熱源により供給できる、及び/又は高粘稠ブチルアイオノマーの剪断混合により発生できる。この温度は、過度の動力を入力することなく、アイオノマーの粘度を混合可能な点まで下げるのに十分高いことが望ましいが、温度が高すぎると、アイオノマーの分子量が低下されて、ムーニー粘度の低下が生じる。上記温度範囲は初期ムーニー粘度(ML 1+8@125℃)が25〜35ムーニー単位の再生用ブチルアイオノマーに特に良く適している。
【0038】
ブチルアイオノマーは、剪断混合条件に10秒以上、好ましくは15分以下、暴露される。この時間量は、選択した混合方法により付与される剪断の程度による。押出機を使用した場合は、短時間、通常、10〜60秒で高度の剪断が得られる。バンバリー又はHaake密閉式混合器のような密閉式混合器は、通常、1分を超え15分以下、好ましくは1〜10分、更に好ましくは1〜5分程度の長い混合時間を必要とする。混合時間が長すぎると、アイオノマーの分子量が低下されて、ムーニー粘度の低下が生じる可能性がある。上記混合時間は初期ムーニー粘度ML(1+8)@125℃が25〜35ムーニー単位の再生用ブチルアイオノマーに特に良く適している。
【0039】
ブチルアイオノマーを造形品又は成型品として再生方法に供給した場合は、一般に剪断混合装置に供給できるようにするため、このような物品を粒子に転化する必要がある。物品を粒子に転化する方法としては、任意に例えば液体窒素による物品の極低温冷凍で援助した、チッピング、粉砕、切断又は槌打ち(hammering)法が挙げられる。平均粒度は50mm以下、好ましくは25mm以下、更に好ましくは10mm以下、なお更に好ましくは1mm以下が望ましい。粒度が小さいと、一般に再生方法に要する時間は短かくなるが、大容量の再生用エネルギー入力にはコストがかなりかかるかも知れない。平均粒度は、粒子のSauter平均直径に基づいて求められる。粒子は必ずしも円形である必要はなく、長尺又は不規則の形状であってよい。
【0040】
本再生方法を非再生(又は未使用の)ブチルアイオノマーから再生ブチルアイオノマーの製造に使用する場合、物性の低下が最小限になることが望ましい。再生ブチルアイオノマーの極限引張り強度は、非再生ブチルアイオノーの極限引張り強度に対し好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上、なお更に好ましくは90%以上である。非再生ブチルアイオノーの極限引張り強度は好ましくは2MPa以上、更に好ましくは3MPa以上、なお更に好ましくは5MPa以上、なお更に好ましくは8MPa以上、なお更に好ましくは10MPa以上である。再生ブチルアイオノーの極限引張り強度は好ましくは1MPa以上、更に好ましくは2MPa以上、なお更に好ましくは3MPa以上、なお更に好ましくは4MPa以上、なお更に好ましくは6MPa以上、なお更に好ましくは8MPa以上、なお更に好ましくは10MPa以上である。ブチルアイオノマーが充填されている場合は、高い極願引張り強度が得られる。この強度は、少なくとも一部は充填剤の選択及び充填剤の量に依存する。非再生ブチルアイオノマーは未硬化であり、また再生ブチルアイオノマーは更に再生反復を可能にするため、未硬化であることが好ましいが、特定の例ではこれらのブチルアイオノマーは硬化させてよい。非再生ブチルアイオノマーが部分ハロゲン化される場合、再生アイオノマーは硬化させてもよいし、或いは前述のように、更に窒素系又は燐系求核剤との反応によりアイオノマー部分の含有量を増大させてもよい。これは再生方法中、高温及び剪断混合条件下で起こる。
【0041】
再生方法の条件は、通常、分子量の低下を防止するように選択される。再生ブチルアイオノマーのムーニー粘度ML(1+8)@125℃は、非再生ブチルアイオノマーの好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、なお更に好ましくは80%以上である。再生ブチルアイオノマーの極限伸びは、好ましくは500%以上、更に好ましくは600%以上、なお更に好ましくは700%以上である。
【0042】
上記方法を用いて製造された再生ブチルアイオノマーは、造形品を形成するのに使用できる。造形品は更に再生可能(即ち、熱可逆性)かも知れない。造形品は充填されていても充填されていなくてもよい。造形品は高アスペクト比の充填剤を含有してよい。再生ブチルアイオノマーから作った造形品は、再生ブチルアイオノマー中に残留ハロゲン化が存在すれば、引続き硬化させてよい。
【0043】
再生ブチルアイオノマーは充填複合材を形成するのに使用できる。この複合材は再生ブチルアイオノマーと同じ組成の非再生ブチルアイオノマーから作った複合材に比べて20%未満低い極限引張り強度を示す。複合材は非再生アイオノマーを50重量%未満、好ましくは10重量%未満含有してよい。複合材は高アスペクト比、例えば少なくとも1:3のアスペクト比を有する充填剤を含有してよい。充填剤はクレー、例えばオニウム置換ナノクレーを含有してよい。ナノクレーの粒度は1〜50μm、好ましくは1〜25μmであってよい。
【0044】
一般に本発明で使用するのに好適な充填剤は、無機物又は非無機物の粒子で構成される。好適な充填剤としては、シリカ、シリケート、クレー(ベントナイト等)、石膏、アルミナ、二酸化チタン、タルク等、及びそれらの混合物が挙げられる。好適な充填剤の別の例は以下のとおりである。

【0045】
・例えばシリケート溶液の沈殿、又はハロゲン化珪素の火炎加水分解により製造した高分散シリカで、比表面積(BET比表面積)は5〜1000m/g、好ましくは20〜400m/gの範囲、主な粒度は10〜400nmの範囲である。このシリカは、任意に、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr及びTiのような他の金属の酸化物との混合酸化物として存在してもよい。
【0046】
・珪酸アルミニウム、及びアルカリ土類金属シリケートのような合成シリケート。
・BET比表面積が20〜400m/gで、主な粒度が10〜400nmである、珪酸マグネシウム又は珪酸カルシウム。
・カオリン及びその他の天然産シリカのような天然シリケート。
・モンモリロナイト及び他の天然産クレーのような天然クレー。
【0047】
・親有機的に改質したモンモリロナイトクレー(例えばSouthern Clay Productsから得られるCloisite(登録商標))及び他の親有機的に改質した天然産クレー。
・ガラスファイバー及びガラスファイバー製品(マット、押出品)又は微小ガラス球。
【0048】
・酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムのような金属酸化物。
・炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛のような金属炭酸塩。
・金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム又はそれらの組合わせ。
【0049】
これらの無機粒子は、表面にヒドロキシル基を有し、粒子を親水性兼疎油性にするので、充填剤粒子とブチルエラストマーとの相互作用を良好にすることは困難である。多くの目的から、好ましい無機物はシリカ、特に珪酸ナトリウムの二酸化炭素沈澱で製造したシリカである。
【0050】
本発明で使用するのに好適な乾燥非晶質シリカ粒子の平均凝集物粒度は、1〜100μの範囲、好ましくは10〜50μの範囲、更に好ましくは10〜25μの範囲である。凝集物粒子の10容量%未満は、5μ未満か、或いは50μを超える粒度が好ましい。好適な非晶質乾燥シリカは、更に通常、DIN(ドイツ工業規格) 66131に従って測定したBET表面積が50〜450m/gの範囲であり、DIN 53601に従って測定したDBP吸収量が、150〜400g/100gシリカの範囲であり、またDIN ISO 787/11に従って測定した乾燥減量が、0〜10重量%の範囲である。好適なシリカ充填剤は、PPG Industries Inc.から商品名HiSil 210、HiSil 233及びHiSil 243で得られる。またBayer AGから市販されているVulkasil(商標)S及びVulkasil(商標)Nも好適である。
【0051】
無機充填剤は、単独で、又は以下のような公知の非無機充填剤と組合わせて使用できる。
・カーボンブラック。好適なカーボンブラックは、好ましくはランプブラック法、ファーネスブラック法又はガスブラック法で製造され、BET比表面積は20〜200m/gで、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF又はGPFカーボンブラックである。
・ゴムゲル、好ましくはポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体及びポリクロロプレンをベースとするゴムゲル。
【0052】
本発明で有用な高アスペクト比の充填剤としては、アスペクト比が少なくとも1:3の、シリカ、クレー、タルク、マイカ等が挙げられる。充填剤は板状又は針状構造を有する非円形又は非異性材料を含有してよい。アスペクト比は、プレートの面と同じ領域の円の平均直径:プレートの平均厚さの比として定義される。針状及び繊維状充填剤のアスペクト比は長さ:直径の比である。高アスペクト比の充填剤のアスペクト比は好ましくは少なくとも1:5、更に好ましくは少なくとも1:7、なお更に好ましくは1:7〜1:200である。本発明による充填剤の平均粒度は、0.001〜100μ、好ましくは0.005〜50μ、更に好ましくは0.01〜10μの範囲である。好適な充填剤のBET表面積は、DIN(ドイツ工業規格)66131に従って測定して5〜200m/gの範囲である。幾つかの好ましい充填剤及びその特性を、アスペクト比が1:3未満の通常の充填剤と比較して表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
高アスペクト比充填剤の好ましい実施態様は、ナノクレー、好ましくは有機的に改質したナノクレーを含む。しかし、本発明は特定のナノクレーに限定されるものではなく、ナトリウムモンモリロナイト又はカルシウムモンモリロナイトのような天然の粉末スメクタイトクレー、又はハイドロタルサイトやラポナイトのような合成クレーが出発材料として好ましい。有機改質モンモリロナイトナノクレーが特に好ましい。これらのクレーは、当該技術分野で知られているように、一般に疎水性重合体環境内でクレーの分散を促進する界面活性官能価をクレーに付与するため、オニウムイオンに対する遷移金属の置換により改質することが好ましい。好ましいオニウムイオンは、燐系(例えばホスホニウムイオン)及び窒素系(例えばアンモニウムイオン)であり、炭素原子数2〜20の官能基(例えばNR+−MMT)を有する。
【0055】
クレーはナノメーター規模の粒度、好ましくは25μm容量未満、更に好ましくは1〜50μm、なお更に好ましくは1〜30μm、なお更に好ましくは2〜20μmで供給される。
シリカの他、好ましいナノクレーは若干のアルミナ画分も含有してよい。ナノクレーはアルミナを0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜3重量%含有してよい。
【0056】
本発明の高アスペクト比充填剤として使用するのに好適な市販の好ましい有機改質ナノクレーの例はCloisite(登録商標)10A、20A、6A、15A、30B又は25Aである。高アスペクト比充填剤はナノ複合材に3〜80phr、更に好ましくは5〜30phr、なお更に好ましくは5〜15phr添加される。ナノ複合材は、慣用の配合技術を用いて、プレフォーム(preformed)アイオノマーに添加剤を加えて形成される。
【0057】
複合材は充填未硬化アイオノマーの再生により形成してもよいし、或いは非充填未硬化アイオノマーの再生及び次いで充填剤の導入により形成してもよい。複合材には2種以上の充填剤を供給してよい。複合材の成分を、例えばバンバリーミキサーのような密閉式混合器、Haake又はBrabenderミキサーのような小型密閉式混合器、又は2本ロールミルミキサーを用いて混合できる。押出機も良好に短時間で混合できる。2段階以上で混合を行なうことが可能であり、この場合の混合は異なる装置で、例えば一段階は密閉式混合器で、一段階は押出機で行なうことができる。更なる配合技術についてはEncyclopedia of Polymer Science and Engineering,第4巻,66頁以下(配合)参照。
【0058】
複合材は例えば成形により造形に形成できる。造形品は前述のように硬化してよい。複合材は、引き続く下流処理にマスターバッチとして供給してよい。複合材は非再生アイオノマー又は従来のハロゲン化又は非ハロゲン化ブチル重合体と混合し、次いで造形品に形成してよい。
【0059】
本発明を優れた特性を有する熱可逆的充填ブチルベースのコンパウンドの形成及びブチルアイオノマーの再生方法について説明する。以下の実施例により本発明の特定の実施態様を説明する。
【実施例】
【0060】
実験
器具:
硬度及び応力歪特性は、ASTM D−2240の要件に従って、A−2型ジュロメーターを用いて測定した。応力歪データは、ASTM D−412法Aの要件に従って、23℃で得られた。2mm厚の引張りシートから切断したダイCダンベルを用いた。合計30分間、166℃、15,000psiの圧力で熱硬化物を形成し、合計12分間、160℃、15,000psiの圧力でアイオノマーを成形した。Bruker DRX500分光計(500.13MHz)を用いて、テトラメチルシランを参照した化学シフト付きCDCl中でHNMRスペクトルを記録した。
【0061】
材料:
特に断らない限り、試剤は全てSigma−Aldrich(Oakville,Ontario)から受領した。BIIR(LANXESS BB2030TM、LANXESS Inc.)、Sunpar 2280TM(R.E.Carroll Inc.)、Pentalyn ATM(Hercules)、Vulkacit DM/CTM(LANXESS Inc.)から受領して使用した。カーボンブラックN660TM(Sid Richardson Carbon and Gas Companies)、Closite 15ATM(Sourthern Clay Products)、Hi-Sil 233TM(PPG Industries,Inc.)はそれぞれの供給者から受領して使用した。
【0062】
例1:IIR−PPhBrアイオノマーの製造
BIIR(LANXCESS BB2030C、LANXCESS Inc.)356g及びトリフェニルホスフィン(TPP)16.7g(臭素化アリル含有量に対し1.2モル当量)を6”×12”ミル上、室温で3分間予備混合した。次いでこの混合物を同ミル上で100℃、1時間加熱した。最終生成物のHNMR分析により、BB2030の全ての臭化アリルの相当するアイオノマー種への完全な転化が確認された。
【0063】
例2〜7
以下の例は、加硫カーボンブラック充填系の物性に対するアイオノマーの効果を、同じ配合の非アイオノマー系の物性と比較して示す。Brabenderミキサー中、例1とカーボンブラックN660とを60℃、ローター速度60rpmで15分間混合して例2、4、6を製造した。例1の代りにBB2030を用いた他は同じ方法で例3、5、7を製造した。得られた配合物を成形し、前述のようにして引張り特性を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
表2に示すように、非アイオノマー系(例3、5、7)と比較してホスホニウムアイオノマー(例2、4、6)は強化性(reinforcement)が増大した他、引張り強度が著しく向上した。
【0066】
例8〜13
以下の例は同じ配合の非アイオノマー系の物性と比較して、未加硫シリカ充填系の物性に対するアイオノマー網状構造の効果を示す。例8、10、12の製造は、例2で説明したとおり行ない、また例9、11,13の製造は、例3で説明したとおり行なった。得られた配合物を成形し、前述のように引っ張り強度を測定した。結果を表3に示す。

【0067】
【表3】

【0068】
表3に示すように、非アイオノマー系(例9、11、13)と比較して、ホスホニウムアイオノマー(例8、10、12)は強化性(reinforcement)が増大した他、引張り強度が著しく向上した。
【0069】
例14〜19
以下の例は同じ配合の非アイオノマー系の物性と比較して、未加硫クレー充填系の物性に対するアイオノマー網状構造の効果を示す。例14、16、18の製造は、例2で説明したとおり行ない、また例15、13、17の製造は、例3で説明したとおり行なった。得られた配合物を成形し、前述のように引っ張り特性を測定した。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】

【0071】
表4に示すように、非アイオノマー系(例15、17、19)と比較して、ホスホニウムアイオノマー(例14、16、18)は強化性が増大した他、引張り強度が著しく向上した。
【0072】
例20
以下の例は、未加硫系の物性に対する臭化ホスホニウムアイオノマー網状構造の効果を、通常の硫黄硬化した熱硬化性樹脂と比較して示す。例20は、バンバリーミキサー中、BB2030とカーボンブラックN660とを30℃、ローター速度77rpmで1分間混合した後、前記油及び促進剤を加え、更に4分間混合し、次いで取出した。次に2本ロール10”×20”ミル上、室温で硬化剤(硫黄、ステアリン酸及び酸化亜鉛)を加えた。得られた配合物を硬化し、前述のように引張り特性を測定した。結果を表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
表5に示すように、標準タイヤ内張り配合物(例20)と比較して、未加硫ホスホニウムアイオノマー系(例4、12、16)は同等の特性を有する。シリカ・クレー充填アイオノマー系の場合、極限引張り及び極限伸びの顕著な向上が観察された。
【0075】
例21〜25
以下の例は未加硫シリカ充填臭化ホスホニウムブチルアイオノマーの再生可能性(recyclability)を示す。前記例12をBrabenderミキサー中、160〜170℃の温度で15分間再混合し、同じ条件下で再成形して例21(第一再生品)を製造した。次いで例21を再混合、再成形して例22(第二再生品)を製造した。次いで例22を再混合、再成形して例23(第三再生品)を製造した。次いで例23を再混合、再成形して例24(第四再生品)を製造した。次いで例24を再混合、再成形して例25(第五再生品)を製造した。表6に引張り特性を示す。
【0076】
【表6】


表6に示すように、各再生後、引張り強度は極めて良好に維持された。
【0077】
例26〜30
以下の例は未加硫クレー充填臭化ホスホニウムブチルアイオノマーの再生可能性を示す。前記例16をBrabenderミキサー中、160〜170℃の温度で15分間再混合し、同じ条件下で再成形して例26(第一再生品)を製造した。次いで例26を再混合、再成形して例27(第二再生品)を製造した。次いで例27を再混合、再成形して例28(第三再生品)を製造した。次いで例28を再混合、再成形して例29(第四再生品)を製造した。次いで例29を再混合、再成形して例30(第五再生品)を製造した。表7に引張り特性を示す。
【0078】
【表7】


表7に示すように、各再生後、引張り強度は極めて良好に維持された。
【0079】
例31〜35
Kaszasの米国特許第6,960,632号;Kaszas等,Rubber Chemistry and Technologie,2001,75,155に記載の方法により、ブチルターポリマーを製造した。最終生成物はpMeStを10モル%及びIPを2モル%有する。これを標準的な方法を用いて臭素化し(ヘキサン中Br)、臭化アリル(allylic bromide)を0.8モル有し、ムーニー粘度が30MUの臭素化ブチルターポリマーを得た。臭化アリル及び残りの1,4−イソプレンの量は市販のBB2030と同様である。次に、得られた臭素化ターポリマーを2連スクリュー押出機中、160℃でジメチルアミノエタノール(3.2モル当量)と反応させた。最終生成物のHNMR分析の結果、臭化アリルの全てが対応するアイオノマー種に完全に転化したことが確認された。次いでHigh Sil 233(50phr)をBrabenderミキサーに入れ、60℃、ローター速度60rpmで15分間混合した。前記例31をこのBrabender中、160〜170℃の温度で15分間再混合し、同じ条件下で再成形して例32(第一再生品)を製造した。次いで例32を再混合、再成形して例33(第二再生品)を製造した。次いで例33を再混合、再成形して例34(第三再生品)を製造した。次いで例34を再混合、再成形して例35(第四再生品)を製造した。表8に引張り特性を示す。
【0080】
【表8】


表8に示すように、各再生後、引張り強度は極めて良好に維持された。
【0081】
例36〜41
以下の例は、未加硫無機充填剤系の物性に対するアイオノマー網状構造の効果を、同じ配合を有する非アイオノマー系の物性と比較して示す。例36、38、40の製造は、例2の場合と同様に行ない、例37、39、41の製造は、例3の場合と同様に行なった。得られた配合物を成形し、前述のように引張り特性を測定した。結果を表9に示す。
【0082】
【表9】

【0083】
例42〜47
以下の例は未加硫シリカ充填系の物性に対するポリマー主鎖上のアイオノマー含有量増大の効果を示す。LANXESS BB2030:356gをPPh 3.5g(例42)、7.0g(例43)及び10.5g(例44)と配合し、臭化アリル官能基(functionality)〜25%、50%及び75%とそれぞれ室温のミル上で3分間反応させた。次いで混合物を小型2連スクリュー押出機(160℃、20rpm)に通した後、室温のミル上で精製した。これらのアイオノマーは、ポリマー主鎖沿いのアイオノマー基の量を測定するため、NMR分析により特徴付けされた。例42〜44とHi Sil 233とをBrabenderミキサー中、60℃、ローター速度60rpmで15分間混合して例45〜47を製造した。得られた配合物を成形し、前述のようにして引張り特性を測定した。結果を表10に示す。
【0084】
【表10】

【0085】
例48:IIR−N(CHCHOH)Brアイオノマーの製造
LANXESS BB2030をN,N−ジメチルアミノアルコール(臭化アリル含有量に対し3.22モル当量)と一緒に小型2連スクリュー押出機(160℃、20rpm)に供給した。押出物を該ミル上で精製し、NMRで分析し、BB2030の臭化アリルの全てが相当するアイオノマー種に完全に転化していることを確認した。
【0086】
例49〜51
以下の例は各種無機充填剤を含有する充填未硬化材料のコンパウンド特性に対するアンモニウムベースアイオノマー網状構造の効果を示す。例48と、カーボンブラックN660、Hi Sil 233及びCloisite 15AとをそれぞれBrabenderミキサー中、60℃、ローター速度60rpmで15分間混合して例49、50、51を製造した。得られた配合物を成形し、引張り特性を表11に示す。
【0087】
【表11】

【0088】
例52:臭素化イソブチレンp−メチルスチレン共重合体(BIMS)ベース
のホスホニウムアイオノマーの製造
Exxpro 3435:150gを室温のミル上でPPh 10gと3分間配合した。次いで混合物を小型2連スクリュー押出機(160℃、20rpm)に通した後、室温のミル上で精製した。得られた材料のNMR分析により、Exxpro 3435の臭化ベンジル基の相当するアイオノマー種への完全な転化が確認された。
【0089】
例53:臭素化イソブチレンp−メチルスチレン共重合体(BIMS)ベース
のアンモニウムアイオノマーの製造
Exxpro 3435をN,N−ジメチルアミノアルコール(臭化アリル含有量に対し3.22モル当量)と一緒に小型2連スクリュー押出機(160℃、20rpm)に供給した。押出物を該ミル上で精製し、NMR分析した結果、BB2030の臭化ベンジル基の全てが相当するアイオノマー種に完全に転化したが確認された。
【0090】
例54〜57
以下の例は各種無機充填剤を含有する充填未硬化材料のコンパウンド特性に対するアイオノマー網状構造の効果を示す。混合物は全てBrabenderミキサー中、60℃、ローター速度60rpmで15分間混合して製造した。例54、55は、それぞれExxpro 3435及び例52をカーボンブラックN660と混合して製造した。例56、57はそれぞれExxpro 3435及び例52をHi Sil 233及びカーボンブラックN660と混合して製造した。得られた配合物を成形し、引張り特性を表12に示す。

【0091】
【表12】

【0092】
以上に本発明を詳細に説明したが、これらの詳細は、単に説明の目的のためであり、当業者ならば、特許請求の範囲で限定される可能性を除いて、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、各種の変化が行なえることは理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】米国特許第2,356,128号
【特許文献2】米国特許第6,960,632号
【特許文献3】米国特許第5,162,445号
【特許文献4】米国特許第3,646,166号
【特許文献5】米国特許第3,898,253号
【特許文献6】米国特許第4,102,876号
【特許文献7】米国特許第4,173,695号
【特許文献8】米国特許第3,898,253号
【特許文献9】米国特許出願第11/88,172号
【特許文献10】PCT/CA/200700425
【非特許文献】
【0094】
【非特許文献1】Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,A23巻,1993年,288〜295頁
【非特許文献2】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5完全改定版,A231巻、Elvers等編)
【非特許文献3】Maurice Mortonによる“Rubber Technology”(第3版),第10章(Van Nostrand Reinhold Company版権1987),特に297〜300頁
【非特許文献4】Parent,J.S.;Liskova,A.;Whitney,R.A.;Resendes,R.,Journal of Polymer Science,Part A
【非特許文献5】Polymer Chemistry 43,5671−5679,2005
【非特許文献6】Parent,J.S.;Liskova,A.;Resendes,R.,Polymer 45,8091−8096,2004
【非特許文献7】Parent,J.S.;Penciu A.;Guillen−Castellanos,S.A.;Liskova,A.;Whitney,R.A.,Macromolecules 37,7477−7483,2004
【非特許文献8】Kaszas等,Rubber Chemistry and Technology,2001年,75,155
【非特許文献9】Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第4巻,66頁以下(配合)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.未硬化ブチルアイオノマー材料を含む成型品を平均サイズが50mm以上の粒子に変換する工程;
b.該粒子を80〜200℃の温度に加熱する工程;
c.該粒子を剪断混合条件に10秒以上暴露する工程;及び
d.得られた混合物を周囲温度に冷却する工程;
を含む未硬化ブチルアイオノマー材料含有成型品の再生方法。
【請求項2】
前記アイオノマーが充填剤で充填される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剪断混合条件が、密閉式混合器又は押出機を用いて供給される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記温度が110〜180℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子が剪断混合条件に15分以下暴露される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アイオノマーが部分ハロゲン化される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
a.周囲温度で極限引張り強度を有する非再生未硬化ブチルアイオノマー材料を供給する工程;
b.該ブチルアイオノマーを80〜200℃の温度に加熱する工程;
c.該ブチルアイオノマーを剪断混合条件に10秒以上暴露する工程;及び
d.該ブチルアイオノマーを周囲温度に冷却して再生ブチルアイオノマーを形成する工程;
を含む再生ブチルアイオノマー材料の製造方法。
【請求項8】
前記再生ブチルアイオノマーの極限引張り強度が、前記非再生ブチルアイオノマーの極限引張り強度の60%以上である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非再生ブチルアイオノマーの極限引張り強度が10MPa以上である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記再生ブチルアイオノマーの極限引張り強度が6MPa以上である請求項7又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記非再生ブチルアイオノマーが充填剤で充填される請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記再生ブチルアイオノマーが硬化されない請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記非再生ブチルアイオノマーが部分ハロゲン化される請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ブチルアイオノマーを剪断混合条件に暴露しながら、窒素系又は燐系求核剤を添加する工程を更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記再生ブチルアイオノマー中のアイオノマー部分の含有量が、前記非再生ブチルアイオノマー中のアイオノマー部分の含有量よりも多い請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記再生ブチルアイオノマーを成形して物品を形成する工程を更に含む請求項7〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記剪断混合条件が、密閉式混合器又は押出機中で供給される請求項7〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記非再生ブチルアイオノマーの125℃でのムーニー粘度ML(1+8)が、25ムーニー単位以上である請求項7〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記再生ブチルアイオノマーの125℃でのムーニー粘度ML(1+8)が、前記非再生ブチルアイオノマーのムーニー粘度の70%以上である請求項7〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
125℃でのムーニー粘度ML(1+8)が25ムーニー単位以上で極限引張り強度が2MPa以上である未硬化充填ブチルアイオノマーから作った熱可逆性物品。
【請求項21】
再生ブチルアイオノマーを含有する造形品。
【請求項22】
前記造形品が、再生ブチルアイオノマーと同じ組成の非再生ブチルアイオノマーから作った同じ造形品に比べて20%未満低い極限引張り強度を示す請求項21に記載の造形品。
【請求項23】
前記造形品の極限引張り強度が6MPa以上である請求項21に記載の造形品。
【請求項24】
前記造形品の極限引張り強度が8MPa以上である請求項22に記載の造形品。
【請求項25】
前記ブチルアイオノマーが充填剤で充填される請求項21〜24のいずれか1項に記載の造形品。
【請求項26】
前記造形品が硬化されない請求項21〜25のいずれか1項に記載の造形品。
【請求項27】
前記造形品が硬化されない請求項25に記載の造形品。
【請求項28】
前記再生ブチルアイオノマーが部分ハロゲン化される請求項21〜25のいずれか1項に記載の造形品。
【請求項29】
前記造形品が硬化される請求項28に記載の造形品。
【請求項30】
前記再生ブチルアイオノマーの極限伸びが600%以上である請求項21〜29のいずれか1項に記載の造形品。
【請求項31】
再生ブチルアイオノマー及び充填剤を含有する複合材。
【請求項32】
前記複合材が、再生ブチルアイオノマーと同じ組成の非再生ブチルアイオノマーから作った複合材に比べて20%未満低い極限引張り強度を示す請求項31に記載の複合材。
【請求項33】
前記複合材の極限引張り強度が8MPa以上である請求項31又は32に記載の複合材。
【請求項34】
前記複合材が硬化されない請求項31〜33のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項35】
前記複合材が硬化される請求項31〜33のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項36】
前記複合材が非再生ブチルアイオノマーを50重量%未満含有する請求項31〜35のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項37】
前記複合材が非再生ブチルアイオノマーを10重量%未満含有する請求項36に記載の複合材。
【請求項38】
前記再生ブチルアイオノマーが部分ハロゲン化される請求項31〜35のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項39】
前記ブチルアイオノマーが、少なくとも1種のイソオレフィンモノマーから誘導された繰返し単位及び少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーから誘導された繰返し単位を含む請求項31〜38のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項40】
前記イソオレフィンモノマーが、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項39に記載の複合材。
【請求項41】
前記マルチオレフィンモノマーが、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリリン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロヘキサジエン及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項39又は40に記載の複合材。
【請求項42】
前記ブチルアイオノマーが、前記イソオレフィンモノマー又はマルチオレフィンモノマーと共重合可能な少なくとも1種のモノマーの繰返し単位を更に含む請求項39〜41のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項43】
前記イソオレフィンモノマー又はマルチオレフィンモノマーと共重合可能な少なくとも1種のモノマーが、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、シクロペンタジエン メチルシクロペンタジエン及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項42に記載の複合材。
【請求項44】
前記マルチオレフィンモノマーが、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、シクロペンタジエン メチルシクロペンタジエン及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項39又は42に記載の複合材。
【請求項45】
前記ブチルアイオノマーが、前記モノマー類を重合してブチル重合体を形成し、該ブチル重合体をハロゲン化してハロブチル重合体を形成し、次いで該ハロブチル重合体を少なくとも1種の窒素系又は燐系求核剤と反応させることにより形成される請求項39〜44のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項46】
前記充填剤が高アスペクト比の充填剤である請求項39〜45のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項47】
前記高アスペクト比の充填剤のアスペクト比が少なくとも1:3である請求項46に記載の複合材。
【請求項48】
前記高アスペクト比の充填剤のアスペクト比が少なくとも1:5である請求項47に記載の複合材。
【請求項49】
前記高アスペクト比の充填剤のアスペクト比が少なくとも1:7である請求項48に記載の複合材。
【請求項50】
前記高アスペクト比の充填剤のアスペクト比が少なくとも1:7〜1:200である請求項49に記載の複合材。
【請求項51】
前記高アスペクト比の充填剤がシリカ、クレー、タルク及びマイカよりなる群から選択される請求項46〜50のいずれか1項に記載の複合材。
【請求項52】
前記高アスペクト比の充填剤がナノクレーである請求項51に記載の複合材。
【請求項53】
前記ナノクレーが有機的に改質したナノクレーである請求項52に記載の複合材。
【請求項54】
前記ナノクレーの粒度が25容量μm未満である請求項52又は53に記載の複合材。
【請求項55】
前記ナノクレーの粒度が1〜50容量μmである請求項52又は53に記載の複合材。
【請求項56】
少なくとも1種のイソオレフィンモノマーから誘導された繰返し単位、少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーから誘導された繰返し単位、任意に、前記イソオレフィンモノマー又はマルチオレフィンモノマーと共重合可能な少なくとも1種のモノマー、及び少なくとも1種の窒素系又は燐系求核剤を含むブチルアイオノマーと、該ブチルアイオノマーに混入した充填剤とを含む再生可能な未硬化重合体複合材。
【請求項57】
前記充填剤は、アスペクト比が少なくとも1:3である高アスペクト比の充填剤を含有する請求項56に記載の複合材。
【請求項58】
前記充填剤がオニウム置換ナノクレーを含有する請求項57に記載の複合材。
【請求項59】
前記充填剤がシリカを含有する請求項56に記載の複合材。

【公表番号】特表2012−517362(P2012−517362A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549403(P2011−549403)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000158
【国際公開番号】WO2010/091498
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(505137432)ランクセス・インク. (9)
【Fターム(参考)】