説明

冷却風導入構造

【課題】車両の高速走行時、低速走行時のそれぞれに熱交換器に所要の冷却性能を発揮させることができる冷却風導入構造を得る。
【解決手段】冷却風導入構造10は、車両下向きに開口された開口部26Aからフロアトンネル20内に空気を導く前側ダクト部26と、フロアトンネル20内に設けられた後側ダクト部28とを含むダクト部24と、ダクト部24内における車両前後方向の中間部に設けられた空冷式の冷却ユニット22と、作動することで空気流を生じるファンユニット38とを備える。ファンユニット38は、冷却ユニット22の前面22Aに沿って位置する作動位置と、前側ダクト部26を形成する天壁34に沿って位置する退避位置とをとり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却風を空冷式の熱交換器に導くための冷却風導入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジエータ及びコンデンサの車両後方に軸流ファンを配置し、該ファンとラジエータ及びコンデンサとの間にシュラウドにて流路を形成したクーリングモジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ラジエータの背面側にファンを配置した構成において、該ラジエータとファンとを接離させて車速に応じた冷却性能を得ようとする技術が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−009860号公報
【特許文献2】特開平1−182123号公報
【特許文献3】特開平3−149310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如き技術では、ファンとラジエータ等の相対位置が固定されているか、又はファンやラジエータの可動範囲が小さいので、車両の高速走行の際に熱交換器による冷却対象の冷却効率の向上の観点からは、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、車両の高速走行時、低速走行時のそれぞれに熱交換器に所要の冷却性能を発揮させることができる冷却風導入構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る冷却風導入構造は、車両上下方向の下向きに開口された開口部から車両前後方向の前向きに開口されたフロアトンネル内に空気を導く前側ダクト部と、前記フロアトンネル内に設けられると共に車両上下方向の下向きに開口された開口部から空気を排出する後側ダクト部とを含むダクト部と、前記ダクト部内における車両前後方向の中間部に設けられた空冷式の熱交換器と、作動することで空気流を生じる構成とされ、前記ダクト部内で前記熱交換器を通過する空気流を生じるように該熱交換器に沿って配置される作動位置と、前記ダクト部の壁面に沿って配置される退避位置とをとり得る送風手段と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の冷却風導入構造では、例えば車両の高速走行時には、走行風の流量が大きいので、送風手段を退避位置に位置させて、前側ダクト部、熱交換器、後側ダクト部の順で通過される走行風で冷媒が冷却される。一方、例えば車両の停止時や低速走行時には、送風手段を作動位置で作動させることで、前側ダクト部、熱交換器、後側ダクト部の順で通過される空気流(冷却風)が生じ、熱交換器において冷媒が冷却される。
【0008】
ここで、本冷却風導入構造では、ダクト部は、前側ダクト部における車両下向きの開口部から導入した空気を、熱交換器の通過後、後側ダクト部における車両下向きの開口部からフロア下に排出する独立空間とされる。そして、送風手段の退避位置は、このダクト部の壁面に沿った位置(走行風の通過範囲外又はその近傍)であるため、退避位置に位置する送風手段は、ダクト部を流れる走行風の抵抗になりにくい。このため、特に車両の高速走行時に冷却効率を向上させることができる。
【0009】
このように、請求項1記載の冷却風導入構造では、車両の高速走行時、低速走行時のそれぞれに熱交換器に所要の冷却性能を発揮させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る冷却風導入構造は、請求項1記載の冷却風導入構造において、前記前側ダクト部は、前記開口部における車両前後方向前側の縁部から前記熱交換器における車両上下方向の上側の縁部まで至る傾斜壁を有して構成されており、前記送風手段は、前記作動位置において前記熱交換器における車両前後方向の前面に沿って配置されると共に、前記退避位置において前記傾斜壁に沿って配置される。
【0011】
請求項2記載の冷却風導入構造では、熱交換器前方に位置する前側ダクト部の傾斜壁に沿って、送風手段が退避位置に配置される。この傾斜壁の付近は、前側ダクト部の下向き開口部から導入され後方に流れ熱交換器至る走行風の通過範囲外となりやすいので、退避位置に位置する送風手段は、一層、ダクト部を流れる走行風の抵抗になりにくい。
【0012】
請求項3記載の発明に係る冷却風導入構造は、請求項請求項1又は2記載の冷却風導入構造において、前記傾斜壁は、前記前側ダクト部と車両における熱源が配置された熱源室とを隔てると共に、該前側ダクト部と熱源室とを連通する窓部を有しており、前記窓部を開閉する開閉手段と、前記熱交換器の加熱要求がある場合に、前記窓部が開放されるように前記開閉手段を制御すると共に、前記送風手段が前記退避位置で作動されるように該送風手段を制御する加熱制御手段と、をさらに備えた。
【0013】
請求項3記載の冷却風導入構造では、熱交換器の加熱要求がある場合に制御手段は、開閉手段を制御して傾斜壁の窓部を開放させると共に、送風手段を制御して該送風手段を退避位置で作動させる。すると、熱源室で熱源により加熱された空気が窓部を通じて前側ダクト部に導入され、熱交換器に供給される。これにより、熱交換器が加熱される。
【0014】
なお、加熱要求としては、例えば、熱交換器に付着した雪や氷の除去要求、熱源が内燃機関等の駆動源である場合の冷間始動時の暖気促進要求等が挙げられる。
【0015】
請求項4記載の発明に係る冷却風導入構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の冷却風導入構造において、前記熱交換器は、車両の駆動源を冷却するための冷媒と空気との熱交換器であり、車両の走行速度が所定速度を越える場合又は前記冷媒の温度が所定温度未満の場合に、前記送風手段を前記退避位置で非作動とし、車両の走行速度が前記所定速度以下でありかつ前記冷媒の温度が所定温度以上である場合に、前記送風手段を前記作動位置で作動させる冷却制御手段をさらに備えた。
【0016】
請求項4記載の冷却風導入構造では、車両の高速走行時には、送風手段が退避位置で非作動とされおり、走行風が前側ダクト部、熱交換器、後側ダクト部をスムースに通過しつつ熱交換器での熱交換に供される。一方、車両の停止時や低速走行時であって冷媒の温度が所定温度以上である場合には、作動位置で作動される送風手段によって生じた空気流が、前側ダクト部、熱交換器、後側ダクト部を通過する。これにより、冷媒の冷却要求に対し走行風が不足しやすい低速走行時等において、冷媒を十分に冷却することができる。そして、車両の低速走行時であって冷媒の温度が所定温度未満である場合には、送風手段が退避位置で非作動とされる。これにより、走行風による冷媒との熱交換で足りる場合には、送風手段を非作動としてエネルギ消費を抑えることができる。すなわち、冷却性能の確保と省エネルギ化との両立を図ることができる。
【0017】
請求項5記載の発明に係る冷却風導入構造は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の冷却風導入構造において、前記熱交換器は、パワーユニットを冷却するための冷媒を冷却するためのラジエータ、及び空調装置の冷凍サイクルを構成する凝縮器の少なくとも一方を含んで構成されている。
【0018】
請求項5記載の冷却風導入構造では、ラジエータ及び凝縮器の少なくとも一方に、高速走行時、低速走行時共に所要の冷却風を熱交換器に導くことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明に係る冷却風導入構造は、車両の高速走行時、低速走行時のそれぞれに熱交換器に所要の冷却性能を発揮させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る冷却風導入構造が適用された自動車の前部を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る冷却風導入構造のファンによる導風状態を示す側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る冷却風導入構造の走行風の導入状態を示す側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る冷却風導入構造を構成するアンダカバー、ファンユニット、冷却ユニットを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る冷却風導入構造による異物除去の状況を説明するための側断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る冷却風導入構造を構成する冷却ECUによる制御フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る冷却風導入構造が適用された自動車の前部を示す側断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る冷却風導入構造を構成する冷却ユニットに氷雪が付着した状態を示す側断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る冷却風導入構造を構成する冷却ユニットに付着した氷雪を融解する状態を示す側断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る冷却風導入構造を構成するアンダカバー、開閉機構、ファンユニット、冷却ユニットを示す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る冷却風導入構造を構成する冷却ECUによる制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る冷却風導入構造10について、図1〜図6に基づいて説明する。先ず、冷却風導入構造10が適用された自動車Aの車体11の構成を説明し、次いで、冷却風導入構造10の具体的な構成を説明することとする。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印UPは車両上下方向の上方向を、矢印Wは車幅方向をそれぞれ示す。
【0022】
(車体の概略構成)
図1には、冷却風導入構造10が適用された自動車Aの前部が模式的な側断面図にて示されている。この図に示される如く、自動車Aの車両前後方向の前端側には、熱源でもあるパワーユニット12が配設された熱源室としてのパワーユニット室14が配置されている。この実施形態におけるパワーユニット12は、それぞれフロントホイールWf及び図示しないリヤホイールの少なくとも一方を駆動するための駆動源として内燃機関であるエンジンと電動モータとを含んで構成されている。したがって、この実施形態に係る自動車Aは、2つの駆動源を有するハイブリッド自動車とされている。
【0023】
フロントホイールWfを駆動する場合の具体例を説明すると、パワーユニットは、車幅方向に沿ったクランクシャフトを有する横置きのエンジンと、該エンジンに動力伝達可能に連結されたトランスアクスルとを主要部として構成されている。トランスアクスルは、電動モータ、図示しないジェネレータ、動力分割機構、無段変速機等である変速機等を含んで構成されている。また、この実施形態では、トランスアクスルには、例えば電動モータ、ジェネレータ、及びバッテリに電気的に接続されたインバータを含んで構成されている。したがって、この実施形態に係るパワーユニットは、パワープラントとして捉えることも可能である。
【0024】
上記の通り内燃機関であるエンジンを含んで構成されるパワーユニット12が配設されたパワーユニット室14は、所謂エンジンルームとして捉えることができる。パワーユニット室14の車両前後方向の後端部は、車室Cとの間を隔てるダッシュパネル16にて規定されている。ダッシュパネル16は、フロアパネル18の車両前後方向の前端部に接合されている。フロアパネル18における車幅方向の中央部には、車両前後方向に長手とされると共に該長手方向と直交する断面視で車両上下方向に下向きに開口する[コ」字状を成すフロアトンネル20が形成されている。
【0025】
そして、冷却風導入構造10が適用された自動車Aでは、フロアトンネル20の車両前後方向の前側開口端20Aを塞ぐように、冷却ユニット22が設けられている。したがって、この実施形態では、冷却ユニット22がパワーユニット12に対する車両前後方向の後側に配置されている。冷却ユニット22は、パワーユニット12(のエンジンや電気モータ)との間で冷却水を循環させて該パワーユニット12を冷却する空冷式の熱交換器であるラジエータ、及び図示しない空調装置(の冷凍サイクル)を構成する空冷式の熱交換器であるコンデンサ(凝縮器)の少なくとも一方(この実施形態では双方)を含んで構成されている。
【0026】
以下、この冷却ユニット22に冷媒(ラジエータを循環する冷却水、エアコン冷媒)との熱交換を行う冷却風を導くための冷却風導入構造10について詳細に説明することとする。
【0027】
(冷却風導入構造の構成)
図1及び図2に示される如く、冷却ユニット22の前後には、パワーユニット室14とは隔てられた空間であるダクト部24が形成されている。換言すれば、ダクト部24内における車両前後方向の中間部に冷却ユニット22が配置されている。この実施形態では、ダクト部24は、冷却ユニット22に対する車両前後方向の前側に位置する前側ダクト部26と、冷却ユニット22に対する車両前後方向の後側に位置する後側ダクト部28とを主要部として構成されている。
【0028】
冷却風導入構造10では、前側ダクト部26は、パワーユニット室14を車両上下方向の下側から覆うアンダカバー30に一体に形成されている。この前側ダクト部26は、路面Rとの間を流れる走行風を冷却ユニット22(フロアトンネル20)に導き、又は、後述するファン40の作動時には、自動車Aのフロア下から空気を吸い込む吸い込み口として機能する構成である。
【0029】
より具体的には、前側ダクト部26は、図1及び図2に示される如く、フロアトンネル20に対する車両前後方向の前方で車両上下方向の下向きに開口された開口部としての導入口26Aと、フロアトンネル20に対する車両前後方向の直前方で車両前後方向の後向きに開口された導出口26Bとを有する。前側ダクト部26は、図4に斜視図にて示される如く、導入口26Aと導出口26Bとの間の空間が、車幅方向に対向する左右一対の側壁32と、一対の側壁32の車両上下方向の上縁を繋ぐ天壁34とで囲まれた空気流路とされている。
【0030】
天壁34は、導入口26Aにおける車両前後方向の前縁部26Fと冷却ユニット22における車両上下方向の上縁部22Uとを繋ぐように、側面視で車両上下方向及び前後方向に対し傾斜された傾斜壁とされている。
【0031】
一方、図1及び図2に示される如く、この実施形態における後側ダクト部28は、内部が空気流路とされたフロアトンネル20によって(フロアトンネル20自体として)形成されている。上記の通り車両上下方向の下向きに開口しているフロアトンネル20は、その開口部が後側ダクト部28における走行風又は空気流の流出口28Aとされている。
【0032】
そして、冷却ユニット22は、ダクト部24の中央部すなわち前側ダクト部26と後側ダクト部28との間にシール状態で配置されている。なお、冷却ユニット22は、一部又は全部がフロアトンネル20(後側ダクト部28)内の前部に配置された構成としても良く、一部又は全部が前側ダクト部26内の後部に配置された構成としても良い。すなわち、冷却ユニット22は、前側ダクト部26とフロアトンネル20とで形成される空間(空気流路)の中間部に配置されていれば良い。
【0033】
また、この実施形態では、冷却ユニット22は、車両上端側が下端側よりも車両前側に位置するように傾斜(前傾)して配置されている。導入口26Aにおける車両前後方向の後端、導出口26Bにおける車両上下方向の下端の位置は、冷却ユニット22における車両上下方向の下端の位置に略一致されている。
【0034】
さらに、この実施形態では、アンダカバー30における前側ダクト部26の車両前側に水平面に対し傾斜されたベンチュリ壁36が形成されている。ベンチュリ壁36は、アンダカバー30における前側ダクト部26(導入口26A)の前縁部26Fに対する車両前後方向の前側部分を、車両前後方向の前端側よりも後端側の方が路面Rに近接するように傾斜させることで形成されている。ベンチュリ壁36は、車幅方向においては少なくとも前側ダクト部26の設置範囲の車両前後方向の前側に形成されれば良いが、この実施形態では、アンダカバー30の前部は、車幅方向の略全幅に亘り傾斜壁であるベンチュリ壁36とされている。
【0035】
このベンチュリ壁36は、路面Rとの間に形成される空間を、車両後端側に向かうほど上下幅が狭まる(流路断面が絞られる)ベンチュリ形状とする構成である。この実施形態では、ベンチュリ壁36と路面Rとの間に形成された空間における前側ダクト部26の前縁部26Fに対する車両上下方向のほぼ直下の部分が、流路断面が最も絞られたのど部とされている。このベンチュリ壁36を備えた冷却風導入構造10では、車両後方に向かう走行風が、導入口26Aに対する車両前方で生じるベンチュリ壁36のベンチュリ効果によって車両上方に導かれ、矢印FA方向に沿って前側ダクト部26に流入されやすい(走行風が、冷却ユニット22に至る前に、路面Rに対し矢印FA方向に近い角度で前側ダクト部26に流れ込む)構成とされている。
【0036】
さらに、冷却風導入構造10は、ダクト部24内に配置された送風手段としてのファンユニット38を備えている。この実施形態では、ファンユニット38は、図2に示される如く、前側ダクト部26内、すなわち冷却ユニット22に対する車両前側に配置されている。ファンユニット38は、軸流ファンであるファン40と、ファン40を覆うファンシュラウド42とを主要部として、全体として偏平状に構成されている。
【0037】
そして、冷却風導入構造10では、ファンユニット38が図2に示す如く冷却ユニット22の前面22Aに沿って位置する作動位置と、図3に示される如くファンユニット38が天壁34に沿って傾斜配置される退避位置とをとり得る構成とされている。具体的には、図2に示される如く、ファンユニット38は、ファンシュラウド42における車両上下方向の上端部が車幅方向に沿った支軸44にて回動自在に支持されており、該支軸44周りに回動することで作動位置と退避位置との間を移動するようになっている。
【0038】
ファンユニット38の作動位置は、ファンシュラウド42が冷却ユニット22の前面22Aの周縁部を車両前方から略全面に亘り覆う位置とされている。この作動位置で作動されたファンユニット38は、図2に示される空気流Ffをダクト部24内に生じさせる構成である。また、ファンユニット38の退避位置は、該ファンユニット38がダクト部24内における走行風の流路から外れる位置(天壁34近傍で走行風の通過範囲外又はその近傍)とされている。すなわち、この退避位置は、ファンユニット38が図3に示される走行風Frの主流からずれる(走行風Frの抵抗となりにくい)配置とされている。
【0039】
さらに、冷却風導入構造10は、ファンユニット38を作動位置と退避位置との間で駆動するファン駆動機構46を備えている。図2及び図3に示される如く、ファン駆動機構46は、冷却ユニット22の下端部22Lとファンシュラウド42の下端部42Lとを連結するリンク機構48と、アクチュエータ50とを主要部として構成されている。
【0040】
リンク48機構は、一対のリンク48A、48Bがリンクピン48Cにて連結されて成り、リンク48Aにおけるリンク48Bとは反対側の端部が支軸52によって冷却ユニット22の下端部22Lに連結されると共に、リンク48Bにおけるリンク48Aとは反対側の端部が支軸54によってファンシュラウド42の下端部42Lに連結されている。アクチュエータ50は、リンク48Aを支軸52周りに回転駆動する構成とされている。これにより、ファン駆動機構46は、アクチュエータ50がリンク48Aを矢印A方向に回動させるとリンク48伸びてファンユニット38が作動位置から退避位置へ至り、アクチュエータ50がリンク48Aを矢印Aとは逆の矢印B方向に回動させるとリンク48折り畳まれてファンユニット38が退避位置から作動位置へ至る構成とされている。この実施形態では、狭義には、ファンユニット38とファン駆動機構46とで本発明における送風手段が構成されているものと捉えることができる。
【0041】
そして、図1に示される如く、冷却風導入構造10は、ファンユニット38のファン40及びファン駆動機構46のアクチュエータ50の作動を制御する冷却制御手段としての冷却ECU55を備えている。冷却ECU55は、ファン40、アクチュエータ50、冷却風導入構造10が適用された自動車Aの走行速度に応じた信号を出力する車速センサ56、及びパワーユニット12と冷却ユニット22との間で循環する冷却水の温度に応じた信号を出力する水温センサ58のそれぞれに、電気的に接続されている。
【0042】
冷却ECU55は、車速センサ56からの信号に基づいて自動車Aの車速Vが所定の車速V1を下回っており(又はV1以下であり)、かつ水温センサ58からの信号に基づいて冷却水の水温Tが所定の温度T1以上である(又はT1を超える)と判断した場合に、ファンユニット38が作動位置に位置されるようにアクチュエータ50を制御すると共に、ファン40を作動させるようになっている。この実施形態では、冷却ECU55は、パワーユニット12の作動中における車両停止(車速Vが0)の際にも、水温Tが所定の温度T1以上である場合には、ファンユニット38が作動位置に位置されるようにアクチュエータ50を制御すると共に、ファン40を作動させるようになっている。
【0043】
一方、冷却ECU55は、車速センサ56からの信号に基づいて自動車Aの車速Vが所定の車速V1以上である(又はV1を超えた)と判断した場合、又は水温センサ58からの信号に基づいて冷却水の水温Tが所定の温度T1を下回る(又はT1以下である)と判断した場合に、ファンユニット38が退避位置に位置されるようにアクチュエータ50を制御すると共に、ファン40を非作動とする(停止させる)ようになっている。
【0044】
この実施形態では、冷却ECU55は、自動車Aの車速Vが所定の車速V1以上であると判断した後は、自動車Aの車速が別途所定の車速V2(V2<V1)以下であると判断するまで、ファンユニット38が退避位置に位置されると共に、ファン40を非作動とされた状態を維持するようになっている。また、この実施形態では、冷却ECU55は、冷却水温Tが所定の温度T1を下回ると判断した後は、冷却水温Tが別途所定の温度T2(T2>T1)以上であると判断するまで、ファンユニット38が退避位置に位置されると共に、ファン40を非作動とされた状態を維持するようになっている。これらにより、アクチュエータ50、ファン40の速度に対する過敏な動作(ばたつき等)等が抑制される構成とされている。
【0045】
次に、第1の実施形態に係る冷却風導入構造10の作用について、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0046】
上記構成の冷却風導入構造10が適用された自動車Aでは、その走行の際に、パワーユニット12と冷却ユニット22とを冷却水が循環する。この冷却水は、冷却ユニット22において空気との熱交換により冷却される。また、空調装置の作動時には、冷媒が冷却ユニット22、膨張弁、エバポレータ、コンプレッサの順で循環して冷凍サイクルが形成される。冷却ユニット22は、空気との熱交換により冷媒を冷却して凝縮させるコンデンサとして機能する。
【0047】
この冷却ユニット22の熱交換は、自動車Aの走行風Fr、又はファンユニット38のファン40の作動により生じる空気流Ff(冷却風)が冷却ユニット22の空気側流路を流れることで行われる。以下、具体的に説明する。
【0048】
冷却ECU55は、ステップS10で車速センサ56からの信号に基づいて自動車Aの車速Vが所定の車速V1以上であるか否かを判断する。冷却ECU55は、車速Vが所定の車速V1以上であると判断すると、ステップS12に進み、アクチュエータ50を制御してファンユニット38を退避位置に位置(移動)させる共に、ファン40を非作動とする(停止させる)。すると、図3に示される如く、自動車Aの走行風Fhが車両上向きのベクトル成分を持って前側ダクト部26に流入し、この走行風Frは冷却ユニット22、後側ダクト部28を通過して流出口28Aから流出される。これにより、冷却ユニット22においては、冷却水、冷媒が送風との熱交換により冷却される。
【0049】
一方、冷却ECU55は、ステップS10で車速Vが所定の車速V1を下回ると判断すると、ステップS14に進み、冷却水温Tが所定の温度T1以上であるか否かを判断する。冷却水温Tが所定の温度T1以上であると判断した場合、冷却ECU55は、ステップS16に進み、アクチュエータ50を制御してファンユニット38を作動位置に位置(移動)させる共に、ファン40を作動させる。すると、図2に示される如く、導入口26Aから吸い込まれて前側ダクト部26、冷却ユニット22、後側ダクト部28を通過し流出口28Aから流出される空気流Ff(冷却風)が生成される。これにより、冷却ユニット22においては、冷却水、冷媒が送風との熱交換により冷却される。
【0050】
さらに、冷却ECU55は、ステップS14で冷却水温Tが所定の温度T1を下回ると判断した場合、ステップS18に進み、アクチュエータ50を制御してファンユニット38を退避位置に位置(移動)させる共に、ファン40を非作動とする(停止させる)。この場合、冷却ユニット22においては、車両走行に伴い前側ダクト部26に流入する少量の走行風と冷却水、冷媒との熱交換によって、該冷却水、冷媒を十分に冷却することができる。
【0051】
ここで、冷却風導入構造10では、自動車Aの低速走行時でかつパワーユニット12の冷却要求が相対的に高い場合には、ファン40が作動されて生じる空気流である冷却風Flによって、所要の冷却性能を得ることができる。一方、冷却風導入構造10では、車両の高速走行時には、ファンユニット38が退避位置に退避されるので、高速走行時に非作動とされたファン40が走行風Frの通風抵抗となりにくい。
【0052】
しかも、冷却風導入構造10では、前側ダクト部26を構成する傾斜壁である天壁34に沿う位置が偏平状のファンユニット38の退避位置とされている。換言すれば、ダクト部24内における走行風Frの通過範囲外又はその近傍にファンユニット38が退避される構成である。このため、冷却風導入構造10では、自動車Aの高速走行時にファン40は、その大部分が走行風Frの通過範囲外(風流れのない、又はごく弱い部分)に位置するととなり、走行風Fhの通風抵抗にはより一層なりにくい。
【0053】
以上により、冷却風導入構造10では、例えば軸流ファンが冷却ユニット22の後面に積層された比較例の如く、自動車Aの高速走行時に非作動状態の軸流ファンが大きな通風抵抗となることがない。しかも、パワーユニット室14とは区画された空間であるダクト部24内では、ファンユニット38の移動範囲の制約が少なく、上記の通りファンユニット38が走行風Frの通過範囲外又はその近傍(天壁34に沿った位置)まで退避される。このため、冷却風導入構造10では、自動車Aの高速走行時における冷却ユニット22の冷却効率が高く、所要の冷却性能を得ることができる。
【0054】
このように、冷却風導入構造10では、作動位置と退避位置とを移動し得るファンユニット38(ファン駆動機構46)を設けたので、自動車Aの高速走行時、低速走行時のそれぞれに冷却ユニット22に所要の冷却性能を発揮させることができる。しかも、冷却水温Tが所定の温度T1を下回る場合、すなわちパワーユニット12の冷却要求が相対的に低い場合には、ファン40を非作動として低消費エネルギ化(省電力化)を図ることができる。
【0055】
また、冷却風導入構造10では、冷却ユニット22が前傾されているので、該冷却ユニット22の設置スペースの車両上下方向の寸法を低く抑えることができる。これにより、フロアトンネル20の高さを抑えたり、冷却ユニット22下端の地上高を確保したりしやすくなる。
【0056】
さらに、冷却風導入構造10では、ダクト部24内で路面Rに向けて露出されているファンユニット38が上気した作動位置と退避位置との間で移動可能であるため、図5に例示される如く、このファンユニット38の移動によってファンユニット38に付着した異物Gを振るい落とすことができる。例えば、冷却ユニット22の背面側にファンユニットを設けた比較例では、適用された自動車Aが未舗装路を走行する際、草木や葉が冷却ユニット22の前面に張り付く場合がある。この場合、冷却ユニット22の空気流路で空気の流通が阻害される。
【0057】
これに対して冷却風導入構造10では、冷却ユニット22又はファンユニット38(未舗装路は基本的に低速で走行されるので、主にファンユニット38)に草木や葉などの異物が付着した場合、ファンユニット38を前後に揺動して異物を振るい落とすことができ、冷却ユニット22の所要の冷却性能が確保される。ここで、ファンユニット38による異物の振るい落とし動作は、例えば、冷却ユニット22の冷却水温が異常上昇した場合等に自動的に又は手元スイッチの操作によって行うことができる。
【0058】
なお、上記した第1の実施形態では、ファンユニット38が天壁34に沿った退避位置をとる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、冷却ユニット22の車両後方に配置されたファンユニット38がフロアトンネル20の上壁に沿った退避位置をとる構成として良い。また、ファンユニット38が前側ダクト部26の側壁32やフロアトンネル20の側壁に沿った退避位置をとる構成とすることも可能である。
【0059】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る冷却風導入構造60について、図7〜図11に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態の構成と基本的に同一の部品・部分については、上記第1の実施形態の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図7には、冷却風導入構造60が適用された自動車Aの前部が模式的な側断面図にて示されており、図8には、冷却風導入構造60の要部が側断面図にて示されている。これらの図に示される如く、冷却風導入構造60を構成する前側ダクト部26は、天壁34に代えて傾斜壁としての天壁62を有して構成されている。天壁62は、パワーユニット室14と前側ダクト部26の内部空間とを連通する窓部64を有する。
【0061】
そして、冷却風導入構造60は、天壁62の窓部64を開閉するための開閉機構65を備えている。開閉機構65は、開閉部材としての可動フラップ66と、可動フラップ66を駆動するアクチュエータ68とを主要部として構成されている。可動フラップ66は、図7及び図8に示される如く窓部64を閉止する閉止位置と、図9及び図10に示される如く窓部64を開放する開放位置とをとり得る構成とされている。この実施形態における開放位置は、可動フラップ66がパワーユニット室14側に移動(突出)された位置(ファンユニット38の退避位置と干渉しない位置)とされている。
【0062】
また、この実施形態では、複数(3枚)の可動フラップ66が車両前後方向に並んで配置されており、複数の可動フラップ66は、それぞれの車両後端部において車幅方向に沿った支軸70周りに回動可能に支持されている。これにより、開閉機構65では、単一の可動フラップ66を有する構成と比較して、パワーユニット室14内における可動フラップ66の可動スペースが小さい構成とされている。そして、各可動フラップ66は、それぞれの支軸70の周りに回動することによって、上記した開放位置と閉止位置との間で移動される構成とされている。
【0063】
アクチュエータ68は、その駆動力によって各可動フラップ66をそれぞれの開放位置と閉止位置との移動させる構成である。この実施形態では、アクチュエータ68は、複数の可動フラップ66を連動(同期)して開放位置と閉止位置との間で移動させる図示しない連動機構を含んで構成されている。
【0064】
さらに、冷却風導入構造60は、冷却ECU55に代えて、加熱制御手段及び冷却制御手段としての冷却ECU72を備えている。冷却ECU72は、冷却ECU55における上記の制御に加えて、冷却ユニット22に雪や氷が付着したと判断した場合に、熱源室であるパワーユニット室14から窓部64を通じて相対的に高温の空気を前側ダクト部26内に導入させる制御を行うように構成されている。以下、具体例を説明する。
【0065】
冷却ECU72は、ファン40、アクチュエータ50、車速センサ56、水温センサ58に加えて、アクチュエータ68、及び自動車Aの周囲の外気温に応じた信号を出力する外気温センサ74にそれぞれに電気的に接続されている。冷却ECU72は、外気温が低いにも拘らず冷却水温が高い場合に、ファンユニット38又は冷却ユニット22に雪や氷が付着したと判断するようになっている。すなわち、冷却ECU72は、冷却水温が所定の温度T2(T2>T1)以上であり(又はT2を超え)、かつ外気温Toが所定の温度To1を下回る(又はTo1以下である)と判断した場合に、可動フラップ66が開放位置に位置されると共に、ファンユニット38が退避位置において作動されるように、アクチュエータ50、ファン40、及びアクチュエータ68のそれぞれを制御するようになっている。
【0066】
また、冷却ECU72は、上記の場合以外には、常に可動フラップ66が閉止位置に位置するように、アクチュエータ68の作動(停止を含む)を制御する構成である。冷却風導入構造60における他の構成は、冷却風導入構造10における対応する構成と基本的に同様に構成されている。
【0067】
したがって、第2の実施形態に係る冷却風導入構造60によっても、基本的に冷却風導入構造10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。以下に、冷却風導入構造60における冷却風導入構造10とは異なる作用について、図11に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0068】
冷却ECU72は、ステップS10の前に、ステップS20を実行する。ステップS20では、水温センサ58からの信号に基づいて、冷却水温Tが所定温度T2以上であるか否かを判断する。冷却水温Tが所定温度T2以上ではないと判断した場合、冷却ECU72は、ステップS10に進み、上記した冷却風導入構造10の冷却ECU55と同様の制御を行う。なお、ステップS12、S16、S18では、可動フラップ66を閉止位置に位置させる。
【0069】
ステップS20で冷却水温Tが所定温度T2以上であると判断した場合、冷却ECU72は、ステップS22に進み、外気温センサ74からの信号に基づいて、外気温Toが所定の外気温To1を下回るか否かを判断する。外気温Toが所定の外気温To1を下回らないと判断した場合、冷却ECU72は、ステップS10に進み、上記した冷却風導入構造10の冷却ECU55と同様の制御を行う。
【0070】
一方、ステップS22で外気温Toが所定の外気温To1を下回ると判断した場合、すなわち、外気温Toが低いにも拘らず冷却水温Tが所定の温度T2以上である場合、冷却ECU72は、ステップS24に進み、可動フラップ66を開放位置に位置させると共に、ファンユニット38を退避位置で作動させる。すると、パワーユニット室14のパワーユニット12によって加熱された空気が窓部64を通じて前側ダクト部26に導入される。これにより、例えば自動車Aの寒冷地走行中に図8に示される如く冷却ユニット22に雪や氷Iが付着した場合に、図9に矢印Fhで示される如くパワーユニット室14の加熱空気が冷却ユニット22に付着された雪や氷Iに吹き付けられ、該雪や氷Iが融解(融雪)して除去される。
【0071】
このように、冷却風導入構造60では、寒冷地走行中に冷却ユニット22に付着する雪や氷Iに起因する冷却水すなわちパワーユニット12の過熱を防止又は効果的に抑制することができる。
【0072】
なお、上記した第2の実施形態では、開閉機構65が冷却ECU72の制御により作動されるアクチュエータ68を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、通常はスプリング等の付勢力にて閉止位置に偏倚される可動フラップ66が走行風やパワーユニット室14と前側ダクト部26との圧力差等によって開放位置に移動される構成としてもよく、可動フラップ66がサーモアクチュエータ等によって閉止位置と開放位置との間を移動される構成としても良い。
【0073】
また、上記した第2の実施形態では、フロアトンネル20に付着した雪や氷Iを融解するためにパワーユニット室14の加熱空気を前側ダクト部26に導く制御例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、冷間始動時にパワーユニット12を短時間で暖気するためにパワーユニット室14の加熱空気を前側ダクト部26に導く構成としても良い。
【0074】
さらに、第2の実施形態では、融雪の要否を外気温センサ74、水温センサ58からの信号に基づき判断する例を示したが、本発明はこれに限定されず、他のセンサからの信号に基づき融雪の要否を判断する構成としても良く、ユーザによる手元スイッチの操作により融雪モード(ステップS24)を実行するようにしても良い。
【0075】
また、上記した各実施形態では、前側ダクト部26の車両前方にベンチュリ壁36が形成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、前側ダクト部26の前方のアンダカバー30を平坦(路面Rに対し略平行に)形成しても良い。さらに、ベンチュリ壁36と共に又はベンチュリ壁36に代えて、前側ダクト部26に走行風Fhを流入させる空力構造を設けても良い。このような空力構造として、例えば冷却ユニット22の下端からフロア下に突出したスパッツ等の導風部材を設けることができる。また、この導風部材は、例えば車速に応じて形状や姿勢を変化させるものとしても良い。
【0076】
さらに、上記した各実施形態では、内燃機関を含むパワーユニット12が車室Cの前方に位置するパワーユニット室14に配置されてフロントホイールWfを駆動する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、パワーユニット12がフロントホイールWfに代えて又はフロントホイールWfと共にリヤホイールを駆動する構成としても良く、パワーユニット12がモータを含まない構成(一般的なFF車、FR車、4WD車等のエンジン車)としても良く、内燃機関を含むパワーユニット12が車室Cの後方に位置するパワーユニット室に配置される構成としても良く、パワーユニットが内燃機関を含まない構成としても良い。これらの構成では、車両下向きに開口する導入口26Aに代えて、例えばバンパリインフォースメントやフロントグリルにおいて車両前向きに開口するダクトを用いることも可能である。
【0077】
またさらに、上記した各実施形態では、フロアトンネル20が後側ダクト部28をかねる例を示したが、本発明はこれに限定されず、フロアトンネル20内に設けられた別部材にて後側ダクト部28が形成される構成としても良い。この構成では、後側ダクト部28の寸法形状の設定自由度が高くなる。
【0078】
その他、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各種変形して実施可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10 冷却風導入構造
12 パワーユニット(熱源)
14 パワーユニット室(熱源室)
20 フロアトンネル
22 冷却ユニット
24 ダクト部
26 前側ダクト部
28 後側ダクト部
34 天壁(傾斜壁)
38 ファンユニット(送風手段)
46 ファン駆動機構(送風手段)
55 冷却ECU(冷却制御手段)
60 冷却風導入構造
62 天壁(傾斜壁)
64 窓部
65 開閉機構
72 冷却ECU(冷却制御手段、加熱制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上下方向の下向きに開口された開口部から車両前後方向の前向きに開口されたフロアトンネル内に空気を導く前側ダクト部と、前記フロアトンネル内に設けられると共に車両上下方向の下向きに開口された開口部から空気を排出する後側ダクト部とを含むダクト部と、
前記ダクト部内における車両前後方向の中間部に設けられた空冷式の熱交換器と、
作動することで空気流を生じる構成とされ、前記ダクト部内で前記熱交換器を通過する空気流を生じるように該熱交換器に沿って配置される作動位置と、前記ダクト部の壁面に沿って配置される退避位置とをとり得る送風手段と、
を備えた冷却風導入構造。
【請求項2】
前記前側ダクト部は、前記開口部における車両前後方向の前側の縁部から前記熱交換器における車両上下方向の上側の縁部まで至る傾斜壁を有して構成されており、
前記送風手段は、前記作動位置において前記熱交換器における車両前後方向の前面に沿って配置されると共に、前記退避位置において前記傾斜壁に沿って配置される請求項1記載の冷却風導入構造。
【請求項3】
前記傾斜壁は、前記前側ダクト部と車両における熱源が配置された熱源室とを隔てると共に、該前側ダクト部と熱源室とを連通する窓部を有しており、
前記窓部を開閉する開閉手段と、
前記熱交換器の加熱要求がある場合に、前記窓部が開放されるように前記開閉手段を制御すると共に、前記送風手段が前記退避位置で作動されるように該送風手段を制御する加熱制御手段と、
をさらに備えた請求項1又は請求項2記載の冷却風導入構造。
【請求項4】
前記熱交換器は、車両の駆動源を冷却するための冷媒との空気との熱交換器であり、
車両の走行速度が所定速度を越える場合又は前記冷媒の温度が所定温度未満の場合に、前記送風手段を前記退避位置で非作動とし、車両の走行速度が前記所定速度以下でありかつ前記冷媒の温度が所定温度以上である場合に、前記送風手段を前記作動位置で作動させる冷却制御手段をさらに備えた請求項1〜請求項3の何れか1項記載の冷却風導入構造。
【請求項5】
前記熱交換器は、パワーユニットを冷却するための冷媒を冷却するためのラジエータ、及び空調装置の冷凍サイクルを構成する凝縮器の少なくとも一方を含んで構成されている請求項1〜請求項4の何れか1項記載の冷却風導入構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−111129(P2011−111129A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272125(P2009−272125)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】