説明

凝集剤

【課題】難脱水性汚泥に対しても非常に優れた脱水性能を発揮する凝集剤を提供することである。
【解決手段】式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなるビニルポリマーを含有してなることを特徴とする凝集剤を用いる。
【化1】


OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基、Mは金属原子、R及びR’は水素原子又は炭素数1〜6の有機基を示す。
Xが−CO2H、−CO2M、−CO2NR4、−CONH2又は−CNで表される基であることが好ましい。さらに(メタ)アクリルアミドを必須構成単量体としてなるビニルポリマーが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凝集剤に関する。さらに詳しくは汚泥処理に有用な汚泥凝集剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレン鎖含有(メタ)アクリレートを構成単量体とした共重合体からなる凝集剤が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平4−96913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の凝集剤では、汚泥の脱水性が不十分な場合があった。特に、都市下水や屎尿処理から発生する難脱水性汚泥に対して脱水性能が不十分な場合があった。そこで、本発明の目的は、難脱水性汚泥に対しても非常に優れた脱水性能を発揮する凝集剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の凝集剤は、式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなるビニルポリマーを含有してなる点を要旨とする。
【化1】

OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基、Mは金属原子、R及びR’は水素原子又は炭素数1〜6の有機基を示す。
【発明の効果】
【0005】
本発明の凝集剤は、極めて優れた脱水性能を発揮する。したがって、難脱水性汚泥の処理工程においても、本発明の凝集剤を用いると、強固な凝集フロックや汚泥造粒体を形成し汚泥処理能力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
一般式(1)において、炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが挙げられる。
これらのうち、製造しやすさの観点等から、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましい。
これらのオキシアルキレン基は、1種類でも2種類以上の混合でもよい。2種類以上の混合のとき、結合様式はブロック、ランダム及びこれらの組合せのいずれでもよい。
【0007】
また、nは、1〜200の整数が好ましいが、この範囲を超えてもよい。
また、R(炭素数1〜6の有機基)としては、アルキル、アルケニル及びアシル等が含まれる。
アルキルとしては、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル及びn−ヘキシル等が挙げられる。
アルケニルとしては、ビニル、1−プロペニル、2−ブテニル及び2,2−ジメチル−3−ブテニル等が挙げられる。
アシルとしては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル及びプロピオロイル等が挙げられる。
Rのうち、製造しやすさの観点等からは、水素原子及びアシルが好ましいが、加水分解性の観点等からは、水素原子、アルキル及びアルケニルが好ましく、さらに好ましくは水素原子及びアルキルである。
【0008】
また、R’(炭素数1〜6の有機基)としては、アルキル及びアルケニル等が含まれる。
R’のうち、水素原子及びアルキルが好ましく、さらに好ましくは加水分解性の観点等から水素原子である。
また、M(金属原子)としてはカルボン酸金属を形成し得るものでれば制限がないが、塩を形成し得る金属{アルカリ金属(リチウム、カリウム及びナトリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)及び遷移金属(銅及び亜鉛等)}等が好ましい。
Xのうち、−CO2H、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基が好ましく、さらに好ましくは−CO2H、−CO2M、−CO2NH4、−CONH2又は−CNで表される基である。
【0009】
一般式(1)で表されるビニルモノマーとしては、以下の、(1)カルボン酸(Xが−CO2H)、(2)カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)、(3)カルボン酸金属塩(Xが−CO2M)、(4)カルボン酸アンモニウム塩(Xが−CO2NR’4)、(5)アミド(Xが−CONR’2)及び(6)カルボン酸ニトリル(Xが−CN)等が好ましく例示される。
【0010】
(1)カルボン酸(Xが−CO2H)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシエチルオキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸等。
【0011】
(2)カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸メチル及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸メチル等。
【0012】
(3)カルボン酸金属塩(Xが−CO2M)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸カリウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキプロピルオキシシメチル)アクリル酸ナトリウム塩及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩等。
【0013】
(4)カルボン酸アンモニウム塩(Xが−CO2NR’4
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩等。
【0014】
(5)アミド(Xが−CONR’2
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド及びN,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド等。
【0015】
(6)カルボン酸ニトリル(Xが−CN)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸ニトリル及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル等。
【0016】
本発明で使用するビニルモノマーは、以下の公知の製造方法を組み合わせて得ることができる。
(1)α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドの製造
アクリル酸エステル、アクリロニトリル又はN,N−ジアルキルアクリルアミドとホルムアルデヒドとを三級アミンの存在下に反応させることにより、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドを得る(たとえば、特開昭61−134353号、USP4654432号、特開平5−70408号)。
【0017】
(2)α−ヒドロキシメチル基へオキシアルキレン基の導入
α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドと、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等)とを反応させる(公知の反応触媒が使用できる)。
または、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドと、脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加体とをアルカリ存在下で反応させる(ウイリアムソン合成)。
脂肪族アルコールとしては、アルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びn−ヘキサノール等)及びアルケノール(プロペノール、ブテノール及び2,2−ジメチル−3−ブテノール等)等が挙げられる。
【0018】
(3)必要により加水分解により、カルボン酸(Xが−CO2H)、カルボン酸金属塩(Xが−CO2M)、カルボン酸アンモニウム塩(Xが−CO2NR’4)へ誘導
α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドにオキシアルキレン基を導入したオキシアルキレン化合物を、加水分解しカルボン酸、カルボン酸金属塩又はカルボン酸アンモニウム塩とする(たとえば、第4版実験化学講座22、有機合成IV−酸・アミノ酸・ペプチド−、平成4年11月30日、(財)日本化学会編、丸善株式会社発行)。
また、カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、アミド(Xが−CONR’2)へ加水分解することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、151〜156頁)。
また、カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)から、アミド(Xが−CONR’2)へ変換することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、148〜151頁)。

また、カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)へ変換することができる(たとえば、上記の実験化学講座22、53頁)。
【0019】
本発明の凝集剤は、式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなるビニルポリマーを含有してなれば、このビニルモノマーの他に、他の構成単量体を含んでもよい。
他の構成単量体としては、たとえば、特許文献1や特開平11−156400号公報に記載された単量体等が挙げられる。
他の構成単量体として、(メタ)アクリルアミドを含むことが好ましい。なお、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド、メタクリルアミドを意味する。
【0020】
他の構成単量体を用いる場合、ビニルモノマーの使用量(重量%)は、ビニルモノマー及び他の構成単量体の合計重量に基づいて、10〜95が好ましく、さらに好ましくは20〜85、特に好ましくは30〜75、次に好ましくは40〜65、最も好ましくは50〜65である。
また、この場合、他の構成単量体の使用量(重量%)は、ビニルモノマー及び他の構成単量体の合計重量に基づいて、5〜90が好ましく、さらに好ましくは15〜80、特に好ましくは25〜70、次に好ましくは35〜60、最も好ましくは35〜50である。
【0021】
ビニルポリマーを得るための重合方法としては公知の重合方法等が適用でき、たとえば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合又は乳化重合のいずれでもよい。
これらの重合方法のうち、溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合又は乳化重合が好ましく、さらに好ましくは溶液重合、逆相懸濁重合又は乳化重合、特に好ましくは溶液重合又は乳化重合、最も好ましくは溶液重合である。
この重合には、公知の、重合開始剤、連鎖移動剤又は溶媒等が使用できる。
【0022】
本発明の凝集剤には、ビニルポリマー以外に、公知の他の成分等を含んでもよい。
他の成分としては、溶媒(水、アルコール等)、無機凝集剤(硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄等)又は消泡剤(サンノプコ社製ダッポーシリーズ等)等が含まれる。
本発明の凝集剤は、汚泥に直接添加してもよいし、水等で希釈してから添加してもよい。
本発明の凝集剤の添加量(重量%)は、汚泥の乾燥体重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.2〜2、最も好ましくは0.3〜1である。なお、汚泥の乾燥体重量は95℃の乾燥機で恒量値として求められる。
【実施例】
【0023】
実施例において、部及び%は、特記しない限り、重量部及び重量%を意味する。
<合成例1>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)、37%ホルムアルデヒド水溶液(メタノール含有量7%)122部(1.5モル部)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)7部(63ミリモル部)、メトキシハイドロキノン0.03部及びアセトニトリル100部を均一混合した後、80〜82℃で1時間反応させた。この反応液を40℃に冷却し、濃塩酸でpH5.0に調整した後、トルエン200部で抽出した。ついで、抽出物からトルエンを留去して、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルエステル(MHMA)の粗生成体を得た。
MHMAの粗生成体30部を水150部に溶解した後、石油エーテル60部を用いて不純物を3回抽出除去した。ついで、MHMA水溶液に食塩を飽和になるまで溶解させた後、トルエン抽出し、MHMAを精製した(純度98.5%)。
MHMA116部(1モル部)及び水酸化カリウム2部を混合し、100℃に調整した後、100℃でエチレンオキシド440部(10モル部)を滴下して反応させることにより、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)を得た。
【0024】
<合成例2>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)をアクリル酸ニトリル50部(1モル部)に変更した以外、合成例1と同様にして、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル(HMAN)を得た後、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(HPEMAN)を得た。
【0025】
<合成例3>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)をN,N−ジメチルアクリル酸アミド99部(1モル部)に変更した以外、合成例1と同様にして、N,N−ジメチル−α−ヒドロキシメチルアクリル酸アミド(HMAA)を得た後、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(HPEMAA)を得た。
【0026】
<合成例4>
合成例1で得た(MHMA)116部(1モル部)及びTHF200部を混合し、5℃に調整した後、5℃で三臭化リン135部(0.5モル部)を滴下して反応させることにより、α−臭化メチルアクリル酸メチルエステル(MBMA)を得た。
ブタノールのエチレンオキシド8モル付加物426部(1モル部)及び水酸化カリウム112部(2モル部)を混合し、100℃に調整した後、上記で得た(MBMA)を滴下して反応させて、反応生成物を得た。その後、反応生成物を塩酸で中和し、析出した塩化カリウムを濾別することにより、α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MBPEMA)を得た。
【0027】
<合成例5>
合成例1で得た(MHMA)116部(1モル部)を合成例2で得た(HMAN)83部(1モル部)に変更した以外、合成例4と同様にして、α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(BPEMAN)を得た。
【0028】
<合成例6>
合成例1で得た(MHMA)116部(1モル部)を合成例3で得た(HMAA)129部(1モル部)に変更した以外、合成例4と同様にして、N,N−ジメチル−α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(BPEMAA)を得た。
【0029】
<合成例7>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部(1モル部)と10%水酸化ナトリウム水溶液440部とを混合した後、60℃で8時間反応させて、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SHPEMA)を得た。
【0030】
<合成例8>
合成例5で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(BPEMAN)491部(1モル部)と10%水酸化ナトリウム水溶液440部とを混合した後、60℃で8時間反応させて、α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SBPEMA)を得た。
【0031】
<実施例1>
水1000部、合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド143部、アクリルアミド53部を混合し、窒素置換した後、過硫酸アンモニウム0.3部を加えて、40〜50℃2時間に保ち、ゲル状体を得た。このゲル状体を細断し、80℃で5時間乾燥した後、粉砕して粉末状の凝集剤(1)を得た。
【0032】
<実施例2>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、合成例2で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(HPEMAN)523部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(2)を得た。
【0033】
<実施例3>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、合成例3で得たN,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(HPEMAA)569部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(3)を得た。
【0034】
<実施例4>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、合成例4で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MBPEMA)524部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(4)を得た。
【0035】
<実施例5>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、合成例5で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(BPEMAN)491部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(5)を得た。
【0036】
<実施例6>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、合成例6で得たN,N−ジメチル−α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(BPEMAA)537部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(6)を得た。
【0037】
<実施例7>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、合成例7で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SHPEMA)564部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(7)を得た。
【0038】
<実施例8>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、合成例8で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SBPEMA)532部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(8)を得た。
【0039】
<比較例1>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、ポリエチレングリコール(重合度10)モノメタクリレート526部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(H1)を得た。
【0040】
<比較例2>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部を、ブチルポリオキシエチレン(重合度8)メタクリレート494部に変更した以外実施例1と同様にして、凝集剤(H2)を得た。
【0041】
<<評価>>
凝集剤(1)〜(8)、(H1)又は(H2)をそれぞれイオン交換水に溶解して0.2%の水溶液として、評価サンプルとした。
下水処理場から採取した消化汚泥(pH7.5、TS2.3%、有機分62%)を用いてフロック径、濾液量、濾布剥離性、ケーキ含水率の評価を行った。試験結果を表1に示した。
【0042】
<1.フロック径>
ジャーテスター<宮本理研工業(株)製、形式JMD−6HS−A>に板状の塩ビ製撹拌羽根(直径5cm、高さ2cm、厚さ0.2cm)2枚を十字になる様に連続して撹拌棒に取り付け、消化汚泥200mlを500mlのビーカーに取り、ジャーテスターにセットした。ジャーテスターの回転数を120rpmにし、ゆっくり消化汚泥を撹拌しながら、評価サンプル20ml(凝集剤添加量0.87%/TS)を一度に添加し、30秒間撹拌した後、撹拌を止め凝集物の大きさを目視にて観察した(フロック径120rpm)。続いて回転数300rpmにてさらに30秒間撹拌した後、撹拌を止め凝集物の大きさを再度目視にて観察した(フロック径300rpm)。なお、フロック径は図1に示すフロック粒径図に従って判定した。
【0043】
<2.濾液量>
T−1189のナイロン製濾布<敷島カンバス(株)製、円形状、直径9cm>、ヌッツェ漏斗、300mlメスシリンダーをセットし、1.フロック径を観察した後の汚泥を一度に投入して濾過した。この際、ストップウォッチを用いて汚泥投入直後から60秒後の濾液量を測定した。
【0044】
<3.濾布剥離性>
濾過した汚泥の一部をスパーテルで取り出し、プレスフィルター試験機を用いて脱水試験(2kg/cm2、60秒)を行い、試験後の濾布からの脱水ケーキの剥離性を次の基準により評価した。
◎:非常に剥がれやすい(濾布付着物ほとんどなし)
△:多少剥がれにくい (濾布付着物あり、わずかに濾布内部まで付着)
×:剥がれにくい (濾布内部まで付着)
【0045】
<4.ケーキ含水率>
3.濾布剥離性を試験した後の脱水ケーキを用いて、下水道試験方法(日本下水道協会、1984年度版)記載の分析方法に準じてケーキ含水率を測定した。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果から、本発明の凝集剤は、比較例の凝集剤に比べて、粗大粒子を形成しやすく、高撹拌下(300rpm)でも一旦形成したフロックが壊れにくい(フロック強度が強い)こと、良好な濾布剥離性、高い脱水性(低いケーキ含水率)を示すことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の凝集剤は、下水汚泥又は廃水処理用の凝集剤として極めて有用である他に、分散剤、スケール防止剤、凝結剤、脱色剤、増粘剤、帯電防止剤、繊維用処理剤、掘削・泥水処理用凝集剤、製紙用薬剤(製紙工業用地合形成助剤、濾水歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等)、原油増産用添加剤(原油の二、三次回収用添加剤)として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例の評価に用いたフロック粒径図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなるビニルポリマーを含有してなることを特徴とする凝集剤。
【化1】

OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基、Mは金属原子、R及びR’は水素原子又は炭素数1〜6の有機基を示す。
【請求項2】
Xが−CO2H、−CO2M、−CO2NR’4、−CONH2又は−CNで表される基である請求項1に記載の凝集剤。
【請求項3】
ビニルポリマーがさらに(メタ)アクリルアミドを必須構成単量体としてなる請求項1又は2に記載の凝集剤。

【図1】
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【公開番号】特開2006−55791(P2006−55791A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242108(P2004−242108)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】