説明

再生骨材の製造管理システム

【課題】複数ある一次処理場から骨材の一次処理に適した一次処理場を適切に選定したり、二次処理場での処理により製造された再生骨材の販売先を適切に選定することが可能な再生骨材の製造管理システムの提供を目的とした。
【解決手段】再生骨材の製造管理システム1は、骨材を含む原料を一次処理する一次処理工程と、当該一次処理工程で処理された原料を二次処理する二次処理工程とを含む工程を経て再生骨材を製造する再生骨材の製造管理をするためのシステムである。製造管理システム1は、情報処理手段2を有し、各一次処理場Fqの所在地に関する一次処理場所在地データと、再生処理を行う原料の所在地に関する原料所在地データとに基づき、一次処理を行うのに適した一次処理場Fqを選定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生骨材の効率よく製造可能な再生骨材の製造管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているような再生骨材の製造方法により再生骨材が製造されている。このような再生骨材の製造を行うためのプラントの多くは、骨材を含む原料を破砕等する一次処理工程と、一次処理された原料を二次処理する二次処理工程とを実施可能とされている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−025140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来は再生骨材の製造が一箇所に集約されたプラントにおいて実施されていたが、骨材を含む原料の一次処理を行う一次処理場と、一次処理を施した原料を処理する二次処理場とを設け、一次処理と二次処理とを別々の場所で行いたいという要望があった。また、このようにした場合、一次処理場を多数設け、いずれかの一次処理場で一次処理を行うことが考えられるが、どの一次処理場を選択するかによって再生骨材の製造効率が大きく異なることとなる。そのため、骨材の一次処理をどの一次処理場で行うのかを適切に判断することが可能なシステムの提供が求められていた。
【0005】
また、一次処理場と二次処理場とを分けた場合、原料は一次処理された状態で二次処理場に搬入されることとなるため、二次処理場にいかなる原料が搬入されたのかが分かりにくい。そのため、二次処理場での処理により製造された再生骨材をどの販売先に販売するのかを適切に判断することが難しいといった問題があった。
【0006】
そこで、かかる問題点を解決すべく、本発明は、複数ある一次処理場から骨材の一次処理に適した一次処理場を適切に選定したり、二次処理場での処理により製造された再生骨材の販売先を適切に選定することが可能な再生骨材の製造管理システムの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、かかる課題を解決すべく提供される本発明の再生骨材の製造管理システムは、骨材を含む原料を一次処理する一次処理工程と、当該一次処理工程で処理された原料を二次処理する二次処理工程とを含む工程を経て再生骨材を製造する再生骨材製造管理システムであって、情報処理手段を有し、当該情報処理手段が、一次処理工程を行う一次処理場の所在地に関する一次処理場所在地データと、再生処理を行う原料の所在地に関する原料所在地データとに基づき、一次処理を行うのに適した一次処理場を選定することを特徴としている。
【0008】
上述のような構成とすれば、複数ある一次処理場から骨材の一次処理に適した一次処理場を適切に選定することができ、一次処理と二次処理とを別々の処理場で行うことによる再生骨材の製造をスムーズに行うことができる。
【0009】
上記した再生骨材の製造管理システムは、販売先で購入を希望している再生骨材に関する購入希望データと、原料の状態に関する原料データとに基づき、販売先を選定可能であることが望ましい。
【0010】
上述のような構成とすれば、販売先で購入を希望している再生骨材に関する購入希望データに基づき、二次処理場での処理により製造された再生骨材の最適な販売先を選定でき、再生骨材の製造から販売に至る一連のフローをスムーズに進行させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数ある一次処理場から骨材の一次処理に適した一次処理場の選定や、二次処理場での処理により製造された再生骨材の販売先の選定を適切に実施可能な再生骨材の製造管理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
続いて、本発明の一実施形態に係る再生骨材の製造管理システム1(以下、単に管理システム1とも称す)について、再生骨材の製造方法に言及しつつ詳細に説明する。
先ず、再生骨材の製造方法について説明すると、再生骨材は、図1や図2に示すように大別して一次処理工程および二次処理工程により構成される製造フローに沿って製造される。一次処理工程は一次処理場で実施され、二次処理工程は二次処理場で実施される。
【0013】
本実施形態において実施される再生細骨材の製造方法では、先ず建築物の解体現場等において発生したコンクリート廃材の塊(以下、必要に応じてコンクリート塊Bと称す)が、コンクリート塊Bの処分の依頼者Ap(p=自然数)のもとから、多数設けられた一次処理場Fq(q=自然数)のうちの一つに向けて搬送され、一次処理される。
【0014】
具体的には、多数ある一次処理場Fqのうちの一つに搬送されたコンクリート塊Bは、場内に設けられたホッパー10内に投入される。その後、ホッパー10に投入されたコンクリート塊Bは、往復動しているレシプロフィーダ11によって移送され、ジョークラッシャー12(破砕機)に投入される。コンクリート塊Bが投入されると、ジョークラッシャー12は、固定板13と、回転体15の回転に伴い固定板13に対して近接離反する方向に往復動する可動板16とを有する。ジョークラッシャー12は、固定板13と可動板16との間に投入されたコンクリート塊Bを破砕してコンクリート破砕物Vとする。これにより、一次処理が完了する。
【0015】
上記したようにして一次処理が完了すると、コンクリート破砕物Vが船舶やトラックにより一次処理場Fqから二次処理場Sに搬送される。二次処理場Sでは、コンクリート破砕物Vが二次処理され、再生骨材(再生粗骨材、再生細骨材)が製造される。さらに詳細に説明すると、二次処理は、選別工程、磨鉱工程、比重選別工程、分離工程の各工程を経て実施される。
【0016】
選別工程は、コンクリート破砕物Vを粒径の大きさに応じて分類する工程である。選別工程は、振動篩20にコンクリート破砕物Vを投入することで実施される。振動篩20によりコンクリート破砕物Vが分類されると、処理工程が磨鉱工程に進行する。
【0017】
磨鉱工程では、選別工程において分類されたコンクリート破砕物Vのうち粒径の大きなものと小さなものとが磨鉱機21,22において別々に磨鉱される。磨鉱機21で磨鉱された粒径の大きなコンクリート破砕物Vは、これに付着していたモルタル分が剥離された状態となり、モルタル分との混合物として排出される。
【0018】
上記したようにして磨鉱工程において、磨鉱機21で磨鉱された粒径の大きなコンクリート破砕物Vは、比重選別工程において粗骨材に相当するもの(再生粗骨材)と、モルタル分とに選別される。具体的には、比重選別工程では、磨鉱機21から排出されたモルタル分とコンクリート破砕物Vとの混合物が、比重選別装置23に投入される。比重選別装置23では、コンクリート破砕物Vとモルタル分との比重差を利用して両者が選別される。
【0019】
さらに詳細に説明すると、本実施形態で使用される比重選別装置23は、内部に処理水が貯留されており、これに対して空気を給排気することにより処理水の水位を上下方向に波打たせることが可能とされている。このような比重選別装置23の中にモルタル分とコンクリート破砕物Vとの混合物が投入されると、やがて比重の大きなコンクリート破砕物Vが水中に沈み、モルタル分が水面側に浮く。このようにして選別されたコンクリート破砕物Vは、粗骨材を主成分とするものであり、再生骨材として利用可能なものである。そこで、比重選別装置23により選別されたモルタル分が殆ど付着していないコンクリート破砕物Vは、再生粗骨材として利用可能なものとして回収される。また、比重選別装置23によって選別されたモルタル分は、再生骨材とは別に回収され、シックナー25において水と分離されて廃棄される。
【0020】
一方、上述の磨鉱工程において磨鉱機22により磨鉱された粒径の小さなコンクリート破砕物Vは、分離工程で細骨材に相当するもの(再生細骨材)とその他のものに分離される。具体的には、分離工程では、磨鉱機22で磨鉱されたコンクリート破砕物がスパイラル分級機26に投入され、再生細骨材として利用可能なものと、モルタル分や夾雑物などの廃棄物とに分離される。モルタル分等の廃棄物は、シックナー25によって水と分離され、廃棄される。
【0021】
本実施形態の管理システム1は、上述した一連の再生骨材の製造工程を管理するものであり、所定の管理センターCCに設置されている。管理システム1は、従来公知のパーソナルコンピュータなどの端末に専用のプログラムを組み込む等して構成された情報処理手段2を有している。情報処理手段2は、コンクリート塊Bの処理を依頼する依頼者Ap(p=自然数)や、一次処理場Fq(q=自然数)、二次処理場S、販売先Crに設けられた端末(図示せず)とデータ通信可能とされている。
【0022】
管理システム1には、コンクリート塊Bの処分の依頼者Apやコンクリート塊Bの所在地に関するデータ(以下、原料所在地データとも称す)や、処分対象であるコンクリート塊Bの状態に関するデータ(以下、原料データとも称す)が、依頼者Apから発信されたデータに基づいて入力される。管理システム1は、原料所在地データや原料データに基づき、複数登録されている一次処理場Fqから、処分対象であるコンクリート塊Bを一次処理するのに適した一次処理場Fqを選択する。具体的には、管理システム1は、複数登録されている一次処理場Fqの所在地に関するデータ(以下、一次処理場所在地データとも称す)に基づき、、処理対象であるコンクリート塊Bを処理するのに適した一次処理場Fqを絞り込む。そして、管理システム1は、このようにして絞り込まれた一次処理場Fqから、依頼者Apやコンクリート塊Bの所在地に最も近い一次処理場Fqを選択する。
【0023】
上記したようにして一次処理場Fqが選択されると、該当する一次処理場Fqや依頼者Apに設けられた端末(図示せず)に向けてコンクリート塊Bの一次処理を指示するデータ(一次処理指示データ)が発信される。この一次処理指示データに基づき、コンクリート塊Bが、依頼者Apの元から、選定された一次処理場Fqに向けて搬送される。
【0024】
また、管理システム1は、一次処理場Fqに搬入されたコンクリート塊Bの状態に関する原料データや、販売先Cr(r=自然数)で購入を希望している再生骨材(再生粗骨材、再生細骨材)の量や種類等に関するデータ(以下、購入希望データとも称す)に基づき、二次処理場Sでの処理により製造される再生骨材(再生粗骨材、再生細骨材)の販売先として適した販売先Crを選定する。そして、管理システム1は、選定された販売先Crを指示するデータ(以下、販売先指示データとも称す)を二次処理場Sに設けられた端末(図示せず)に向けて発信する。二次処理場Sで製造された再生骨材は、販売先指示データに基づき、選定された販売先Crに搬送される。
【0025】
上記した管理システム1は、原料データや原料所在地データ、一次処理場所在地データに基づき、コンクリート塊Bの一次処理を行うのに適した一次処理場Fqを選定することができる。そのため、管理システム1によれば、再生骨材の製造の一次処理と二次処理とを別々の処理場で行うこととしても、再生骨材の製造をスムーズに行うことができる。
【0026】
上記した管理システム1は、販売先Crで購入を希望している再生骨材に関する購入希望データと、再生骨材の原料の状態に関する原料データとに基づき、複数の販売先Crから最適なものを選定可能とされている。そのため、上記した管理システム1によれば、再生骨材の製造から販売に至る一連の処理をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る製造管理システムによる再生骨材の製造の管理方法を説明するブロック図である。
【図2】再生骨材の製造フローを説明する概念図である。
【符号の説明】
【0028】
1 製造管理システム(管理システム)
2 情報処理手段
Ap 依頼者
Fq 一次処理場
S 二次処理場
Cr 販売先
CC 管理センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材を含む原料を一次処理する一次処理工程と、当該一次処理工程で処理された原料を二次処理する二次処理工程とを含む工程を経て再生骨材を製造する再生骨材の製造管理システムであって、
情報処理手段を有し、
当該情報処理手段が、一次処理工程を行う一次処理場の所在地に関する一次処理場所在地データと、再生処理を行う原料の所在地に関する原料所在地データとに基づき、一次処理を行うのに適した一次処理場を選定することを特徴とする再生骨材の製造管理システム。
【請求項2】
販売先で購入を希望している再生骨材に関する購入希望データと、原料の状態に関する原料データとに基づき、販売先を選定可能であることを特徴とする請求項1に記載の再生骨材の製造管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−175916(P2009−175916A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12324(P2008−12324)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(505073406)EACLE有限会社 (10)
【Fターム(参考)】